NotebookLMのRAG。社内資料検索の仕組みと、自社でRAGを組む場合との違い

NotebookLM(現在の名称はGemini Notebook)のRAGとは、アップロードした資料の中から質問に近い部分を先に探し、その部分を根拠にして回答を組み立てる仕組みのことです。社内資料が数十件までで、版の取り違えや型番の言い間違いが起きにくい資料であれば、NotebookLMだけで社内資料の検索AIとして足りる場面が多いでしょう。新旧の規程が混ざっていたり、部署ごとに見せる資料を分けたかったりする会社では、会社で共有するAIチャット環境や、自社でRAGを組む段階を考えることになります。操作の手順や料金の全体像は、NotebookLMの使い方にまとめてあります。

NotebookLMのRAGの仕組み|資料を探してから答える流れ

NotebookLMは、質問を受けると先に資料の中から関係のある部分を拾い、その部分を材料にして回答を書く作りになっています。RAGは検索拡張生成と訳される言葉で、生成AIに答えさせる前に、社内資料などから関係する文章を探して渡す方法を指します。Googleのヘルプでも、ソースが多いノートブックでは、まず質問に基づいて関連性の高い情報を取得し、その情報を使って回答を作ると説明されています。2026年7月に名称はGemini Notebookへ変わりましたが、単独の製品として提供が続いており、これまでのノートブックもそのまま使うことが出来ます。

自社でRAGを組む場合は、この流れを部品ごとに用意することになります。

  1. 解析(パース)…PDFやWordなどのファイルから、文字や表を取り出す段階です。
  2. 分割(チャンク)…取り出した文章を、検索しやすい長さに区切ります。
  3. 埋め込み(ベクトル化)…区切った文章を、意味の近さを計算できる数字の並びに変えます。
  4. 保管と検索…数字にした文章をベクトルデータベースに入れ、質問に近いものを探し出します。
  5. 生成…見つかった文章を生成AIに渡し、根拠に沿った回答を書かせます。

NotebookLMでは、資料から関係する部分を探して回答を作るまでの流れが、画面の裏側で処理されます。利用者がするのは、資料をソースとして追加し、質問を書くことだけになります。

回答はソースをもとに作られる

ヘルプのよくある質問では、アップロードしたソースの情報に基づいて答え、答えが資料にない場合は回答できないと案内されています。回答を作るときに使われるのは、ソースの全体か選んだ部分、会話の履歴、それに明示的に選んだメモの3つです。メモは選んだときだけ使われるので、メモに書いた社内の補足を回答に反映させたいときは、選ぶ操作を忘れないようにしてみてください。

回答の引用から、根拠の場所をたどれる

回答の文中には引用が付き、どのソースのどの部分を根拠にしたのかを確かめることが出来ます。ただし、ソースがとても短い場合は、個々の文が引用されず、ドキュメント全体が参照される形になるとヘルプに書かれています。社内の検索AIとして使うなら、引用を開いて元の文と見比べる習慣が、取り違えを見つける大きな手がかりとなります。

NotebookLMと自社RAGの違い|導入・検索範囲・調整の比較表

大きな違いは、始めるまでの手間と、検索の中身をどこまで自分で決められるかにあります。

比べる点NotebookLM(個人・Workspace)自社で組むRAG
始めるまでGoogleアカウントでブラウザやアプリから使える。無料版あり検索サービス・埋め込みモデル・生成モデルを選び、組み立てる必要がある
検索の対象ノートブックに追加したソースだけファイルサーバーや複数のクラウドの資料を、1つの検索の対象にまとめられる
量の上限無料版はノートブックあたり50件(件数はプランで増える)、1ソース50万語・アップロード200MBまで契約するクラウドの容量と料金しだい
中身の調整使うソースの選び方と、質問の書き方が中心区切る長さ・候補の並べ替え(再ランキング)・日付や部署での絞り込み(メタデータフィルタ)を設計できる
根拠の確認回答に引用が付く引用を出す画面も自社で作る
権限ノートブックごとに共有の相手を決める元の資料の閲覧権限を、検索結果にも反映させる作り込みが要る
料金のかかり方無料版、またはプランの月額解析・埋め込み・保管と検索・生成など、段ごとに分かれてかかる(無料の段があるサービスもある)
向く場面部署やプロジェクト単位で、決まった資料に質問したい全社の大量の資料を、権限を分けたまま横断して探したい

