Copilotは商用利用できる?会社のアカウントで変わる範囲と著作権補償の条件

Copilotの商用利用とは、Copilotで作った文章・資料・画像・コードを、社外に出すものも含めて会社の仕事に使うことを指します。使ってよいかどうかは、無料か有料かよりも、どのアカウントでサインインしているかで大きく変わります。会社のEntraアカウント(職場アカウント)で使うCopilotには法人向けの契約条件が適用され、出力は会社のデータとして扱われることになります。一方、個人のMicrosoftアカウントで使うCopilotは、2026年8月18日発効の規約で個人的な使用のためにのみ使えると定められており、会社の仕事に使う前提の規約にはなっていません。

Copilotという名前の製品は複数あるため、先にCopilotとは何か、製品ごとの違いを押さえておくと、この先の話がぐっと読みやすくなります。製品の全体像や料金の比較はそちらに任せ、ここでは作ったものを仕事に使えるかどうかに絞ってお伝えしましょう。

結論:商用利用できるかはサインインしたアカウントで決まる

Copilotを会社の仕事に使ってよいかは、プランの値段ではなく、サインインしているアカウントの種類で判断するのが現在の規約に沿った考え方になります。個人向けのCopilotアプリやcopilot.microsoft.comに適用される「Microsoft Copilot 補足使用条件」は、2026年8月18日に新しい版が発効しました。この版には、Copilotは個人的な使用のためにのみ使用できること、そして職場・学校・組織(Entra)のアカウントでサインインする利用者には適用されないことが、はっきり書かれています。会社が発行したアカウントでサインインした場合は、個人向けの規約ではなく、会社がMicrosoftと結んでいる法人向けの契約の側で扱いが決まる形です。

法人向けの契約とは、Microsoftの製品条項と、データ保護に関する補遺(DPA)のことを指します。社外に出すものを作るなら、会社の職場アカウントでサインインしたCopilotを使うのが基本になります。同じCopilotという名前でも、どちらのアカウントで使ったかで、守られる範囲も責任の所在も入れ替わってしまいます。

「どのプランでも商用利用できる」は現行の規約では言い切れません

検索で上位に出る解説の多くは、無料版も有料版も含めて、Copilotはどのプランでも商用利用できると結論づけています。ただ、その根拠として引かれているのは、多くが2026年8月18日より前の使用条件です。現行版の文言は商用という言葉を使わず、個人的な使用のためにのみという書き方に変わりました。MicrosoftのQ&Aサイトでも、ボランティアの回答者の間で、無料版は非商業的な利用に限られるという回答と、法人向けは別の規定を見るべきという回答が並んでいます。会社として判断するときは、解説記事の結論ではなく、自分たちがどのアカウントで使っているかを先に確かめてみてください。

個人アカウントと職場アカウント(Entra ID)の見分け方

職場アカウントとは、会社が契約しているMicrosoft 365で管理者が発行し、Microsoft Entra IDで管理されるアカウントを指します。個人アカウントは、Outlook.comやHotmail、Gmailなどのアドレスで本人が作ったMicrosoftアカウントのことです。会社のアドレスでサインインしていても、そのアドレスで本人が個人用のMicrosoftアカウントを別に作っている場合もあり、見た目だけでは判断がつかないこともあります。迷ったときは情シスの担当者に、そのアカウントが会社の管理下(Entra ID)にあるかを確かめてもらうのが確実でしょう。同じパソコン・同じブラウザで個人と職場のアカウントを切り替えて使っている方も多いため、どちらでサインインした状態で作ったかを意識してもらうことが第一歩となります。

個人のMicrosoftアカウントで使うCopilotの規約(2026年8月18日発効)

個人のMicrosoftアカウントで使うCopilotでは、Microsoftは生成物の所有権を主張しない一方、権利侵害の責任は利用者が負うというのが規約の基本線になります。適用範囲は、Copilotアプリ(copilot.microsoft.com、copilot.com、copilot.aiを含む)と、Microsoft 365アプリを含むその他のMicrosoftのアプリやWebサイトを通じたCopilotとの会話です。2026年8月18日の改定では、Microsoft 365アプリのCopilot Chatにも適用されるよう更新したうえで、Entraアカウントでサインインする利用者は対象外であることが明確にされました。

