
動物病院のAI活用とは、飼い主へ渡す説明文やカルテの要約、予約への返信などの文章の仕事を生成AIに下書きさせ、獣医師とスタッフが仕上げる使い方です。入れてよいのは動物種・症状・経過・検査値など診療の中身までで、飼い主の氏名・電話・住所や動物の名前は「飼い主様」「〇〇ちゃん」に置き換えてから入れる形になります。診断や処方の判断はAIに任せず、出てきた文は獣医師が確かめてから外へ出しましょう。
人の医療でのAIの使い方と患者情報の守り方は、医療AIとは|活用例と患者情報を守る生成AIの使い方にまとめています。動物病院は守秘の決まりや診療簿の扱いが人の医療と違うため、獣医師法と日本獣医師会の指針に沿って、業務ごとの指示文まで具体的に並べました。
※法令・指針・各社の発表の内容は、2026年10月16日時点で公式の公開ページを確認したものです。
動物病院でAIに任せてよい業務、任せない業務
AIに任せてよいのは文章の下書きで、診断と処方の判断は任せない、という分け方が出発点になります。動物病院で使いやすいのは、飼い主へ渡す説明文、SOAPカルテの要約と紹介状の下書き、予約や問い合わせへの返信文、スタッフの勉強、ホームページやSNSの文の5つです。
どれも獣医師が決めた中身を読みやすい形に整える仕事で、判断そのものは人の側に残っています。反対に、症状を入れて病名を当てさせる使い方や、薬の量をAIの答えで決める使い方はしません。用量をAIに尋ねたときの照合の手順は、獣医師法第18条の節で見ていきましょう。
5つを一度に始める必要はなく、院内でいちばん時間を取られている業務を1つ選ぶところから始めてみてください。説明文の作り直しが多い病院もあれば、夕方の問い合わせ返信に追われる病院もあるはずです。音声からカルテを作る専用のAIや、予約システムに組み込まれたAIもあり、汎用の生成AIとは確かめる点が少し違ってきます。
5つのほかにも、口コミへの返信、求人原稿、ワクチン接種のご案内のDM(ワクチンの品名は書かず、広告の節の決まりに沿う形で)、健康診断の結果報告書のひな形は、AIで下書きしやすい文になります。入院動物の申し送りメモ(食欲・排泄・体温・投薬の済み)を、翌朝の担当が読みやすい順に並べる作業にも向いています。口コミへの返信では、書き込んだ方の診療内容や個人情報に触れない言い方にとどめましょう。
獣医師に守秘義務の条文はない。それでも飼い主情報を守る根拠
獣医師法にも刑法にも、獣医師に秘密を守る義務を課す条文は置かれていません。獣医師法(昭和24年法律第186号)と獣医療法(平成4年法律第46号)の本文には、「秘密」という語そのものが出てこない形となっています。刑法第134条第1項(秘密漏示)の対象は医師・薬剤師・医薬品販売業者・助産師・弁護士・弁護人・公証人とその職にあった者で、獣医師は含まれません。人の医師であれば六月以下の拘禁刑または十万円以下の罰金の対象になりうる場面でも、獣医師にはこの条文が当てはまらないことになります。
動物病院で働く愛玩動物看護師も同じで、愛玩動物看護師法(令和元年法律第50号)にも、愛玩動物看護師本人に秘密を守る義務を課す条文はありません。同法に秘密の保持が出てくるのは、指定登録機関の役員・職員に向けた第17条と、その罰則の第44条だけとなっています。獣医師法と愛玩動物看護師法には職種としての守秘義務の条文がなく、受付には資格の法律そのものがありません。だからこそ、院内ルールで全職種共通の線を決めておきましょう。
それでも、飼い主の情報を雑に扱ってよいという話にはなりません。日本獣医師会の「小動物医療の指針」(平成14年12月12日制定、平成28年3月10日一部改正)は、第16項で飼育者の個人情報を守るよう獣医師に求めています。かっこ書きで飼育動物に関する情報も含まれると書かれている点が、動物病院にとっては大事なところになってきます。
第16項の原文:「獣医師が業務上知り得た飼育者に関する個人情報(飼育動物に関する情報も含まれる)については、獣医師法その他の法律で特に守秘義務が課せられているわけではないが、一般的に個人情報の保護が求められている中で、獣医師は、飼育者に関する個人情報を保護しなければならない。」(日本獣医師会「小動物医療の指針」 https://jvma-vet.jp/about/projects/chikai_pdf/2-1.pdf)
個人情報保護法との関係では、参議院の内閣参質201第148号(令和2年6月26日の答弁書)が、獣医師が個人情報取扱事業者に当たり、診療簿に保有個人データが含まれる場合は、開示請求に同法の規定を守る必要があるという趣旨を示しています。
生成AIについては、個人情報保護委員会が令和5年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しました。個人情報を含む指示文を入れるときは、利用目的の達成に必要な範囲かを十分に確かめるよう求める内容です。本人の同意なく個人データを入れ、それが応答の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある、とも書かれています。そのうえで、提供する事業者が入れたデータを機械学習に使わないことなどを十分に確かめるよう呼びかけている点は、動物病院でもそのまま使える目安になります。
