
Notion AIとは、メモ・ドキュメント・データベースをまとめて扱う情報共有ツールNotionの中に組み込まれたAIで、ワークスペースのページや接続したアプリの情報を使って、文章の作成、社内情報の検索、議事録の作成、作業の代行までを行う機能群です。結論から言うと、仕事の情報がNotionにたまっている会社にとっては有力な選択肢ですが、本格的に使えるのはビジネスプラン以上で、Notionの外で行う仕事やNotionを開かない社員の分は、会社で使う汎用AIとの役割分担で考えるのが現実的です。この記事では、Notion公式の料金ページとヘルプで2026年9月18日に確認した内容をもとに、できること・使い方・料金・データの扱いを整理し、そのうえで汎用AIとの分担をNotionの利用状況別に解説します。
Notion AIとは|Notionのページとデータベースに組み込まれたAI
Notion AIは、単体のチャットサービスではなく、Notionという仕事場の中で動くAIです。Notion公式のヘルプは、Notion AIを「組み込み型のパーソナライズされたチームメイト」と説明し、プロジェクト計画やタスクなどNotionに保存している情報と同じ場所にあるため、他のツールに切り替える必要がないことを特長に挙げています。
Notionそのものは、議事録・社内マニュアル・案件管理表・タスク一覧などを、ページとデータベース(表形式で情報を管理する機能)として1か所にまとめるツールです。Notion AIはその中身を読んだうえで答えたり、ページを書き換えたりできます。ここが、何も知らない状態から質問に答えるチャット型の汎用AIとの大きな違いです。新しいツールを入れずに、手元の生成AIでタスクの整理と優先順位づけを行う方法はAIタスク管理の手順と指示文のひな形で紹介しています。
汎用AIとの違いは「どこの情報を使うか」
ChatGPTやClaude、Geminiのような汎用AI(用途を限定しない対話型のAI)は、質問文と、その場で貼り付けたり添付したりした資料をもとに答えます。社内の過去の議事録を踏まえて答えてほしければ、人がその議事録を探して渡す必要があります。
Notion AIは、利用者がアクセスできるNotionのページや、接続したSlack・Googleドライブなどの情報を自分で探しに行き、それを踏まえて答えます。先月の定例会で決まった値上げの方針は何だったか、のような質問に、該当する議事録を探して答えられるのはこのためです。逆に言えば、Notionに情報がたまっていない会社では、この強みは発揮されません。
複数のAIモデルを切り替えて使える
Notion AIの裏側では、複数の大規模言語モデル(文章を理解・生成するAIの中核部分。LLM)が使われています。Notionのヘルプは、Notionがホストするものに加えて、AnthropicやOpenAIなどがホストするLLMを活用していると説明しています。2026年1月20日のリリースノートでは、GPT-5.2、Claude Opus 4.5、Gemini 3から利用者がモデルを選べるようになり、作業に合うモデルをAuto(自動)に選ばせることもできると発表されています。選べるモデルはその後も変わりうるため、現時点の一覧は画面またはNotionの公式情報で確認してください。
※モデル名は2026年1月20日のNotionのリリースノートの記載です。現在選べるモデルの一覧ではありません。
スマホ・デスクトップ・ブラウザで使える
Notionは、デスクトップアプリ、ウェブ(ブラウザ)、モバイルアプリで提供されています。Notion AIのヘルプでは、iOSではSiriやショートカットアプリからNotion AIを開く方法が案内されており、デスクトップでは後述のキーボードショートカットで呼び出せます。一方で、AIミーティングノートのように、デスクトップアプリの一定以上のバージョンを要件とする機能もあるため、機能ごとの対応環境は導入前に確認が必要です。
Notion AIでできること
Notion AIでできることは、書く・探す・記録する・整理する・代わりに作業する、の5つに分けると把握しやすくなります。Notion公式の製品ページとヘルプに記載されている主な機能を、業務の場面に置き換えて説明します。
文章の作成・改善・要約・翻訳・アイデア出し
ページの中で、文章の下書き、言い回しの修正、長さやトーンの調整、要約、翻訳、ブレインストーミングを頼めます。ヘルプでは、既存ページのセクションの文法修正や長さの調整、概要やメールの下書き・テーブルの作成、特定のトピックのブレインストーミングが例に挙がっています。AIが作った文章や変更は、採用するか破棄するかを選べ、やり直させることもできます。
