税理士事務所のAIプロンプト集。そのままコピーできる24の指示文と、使ってはいけない指示文

プロンプト集は数多く公開されていますが、コピーしてそのまま使えることはあまりありません。事務所ごとに顧問先の業種も、文章の型も、報告の粒度も違うからです。この記事では、税理士事務所の実務で使えるプロンプトを24本、書き換える場所を【 】で明示した穴埋め形式で掲載します。あわせて、使ってはいけない指示文と、思ったとおりに動かないときの直し方もまとめます。

プロンプトは5つの要素でできています

うまくいくプロンプトと、そうでないプロンプトの差は、才能ではなく要素が足りているかどうかです。次の5つがそろっていれば、出力は安定します。

要素何を書くか抜けたときに起きること
役割誰として答えてほしいか(税理士事務所の担当者、など)一般論の説明が返ってくる
前提顧問先の業種・規模・関係性。事務所の方針相手に合わない文章になる
入力実際の材料。数値、メモ、元の文章中身のない文章が出てくる
出力形式文字数、構成、箇条書きか文章か、表か毎回ちがう形で返ってくる
制約使ってはいけない表現、触れてはいけないことそのまま送れない文章になる
要素が足りない指示文と、5つの要素をそろえた指示文で出力がどう変わるかの比較
図:同じ依頼でも、要素がそろうと出力が変わる

穴埋めの読み方

以下のプロンプトでは、【 】で囲んだ部分が書き換える場所です。ここを埋めずに使うと、どの事務所にも当てはまる代わりに、どの顧問先にも刺さらない文章が出てきます。逆に言えば、埋めるべきは【 】の中だけです。

※ 掲載しているプロンプトは、いずれも下書きを作らせるためのものです。出力をそのまま顧問先に送ることは想定していません。人が確認して仕上げる前提でお使いください。

24本のプロンプトを業務別に並べたマップ
図:24本のプロンプトの全体像

顧問先とのやりとり(4本)

文面を考える時間そのものより、書き出しで止まっている時間のほうが長い、という業務です。たたき台が数秒で出てくると、体感の負担がはっきり変わります。

1. 資料の催促メール

プロンプト
あなたは税理士事務所の担当者です。顧問先に、月次の資料提出をお願いするメールの下書きを作ってください。

【顧問先の業種:飲食業/担当者:経理ご担当の◯◯様/関係の長さ:3年】
【依頼する資料:◯月分の通帳コピー、クレジットカード明細、請求書の控え】
【提出期限:◯月◯日】
【今回が何度目の依頼か:2回目(前回は期限を過ぎた)】

条件:
- 300文字以内、件名を含める
- 催促であることを感じさせない、やわらかい言い回しにする
- 遅れている事実を責める表現は使わない
- 提出しやすいよう、送付方法の選択肢を1文で添える

2回目以降であることを伝えるのが要点です。これを書かないと、初回と同じ文面が出てきます。

2. 制度変更のお知らせ文

プロンプト
次の内容を、顧問先向けのお知らせ文に書き換えてください。

【元の内容:ここに、確認済みの制度変更の要点を貼り付ける】
【顧問先の状況:従業員10名前後の建設業。経理は社長の配偶者が兼務している】

条件:
- 専門用語は、初出のときにかっこ書きで補足する
- 400文字程度、見出しなしの文章
- 顧問先が「自社は何をすればよいか」がわかる一文を必ず入れる
- 断定できない部分は、確認してご連絡する旨にとどめる

元の内容は、必ず自分が確認した資料から貼り付けてください。AIに改正内容を調べさせるところから任せると、事実が混ざります。

3. 報酬改定の相談メール

プロンプト
あなたは税理士事務所の代表です。顧問先に、顧問報酬の改定をご相談するメールの下書きを作ってください。

【顧問先:創業時から10年のお付き合い。年商◯億円、月次巡回あり】
【改定の理由:記帳量の増加と、インボイス対応で作業範囲が広がったため】
【改定の内容:月額◯円 → ◯円(◯月分から)】

条件:
- 500文字以内
- これまでの関係への謝意を最初に置く
- 値上げの理由を、事務所側の事情ではなく作業量の変化として説明する
- 一方的な通知ではなく、一度お話ししたいという結びにする

