キリン、Copilot利用率70%
COPLUS AI NEWS / 夕版
配ったあと、どう根づかせるか
2026年8月28日(金)夕方版・国内5本
生成AIの話題が、導入の可否から定着のさせ方へ移りつつあります。キリングループが全社展開で利用率70%に届いたという報道の一方で、AI施策が難航していると答える企業の割合はこの3年ほぼ動いていないという調査も出ています。配ることと使われ続けることの距離が、今日の5本に共通するテーマです。
本日の5本
① キリン、Copilotを約半年で6000人超に展開し利用率70%
② Anthropic、AIが実験・製造機器を動かす共通規格MHS
③ AI施策が難航する企業は3年横ばい、指標は利用率から費用対効果へ
① キリン、Copilotを約半年で6000人超に展開し利用率70%
ITmedia TechTarget/2026年8月28日
キリングループのIT子会社であるキリンビジネスシステムが、Microsoft 365 Copilotの全社定着に取り組んだ経緯が報じられました。ディスカバリーズの伴走支援サービスを採用し、本格導入から約半年で6000人を超える利用者に展開、利用率70%に到達したとしています。取り組みの柱は、全社勉強会と動画・メールマガジンによる継続的な学習環境の整備、Teams会議などを通じた利用者との直接対話、そしてグループ各社の業務特性に合わせたコンテンツのカスタマイズの3点です。いずれも機能の説明ではなく、現場の疑問を潰しにいく設計になっている点が特徴です。
💡 コプラスの視点:ライセンスを配った初月の利用率は、たいていどの会社でも高く出ます。問題は3カ月後で、そこを越えるのに効いているのが今回の3点目、自社の業務に寄せたコンテンツです。汎用の使い方講座ではなく、自部門の申請書や議事録を題材にした10分の動画を数本作るところから始めるのが、最も費用対効果の高い一歩になります。
② Anthropic、AIが実験・製造機器を動かす共通規格MHS
ITmedia NEWS/2026年8月28日(発表は8月27日)
Anthropicが8月27日、AIエージェントが物理機器を安全に操作するための共通規格Model Hardware Standard(MHS)をリサーチプレビューとして公開しました。ハワード・ヒューズ医学研究所ジャネリア・リサーチ・キャンパスとの共同開発で、顕微鏡や分注装置、ロボットアームなどを基本コマンドと自然言語による機器説明で統一的に扱えるようにするものです。同社は、機器連携にかかる時間が数週間から数時間規模に短縮されると説明しています。ジェネンテックやカーネギーメロン大学での適用例が紹介されており、安全性評価を経たうえで将来のオープンソース化を予定しているとしています。
💡 コプラスの視点:チャットの外側、つまり工場や研究室の装置にAIがつながる流れが規格の形で出てきたという意味で、製造業の方は名前だけ覚えておく価値があります。ただし現時点はリサーチプレビューであり、同社の説明にもとづく数値です。自社設備への適用を検討する段階ではなく、装置メーカー側の対応表明を追いかけるのが当面の現実的な距離感です。
③ AI施策が難航する企業は3年横ばい、指標は利用率から費用対効果へ
ITmedia エンタープライズ/2026年8月28日
全従業員がAIを使っているかという指標はもう成果の物差しにならない、と論じる記事が公開されました。引用されたITRの調査では、AI関連施策が難航していると答えた企業の割合は2024年度56.6%、2025年度52.5%、2026年度見込み54.0%とほぼ横ばいで推移しています。記事は代わりに、用途ごとの投入資源あたりの業務価値を測るユースケース単位の経済性と、用途別のコストと得られた価値を突き合わせるFinOps的な発想を提案しています。使っている人の数ではなく、その使用が何を生んだかで評価すべきという主張です。
💡 コプラスの視点:①のキリンの事例と合わせて読むと、利用率70%はゴールではなくスタートラインだと分かります。中小企業であれば、全社KPIを作り込むより、月次で3つの用途に絞って削減時間を実測するほうが早い。議事録作成、メール下書き、資料の骨子出しあたりから、時間を測って残すのが現実的です。
④ 半導体はAIが設計し人間が監督する、キーサイトが示すEDAの近未来
EE Times Japan/2026年8月28日(講演は8月26日)
キーサイト・テクノロジーが8月26日に東京で開いたKeysight Design Engineering Summit 2026で、同社のEDA事業担当者が、将来的にはAIが半導体を設計し人間は監督する立場になるとの見通しを示しました。同社は2026年1月、回路設計ツールのAdvanced Design Systemに対話機能とCopilot機能を追加しており、対話でツールの操作を助けるほか、電気設計やシミュレーションのコマンド実行を自動化します。大規模言語モデルやPythonスクリプトとの連携、機械学習によるシミュレーション高速化も進めているとしています。
💡 コプラスの視点:監督に回るという言い方は、半導体設計に限らずあらゆる専門職に当てはまります。設計や検図のように、成果物の正しさを人が保証する必要がある業務ほど、誰がどこまで確認したかの記録が価値を持ちます。AIを入れる前に、確認手順とその証跡の残し方を決めておくと後戻りが減ります。
⑤ Google、動画生成AIのGemini Omni 1.1 Flashを公開
ITmedia AI+/2026年8月28日(発表は8月27日)
Googleが動画生成モデルGemini Omni 1.1 Flashを公開しました。直前の映像を最大10秒ぶん参照して続きを生成できるようになり、つながりを保ったまま最長40秒までシーンを伸ばせます。開始と終了のフレームを指定した生成や、最長3秒の参照動画を渡してキャラクターの見た目を保つ使い方にも対応します。低解像度での下書き生成は通常出力より高速かつ低コストとされ、出力には電子透かしのSynthIDが埋め込まれます。Gemini APIやGoogle AI Studioなどから利用できます。
💡 コプラスの視点:下書きを安く速く作れる点が実務では効きます。商品紹介やSNS向けの短尺動画は、低解像度で構成を何本も試してから本番出力に回す進め方が定着しつつあります。あわせて、生成物に電子透かしが入る前提で社内の利用ルールを一度確認しておくとよいでしょう。
明日への展望
キリンの事例とITRの調査を並べると、AIの成否を分けるのが技術ではなく運用設計であることがはっきりします。来週以降は、9月の期初に向けて社内のAI活用方針を見直す企業が増える時期です。利用率をKPIに据えている場合は、そこに削減時間や品質のばらつきといった業務側の指標を1つ足せるかどうかが、次の半年を決めることになりそうです。
本日のまとめ
全社展開に成功した企業も、難航している企業も、分かれ目は学習環境と評価指標の置き方にありました。ツール選定より前に、誰がどう使い、何で測るかを決めておくことが近道になります。
コプラス株式会社は、国内サーバー・学習オフの環境で複数の生成AIをまとめて使えるUPGEAR AIと、定着までの伴走支援をご提供しています。自社での進め方にお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。


