声にもパブリシティ権、東京地裁

COPLUS AI NEWS | 夕版

AIの線引きを、裁判所と現場が示し始めた

東京地方裁判所が、生成AIで模倣された声をめぐる訴訟で、人の声もパブリシティ権の保護対象になるとの判断を示しました。厚生労働白書は医療・介護の人手不足にAIやロボットの活用を挙げ、米国では大統領とAI関連企業の経営者らが安全管理の合意文書に署名しています。AIをどこまで、どう使うかの線引きに関わる動きを5本まとめます。

① 東京地裁、生成AIで模倣された「声」もパブリシティ権の対象と判断 動画の削除請求は棄却

時事通信 / 2026年9月30日

東京地方裁判所は9月30日、声優の津田健次郎さんが、生成AIで自身の声を模倣した動画を無断で投稿されたとして、TikTokの運営会社に動画の削除を求めた訴訟の判決を言い渡しました。時事通信によると、判決は人の声について、肖像と同じように個人の人格の象徴だと述べ、声もパブリシティ権の保護対象に含まれるとの判断を示しました。一方で、問題の動画はすでに削除されていたため、削除の請求そのものは退けられ、権利が侵害されたかどうかの個別の判断は行われていません。同通信は、声のパブリシティ権を認めた司法判断は初めてと報じています。

💡 コプラスの視点

広告動画や社内向け研修のナレーションに、著名人に似せたAI音声を使うと、権利の侵害を問われる可能性があることが裁判所の判断として示されました。動画制作を外注する場合も含め、音声の出どころと許諾の有無を確かめる項目を、発注時の確認事項や社内ルールに加えておくと安心です。

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② 厚生労働白書、医療・介護・福祉の人手不足にAI・ロボットの活用を 国民の7割以上が導入に肯定的

厚生労働省 / 2026年9月29日

厚生労働省は9月29日、令和8年版の厚生労働白書を公表しました。第1部のテーマは「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」で、ICT、AI、ロボットなどのテクノロジーを使った生産性の向上を取り上げています。概要資料は、2025年から2040年にかけて85歳以上の人口が約300万人増え、生産年齢人口が約1,100万人減るとの見通しを示しています。医療分野では、現場の業務に直結する技術として音声入力、AI問診、画像診断支援AI、見守り機器などを挙げ、導入はまだ限定的だとしました。医療・介護へのテクノロジー導入に「賛成だ」「やや賛成だ」と答えた人は、いずれも7割を超えたとしています。

💡 コプラスの視点

白書の概要は、テクノロジーは導入するだけでは成果が出ず、現場が自ら進める業務の見直しと一体になって初めて効果を発揮する、とも指摘しています。これは医療・介護に限らず、人手不足に悩むどの業種にも当てはまります。道具を選ぶ前に、どの作業を減らしたいのかを現場と決めておくことが出発点になります。

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③ デル・テクノロジーズ調査、過去1年に生成AI関連のセキュリティ問題を経験したとの回答が78.5% 最多は情報漏えい

デル・テクノロジーズ(PR TIMES) / 2026年9月29日

デル・テクノロジーズは9月29日、企業のAI・生成AI活用とセキュリティリスクに関する調査結果を発表しました。従業員300〜999人の中堅中小企業412名と、1,000人以上の大企業403名の計815名が対象で、2026年8月から9月にかけて実施したものです。同社によると、所属する組織で生成AIを何らかの形で利用しているとの回答は95.7%、生成AIの普及で自社のセキュリティリスクが高まるとの回答は84.7%でした。過去1年間に生成AI関連のセキュリティ問題を経験したとの回答は78.5%で、直面した問題の上位は情報漏えい(20.2%)、不正アクセス(16.9%)、マルウェア感染(14.1%)だったとしています。

💡 コプラスの視点

パソコンを販売する会社による調査である点は踏まえて読む必要がありますが、利用がほぼ行き渡った一方で、問題を経験した会社も多数にのぼるという結果は重いものです。誰がどのAIに何を入力してよいのか、端末の更新や設定は誰が見ているのかを、一度書き出して点検しておきたいところです。

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④ エーディーエステック、AIコーヒー豆選別機「beAns-Eye」を発表 利用者が自分でAIモデルを作れる設計

エーディーエステック(PR TIMES) / 2026年9月30日

千葉県船橋市のエーディーエステックは9月30日、AIコーヒー豆選別機「beAns-Eye(ビーンズ・アイ)」を、10月14日から16日に東京ビッグサイトで開かれる展示会「SCAJ2026」で先行公開すると発表しました。欠点豆や異物を画像から見分けて自動で選別する機械で、利用者が自分の豆を撮影して学習させ、自店の基準に合わせた独自のAIモデルを作れるとしています。豆を落とさずに上下2面から撮影する方式で、生豆と焙煎後の豆の両方に対応します。同社は、5〜6kgの選別作業を約9時間から最大40分に短縮できると説明しています。価格と発売時期は発表に記載されていません。

💡 コプラスの視点

手作業の目利きを、店ごとの基準のままAIに覚えさせられる点が、小さな焙煎店にとっての要です。メーカーが決めた基準に合わせるのではなく、自社の基準を学習させる設計は、食品や部品の検品など、ほかの中小の現場にも広がっていきそうです。

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⑤ トランプ米大統領とAI関連企業の経営者6人、安全管理の合意文書に署名 大統領は「道義的な拘束力」と説明

ITmedia NEWS / 2026年9月30日(署名は米国時間9月29日)

トランプ米大統領は9月29日(米国時間)、ホワイトハウスでAI関連企業の経営者らと、AIの安全な開発に関する合意文書「White House Accord on Super Intelligence」に署名しました。ITmedia NEWSが米Forbesの報道として伝えたところでは、署名したのはGoogleのピチャイ氏、Anthropicのアモデイ氏、Metaのザッカーバーグ氏、OpenAIのブロックマン氏、NVIDIAのフアン氏、イーロン・マスク氏です。最先端のモデルを開発する企業に4層の管理・監査体制の導入を求め、参加企業は安全基準について定期的に協議するとしています。トランプ氏は、この合意には道義的な拘束力があると述べたと報じられています。あわせて、連邦政府機関の公式な文書やWebサイトなどで「AI」の代わりに「Super Intelligence(SI)」を使うよう命じる大統領令にも署名しました。

💡 コプラスの視点

米国では、AIの安全管理を開発企業どうしの取り決めで進める動きが前に出てきました。使う側の企業にとっては、提供元の対応に任せきりにせず、入力してよい情報の範囲や出力の確認手順を自社で決めておくことが、これまで以上に大切になります。

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明日への展望

今日の5本は、AIを使ってよい範囲を誰が決めるのかという問いでつながっています。国内では10月1日に、文部科学省の中央教育審議会デジタル学習基盤特別委員会が開かれ、学校での生成AIの利活用に関するガイドラインの改定に向けた検討状況が議題に挙がっています。声の権利をめぐる今回の判断が、広告や動画制作の現場の運用にどう反映されていくかにも注目です。

本日のまとめ

声の権利、医療・介護の人手不足、セキュリティ、現場の検品、そして開発企業の自主管理と、AIの使い方に線を引く動きが国内外で重なった一日でした。ルールが外から示されるのを待つよりも、自社で使ってよい範囲を先に決めておくほうが、現場は安心して使えます。コプラスは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの環境で使える法人向けAI「UPGEAR AI」と、社内ルールづくり・研修で、AIを業務に根付かせるお手伝いをしています。

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