ページ全体の翻訳は、ページ上部のメニューから言語を選んで実行できます。海外の取引先向けの資料を、社内のページのまま英語版にする、といった使い方です。
ワークスペース内の情報を探して答える(エンタープライズサーチ)
エンタープライズサーチは、Notionのワークスペースに加えて、接続済みのアプリやウェブの情報を横断して検索し、答えを返す機能です。社内規程のどこに経費精算の締め日が書いてあるか、あの案件の見積もり条件は何だったか、といった、人に聞いていた質問をAIに向けられます。回答はNotion内のページや接続先の情報をもとに組み立てられるため、元のページを開いて確かめる習慣とセットで使うのが安全です。
より深い調べものには、リサーチモードがあります。ヘルプによると、ビジネスプランまたはエンタープライズプランで、サイドバーのNotion AIからリサーチモードをオンにすると、ワークスペースやウェブの情報を使って、複雑な問いの分析やレポート作成を行えます。
外部アプリとの連携(AIコネクター)
AIコネクターは、Notionの外にある情報をNotion AIの検索対象に加える機能です。Notionのヘルプでは、Slack、Microsoft Teams、Googleドライブ、Microsoft SharePoint・OneDrive、GitHub、Linear、Jira、Gmail、Microsoft Outlook、Googleカレンダーなどが接続先として挙がっています(Notion MailとNotionカレンダーは全プランで無料と案内されています)。
接続はワークスペースオーナーが設定画面のNotion AIから行い、利用にはビジネスプラン以上であること、Notionのワークスペースオーナーであること、接続先サービスの管理者権限を持っていることが要件とされています。接続後の初回の取り込みには、長いと72時間かかると案内されています。検索のときは連携先のアクセス権が尊重され、たとえばSlackでは、その人がアクセスできない情報は取得しないと説明されています。
AIミーティングノート(議事録)
AIミーティングノートは、会議の音声を文字起こしし、要点を要約し、インサイト(気づき)を自動で表示する機能です。製品ページでは、ボットを使わずに議事録とフォローアップを自動化すると説明されています。ヘルプではベータ版と表記されており、利用にはビジネスプラン以上であることと、デスクトップアプリのバージョン4.7.0以上が要件として挙げられています。
議事録がNotionのページとして残るため、後からエンタープライズサーチで、過去の会議の決定事項をまとめて探せる点が、単体の文字起こしツールとの違いです。会議のたびに担当者がメモを清書していた会社では、効果が見えやすい機能です。
データベースの自動入力
Notionのデータベースでは、AIがページの中身を読んで、要約やキーワードなどのプロパティ(表の列)を自動で埋められます。問い合わせ記録の一覧に要点の列を作って自動入力させる、読んだ記事の一覧にタグを付けさせる、といった使い方です。ヘルプによると、ビューやプロパティを備えたデータベースそのものの作成、数式プロパティの作成・編集の手伝いもできます。
Notionエージェントとカスタムエージェント
Notionエージェントは、チャットで頼んだ作業を最後まで実行するAIです。ワークスペースや接続済みアプリの情報を使い、ページやデータベースの作成・編集まで行います。ヘルプには、実行前にその実行案を確認・承認できることも記載されています。
カスタムエージェントは、チームの繰り返し作業を自動化する仕組みです。製品ページのよくある質問では、トリガー(きっかけとなる出来事)やスケジュールを設定すれば、利用者がオンラインかどうかに関わらずエージェントが実行し、1人が作れば他のメンバーもその成果を使えると説明されています。例として、Slackでの質問への回答、タスクの振り分け、プロジェクトの更新一覧の共有が挙がっています。後述のとおり、カスタムエージェントの実行にはNotionクレジット(従量で消費する利用枠)が必要です。
ファイルの分析と画像生成
チャットにPDF・画像・スプレッドシートを添付すると、Notion AIがその内容を読み取って作業します。ヘルプでは、スプレッドシートからレポートを作るような作業の結果を、スプレッドシート・PDF・スライドデッキなどのダウンロード可能なファイルで返せると説明されています。画像の生成・編集はベータ版で、ビジネスプランとエンタープライズプランで使え、ユーザーごとに24時間あたり10件、30日あたり30件までの制限があると記載されています。
Notion AIの使い方と指示の出し方
Notion AIは、チャット画面を開いて頼む使い方と、ページの中で直接頼む使い方の2つを覚えれば始められます。議事録は専用の手順で開始します。
