
NotebookLM(2026年7月からGemini Notebook)とGeminiの違いとは、答えを作るときに何を根拠にするかと、そこで交わした会話がどこに残るかの違いです。NotebookLMは自分で入れた資料(ソース)だけを根拠に、引用を付けて答えます(Google AI Pro・Ultraのパソコン版で使える試験運用のエージェント機能を使う場合を除く)。Geminiアプリは同じノートブックを開いた場合でも、ウェブ検索などのツールを交えて答えることがあり、会話はGeminiアプリ側の保存設定に従って残ります。ノートブックの資料から音声解説やスライド資料を作るStudioの機能は、NotebookLMの画面でしか使えません。この記事では、同じノートブックを2つの入口から使ったときに何が変わるかを公式ヘルプの記載で確かめ、会社の仕事ではどちらに何を任せ、どの資料をどちらに入れてよいかを判断表と業務場面の例で整理します。
NotebookLMそのものの使い方の手順、入れられるファイル形式と容量、料金プランの一覧、Workspace版とEnterprise版の契約経路、共有の権限といった全体像は、NotebookLMの使い方|手順・料金と会社で使う前の注意点で解説しています。ここでは、Geminiとの違いと、2つを並べて使うときの判断に絞ります。
※仕様は2026年9月18日時点の Google 公式ヘルプ(Gemini Notebook ヘルプと Gemini アプリ ヘルプの日本語版)の記載です。Geminiアプリのプライバシー ハブは2026年9月16日に確認した内容(ページ上の最終更新は2026年8月10日)です。いずれも変更される場合があります。なお、ヘルプの日本語版には、AI技術で翻訳された内容が含まれる場合があるとの注記があります。
結論|NotebookLMとGeminiは何が違うのか
一言でいえば、NotebookLMは手元の資料を読むための道具で、Geminiアプリは考えたり書いたり調べたりするための道具です。ただし2026年時点では、NotebookLMで作ったノートブックがGeminiアプリの画面にも表示され、どちらからでも同じノートブックに質問できるようになっています。そのため、違いは「別々の2つのサービス」という単純な話ではなく、同じノートブックに対して、どちらの入口から話しかけたかで挙動が変わる、という形で現れます。
会社の仕事で押さえるべき違いは、次の4つです。
- 答えの根拠:NotebookLMはノートブックのソースだけで答えます。Geminiアプリからノートブックに質問すると、ソースに基づきつつ、ウェブ検索やその他のツールも根拠に含まれる場合があります。
- 成果物:音声解説、動画解説、インフォグラフィック、スライド資料といったStudioパネルの成果物は、NotebookLMでしか作れません。
- 会話の行き先:Geminiアプリでノートブックについて交わした会話は、Geminiアプリの [アクティビティの保存] の設定に従って保存されます。設定によっては、その会話がノートブックの文脈(コンテキスト)としてNotebookLM側にも表示されます。
- 共有の制約:Geminiとのチャットを含むノートブックは共有できず、NotebookLMで共有したノートブックはGeminiアプリには表示されません。
会社としての使い分けの基本:社内の資料を根拠にした答えや、資料から作る成果物はNotebookLMで扱う。文章の下書き、発想、社外の最新情報の調べものはGeminiアプリで扱う。社外秘の資料を入れたノートブックには、Geminiアプリ側から話しかけない。この3行で、多くの場面の判断がつきます。
NotebookLMは2026年7月からGemini Notebook(ノートは引き継がれ移行は不要)
公式サイト(notebook.google)のよくある質問には、2026年7月よりNotebookLMはGemini Notebookになると記載されています。同じ回答の中で、これまでのNotebookLMはそのままGemini Notebookとして使え、既存のノートブックにもこれまでどおりアクセスできると案内されています。別のサービスへの乗り換えではないため、ノートブックを移す作業はいりません。また、Gemini Notebookはこれまでどおり、ウェブとモバイルで単独のツールとしても使えると書かれています。
名前にGeminiが入ったことで、Geminiアプリの一機能になったと受け取られがちですが、単独の画面(notebook.google.com)は残っています。この記事では、検索で使われることの多いNotebookLMの名称を主に使い、画面の名称を示す場面ではGemini Notebookと併記します。社内の規程やマニュアルで扱うときも、「NotebookLM(Gemini Notebook)」のように両方を書いておくと、別のサービスと誤解されにくくなります。
Geminiアプリと呼ぶものの範囲
この記事でGeminiと書くときは、Googleの対話型AIであるGeminiアプリ(gemini.google.com やスマートフォンのアプリ)を指します。GmailやGoogleドキュメントの中で使えるGeminiの機能や、開発者向けのGemini APIは扱いません。Geminiアプリは、ノートブックを使わない普段の会話では、文章の作成、要約、アイデア出し、ウェブ検索を交えた調べものなど、幅広い依頼に応える汎用の対話型AIです。プラン別の機能表には、Canvas、Deep Research、スライドの生成、画像生成などの機能が並んでいます。
項目別の比較表|NotebookLMとGeminiアプリ
違いを項目ごとに並べると、根拠・成果物・会話の扱い・共有の4点で差がはっきり出ます。同じノートブックを使う場合でも、右の列の挙動になる点に注意してください。
| 項目 | NotebookLM(Gemini Notebook)の画面で使う | Geminiアプリから同じノートブックを使う |
|---|---|---|
| 回答の根拠 | ノートブックのソースのみ | ノートブックのソースに基づくが、ウェブ検索やその他のツールも含まれる場合がある |
| 引用 | 回答にインラインで引用が付き、ソースの該当箇所に移動できる | ノートブックのヘルプには引用の表示についての記載がない |
| ソースにないことを聞いたとき | 答えがソースにない場合は回答できない | ウェブ検索などで補って答える可能性がある |
| Studioの成果物(音声解説・動画解説・インフォグラフィック・スライド資料など) | 作れる | 作れない(NotebookLMでのみ利用可と記載) |