「個人的な使用のためにのみ」とEntraアカウントの除外

規約の本文には、ボットやスクレイパーでアクセスしないことに続けて、Copilotは個人的な使用のためにのみ使用できると書かれています。英語版の原文はYou can only use Copilot for your own personal use.で、日本語版と同じ意味になります。現行の本文には商用・商業・営利といった語は出てこないため、商用利用を禁止すると明記されているわけではありません。それでも、会社の業務として社外に出す資料や納品物を作ることは、個人的な使用という書き方からは離れた使い方と考えられます。会社の仕事で使うものは、職場アカウントのCopilotで作るのが安全です。

生成物の所有権と、Microsoftが受け取る利用許諾

規約は、Microsoftは利用者のコンテンツを所有しないとしたうえで、Copilotの運営と改善のためにそのコンテンツを使うことがあると定めています。ここでいうコンテンツは、Copilotとの会話に含まれるプロンプト(指示文)と応答のことです。Copilotを使うと、Microsoftはそのコンテンツをコピー、配布、公開表示、編集、翻訳などできる許可を受け取り、Microsoftの代わりに業務を行う他者にも同じ権利を与えられる、という内容に同意したことになります。Microsoftサービス規約のAIサービスの条項も、出力コンテンツの所有権は主張しないとしつつ、出力に知的財産権があるかどうかは使う場面や地域の法律を踏まえて利用者自身が判断する必要があるとしています。所有権を取られないことと、自由に社外へ出してよいことは、別の話だと考えておきましょう。

無料版・個人向けの入力はサービス改善に使われることがある

個人向けのCopilotでは、入力した内容がCopilotの運営や改善に使われる場合があり、規約には自動と手動(人による)のデータ処理が含まれる場合があるとも書かれています。規約自体が、Microsoftに確認されたくない情報はCopilotと共有しないよう求めている点は見落とせません。2026年8月18日より前の旧バージョンのアプリ向けの案内では、会話の内容をモデルの学習に使うことと、その対象から外れる設定が説明されていました。新しいバージョンのアプリ向けの公式記事には、学習に関する設定の説明が載っていません。そのため、個人アカウントには顧客名や社内の数字を入れない運用が現実的でしょう。入力から情報が漏れる経路はCopilotで情報漏洩は起きる?で詳しく解説しました。

権利侵害は保証されず、公開したときの責任は利用者にある

規約は、Microsoftが保証を行わないとしたうえで、Copilotの応答が著作権・商標権・プライバシー権などを侵害しないことや、名誉を毀損しないことは約束できないと明記しています。応答を公開したり他者と共有したりすることを選んだ場合は、利用者が全責任を負う決まりです。さらに、利用者はCopilotの使用に起因する請求や損失、弁護士費用について、Microsoftを免責し損害が生じないよう保護することにも同意する形となります。Microsoftサービス規約のAIサービスの条項でも、著作権侵害の申し立てを含む第三者からの申し立てへの対応は、利用者自身が単独で負うと定められています。社員が個人アカウントで作った文章を顧客に出して問題になったとき、その対応を引き受けるのは社員本人と、それを使った会社の側となってしまいます。

同じ・似た応答が他の人にも出る

規約には、Copilotが同一または類似の応答や創作物を、Microsoftや他者にも提供する場合があると書かれています。生成された文章や案が、自社だけの独自のものになるとは限らないという意味になります。ロゴや商品名、キャッチコピーのように、他社と区別できることに価値があるものほど、この点が効いてきます。商標の出願を考えている名前をAIに考えさせた場合は、出願前に同じ・似た名前がないかを調べる手順を必ず挟みましょう。

行動規範に反するとブロックや利用停止がある

規約の行動規範には、他者の知的財産権やパブリシティ権を侵害しないこと、本人の許可なく他者の画像・音声・動画を作ったり編集したりしないこと、などが並んでいます。2026年8月18日の改定では、Copilotが作ったことを示すコンテンツ資格情報やその他のマークを非表示にしたり、削除・改変したりしてはいけないことが明確にされました。Copilotを使ったかどうかについて、他者を誤解させようとしないことも求められています。規約に反するプロンプトはブロック・制限・削除されることがあり、違反した場合はCopilotへのアクセスを予告なく制限・一時停止・永久に取り消されることもあります。取り消しの範囲には、場合によっては他のMicrosoftのサービスも含まれると書かれている点に注意が必要です。