呼び出し方(右下のアイコン・ショートカット・ページ内)
- チャットで頼む:ページ右下の円形のアイコンからNotion AIのチャットを開きます。キーボードショートカットは、WindowsがShift+Ctrl+J、MacがShift+Cmd+Jです。ヘルプによると、このショートカットは設定の個人設定から変更できます。
- ページの中で頼む:ヘルプでは、ページ内のテキストを選択するか、ページ内でスペースキーを押すと、編集・要約・翻訳などを頼めると案内されています。画面の表示は版によって変わることがあるため、社内マニュアルには自社の画面で確かめた手順を載せてください。
- ページにAIの出力欄を置く:ヘルプでは、ページで /AIブロック と入力して、要約や要点など、生成したい内容を指示する方法が案内されています。
質問の中でページや人を@メンション(@を付けて名前を指定する機能)すると、そのページを踏まえて答えさせることができます。どの資料を読んで答えてほしいかを明示できるため、回答のぶれを減らせます。
AIミーティングノートで議事録を作る手順
- 議事録を残すページで /meet と入力します。
- 文字起こしを開始(Start transcribing)を選びます。開始前に、AIミーティングノートを使うことを参加者に開示し、全員の同意を得るよう画面で促されます。
- 会議が終わったら文字起こしを終了します。要約が作成されます。ヘルプでは、最低1分の音声が必要とされています。
- 要約・決定事項・次の対応を確認し、担当者と期限を人の目で直してから共有します。
指示の出し方のコツ(役割・形式・字数を具体的に)
Notion AIに限らず、生成AIへの指示は具体的なほど狙いどおりの結果になります。とくに次の4つを入れると、手直しが減ります。
- 役割:総務担当として、新入社員向けに、のように誰の立場で誰に向けて書くかを指定します。
- 材料:@メンションで参照するページを指定します。指定しないと、AIが自分で探した別のページを材料にすることがあります。
- 形式:箇条書き5項目、表で、見出し付きで、のように出力の形を指定します。
- 分量と条件:300字以内、専門用語は使わない、日付は和暦で、といった制約を書きます。
例:@2026年9月定例会議事録 を読んで、決定事項と担当者と期限を表にしてください。期限が書かれていないものは空欄のままにし、推測で埋めないでください。
Notion AIの料金とプラン(2026年9月18日確認)
Notion AIを本格的に使えるのは、Notionのビジネスプランとエンタープライズプランです。Notion AIのヘルプには、Notion AIはビジネスプランとエンタープライズプランでのみ利用できると明記されています。2025年5月の変更までは、Notion AIを追加料金のオプションとして買う形でしたが、現在の料金ページではプランに含まれる形で表示されています。
| プラン | 年払い(1メンバーの月額相当) | 月払い(1メンバーの月額) | Notion AI |
|---|---|---|---|
| フリー | 0円 | 0円 | 体験版(限られた数の無料のAI回答) |
| プラス | 1,650円(年19,800円) | 2,000円 | 体験版(限られた数の無料のAI回答) |
| ビジネス | 3,150円(年37,800円) | 3,800円 | 含まれる |
| エンタープライズ | 営業に問い合わせ | 営業に問い合わせ | 含まれる |
※2026年9月18日にNotion公式の料金ページ(https://www.notion.com/ja/pricing)で確認した表示価格です。料金ページは年払いの表示が初期状態で、年払いの価格は月額相当で表示されます。価格の下には「日本の消費税(該当する場合)」と表示されており、税込か税別かの明示はないため、この記事では表示価格のまま扱い、消費税は足していません。なお、Notionのヘルプでは日本の利用者に消費税を課すと案内されているため、請求額は表示価格より増える場合があります。価格・プラン構成は変更されることがあるため、契約前に公式ページで最新の内容をご確認ください。
誰に料金がかかるのか、プラスからビジネスへ切り替えたときの差額、途中でメンバーを増減したときの請求、Notionクレジットの見積もり方は、Notion AIの料金|誰に・いつ・いくらかかるかで詳しく整理しています。
フリー・プラスはお試し、本格利用はビジネス以上
フリープランとプラスプランでも、ヘルプの表現では限られた数の無料のAI回答を使ってNotion AIを試せます。ただし回数は公式に数字が示されておらず、日常業務で使い続ける前提の枠ではありません。料金ページのフリー欄も、Notion AIの体験版という表記です。