| Playブックスの電子書籍をソースにする | できる(対象の書籍のみ) | 追加できない |
| 名前・ソース・カスタム指示 | どちらで変更しても、もう一方と同期される | |
| 会話の保存 | チャットの履歴は保持され、非公開。消すときはチャットパネルから削除 | Geminiアプリの [アクティビティの保存] の設定に従う |
| 共有 | 閲覧者・編集者を指定して共有できる | 共有されたノートブックは表示されない。Geminiとのチャットを含むノートブックは共有できない |
| 向いている仕事 | 決まった資料の読み込み、要約、根拠の確認、資料からの成果物づくり | ノートブックの資料を踏まえた発想、文章の展開、社外の情報を交えた検討 |
※公式ヘルプ「Gemini アプリの Notebooks」「Gemini Notebook でチャットを使用する」「よくある質問」の記載をもとに整理(2026年9月18日確認)。Geminiアプリ側の引用表示は、ヘルプに記載がない旨を記しています。
表の中で、会社の管理にとって重いのは、下の3行(会話の保存・共有・向いている仕事)ではなく、実は上の2行です。答えの根拠が資料だけなのか、社外の情報が混ざっているのかが分からないまま、回答を社内の判断や顧客向けの文書に使ってしまうことが、2つを並べて使うときに起きやすい失敗です。
回答の根拠(情報源)の違い|ソースだけか、ウェブ検索も混ざるか
NotebookLMは、入れたソースの範囲で答えるように作られています。Geminiアプリは、同じノートブックを開いていても、ウェブ検索やその他のツールを答えの根拠に加えることがあります。ヘルプ「Gemini アプリの Notebooks」は、ノートブックは両方のアプリで使えるが、回答の根拠づけは使うアプリによって異なる、と明記しています。
インライン引用で根拠をたどれる
NotebookLMの回答には、ソースから抜き出した文章や画像が引用として付きます。引用部分にカーソルを合わせると引用元のテキスト全体が表示され、選ぶとソースの該当箇所に移動します。ヘルプはこの引用を、回答の正確性を確かめるのに役立つものと説明しています。
会社の仕事でこの仕組みが効くのは、答えの正しさを人が短時間で確かめられる点です。たとえば「出張旅費の日当はいくらか」と聞いたとき、回答の数字の横にある引用を開けば、旅費規程のどの条文を読んだのかがその場で分かります。改訂前の規程と改訂後の規程が両方ソースに入っていれば、どちらの版を引いたのかも引用で見分けられます。
ただし、引用が付かない場合もあります。ヘルプのよくある質問によると、ソースの内容が短すぎるときは個々の文は引用されず、ドキュメント全体が参照されます。1行だけのメモや、見出しだけの資料をソースにしたときは、引用の粒度が粗くなると考えておきます。
資料にないことは答えない|ハルシネーションが起きにくい理由と限界
AIがもっともらしい誤りを作ってしまう現象は、ハルシネーションと呼ばれます。NotebookLMでこれが起きにくいとされるのは、答えがソースにない場合は回答できないという作りになっているためです。ヘルプは、質問に答えられない理由の一つとして「ソースにない情報」を挙げ、アップロードされたソースに含まれる情報に基づいて回答するよう設計されている、と説明しています。短編小説の結末を書き換えるような創作寄りの依頼には、「Gemini Notebook はこの質問には答えられません」と返ることがあるとも書かれています。
とはいえ、誤りがなくなるわけではありません。ヘルプ自身が、Gemini Notebookは不正確な情報を提示することがあると注意しており、スライド資料についても事実として不正確な情報が含まれる場合があると書いています。起きやすいのは、次のような場面です。
- ソースそのものが古い、または誤っている(NotebookLMは資料の中身の正しさまでは判断しません)
- 似た内容の資料が複数入っていて、別の資料の数字を組み合わせてしまう
- 質問があいまいで、関係の薄い箇所をもとに答えてしまう(ソースが多いときは、まず質問に関係の深い情報を探してから回答を作る仕組みのため、ヘルプは具体的な質問を勧めています)
資料にないことは答えないという性質は、裏返すと、資料の外の知識で補ってほしい場面では役に立たないということでもあります。この性質が長所になるのは、答えの範囲を社内の資料に閉じておきたい仕事です。
Geminiアプリは手持ちの知識とツールを組み合わせて答える
Geminiアプリは、ノートブックを使わない普段の会話では、モデルがあらかじめ身につけた知識や、ウェブ検索などのツールを組み合わせて答えます。ノートブックを開いて質問した場合も、ヘルプの記載どおり、ソースに加えてウェブ検索やその他のツールが根拠に含まれる場合があります。資料に書いていないことにも答えが返ってくるのは便利な反面、返ってきた文のどこまでが社内の資料で、どこからが社外の情報なのかを、読む側が意識して確かめる必要があります。
例外:Google AI Pro・Ultraの試験運用機能
NotebookLM側にも例外があります。ヘルプ「Gemini Notebook でチャットを使用する」によると、Google AI UltraとGoogle AI Proの定期購入ユーザーは、パソコンのNotebookLMのチャットで、ウェブ検索やコードの実行などを代わりに行わせるエージェント機能を使えます。この機能はソースの有無にかかわらず使えると書かれており、試験運用中で開発の初期段階にあるとも注意されています。個人向けの有料プランを使っている社員がいる場合、NotebookLMの画面だから答えはソースだけ、と言い切れない場面があることを知っておきます。
同じ資料・同じ質問で両方に聞き比べる手順
根拠の違いは、同じノートブックに同じ質問をして比べると、自社の資料で具体的に確かめられます。導入を検討する担当者が最初に一度やっておくと、社員に説明するときの材料になります。試すときは、機密に当たらない公開資料で行ってください。
- 公開資料だけでノートブックを作る:NotebookLMで新しいノートブックを作り、自社サイトの会社案内や、官公庁が公開している手引きなど、外に出ても問題のない資料を2〜3点だけ入れます。
- 資料の中に答えがある質問を用意する:「この手引きで、申請の期限はいつと書かれているか」のように、答えが資料の特定の箇所にある質問を1つ作ります。
- 資料の外に答えがある質問も用意する:「この制度について、最近の改正の動きを教えて」のように、資料には書かれていない情報を求める質問を1つ作ります。
- NotebookLMの画面で2つの質問をする:1つ目の答えに付いた引用を開き、該当箇所を確認します。2つ目の質問に対して、答えられないと返るか、資料の範囲に限った答えになるかを見ます。
