DXとAIの違いとは。DXは変革という目的、AIはその手段

DXとAIの違いとは、DXが会社の事業や業務、組織を変える「変革」そのものを指し、AIはその変革に使う「技術」の1つである、という違いです。目指すゴールがDXで、そこへ向かう道具の1つがAIと考えると、両者の関係はすっきり整理出来ます。最近は、AIを前提に仕事の進め方を見直すAX(AIトランスフォーメーション)という言葉も、政府の計画で使われるようになりました。社員10〜200名ほどの会社であれば、まず全社員が安全に使える生成AIの環境を整えることが、DXの現実的な一歩目になるでしょう。

DXとAIの違いとは|公的な定義を原文で確かめる

DXとAIは、言葉の種類からして違うものになります。DXは会社の変わり方を表す言葉で、AIは技術の名前です。定義を原文で並べてみると、その違いがよく分かります。

DXの定義|経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」

日本のDXの定義としてよく引かれるのは、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード3.0」(2020年11月9日策定、2024年9月19日改訂)の脚注にある一文です。

経済産業省によるDXの定義(原文)
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

主語は「企業」で、文の終わりは「競争上の優位性を確立すること」となっています。道具として出てくるのは「データとデジタル技術」だけで、AIという語は定義の中に入っていません。同じ文書は、デジタルの力を既存ビジネスの効率化・省力化にとどめず、付加価値の向上や新しいデジタルビジネスの創出に振り向けることを求めています。

対象についても、上場・非上場や企業規模、法人・個人事業主を問わず、広く一般の事業者とすると書いてあります。DXは大企業だけの話ではない、というのが国の立場になります。

AIとは|人の認識・判断・言葉の処理をコンピューターで行う技術

AI(人工知能)は、人が目や耳、頭で行っている認識や判断、言葉の処理を、コンピューターで行う技術の総称として使われています。画像を見分ける、音声を文字にする、文章を読んで要約する、過去の数字から先を予測する、といった働きが代表的です。このうち、文章や画像を新しく作り出すものが生成AIで、ChatGPTやGemini、Claudeなどが身近な例になります。DXの定義の言葉で言えば、AIは「デジタル技術」の中に含まれる1つの技術にあたります。

書き出しだけが違うAXの定義

DXとAIの関係を考えるうえで参考になるのが、政府の人工知能基本計画に出てくるAX(AIトランスフォーメーション)の定義です。令和7年12月23日に閣議決定された計画の脚注には、次の文が置かれています。

人工知能基本計画(令和7年12月23日閣議決定)脚注のAXの定義(原文)
「AIを活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

経済産業省のDXの定義と見比べると、書き出しの「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して」が、AXでは「AIを活用して」に変わります。「顧客や社会のニーズを基に」から後ろは、DXの定義と同じ並びです。AXは、DXの道具をAIに絞って言い直した言葉と読むことが出来ます。変える対象も、目指すゴールもDXと変わりません。なお、令和8年7月14日に閣議決定された新しい人工知能基本計画では、AXを「AIを前提として意思決定や業務の進め方を根底から見直す」取り組みと説明しています。

DXは目的、AIは手段|両者の関係性を整理する

DXとAIの関係は、目的と手段の関係と考えると分かりやすくなります。DXは会社がどう変わるかというゴールで、AIはそのゴールに近づくための道具の1つです。道具はAIだけではなく、クラウドの会計ソフトやオンラインの受発注、紙の書類をなくす電子化も、DXを支える手段に入ります。

反対向きの関係が成り立たない点にも注意が必要です。AIを入れても、業務や組織の進め方が変わらなければ、DXとは呼べません。AIを使わずに進むDXも、十分にあり得ます。経済産業省の文書が効率化・省力化にとどまらない変化を求めていることからも、道具を入れること自体がゴールではないと読み取れるでしょう。

IT化・DX・AXの違いを段階で見る

似た言葉のIT化も並べると、3つの言葉の違いがはっきりしてきます。

段階何を変えるか社員10〜200名の会社での例
IT化今の仕事の道具をデジタルに置き換える手書きの帳簿を会計ソフトに、紙の申請をワークフローのシステムに移す
DXデータとデジタル技術で、業務・組織・事業のやり方を変える受注から請求までのデータをつなぎ、手入力と転記の工程そのものをなくす
AXAIを前提に、意思決定や業務の進め方を見直す報告書や議事録の下書きはAIが作る前提で手順を組み直し、人の時間を確認と判断に回す