生成AIの使い方そのものについて、日本獣医師会や農林水産省がまとめた指針は、2026年10月16日の確認時点で公開されているものは見当たりません。条文が無くても、飼い主と動物の情報は守る対象として扱いましょう。院内のルールは、指針第16項と個人情報保護委員会の注意喚起を土台に、病院ごとに決めていく形になります。
※条文の出典:獣医師法 e-Gov法令検索、刑法 e-Gov法令検索、愛玩動物看護師法 e-Gov法令検索、個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」 個人情報保護委員会、参議院 答弁書 参議院
飼い主情報がAIに入ってしまう4つの経路
飼い主情報がAIに入るのは、悪気よりも忙しい日の近道からのことが多くなります。経路ごとに、どこで入ってしまうのかを見ておきましょう。
私物スマホの個人アカウントで使う
獣医師・愛玩動物看護師・受付が自分のスマホで無料の生成AIを使い、返信文や掲示物を作る場面がまず挙がります。病院が使う環境を用意していないと、こうした使い方は院長から見えないまま続いてしまいます。病院が把握していないAIの利用はシャドーAI(野良AI)と呼ばれ、入れた内容がどう扱われたかを後から病院の側で確かめることができません。
カルテやLINEの画面をそのまま貼る
電子カルテの画面やLINEのやり取りを撮った画像には、飼い主の氏名・診察券番号・動物の名前が一緒に写っていることがよくあります。要約だけ頼んだつもりでも、写り込んだ情報まで丸ごとAIへ渡ってしまいます。
問い合わせ文を丸ごと貼る
メールやWebフォームの問い合わせには、名前や電話番号、住所が入っていることが多いでしょう。本文だけを貼ったつもりで、末尾の署名や連絡先まで一緒に入れてしまう失敗は起こりやすくなります。
検査報告書やレントゲン画像を貼る
外注検査の結果のPDFやレントゲン・エコーの画像には、画面の端に飼い主様のお名前・動物の名前・カルテ番号が入っていることがよくあります。説明を作るつもりで画像ごと貼ると、その情報まで一緒に渡ってしまいます。検査値は、数字だけを書き写して入れる形にしましょう。
4つとも、スタッフ一人ひとりの注意だけで防ぐのは難しい経路です。使うAIを病院で1つに決め、入れてよい情報の線を全員でそろえると、近道を選ぶ理由そのものが減っていきます。
入れてよい情報・入れない情報の線引きと書き換え例
AIに入れてよいのは診療の中身で、飼い主と動物を特定できる情報は、入れる前に消すか置き換えます。迷ったときは、その文を院外の人が読んで、どこの家のどの子か分かるかどうかで考えてみてください。
入れない情報
- 飼い主の氏名・電話番号・住所・メールアドレス・LINEの表示名
- 診察券番号・カルテ番号
- 動物の名前(飼い主の名字と組み合わさると、どこの子かすぐ分かります)
- 飼い主の顔、家の中、首輪の名札が写った写真
- お会計の金額・支払い方法・ペット保険の証券番号(日付と組み合わさると、どの来院か分かるため)
- 外注検査の報告書・レントゲンやエコーの画像(名前やカルテ番号が入っているため、数値だけ書き写す)
- カルテや予約画面のスクリーンショット(写り込みを消せないため、画像ごと入れません)
置き換えれば入れてよい情報
- 動物種・品種・年齢・性別・体重
- 症状と経過(日付は「3日前から」のように、来院日からの日数に直す)
- 検査値・処置名・薬の一般名と飲ませ方
- 病院の決まり(診療時間・休診日・予約の取り方・持ち物)
- 獣医師が決めた説明の要点と、評価・計画の言葉
珍しい品種や地域で知られた子のように、中身だけでも誰の話か分かってしまう場合は、品種を「小型犬」のように広げて入れましょう。
書き換えの前と後
【書き換える前】 佐藤様(090-xxxx-xxxx、〇〇市△△町)のトイ・プードル、モモちゃん(7歳・メス、診察券No.0000)。 3月2日から嘔吐が続き、本日来院。 【書き換えた後】 飼い主様の犬(トイ・プードル、7歳・メス)〇〇ちゃん。 3日前から嘔吐が続き、本日来院。 消したもの:飼い主の名字、電話番号、住所、診察券番号、動物の名前 直したもの:日付(3月2日 → 3日前から) 残したもの:動物種・品種・年齢・性別、症状と経過
書き換えた後でも症状と経過は残っているため、説明文や要約の下書きには十分に使えます。氏名・電話・住所・診察券番号・動物の名前の5つは、どの業務でも入れません。実際の名前に戻す作業は、AIの画面ではなく院内の文書ソフトや電子カルテの上で済ませると安心です。
飼い主へ渡す説明文(術前・退院時・投薬)
