買物の決め手、レビューから生成AIへ
買物の決め手、レビューから生成AIへ
夕版では、国内の産業・業種に根ざしたAIの動きに焦点を当てます。生活者の購買行動はレビューから生成AIへと軸足を移し、重工業ではフィジカルAIの共同開発が始動。家電・メディア・中小企業支援まで、「使えるAI」が業務の現場に着実に入り込んでいます。本日押さえておきたい5本を、コプラスの実務目線でお届けします。
①買物判断、6割が「AIに委ねたい」 ― 博報堂2万人調査
博報堂が全国20〜69歳の男女2万人に行った調査で、生成AIの認知率は91.2%、日常利用率は49.4%に達しました。注目は購買行動の変化で、生成AIへの信頼度は51.7%とECサイトのレビュー(48.6%)を上回りました。さらに最終的な購買判断をAIに委ねたい人は60.0%、購入中止の判断を委ねたい人は67.7%に上ります。買物に生成AIを使う「AIショッパー」は24.6%を占め、決め手が「レビューから生成AIへ」移りつつある実態が浮かびました。
消費者が比較・検討をAIに任せ始めた今、自社商品の情報がAIに正しく拾われるかが集客の分かれ目になります。構造化されたFAQや一次情報の整備は、検索対策の延長として早めに着手する価値があります。
②三菱重工×Preferred Networks、国産フィジカルAIで業務提携
三菱重工業とAIスタートアップのPreferred Networks(PFN)が業務提携を発表しました。三菱重工のハードウェア・制御技術と、PFNのエッジ処理に強いAI技術を組み合わせ、自律型AIを搭載した機械・システムを共同開発します。社会インフラやナショナルセキュリティ分野など、ミッションクリティカルな領域での知能化・自律化が狙いで、高度な予測保全(故障の予兆検知)や危機管理の迅速化を目指します。両社は2026年度内に資本業務提携契約の締結も視野に入れています。
AIが画面の中から物理世界(フィジカルAI)へと広がる象徴的な提携です。製造・保守の現場では、まず設備の稼働データを蓄積するところから。予兆検知は中堅企業でも始められ、突発停止の削減という確かな効果につながります。
③シャープ、AI会話の"心地よさ"を数値化する技術を開発
シャープが、AIの応答の好ましさを定量的に評価するシステムを開発しました。別のLLMが応答を採点する「LLM-as-a-judge」を用い、即応性・文脈理解・知識力といった会話品質を体系化。第1弾では会話テーマの記憶や代名詞理解、ペルソナ維持など9項目の評価基準を構築しました。すでにテレビ「AQUOS」向けの新サービス「AQUOS AI」に応用され、応答品質の向上が報告されています。評価基準の詳細は6月8〜12日の人工知能学会全国大会で発表予定です。
社内でAIチャットを導入しても「回答の質」を主観でしか測れない企業は多いはず。評価項目を決めて点数化する発想は、自社のFAQボットやカスタマー対応AIの改善サイクルにそのまま応用できます。
④朝日新聞の校正AI「Typoless」、PR TIMESに採用
朝日新聞社の記事校正履歴を学習した校正AI「Typoless」が、プレスリリース配信のPR TIMESに採用されました。約21万個の校正ルール辞書を搭載し、誤字・誤変換の検出に加え、差別的表現やステレオタイプの検知、炎上リスク判定にも対応します。PR TIMESエディター上でAPI連携し、執筆時にリアルタイムで校正提案を表示。利用企業12万4,000社以上が対象です。根拠なく「No.1」「業界初」と謳うリリースが31.2%を占めるという課題に対し、配信前の「言葉の審査」で品質とブランド保護を両立させます。
情報発信の量が増えるほど、誤表記や過剰表現のリスクも比例して高まります。校正AIは広報や制作の最終チェックを底上げする実務的な一手。人の目との二重チェック体制を組むのが、品質を落とさず効率化する近道です。
⑤中小企業のAI補助金、第1次締切は6月15日
旧「IT導入補助金」が今年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」へと名称を変え、支援の軸足が単なるツール導入から「AI活用による省力化・人手不足の解消」へとシフトしました。通常枠の補助率は1/2以内(最低賃金近傍の事業者は2/3以内)。直近の申請締切は2026年6月15日(月)17:00で、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠など全枠共通、交付決定の予定は7月23日です。締切直前は申請ポータルが混雑しやすく、早めの準備が推奨されています。
人手不足に悩む中小企業にとって、AI導入の初期費用を抑える好機です。締切まで日数が限られるため、対象ツールの選定と事業計画の整理は今週中に着手を。次回締切を見据えた準備でも遅くはありません。
🔭 明日への展望
本日の動きは「AIが現場の意思決定に踏み込み始めた」段階を映しています。生活者は購買判断を、企業は設備保全や広報品質をAIに任せ始めました。6月8〜12日の人工知能学会全国大会では会話品質や産業応用の研究発表が相次ぐ見込みで、国産AIの実装競争はさらに加速しそうです。補助金の締切も近く、明日以降は「導入を決める企業」と「様子見の企業」の差が一段と鮮明になるでしょう。
消費・重工業・家電・メディア・中小企業支援――業種を問わず、AIは「試す」から「業務に組み込む」段階へ移りました。自社のどの工程から始めるかを見極めることが、これからの競争力を左右します。
コプラスは、中小企業のAI導入・業務効率化・補助金活用を実務目線で伴走支援します。「何から始めればいいか分からない」段階からお気軽にご相談ください。