書きにくい文面ほど、たたき台がある効果は大きくなります。この種のメールは、出力をそのまま送らず必ず読み直してください。

4. 受け取ったメールへの返信

プロンプト
次の顧問先からのメールに対する返信の下書きを作ってください。

【受け取ったメール:ここに本文を貼り付ける(社名・個人名は伏せる)】
【こちらの回答方針:ご要望には対応できるが、資料が届いてからで◯日かかる見込み】

条件:
- 相手の質問に、抜けなく順番に答える
- 200文字程度
- 対応できない部分がある場合は、できない理由と代わりの案をセットで書く

社名や個人名は伏せて貼り付けます。個人向けの無料AIを使っている場合はとくに注意してください。

月次報告・決算説明(4本)

数字は会計ソフトから出ます。AIに任せるのは、その数字をどう説明するかの部分だけです。

※ 数値そのものをAIに計算させないでください。生成AIは計算を誤ることがあります。会計ソフトで確定した数値を渡し、解釈と文章化だけを任せる使い方が安全です。

5. 月次報告コメントの型

プロンプト
あなたは税理士事務所の担当者です。次の数値をもとに、顧問先への月次報告コメントを作ってください。

【顧問先:業種・規模・決算月】
【当月の数値(確定値):売上◯円(前年同月◯円)、売上総利益率◯%(前年同月◯%)、営業利益◯円、人件費◯円】
【当月の特記事項:◯月に大口の受注が1件。原材料の仕入単価が上昇】

条件:
- 400文字程度、3段落
- 1段落目は当月の状況、2段落目は変動の要因、3段落目は次月に向けて見ておきたい点
- 数値は与えたものだけを使い、計算や推定はしない
- 経営者が読む前提で、専門用語は避ける

数値は与えたものだけを使うという一文が効きます。これがないと、勝手に比率を計算して誤った数字を書くことがあります。

6. 変動要因の洗い出し

プロンプト
次の数値の変動について、考えられる要因を洗い出してください。結論は出さず、確認すべき項目として挙げてください。

【業種:◯◯】
【変動の内容:売上は前年同月比+8%だが、売上総利益率が3ポイント低下】

条件:
- 要因の候補を、可能性の高い順に5つまで
- それぞれについて、顧問先に何を確認すれば裏が取れるかを1行で添える
- 断定はせず、可能性として書く

答えを出させるのではなく、確認する項目を出させる使い方です。担当者の経験によって見落としが出やすい場面で効きます。

7. 決算説明資料の骨子

プロンプト
顧問先への決算説明資料の構成案を作ってください。

【顧問先:業種・規模・株主構成(同族か否か)】
【今期の要点(確定値):売上◯円、経常利益◯円、前期比◯%、現預金残高◯円】
【説明の相手:社長のみ/役員会】
【説明時間:30分】

条件:
- スライド構成として、1枚ごとに見出しと入れる内容を箇条書きで示す
- 全体で7枚以内
- 数値は与えたものだけを使う
- 最後に、社長から出そうな質問を3つ挙げる

8. 専門用語をかみ砕く

プロンプト
次の文章を、税務や会計の知識がない方にも伝わる表現に書き換えてください。

【元の文章:ここに貼り付ける】
【読む人:創業2年目の個人事業主。簿記の学習経験なし】

条件:
- 意味を変えない範囲で言い換える
- 言い換えが難しい用語は、残したうえでかっこ書きで説明を添える
- 元の文章より長くなってもよい

言い換えが難しい用語は残す、と指定しておかないと、正確さを損なう形で簡略化されることがあります。

面談記録・議事録(3本)

後回しになりやすく、後回しにするほど書けなくなる作業です。断片的なメモの段階で渡せるのが利点になります。

9. 面談メモの整理

プロンプト
次の面談メモを、事務所の記録として整理してください。

【メモ:走り書きのまま貼り付ける(社名・個人名は伏せる)】

条件:
- 「決定事項」「こちらの宿題」「顧問先の宿題」「次回までに確認すること」の4つに分けて箇条書き
- メモに書かれていないことは補わない
- 記載が曖昧で判断できない項目は、確認が必要な点として最後にまとめる