説明文は、獣医師のメモを飼い主向けの言葉に整えてもらう形で、AIの手を借りやすい業務になります。術前の説明、退院時のおうちでの過ごし方、薬の飲ませ方は、毎回ほぼ同じ骨組みで書くことが多いはずです。
入れる材料
獣医師が書いた箇条書きのメモと、病院でいつも使っている説明の見出しを用意します。名前は入れず、動物種・年齢・処置名・薬の回数と日数だけを書いておきましょう。
AIへの指示文(退院時の説明の例)
あなたは動物病院で、飼い主様に渡す説明文を整える係です。 下の【メモ】をもとに、退院時にお渡しする説明文を作ってください。 【守ること】 ・読む方は飼い主様です。専門用語には、かっこで短い言い換えを添えてください ・動物は「〇〇ちゃん」、飼い主は「飼い主様」と書いてください ・メモにない薬の量・日数・数値・注意点は書き足さないでください ・メモから読み取れないところは【要確認】と書いて残してください ・見出しは「おうちでの過ごし方」「お薬」「次のご来院」「すぐにご連絡いただきたい様子」の4つにしてください ・A4で1枚に収まる長さにしてください 【メモ】 処置:避妊手術(犬・5歳) 傷口:抜糸まではエリザベスカラーを外さない 運動:散歩は家の周りを短く。抜糸まで走らせない 食事:今夜は普段の半量、明日から普段どおり お薬: ①痛み止め〔薬の名前〕1回◯錠 1日1回 朝食後 5日分 ②抗生剤〔薬の名前〕1回◯錠 1日2回 朝夕食後 5日分 次回:10日後に抜糸 連絡してほしい様子:傷口の腫れや出血、元気がなく食べない
出てくる文の例
〇〇ちゃんの退院後のご案内 ■おうちでの過ごし方 傷口をなめないよう、抜糸まではエリザベスカラー(首に付ける保護具)を外さないでください。お散歩はおうちの周りを短めにして、抜糸までは走らせないようにお願いします。 ■お薬 ①痛み止め〔薬の名前〕:1回◯錠を1日1回、朝ごはんの後に飲ませてあげてください(5日分)。 ②抗生剤(細菌を抑えるお薬)〔薬の名前〕:1回◯錠を1日2回、朝と夕方のごはんの後に飲ませてあげてください(5日分)。 ■次のご来院 10日後に抜糸を行います。ご予約の日時は【要確認】です。 ■すぐにご連絡いただきたい様子 傷口が腫れている、血がにじむ、元気がなくごはんを食べない様子があれば、すぐに病院へお電話ください。 (夜間・休診日の連絡先は【要確認】)
例の文でも、メモに無い「傷口をなめないよう」と、夜間・休診日の連絡先の行をAIが足しています。メモにない薬の量や注意が足されていないかは、毎回獣医師が確かめてください。
獣医師が必ず確かめる点
- 薬の名前・1回の量・回数・日数・タイミングが、2種類ともメモと一字一句合っているか(薬の欄は獣医師が確かめる)
- メモに無い注意や数値が足されていないか
- 【要確認】が残っていないか、残っていれば院内で埋めたか
- 見通しや病状の言い回しが、獣医師の言葉より強くも弱くもなっていないか
- 〇〇ちゃん・飼い主様を、印刷の前に院内の文書ソフトで実際の名前へ戻したか
確かめ終えた文は、確認した獣医師の名前を院内の記録に残し、担当の愛玩動物看護師が読み合わせをしながら飼い主様へお渡ししましょう。術前の説明や投薬の案内も、メモの中身と見出しを差し替えれば同じ指示文を使うことができます。
手術ごとの説明書のひな形をAIで一度作り、獣医師が確かめてから電子カルテの説明書テンプレートに登録する使い方もあります。登録できる電子カルテであれば、毎回AIに頼まなくても、確かめ済みの文を呼び出して薬や日数の欄だけ書き換える形になります。
獣医師が確かめた指示文を私物のアカウントに持ち出さずに使えるよう、病院で使うAIを1つにそろえる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
SOAPカルテの要約と紹介状の下書き
カルテの要約は、診察中の走り書きをS(稟告)・O(所見)・A(評価)・P(計画)の欄に並べ直す仕事として頼むと、崩れが少なくなります。評価と計画は獣医師が決めた言葉を写させるだけにして、AIには考えさせないのがこつです。
入れる材料
シグナルメント(動物種・年齢・性別・体重)を別の欄に分け、稟告・所見・検査の結果・獣医師が決めた評価と計画は、話し言葉が混ざった走り書きのままで構いません。診察券番号や飼い主の名前は、メモを作る段階で外しておきましょう。飼い主様が帰られた後に、病院の端末の音声入力で口述した走り書きでも十分に使えます。一方で、診察室の会話を汎用の生成AIにそのまま録音して入れる使い方は、飼い主様のお名前が入りやすいため避けたほうが安心です。録音から作る場合は、後の節で触れる専用のAIの扱いを確かめてからにしてください。
AIへの指示文(SOAPへの並べ替え)