表のとおり、NotebookLMはGoogleアカウントがあれば無料版からすぐに試すことが出来ます。自社RAGは、クラウドの検索サービスや埋め込みモデル、生成モデルを組み合わせ、画面や権限の仕組みまで作る必要があります。

検索できる範囲の違い

NotebookLMが探すのは、ノートブックに追加したソースの中だけになります。無料版ではノートブックあたり最大50件、1つのソースは50万語まで、ローカルからのアップロードは200MBまでという上限が設けられています。自社RAGであれば、ファイルサーバーや複数のクラウドストレージにある資料を、まとめて1つの検索の対象にする作りも選べます。

中身を調整できる範囲の違い

NotebookLMで利用者が手を入れられるのは、チャットに使うソースの選び方と、質問の書き方の2つが中心です。ヘルプでも、質問を明確で具体的なものに言い換えると、関連性の高い情報を探しやすくなると案内しています。資料をどの長さで区切るか、拾った候補をどの順に並べ直すか、部署や日付で絞り込むかは、自社でRAGを組む場合に自分で決められる部分になります。そのぶん決めることが増え、作った後の調整もずっと自社で続けることになってしまいます。

足りるか、組むべきか|資料の症状別の判断表

判断の分かれ目は、会社の規模よりも、検索させたい資料にどんな「くせ」があるかにあります。Microsoftのドキュメントでは、質問の言葉が資料の言葉と一致しないと従来のキーワード検索は失敗する、という点がRAGの課題の例として挙げられています。版違いや型番の取り違えも、回答を書く前の「探す」段で起きやすいものと考えると、手当ての場所が見えやすくなるでしょう。下の表は、社内でよく見かける資料の症状ごとに、起こり得ることと、先に試せる手当てをまとめたものです。

資料の症状よくある社内資料NotebookLMで起こり得ること先に試す手当て自社RAGを考える目安
版違い(新旧の規程が混在)就業規則、旅費規程、経理の手順書旧版の条文を根拠に答える旧版をソースから外す。残すなら[ソース]パネルで新版だけを選ぶ改定が多く、旧版も同じ場所に残す必要がある(日付で絞り込む設計が要る)
品番・型番の完全一致見積書、価格表、製品の仕様書1文字違いの似た型番の行を拾う質問に型番をそのまま書く。表はスプレッドシートやCSVで入れる型番が大量にあり、1文字違いを確実に区別したい(キーワード検索との併用が要る)
表データ料金表、在庫表、勤怠の集計行と列の対応がずれて読まれるPDFの表をスプレッドシートやCSVに起こしてから入れる集計や条件での抽出が主な用途なら、検索AIより表計算や社内システムが向く
社内略語・独自の呼び名議事録、業務マニュアル、社内チャットの書き出し略語と正式名が結び付かず、関係する資料を拾えない略語と正式名の対応表を、1つのソースとして加える部署ごとに略語が違い、対応表の更新が追いつかない(同義語の辞書を持たせたい)
似たFAQが大量問い合わせ対応集、社内ヘルプデスクの回答集よく似た別の質問の答えを返す1つの質問と1つの答えを見出しで区切り、古い答えを消す件数が多く、毎週のように追加や修正がある(分類で絞り込む設計が要る)
ソースの数が上限に近い部署全体のマニュアル一式上限を超えた分はノートブックに入らないノートブックを用途ごとに分ける1つの質問で全資料を横断したい
見せる相手を分けたい人事評価、給与の規程、役員会の議事録共有した相手全員に、同じソースをもとにした答えが返る見せる範囲ごとにノートブックを分ける部署や役職ごとの閲覧権限を、自動で反映させたい

右の列が2つ以上当てはまり、手当てをしても採点の結果が上がらないときは、次の段階を考える時期になります。1つだけ当てはまる程度なら、資料の整え方とソースの選び方で解決できることも多いでしょう。まずは次の節の手順で、自社の資料が本当にその症状を持っているのかを確かめてみてください。