メモに書かれていないことは補わない、が最重要の一行です。これがないと、それらしい内容を勝手に足します。

10. 文字起こしから議事録へ

プロンプト
次の面談の文字起こしから、議事録を作ってください。

【文字起こし:貼り付ける】
【出席者:当方2名、先方2名(役職のみ記載)】

条件:
- 日時・出席者・議題・決定事項・宿題・次回予定の順で構成する
- 発言の順ではなく、議題ごとにまとめ直す
- 雑談や重複は落とす
- 発言者を特定できない箇所は、その旨を残す

面談内容は機密性の高い情報です。録音や文字起こしをAIに読み込ませる前に、事務所の情報取扱規程と顧問先との契約上の制約を確認してください。

11. 面談前の想定質問

プロンプト
明日の顧問先訪問に備えて、先方から出そうな質問を想定してください。

【顧問先:業種・規模】
【今回の議題:前期決算の報告と、来期の納税予測】
【先方の関心事:設備投資を検討中。資金繰りを気にしている】

条件:
- 想定質問を8つ、聞かれる可能性の高い順に
- それぞれについて、事前に手元へ用意しておくべき資料を1行で添える
- 回答案は不要

回答案は不要、と切っておくのが要点です。回答まで作らせると、それを読んで安心してしまい、確認がおろそかになります。

税制改正・調べもの(3本)

この領域は、AIの答えをそのまま使わないことを前提に組み立てる必要があります。生成AIは事実と異なる内容をもっともらしく出力することがあり、税務の判断でこれを見逃すと顧問先に直接の影響が及びます。

12. 論点の洗い出し

プロンプト
次の取引について、税務上の検討が必要な論点を洗い出してください。結論は出さないでください。

【取引の概要:社名や個人名を伏せた形で記載する】

条件:
- 検討すべき論点を挙げる
- それぞれについて、確認すべき法令・通達の当たりを示す
- 実務上、判断が分かれやすい箇所があれば指摘する
- 結論や、こうすべきという助言は書かない

結論を書かせないのが安全側の使い方です。示された条文や通達には、必ず自分で当たってください。

13. 改正内容の整理(出典つき)

プロンプト
確認したい制度・改正名】について、現在の取扱いを整理してください。

条件:
- 回答の各項目に、参照した情報の出典URLを付ける
- 公的機関の情報を優先し、それ以外を参照した場合はその旨を明記する
- いつ時点の情報かを明示する
- 不確かな点は、不確かであると書く

出典を付けさせると、検証にかかる時間が大きく変わります。回答に参照元のURLを付けて返すAIを使うと、この指示が確実に効きます。

14. 公募要領・長文資料の要点整理

プロンプト
次の資料から、必要な情報を表に整理してください。

【資料:公募要領などを貼り付ける、またはPDFを添付する】
【整理する観点:対象者の要件/補助率と上限/申請期限/必要書類/事前に済ませておく手続き】

条件:
- 表形式で出力する
- 資料に記載がない項目は、記載なしと書く(推測で埋めない)
- 該当箇所が資料のどこにあるか、見出し名または項番を添える

記載がない項目を推測で埋めさせない指定が要点です。要件の見落としは、そのまま顧問先の不利益になります。

チェックとレビューの補助(3本)

最終的な確認は人が行う前提で、見落としを減らすための道具として使います。

15. 契約書のチェック観点出し

プロンプト
次の契約書について、税務上の観点から確認すべき点を挙げてください。

【契約書:当事者名を伏せて貼り付ける】
【契約の位置づけ:顧問先が発注者側/受注者側】

条件:
- 収益・費用の計上時期に影響しそうな条項を指摘する
- 消費税の取扱いに関係する条項を指摘する
- 印紙税の要否に関係する記載があれば指摘する
- 法務上の助言は行わない

法務上の助言は行わない、と範囲を切っておきます。税理士業務の範囲外の内容が混ざるのを防ぐためです。

16. 自主チェックリストの作成

プロンプト
法人税申告書の作成後/年末調整の完了後 など】に事務所で行う自主チェックのリストを作ってください。

【対象:中小法人(同族会社)、3月決算】
【所内の体制:担当者が作成し、代表が最終確認する2段階】

条件:
- 担当者が確認する項目と、代表が確認する項目を分ける
- それぞれ15項目以内
- 見落としが起きやすい項目には、その理由を1行で添える

申告書そのものを読み込ませるのではなく、チェックの観点を作らせる使い方です。作られたリストは、必ず所内の実務に合わせて手を入れてください。

17. 文章の校正

プロンプト
次の文章を校正してください。

【文章:貼り付ける】

条件:
- 誤字脱字、表記ゆれ、二重敬語を指摘する
- 修正前と修正後を対比した表で出力する
- 意味が変わる書き換えは提案しない
- 事務所名や固有名詞は変更しない