2025年10月版にあった「娯楽目的」の一文

2025年10月版の個人向け使用条件には、Copilot is for entertainment purposes only.(Copilotは娯楽目的のためのもの)という一文がありました。この一文は、2026年6月版と、2026年8月18日発効の現行版にはありません。さらにさかのぼると、2023年の旧Bing Image Creatorの規約には、作成物を合法的で個人的・非商用の目的に使えるという文言がありました。現行の補足使用条件には、この非商用という文言も残っていません。古い解説で娯楽目的だから業務には使えない、非商用に限られると書かれているものは、どの版の話かを確かめながら読むようにしてみてください。

会社のEntraアカウントで使うCopilotの扱い

会社のEntraアカウントでサインインしたCopilotは、法人向けの契約条件のもとで動き、出力は会社のデータとして扱われます。Microsoft Learn(2026年8月20日更新)では、Microsoft 365 CopilotはMicrosoft Copilotに、Microsoft 365 Copilot ChatはMicrosoft Copilot Chatに名前が変わったと案内されています。個人向けのアプリと同じMicrosoft Copilotという名前になったため、社内の会話でどちらを指しているかがずれやすい点に気をつけましょう。

出力は顧客データで、基盤モデルの学習には使われない

Microsoftの製品条項は、出力コンテンツは顧客データであり、Microsoftはお客様の出力コンテンツを所有しないと定めています。同じ条項で、生成AIサービスは、顧客の文書化された指示がある場合を除き、生成AIの基盤モデルのトレーニングに顧客データを使わない決まりです。Microsoftのドキュメントでも、組織で使うMicrosoft CopilotとCopilot Chatには、データ保護に関する補遺(DPA)と製品条項が適用され、Microsoftはデータ処理者として機能すると説明されています。このエンタープライズデータ保護(EDP)のもとでは、プロンプトと応答は基礎となる大規模言語モデルのトレーニングに使われず、会社の既存の権限や秘密度ラベル、保持ポリシーがCopilotにも適用される仕組みになります。

ただし、具体的に使える管理の機能は、会社のサブスクリプションのプランによって異なるとされています。自社でどこまで設定できるかは、管理者と一緒に確かめてみてください。Web検索のクエリは、利用者と組織の識別子を外したうえでBing検索サービスに送られ、Microsoftが独立したデータ管理者(データコントローラー)として扱う別の扱いとなっている点も押さえておきましょう。

前提となるライセンスと料金の目安

Copilot Chatは、対象となるMicrosoft 365のサブスクリプションを持つEntraアカウントの利用者であれば、追加料金なしで使える位置づけです。WordやExcelなどのアプリの中でCopilotを本格的に使うには、Microsoft 365 Copilot Businessなどの有料ライセンスを別に追加する形になります。一般法人向けのMicrosoft 365 Copilot Businessは既存のMicrosoft 365プランへの追加で、年払いなら1ユーザーあたり月額3,148円相当、月払いなら3,778円(いずれも税抜)です。2026年7月1日から12月31日までの申し込みには、初年度だけ月額2,698円相当になる割引があり、年間契約で申し込む、対象のビジネスプランを使っている既存のMicrosoft 365顧客だけが対象となります。ただし、2年目以降は通常の価格に戻ります。

社員20名全員に年払いの通常価格で付けると、毎月62,960円、年間で755,520円(税抜)の出費となってしまいます。対象となるMicrosoft 365プランのライセンスが別に必要で、一般法人向けは最大300ユーザーまでとされています。追加料金なしのCopilot Chatでどこまでできるかは、Microsoft 365 Copilotの無料版でできることをご覧ください。

※料金は2026年9月26日時点でMicrosoftの公式料金ページ(一般法人向け)に表示されている税抜価格です。20名の金額は、通常価格3,148円×20名×12か月で計算しています。

アカウント・プラン別に比べると

無料版・有料版・法人版を並べると、商用利用の判断を分けているのは値段ではなく、どの規約が適用されるかであることが分かります。下の表は、2026年9月26日時点の規約と公式ドキュメントの記載をもとに整理したものです。