ビジネスプランについては、2025年5月13日のリリースノートで、エンタープライズサーチ、リサーチモード、AIミーティングノートを含むNotion AIを無制限に使えるようになったと発表されています。一方で現在のヘルプには、速度と信頼性を保つために、ビジネスプランとエンタープライズプランにも特定の機能に使用量の上限があること、6時間単位と月単位の上限があることが記載されています。無制限という言葉だけで、どれだけ使っても止まらないと社内に説明しないよう注意が必要です。
カスタムエージェントとプレミアムモデルはNotionクレジットが必要
プランの料金とは別に費用が発生しうるのが、Notionクレジットです。ヘルプによると、プレミアムモデル(実行コストの高いAIモデル)の利用にはNotionクレジットが必要で、ワークスペースオーナーまたは管理者が有効にするまではオフになっています。カスタムエージェントもNotionクレジットで実行され、料金ページでは、無料で試した後は1,000 Notionクレジットあたり10米ドルと表示されています(2026年9月18日時点。円での表示はありません)。
管理者は、各メンバーが使えるNotionクレジットの数を設定でき、利用枠を超えてクレジットを使えるかどうかも管理できます。月々の支払いを予算内に収めたい会社は、カスタムエージェントを本格的に使い始める前に、この上限の設定を決めておくと安心です。
ビジネスプランで10・30・50名の年額を試算
ビジネスプランは1メンバーあたりの料金のため、会社全体の費用はメンバー数に比例します。表示価格をもとに、10名・30名・50名の年額を計算すると次のとおりです。
- 年払いの場合(1メンバー年37,800円):10名は37,800円×10名=378,000円、30名は37,800円×30名=1,134,000円、50名は37,800円×50名=1,890,000円
- 月払いの場合(1メンバー月3,800円):10名は3,800円×10名×12か月=456,000円、30名は3,800円×30名×12か月=1,368,000円、50名は3,800円×50名×12か月=2,280,000円
年払いと月払いの差は、1メンバーあたり年7,800円(45,600円-37,800円)です。50名なら年390,000円の差になります。人の出入りが多い時期は月払い、体制が固まったら年払い、と使い分ける考え方もあります。
※2026年9月18日時点のNotion公式料金ページの表示価格による試算です。消費税(日本の消費税(該当する場合)と表示)は含めていません。Notionクレジットの追加購入、エンタープライズプラン、ゲストの扱いなどは含みません。実際の請求額は契約条件により異なります。
入力データの学習利用・保存期間・アクセス権限
Notion AIに入れた情報は、公式の説明では、デフォルトでモデルの学習に使われず、エンタープライズ以外のプランでは、デフォルトで、LLMプロバイダーのもとに30日以内の期間だけ保持されます。会社で使う前に、デフォルトでという言葉が付いている意味まで含めて読んでおく必要があります。
学習利用は「デフォルトで」使わない
Notion AIのセキュリティとプライバシー対策のヘルプには、NotionとAIサブプロセッサー(Notionから処理を委託されるAI事業者)は、デフォルトでユーザーデータをモデルの学習に使用しないこと、NotionがAIサブプロセッサーと契約を結び、ユーザーデータを学習に使うことを禁止していることが記載されています。製品ページのよくある質問では、ユーザーがデータ共有に同意しない限り、モデルのトレーニングにデータを使用しないと説明されています。
ここで確認しておきたいのが、設定画面のNotion AIにある、Notion AIの改善のためにデータを共有、という項目です。ヘルプでは、ワークスペースのデータをNotionと共有してNotion AIの改善に役立てることを許可する設定と説明されています。この項目をオンにすると、ワークスペースのデータがNotion AIの改善に使われることを許可することになります。管理者は、導入時にこの項目の状態を確かめ、社内の方針として記録しておくと、取引先から聞かれたときに説明できます。
LLMプロバイダーの保持期間はエンタープライズ以外30日以内
同じヘルプでは、LLMプロバイダーによるデータの保持について、デフォルトでは、エンタープライズプランのワークスペースに対してLLMプロバイダーはデータを保持しないこと、エンタープライズプラン以外のすべてのワークスペースでは、デフォルトで、LLMプロバイダーはユーザーデータを削除まで30日以内の期間のみ保持することが記載されています。