前の節で触れた令和8年7月14日の計画の説明のとおり、AXはAIを前提に業務の進め方を見直す段階にあたります。段階は必ずしも順番どおりに踏む必要はありませんが、IT化で業務のデータがデジタルになっていないと、AIに渡せる材料が少なくなってしまいます。自社がいまどの段階にいるのかを、まず確かめてみてください。

AIでできること|4つの技術と生成AIの用途

AIでできることは、大きく分けると「見る」「聞く」「読む・書く」「予測する」の4つになります。どの技術も、人が時間をかけていた確認や作業を肩代わりする形で、DXの手段として使われています。

  • 画像・映像の認識(製品の傷の検査、書類の文字の読み取り、防犯カメラの映像の確認など)
  • 音声の認識(会議の録音を文字にする、電話の内容を記録に残すなど)
  • 言葉の解析と生成(問い合わせの分類、文書の要約・翻訳、メールや報告書の下書きなど)
  • 数値の予測(売上や需要の予測、在庫の調整、設備の異常の予兆をとらえるなど)

このうち、社員10〜200名ほどの会社で特に始めやすいのは、言葉を扱う生成AIでしょう。画像認識や予測のAIは自社のデータを集めて学習させる準備が要りますが、生成AIは契約すればその日から文章の作成や要約に使うことが出来ます。

企業は生成AIを何に使っているか

実際の用途を見ると、文章を扱う仕事に集中しています。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」(2026年7月30日発行、国内1,799社の有効回答、調査期間は2026年4月中旬〜6月中旬)では、AI利活用の用途として「文書・音声の要約・翻訳・校正」が82.5%、「文書・レポートの作成(社内・社外)」が80.5%、「情報検索・収集・分析・レポーティング」が77.0%に上りました。一方で、「自社製品・サービスの高度化」は10.9%、「生産・物流・サービス提供の計画支援」は6.0%にとどまっています。

効果の中身も同じ傾向になります。同じ調査で効果の内容を尋ねた設問では、「業務が効率化したり迅速化した」が91.6%だった一方、「売上や利益が向上した」は3.9%でした。いまのAIの効果は、売上よりも手間の削減に表れやすいと考えておきましょう。

業種・部門別に見るAI活用の事例|公的調査の数字から

業種や部門ごとの使われ方は、公的な調査の数字から見るのが確かです。個別の会社の事例は条件が違いすぎて参考にしにくいため、ここでは複数の調査に出てくる部門別・業務別の数字を並べてみます。

管理部門から先に広がっている

IPAの「DX動向2026」で生成AIを利用している部署を見ると、「ITシステム」71.9%、「経営企画」69.0%、「総務・法務」68.4%が上位に並びました。「製造」35.7%、「調達」31.3%、「流通」23.9%は低めで、報告書は「バックオフィス系・管理系部門での利活用が先行している」とまとめています。

中小企業に絞った調査でも、結果はよく似た形になります。中小企業基盤整備機構の「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月、全国の中小企業10,000社が対象、調査期間は令和7年11月17日〜12月12日)では、業務分野別のAI導入率で総務・管理部門が68.3%と最も高く、営業・販売・サービス60.3%、経営・企画58.5%、製造・生産34.9%と続いています。

業務の種類ごとに見た効果の実感

総務省の「令和8年版情報通信白書」(概要)には、業務の種類ごとに生成AIの効果を感じる割合を示した図があります。日本の値を図から読み取ると、議事録・メール作成補助が72.3%、社内ヘルプデスクが42.7%、製造・生産が39.8%、研究・商品開発が39.1%、営業・販売が37.5%でした。白書の本文も、議事録・メール作成補助は活用している割合が約7割と最も高く、効果を実感する割合も同様だったと説明しています。

この割合は、その業務で生成AIを活用していると答えた企業に限った値と読めるもので、図には回答数の記載がありません。企業調査の対象は、従業員10名以上でデジタル化に取り組み始めた企業の、管理職以上の方となっています。