所内業務・新人教育(4本)

目立ちませんが、積み上げると時間を取られている領域です。税務の判断と違って誤りのリスクも小さいため、AIに慣れていない所員が最初に触る業務としても適しています

18. Excelの関数・マクロ

プロンプト
Excelで次の処理をしたいので、方法を教えてください。

【いま手元にあるデータ:A列に日付、B列に摘要、C列に金額。約6,000行】
【やりたいこと:摘要に特定の語句を含む行だけを別シートに抜き出したい】
【使える環境:Microsoft 365。マクロは使用可】

条件:
- 関数で対応できる方法と、マクロを使う方法の両方を示す
- マクロはコードをそのまま貼り付けられる形で出す
- 実行前にバックアップを取るべき箇所があれば明記する

実際に、ChatGPTにこの種のコードを書かせて6,000本の仕訳データの処理が約50時間から約5分になったという事務所の発表があります。詳しくは税理士事務所のAI活用事例で扱っています。

19. 手順書・マニュアルの下書き

プロンプト
所内の手順書を作りたいので、下書きを作ってください。

【対象の業務:新規の顧問先を受け入れるときの初期設定】
【現状の流れ(箇条書き・順不同):思いつくまま列挙する】
【読む人:入所半年の職員】

条件:
- 手順を番号付きで並べ直す
- 各手順に、担当者・所要時間の目安・使うシステムを添える
- 抜けていそうな工程があれば、確認事項として最後にまとめる

抜けていそうな工程を挙げさせるのが効きます。頭の中にある手順は、書き出すと必ず飛んでいる箇所があります。

20. 新人からの質問に答える説明文

プロンプト
入所したばかりの職員に説明するための文章を作ってください。

【説明する内容:◯◯と◯◯の違い】
【相手の前提知識:日商簿記2級。実務経験なし】

条件:
- 300文字程度
- 具体例を1つ入れる
- 判断に迷ったときに、何を見れば確認できるかを最後に1行で添える
- 実務上の例外がある場合は、例外があるとだけ書き、詳細は書かない

21. 業務の棚卸し

プロンプト
事務所の業務を棚卸ししたいので、整理を手伝ってください。

【所員数:◯名】
【顧問先数:法人◯社、個人◯件】
【いま時間がかかっていると感じる作業:思いつくまま列挙する】

条件:
- 挙げた作業を、判断が必要な作業と、判断が不要な作業に分ける
- 判断が不要な作業について、仕組みで減らせるものと、AIで下書きを作れるものに分ける
- どこから手をつけるとよいか、順序の案を最後に示す

AI導入の最初の一歩として、この棚卸しをAI自身に手伝わせる使い方です。対象業務を1つか2つに絞るための材料になります。

顧問先に渡せるプロンプト(3本)

顧問先の経理担当者が使えるプロンプトを渡すと、こちらに届く資料の質が上がります。事務所側の作業を減らす、遠回りに見えて効く方法です。

22. 経理担当者向け:勘定科目の当たりをつける

プロンプト
次の支出について、どの勘定科目で処理すればよいか、候補と考え方を教えてください。

【支出の内容:誰と、何の目的で、いくら使ったか】
【当社の状況:業種、法人/個人事業、消費税の課税事業者かどうか】

条件:
- 候補となる勘定科目を2〜3つ挙げ、それぞれどんな場合に該当するかを説明する
- 判断が分かれる可能性がある場合は、その旨を明記する
- 最終判断は顧問税理士に確認する前提で書く

最終判断は顧問税理士に確認する前提、という一行を必ず入れて渡してください。これがないと、担当者がAIの回答をそのまま採用してしまいます。

23. 経理担当者向け:経費精算のルール文書

プロンプト
社内の経費精算ルールの下書きを作ってください。

【会社の規模:従業員◯名、経理担当は◯名】
【現在の運用:紙の申請書。領収書を貼付して月末にまとめて提出】
【困っていること:提出が遅れる、記載漏れが多い】

条件:
- 申請する側が読む文書として書く
- 提出期限、必要な添付、記載必須の項目を明記する
- よくある不備を、注意事項として5つまで挙げる
- 税務上の取扱いに関する判断は書かない