あわせて、データ保持を行うLLMを使う必要があるAI機能が一部あり、その場合は管理者がそうしたLLMを有効にできるワークスペース設定が用意され、それ以外ではデフォルトでオフのままと説明されています。また、外部エージェント機能には異なるデータ保持の扱いが適用されるとも記載されています。つまり、ビジネスプランで使う場合、入力した内容はデフォルトでは最長30日、Notionの外のAI事業者のもとに残りうる(管理者がデータ保持を行うLLMを有効にした場合や外部エージェント機能では扱いが異なる)という前提で、何を入れてよいかを決めることになります。
- 顧客の個人情報や、契約で第三者への提供に制限がある情報を扱う部署は、この30日の保持が自社の規程や取引先との約束と合うかを確認します。
- 合わない場合は、その情報を入れない運用にするか、エンタープライズプランを営業に相談するかを判断します。
- 埋め込み(検索のために文章を数値に置き換えたデータ)は、ページやワークスペースの削除から60日以内に削除されると記載されています。
※データの扱いは、2026年9月18日にNotionのヘルプ「Notion AIのセキュリティとプライバシー対策」(https://www.notion.com/ja/help/notion-ai-security-practices)で確認した記載です。認証として、SOC 2 Type 2レポートとISO 27001認証を満たしていると同社は記載しています。
アクセス権限に従って答える=権限設計が先
Notion AIは、既存のアクセス権限を尊重すると公式に説明されています。回答を作るAIは、質問した本人がアクセスできない情報を見たり使ったりできません。裏を返すと、本人がアクセスできる情報はすべてAIの材料になります。
これまでは、共有範囲が広すぎるページがあっても、誰も探しに行かなければ目に触れませんでした。AIで横断検索できるようになると、たとえば全員に公開されたままの人事評価メモや、退職者の個人フォルダにあった給与の資料が、質問への答えとして表に出てくる可能性があります。導入前に、人事・経理・役員会のページの共有範囲を見直すことが、AIの設定より先の作業です。
Notion AIを整えても、社員が別のAIに同じ文書を貼れば、その扱いは管理の外です。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
管理者が導入前に確認する設定チェックリスト
Notion AIの主な管理項目は、設定画面のNotion AIにまとまっています。ヘルプに記載されている設定名で、導入前に決めておきたい項目を並べます。推奨は、社外の情報を扱う10〜200名の会社を想定した目安です。
- Notion AIの改善のためにデータを共有ワークスペースのデータをNotion AIの改善のために共有するかどうか。社外の情報を扱う会社は、オフにしておく方針を明文化するのが目安です。
- AIウェブ検索:ワークスペースのウェブ検索を有効にするNotion AIが回答の際にウェブを検索できるようにする設定です。どのプランでもワークスペースオーナーが変更できます。社内情報だけで答えさせたい部署が多いなら、オフから始める選択肢もあります。
- AIウェブ検索:ウェブリクエストで確認を必須にする外部サイトを参照する前に確認を求めさせる設定です。ウェブ検索をオンにするなら、こちらもオンにして、何を外に問い合わせるかを利用者が見られるようにするのが目安です。
- モデルのコントロールチームが使えるAIモデルを選ぶ設定です。プレミアムモデルは有効にするまでオフで、使うとNotionクレジットが必要になります。
- 使用量各メンバーが使えるNotionクレジットの数を設定し、特定のメンバーだけ上限を上げることができます。上限を超えて使えるかどうかも管理できます。
- AIコネクターSlack・Googleドライブなどをつなぐ設定です。つないだ先の情報もAIの検索対象になるため、接続先の共有範囲を確認してから接続します。
- AIミーティングノート:ワークスペースでの利用可能性ワークスペースでAIミーティングノートを使えるようにするかどうか。社外の会議での使い方のルールを決めるまでは、対象を限って始める判断もあります。
- AIミーティングノート:ワークスペースメンバー全員の同意を取るヘルプによると、オンにするとワークスペースの全員がAIミーティングノートを使うたびに同意メッセージが再生されます。社外の会議が多い会社は、オンにする方針を検討します。
- AIミーティングノート:音声をローカルに保存会議の音声を保存するかどうかの設定で、既定はオフです。録音データを残す理由がなければ、オフのままにするのが目安です。