- Geminiアプリで同じノートブックを開き、同じ2つの質問をする:Geminiアプリの画面のナビゲーションに、NotebookLMで作ったノートブックが表示されます。そこから開いて、同じ文面で質問します。
- 答えの違いを書き出す:2つ目の質問で、資料にない情報が答えに入っているか、入っている場合にその出どころが示されているかを記録します。1つ目の質問でも、資料の記述以外の説明が加わっていないかを見ます。
- NotebookLMのソースパネルを確認する:Geminiとのチャットをコンテキストとして追加する設定にしている場合、Geminiアプリで交わした会話がNotebookLMのソースパネルに表示されます。次の節で説明するとおり、この表示が共有や削除の扱いに関わります。
確かめたい観点は2つだけ:資料にないことを聞いたときに、どちらの入口が答え、どちらが答えないか。答えた場合に、その根拠が資料なのか、それ以外なのかを読み手が見分けられるか。この2点を自社の資料で確かめておけば、社員に使い分けを説明するときに、ヘルプの文章を引くより具体的に伝えられます。
※聞き比べの結果は、使うモデルや設定、質問の書き方で変わります。手順は、公式ヘルプに書かれた違い(根拠づけ・同期・コンテキストの表示)を自分の環境で確かめるためのものです。
得意なことと向いている業務の対比
NotebookLMは決まった資料を正確に読む仕事に、Geminiアプリは資料の外に広げる仕事に向いています。どちらが優れているかではなく、仕事の性質で分かれます。
NotebookLMが向く仕事:資料の要約・分析・根拠の確認
- 社内規程やマニュアルへの質問:答えが規程の中にあり、根拠の条文を示せることが価値になる仕事です。
- 長い資料の読み込みと比較:複数の資料を並べて、違いや共通点を引用付きで整理させる使い方です。ノートブックはそれぞれ独立していて、複数のノートブックの情報を同時に参照することはできないため、比べたい資料は同じノートブックに入れます。
- 会議録音からの整理:音声ファイルは取り込み時に文字起こしされてソースになるため、決定事項や宿題を資料に基づいて抜き出せます。
- 研修用の教材づくり:資料からフラッシュカードやクイズ、音声解説を作り、新人の確認に使う仕事です。
Geminiアプリが向く仕事:発想・文章作成・社外の情報を交えた検討
- 文章の下書きと書き換え:お知らせ文、メールの返信、企画書の構成案など、まず形にすることが価値になる仕事です。
- アイデア出し:資料の範囲に縛られず、選択肢を広げたい場面です。
- 社外の最新情報の調べもの:ウェブ検索を交えて、制度や市場の動きをつかむ仕事です。出どころを自分で開いて確かめることが前提になります。
- ノートブックの内容を土台にした展開:ノートブックに入れた資料を踏まえつつ、社外の事例や一般的な知識を足して考えを広げる使い方です。
会社で迷いやすいのは、両方にまたがる仕事です。たとえば、社内の規程をもとに社員向けのお知らせ文を作る場合、規程の該当箇所を探して要点をまとめるところまではNotebookLM、そこから読みやすい文章に整えるところはGeminiアプリ、と工程で分けると、根拠の確認と文章の質を両立させやすくなります。
Studioの成果物はNotebookLMだけ|音声解説・スライド・インフォグラフィック
資料をもとに別の形の成果物を作る機能は、NotebookLMのStudioパネルにだけあります。ヘルプ「Gemini アプリの Notebooks」は、GeminiにはStudioパネルからアイテムを生成する機能がなく、音声解説、動画解説、インフォグラフィック、スライド資料などのアーティファクトを作る機能もないと書き、これらはGemini Notebookでのみ利用できるとしています。
Studioパネルで作れるのは、メモ、音声解説、動画解説、マインドマップ、レポート、データテーブル、フラッシュカード、クイズ、スライド資料、インフォグラフィックです。どれもノートブックのソースを材料にします。
ここで混乱しやすいのが、Geminiアプリのプラン別の機能表です。Geminiアプリのヘルプ(プラン別の使用量上限のページ)には、音声解説やスライドの生成という名前の機能が、AIプランなしを含むすべてのプランで利用できる項目として載っています。一方で、ノートブックのヘルプは、Geminiアプリのノートブックからは音声解説やスライド資料を作れないと書いています。社内に説明するときは、ノートブックの資料を材料にした成果物が必要ならNotebookLMの画面で作る、と伝えておくと混乱しません。
スライド作成の使い分け
スライドは、どちらで作るかで性質が変わります。NotebookLMのスライド資料は、ソースを材料にした資料化の機能です。形式は、全文と詳細を含む「詳細なスライド」と、要点を視覚的に示す「プレゼンターのスライド」から選べます。作ったあとは、改訂アイコンからスライドごとに直したい点を指示し、改訂版を生成し直す形で手を入れます。
- 改訂のたびに、まったく新しいスライド資料が作られます。直したい点はまとめて指示するよう、ヘルプは勧めています。
- 現時点では、改訂のときにソースは考慮されないと書かれています。資料の数字を直したいときは、改訂の指示ではなく、ソースを見直して作り直すほうが確実です。
- PDFとPowerPoint(.pptx)でダウンロードできます。細かな文字の修正や、社内のテンプレートへの差し替えは、書き出したファイルを手元で編集する流れになります。
Geminiアプリにも、スライドの生成やCanvasといった機能がすべてのプランの機能表に載っています。こちらは、ノートブックのソースに限らず、会話の中の指示や情報から資料を作るための機能です。社内の資料の中身を正確に要約した説明資料が欲しいときはNotebookLM、構成案や見せ方を自由に試したいときはGeminiアプリ、と目的で分けます。
※Geminiアプリのスライドの生成とCanvasの操作の細部は、この記事では扱いません。機能の有無はGemini アプリ ヘルプのプラン別機能表(2026年9月18日確認)によります。
扱える量の違い|ソース数・1ソースの上限・Geminiのコンテキスト
NotebookLMは資料をソースとして1件ずつ持ち、Geminiアプリは1回の会話で読める量(コンテキスト ウィンドウ)で上限が決まります。量の決まり方が違うため、長い資料を扱うときの注意点も変わります。
NotebookLMはソース単位で持つ