社内で試す手順|10問の質問セットで正答と引用を採点する

足りるかどうかは、自社の資料と自社の質問で採点してみると、感覚ではなく数字で決めることが出来ます。用意するのは、資料一式と、質問10問、採点表の3つになります。

手順1 質問10問と、正解の場所を先に決める

質問は、実際に社内で聞かれている内容から選ぶのが近道です。10問のうち、版違い・型番・表・略語・似たFAQの症状に当たる質問を、それぞれ1問以上入れておきましょう。そのうえで質問ごとに、正解が載っている資料名とページを、AIに聞く前に書き出しておきます。正解の場所を後から探すと、AIの答えにつられて判断が甘くなってしまいます。

手順2 ノートブックを作り、ソースを入れる

ノートブックを新しく作り、試したい資料をソースとして追加します。取り込めなかった資料がないかは、ソースの一覧で1件ずつ確かめてください。旧版と新版の取り違えを試すために、あえて両方を入れた状態から始めるのも1つの方法です。

個人のアカウントで試すときは、回答への高評価や低評価のフィードバックは送らないでください。フィードバックを送ると、プロンプトやソースを含む関連の内容が集められ、特別なトレーニングを受けたチームがレビューし、最長3年間保存されるとヘルプに書かれています。Workspaceのアカウントであれば、フィードバックをしても人によるレビューや学習には使われない扱いになります。

手順3 全部のソースで聞き、次に選んだソースで聞く

最初は全部のソースを使った状態で、10問を順に聞いていきます。次に、ヘルプにある「[ソース]パネルでソースを個別に選択」する方法で、新版だけ、価格表だけのように対象を絞り、同じ質問をもう一度聞いてみてください。2回の結果の差が、資料を分けて置くことで改善できる幅となります。試している間は、右上の[設定]から[使用量]を開くと、使用量の上限にどのくらい近いかを確かめられます。

手順4 3つの観点で採点する

採点は、正答・引用の正しさ・旧版の取り違えの3つで、1問ずつ○か×を付けます。

観点見るところ○を付ける条件
正答回答の中身先に決めた正解と、内容が合っている
引用の正しさ回答の引用を開いた先引用先が、先に決めた資料とページを指している
旧版の取り違え引用先の資料名と版旧版や別の型番の資料を根拠にしていない

目安として、10問すべてで引用が正しく、旧版の取り違えもなければ、その資料はNotebookLMで回していけるでしょう。引用が正しいのに答えが違う問いは質問の書き方を、引用先が違う問いは資料の置き方を見直すのが近道になります。資料を整えても引用先の違いが減らないときは、判断表の症状が残っている合図と見てよいでしょう。

NotebookLMに入れる前の資料も、会社の環境でAIに読ませる

個人のアカウントで試す前に、会社で使う環境を1つに決めておく方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

会社の規模と用途で選ぶ|NotebookLM→共有AIチャット→自社RAG

社員10〜200名の会社であれば、いきなり自社RAGを組むより、3つの段階を順に上がっていく考え方が無理のない進め方になります。次の表は、資料の量・更新の頻度・権限の分け方から、どの段階が合うかの目安をまとめたものです。

段階合う状況資料の量と更新権限の分け方費用のかかり方
1.NotebookLM(個人・Workspace)1つの部署やプロジェクトで、決まった資料に質問したいノートブックあたり数十件まで。更新はドライブ連携で追えるノートブックごとに共有の相手を決める無料版、またはプランの月額
2.会社で共有するAIチャット環境全社員が同じ管理のもとで、資料を読ませて質問したり文章を作ったりしたい質問のたびに、必要な資料をその場で読ませる会社がアカウントと使えるAIを管理する契約するサービスの料金
3.自社RAG全社の資料を横断し、部署や役職の権限どおりに答えさせたいノートブックに分けきれない量で、毎日のように更新がある元の資料の閲覧権限を、検索にも反映させる段ごとのクラウドの料金と、作る人・保守する人の手間

