
法人向けの生成AIサービスは種類が増え、「どれを選べばいいのかわからない」という声を多くいただきます。この記事では、dailyAI(ソフトバンク)・ナレフルチャット・exaBase AI・Graffer AI Studio・UPGEAR AIの5サービスを、対応AIモデル・料金・使える量の目安・データの取り扱い・管理機能の観点から比較し、自社に合ったサービスの選び方を解説します。
法人向け生成AIサービスを選ぶ5つの比較ポイント
ChatGPTやClaudeなどのAIを会社として導入する場合、個人向けプランをそのまま契約するのではなく、法人向けの生成AIプラットフォームを利用するのが一般的になりつつあります。比較の際に見るべきポイントは、大きく次の5つです。
- 対応AIモデル:ChatGPT・Claude・Gemini など複数のAIを使えるか。AIごとに得意分野が異なるため、1つのモデルしか使えないサービスは業務の幅が狭くなりがちです。
- データの取り扱い:入力したデータがAIの学習に使われない設定になっているか。データがどこの国のサーバーに保存されるか。情報漏洩対策の根幹です。
- 管理機能:アカウント・権限・利用ログを会社側で一元管理できるか。シャドーAI(社員の無断AI利用)を防ぐには、会社が状況を把握できる仕組みが不可欠です。
- 料金体系と使える量:1人あたりの単価型か、会社単位の定額型か。そして定額の中でどれだけ使えるのか(トークン数・クレジット数の上限)。人数だけで比べると、上限に達して足りなくなることがあります。
- 導入・定着支援:ツールを入れて終わりではなく、社員が実際に使いこなせるようになるまでの支援があるか。

5サービス比較一覧表
5サービスの主な違いを一覧表にまとめました。いずれも2026年8月時点の各社公表情報に基づきます。
| 項目 | dailyAI | ナレフルチャット | exaBase AI | Graffer AI Studio | UPGEAR AI |
|---|---|---|---|---|---|
| 提供元 | ソフトバンク | CLINKS | Exa Enterprise AI (エクサウィザーズグループ) | グラファー | コプラス |
| 対応AI | GPT・Claude・Gemini (用途に応じて選択可と同社サイトに記載) | ChatGPT・Gemini・Grok・Claude・Perplexity 等 | GPT・Gemini・Claude | GPT・Claude・Gemini (用途に応じたモデル自動選択機能あり・同社発表) | ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexity |
| 料金の目安 | mini:1ユーザー500円×最低30ユーザー=月1.5万円〜(企業単位。31人目以降も1人500円) lite:10万円/月・企業(人数無制限) standard:18万円/月・企業(人数無制限) 初期費用なし・最低契約6か月(同社サイト) | プロプラン:月額40,000円〜(税抜) 利用人数無制限の企業定額制 上位にビジネス/エンタープライズプラン(同社サイト) | 月額900円/ID〜の基本料金+利用量に応じた従量プラン (最低50IDからとの掲載情報あり) | 月額サービス利用料のみ(金額は非公表・要問い合わせ) 業務特化型AIエージェントは開発費50万円+月額2万円〜(同社発表) | 月額30,000円〜(税抜) 利用人数無制限の企業定額制 ライト30,000円/スタンダード50,000円/プレミアム100,000円 |
| 月あたりに使える量の目安 | mini:1,000万トークン/月 lite・standard:5,000万トークン/月 (7,500万・1億トークンでの契約も可能/miniを除く・同社サイト) | プロプランで月1,000クレジット 同社サイトでは「1000クレジット≒約1300万文字のチャット(GPT-5を利用する場合)」と説明 | 基本料金+従量プラン(Economy〜Premium)を選択する体系。使った分だけ費用が変動 | GPT-4o mini・Gemini 1.5 Flashの文字数利用料は無償化。画像認識・データ分析・ファイル検索は別途従量課金(同社発表) | ライト:約3,300万文字/月 スタンダード:約8,300万文字/月 プレミアム:約1億8,000万文字/月 (消費ポイント制。GPT-5 mini換算の想定文字数) |