このほか、利用者ごとの個人設定として、開始時に同意メッセージを自動再生する、社内のカレンダーイベント参加者と自動で共有する、といった項目があります。議事録を保存するデータベースも選べるため、共有範囲を決めたデータベースを社内で指定しておくと、議事録が各自のページに散らばりません。また、文字起こしの自動削除はエンタープライズプランのみの設定と記載されています。
優先順位:導入初日に決めるべきは、データ共有の設定、ページの共有範囲の見直し、AIミーティングノートを社外の会議で使うときのルールの3つです。どれも、利用が広がってからでは直しにくい項目です。
Notion AIを使うときの注意点
Notion AIは社内の情報を材料に答えますが、材料が正しくても答えが正しいとは限りません。汎用AIと共通の注意点に加え、Notion AIならではの点があります。
- ハルシネーション(もっともらしい誤り):要約の途中で数字や日付を取り違える、議事録にない決定事項を書き足す、といった誤りは起こりえます。金額・期日・担当者は、元のページや文字起こしで必ず確かめます。
- 古いページを根拠にする:社内の手順書が更新されずに残っていると、AIは古い手順をもとに答えます。ビジネスプランには、最新の状態に更新されたページに検証済みのバッジを付け、検索結果とAIの引用に表示する機能があると製品ページで説明されています。基準となるページを決めて更新する運用が、回答の品質に直結します。
- 機密情報の入力:前の節のとおり、エンタープライズ以外ではデフォルトでLLMプロバイダーに30日以内の保持があります。入れてよい情報の範囲を、社内ルールで決めてから使い始めます。
- 最新情報:ウェブ検索をオフにしている場合、法令改正や他社の動向など、社外の最新情報は答えに反映されません。税制や規制の確認は、公的機関の一次情報で行います。
- 録音の同意:AIミーティングノートは相手の発言も記録します。社外の人が参加する会議では、使うことを事前に伝え、同意を得てから始めます。
社外の打合せでAIミーティングノートを使うときの告知文の例
Notionのヘルプでも、開始前に使用を開示し、参加者全員の同意を得るよう促されます。製品ページの説明どおりボットが会議に参加しない方式のため、告知しないと相手が記録に気づけない場合があります。開始時に同意メッセージを自動再生する設定もあります。次のような文面を、案内メールと会議の冒頭の両方で使うと、確認漏れを防げます。
案内メールに添える例:当日の打合せでは、議事録作成のため、NotionのAIミーティングノート機能で文字起こしと要約を行う予定です。記録は議事録の作成と社内での共有のみに使用します。記録を控えてほしい場合や、一部の話題だけ記録を止めてほしい場合は、事前または当日にお知らせください。
会議の冒頭で伝える例:本日は議事録作成のため、AIによる文字起こしを使わせていただいてもよろしいでしょうか。記録は議事録の作成にのみ使い、ご希望があれば途中で止めます。
同意が得られなかった場合は使わない、途中で止めてほしいと言われたらすぐ止める、という2点を社内で決めておくと、担当者が現場で迷いません。議事録を相手に共有する場合は、AIが作った要約をそのまま送らず、人が確認してから送ります。
ChatGPTなど汎用AIとの違いと役割分担
Notion AIと汎用AIは、どちらが優れているかではなく、使う情報の場所が違います。Notionの中にある情報を使う仕事はNotion AI、Notionの外で完結する仕事は汎用AI、と分けると判断がぶれません。
Notion AIに向く仕事
- Notionに残した議事録から、決定事項や過去の経緯を探す
- 社内規程・手順書・FAQをもとに、社員からの質問に答える
- 会議の文字起こしと要約を、議事録のデータベースにためる
- 問い合わせ記録や案件一覧に、要約や分類の列を自動で入れる
- 接続したSlackやGoogleドライブも含めて、社内の情報を横断して探す
- Notionで管理している定例の報告やタスクの振り分けを、カスタムエージェントで自動化する
汎用AIに向く仕事
- ExcelやWord、PowerPointの資料を読み込ませて、分析や書き換えをする
- 取引先へのメールや提案書を、Notionを開かずに下書きする
- 税制や法令、業界の動向など、社外の情報を調べてまとめる
- Notionを使っていない部署や、現場・営業など、普段Notionを開かない社員がAIを使う
- 同じ質問を複数のAIに投げて、答えの違いから確認すべき点を見つける
- 画像や長い音声・動画など、業務で扱うファイルを部署を問わず処理する
Notion AIでも複数のモデルを選べ、ファイルの分析やウェブ検索もできるため、境界は固定ではありません。分担の基準は機能の有無ではなく、その仕事の材料がNotionの中にあるか、その仕事をする人がNotionを開いているか、の2点で考えるのが実務的です。主要なAIの得意分野の違いは主要4AIの違いと使い分けで解説しています。