段階1 NotebookLMで足りる会社

総務や営業など、1つの部署が決まった資料に質問する使い方であれば、まずNotebookLMで足りることが多いでしょう。無料版はノートブックあたり50件までのソースを使え、個人向けのGoogle AI Pro(Gemini Notebook in Pro)では300件、Workspaceでは Business Standard 以上のエディションで300件まで増えます。Business Starter は、ソースの件数が無料の個人版と同じになる点に気を付けてください。Workspace版では、アップロードしたファイルやチャット、モデルの出力が、人によるレビューにも生成AIモデルの改善にも使われないとヘルプに書かれています。

※ソース数などの上限は、2026年9月16日〜24日に公式のプランページとヘルプで確認した内容です。ヘルプには変更される場合があると書かれています。

段階2 会社で共有するAIチャット環境を考える会社

部署ごとにノートブックが増え、誰がどの資料を入れたのか分からなくなってきたら、会社としてAIを使う環境を1つに決める段階になります。ここでは資料を検索の仕組みに登録しておくより、必要なときに必要なファイルを読ませて聞く使い方が中心です。社員が個人のアカウントにばらばらに資料を入れ始めると、会社から見えない野良AI(シャドーAI)の入り口になってしまいます。使ってよいAIと入れてよい資料は、生成AIの社内ガイドラインで先に決めましょう。複数のAIを1つの環境で使い分ける考え方は、マルチAIとはで詳しく紹介しています。

段階3 自社RAGを考える会社

全社の資料を1か所から横断して探したい、部署や役職の権限どおりに答えを出し分けたい、という2つがそろったときが自社RAGの出番です。その手前には、Google Cloud経由で契約するNotebookLM Enterprise(現在の名称はGemini Notebook Enterprise)という選択肢もあります。製品ページの表示は1ライセンスあたり月9米ドルで最低15ライセンスからのため、10名の会社でも15ライセンス分の月135米ドル、50名なら月450米ドル、200名なら月1,800米ドルとなります。

※2026年10月14日時点でGoogle Cloudの製品ページに表示されている内容です。Google Cloudの価格は米ドル表示・税抜で、日本での利用には消費税10%が別途かかります。

Enterpriseで共有できるのは同じGoogle Cloudプロジェクトの中のユーザーだけで、ノートブックの一般公開はできません。ノートブックの作成やソースの追加をAPIから操作する方法もGoogle Cloudのドキュメントに載っていますが、プレビュー(一般提供前)の扱いになっています。Workspace版(Gemini Notebook Plus)で作った既存のノートブックは、Enterpriseでは使えないとよくある質問に書かれている点にも注意が必要です。

自社でRAGを組むときに要る部品と、料金がかかる場所

自社でRAGを組む場合、料金がかかる場所は1か所ではなく、解析・埋め込み・保管と検索・生成の段ごとに分かれていて、サービスによっては無料の段もあります。主なクラウドには、Google CloudのRAG Engine(Gemini Enterprise Agent Platformの機能)、AmazonのBedrock Knowledge Bases、MicrosoftのAzure AI Searchなど、RAGを組むためのサービスが用意されています。単価は使い方と時期で変わるため、下の表には各社のドキュメントに書かれている、料金がかかる場所だけを並べました。

部品やること料金のかかり方(公式ドキュメントの記載)
解析(パース)ファイルから文字や表を取り出すGoogle CloudのRAG Engineは、標準の解析機能を無料と記載
分割(チャンク)検索しやすい長さに区切る区切る長さや重ね方を決めるのは、組む側の設計
埋め込み(ベクトル化)文章を、意味の近さを測れる数字の並びに変えるRAG Engineでは、使った埋め込みモデルの料金がプロジェクトに請求されると記載
保管と検索(ベクトルデータベース)数字にした文章を保管し、質問に近いものを探すRAG Engineは裏側にSpannerを使い、その料金がかかると記載。Azure AI Searchは、検索ユニットに基づく時間単位の課金でクエリごとの課金がない専用と、使用量ベースのサーバーレス(プレビュー)の2つ
追加の検索機能意味での並べ替え(セマンティックランカー)などAzure AI Searchでは、どちらの料金モデルでも、こうした追加機能に個別の料金がかかると記載
生成拾った文章を渡し、回答を書かせる使う生成モデルの料金(各社の料金ページで確認)
画面・権限・保守社員が使う画面、ログイン、権限、資料の更新の仕組み開発と保守の人手(金額は示していません)