あなたは動物病院の獣医師の補助として、診療メモをカルテの形に整える係です。 下の【メモ】の走り書きを、S(稟告)・O(所見)・A(評価)・P(計画)の4つの欄に振り分けてください。 【守ること】 ・【シグナルメント】は、4つの欄の外の先頭にそのまま置いてください ・メモに書かれていることだけを使い、病名・検査値・薬を足さないでください ・評価と計画に当たる文は、メモの言葉をそのまま写してください。言い換えや推測はしないでください ・話し言葉は、意味を変えずにカルテの書き方へ直してください ・日付の違う追記は、最後に【経過】として分けてください ・どの欄に入るか分からない文は、最後に【分類できなかったメモ】として残してください ・数値と単位は、メモのとおりに書いてください 【シグナルメント】 猫 12歳 去勢オス 4.2kg 【メモ】 3日前から食べない、昨日2回吐いたって(飼い主様) 体温38.9 脱水ちょっとあり お腹触っても痛がらない 血液 BUN・Cre高い(例のため数値は省略) 慢性腎臓病の疑い、ほかも否定できず 皮下補液、療法食の話をする、1週間後に再検査 (1週間後の追記)再検査でもBUN・Cre高値のまま
出てくる文の例
【シグナルメント】猫 12歳 去勢オス 4.2kg S(稟告) ・3日前から食欲がない ・昨日2回嘔吐(飼い主様より) O(所見) ・体温38.9、軽度の脱水 ・腹部触診で疼痛なし ・血液検査:BUN・Cre高値(数値は省略) A(評価) ・慢性腎臓病の疑い、ほかも否定できず P(計画) ・皮下補液 ・療法食の話をする ・1週間後に再検査 【経過】 ・1週間後の再検査でもBUN・Cre高値のまま
紹介状の下書きを頼む指示文
上のSOAPの内容をもとに、二次診療の病院へ送る紹介状の本文の下書きを作ってください。 ・宛先の病院名、先生のお名前、当院の名前、動物と飼い主様のお名前は【 】の空欄で残してください ・紹介の目的は「再検査でも高値が続くため、腹部超音波を含む精査のお願い」とします ・SOAPに無い経過や検査結果は書かないでください ・丁寧な文体で、A4の半分ほどの長さにしてください
獣医師が必ず確かめる点(カルテ・紹介状)
- A(評価)とP(計画)が、メモの言葉どおりになっているか(「疑い」が言い切りに変わっていないか)
- 数値・単位・左右・回数が合っているか(例では体温に単位を足していないか)
- 【分類できなかったメモ】に、大事な所見が取り残されていないか
- 紹介状の空欄は、院内の文書ソフトで実名を入れたか
- 確定した内容を、診療簿に記載したか
診療簿の保存とAIの下書きの関係
AIが作る要約は、診療簿に記載する前の下書きにあたります。診療簿に書くのは、獣医師が確かめて確定させた内容だけにしましょう。獣医師法第21条は、診療をしたときは診療簿に遅滞なく記載し、三年以上で農林水産省令が定める期間保存するよう定めています。期間は獣医師法施行規則第11条の2にあり、牛・水牛・しか・めん羊・山羊は8年間、犬や猫を含むその他の動物は3年間です。
診療簿を電子で保存すること自体は、農林水産省消費・安全局長の通知(16消安第10669号、平成17年4月1日)で認められています。同じ通知は、見読性・機密性・完全性を確保し、飼育者のプライバシー保護を含めた管理規程を設けるよう求める内容です。AIとのやり取りの履歴を診療簿の代わりに残す使い方は避け、確定した内容は電子カルテや紙の診療簿へ移しておきましょう。
音声からSOAPを作る専用AIと、汎用の生成AIの違い
診察の会話を録音してSOAPに要約する専用のAIも出てきており、カルテを書く時間を減らす目的で使われ始めています。Joy with Paws合同会社の発表(ASCII STARTUP、2026年2月20日掲載、PR TIMES配信)によると、新座どうぶつ病院(榎本貴文院長)は、AIカルテ作成支援「VetAsis」と電子カルテ「ミニイク」の連携を使い、診察の会話をSOAP形式に要約して電子カルテへ入れる仕組みを試しました。同じ発表(2026年2月時点)では、2025年11月から12月に実証し、2026年2月以降に本格導入を始める予定とされていました。効果について数値は公表されていないため、ベンダー側の発表として読んでおくのがよいでしょう。
VetAsisの公式ページでは、診察中の会話を音声認識し、終了後にSOAP形式へ要約したうえで確認・編集ができると説明されています。専用のAIは提供元が仕組みを作り込んでいるぶん、録音データの保管場所や学習への利用は、導入前に提供元へ確かめておく必要があります。汎用の生成AIのほうは、学習の設定やアカウントの管理を病院の側で握る形になります。
※出典:ASCII STARTUP(2026年2月20日) https://ascii.jp/elem/000/004/375/4375471/、VetAsis公式 https://www.vetasis.com/。いずれもベンダーの発表(自己申告)で、第三者が検証した結果ではありません。
電子カルテ・予約システムとの連携を確かめる