ヘルプによると、1つのソースに含められるのは最大50万語、アップロードできるファイルは200MBまでです。1つのノートブックに入れられるソースの数は、無料の場合で50件、Google AI Proで300件などプランで変わります。ページ数の上限はないとされています。長い規程集を1つのファイルのまま入れても、上限の語数に収まれば1件のソースとして扱えます。
ソースの数が多いときは、質問に関係のある情報を先に探してから答えを作る仕組みだとヘルプは説明しています。ソースパネルのチェックボックスで、質問に使うソースを絞ることもできます。
無料のGeminiアプリはコンテキストが32,000トークン
Geminiアプリのヘルプ(個人の Google アカウントで使う場合のプラン別の説明)によると、コンテキスト ウィンドウは次のとおりです。コンテキスト ウィンドウは、AIが一度に読んで理解できる量のことで、トークンはAIが文章を数える単位です。
- AIプランなし(無料):32,000トークン
- Google AI Plus:128,000トークン
- Google AI Pro・Google AI Ultra:100万トークン
ヘルプは、100万トークンあれば最大1,500ページのテキストを理解できると説明しています。単純に割合で計算すると、無料の32,000トークンはその約31分の1にあたり、50ページに満たない量の目安になります(ヘルプにこの換算の記載はなく、あくまで比率から出した目安です)。また、プロンプトがコンテキスト ウィンドウを超えた場合、内容の一部が考慮されない、または全体のつながりや詳細が欠けた回答が返る可能性があると書かれています。
長い規程を無料のGeminiアプリに貼るときの注意:100万トークンという数字はGoogle AI Pro以上の話です。無料のまま長い規程集を貼り付けたり添付したりすると、後半の条文が読まれないまま答えが返ってくることがあり得ます。長い資料を根拠にしたい質問は、ソース単位で持つNotebookLMに入れるほうが、仕組みのうえで向いています。なお、Google AI Proの料金は、Google Oneの料金ページの日本向け表示で月額2,900円です(2026年9月16日時点。税込・税別の記載なし)。
Geminiアプリの中のノートブックとの関係|何が同期されるか
NotebookLMで作ったノートブックは、Geminiアプリのナビゲーションに自動で表示され、どちらからでも表示・編集・チャットができます。ここからは、2つのアプリをまたいだときの細かな決まりを、ヘルプ「Gemini アプリの Notebooks」の記載どおりに整理します。
同期されるもの
- ノートブックの名前:一方で変えると、もう一方にも反映されます。
- ソース:一方で追加したソースは、もう一方にも反映されます。すぐに反映されないときは、画面を更新するよう案内されています。
- カスタム指示:ノートブックでは、Gemini NotebookとGeminiの両方で同じカスタム指示を使います。「根拠の条文番号を必ず添えて」のような指示を一方で設定すると、もう一方にも適用されます。
また、ノートブックはGeminiアプリの中から新しく作ることもできます。
Geminiアプリでの会話がノートブックの共有コンテキストになる
Geminiアプリでノートブックについて交わしたチャットを、そのノートブックの共有コンテキストとして追加する設定があります。この設定にすると、Geminiアプリで話した内容が、NotebookLMのソースパネルにコンテキストとして表示されます。ヘルプは、このGeminiとのチャットのスレッドについて、次の3点を挙げています。
- NotebookLMでは読み取り専用です。NotebookLMの画面から直接編集、名前の変更、削除はできず、Geminiアプリで管理する必要があります。
- ノートブックのナレッジベースの追加情報になり、NotebookLMが質問に答えるときにGeminiとの会話履歴を参照できるようになります。
- ノートブックを共有した場合は、共同編集者にも表示されます。
ソースの種類を説明するヘルプにも、Geminiチャットがソースの一つとして挙げられています。つまり、Geminiアプリでの雑談や試行錯誤が、ノートブックの答えの材料に加わり得るということです。
会社で見落としやすい点:Geminiアプリでは、つい気軽に「この取引先の担当者は〇〇さんで、実は…」のような背景まで書き込みがちです。その会話がノートブックのコンテキストに入ると、NotebookLM側の回答の材料になり、共有した相手の画面にも表示されます。個人名や評価、未確定の話を含む会話をした場合は、コンテキストへの追加をやめるか、共有前にソースパネルを確認する運用にしておきます。
共有と削除のルール
2つのアプリをまたぐと、共有と削除にも独特の決まりがあります。
- NotebookLMで共有したノートブックは、Geminiアプリに表示されない:自分が所有しているノートブックも含め、共有したノートブックはすべてGeminiアプリには表示されません。NotebookLMでは引き続き通常どおり使えます。
- Geminiとのチャットを含むノートブックは共有できない:ヘルプは、Geminiとのチャットを含むノートブックは非公開であり、共有できないと書いています。
- NotebookLMでノートブックを削除すると、Geminiとの会話はGeminiのチャット一覧に戻る:ノートブックとソースは削除されますが、Geminiとの会話は消えずに、メインのGeminiチャットリストに戻されます。
- Geminiアプリ側でアクティビティを消しても、NotebookLMのデータは消えない:Geminiアプリで [アクティビティの保存] をオフにしたり、アクティビティを削除したりしても、Gemini Notebookのデータは削除されません。
この決まりから、実務では「チームで共有するノートブック」と「個人でGeminiアプリと行き来しながら考えるノートブック」を最初から分けておくと、共有しようとして共有できない、共有したらGeminiアプリから見えなくなった、という混乱を避けられます。また、削除はどちらか一方で済まず、ノートブックはNotebookLM側、会話はGeminiアプリ側で、それぞれ消す必要があることも覚えておきます。
併用の流れ|NotebookLMで土台を作り、Geminiで広げる
2つの特性を組み合わせると、資料の正確さと文章の広がりを両立させた進め方ができます。社内向けの説明資料を作る場合を例に、流れを示します。
- NotebookLMで土台を作る:関係する規程や過去の資料をソースに入れ、「この改定で変わる点を、条文の引用付きで一覧にして」と質問します。引用を開いて、一覧の正しさを確かめます。
- NotebookLMで成果物にする:必要に応じて、Studioパネルでスライド資料や音声解説を作ります。資料の中身に忠実な形で、まず一通りそろえます。
