Slackで「@Claude」、AIが同僚に
本日は、AIが「単体ツール」から「業務の中の一員」へと位置づけを変えていく動きを象徴する2本をお届けします。Anthropicはチャット上でAIを呼び出して仕事を任せる新機能を投入し、富士通は大規模言語モデル(LLM)を少ないGPUで動かす新技術を発表しました。AIをどう“現場に組み込むか”が、いよいよ実務テーマになっています。
① Anthropic、Slackで「@Claude」を呼べる新機能を提供開始
Anthropicは、Slackのチャンネル内で「@Claude」とメンションするだけでタスクを任せられる新機能「Claude Tag」のβ版提供を始めました。Claudeはチャンネルの会話の流れを追って文脈を蓄積するため、毎回ゼロから状況を説明する必要がなく、複数メンバーが同じClaudeと“マルチプレイヤー”でやり取りできます。基盤モデルには「Opus 4.8」を採用。利用にはEnterpriseまたはTeamプランが必要で、既存の「Claude in Slack」アプリは置き換えとなり30日以内の移行が求められます。管理者はチャンネルごとにアクセス可能なツールや情報を細かく制御できます。
注目すべきは「権限制御」と「文脈共有」が標準で組み込まれている点です。AIを業務チャットに常駐させる際、現場が最も不安に感じるのは情報アクセス範囲のコントロール。チャンネル単位でアクセスを絞れる設計は、社内導入の合意形成を進めやすくします。まずは限定チャンネルで試し、扱う情報の線引きを決めてから広げるのが安全です。
② 富士通、省GPUの新LLM技術「PHOTON」を発表
富士通は、LLMを少ないGPUで効率的に動かす新アーキテクチャ「PHOTON(Parallel Hierarchical Operation for TOp-down Networks)」を開発したと発表しました。文章を意味のまとまり単位で階層的に処理して計算量を抑え、複数の問いや回答候補を束ねる「マルチクエリー統合」によって、GPU当たりの処理性能(スループット)が現在主流のTransformerと比べ最大475倍に達したとしています。12億パラメータのモデルで検証し、9つのクエリーを束ねるだけで従来Transformerと同水準の性能に到達したとのこと。マルチエージェント処理や多数ユーザーの同時利用に向く技術で、7月2日からサンディエゴで開かれる「ACL 2026」で発表予定です。
「475倍」という数字はあくまで特定条件下でのマルチクエリー処理性能であり、過度な一般化は禁物です。とはいえ、AI活用のボトルネックがGPUコストと電力にある現状で、計算効率を根本から見直す国産研究が出てきた意義は大きいと言えます。中小企業にとっては、こうした効率化が将来的に利用料金の低下や社内導入のハードル低下につながる可能性を、中長期の視点で押さえておきたいところです。
業務チャットへのAI常駐(Anthropic)と、計算効率を高める基盤技術(富士通)。方向は違えど、両者とも「AIをいかに日常業務へ無理なく組み込むか」という同じ課題に向かっています。今日からできる一歩は、自社のどの業務で“AIを呼べば早い”かを1つ書き出してみることです。
コプラスは、中小企業の現場に合わせたAI活用の設計・社内ルール作り・人材育成をご支援しています。「どこから始めればいい?」のご相談だけでも歓迎です。