| 入力データの学習利用 | 生成AIの学習から除外すると同社サイトに記載 | ChatGPT・ClaudeでZDR(ゼロデータ保持)対応と同社発表(2025年12月) | 学習への情報提供を遮断と公式サイトに記載 | 公表情報では確認できず(要問い合わせ)。ISO27001・ISO27017認証を取得と同社が説明 | 学習に使わない設定を標準適用 |
| データの保存先 | 公表情報では確認できず(要問い合わせ) | 公表情報では確認できず(要問い合わせ) | 国内サーバーで処理と公式サイトに記載 | 公表情報では確認できず(要問い合わせ) | 国内サーバー(AWS東京リージョン) |
| 管理機能 | Entra IDによるユーザー認証・IPアドレス制限、管理画面で会話履歴や活用状況を確認(同社サイト) | SSO/SAML・利用ログ/アクセスログ・IP制限(ビジネスプラン以上)、専有インフラ(エンタープライズプラン) | 利用ログ管理・禁止ワード設定等の記載あり | 詳細は非公表(要問い合わせ)。ISO27001・ISO27017認証を取得と同社が説明 | アカウント・権限・利用ログを一元管理 |
| 特徴的な機能 | Entra ID連携。standardプランは社内文書検索(RAG)用のストレージ付き | プロンプト共有などの社内ナレッジ機能・RAG連携・議事録/文字起こし | 従量プランの選択制・監査系機能 | プロンプトに応じたモデル自動選択・業務特化型AIエージェントの開発 | 固定プロンプト・導入から定着までの伴走支援 |
※料金はプラン・条件により変動します。税込・税抜の別など詳細は各社にご確認ください。
※「月あたりに使える量の目安」は、各社が公表している単位(トークン数・クレジット数・文字数)も、文字数換算に用いているAIモデルも異なります。サービス間で数字をそのまま比べることはできませんので、自社の想定利用量と照らし合わせる目安としてご覧ください。
見落としやすい「使える量」の違い
法人向け生成AIを比べるとき、月額料金と利用人数だけを見て決めてしまうと、導入後に「上限に達して月末は使えない」という事態が起きることがあります。定額制のサービスでも、多くは月あたりの利用量に上限が設けられているためです。
たとえばdailyAIは、同社サイトによればminiプランで月1,000万トークン、lite・standardプランで月5,000万トークンという上限が設定されています(7,500万・1億トークンでの契約も可能とされています)。ナレフルチャットは月1,000クレジットという単位で、同社サイトではGPT-5を使う場合の目安として約1,300万文字と説明されています。exaBase AIやGraffer AI Studioは、基本料金に加えて使った分だけ課金される従量の考え方が組み合わされています。UPGEAR AIも消費ポイント制で、プランごとに月あたりの利用上限の目安を設けています。
ただし、単位も、文字数に換算する際の基準モデルも各社で異なるため、数字をそのまま並べて比較することはできません。確認すべきなのは「自社の想定利用量なら、その上限に収まるのか」という一点です。全社で毎日使うのか、一部の部署が資料作成で使うのかによって必要量は大きく変わります。見積り時には、想定人数と1人あたりの利用頻度を伝えたうえで、上限に達した場合にどうなるのか(追加課金か、速度制限か、利用停止か)を各社に確認しておくと安全です。
dailyAI(ソフトバンク)の特徴
dailyAIは、ソフトバンクが提供する法人向けの生成AIサービスです。同社サイトによれば、用途に応じてGPT・Claude・Geminiから選択して利用でき、入力内容は生成AIの学習から除外されると説明されています。Entra IDによるユーザー認証やIPアドレス制限に対応し、管理画面から会話履歴の記録や活用状況を確認できます。