専用のAIを選ぶときは、いま使っている電子カルテや予約システムに結果をそのまま入れられるかを、まず確かめてみてください。連携できない場合は、AIの画面から電子カルテへ貼り直す作業が残り、貼り間違いや別の子のカルテへの貼り付けが起こりやすくなります。新座どうぶつ病院の例も、電子カルテとの連携を前提にした仕組みでした。
予約・問い合わせへの返信文
予約や問い合わせへの返信は、病院の決まりを先に渡しておけば、受付ごとにばらつく文面をそろえる用途で役に立ちます。症状の相談への返信には、見立てや病名を書かせない指示を入れておきましょう。返信は診察の代わりにならないため、受診をすすめる一文で締める形が基本になります。
入れる材料
診療時間・休診日・予約の取り方・持ち物などの病院の決まりと、名前や連絡先を消した問い合わせの本文を用意します。署名や電話番号が本文の下に残っていないか、貼る前に一度だけ見直してみてください。
AIへの指示文(問い合わせへの返信)
あなたは動物病院の受付です。下の【病院の決まり】に沿って、【問い合わせ】への返信文を作ってください。 【守ること】 ・飼い主様への丁寧な文にし、長さは5行ほどにしてください ・症状についての見立て、病名、お薬の名前や量は書かないでください ・症状の相談には、受診をおすすめする一文と、急ぐ様子のときはお電話いただく案内を入れてください ・【病院の決まり】に無いこと(料金、空き状況など)は書かずに【要確認】と残してください 【病院の決まり】 診療時間:9時〜12時、16時〜19時(木曜と日曜午後は休診) 予約:Web予約または電話。初めての方はWeb予約から 持ち物:ワクチンの証明書、普段のごはんの名前が分かるもの 急ぐ様子のとき:まずお電話ください 【問い合わせ】(お名前・電話番号・署名は消してあります) 昨日からうちの犬が後ろ足をかばって歩いています。明日の午前中に診てもらえますか。初めてなのですが予約は必要でしょうか。
出てくる文の例
お問い合わせありがとうございます。 足をかばって歩いているとのこと、ご心配のことと思います。一度診察で様子を拝見できればと思います。 初めてのご来院の場合は、Web予約からご予約をお願いしております。明日の午前の空き状況は【要確認】です。 痛がって触らせない、まったく足を着かないなど、急ぐ様子があるときは、まずお電話ください。 ご来院の際は、ワクチンの証明書と、普段のごはんの名前が分かるものをお持ちください。
受付と獣医師が確かめる点
- 診療時間・休診日・予約の取り方が、病院の決まりと合っているか
- 症状への見立てや病名、薬の話が入っていないか
- 【要確認】を、予約表を見て埋めたか
- 宛名は、送る画面(メールやLINE)の側で入れたか
- 急ぐ様子の例が、獣医師の決めた言い方になっているか
例の返信では、急ぐ様子の例をAIが自分で足しています。急いで来てほしい症状の言い方は、獣医師が決めた院内の言い回しへ差し替えましょう。よく来る問い合わせは返信の型を院内で共有しておくと、受付が替わっても同じ答え方ができます。
LINE公式アカウントの定型文をまとめて作る指示文
(順番受付制の病院の例です。上の予約の例とは別の病院を想定しています)
あなたは動物病院の受付です。LINE公式アカウントに登録しておく定型文を、次の4種類まとめて作ってください。 【作る定型文】 1.ワクチンのご案内 2.手術前日の絶食のご案内 3.お迎え時間のご連絡 4.検査結果が出たご連絡 【守ること】 ・飼い主様と動物のお名前は書かず、「飼い主様」「〇〇ちゃん」としてください ・日時・持ち物・絶食を始める時間など、毎回変わるところは【 】の空欄で残してください ・それぞれ3〜4行の短い文にしてください ・ワクチンや薬の商品名は書かないでください ・検査結果の中身は書かず、結果のご説明は来院かお電話でお伝えする形にしてください ・当院は時間指定の予約ではなく順番受付のため、「ご予約」ではなく「受付」という言葉を使い、混み具合で待ち時間が変わることを添えてください
(出てくる文の例・4種類のうち2つ) ■手術前日の絶食のご案内 〇〇ちゃんの手術は【 月 日】です。前日の【 時】以降は、ごはんを与えないでください。お水は【 】。 当日は【 時】までに受付へお越しください。 ■お迎え時間のご連絡 〇〇ちゃんの処置が終わりました。お迎えは【 時〜 時】の間にお越しください。順番に受付をしておりますので、混み具合によってお待ちいただくことがあります。
4種類の文は、獣医師が中身を確かめてから、LINE公式アカウントの定型文に登録しておきましょう。送るときは【 】を受付表と見比べて埋めるだけになり、AIに飼い主様の情報を渡す場面そのものが無くなります。
スタッフ(愛玩動物看護師・受付)の勉強と答え合わせ
スタッフの勉強では、AIを先生役にするより、自分で考えた答えの確認役にする使い方が実際の病院でも語られています。患者の情報を入れなくても成り立つため、飼い主情報の線引きで迷いにくい業務でもあります。
実名の事例:松原動物病院・いしづか動物病院