- Geminiアプリで広げる:確かめた一覧を踏まえて、「社員が抱きそうな疑問を10個挙げて」「お知らせ文を、やわらかい言い回しで3案」と依頼します。資料の外の発想が必要な工程はここで行います。
- 最後に根拠へ戻る:Geminiアプリで広げた内容のうち、数字や期限、条件に触れる部分は、NotebookLMの引用で元の資料と突き合わせてから使います。
逆向きの流れもあります。Geminiアプリで社外の情報を調べて全体像をつかみ、信頼できる出どころのページだけをNotebookLMのソースに入れて、そこから先は資料の範囲で答えさせる、という使い方です。NotebookLMにはウェブやGoogleドライブからソースを探して取り込む機能(Fast ResearchやDeep Research)もあるため、社外の資料を集める段階からNotebookLMで行うこともできます。
アカウントの種類で変わる学習と人のレビューの扱い
入れたデータがAIの学習や人のレビューに使われるかは、どちらの入口を使うかに加えて、個人のGoogleアカウントか会社のWorkspaceアカウントかで変わります。NotebookLM単体の基本的な扱いは冒頭で紹介した解説記事に譲り、ここではGeminiアプリと組み合わせたときに変わる点を中心に説明します。
個人アカウント:フィードバックを送ったときに収集とレビューの対象になる
公式サイトのよくある質問は、個人ユーザーとして使う場合、フィードバックを共有しない限りデータがトレーニングに使われることはないと説明しています。ヘルプによると、逆に回答に高評価・低評価のフィードバックを送ると、関連するコンテンツが収集され、特別なトレーニングを受けたチームがレビューします。レビューの前にGoogleアカウントとの関連付けは解除され、レビュー済みのものは最長3年間保存されます。
フィードバックの収集範囲にGeminiとのチャットまで入る
ヘルプ「Gemini Notebook のプライバシーと利用規約」は、フィードバックを送ったときに収集されるものとして、プロンプト、カスタマイズ、ソース、アップロード、生成された出力を挙げたうえで、Gemini アプリ アクティビティがオフになっている場合でも、ノートブックのコンテキストに含まれるGeminiとのチャットが含まれる、と書いています。
これは、Geminiアプリ側で [アクティビティの保存] をオフにして安心している人ほど見落としやすい点です。Geminiアプリの設定をオフにしていても、そのGeminiとの会話がノートブックのコンテキストに入っていれば、NotebookLMの画面で評価ボタンを1回押しただけで、会話ごと収集とレビューの対象になり得ます。対象になるのは、ソースとして入れた資料だけではありません。
※この扱いは個人のGoogleアカウントの場合です。ヘルプは、Google WorkspaceとGoogle Workspace for Educationのユーザー(NotebookLMをコアサービスとして使えるエディションの場合)については、高評価・低評価のフィードバックを提供した場合でも、アップロード、クエリ、モデルの回答が人間のレビュアーに確認されることはなく、AIモデルのトレーニングにも使われないと書いています。
Geminiアプリでの会話は、Geminiアプリのルールで扱われる
Geminiアプリでノートブックについて交わした会話は、[アクティビティの保存] の設定に従って保存され、Geminiアプリのプライバシー ハブの記載に沿って使われます。個人アカウントのGeminiアプリについて、プライバシー ハブには次の記載があります。
- 人間のレビュアーが、収集したデータの一部をレビューすることがある。レビュアーに見られたくない機密情報は入力しないよう求めている
- アクティビティは、初期設定では18か月で自動削除される(3か月・36か月・自動削除しないにも変えられる)
- [アクティビティの保存] をオフにすると、以降のチャットはAIモデルのトレーニングに使われない(フィードバックを送った場合を除く)。ただし、オフでもチャットは72時間アカウントに保持される
- 人間のレビュアーがレビューしたチャットは、アクティビティを削除しても削除されず、最長3年間保存される
また、ヘルプ「Gemini Notebook のプライバシーと利用規約」は、Gemini Notebookから他のGoogleサービス(Geminiアプリなど)と共有するデータは、Googleのプライバシー ポリシーと、Geminiアプリのプライバシーに関するお知らせなどのサービス固有のお知らせに従って使われると書いています。つまり、同じノートブックでも、NotebookLMの画面の中で完結するやり取りと、Geminiアプリをまたいだやり取りでは、適用されるお知らせが増えるということです。
会社のWorkspaceアカウントの場合
対象となる仕事用アカウントからNotebookLMを使う場合は、Google Cloud 利用規約が適用されます。WorkspaceのうちBusiness Starter、Business Standard、Business Plusなどのエディションでは、NotebookLMはGmailやGoogleドキュメントと同じコアサービスとして位置づけられ、アップロードされたファイル、チャット、モデルの出力は、人間のレビュアーが確認することも、生成AIモデルの改善に使われることもないとされています。一方、Business Base、Essentials Starter、Workspace Individualなどでは、NotebookLMは追加サービスとして付帯し、Google 利用規約が適用されます。これらのエディションでは、フィードバックを送った場合に、質問、アップロードしたファイル、モデルの回答などやり取りの全容をGoogleが確認する場合があると書かれています。同じWorkspaceでもエディションで扱いが分かれるため、自社の契約を確かめてください。
Geminiアプリについては、プライバシー ハブが、仕事用または学校用のアカウントで使う場合は別の規約が適用される場合があると書いています。Google Workspaceの生成AIに関するプライバシー ハブ(最終更新2026年8月14日)には、顧客のコンテンツは人間によってレビューされることも、許可なくドメイン外で生成AIモデルのトレーニングに使われることもない、Geminiとのやり取りが組織外に開示されることはない、と書かれています。会社のアカウントで両方を使う場合は、自社のエディションがこの扱いの対象かを、管理者が契約とヘルプで確かめておきます。