会計事務所・中小企業での分担の例
- 月次の打合せ:社内の定例会議はAIミーティングノートで記録し、議事録データベースにためる。顧客との面談は、上の告知文で同意を得てから使う。
- 社内の手順書:経費精算や入社手続きの手順はNotionにまとめ、社員の質問はNotion AIに答えさせる。
- 税務・法令の調べもの:汎用AIで論点を整理し、結論は国税庁などの一次情報で確認する。
- 顧客向けの文書:Wordで作る報告書や、Excelの試算表の読み込みは汎用AIで行う。
Notionの利用状況で変わる判断(全社・一部の部署・未導入)
1. Notionを全社で使っている会社
社員のほぼ全員が日常的にNotionを開き、議事録・規程・案件管理がNotionにまとまっているなら、Notion AIを会社のAIの中心にしてよい状況です。ビジネスプラン以上であれば、議事録、社内検索、文章作成、データベースの自動入力が同じ場所で使え、モデルも選べます。追加で汎用AIを検討するのは、Excelや社外向け文書の作業が多い部署、Notion AIで選べないモデルを使いたい人、複数のAIの答えを比べたい用途がある場合に絞れます。
2. Notionを一部の部署だけで使っている会社
開発や企画の部署だけがNotionを使い、総務・経理・営業は別のツールで仕事をしている形です。Notion AIはNotionを使う部署の中では有効ですが、AIのためだけに他の部署をNotionのメンバーに加えると、使わないページのための費用が人数分かかります。全社のAIは汎用AIで用意し、Notionを使う部署はNotion AIも併用する、という分け方が現実的です。この場合、AIの利用ログや設定の管理場所が2つになるため、誰がどちらを管理するかを先に決めます。
3. Notionを導入していない会社
Notion AIを使うためにNotionを入れるのは、順序が逆になりがちです。Notion AIの強みは、Notionにたまった社内の情報を使えることにあり、情報がたまるまでは汎用AIとの差が出にくいためです。まず汎用AIを全社で使える状態にし、社内の情報管理ツールを見直すときに、Notionとあわせて検討するのがよいでしょう。
複数のAIを1つの環境でまとめて使う考え方はマルチAIとはで整理しています。
個人のNotionに業務情報が入る問題と社内ルール
会社がNotion AIを契約していなくても、社員が個人で作ったNotionのワークスペースで業務情報がAIに入っていることがあります。会社が把握していないAIの利用は、シャドーAI(野良AI)と呼ばれます。
Notionはフリープランから始められ、フリーとプラスでも限られた数の無料のAI回答が使えます。社員が個人のワークスペースに議事録や顧客とのやりとりを貼り付けてAIで要約する、という使い方は、会社から見えないところで起こりえます。このとき、Notion AIの改善のためにデータを共有、という設定を決めるのはそのワークスペースのオーナー、つまり社員本人です。会社の側から設定を確かめたり、退職時にデータを直接消したりする手段はありません。
さらに、無料の回答を使い切った社員は、別の無料のAIサービスに移って同じことを続けることがあります。禁止の通知だけでは止まりにくく、会社が認めた環境を用意して、そちらに移ってもらうほうが見えない利用を減らせます。シャドーAIの全体像と対策はシャドーAI(野良AI)とはで解説しています。
社内ルールの条文例
Notion AIと汎用AIの両方を対象にした、社内ルールの条文例です。自社の規程の書き方に合わせて調整してください。
- 第1条(対象)本規程は、業務でNotion AIその他の生成AIを利用するすべての役員・従業員に適用する。
- 第2条(利用できる環境)業務情報を生成AIに入力できるのは、会社が契約し管理するNotionのワークスペースおよび会社が指定する生成AIサービスに限る。個人で作成したNotionのワークスペース(フリープラン・プラスプランを含む)や、個人で契約した生成AIサービスに業務情報を入力してはならない。
- 第3条(入力してはならない情報)マイナンバー、健康情報、顧客から預かった資料のうち契約で第三者への提供が制限されているもの、その他会社が別に定める情報は、生成AIに入力してはならない。
- 第4条(ページの共有範囲)Notion AIは利用者がアクセスできるページを回答の材料とするため、ページの作成者は共有範囲を必要な範囲に限定する。人事・給与・役員会に関するページは、管理部門が定める範囲でのみ共有する。
- 第5条(AIミーティングノート)社外の参加者がいる会議でAIミーティングノートを使用する場合は、開始前に使用を告知し、参加者全員の同意を得る。同意が得られない場合、または参加者から停止を求められた場合は使用しない。