中小企業での使い方

商工組合中央金庫の「中小企業の生成AIの利用にかかる調査」(2026年1月調査、2026年3月31日公表、取引先の中小企業3,892社が回答)では、生成AIを積極的に活用している企業の使い道として、メール・報告書・議事録の作成・要約が74.0%、デスクワークの作業支援・自動化が48.7%を占めました。業種を問わず、まずは書く・まとめる仕事から使われていると見てよいでしょう。IPAの用途の数字を見ても、生産や物流の計画支援に使う企業はまだ少数にとどまっています。

文書仕事で広がるAI利用を、会社の1つの環境へ

書く・まとめる仕事から使われるほど、使う環境を会社で1つにまとめる意味が大きくなります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

中小企業のDXとAIの現在地|2026年の調査から

規模の小さい会社ほど、DXにもAIにもまだ手が付いていないのが実情です。IPAの「DX動向2026」では、DXに何らかの形で取り組んでいる企業は全体で75.7%でしたが、従業員「1,001人以上」の98.7%に対し、「100人以下」は41.6%にとどまりました。DXに取り組んでいない「100人以下」の企業では、「自社がDXに取組むメリットがわからない」が54.0%を占めています。

AIの導入でも、同じ差が見られます。IPAが2026年7月16日に公表したポイントでは、AIの導入は従業員1,001人以上で8割近くに達する一方、101人以下の企業(プレス発表の区分)では16.6%とされています。報告書の本文で、「100人以下」(報告書の区分)の企業が「関心はあるがまだ特に予定はない」と答えた割合は34.6%でした。

それでも全体の伸びは速く、生成AIを「導入している」企業は2024年度調査の22.6%から、2025年度調査では44.0%へと倍近くに増えました。総務省の「令和8年版情報通信白書」(概要)でも、日本の個人の生成AI利用経験率は58.8%となり、前年度の26.7%から大きく上がっています。ただし2025年度は調査対象に15〜19歳が加わっており、20歳以上に限ると52.2%となります。同じ白書の企業調査では、生成AIを積極的に、または領域を限定して活用する方針の企業が68.9%に達し、前年度の49.7%から上昇しました。

大きな会社と小さな会社の差が開きつつあるなかで、小さな会社ほど、生成AIのように準備の少ない道具からDXに入るのが現実的でしょう。中小企業基盤整備機構の調査でも、AIを導入済みの企業が使っているサービスは生成AIが82.6%を占めていました。同じ調査のAI導入率は20.4%で、導入を検討している18.6%を合わせても39.0%です。

※IPA「DX動向2026」は設問ごとに対象企業が異なります(各図表の注記による)。報告書内では2025年度調査と表記されています。総務省の白書(概要)の個人調査は2026年1〜2月のインターネットアンケートで、日本の有効回答は1,236件です。

DXとAIの導入でつまずきやすい課題

DXとAIの導入でつまずく原因は、技術よりも人と決め事の側にあることが多くなります。IPAの「DX動向2026」でAIの導入・運用上の課題を見ると、「専門人材が不足している」50.1%、「生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している」45.8%、「適切な利用を管理するためのルールや基準の作成が難しい」39.7%が上位に挙がりました。

目的があいまいなまま道具から入る

よくあるのは、AIを入れること自体が目的になってしまう形です。何の業務の、どの手間を減らしたいのかが決まっていないと、試してみたものの使われなくなってしまいます。商工組合中央金庫の調査でも、課題や導入しない理由として「具体的な活用場面が不明」が35.6%と最も多く挙がっています。

データと業務の整理が追いつかない

予測や画像認識のAIは、材料になるデータがそろっていないと動かせません。紙やExcelのばらばらな管理のままでは、AIに渡す前の整理に時間がかかってしまいます。IPAの同じ調査で、「効率化・自動化が見込まれる既存業務の把握」に着手している企業が19.0%にとどまっている点も、業務の棚卸しが後回しになりやすいことを示しています。

人材とルールが足りない

人材不足は、どの調査でも上位に来る課題です。IPAの調査では、DXを推進する人材の量が不足していると答えた企業が85.5%に上りました。商工組合中央金庫の調査でも、「導入を推進する人材がいない」が32.0%、「従業員の知識不足、心理的抵抗」が29.2%、「社内ルールや方針整備が追い付かない」が25.1%となっています。