使い方適用される主な規約会社の仕事・社外向けの利用入力の学習などへの利用著作権の補償
無料のCopilotなど(個人のMicrosoftアカウント)Microsoft Copilot 補足使用条件、Microsoftサービス規約個人的な使用のためにのみ使用できると定められている。社外に出す仕事には使わない運営・改善に使われる場合がある。人による処理が含まれる場合もある個人向け規約では、応答の公開・共有の責任は利用者が負うと定められている
Microsoft 365 Personal・Familyのアプリ内のCopilot(個人のMicrosoftアカウント)Microsoftサービス規約(別途の契約がない限り個人的に非商用目的)、補足使用条件業務での利用は想定されていないプロンプト・応答・ファイルの内容は基礎モデルのトレーニングに使われないと公式に記載同上(利用者の責任)
Copilot Chat(職場アカウント・追加料金なし)製品条項、データ保護に関する補遺(DPA)会社の業務データとして扱われる基盤モデルのトレーニングに使われないMicrosoftのドキュメントに、お客様著作権コミットメントを提供すると記載
Microsoft 365 Copilotの有料ライセンス(職場アカウント)製品条項、データ保護に関する補遺(DPA)会社の業務データとして扱われる基盤モデルのトレーニングに使われない製品条項の5つの条件を満たせば対象(次の節)

表の上の2行と下の2行の違いは、料金の差よりも、サインインしたアカウントが会社の管理下にあるかどうかから生まれています。上の2行に当たる使い方を社員が仕事でしている場合、会社はその利用を把握できず、何をどう作ったかという経緯も後から追えない状態になります。

著作権補償(お客様著作権コミットメント)の5つの条件

法人向けの有料のCopilotには、出力が第三者の知的財産権を侵害したと訴えられた場合にMicrosoftが顧客を防御する仕組みがあり、5つの条件をすべて満たすことが前提になります。この仕組みは2023年9月にCopilot Copyright Commitmentとして発表され、同年11月にAzure OpenAI Serviceの法人顧客にも広げられて、Customer Copyright Commitment(お客様著作権コミットメント)と呼ばれるようになりました。

対象は法人向け契約の「対象製品」

製品条項の用語集は、対象製品を、Microsoftのボリュームライセンスを通じて有料で提供されるか、オンラインサービスの有料サブスクリプションで使われるAzure OpenAIのモデルまたはCopilotと定め、無料のプレビュー版を除いています。職場アカウントのMicrosoft CopilotとCopilot Chatについては、Microsoftのエンタープライズデータ保護のページに、著作権の懸念に対して保護された素材の検出とお客様著作権コミットメントを提供するとの記載があります。個人向けの規約は反対に、応答が権利を侵害しないことは約束できず、第三者からの申し立てへの対応は利用者の責任と定めています。補償はあくまで法人向け契約の条項で、個人向けの規約にはこの仕組みを当てはめる記述がないという整理になります。

製品条項に書かれた5つの条件

Microsoftの製品条項は、次の条件がすべて満たされる場合に、対象製品の出力コンテンツの使用や配布にもとづく申し立てについて、顧客を防御すると定めています。

  1. 出力を生成している間、コンテンツフィルターやメタプロンプト(AIに与えられる前提の指示)の制限、その他の安全システムを無効化・回避・妨害していなかったこと
  2. 第三者の権利を侵害すると知っていた、または知るべきだった態様で、出力を変更・使用・頒布しないこと
  3. 入力したプロンプトや資料を使う十分な権利を持っていること
  4. 請求が、商業または取引の過程で使った出力による第三者の商標や関連する権利の侵害を主張するものではないこと
  5. 設定を変えられる安全システムを備えた製品では、Microsoftが公開している必須の緩和策(https://aka.ms/aoai-ccc)をすべて実装していること

Microsoftのプライバシーに関するドキュメントも、第三者が著作権侵害で商用顧客を訴えた場合、製品に組み込まれたガードレールとコンテンツフィルターを使っていることを前提に、判決や和解の金額を支払うという説明です。条件を外れた使い方をしていれば対象にならないため、補償があるから何でも出してよいとは考えないことが大切になります。補償の上限や手続きの細かな流れは、会社の契約書類で確かめるようにしましょう。

商標の申し立ては対象外:ロゴ・商品名・キャッチコピー

5つの条件の中で、中小企業の実務に影響が大きいのは4つ目の商標の除外です。会社のロゴ、商品名、サービス名、キャッチコピーは、まさに商業や取引の過程で使うもので、ここで商標の侵害を主張された場合は補償の対象になりません。ロゴ・商品名・キャッチコピーを、AIの出力そのままで決めるのは避けましょう。商標は特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で同じ・似た登録がないかを調べ、必要に応じて弁理士に相談する流れが一般的です。人物の写真や似顔絵を作る場合は、肖像やパブリシティの問題も別に残ることになります。