ASCII.jpが2025年10月3日に掲載したA'alda Japan株式会社のプレスリリース(サービスの運営は子会社のA'alda Y株式会社)では、獣医療向けAI「AnyMall Vets Ask AI」を使う病院のコメントが紹介されています。松原動物病院の副院長・中川正徳氏は「教育には絶対使えますね」と話し、愛玩動物看護師マネージャーの比賀江美香氏は「看護師間での知識の確認や答え合わせに活用しています」と述べたと発表されました。いしづか動物病院の辻誠院長も、まず自分で考え、AIは答え合わせに使うという使い方を紹介しています。
Vets Ask AIは、世界の論文や国際ガイドラインをもとに回答を作るとして、2025年9月1日にA'alda Y株式会社が提供を始めたサービスです。同社は、臨床判断の補助が目的で、獣医師の判断を置き換えるものではないと明記しています。どの声もベンダーの発表に載ったものなので、使った病院の感想として読むのがよいでしょう。
※出典:ASCII.jp(2025年10月3日、A'alda Japan株式会社のプレスリリース。サービスの運営は子会社のA'alda Y株式会社) https://ascii.jp/elem/000/004/324/4324653/、AnyMall Vets Ask AI公式 https://ai.anymall.jp/。コメントと機能の説明は同社の発表(自己申告)です。
AIへの指示文(確認問題と答え合わせ)
あなたは動物病院の新人の愛玩動物看護師の勉強に付き合う先輩です。 テーマ:グラスゴー疼痛スケール短縮版(犬)の観察ポイント 【院内マニュアルの該当ページ】(患者情報のない部分だけを貼ります) (ここに貼る) 1.まず、マニュアルの内容をもとに確認問題を5問出してください。答えはまだ出さないでください 2.私が答えを書いたら、足りない点と間違いを指摘してください。マニュアルと違う答えは、マニュアルに合わせて指摘してください 3.指摘のたびに、確かめるべき資料の種類(教科書・院内マニュアル・獣医師への確認)を添えてください 4.分からないことや、病院ごとにやり方が違うことは、そう書いてください 5.実際の患者の判断に使える答えとしては書かないでください
(出てくる問題の例。答えは自分で書いてから答え合わせを頼みます) 問1 短縮版で観察する項目には、どのようなものがありますか。 問2 声の出し方は、どのような様子を見て判断しますか。 問3 傷口を触られたときの反応は、どこに注目して見ますか。 問4 姿勢や動き方からは、どのような様子を読み取りますか。 問5 点数をもとに、誰にどのように報告しますか。
AIの答えは、教科書や院内マニュアル、獣医師への確認で必ず裏付けを取ってください。病院ごとにやり方が違う処置は、院内マニュアルの手順を正として覚えましょう。
診断と処方の判断は獣医師が持つ(獣医師法第18条)
獣医師法第18条は、獣医師が自ら診察しないで、診断書を交付したり、劇毒薬・生物学的製剤などの薬を投与・処方したりすることを禁じています。AIは動物を診ることができないため、AIの答えを病名の判断や処方の根拠にする使い方は、自ら診察するというこの条文の考え方と合いません。AIの答えは、獣医師が自分で診た結果と見比べる材料にとどめましょう。スタッフが勉強で得た知識を飼い主への説明に使うときも、先に獣医師へ確かめる流れを決めておくと安心です。
愛玩動物看護師が行う診療の補助は、獣医師の指示の下で行う業務として愛玩動物看護師法第2条第2項に定められています。処置や投薬の手順にAIの答えを持ち込まず、獣医師の指示に沿って動く形にしておきましょう。
用量や薬の飲み合わせをAIに尋ねた場合も、答えは添付文書や成書の該当ページで照合し、照合した資料の名前をカルテに残しておきます。AIの答えだけで量を決めない、という線を院内で共有しておきましょう。
ホームページ・SNSの文(獣医療広告ガイドラインとの関係)
ホームページやSNSの文もAIで下書きできますが、AIで作った文でも獣医療広告の決まりはそのまま当てはまります。獣医療法第17条は、専門科名と学位・称号を除き、獣医師や診療施設の技能・療法・経歴を広告することを禁じ、違反には第20条第2号で50万円以下の罰金が定められています。広告できる事項と方法の制限は獣医療法施行規則第24条にあり、令和5年農林水産省令第52号で改正され、令和6年4月1日に施行されました。
農林水産省の「獣医療広告ガイドライン」(5消安第4053号、令和5年11月13日)は、広告に当たるかを誘引性・特定性・認知性の3つで判断する形です。病院のウェブサイトは原則として広告に当たらないとされる一方、リスティング広告やバナー広告、チラシのQRコードから飛ぶページ、SNSで不特定多数に広がる投稿は認知性があり、広告に当たりうるという整理になります。広告に当たらないウェブサイトでも、広告に準じた正確な発信が望ましいとされています。
ガイドラインが挙げる禁止の例