24. 社長向け:試算表の見方

プロンプト
試算表の見方を、経営者向けに説明する文章を作ってください。

【読む人:創業◯年の経営者。数字は苦手だが、経営判断には使いたい】
【業種:◯◯】

条件:
- 毎月まず見るべき項目を3つに絞り、それぞれ何がわかるかを説明する
- 数字が悪化したときに、次に何を確認すればよいかを添える
- 800文字程度
- 会計用語は最小限にし、使う場合は説明を添える

使ってはいけない指示文

プロンプト集で見かけるもののうち、税理士事務所では避けるべきものがあります。理由とあわせて整理します。

避けるべき指示文なぜ避けるか代わりにどうするか
この取引の消費税区分を判定して。結論だけ教えて汎用のAIは参照する法令・通達の範囲が決まっていないため、もっともらしい誤りが返ることがある論点の洗い出しにとどめ、条文には自分で当たる。または参照範囲が決まったAIを使う
顧問先の◯◯株式会社の決算書を分析して実名と財務情報がそろうと、特定可能な情報の入力になる社名を伏せ、業種と規模だけを前提として渡す
次の数値から利益率と前年比を計算して生成AIは計算を誤ることがある会計ソフトで確定した数値を渡し、解釈と文章化だけを任せる
この申告書に誤りがないか確認して確認できたように見える出力が返るが、根拠がないチェックの観点リストを作らせ、確認は人が行う
出てきた文章をそのまま顧問先に送る事実誤認や、事務所の方針と合わない表現が混ざる下書きとして受け取り、必ず読み直してから送る

あわせて、入力してよい情報と入力しない情報の線引きも所内で決めておいてください。判断の基準はひとつで、その情報だけで顧問先や個人が特定できるかどうかです。特定できるものは、たとえ学習に使われない設定であっても入力しないという運用にしておくと、担当者ごとの判断のぶれがなくなります。線引きを文書にする手順は生成AIの社内ガイドラインの作り方で扱っています。

AIに入力してよい情報と、入力しない情報の線引き
図:入力してよい情報と、入力しない情報

なお税理士には税理士法第38条により守秘義務が課されています。AIを使うこと自体が問題になるわけではありませんが、顧問先の情報がどこへ渡ることになるのかを把握していない状態は望ましくありません

思ったとおりに動かないときの直し方

プロンプトが効かないとき、書き直す必要はほとんどありません。症状に応じて1行足すだけで直ることが大半です。

症状足す一文
長すぎる/要点がぼやける◯文字以内で、◯段落の構成にしてください
文章が固い/AIが書いた感じがする次の文章を、書き方の見本として真似してください:(過去に自分が書いた文章を貼る)
事実が違う/根拠が怪しい各項目に出典を付け、確認できない内容は書かないでください
毎回ちがう形で返ってくる出力は次の形式に固定してください:(項目名を並べる)
知らないことまで書いてくる与えた情報に書かれていないことは補わないでください
一般論しか返ってこない【前提】に業種・規模・関係の長さを追加する

とくに効くのが書き方の見本を渡す方法です。事務所の文体は、言葉で説明するより実物を見せたほうが早く伝わります。過去に送った案内文を1通貼り付けるだけで、出力の印象がはっきり変わります。

どのAIで使うか

AIには得意分野の違いがあります。同じプロンプトでも、返ってくる答えの性格が変わります。この記事のプロンプトを業務別に割り当てると、おおむね次のようになります。

AI向いているプロンプト理由
ChatGPT1〜4、17〜21対応範囲が広く、メール文やExcelの相談で迷ったときの基準点になる
Claude7、8、10、15長い文章の読解と、丁寧な文章表現に強い
Gemini10、14、22画像・音声・動画・PDFを読み込める
Perplexity13Webを参照し、回答に出典のURLを付ける

1種類しか使えない環境では、その1つが苦手な業務で精度が上がりません。複数のAIを使えること自体が目的ではなく、業務ごとに適したものを選べる状態にしておくと、結果として一つひとつの精度が上がるという話です。詳しい違いはChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの違いと使い分けで整理しています。