会社がやることは「安全機能を外さない・回避しない」

Microsoftの「お客様の著作権コミットメントが必要な軽減策」のページによると、利用者が追加で緩和策を実装する必要があるのは、Azure OpenAIと、設定を変えられる製品に限られます。安全システムが固定されたCopilotには必須の緩和策は適用されず、設定を変えられる製品はMicrosoft Copilot StudioとGitHub Copilotだけと書かれています。普段のCopilotやCopilot Chatを使う会社にとって大事なのは、フィルターや安全機能を外そうとしないこと、制限をすり抜けるような指示を出さないことに集約されます。Copilot Studioで外部にホストされたモデルをつなぐ場合、そのモデルがAzure OpenAIで動き、必要な緩和策を満たしていない限り、その出力は補償の対象にならない点も覚えておきましょう。

商用利用とはどこまで?5つの場面ごとの判断

Copilotの規約には商用利用の範囲を定めた条文がないため、実務では、誰の目に触れるか、お金が動くかで確認の重さを変えるのが現実的です。どの場面でも、個人アカウントで作ったものを会社の仕事に使わないことが出発点になります。個人アカウントで作ったものは、社内資料も含めて会社の仕事に使わないのが原則です。そのうえで、職場アカウントで作ったものは、社外への影響に応じて確認を厚くしていきましょう。

1. 社内資料(会議資料・議事録・マニュアル)

社内だけで読む資料は、社外に出るものに比べて権利の問題が表に出にくい場面になります。職場アカウントなら、会社の権限やラベルのもとで作れるため、通常の業務として使えるでしょう。個人アカウントで作った場合は、社内の情報を個人向けのサービスに入れたこと自体が問題になるため、職場アカウントでの作り直しを検討してください。

2. 顧客への提案書・見積書の説明文

顧問先への提案書のように特定の相手に渡す文書は、内容の正確さと、他社の資料に似すぎていないかの確認が要になります。職場アカウントで作り、数字や法令の記述は担当者が原典で確かめたうえで出すのが基本です。個人アカウントで作った文案を顧客に渡すことは、規約の個人的な使用という前提から外れるうえ、会社に作成の記録も残らないので避けましょう。

3. 自社のWebサイト・事務所ブログ・SNS

事務所ブログや税務ニュースレター、SNSの投稿は、不特定多数の目に触れる場面にあたります。職場アカウントで下書きを作った場合でも、他者の記事や書籍の表現に似ていないかを人が読み、引用が必要な部分は原典に当たるようにしましょう。個人アカウントで作ったものは、公開・共有した時点で利用者が全責任を負う規約になっているため、そのまま載せないようにしてください。

4. 広告・チラシ・採用募集

広告やチラシ、採用チラシは、キャッチコピーやロゴ、画像を使うことが多く、商標の除外が効いてくる場面になります。職場アカウントで作った場合でも、キャッチコピーやサービス名は商標の検索を行い、画像はコンテンツ資格情報を消さない形で使うことが求められます。広告は外部の制作会社に渡ることも多いため、AIで作った部分がどこかを制作会社にも伝えておきましょう。

5. 販売物・顧客への納品物

顧客からお金をいただいて渡す納品物や、販売する商品は、権利の問題が起きたときの影響が大きい場面です。職場アカウントで作り、補償の条件を満たす使い方をしていても、商標は対象外で、他者の権利を侵害すると認識すべき態様での使用も補償の外になってしまいます。納品物の契約にAIの利用をどう扱うかの取り決めがあるかも含めて、顧問弁護士や社内の法務担当に確認してみてください。AIの出力をそのまま納品するのではなく、人が手を加えた部分を分かるようにしておくことが、後で説明を求められたときの助けになります。

社員ごとのアカウント任せにせず、会社の契約でそろえる

AIごとの規約を1つずつ追う前に、会社で使うAIを契約単位でまとめる選択肢もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