- ほかの病院と比べる比較広告(例:「どの動物病院よりも安全に手術を行います」)
- 大げさな誇大広告(例:「効果抜群のワクチン」)
- 飼育者の主観的な体験談
- 誤認させるビフォーアフター写真
- 品位を損なう内容(例:「今なら○円でキャンペーン実施中!」)
- 医薬品やワクチンの品名が特定できる広告
診療の内容を広告するときは、問合せ先、通常必要とされる診療の内容、診療に係る主なリスクや副作用、費用をすべて併記する決まりです。勤務する獣医師の氏名、診療日と診療時間、予約ができること、駐車場、決済方法などは、広告できる事項として例示されています。
※出典:獣医療法 e-Gov法令検索、農林水産省「獣医療広告ガイドライン」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/koukoku.html(禁止の例はガイドライン本文 p.19〜21、医薬品の品名は p.12〜14、併記事項は p.8〜9)
AIへの指示文(SNS投稿の下書き)
あなたは動物病院のホームページとSNSの文を下書きする係です。 下の【伝えたいこと】をもとに、Instagramの投稿文を作ってください。 【守ること】 ・ほかの病院と比べる言い方(どこよりも、地域一番など)は使わないでください ・「効果抜群」「必ず治る」のような大げさな言い方は使わないでください ・飼い主様の体験談や感想は入れないでください ・値引きやキャンペーンの金額は書かないでください ・薬やワクチンの商品名は書かないでください ・病気の説明は一般的な内容にとどめ、本文の最後に「気になる様子があればご相談ください」と添えてください ・診療の内容を案内する場合は、投稿の末尾に「通常必要とされる診療の内容」「主なリスクや副作用」「費用」「問合せ先」を【要記入】として残してください 【伝えたいこと】 ・春はフィラリア予防のご相談が増える時期 ・予防の始め方は動物ごとに違うので、まずは来院して相談してほしい ・予防薬を始める前に血液検査が必要 ・診療日と診療時間、Web予約ができること
(出てくる文の例) 春は、フィラリア予防のご相談が増える時期です。 予防薬を始める前には、血液検査が必要になります。予防の始め方は動物ごとに違いますので、まずはご来院のうえご相談ください。 診療日・診療時間は【要記入】です。Web予約もご利用いただけます。 気になる様子があればご相談ください。 ・通常必要とされる診療の内容:【要記入】 ・主なリスクや副作用:【要記入】 ・費用:【要記入】 ・問合せ先:【要記入】
院長が確かめる点
- 比較・誇大・体験談・金額・商品名が混ざっていないか
- 末尾の【要記入】(通常の診療内容・主なリスクや副作用・費用・問合せ先)を、院内で決めた内容で埋めたか
- 病気の説明が、一般的な内容を超えて言い切っていないか
- 写真に飼い主の顔や名札、ほかの飼い主の動物が写っていないか
AIはSNSらしい明るい文を作ろうとして、「安心」「おすすめ」のような言葉を足すことがあります。公開の前に、比較・誇大・体験談・金額・商品名の5点だけは院長が必ず目を通しましょう。個別の表現が広告に当たるか迷う場合は、都道府県の担当窓口に確かめてみてください。
病院として安全に使う準備|学習させない設定・院内ルール・段階導入
病院としてAIを使うなら、スタッフ個人の注意に頼る前に、使う環境と院内ルールを先に決めておく形が向いています。準備は、設定の確認、スタッフへの配り方、ルールの配布、始める業務の選び方の4つに分けると進めやすくなります。
入力が学習に使われない設定かを確かめる
個人情報保護委員会の注意喚起にあるとおり、まず入れたデータが機械学習に使われないかを、規約と設定画面の両方で確かめましょう。同じAIでも、個人向けの無料版と法人向けの契約では、入力の扱いや設定の場所が違うことがあります。設定の見方はChatGPTに学習させない方法も参考にしてみてください。
スタッフへの配り方とログの残し方
アカウントは、獣医師だけでなく愛玩動物看護師・受付・パートや非常勤のスタッフまで、使う方全員に病院から配るのが基本になります。配られない方が出ると、その方は私物のアカウントで同じことをしてしまいます。資格の取得前の看護スタッフやトリマーも、飼い主様に渡す文の扱いは愛玩動物看護師と同じ線にそろえましょう。退職や異動のときに病院の側でアカウントを止められるかも、契約前に確かめておきたい点です。
誰がいつどのAIを使ったかを院長が後から見られるかは、サービスや契約の種類によって違います。会話の中身まで管理者が見られるかも同じように違うため、院内ルールには、AIで作った文を使ったら確認した獣医師の名前を院内の記録に残す手順も入れておきましょう。院内ルール全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめています。
そのまま配れる院内ルール文例