個人アカウントと仕事用では、入力した資料が学習や人のレビューに使われるかが違います。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
入口別の保存と削除|どこに残り、どう消すか
2つのアプリをまたぐと、データの残り方と消し方が入口ごとに分かれます。退職や異動、誤って社外秘を入れてしまったときに、どこを消せば足りるのかを表にまとめます(個人のGoogleアカウントの場合)。
| データ | どこで、どう残るか | 消すときの操作と注意 |
|---|---|---|
| NotebookLMのソース・Studioの成果物 | ノートブックの中に残る | NotebookLMでノートブックを削除すると、ノートブックとソースが削除される |
| NotebookLMの画面でのチャット | 履歴は保持され、非公開のまま | チャットパネルのその他メニューから [チャットの履歴を削除] |
| Geminiアプリでのノートブックについての会話 | [アクティビティの保存] の設定に従って保存。初期設定では18か月で自動削除。保存をオフにしても72時間はアカウントに保持 | Geminiアプリ側で削除する。NotebookLMのソースパネルに表示されていても、NotebookLMからは削除できない |
| ノートブックを削除したあとのGeminiとの会話 | 消えずに、メインのGeminiチャットリストに戻る | ノートブックの削除とは別に、Geminiアプリで会話を削除する |
| Geminiアプリのアクティビティを削除・保存オフにしたあとのNotebookLMのデータ | 削除されない | NotebookLM側でノートブックやチャット履歴を削除する |
| フィードバックを送った内容(NotebookLM) | レビュー済みのものは、アカウントとの関連付けを解除した状態で最長3年間保存 | 送ったあとに利用者側で取り消す方法は、ヘルプに示されていない。送る前の判断が大切 |
| 人間のレビュアーがレビューしたGeminiアプリのチャット | アクティビティを削除しても削除されず、最長3年間保存 | 同上。機密情報を入力しないことが前提 |
※ヘルプ「Gemini アプリの Notebooks」「Gemini Notebook のプライバシーと利用規約」「Gemini Notebook でチャットを使用する」と、Gemini アプリのプライバシー ハブの記載をもとに整理(2026年9月16日〜18日確認)。会社のWorkspaceアカウントでの保存期間や削除の扱いは、管理者の設定と契約で確認してください。
表から分かるのは、どちらか一方を消せば両方が消える、という作りにはなっていないことです。社員に「使い終わったら消しておいて」と伝えるだけでは足りず、NotebookLM側のノートブックとチャット履歴、Geminiアプリ側の会話の両方を消す手順として伝える必要があります。もう一つは、フィードバックを送った内容をあとから消す方法はヘルプに示されておらず、Geminiアプリでもレビュー済みのチャットはアクティビティを削除しても残るという点です。削除の手順より、入れない・送らないというルールのほうが効く理由がここにあります。
どちらに何を入れてよいか|情報区分×アカウント×入口の判断表
判断の軸は、資料の機密の区分、使うアカウント、使う入口の3つです。アカウントだけで線を引くと、同じ個人アカウントでも、NotebookLMの画面で完結させる場合とGeminiアプリをまたぐ場合の違いが抜け落ちます。3つを掛け合わせた目安を示します。
| 情報の区分 | 個人アカウント・NotebookLMの画面だけで使う | 個人アカウント・Geminiアプリからも使う | 会社のWorkspaceアカウント・NotebookLMの画面で使う |
|---|---|---|---|
| 公開資料(自社サイト、官公庁の手引き、公開の法令・通達) | 可 | 可 | 可 |
| 社内限りの規程・マニュアル | 会社が認めた場合のみ。評価ボタンを押さない、共有しないことが条件 | 不可。会話がGeminiアプリ側のルールで保存され、コンテキストとして残るため | 可(社内ルールの範囲で) |
| 社外秘(経営計画、取引条件、見積) | 不可 | 不可 | 条件付き可。使う人と共有範囲を決めて入れる |
| 顧客・顧問先から預かった資料 | 不可 | 不可 | 条件付き可。預かり時の契約や守秘の範囲で認められるかを先に確認し、担当部署の承認制にする |
| 個人情報を含む資料(名簿、人事評価、給与) | 不可 | 不可 | 原則入れない。どうしても必要な場合は利用目的と承認手続きを決めてから |
※判断の目安を示した例です。最終的な区分は、自社の情報管理規程と、取引先・顧問先との契約で決めてください。会社のアカウントでGeminiアプリからノートブックを開ける環境かどうかは、自社の画面で確かめてください。開ける場合も、Geminiアプリでの会話はGeminiアプリ側の設定と規約で扱われるため、NotebookLMの画面の列より一段慎重に扱います。
この表で、個人アカウントの2列の差が生まれる理由は3つあります。Geminiアプリでの会話は [アクティビティの保存] の設定に左右されること、その会話がノートブックのコンテキストに入ると共有相手にも見えること、そしてフィードバックを送った場合にアクティビティの設定と関係なく収集の対象になることです。社内限りの資料を例外的に個人アカウントで扱うことを認める場合でも、入口をNotebookLMの画面に限定しておけば、管理の目が届かない経路を一つ減らせます。
業務場面別の使い分け|どちらも使わない場面を含む
社員10〜200名の会社や会計事務所で出てきやすい場面を、NotebookLMの画面、Geminiアプリ、どちらも使わない、の3択で整理します。どちらも使わないという選択肢を最初から持っておくことが、個人アカウントでの利用が混ざる会社では特に大切です。
| 業務の場面 | 選ぶ入口 | 理由と使い方 |
|---|---|---|
| 社内規程・マニュアルの問い合わせ窓口(総務への一次回答) | NotebookLMの画面(会社のアカウント) | 答えを規程の中に閉じ、引用で条文を示せる。規程をGoogleドライブから取り込めば改訂が同期される |
| 税制改正の資料や通達の読み込み | NotebookLMの画面 | 公開資料なのでアカウントを問わず試しやすい。改正前後の資料を同じノートブックに入れ、違いを引用付きで整理させる |
| 会議の録音からの議事録 | NotebookLMの画面(会社のアカウント)。個人アカウントならどちらも使わない | 音声は取り込み時に文字起こしされソースになる。会議には取引先名や人事の話題が混ざりやすく、個人アカウントには向かない |