使い方が個人任せになっている

中小企業で特に目立つのが、会社として決めないまま社員が個人で使っている状態です。同じ商工組合中央金庫の調査で生成AIの導入状況を尋ねると、「会社での導入はなく、使用は個人の判断に任せている」が64.9%と6割を超え、会社での使用を禁止・制限している企業は1.4%にとどまりました。IPAの調査でも、生成AIを導入・試験利用・検討している企業のうち63.3%が「個人で業務利用している」と答えています。

個人任せの利用は、会社が把握していないAI利用、いわゆる野良AI(シャドーAI)の入口になります。どのサービスに、誰が、どんな情報を入れているのかを会社が説明できない状態は、DX以前の危うさを抱えてしまいます。個人任せのまま利用が広がると、後から会社のルールに乗せ直すのが難しくなります。同じ調査では、生成AIを積極的に活用している企業の中でも、会社として導入した企業のほうが、個人の利用を推奨するだけの企業より経営へのプラス効果を感じている割合が10ポイント以上高いと報告されています。

AI導入の手順|社員10〜200名の会社が進める5つのステップ

AI導入の手順は、目的を決めてから小さく試し、効果を確かめて広げるという順番が基本になります。予測や画像認識のAIを自社で作る場合は、データ収集、アルゴリズムの開発、学習とテスト、本稼働という流れをたどります。生成AIを使う場合は開発の工程がなく、その分の力をルール作りと社員への配布に充てることが出来ます。

ステップ1 減らしたい手間を決める

最初に、どの業務の、どの手間を減らしたいのかを書き出します。議事録、報告書、メールの下書き、社内の問い合わせ対応など、調査で効果が出ている文章の仕事から候補を選ぶと始めやすいでしょう。

ステップ2 今の使われ方を確かめる

次に、社員がすでにどのAIを、何に使っているのかを確かめます。個人で使っている方がいれば、その使い方は社内の貴重な手本になります。禁止するより、同じ使い方を会社の環境で続けられるようにする方向で考えてみてください。

ステップ3 ルールと環境を先に用意する

全社に広げる前に、入れてよい情報と入れてはいけない情報、出力を人が確認する手順を決めておきます。あわせて、会社が契約し、管理できる環境を用意しましょう。ルール文書の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめています。

ステップ4 小さなチームで試して効果を測る

1つの部署や数名のチームで試し、作業にかかった時間がどれだけ減ったかを記録します。効果が数字で見えると、ほかの部署に広げるときの説明がしやすくなります。商工組合中央金庫の調査で「導入効果が測定できず成果が見えにくい」を課題に挙げた企業が21.3%あったことからも、最初に測り方を決める意味は大きいでしょう。

ステップ5 全社員に配り、業務の流れを変える

効果が確かめられたら、全社員に配って業務の流れそのものを見直します。議事録はAIが下書きし、人は確認と判断に時間を使う、といった形に手順書を書き換えるところまで進めて、ようやくDXと呼べる変化になります。一部の社員にしか配らないと、配られなかった方が個人のアカウントで使い始めてしまうことがあるため、注意が必要です。

生成AIを会社で安全に使うには|セキュリティとルールの要点

生成AIを会社で安全に使うには、学習させない設定、ログの管理、社員への配布、複数AIの使い分けの4点を会社の側でそろえることが大切です。社員一人ひとりの注意だけに頼ると、設定の漏れや見えない利用が残ってしまいます。IPAの「DX動向2026」では、生成AIを導入・試験利用・検討している企業のうち、全社的な社内ガイドラインやルールを定めている企業は32.5%で、AIポリシーもガイドラインも定めていない企業が16.7%ありました。

入力した内容を学習に使わせない

入力した内容がAIの学習に使われるかどうかは、サービスとプラン、設定によって変わります。個人のアカウントでは、その設定が社員本人に任されることになります。会社で使う環境では、全員に同じ設定を一律に適用できるかを確かめておきましょう。

誰が、いつ、どのAIを使ったかを残す

利用ログを会社で取れるかどうかは、問題が起きたときに説明できるかどうかを左右します。取引先からAIの使い方を尋ねられたときに、記録をもとに答えられる状態を目指したいところです。