次の文例は、A4の半分ほどに収まる長さにしてあります。病院の名前と連絡先を入れて、受付の裏や休憩室に貼っておいてください。
【当院の生成AI利用ルール】( 年 月版) 1.使ってよいAI 病院が用意したAIのアカウントだけを使います。私物のスマホや個人のアカウントで、業務の文は作りません。 2.使ってよい業務 説明文・カルテ要約・紹介状・問い合わせやLINEの返信・院内の勉強・ホームページやSNSの下書き・口コミへの返信・求人原稿・ワクチン等のご案内・健康診断の結果報告書のひな形・入院動物の申し送りメモの整理。 病名の判断、薬の種類や量を決めることには使いません。 3.入れない情報 飼い主様の氏名・電話番号・住所・メールアドレス・LINEの名前、診察券番号、動物の名前、顔や名札が写った写真、お会計の情報、ペット保険の証券番号、外注検査の報告書やレントゲン・エコーの画像(検査値は数字だけ書き写します)。 名前は「飼い主様」「〇〇ちゃん」に置き換えます。カルテや画面の写真はそのまま貼りません。 4.確かめる人 飼い主様に渡す文と院外に出す文は、担当の獣医師が読んでから使います。薬の欄は必ず獣医師が確かめ、飼い主様への読み合わせと手渡しは担当の愛玩動物看護師が受け持ちます。SNSとホームページの文、口コミへの返信と求人原稿は院長が確認します。 5.記録 AIで作った文を使ったときは、確認した獣医師の名前を院内の記録に残します。診療簿に書くのは、獣医師が確かめた内容だけです。 6.困ったとき 入れてはいけない情報を入れてしまったら、すぐに〔担当: 〕へ伝えてください。責めることはしません。早く知らせることを大事にします。
負担の大きい業務から1つずつ始める
始めるときは、5つの業務を一度に広げず、いちばん手間のかかっている業務を1つ選んでしばらく試すのが無理のない進め方になります。最初の業務で指示文と確かめ方が固まったら、その指示文を院内で共有し、次の業務へ広げていきましょう。指示文を院内でそろえると、誰が使っても同じ形の下書きが出てくるようになります。
費用の考え方
専用のAIには、Vets Ask AIのように無料プランと有料プランを用意するものや、VetAsisのように14日間の無料トライアルを設けるものがあります。金額は各社の公式ページや問い合わせで確かめる形になります。汎用の生成AIを病院で契約する場合は、1人ずつの月額で増えるサービスと病院単位で契約するサービスがあり、パートや非常勤まで含めた人数で総額が変わってきます。
説明文・要約・返信のような文章の仕事は汎用の生成AI、診察の録音からのカルテ作成は専用のAI、と役割で分けると、同じ用途に二重に払う形を避けやすくなります。汎用の生成AIもChatGPT・Claude・Geminiなどで得意な分野が分かれているため、複数のAIを1つの環境で使い分ける方法も選択肢に入れてみてください。学習に使わない設定が全員に一律にかかり、アカウントの停止と利用ログの確認を院長が一か所でできる環境かどうかを、費用と並べて比べるのがおすすめです。始める前の2週間、説明書1枚と返信1通にかかった時間をメモしておくと、試したあとに比べることができます。
病院で使うAIを、学習させない設定のまま1つの契約に
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。よく使う指示と手順は社内限定のBOT(カスタムプラス)にして全員で共有でき、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを扱えます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
獣医師には守秘義務の条文がないなら、飼い主情報をAIに入れても問題ありませんか?
無料の生成AIで飼い主への説明文を作ってもよいですか?
AIが作ったSOAPの要約を、そのまま診療簿にしてもよいですか?
日本獣医師会や農林水産省に、生成AIの使い方の指針はありますか?
ホームページやSNSの文をAIで作ったとき、広告の決まりはどうなりますか?
まとめ
動物病院のAI活用は、説明文・カルテ要約・予約への返信・スタッフの勉強・ホームページやSNSの文の下書きに向いており、診断と処方の判断は獣医師の側に残す使い方になります。獣医師法・愛玩動物看護師法・刑法のどれにも、獣医師や愛玩動物看護師に秘密を守る義務を課す条文はありませんが、日本獣医師会の指針第16項は、飼育動物の情報を含めて飼育者の個人情報を守るよう求めています。
AIに入れる前に、飼い主の氏名・電話・住所、診察券番号、動物の名前を「飼い主様」「〇〇ちゃん」に置き換え、出てきた文は獣医師が確かめてから使いましょう。診療簿に書くのは確かめた内容だけで、保存期間は犬や猫なら3年間、牛などは8年間です。
まずは手間の大きい業務を1つ選び、ここで紹介した指示文を病院の決まりに合わせて書き換えるところから始めてみてください。ほかの業種のAI活用はAI活用コラム一覧にまとめています。