税務の判断に近い場面では

12番と22番のような、税務の判断に近づくプロンプトは、参照する情報の範囲が決まっているAIを使うほうが安全です。UPGEAR AIには税務特化の固定プロンプトをZEIプラスとして標準搭載しており、現在は法人税・所得税と確定申告・消費税・相続税と贈与税の各相談と、勘定科目と消費税区分の判定に対応した5つを公開しています。参照している資料の範囲と基準日が示されるため、何を見て答えているかがわかった状態で使えます。

※ ZEIプラスの回答は、公開情報を参照した判定支援の情報です。最終的な税務判断と申告内容の確定は、必ず有資格者による確認を経てから行ってください。

事務所の標準にする3ステップ

プロンプトを配っただけでは、使う人と使わない人に分かれます。当社が導入を支援するなかで、定着している事務所に共通しているのは次の順序です。

プロンプトを事務所の標準にする3ステップと、それぞれを飛ばしたときに起きること
図:3つのステップを飛ばしたときに、それぞれ何が起きるか

1. 最初に配るのは2本まで

24本すべてを一度に配ると、どれを使えばよいかわからず結局使われません。いまいちばん時間を取られている業務を1つか2つ選び、そのプロンプトだけを配るところから始めてください。自由に使ってくださいという配り方が、いちばん定着しません。

2. うまくいった書き換えを回収する

【 】を埋めて使ううちに、担当者ごとに工夫が生まれます。これを回収して事務所の版に反映すると、プロンプトが実務に近づいていきます。ベテランが持っている判断の型を、指示文の形にして共有することができれば、経験の浅い所員でも同じ水準の下書きが作れます。

3. 共有の置き場所を決める

共有フォルダのテキストファイルでも構いませんが、使う場所と置き場所が離れているほど使われなくなります。UPGEAR AIでは、作成した指示文を所内で共有する機能を用意しています。使用するAIモデルを固定しておけば、誰が使っても出力の水準が一定に保たれます。参考資料を添付して、その内容を前提に回答させることも可能です。

よくある質問

プロンプトは長いほうがよいのですか?
長さではなく、要素がそろっているかどうかです。役割・前提・入力・出力形式・制約の5つが入っていれば、短くても出力は安定します。逆に、前提を書かずに長い説明を並べても、一般論しか返ってきません。
顧問先の資料をそのまま貼り付けてもよいですか?
社名や個人名は伏せてください。そのうえで、法人向けのサービスで入力データが学習に使われない設定になっていること、データの保管場所、顧問先との契約上の制約を確認してから使ってください。個人向けの無料AIをそのまま業務に使うのは避けるべきです。
AIの回答をそのまま顧問先に送ってもよいですか?
送らないでください。この記事のプロンプトは、いずれも下書きを作らせるためのものです。事実誤認や、事務所の方針と合わない表現が混ざることがあります。AIの誤りによる責任は、判断した税理士に帰属します。
所員がプロンプトを書けるようになりますか?
全員が書けるようになる必要はありません。定着している事務所の多くは、書ける人が作ったものを全員が使う形にしています。うまくいった指示文を回収して事務所の版に反映していくほうが、研修をするより早く定着します。
同じプロンプトなのに、日によって答えが変わります
生成AIは同じ入力でも出力が揺れます。出力形式を固定する一文を足すと、揺れの幅は小さくなります。それでも判断に関わる場面では、揺れることを前提に人が確認してください。使用するAIモデルを固定しておくことでも、出力の水準は安定します。

まとめ

プロンプト集がそのまま使えないのは、書き手の事務所と読み手の事務所で前提が違うからです。書き換える場所を決めておけば、集めたプロンプトは事務所の資産になります。この記事の24本も、【 】を自分の事務所の言葉で埋めたところから使えるものになります。

そのうえで、税務の判断に近づく場面では、参照する範囲が決まっていないAIに結論を聞かないこと。そして出てきた文章は下書きとして受け取り、確認と判断は人が行うこと。この2つを守れば、生成AIは事務所の時間を取り戻す道具になります。

まずは、いま最も時間を取られている業務を1つ選んでください。そのプロンプトを1本だけ配るところから始めるのが、いちばん確実です。

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プロンプトを事務所の資産にする環境をご用意しています

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを国内サーバー管理のもとで、人数の制限なく一括利用できる法人向けプラットフォームです。作成した指示文を所内で共有する機能と、税務特化の固定プロンプト「ZEIプラス」を備えています。導入から定着まで、当社が伴走支援します。

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