
生成AIの業務利用が広がるにつれて、AI経由の情報漏洩は「珍しい事故」ではなくなりました。しかも漏洩の多くは、高度なサイバー攻撃ではなく、社員の日常的な入力や設定の見落としから起きています。この記事では、生成AIで情報漏洩が起きる3つの経路、実際に起きた事例、そして企業が今すぐ取るべき5つの対策を解説します。
生成AIの情報漏洩は「起きて当たり前」の段階に
まず、現状を数字で押さえます。AIに入力されたデータの10件に4件(39.7%)に機密情報が含まれていたという調査結果があり(Cyberhaven「2026 AI Adoption & Risk Report」・2026年2月・実測)、約半数の社員が会社の管理外の個人アカウントでAIを利用しているという調査もあります(LayerX「State of AI Usage Report 2026」・2026年5月・実測)。
リスクの深刻度も公的に裏付けられています。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織向け脅威の第3位に初選出されました。また、IBMの調査では、AIモデルやアプリケーションの侵害を報告した組織の多くが適切なAIアクセス制御を欠いていたと報告されています(IBM「データ侵害のコストに関する調査 2025」)。
つまり、機密を含む入力は日常的に起きており、管理の仕組みがない組織ほど事故に近い、というのが今の実態です。
情報漏洩が起きる3つの経路
生成AI経由の情報漏洩は、大きく3つの経路に整理できます。対策を考えるうえで、この区別が重要です。

経路1:入力による漏洩(最も多い)
社員が顧客情報や社内文書をAIに貼り付けた時点で、その情報は外部サービスに送信されます。個人向けAIの中には入力内容が学習に使われる設定が初期状態のものがあり、この場合、機密が学習データに取り込まれ、別の利用者への回答として再出力されるおそれがあります。悪意のない、業務を早く終わらせたいだけの入力が、最大の漏洩経路です。
経路2:サービス側の事故・攻撃
AIサービスの提供側やその委託先が攻撃を受け、登録情報が流出するケースです。利用者側では防ぎようがないため、事業者の管理体制と契約内容(データの保存場所・保持期間)を確認して選ぶことが対策になります。
経路3:共有・設定のミス
AIとの会話を共有リンクで同僚に送ったつもりが、リンクを知っていれば誰でも見られる状態になっていた、検索エンジンに載ってしまった、というケースです。便利な共有機能ほど、設定ひとつで公開範囲が変わる点に注意が必要です。
実際に起きた情報漏洩・事故の事例
3つの経路それぞれで、実際に事故が起きています。
- 【経路1】大手電機メーカーのソースコード流出(2023年):従業員が社内のソースコードや会議内容を生成AIに入力し、機密情報が外部に渡ったと報じられました。同社は一時的に社内での生成AI利用を制限したとされています(各種報道)。
- 【経路2】AI大手の委託先経由での情報流出(2025年11月):大手AIベンダーが、委託先への不正アクセスにより利用者の氏名やメールアドレス等が流出したと発表しました(同社発表)。
- 【経路3】共有チャットの検索エンジンへの露出(2026年7月):大手AIベンダーのチャットサービスで、共有リンク経由の会話の一部が検索エンジンに表示され、健康情報や社内文書などが閲覧可能な状態になったと報じられました(報道・同社は対処済みと説明)。
- 【関連】AI音声詐欺の被害拡大:AIで合成した音声による詐欺被害も報告されており、漏洩した情報が二次攻撃に使われるリスクも高まっています(各種報道)。
※各事例は各社の発表および報道に基づく要約です。世界最高水準のセキュリティを持つAI企業でも事故をゼロにできない以上、利用する企業の側に「漏れにくい使い方の仕組み」が必要になります。
企業が取るべき5つの対策

- 入力してよい情報の線引きを明文化する:顧客の個人情報・未公開の経営情報・認証情報など、入力禁止情報を具体例つきで定めます。生成AIガイドラインの作り方で、そのまま使えるひな形を公開しています。
- 入力データが学習に使われない設定を全社一律で適用する:個人任せのオプトアウト操作は必ず漏れが出ます。会社側で一括して学習オフを担保できる法人向けサービスを選ぶことが確実です。
- 法人契約に切り替え、データの保存先を国内に:個人アカウントの業務利用(シャドーAI)をやめ、会話履歴やログの保存先が明確なサービスに集約します。国内サーバーで管理できれば、社内規程や取引先への説明もしやすくなります。
- 利用ログを管理・監査できる状態にする:誰が・いつ・何を使ったかの記録があれば、万一の際の原因特定と説明ができます。記録がないこと自体が経営リスクです。
- 事例ベースの教育を定期的に行う:この記事のような実際の事故事例を共有し、なぜ入力ルールがあるのかを腹落ちさせます。ルールの背景が伝わると、遵守率は大きく変わります。
対策の土台は「安全に使える公認環境」
5つの対策を眺めると、共通の土台が見えてきます。それは、社員が使いたくなる安全な公認環境を会社が用意することです。禁止と注意喚起だけでは、社員は便利な個人AIに流れ、経路1の漏洩リスクはむしろ高まります。
当社のUPGEAR AIは、この5つの対策をまとめて実装できるように設計しています。ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの4つのAIを、入力データを学習に使わない設定を標準適用したうえで提供し、会話履歴・利用ログ・アカウントはすべて国内サーバー(AWS東京リージョン)で一元管理。管理者は誰がどう使っているかを1つの画面で把握できます。さらに導入時にはガイドライン整備の相談から社員教育まで伴走するため、対策1〜5を一度に立ち上げられます。
よくある質問
無料のChatGPTに入力した内容は本当に漏れるのですか?
もう社員が機密情報を入力してしまったかもしれません。どうすればいいですか?
情報漏洩対策として、AIの利用を禁止するのは有効ですか?
法人向けサービスなら情報漏洩は起きませんか?
取引先からAIのセキュリティ体制を聞かれました。何を答えればいいですか?
まとめ
生成AIの情報漏洩は、入力・サービス側の事故・共有ミスの3経路で現実に起きており、その多くは悪意のない日常業務の中から生まれます。対策の本質は、禁止ではなく、学習オフ・国内管理・ログ監査が揃った公認環境と、入力ルール・教育をセットで整えること。仕組みで守る会社だけが、AIの生産性を安心して手に入れられます。
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