テレ朝、全編AI映像のCMを放送

COPLUS AI NEWS / 2026.08.10 MON

今朝のAIニュースまとめ
どこまでをAIに渡し、どこを人が持つか

映像制作と、コマンドの実行承認。週明けの2本は、担当範囲の線引きの話でした。

週明けに目に留まったのは、AIに任せる範囲を明示した2つの動きです。テレビ朝日は、映像だけを生成AIで作り、テロップと音声は人が担当したテレビCMを地上波で流しました。もう一方では、Anthropicが開発ツール「Claude Code」で、コマンドを実行してよいかの判断をAIに代行させる設定を既定に切り替えます。どちらも「全部任せる/全部人がやる」の二択ではない置き方をしている点が共通しています。

① テレビ朝日、映像を全編生成AIで制作したCMを地上波で放送

ソース: PR TIMES(テレビ朝日 発表)/ 2026年8月9日

テレビ朝日は8月9日、サントリーの清涼飲料「GREEN DA・KA・RA」を題材にした30秒のテレビCMを地上波で放送しました。同局の発表によると、映像を全編生成AIで制作したCMは同局初で、バスケットボール男子日本代表の国際試合(日本×モンゴル)の中継内などで全国に流れました。制作を担ったのは、2026年4月にコンテンツ編成局内へ設置された「AIクリエイティブスタジオ」です。

生成AIを使ったのは映像のみで、テロップ・音声・ナレーションには使っていないと明記されています。ナレーションは同局アナウンサーが担当しました。内容は、ブランドの象徴であるハート型のモチーフに水分が浸透する様子を軸に、親子での外出や部活動など夏場の水分補給の場面を並べたものです。テレビ朝日ホールディングスが掲げる経営計画の中で、AI活用による新規事業づくりの一環と位置づけられています。

💡 コプラスの視点

注目したいのは「全編AI」ではなく「映像だけAI」と切り分けた点です。声やテロップは、誰の権利で誰が最終責任を負うかがはっきりしている領域なので、そこを人の手元に残す判断には合理性があります。自社で生成AIを制作フローに入れるときも、工程ごとに任せる/任せないを先に決めておくと、後から品質と責任の所在で揉めにくくなります。

記事を読む →

② Claude Code、実行承認をAIが代行する設定が8月14日から既定に

ソース: ITmedia AI+ / 2026年8月9日

ITmediaが8月9日に報じたところによると、Anthropicは開発支援ツール「Claude Code」で、コマンドを実行してよいかどうかをAIが判定する「auto mode」を、8月14日からPro・Max・Teamプランの既定設定にします。専用の分類器が1件ずつ内容を見て、取り消せない操作、破壊的な操作、利用者の環境の外に影響する操作をブロックする仕組みです。ブロックされた場合は代替手段を探すか、利用者に直接確認を求めます。Enterpriseや各種クラウド経由の利用は当面オプトインで、1か月以内の移行を予定しているとされています。

同社が示した対照実験の数字が示唆的です。1,053人を対象にした検証では、危険なコマンドを人手の確認画面で止められた割合は13.6%にとどまり、auto modeは同じコマンドの89%をブロックしたと報じられています。しかも人の検出率はセッションが長くなるほど下がり、確認が50回を超えるあたりでは約5%まで落ちたとされます。暴走を防ぐ仕掛けとして、連続3回または1セッションで20回ブロックすると手動承認へ戻ります。CLIではShift+Tabで切り替えられ、管理者側で既定を固定したり無効化したりすることもできます。

💡 コプラスの視点

これは開発ツールの話ですが、含意はもっと広く効きます。確認を求める回数を増やせば安全になる、という前提が数字で否定されている点です。承認が続くと人は流し読みになる——稟議や経費精算の承認フローにも思い当たる方は多いはずです。AIの利用ルールを作るときは、確認項目を積み上げるより、そもそも取り返しのつかない操作を実行できない設計にできないかを先に検討する価値があります。

記事を読む →

今日のまとめ

映像はAI、声とテロップは人。実行判断はAI、取り消せない操作は止める。2本に共通していたのは、任せる範囲をあらかじめ言葉にしていることでした。生成AIの導入でつまずくのは性能よりも、この線引きを決めないまま走り出したときです。まずは自社の業務を工程に分け、AIに渡してよい工程がどこまでかを書き出すところから始めてみてください。

コプラス株式会社では、生成AIの社内ルールづくりから実務での定着までを伴走支援しています。ご相談はこちら