| 顧問先・取引先向け提案書のたたき台 | Geminiアプリ(固有名詞を伏せて) | 構成案や言い回しの案出しは資料の外の発想が要る。顧問先名や数字は入れず、仕上げは手元で差し込む |
| 顧問先の決算書・申告書の分析 | 個人アカウントではどちらも使わない。会社のアカウントでも承認制 | 預かり資料で、守秘の範囲の確認が先。便利さより契約が優先する場面 |
| 最新の制度・市場の調べもの | Geminiアプリ | ウェブ検索を交えて全体像をつかむ。使う数字は出どころのページを自分で開いて確かめる。信頼できるページはNotebookLMのソースに入れて深掘りする |
| 社内FAQ・新人向けマニュアルの作成 | NotebookLMで材料づくり、Geminiアプリで文章を整える | 既存の規程と手順書から質問と答えの候補を引用付きで作り、読みやすい文面への調整は別工程にする |
| メールの文面づくり | Geminiアプリ | 資料の根拠より文章の質が大事な仕事。相手の氏名や案件の詳細は入れず、定型の部分だけ作らせる |
| 社員の人事評価・給与に関する資料 | どちらも使わない(会社で専用の扱いを決めるまで) | 個人情報の中でも特に慎重さが求められる。要約の手間が省けることより、残り方の管理が優先する |
| 研修の確認テスト・音声教材 | NotebookLMの画面 | 資料を材料にしたフラッシュカード、クイズ、音声解説はNotebookLMのStudioの機能。外部の教材を使う場合は利用条件を確認してから入れる |
表を社内に配るときは、自社でよく出てくる業務の名前に置き換え、行を増やしていくのが実用的です。特に「どちらも使わない」の行は、使ってはいけないという禁止の一覧ではなく、会社として別の手段を用意すべき業務の一覧として読むと、次の打ち手が見えてきます。
3つの問いで決める選び方
迷ったときは、次の3つの問いに順番に答えると、どちらを使うかが決まります。その前に、入れようとしている情報を前節の判断表に当てはめ、入れてよい資料とアカウントの組み合わせであることを確かめておくのが前提です。
- 問い1:答えの根拠を、手元の資料だけに限りたいか
はい → NotebookLMの画面で質問します。規程、契約書のひな形、手引きなど、答えが資料の中にあり、根拠を示せることに価値がある仕事です。
いいえ → 問い2へ。 - 問い2:ノートブックの資料を材料にした音声解説・スライド資料・インフォグラフィック・クイズなどが要るか
はい → NotebookLMで作ります。Studioの成果物はNotebookLMでしか作れません。
いいえ → 問い3へ。 - 問い3:社外の最新情報や、資料の外の知識が要るか
はい → Geminiアプリを使います。答えに含まれる数字や事実は、出どころを開いて確かめてから使います。
いいえ → 文章の下書きや言い換えなど、発想と表現が中心の仕事です。Geminiアプリで進め、固有名詞や機密は入れずに作らせます。
問いの順番に意味があります:根拠を資料に限りたいかを最初に聞くのは、そこで「はい」になる仕事ほど、社内の資料が入りやすいためです。社内の資料が関わる仕事を先にNotebookLMの画面へ振り分けておけば、Geminiアプリに渡るのは、社外の情報や一般的な文章づくりが中心の仕事になります。
会社で使うならWorkspaceの仕事用アカウントで|個人アカウントのリスクと管理者の有効化
会社の仕事で両方を使うなら、社員の個人アカウントではなく、会社が管理する仕事用のアカウントで使う形に寄せるのが基本です。個人アカウントでは、ここまで見てきた設定や操作のすべてが本人任せになり、会社からは確認できません。
個人アカウントで使うときに会社が抱えるもの
- 設定が見えない:Geminiアプリの [アクティビティの保存] がオンかオフか、Geminiとのチャットをノートブックのコンテキストに追加しているかは、本人の画面でしか分かりません。
- 評価ボタンの操作が見えない:フィードバックを1回送れば、ソースとコンテキストに入ったGeminiとのチャットが収集の対象になり得ますが、押したかどうかを会社は知る手段がありません。
- 削除を確かめられない:前節の表のとおり、消す場所が2か所に分かれています。退職時に本人が両方を消したかを、会社が確認することはできません。
- 使っていること自体が見えない:会社が把握していないAIの利用は、シャドーAI(野良AI)と呼ばれます。名前にGeminiが付いたことで、社員が会社の公認ツールだと誤解して使い始める余地もあります。
会社が把握していない利用の実態と対策は、シャドーAI(野良AI)とはで詳しく解説しています。
管理者による有効化と、有効にする前に決めること
ヘルプによると、学校や職場で管理されているアカウントでNotebookLMを使うには、組織の管理者がアクセスを有効にする必要があります。仕事用のアカウントで使えない場合は、Workspaceの管理者に問い合わせるよう案内されています。Workspaceの料金ページでは、Business Starterの機能にGeminiアプリでAIとチャットできることが、Business StandardにGemini Notebookでさらに多くの機能が使えることが挙げられています(Business Starterは年間プランで1ユーザーあたり月額800円、税別。2026年9月16日時点の表示)。
有効にする前に、少なくとも次の点を決めておくと、有効化の直後に個人アカウントと会社のアカウントが混在する期間を短くできます。
- 業務で使うアカウントを会社のアカウントに一本化するか個人アカウントでの業務利用を認めるなら、入れてよい資料を公開資料に限るなど、判断表の個人アカウントの列を社内ルールとして明文化します。
- Geminiアプリとノートブックを行き来してよい資料の範囲社外秘や預かり資料を入れたノートブックには、Geminiアプリから話しかけないと決めるかどうかです。
- 共有用のノートブックの持ち方Geminiとのチャットを含むノートブックは共有できません。チームで使うノートブックは、Geminiアプリとの会話を入れない前提で作ると決めておきます。
- 回答を外に出す前の確認の手順引用を開いて資料と突き合わせること、Geminiアプリ経由の答えは根拠がソースかウェブかを確かめることを、手順として書きます。
- 退職・異動のときの削除の手順NotebookLM側のノートブックとチャット履歴、Geminiアプリ側の会話の両方を対象にします。
禁止より、公認の置き場を用意する