- 第6条(出力の確認)生成AIの出力を社外に提出・送付する場合は、金額・日付・固有名詞・法令の記述を担当者が一次情報で確認する。
- 第7条(設定の管理)Notion AIのデータ共有、ウェブ検索、モデル、使用量の設定は、情報システム担当が管理し、変更した場合は記録を残す。
ルールの全体の組み立て方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で解説しています。
会社でAIを安全に使うために整えること
Notion AIを使う会社も使わない会社も、AIを業務で安全に使うために整える項目は共通です。ツールを選ぶ前に、次の4点を会社として満たせるかで考えると、判断がぶれません。
- 学習させない設定を会社が担保する:入力した情報が学習に使われない設定を、社員一人ひとりの操作ではなく、会社側で一律に適用・確認できること。Notion AIではデータ共有の設定がこれにあたります。
- 利用ログを会社が見られる:誰がいつAIを使ったかを会社側で把握できること。Notion AIには、Notionクレジットの使用状況などを確認できるダッシュボードがあると製品ページで説明されており、汎用AIを別に使う場合は、そちらのログも同じように確認できる環境を選びます。
- 全社員に配れる:一部の社員にしかAIを渡せないと、渡されなかった社員が個人のサービスに流れます。Notionを開かない社員を含め、全員が会社の管理下で使える状態をつくることが、シャドーAI対策の土台になります。
- 複数のAIを使い分けられる:AIの得意分野は分かれており、各社の新しいモデルは短い周期で出ています。1つのAIに決め切らず、用途に応じて切り替えられる環境にしておくと、選び直しの手間が減ります。
Notionを全社で使っている会社はNotion AIで多くを満たせます。一方、Notionを使う人が一部に限られる会社では、残りの社員に配るAIをどう用意するかが課題として残ります。法人向けの生成AIサービスの料金と特徴の横並びは法人向け生成AIサービスの比較にまとめています。
Notionの外の仕事にも、会社で管理できるAIを
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの4つのAIを1つの契約・1画面で使える法人向けのサービスです。会話の途中でもモデルを切り替えられ、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのオン/オフを管理できます。会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。UPGEAR AIの料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Notion AIは無料で使えますか?
Notion AIがあれば、ChatGPTなどの汎用AIの契約は不要ですか?
Notion AIに入力したデータは学習に使われますか?
Notion AIで議事録を作るには何が必要ですか?
Notionを使っていない社員にも、AIを配るべきですか?
社員が個人のNotionでAIを使っている場合、どうすればよいですか?
まとめ
Notion AIは、Notionのページとデータベースに組み込まれたAIで、文章の作成・要約・翻訳、ワークスペースと接続アプリを横断する検索、AIミーティングノートによる議事録、データベースの自動入力、エージェントによる作業の代行ができます。強みは、Notionにたまった社内の情報を材料に答えられることです。
本格的に使えるのはビジネスプラン以上で、2026年9月18日時点の表示価格は1メンバーあたり年払いで月3,150円相当、月払いで月3,800円です。カスタムエージェントやプレミアムモデルにはNotionクレジットが別に必要です。データは公式の説明ではデフォルトで学習に使われず、エンタープライズ以外ではデフォルトでLLMプロバイダーに30日以内の保持があります。アクセス権限に従って答えるため、導入前にページの共有範囲を見直すことが欠かせません。
汎用AIとの関係は、どちらが上かではなく役割分担です。Notionの中の情報を使う仕事はNotion AI、Notionの外の仕事とNotionを開かない社員の分は汎用AI、と分けて考えてください。Notionを全社で使っている会社ならNotion AIを中心にしてよく、一部の部署だけの会社や未導入の会社は、全社員に配れる汎用AIを土台にするのが無理のない形です。どちらの場合も、学習させない設定、利用ログ、全社員への配布、複数のAIの使い分けの4点を、会社として管理できる状態を目指しましょう。