※2026年10月14日に、Google Cloud・Amazon Web Services・Microsoftの公式ドキュメントで確認した内容です。Amazon Bedrock Knowledge Basesの料金の内訳は、AWSの料金ページでご確認ください。

Azure AI Searchの専用の料金モデルは時間単位の課金で、クエリの回数では増えない作りです。一方でGoogle CloudのRAG Engineは、使った埋め込みモデルとデータベースの分が請求される形になっています。同じRAGでも料金が増える場所はサービスごとに違うので、見積もりは段ごとに分けて取ってみてください。

組んでも誤りはなくならない

RAGを組めば、答えの誤りがなくなるわけではありません。Microsoftのドキュメントは、検索で関係の薄い文章や欠けた文章を拾うと、根拠付きの回答でも不完全・不正確になり得ると注意しています。Google CloudのRAG Engineの説明も、ハルシネーションを減らし、より正確に答えられるようにするという書き方で、誤りがなくなるとは書かれていません。組んだ後も、前の節の10問の採点を、資料を入れ替えるたびに続けることになります。採点の手間まで含めて、誰が担当するのかを決めてから着手しましょう。

権限と学習の確認項目|社内資料を入れる前に見ること

社内資料を検索AIに入れる前に確かめたいのは、入れた資料が学習に使われないかと、誰がその資料をもとにした答えを受け取れるか、の2点になります。どちらも、使う版とアカウントの種類で扱いが変わります。

  • 個人のアカウントで社内資料を扱っていないか個人として使う場合、フィードバックを共有しない限り、データはトレーニングに使われないと案内されています。高評価や低評価のフィードバックを送ると、関連の内容が人によるレビューの対象になり、ヘルプは機密情報を含めないよう求めています。
  • Workspaceのアカウントで使えるようになっているかWorkspaceでは、フィードバックをしてもアップロード・質問・回答が生成AIモデルの学習に使われないとされています。仕事用のアカウントで使えないときは、Workspaceの管理者に有効化を頼む形になります。
  • 共有の範囲を決めているか個人のGmailアカウントでは最大50人と共有でき、リンクを知っている全員への一般公開もできます。Workspace の Enterprise と Education のアカウントでは、一般公開は現在無効とされています。
  • 権利のある資料だけを入れているかヘルプは、権利がないドキュメントをアップロードしないよう求めています。取引先から預かった資料は、契約の上でAIに入れてよいかを先に確かめておきます。
  • 担当者が替わったときの引き継ぎを決めているかノートブックの持ち主が異動や退職をしたとき、誰が引き継ぎ、どのノートブックを止めるのかを、社内の手順に入れておきます。
  • 自社RAGなら、元の資料の閲覧権限を検索にも反映しているかMicrosoftのドキュメントは、元の資料へのアクセスを管理しないと、根拠付きの回答から機密が漏れ得ると注意しています。人事や給与の資料は、見られる人だけが答えを受け取れる作りにします。

どの項目も確かめる手間は小さい一方で、資料を入れた後で気づくと、ノートブックの作り直しが必要になってしまいます。1つでも答えに詰まる項目があれば、資料を入れる前に担当者と決めましょう。ほかの点検項目は、生成AIのセキュリティ対策チェックリストにまとめています。

検索の前に資料を整える|総務が今日からできる下ごしらえ

検索AIの答えがずれる原因は、AIの賢さよりも、入れる資料の並び方にあることが少なくありません。NotebookLMでも自社RAGでも、同じ下ごしらえが効いてきます。