個人アカウントでのNotebookLMやGeminiの利用を一律に禁止しても、便利さを知った社員は使い続けることがあります。会社から見えない利用を減らすには、禁止の通知より、同じことが会社の管理下でできる置き場を先に用意するほうが効果的です。社内の資料を読ませて答えさせる、会議の録音を整理する、文章の下書きを作る、といった用途ごとに、どこでやってよいかを示しておけば、社員は迷わずそこを使います。
置き場を選ぶときに確かめたいのは、機能の多さよりも、学習に使われない設定が全員に一律で適用されるか、誰がいつ使ったかのログを会社側で取得できるか、退職や異動のときに会社の判断で使えなくできるか、社員全員に配れる費用の形か、の4点です。確認の項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにまとめています。
Googleの製品の外も含めて使い分けを考える
NotebookLMとGeminiの使い分けは、Googleの製品の中での役割分担です。実際の職場では、文章づくりはこのAI、調べものは別のAI、というように、他社のAIと組み合わせて使う場面もあります。資料を読む・考える・書く・調べる、という仕事の分け方はそのまま使えるので、どの仕事をどのAIに任せるかを会社として決め、それを1つの管理の下でまとめて提供できれば、社員が個人で別のサービスを探す理由も減ります。主要なAIごとの得意分野は主要4AIの違いと使い分け、複数のAIを1つの環境で使う方法はマルチAIとはで解説しています。
会社で両方を使うときの社内ルール文例
NotebookLMとGeminiアプリの両方を業務で使う会社向けに、社内の生成AI利用ルールに足せる文例を示します。NotebookLM単体のルールに加えて、2つのアプリをまたぐときに起きることを押さえた内容です。自社の実情に合わせて言い回しを調整してください。
- 業務でNotebookLM(Gemini Notebook)とGeminiアプリを使うときは、会社が発行した仕事用のGoogleアカウントを使う。
- 社外秘の資料、顧客・顧問先から預かった資料、個人情報を含む資料を入れたノートブックは、NotebookLMの画面だけで扱い、Geminiアプリからそのノートブックに質問しない。
- Geminiアプリでノートブックに質問して得た回答を社内の判断や社外向けの文書に使うときは、根拠がノートブックの資料か、ウェブ検索など資料の外の情報かを確認し、数字・期限・条件はNotebookLMの引用で元の資料と突き合わせる。
- Geminiアプリでノートブックについて話すときは、個人名、人事の評価、未確定の取引条件を書き込まない。書き込んだ場合は、その会話をノートブックのコンテキストに追加しない。
- ノートブックを共有する前に、ソースパネルにGeminiとのチャットが表示されていないかを確認する。チームで共有するノートブックと、個人でGeminiアプリと行き来するノートブックは分けて作る。
- 個人のGoogleアカウントでNotebookLMを使うことを例外的に認められた場合は、高評価・低評価のボタンを押さない。Geminiアプリの [アクティビティの保存] をオフにしていても、ノートブックのコンテキストにあるGeminiとの会話まで収集の対象になり得るためである。
- 使い終わったノートブックや、退職・異動で不要になったノートブックを消すときは、NotebookLM側でノートブックとチャット履歴を削除し、Geminiアプリ側で関連する会話も削除する。どちらか一方の削除では、もう一方は消えない。
ルールの全体像や、AI全般の利用ルールの書き方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で解説しています。
Googleの外のAIも、会社の管理下でまとめて
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの4つのAIを1契約・1画面で使い分けられる法人向けプラットフォームです。会話の途中でもモデルを切り替えられ、おまかせの自動選択にも対応。社内文書RAGで自社資料を読み込ませて回答させることができ、会議の録音や動画も読み込めます。管理者ダッシュボードでは、利用ログ・権限・モデルのON/OFFを会社側で管理でき、基盤はAWSの日本リージョンで稼働しています。UPGEAR AIの料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
NotebookLMとGeminiは、結局どちらを使えばよいですか?
NotebookLMとGemini Notebookは別のサービスですか?
Geminiアプリからノートブックに質問すると、答えはノートブックの資料だけに基づきますか?
Geminiアプリでノートブックについて話した内容は、共有相手に見えますか?
Geminiアプリのアクティビティを削除すれば、ノートブックのデータも消えますか?
無料のGeminiアプリに長い社内規程を貼り付けて質問しても大丈夫ですか?
会社で使うなら、個人アカウントとWorkspaceのどちらがよいですか?
まとめ
NotebookLM(2026年7月からGemini Notebook)とGeminiアプリの違いは、答えの根拠と会話の行き先にあります。NotebookLMの画面ではノートブックのソースだけを根拠に引用付きで答え、答えが資料にないときは答えません(Google AI Pro・Ultraのパソコン版で使える試験運用のエージェント機能は、ソースの有無にかかわらずウェブ検索などを行えます)。Geminiアプリから同じノートブックに質問すると、ウェブ検索などのツールが根拠に混ざる場合があります。音声解説やスライド資料などのStudioの成果物は、NotebookLMでしか作れません。
2つを並べて使うときに見落としやすいのは、Geminiアプリでの会話がノートブックのコンテキストとしてNotebookLM側に表示され、共有相手にも見えること、Geminiとのチャットを含むノートブックは共有できないこと、削除がどちらか一方では完結しないこと、そして個人アカウントではフィードバックを送るとGeminiとのチャットまで収集の対象になり得ることです。
会社としては、情報の区分・アカウント・入口の3つで入れてよい資料を決め、社外秘や預かり資料はNotebookLMの画面だけで扱い、業務は会社が管理するアカウントに寄せるのが基本です。そのうえで、Googleの製品の外のAIも含めて、どの仕事をどのAIに任せるかを会社の管理の下で決めておくと、社員が個人で別のサービスを探す理由を減らせます。
法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。
