AIツール閲覧中にサポート詐欺被害
2026.08.13 MORNING
今朝のAIニュースまとめ
AIの入口と、AIの後ろ側で起きたこと
8月13日の朝は、AIそのものの性能ではなく「AIの周辺」で起きた2件を取り上げます。愛知県の葬祭事業者が、従業員のAIツール関連サイト閲覧をきっかけにサポート詐欺の被害を受けたと公表しました。もう1件は、中国発のAIエージェント「Manus」がMeta傘下から離れ、傘下期間のユーザーデータを削除するという発表です。どちらも、業務でAIを使う会社が「どのサイトを開くか」「そのデータはどこの誰が持つか」を管理できているかを問う話です。
① AIツール関連サイトでサポート詐欺、個人情報4000件が削除
出典: ITmedia AI+ / 2026年8月13日(発表は8月12日)
愛知県知多市の葬祭事業者エスケーアイマネージメントが8月12日、サポート詐欺による被害を公表しました。同社の発表によると、8月7日に従業員がAIツール関連のサイトを閲覧していたところ警告画面が表示され、サポート担当者を名乗る人物の指示に従って遠隔操作ソフトをインストールしてしまったとされています。従業員は同日中に異常を報告してネットワーク接続を遮断しましたが、8月10日の調査で被害が判明しました。
被害は、個人情報を含む約4000件のファイルが削除されたというもので、漏えいの可能性も否定できないとしています。対象となり得る情報は、顧客の氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレスです。同社は8月11日に個人情報保護委員会へ報告し、警察にも相談したうえで、デジタルフォレンジック調査を実施する予定としています。
💡 コプラスの視点
狙われたのはAIツールそのものではなく、AIツールを探して検索した従業員です。生成AIの話題性が高いいま、無料ツールや使い方の解説を装った不審サイトは増えており、「業務で使えるAIを探す」行為が入口になり得ます。会社として使うAIをあらかじめ決めて周知し、それ以外は原則使わせない。加えて、警告画面が出ても自分で操作せず情報システム担当に連絡する、という一行のルールを配布するだけでも、今回のような遠隔操作の被害はかなり防げます。
② AIエージェント「Manus」がMeta傘下から独立、傘下期間のデータは削除へ
出典: ITmedia NEWS / 2026年8月12日
中国発のAIエージェント「Manus」が8月11日、Meta傘下から分離し、独立企業としての運営を間もなく再開すると発表しました。Manusは2025年12月にMetaが約20億ドル規模で買収していましたが、2026年4月に中国の国家発展改革委員会が買収を認めず、取引の撤回を命じていた経緯があります。報道によれば、7月時点でTencentが既存投資家とともにMetaから株式を買い戻し、筆頭株主となる方向で協議が進んでいたとされています。
今回の分離にともない、Meta傘下だった期間、具体的には2025年12月29日以降に生成されたユーザーデータが削除されます。削除はシンガポール時間の8月23日から24日にかけて行われ、利用者は8月23日午前7時59分までにバックアップを取る必要があります。同社は、規制要件への抵触を理由として挙げています。
💡 コプラスの視点
資本構成が変わっただけで、業務で積み上げたデータが期限付きで消える。AIサービスを選ぶときに見落としやすいリスクが、そのまま表に出た事例です。エージェントに仕事を任せるほど、対話ログや作りかけの成果物はサービス側に溜まります。導入前に「運営会社はどこの国か」「解約や事業変更のときデータをどう持ち出せるか」を確認し、重要な成果物は自社側にも残す運用にしておくことをおすすめします。
今日のまとめ
AIの被害は、必ずしもAIの中で起きるわけではありません。AIを探しに行った先の偽サイトや、AIサービスを運営する会社の事情といった「AIの手前と後ろ」に、業務が止まる原因が潜んでいます。使うAIを決めて配る、データの置き場所を把握する。この2つを先に固めておくと、日々のニュースに振り回されずに済みます。
コプラス株式会社は、生成AIの社内ルールづくりから安全な利用環境の整備までをご支援しています。ご相談はこちらからお気軽にお問い合わせください。