料金は、miniプランが1ユーザーあたり500円で最低30ユーザーからの契約となり、30ユーザーなら月1.5万円、31人目以降も1人あたり500円で追加できます。liteプランは月10万円、standardプランは月18万円で、liteとstandardは利用人数が無制限です。初期費用は発生せず、最低契約期間は6か月とされています。standardプランでは社内文書を検索できるストレージ(最大50GB・インデックス最大10個)が付きます。製造業などの導入事例が公式サイトで公開されています。
向いているケース:すでにソフトバンクと取引がある企業や、人数無制限の定額で全社に配りたい企業に向いています。
ナレフルチャットの特徴
ナレフルチャットは、CLINKS株式会社が提供する法人向けAIチャットサービスです。ChatGPT・Gemini・Grok・Claude・Perplexityなど幅広いAIモデルに対応し、プロンプトの共有機能やRAG(社内文書検索)連携、議事録・文字起こしなど、社内にAI活用のナレッジを蓄積していく機能群が特徴です(公式サイト)。同社は利用企業数1,000社突破を発表しています(自社発表値)。
料金はプロプランが月額40,000円〜(税抜)の企業単位の定額制で、利用人数は無制限です。月1,000クレジットまで利用でき、同社サイトでは「1000クレジット≒約1300万文字のチャット(GPT-5を利用する場合)」と説明されています。上位のビジネスプランではSSO/SAML・利用ログ/アクセスログ・IP制限が、エンタープライズプランでは専有インフラ(シングルテナント)や外部データ参照が提供されます。また2025年12月には、ChatGPT・ClaudeについてZDR(ゼロデータ保持)対応を発表しています(同社発表)。
向いているケース:利用人数が多く1人あたりの単価を抑えたい企業や、プロンプト共有などで全社的にAI活用を底上げしたい企業に向いています。
exaBase AIの特徴
exaBase AIは、エクサウィザーズグループの株式会社Exa Enterprise AIが提供する法人向け生成AIサービスです(2026年7月に「exaBase 生成AI」から名称変更・同社発表)。公式サイトでは導入社数1,700社・利用ユーザー数15万人と公表しており(2026年8月時点の自社発表値)、大企業を含む豊富な導入実績が特徴です。
対応モデルはGPT・Gemini・Claudeで、データ処理は国内サーバーで行い、モデル学習への情報提供を遮断すると公式サイトに記載されています。料金は1IDあたり月額900円からの基本料金に、利用量に応じた従量プラン(無料のEconomyから上位のPremiumまで)を組み合わせる体系で、最低50IDからとの掲載情報があります。利用ログの管理や禁止ワード設定といった統制系の機能に関する記載もあります。
向いているケース:数百人規模以上での全社導入や、統制・監査を重視する大きめの組織に向いています。
Graffer AI Studioの特徴
Graffer AI Studioは、株式会社グラファーが提供する法人・行政機関向けの生成AI活用プラットフォームです。GPT・Claude・Geminiといった複数のモデルを利用でき、入力したプロンプトや用途に応じて最適なモデルを自動で選ぶ「モデル自動選択機能」を提供していると同社は発表しています。AIに詳しくない社員でも、モデル選びで迷わずに使い始められる設計です。
料金は月額のサービス利用料のみで利用でき、GPT-4o mini・Gemini 1.5 Flashについては文字数利用料を無償化したと発表しています(テキストチャットが対象で、画像認識・データ分析・ファイル検索機能は別途従量課金)。業務ごとの専用AIを作る「業務特化型AIエージェント」は、開発費50万円・開発期間1か月からと発表されています。同社は190を超える行政機関への導入実績を公表しており、ISO27001(ISMS)およびISO27017(クラウドセキュリティ)認証を取得しているとしています。
向いているケース:自治体・公共性の高い組織や、社員にモデル選びを意識させずに使わせたい企業に向いています。
UPGEAR AIの特徴
UPGEAR AIは、当社(コプラス株式会社)が提供する法人向けのマルチAIプラットフォームです。ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの4つのAIを1つの契約・1つの画面で利用でき、検索型AIのPerplexityを含むため、文章作成から最新情報のリサーチまでを1か所で完結できます。