  1. ファイル名に版と施行日を入れます(例:旅費規程_2026年4月改定)。旧版は別のフォルダに移し、ソースには入れません。
  2. PDFの表は、スプレッドシートやCSVに起こしてから入れます。Googleスプレッドシートは10万トークンまで、CSVも対応形式に含まれています。
  3. 社内略語と正式名の対応表を作り、1つのソースとして加えます。
  4. 似たFAQは、1つの質問と1つの答えを見出しで区切り、内容が重なる古い答えを消します。
  5. コピー防止のかかったPDFは取り込みに失敗するとヘルプにあるため、元のWordやGoogleドキュメントを使います。
  6. Googleドライブから取り込んだソースは数分ごとに同期されるので、改定のたびに入れ直す手間を減らせます。

下ごしらえをした後に前の10問をもう一度採点すると、資料の整備でどこまで直るのかが分かります。それでも残る症状だけを、共有AI環境や自社RAGで解く課題として扱えば、検討の範囲を小さく絞れます。最初の1冊として、問い合わせの多い規程を1つ選び、今週のうちに整えてみてください。

NotebookLMに入れる前の社内資料も、会社の環境で4つのAIに

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けサービスです。全モデルで学習非利用を標準適用し、自社資料を読み込ませて回答させることも出来ます。会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

NotebookLMはRAGの仕組みを使っているのですか?
Googleのヘルプでは、ソースが多いノートブックでは、まず質問に基づいて関連性の高い情報を取得し、その情報を使って回答を作成すると説明されています。資料から探してから答える流れは、RAG(検索拡張生成)と同じ考え方です。利用者が主に調整できるのは、チャットに使うソースの選び方と、質問の書き方になります。
NotebookLMは、ソースに書かれていないことも答えますか?
ヘルプのよくある質問では、アップロードしたソースの情報に基づいて回答し、答えがソースにない場合は回答できないと案内されています。回答には引用が付くため、引用を開いて元の文と見比べると、根拠を確かめることが出来ます。
社内資料をNotebookLMに入れると、学習に使われますか?
個人として使う場合、フィードバックを共有しない限り、データはトレーニングに使われないと案内されています。高評価や低評価のフィードバックを送ると、関連の内容が人によるレビューの対象になり、レビューされた内容は最長3年間保存されます。Workspaceのアカウントでは、フィードバックをしてもアップロード・質問・回答が生成AIモデルの学習に使われないとされています。
NotebookLMには何件くらいの資料まで入れられますか?
無料版はノートブックあたり最大50件のソースで、1つのソースは50万語まで、ローカルからのアップロードは200MBまでです。個人向けのProや、Workspaceの Business Standard 以上のエディションでは、ノートブックあたり300件まで増えます。上限は変更される場合があるため、契約の前に公式のヘルプで確かめてください。
自社でRAGを組むと、費用はどこにかかりますか?
埋め込み、ベクトルデータベースへの保管と検索、回答の生成などの段ごとに、クラウドの料金がかかります。たとえばGoogle CloudのRAG Engineは、標準の解析を無料としたうえで、使った埋め込みモデルと裏側のデータベースの料金がかかると記載しています。社員が使う画面や権限の仕組みを作り、保守する人手も別に見込む必要があります。
社員10名ほどの会社でも、自社でRAGを組むべきですか?
決まった部署の資料に質問する使い方であれば、まずNotebookLMで自社の質問10問を採点してみるのが近道です。版違いや権限の分け方で困る症状が残り、資料を整えても改善しないときに、会社で共有するAIチャット環境や自社RAGを検討する順番が無理のない進め方になります。

まとめ

NotebookLMのRAGは、ソースの中から質問に近い部分を探し、その部分を根拠に引用付きで答える仕組みです。部署単位で数十件までの資料を扱うなら、まずNotebookLMで足りる場面が多くなります。版違いの規程、型番の完全一致、表データ、社内略語、似たFAQの多さ、見せる相手の分け方の6つは、検索の段で取り違えが起きやすい症状として先に確かめておきましょう。

判断は、自社の質問10問で正答・引用・旧版の取り違えを採点した結果で決めることが出来ます。資料を整えても残る症状があるときに、会社で共有するAIチャット環境、自社RAGの順で考えてみてください。自社RAGの料金はかかる場所が段ごとに分かれているため、見積もりも段ごとに取ると比べやすくなります。法人のAI活用に関するほかの記事は、AI活用コラム一覧からご覧いただけます。