全社員に配って、見えない利用をなくす

1人ごとに料金がかかる契約では、費用を抑えるために一部の社員だけに配る判断に傾いてしまいます。配られなかった方が個人のアカウントに流れると、前の節で見た個人任せの状態に戻りかねません。社員の数に左右されずに全員へ配れる料金の形かどうかも、選ぶときの確認点になります。

複数のAIを用途で使い分ける

生成AIには、Web検索と出典の提示が得意なもの、長い文書の読み込みが得意なものなど、それぞれ得意分野があります。用途ごとに使うAIを会社で決めて共有すれば、現場が迷う場面は減っていきます。複数のAIを1つの契約と画面でまとめて使う方法はマルチAIとは、それぞれの違いは主要4AIの違いと使い分けで紹介しています。

生成AIをDXの一歩目にする社内ルールのチェックリスト

導入の前に確かめておきたい項目を、8つにまとめました。

  • 生成AIで減らしたい業務の手間を、部署ごとに書き出した議事録・報告書・メールなど、文章の仕事から候補を挙げると始めやすくなります。
  • 社員が今どのAIを個人で使っているかを把握した禁止する前に、使われ方を手本として集めます。
  • 入力してよい情報・いけない情報を文書で決めた顧客の個人情報や未公表の数字など、具体的な例を挙げて示します。
  • 入力内容を学習に使わせない設定を、全員に一律で適用できる社員ごとの操作に任せると、設定の漏れが残ります。
  • 誰がいつどのAIを使ったかのログを会社で確認できる取引先に説明を求められたときの根拠になります。
  • 退職・異動のときに、管理者がアカウントを止められる個人のアカウントでは、会社から止める手段がありません。
  • AIの出力を人が確認してから社外に出す手順がある誤りを含む回答がそのまま外に出るのを防ぎます。
  • AI活用の責任者を決めた経営層、またはその任を受けた方が方針を示します。

より細かな点検項目は、生成AIのセキュリティ対策チェックリストで確認出来ます。

DXとAIの推進を成功させるポイント

DXとAIの推進で結果を出すには、目的の明確化、小さく始める進め方、人材の育成、経営の関与、外部の力の活用の5点が要になります。

目的と測る数字を先に決める

「AIを使う」ではなく「議事録の作成時間を半分にする」のように、減らしたい手間と測り方を決めてから始めます。目的が数字になっていれば、効果が出たかどうかを社内で共有しやすくなります。

小さく始めて、効果が見えたら広げる

最初から全社の仕組みを作り込むより、1つの部署で試して手応えを確かめるほうが、失敗したときの痛手は小さく済むでしょう。IPAの調査で、AIを導入・試験利用している企業のうち「期待以上の効果があった」13.7%と「期待どおりの効果であった」18.1%を合わせた31.8%が期待に届いたと答え、「一定の効果はあった」は50.6%でした。最初から大きな成果を見込まず、手間の削減を積み上げる姿勢で進めてみてください。

全社員が使える状態にし、学ぶ場を用意する

人材は、専門家を採用するだけでなく、全社員が基本的な使い方を身に付けることでも補えます。令和8年7月14日閣議決定の人工知能基本計画も、全ての国民が目指す人材像として、AIの基礎的な知識を身に付けて適正に使う「AI適正活用人材」を挙げています。総務省の白書(概要)で生成AI活用のための環境整備を尋ねた設問では、スキルやノウハウを学ぶ環境があると答えた日本企業は39.9%(回答326社)で、米国62.7%、ドイツ60.4%、中国71.7%を下回っていました。社内で使い方を共有する時間を、月に一度でも設けてみましょう。

経営層が旗を振る

AIの導入を誰が主導するかも、進み方を左右します。IPAの調査では、AI導入・利活用のリーダーシップを担っているのは「IT部門の長」が46.0%で、「経営層」は32.1%、CAIO(最高AI責任者)は2.9%でした。報告書は、AI利活用を専門的に主導する体制が整っている企業はまだ少ないとしています。小さな会社ほど、社長や役員が自ら使い、方針を言葉にして社内に示すことが大切になります。

外部の力を借りる

社内に詳しい人がいなければ、外部の支援を使うのも1つの方法です。中小企業基盤整備機構の調査では、中小企業が足りないと感じている情報として「成功事例や活用事例などの情報」が83.3%、「適切なベンダーや製品を選定する情報」が79.8%に上りました。公的機関の資料や支援窓口、導入を手伝う事業者の情報を集め、自社に合う進め方を選んでいきましょう。

