ChatGPTがログイン先も代行
COPLUS AI NEWS / 2026.08.26 夕版
認証の壁の内側まで、AIが手を伸ばしはじめた
ログイン画面の先、創薬の予算、工場の現場。今日は「AIがどこまで踏み込むか」の線引きが動いた一日でした。
これまで生成AIが触れるのは、基本的に「誰でも見られる場所」でした。ログインしなければ入れない業務システムや会員サイトは、AIの手が届かない領域として残っていたわけです。その線が今日、はっきりと動きました。同時に、国の予算や展示会の顔ぶれからも、AIが実験室から現場へ移りつつあることが読み取れます。夕版では、8月26日に動いた5本を業種横断で整理します。
本日のラインナップ
① ChatGPT Work、ログインが必要なサイトも操作可能に
ITmedia AI+ / 2026年8月26日(OpenAI発表は8月25日)
OpenAIが8月25日、法人向けのChatGPT Workで、ログインを必要とするウェブサイト上のタスクも実行できるようにしたと発表しました。手順としては、まず利用者自身がブラウザ上でログインし、その後の操作をAIが引き継ぐ形です。認証情報についてOpenAIは、モデルには送信されず学習にも使われないと説明しており、決済など重大な操作の前には確認を求める設計だとしています。請求書処理や候補者検索といった、これまで人がクリックし続けるしかなかった業務が対象になります。対応プランはPlus・Pro・Businessです。
💡 コプラスの視点
便利さと引き換えに、社内ルールの前提が一つ崩れます。これまでは「業務システムにAIを触らせない」で管理できましたが、今後は「誰のアカウントで、どの画面まで、AIに操作を任せたか」を記録として残せるかが問われます。導入前に、対象システムの範囲と操作ログの取得方法を情報システム部門と決めておくことをおすすめします。
② 厚労省、創薬・先端医療に1969億円を概算要求
日本経済新聞 / 2026年8月26日
厚生労働省が2027年度予算の概算要求で、創薬・先端医療の関連に1969億円を要求したと報じられました。内訳としてAI創薬に153億円、創薬スタートアップ支援に300億円が投資枠として計上され、ベンチャーや大学が使えるAI研究開発拠点の整備、臨床研究中核病院へのAI導入促進などが柱に挙げられています。背景には国際競争力の課題があり、特許品市場の成長率は米国12.4%、英国10.0%に対して日本は5.3%にとどまるとされます。予算はあくまで要求段階で、確定は年末の政府案編成を待つことになります。
💡 コプラスの視点
注目したいのは、金額そのものより「拠点整備」という言葉です。AIを個社で抱え込むのではなく、共用の環境に集める方向に国の設計が寄っています。中小規模の企業にとっても、自前で環境を組むより、整備される基盤に乗る前提で人材と業務を準備しておくほうが現実的です。
③ AI博覧会が新宿で開幕、フィジカルAIに約100社
NHKニュース / 2026年8月26日
都内でAI関連技術の展示会が8月26日に開幕し、約100社が出展しています。会場で関心を集めているのが、AIが自律的に判断してロボットや機械を動かす、いわゆるフィジカルAIの分野です。会期は8月27日までの2日間で、会場は新宿住友ビル三角広場。主催者側の案内によれば、ロボットやAIエージェント、国産LLM、RAG構築など200点以上の製品が並び、全天候型の産業用ヒューマノイドや、声を出さずジェスチャーで操作できるロボットといった国内初展示も含まれます。画面の中で完結していた生成AIが、機械の制御へ広がりつつあることを示す顔ぶれです。
💡 コプラスの視点
フィジカルAIは、まだ設備投資の話に見えるかもしれません。ただ、機械が判断するようになると、その判断の根拠を説明する責任は導入した側に移ります。展示を見に行く際は、性能よりも「なぜそう動いたかを後から追えるか」を出展者に聞いてみると、自社に持ち帰れる材料が増えます。
④ 運送業の巡回指導・Gマーク、無料AI診断が登場
LNEWS / 2026年8月25日
X Mileが、運送事業者の法令対応を支援する巡回指導・Gマークの無料AI診断を公開しました。ウェブ上で完結し、事前登録やインストールは不要。法令順守や事故・違反の状況など30問に答えると、15〜20分で診断結果が得られる仕組みです。背景には、2026年6月に公布されたいわゆるトラック新法があり、一般貨物自動車運送事業に更新制が導入されることで、これまで以上に厳密な法令対応が求められる状況があります。同社は物流DXのロジポケで蓄積した知見をAIと組み合わせ、対応領域を広げていく方針としています。
💡 コプラスの視点
これは業種特化AIの、かなり素直な成功パターンです。制度が変わって不安を抱える事業者が大量に生まれ、その不安を30問で仮に測る。自社に置き換えるなら、顧客が毎回同じことを電話で聞いてくる領域はないか、という視点で探すと候補が見つかります。診断は入口であり、AI化する価値があるのは、その後に続く相談です。
⑤ Mac Studio 4台で4.8TB/s、巨大LLMを手元で動かす
ITmedia AI+ / 2026年8月26日(EXO Labs発表は8月25日)
EXO Labsが8月25日、M5 Ultraを搭載したMac Studio 4台をクラスタとしてつなぎ、合計で約4.8TB/sのメモリ帯域幅を確認したと発表しました。単体では1.2TB/sのため、台数にほぼ比例して性能が伸びたことになります。接続にはThunderbolt 5経由のRDMAを実装。同社は、大規模言語モデルをローカル環境でクラウドのAPIに近い速度で動かせる可能性を示すものと位置付けています。市販機を並べるだけで大型モデルが動くという意味で、手元で完結させる選択肢の現実味が一段上がりました。
💡 コプラスの視点
データを社外に出せない業務を抱える企業にとっては、無視できない検証結果です。ただし数値は同社の自己申告であり、実務での安定性や運用の手間はまた別の話です。全社をローカルに寄せるのではなく、機密度の高い一部の業務だけ手元で処理し、残りはクラウドを使う。この使い分けが、当面もっとも現実的な形になりそうです。
明日への展望
今日の5本を並べると、AIが触れる範囲が三方向へ広がっているのが分かります。認証の内側へ、機械の制御へ、そして自社のサーバーの中へ。いずれも共通するのは、便利さが増すほど、記録と説明の負担が導入側に移るという点です。明日はAI博覧会の2日目で、フィジカルAIの実機に対する現場の反応が見えてきます。あわせて、各省庁の概算要求が出そろう時期でもあり、AI関連予算の全体像が輪郭を持ちはじめるはずです。
今日のまとめ
AIがログイン画面の先へ、機械の制御へ、そして自社サーバーの中へ。範囲が広がるほど、どこまで任せてよいかを決めるのは自社側の仕事になります。線引きは技術ではなく運用ルールで引くものです。
コプラス株式会社では、生成AIの社内ルールづくりから、業務に合わせた活用の定着支援までご相談を承っています。何から手をつけるべきか整理したい段階でも、お気軽にお声がけください。