画像とコードで追加で気をつけること

画像とコードには文章とは別の仕組みがあり、画像は作成の記録を消さないこと、コードは公開されているコードとの一致に注意することが加わります。

画像を広告や資料に使うとき:コンテンツ資格情報を消さない

個人向けのCopilotで作った画像には、AIで生成・編集されたことを識別できるよう、C2PAという標準にもとづくコンテンツ資格情報が付けられます。規約はこれを非表示にしたり、削除・改変したりすることを禁じているため、加工の際にこの情報を消す目的で手を加えることは避けなければなりません。職場のMicrosoft 365で作った画像も、透かしをオンにしていなくても、使ったAIモデルや作成したアプリ、作成時刻などの情報がメタデータに加えられる場合があります。画像の商用利用の詳しい判断や、社外に出す画像のルールは、Copilotの画像生成、会社の資料や広告に使える?で扱っています。

GitHub Copilot:2026年3月5日の規約切替と重複検出フィルター

GitHub CopilotのBusinessやEnterpriseをGitHubから直接購入している場合、2026年3月5日以降の新規契約と更新は、GitHub Generative AI Services Termsという新しい規約の扱いとなります。GitHubの規約ページの記載では、GitHubは入力と出力を所有せず、文書化された指示がない限り生成AIモデルの学習に使わないとされています。補償の条件にも変化があり、Microsoftの軽減策のページは、2026年4月3日以降は重複検出フィルター(公開コードに一致する候補を止める機能)の使用がCCCの要件ではなくなったとの説明があります。

フィルター自体は任意で使い続けられるため、ライセンスの確認が難しいコードを扱う部署では有効にしたままにする判断もあり得るでしょう。以前の解説にある、フィルターを有効にすることが補償の条件という説明は、2026年4月3日より前の条件として読むようにしましょう。公開コードとの一致を調べる仕組みは、候補とその前後の約150文字を、GitHub上の公開リポジトリと照らし合わせるものと説明されています。社員が個人で契約したGitHub Copilotを会社のコードに使っている場合は、会社の契約とは別の規約で動いている点を確かめてください。

著作権侵害になるのはどんなときか(文化庁の考え方)

AIで作ったものが著作権侵害になるかは、既存の著作物との類似性と依拠性の2つで判断するというのが、文化庁の示している考え方です。文化審議会著作権分科会の法制度小委員会が2024年3月15日にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」は、生成物に既存の著作物との類似性(創作的な表現が共通していること)と依拠性(既存の著作物をもとに作ったこと)が認められ、権利制限規定の対象外であれば、著作権侵害になると整理されています。この文書自体は法的な拘束力を持つものではなく、公表時点での小委員会としての考え方を示したものという位置づけです。

AIが学習していた作品なら、知らなくても依拠が推認される

同じ文書は、AIの開発・学習の段階で既存の著作物が学習されていた場合、利用者がその作品を知らなくても、通常は依拠性があったと推認されるとしています。使った本人が知らなかったという説明が通りにくいため、社外に出す前の類似の確認が欠かせません。また、生成そのものが適法に行えても、SNSへの投稿といった生成物の利用まで直ちに適法になるわけではなく、場面ごとに判断が必要という整理です。

AIで作ったものに著作権は発生するか

人がほとんど指示を与えずに生成のボタンを押しただけのものは、著作物に当たらないと考えられています。一方で、人が創作のための道具としてAIを使ったと認められれば著作物に当たり、AIの利用者が著作者になるという考え方です。その判断には、創作的な表現を具体的に示す詳しい指示や、人による加筆・修正が要素として挙げられ、生成を試した回数そのものは影響しないと整理されました。自社の資料や記事をまねされたくない場合は、人が手を入れた部分を残しておくことが大切になってきます。著作権侵害のリスク全般は、生成AIの著作権侵害リスクで詳しく取り上げました。

社員が個人向けのMicrosoft 365を仕事に持ち込むとき

社員が自分で契約したMicrosoft 365 Personal・Family・Premiumなどの個人向けプランを仕事に使っている場合は、会社の契約とは別の規約で動いていると考える必要があります。Microsoftサービス規約は、Microsoft 365 FamilyやMicrosoft 365 Personalなどについて、Microsoftとの別途の契約で商用利用権を持っていない限り、個人的に非商用目的で使うためのものという定めです。家庭向けのMicrosoft 365アプリで使うCopilotは、プロンプトや応答、ファイルの内容が基礎モデルのトレーニングに使われないと、公式のサポート記事に書かれています。学習に使われないことと、業務に使ってよいことは別の問題で、規約上は個人的な使用が前提となる点は変わりません。