DXの次の段階として語られるAX(AIトランスフォーメーション)

AXは、AIを前提に意思決定や業務の進め方を見直す取り組みを指す言葉です。政府は令和8年7月14日に閣議決定した人工知能基本計画で、あらゆる組織でAXを進めていくとしています。同じ計画は、産業においても中堅・中小企業や地方部を含めて、AIを生産性や創造力、実行力を向上させる成長基盤と位置付ける方針を示しました。

最初の節で見たとおり、AXの定義は、DXの定義の書き出しを「AIを活用して」に置き換えた形でした。そのため、AXはDXと別の新しい取り組みというより、DXの中でAIを主役に据えた段階と捉えると分かりやすいでしょう。AXに進む土台は、全社員が安全にAIを使える状態を先に作ることにあります。AXの考え方と中小企業が最初に取り組むことは、AXとは?DXとの違いと、中小企業が最初の30日でやることで詳しく紹介しています。

DXの一歩目を、会社で管理できる生成AI環境から

UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約・1つの画面で使える法人向けサービスです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理でき、基盤はAWSの日本リージョンで稼働しています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

DXとAIの違いを一言で言うと何ですか?
DXは、データとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデル、業務、組織、企業文化を変革し、競争上の優位性を確立する取り組みです。AIはその変革に使う技術の1つです。DXが目的、AIが手段という関係になります。
AIを導入すればDXになりますか?
AIを導入しただけではDXとは言えません。経済産業省のデジタルガバナンス・コード3.0は、デジタルの力を効率化・省力化にとどめず、既存ビジネスの付加価値向上や新規デジタルビジネスの創出に振り向けることを求めています。AIを使って業務の流れや組織の進め方を変えたときに、はじめてDXの一部になります。
DXとAXは何が違いますか?
人工知能基本計画(令和7年12月23日閣議決定)の脚注にあるAXの定義は、経済産業省のDXの定義の書き出し「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して」を「AIを活用して」に置き換え、後半は同じ文になっています。変える対象と目指すゴールは同じで、使う道具をAIに絞った言葉と読むことが出来ます。
小さな会社はDXとAIのどちらから始めればよいですか?
業務の手間を減らしたいのであれば、文章の作成や要約に使える生成AIから始めるのが現実的です。IPAの「DX動向2026」でも、AIの用途は「文書・音声の要約・翻訳・校正」が82.5%で上位に挙がっています。ただし、会社としてのルールと管理できる環境を先に用意してから社員に配ることが大切です。
生成AIを社員に使わせるとき、最初に決めることは何ですか?
入力してよい情報といけない情報、出力を人が確認する手順、使ってよいサービスの3つを先に決めます。あわせて、入力内容を学習に使わせない設定を全員に一律で適用できるか、誰がいつどのAIを使ったかのログを会社で確認できるかも確かめておくと安心です。

まとめ

DXとAIの違いは、目的と手段の違いになります。経済産業省の定義で、DXはデータとデジタル技術を活用して製品やサービス、業務、組織、企業文化まで変革し、競争上の優位性を確立することとされています。AIはその手段の1つで、道具をAIに絞って同じ変革を目指す言葉がAXです。

導入の費用を抑えたい場合は、デジタル化・AI導入補助金の対象になるかも確かめておきましょう。

2026年の調査では、100人以下の会社でDXに取り組む企業は41.6%にとどまる一方、生成AIを導入している企業は1年で倍近くに増えました。商工組合中央金庫の調査では、生成AIの使用を個人の判断に任せている中小企業が6割を超えています。個人任せの利用を会社で管理できる1つの環境にまとめ、全社員が安全に使える状態を作ることが、DXの一歩目として現実的でしょう。法人のAI活用に関するほかの記事は、AI活用コラム一覧をご覧ください。

※数値と定義は、2026年9月17日〜18日に各資料(経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」、内閣府掲載の人工知能基本計画、IPA「DX動向2026」、総務省「令和8年版情報通信白書(概要)」、商工組合中央金庫・中小企業基盤整備機構の調査)の原文を確認したものです。UPGEAR AIの料金と機能は、2026年9月26日時点のサービスページの記載です。