データ面では、入力データをAIの学習に使わない設定を標準で適用し、会話履歴・利用ログ・アカウントはすべて国内サーバー(AWS東京リージョン)で管理します。会社側はアカウント・権限・利用ログを一元管理できるため、社員のシャドーAI利用を会社公認の安全な利用に置き換えられます。
料金は月額30,000円(税抜)からの企業単位の定額制で、利用人数は無制限です。プランは3種類で、月あたりのLLM利用上限の目安が異なります。
| プラン | ライト | スタンダード | プレミアム |
|---|---|---|---|
| 月額料金(税抜) | 30,000円 | 50,000円 | 100,000円 |
| LLM利用上限の目安/月 | 約3,300万文字 | 約8,300万文字 | 約1億8,000万文字 |
※LLM利用上限は消費ポイント制です。利用するモデル・言語により消費量は変動します。上表はGPT-5 mini換算での想定文字数です。
UPGEAR AIのもう一つの特徴は、1社ごとの伴走支援です。導入は最短1週間で、アカウント発行などの初期設定は当社が対応し、導入後も固定プロンプトの整備や活用相談を継続して支援します。
向いているケース:中小企業や税理士事務所などの士業で、ツールの導入だけでなく「社員が実際に使いこなせる状態」まで支援してほしい企業に向いています。税理士業務での具体的な活用方法は税理士のAI活用ガイドをご覧ください。
目的別・タイプ別の選び方
ここまでの比較を踏まえると、選び方の目安は次のように整理できます。
- 大手キャリアの提供する定額サービスを選びたい → 人数無制限プランを持つdailyAI(ソフトバンク)
- 大人数で使うので1人あたりのコストを抑えたい → 人数無制限の定額制であるナレフルチャット
- 大規模組織で統制・実績を重視したい → 導入実績を多く公表しているexaBase AI
- 自治体・行政機関、またはモデル選びを社員に任せたくない → モデル自動選択機能を持つGraffer AI Studio
- 中小企業・士業で、導入から定着まで伴走してほしい → 月3万円〜の人数無制限定額で、4つのAIと国内サーバー管理に支援が付くUPGEAR AI

いずれのサービスも、個人向けの無料AIを社員がバラバラに使う状態と比べれば、セキュリティ・管理の面で大きな前進になります。なお、自社サーバーでAIを動かすローカルLLMとの比較はローカルLLMと法人向け生成AIの比較記事で解説しています。重要なのは、自社の規模・使い方・社内のITリテラシーに合ったものを選ぶことです。判断に迷う場合は、無料トライアルやデモを複数試して、実際の画面の使いやすさを確認することをおすすめします。
よくある質問
法人向け生成AIサービスと、個人向けAIの法人契約は何が違うのですか?
複数のAIモデルを使えることには、どんなメリットがありますか?
料金はどのサービスが一番安いのですか?
定額プランの「上限」に達したらどうなりますか?
無料の生成AIを社員がそのまま使うのは危険ですか?
UPGEAR AIと他サービスの一番の違いは何ですか?
まとめ
法人向け生成AIサービスは、対応AIモデル・料金体系・使える量・データの取り扱い・管理機能・支援体制のバランスで選ぶのが基本です。dailyAIは大手キャリアによる人数無制限の定額プラン、ナレフルチャットは人数無制限の定額制とナレッジ共有、exaBase AIは大規模組織向けの実績と統制機能、Graffer AI Studioはモデル自動選択と行政機関での実績、UPGEAR AIは月3万円〜の人数無制限定額と、中小企業・士業向けの国内サーバー管理・伴走支援に、それぞれ特徴があります。
自社の規模と目的を整理したうえで、気になるサービスのトライアルやデモを実際に試してみてください。法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。
各サービスの記載は2026年8月時点の各社公表情報に基づき、導入社数等は各社の自社発表値です。
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