経営コンサル倒産、生成AIで最多ペース
生成AIが揺らす「仕事」のかたち
淘汰・連合・ルール整備が同時進行
生成AIは「便利な道具」の段階を越え、産業の勝ち負けを分け始めました。本日は、生成AIに代替された経営コンサルの淘汰、NECとAnthropicに金融8社が乗る企業連合、JASRACによるAI作曲の権利ルール整備、そして中小企業が今まさに使える補助金の締切まで——「淘汰」と「整備」が同時に進む国内の動きを5本に絞ってお届けします。
① 経営コンサルの倒産・廃業、生成AI台頭で過去最多ペース
出典: 帝国データバンク(ITmedia / Bloomberg) / 公開: 2026年6月10日
帝国データバンクの調査で、経営コンサルティング業の倒産・廃業が2026年1〜5月で累計242件に達し、2000年以降で最多だった前年同期を上回るペースとなっていることが分かりました。年間では600件超に達する可能性があります。背景にあるのは、生成AIによる「データ分析・資料作成・申請書のひな形作成」の急速な代替と、IT補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)の申請代行に依存していたビジネスモデルの限界です。実体的な付加価値を持たない事業者から淘汰が進んでいます。
淘汰されるのは「作業」を売っていた事業者で、「課題設定と実装伴走」を売る事業者はむしろ需要が増えます。中小企業側も、外注先を選ぶ目線を「資料を作れるか」から「自社にAIを定着させられるか」へ切り替える好機です。
② NEC×Anthropic、金融大手8社が協業に参画
出典: 日本経済新聞 / 公開: 2026年6月11日
NECと米Anthropicが進める金融分野でのAI協業に、三井住友フィナンシャルグループ、大和証券グループ、三井住友トラスト・グループ、MS&ADインシュアランス、住友生命、明治安田生命など金融大手8社が参画しました。金融業界が求めるセキュリティ・信頼性・正確性の要件に対応したAI活用を共同で検討します。NECは日本企業として初めてAnthropicのグローバルパートナーとなっており、金融・製造・自治体向けに業界特化型AIを展開する構えです。
規制業種ほど「精度と説明責任」が導入のハードルになります。大手が業界横断で要件を作り込む流れは、やがて中堅・中小にも降りてくるテンプレートになります。自社のAI利用ルールを今のうちに言語化しておくと、その波に乗りやすくなります。
③ JASRAC、AI作曲曲の著作権管理ポリシーを公表
出典: ITmedia NEWS / 公開: 2026年6月11日
JASRACが、AIを使って作られた楽曲の著作権管理ポリシーを公表しました。判断軸は「人間の創作的寄与の有無」です。例えばAI作曲・人間作詞の曲は、人間が手がけた部分のみを管理対象とし、データベース上もAI生成部分は「AI」と区別して表示します。単純な指示でAIが自律生成しただけの作品は著作物と認めず、管理の対象外とする方針です。あわせて著作権法30条の4の見直しも求めています。
音楽に限らず、AI生成物の権利は「どこに人間の創意が入ったか」で判断される時代になります。販促物や記事をAIで作る企業も、プロンプトや編集の履歴を残しておくことが、後々の権利・責任の所在を守る実務になります。
④ デジタル化・AI導入補助金2026、第2次締切が6月15日に迫る
出典: 中小企業庁/デジタル化・AI導入補助金2026事務局 / 公募中
旧「IT導入補助金」から名称を変えた「デジタル化・AI導入補助金2026」で、第2次公募の締切が2026年6月15日17:00に迫っています。今年度の制度は「ITツールで便利にする」から「AIで業務を変革し生産性を飛躍させる」へと重心が移っており、AI活用がこれまで以上に重視されています。以降の締切は第3次が7月21日、第4次が8月25日に予定されています。①で触れた申請代行頼みの構図が崩れる一方、自社で活用設計まで描ける企業には追い風です。
補助金は「採択がゴール」ではなく「定着がゴール」です。第2次に間に合わなくても7月・8月の枠があります。まず自社のどの業務をAIで変えるかを決めてからツールを選ぶ——この順番が、補助金を活かせるかどうかを分けます。
⑤ LINEヤフー、AI若手エンジニアを「給与上限なし」で募集
出典: LINEヤフー(PR TIMES/ITmedia NEWS) / 公開: 2026年6月8日
LINEヤフーが、独自のAIエージェント「Agent i」などAI領域の開発加速に向け、新卒・第二新卒のソフトウェアエンジニア採用を強化すると発表しました。報酬は入社時のスキルや経験に応じて個別に決定し、給与額に一律の上限を設けない方針です。標準年収は651万円以上とされ、若手でも高いスキルやポテンシャルを持つ人材には能力に見合った待遇を提示します。AI人材の獲得競争が、新卒の給与体系そのものを変え始めています。
給与で大手と張り合えない中小企業は、「AIを任せて裁量を持たせる環境」で勝負できます。最新ツールを早く触らせ、成果を評価する仕組みがあれば、優秀な若手にとって魅力的な職場になり得ます。
🔭 明日への展望
今日のキーワードは「淘汰と整備の同時進行」でした。生成AIが作業を肩代わりするほど、企業に問われるのは「何を任せ、何を人が決めるか」の線引きです。明日以降は、6月15日の補助金第2次締切に向けた中小企業の駆け込み、そしてNEC×Anthropicのような業界連合がどこまで実装に踏み込むかが注目点になります。ルール(JASRACの権利整備)とお金(補助金)と人材(採用競争)が同時に動く今は、AI活用の体制づくりを始める最適なタイミングです。
「作業」を売る仕事は生成AIに置き換わり、「変革を設計し定着させる力」を持つ企業が選ばれる——今日の5本はその転換点を映していました。コプラスは、補助金活用からAIの社内定着・人材育成まで、御社のフェーズに合わせて伴走します。「何から始めればいいか分からない」段階こそ、ぜひご相談ください。
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