声のAI利用に指針、日俳連が発表
COPLUS AI NEWS | 2026年10月16日 夕版
AIで使う「声」にルールを、現場のAIは電話・文書・天気へ
声優や俳優の団体が、声を生成AIで扱う際に事前の許諾と対価を求める指針を打ち出しました。中小企業向けのAI電話受付、社内で動かせる国産LLM、AIによる雨の短時間予測、製造業向けのAI活用診断とあわせ、夕方のAI動向5本を整理します。
📋 本日のニュース
① 日本俳優連合、声優・俳優の声を生成AIで扱う際の指針を発表 学習から利用まで全段階で事前の許諾を求める
日本俳優連合 発表/2026年10月15日
声優や俳優でつくる日本俳優連合(日俳連)は10月15日、「音声に関する生成AI利用ガイドライン」を発表しました。AIの学習、生成、公開・利用のどの段階でも、声の持ち主から事前に許諾を得ることを必須としています。AIで生成した音声の利用は新たな形の実演の提供とみなし、適切な対価を支払うべきだとしたほか、多言語の吹き替えにAIを使う場合の追加の許諾と対価、亡くなった実演家の声を再現する場合の遺族などからの厳格な許諾も定めました。声の権利を直接定めた法律がない中で、関係者に守ってもらう自主的な基準と位置づけています。
💡 コプラスの視点
音声生成AIはナレーション動画や社内研修、広告などで企業も手軽に使えるようになりましたが、元になった声の権利への配慮が追いついていない場面もあります。人の声に似せた音声を業務で使う場合は、誰の声を素材にしたか、許諾と利用範囲がはっきりしているかを確かめる手順を社内ルールに入れておくと安心です。AIの生成物を外部に出す前の確認項目として整理しておきたいところです。
② LINE WORKS、代表電話の一次受付をAIが代わる「LINE WORKSキャッチコール」を10月19日に提供開始 月8,900円から
LINE WORKS 発表/2026年10月15日
LINE WORKSは10月15日、会社の代表電話にかかってきた電話の一次受付をAIが代行する「LINE WORKSキャッチコール」を10月19日から提供すると発表しました。AIが相手の名前や会社名、折り返し先、用件などを聞き取り、文字にしてLINE WORKSのグループやメールに送ります。専用の050番号への転送設定で使うため、今の電話番号はそのまま使えます。料金は年契約で月8,900円(税別、年1,800件まで)からで、初期費用や1件ごとの課金はなく、2027年3月31日までの申込は契約日から1年間無料になるとしています。
💡 コプラスの視点
少人数の会社や事務所では、電話対応のたびに手元の作業が止まることが小さくない負担になっています。電話の用件を文字で受け取れれば、折り返しの優先順位を落ち着いて決められます。AIに聞き取らせる項目や、要件が込み入った電話を人につなぐ基準を決めておくと、導入後の戸惑いを減らせます。
③ リコー、自社で動かせる国産LLM「リコーLMM_35B-A3B」を開発 11月からオンプレ向けキットに順次搭載
リコー 発表/2026年10月15日
リコーは10月15日、日本語の文書や図表を読み取れる大規模言語モデル「リコーLMM_35B-A3B」を開発したと発表しました。総パラメータ数は約350億で、推論時に動くのは約30億に絞るMoEという構造をとり、アリババクラウドのモデルをもとに日本語の推論性能を高めたとしています。同社発表のベンチマークでは、企業文書の読解や、AIエージェントとして顧客対応を進める評価でもとのモデルを上回ったとしています。2026年11月から順次、社内に置いて使う「RICOH オンプレLLMスターターキット」に搭載し、リコージャパンが提供する予定です。
💡 コプラスの視点
顧客情報や社外秘の文書を外部のクラウドに出せない業務では、社内で動かせるモデルの選択肢が増えることに意味があります。一方で、ベンチマークの数値は同社が自ら測ったもので、自社の文書で期待どおりに読めるかは試してみないと分かりません。導入を考える場合は、実際の帳票や社内資料で小さく試し、運用の手間とあわせて比べることが大切です。
④ ウェザーニューズ、AIで3時間先までの雨を予測する「AI-Nowcast」を天気アプリに実装 強い雨の捕捉率が向上
ウェザーニューズ 発表/2026年10月15日
ウェザーニューズは10月15日、独自に開発したAIの気象予測モデル「AI-Nowcast」を天気アプリ「ウェザーニュース」に実装したと発表しました。過去6年分のレーダーや地点観測、利用者からの報告をもとにした解析値で、雨雲が生まれて発達し、移動して消えるまでのパターンを学習させたとしています。同社の実証では、1時間に10mm以上の強い雨の捕捉率が現行モデルより1時間後で8ポイント、2時間後と3時間後で10.1ポイント上がりました。線状降水帯やゲリラ雷雨のように急に発達する雨雲への対応を主な狙いとしています。
💡 コプラスの視点
数時間先の雨の見通しは、建設や物流、イベント運営、店舗の仕入れなど、天候で段取りが変わる仕事の判断に直結します。過去のデータから急な変化のパターンを学ばせる考え方は、需要予測や設備の異常検知など、ほかの業務の予測にも通じます。予測は外れることもある前提で、どの情報を見て誰が判断するかを決めておくことが活用の鍵になります。
⑤ フォーティエンスコンサルティング、製造業向けに「AIネイティブ診断サービス」を開始 AI活用の段階を5段階で把握
フォーティエンスコンサルティング 発表/2026年10月15日
NTTデータグループのフォーティエンスコンサルティング(旧クニエ)は10月15日、製造業向けに「AIネイティブ診断サービス」の提供を始めたと発表しました。企業が目指す姿と今のAI活用の差を明らかにし、差を埋める施策を整理して優先順位を付けて提案します。AI活用の段階を「単一タスク支援」から、業務の実行に加えて自ら最適化まで担う「AIネイティブ」までの5段階で捉え、全社と業務機能の両面から現状を確かめるとしています。期間は2カ月からで、費用は個別見積もりです。
💡 コプラスの視点
AIを試してはみたものの、個人の便利ツールの域を出ないという声は製造業に限らず多く聞かれます。今の使い方が個別の作業の手伝いなのか、業務そのものを任せる段階なのかを言葉にして整理するだけでも、次に取り組む順番が見えやすくなります。外部の診断を使うかどうかにかかわらず、社内のAI活用の棚卸しから始めるのが現実的な一歩です。
明日への展望
日俳連の指針は法的な拘束力を持たない自主基準のため、制作会社やAI開発企業がどこまで受け入れるか、ほかの実演家団体や業界に同様の動きが広がるかが注目されます。中小企業向けにはAIの電話受付のように月額で始められるサービスが増えており、社内で動かせるモデルや業種別の診断サービスとあわせ、導入の選択肢がどこまで具体的になるかを見ていく必要があります。
本日のまとめ
声を生成AIで扱う際の許諾と対価を求める指針、代表電話の一次受付を担うAI、社内で動かせる国産LLM、強い雨を早くとらえるAI予測、製造業向けのAI活用診断と、AIを使う側のルールづくりと現場への組み込みが同時に進んだ一日でした。
コプラス株式会社は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの画面で使える法人向け生成AI「UPGEAR AI」を提供しています。安全な使い方の設計や社内ルールづくりのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