さらに、会社は社員の個人契約の中で何が入力され、何が作られたかを把握できず、退職のときに会話の履歴を回収する手段もない状態となってしまいます。個人の契約を黙認するより、会社として使える環境を用意するほうが確実です。こうした会社から見えないAIの利用は、シャドーAI(野良AI)と呼ばれる問題の一つになります。個人向けのCopilot Proは新規の販売を終えており、Microsoftのサポート記事には2026年8月1日にサポートが終わると記載されています。すでに社員が個人で契約していた場合の対応はCopilot Proを社員が個人で契約していたら、会社としてCopilotを使わせない設定はCopilotを無効化する方法をご覧ください。

会社で安全に使うための社内ルールとひな形

社内ルールで決めることは、どのアカウントで作るか、安全機能を外さないこと、社外に出す前の確認の3点に集約できます。ルールの文書全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめています。下のひな形は、そのうちCopilotの商用利用に関わる条文だけを取り出したものです。

社内規程のひな形(生成AIで作った成果物の扱い)

第◯条(生成AIで作成した成果物の取り扱い)
1 社外に提出・公開・納品する文章、資料、画像、コードを生成AIで作成するときは、会社が発行した職場アカウント(Microsoft Entra ID)でサインインしたCopilot、または会社が契約したAIサービスを使用する。
2 個人のMicrosoftアカウント、個人で契約したMicrosoft 365 Personal・Family・Premiumなどで作成したものは、社外に提出・公開・納品しない。
3 コンテンツフィルターその他の安全機能を、無効化・回避しようとする指示や設定をしない。
4 ロゴ、商品名、サービス名、キャッチコピー、キャラクターには、生成AIの出力をそのまま使用しない。候補とする場合は商標の調査を行い、(所管部署)の承認を得る。
5 社外に出す成果物は、公開・提出の前に作成者以外の者が内容を確認し、既存の著作物との類似がないかを調べ、確認日と確認者を記録する。
6 画像に付いたコンテンツ資格情報や透かしなど、AIで作成したことを示す情報を削除・改変しない。
7 顧客情報、個人情報、未公表の数値は、会社が認めた環境以外の生成AIに入力しない。
8 本規程で参照する各社の利用規約は、(担当部署)が半年に1回確認し、変更があれば本規程を見直す。

条文の番号や部署の名前は、会社の規程の書き方に合わせて直してください。

社外に出す前に人が確認すること

AIの出力は、社外に出す前に人が読み、事実と権利の両面から確かめる工程を必ず通します。個人向けの規約も、Copilotを専門家の助言の代わりに使わないよう求めています。

  • 数字・日付・法令名を原典で確かめたかAIの出力は誤りを含むことがあります。税額や条文番号などは、担当者が一次資料で確認します。
  • 既存の文章や画像に似すぎていないか特徴的な一文を検索エンジンで調べる、画像は画像検索にかけるなど、社内で方法を決めておきます。
  • ロゴ・商品名・キャッチコピーを含んでいないか含む場合は商標の検索を行います。補償の対象外になる部分です。
  • 実在の人物の写真・声・似顔絵を使っていないか本人の許可があるかを確認します。
  • どのアカウントで作ったかが分かるか職場アカウントで作ったものかを、作成者に確かめます。
  • 確認日と確認者を記録したか後から問い合わせを受けたときに、経緯を説明する材料になります。

確認の担当は、作った本人とは別の方に決めておくと、見落としが減らせます。

規約は変わるので、確認日つきで一覧にしておく

個人向けCopilotの使用条件だけでも、過去の版の一覧には2023年2月から2026年6月までの7つの版が並び、2026年8月18日の現行版はその次の版になります。社内の規程で参照する規約は、URLと確認日をセットで控えておき、半年に1回など決まった周期で見直しましょう。この記事の執筆にあたって確かめた公式の資料は次のとおりです。

※規約・公式ドキュメントの内容は2026年9月26日時点で確認したものです。規約の引用は日本語版を基本とし、日本語版に翻訳は便宜上のものと書かれている資料は英語版と照らし合わせています。この記事は一般的な情報の整理で、法的な助言ではありません。納品物の契約条件や商標の出願など、個別の判断が必要な場面では、顧問弁護士や社内の法務担当に確認してください。

複数のAIを使う会社は、契約単位でまとめる

CopilotのほかにChatGPTやGeminiなども社員が使っている会社では、AIごとに個人向けと法人向けの規約を追いかけるだけで、担当者の手が回らなくなってしまいます。会社で使うAIを法人向けの契約にまとめ、学習に使わせない設定、利用ログの管理、社員へのアカウント配布を会社側で握る形にすると、確かめるべき規約の数そのものが減ります。まずは社内でどのAIがどのアカウントで使われているかを洗い出すところから始めてみてください。

会社で使うAIを、1つの契約と管理画面にまとめる

UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けサービスです。UPGEAR AIでは全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面では誰が・いつ・どのAIを使ったかを一覧で確認できます。UPGEAR AIの会話履歴・利用ログ・アカウントは、国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。UPGEAR AIの初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

Copilotをビジネスで利用できますか?
会社のEntraアカウント(職場アカウント)でサインインして使うCopilotは、法人向けの契約条件のもとで業務に使う前提の製品です。個人のMicrosoftアカウントで使うCopilotは、2026年8月18日発効の補足使用条件で個人的な使用のためにのみ使用できると定められているため、会社の仕事、とくに社外に出すものには職場アカウントを使うことをおすすめします。
Copilotで作った画像を商用利用することはできますか?
職場アカウントのCopilotで作った画像は会社のデータとして扱われますが、既存の作品に似ていないか、商標やロゴに当たらないかの確認は利用者側で必要です。画像に付くコンテンツ資格情報(C2PA)は、削除・改変しないことが規約で求められています。個人アカウントで作った画像は個人的な使用が前提の規約になるため、社外向けの広告などには使わないほうが安全です。詳しくはCopilotの画像生成、会社の資料や広告に使える?をご覧ください。
商用利用とはどこまでが該当しますか?
Copilotの規約には、商用利用の範囲を定めた条文はありません。実務では、社内資料、顧客への提案書、自社のWebやSNS、広告・チラシ、販売物や納品物の順に社外への影響が大きくなると考え、社外に出るものほど確認を厚くするのが現実的です。どの場面でも、個人アカウントで作ったものを会社の仕事に使わないことが前提になります。
Copilotの利用規約は?
個人のMicrosoftアカウントで使うCopilotには、Microsoft Copilot 補足使用条件(2026年8月18日発効)とMicrosoftサービス規約が適用されます。会社のEntraアカウントで使うMicrosoft CopilotとCopilot Chatには、会社がMicrosoftと結んでいる製品条項とデータ保護に関する補遺(DPA)が適用されます。規約は短い周期で改定されるため、確認日を控えて定期的に見直してください。
Microsoftの著作権補償があれば、何を作っても安心ですか?
安心とは言えません。補償(お客様著作権コミットメント)は法人向けの有料の対象製品が対象で、安全機能を無効化・回避しない、侵害すると知っていた、または知るべきだった使い方をしない、入力に十分な権利を持つといった条件をすべて満たす場合に限られます。商業や取引の過程で使う出力の商標に関する申し立ては対象外のため、ロゴや商品名、キャッチコピーは別に商標の確認が必要です。
Copilotの規約には娯楽目的と書かれているのですか?
2025年10月版の個人向け使用条件には、Copilotは娯楽目的のためのものという一文がありました。2026年6月版と、2026年8月18日発効の現行版には、この一文はありません。古い解説を読むときは、どの版の規約をもとにしているかを確かめてください。

まとめ

Copilotを会社の仕事に使ってよいかは、無料か有料かではなく、サインインしたアカウントが個人のMicrosoftアカウントか、会社のEntraアカウントかで大きく変わります。個人アカウントのCopilotは、2026年8月18日発効の規約で個人的な使用のためにのみ使えると定められ、応答が権利を侵害しないことも約束されていません。職場アカウントのCopilotは出力が会社のデータとして扱われ、法人向けの有料製品には著作権補償の仕組みもありますが、安全機能を外さないことなどの条件があり、商標は対象外となります。社外に出すものは職場アカウントで作り、人が確認して記録を残すというルールを、ひな形をもとに社内で決めてみてください。ほかの記事はAI活用コラム一覧からご覧いただけます。