OpenAI、Model Spec改定
COPLUS AI NEWS朝版
AIの行動指針は「記憶の使い方」と「人間の監督」を明記し、国産モデルは考える時間を選べる段階へ
ニュース2本・約4分で読めます
OpenAIが、ChatGPTなどのAIが守る行動指針「Model Spec」を5つの価値観で組み直し、記憶の使い方と人間による監督を書き込みました。国内では、ソフトバンク傘下のSB Intuitionsが、回答の前に考える時間の深さを選べる国産の思考モデルを公開しています。AIにどう振る舞わせるかと、国産モデルの選択肢の広がりを、2本のニュースで整理します。
📋 本日のニュース
① OpenAI、AIの行動指針「Model Spec」を5つの価値観で再構成 記憶などの文脈の使い方と、人間による監督・修正への協力を明記
OpenAI(Model Spec・公式) / 2026年10月29日(米国時間)
OpenAIは10月29日(米国時間)、AIに期待する振る舞いを定めた文書「Model Spec」の新しい版を公開しました。文書は「人間の意図に忠実であること」「害を最小にすること」「誠実で透明であること」「人間の主体性を支えること」「配慮して行動すること」の5つの価値観で構成されています。新たに設けられた「文脈を慎重に考慮する」の項では、記憶などの過去の文脈を使う際に、利用者が言ったこととAIが推測したことを区別し、保存された情報は古かったり誤っていたりする場合があると認識するよう求めています。私的な返信にはふさわしい情報でも、メールや共有文書には不適切な場合があるとして、読み手に配慮することも挙げています。また、最上位の「Root」レベルの原則として、AIは人間による正当な監督と修正を受け入れ続け、監視、評価、修正、停止の指示に協力し、情報を隠したり偽ったりしないとしています。
💡 コプラスの視点
この文書はAIの振る舞いの目標を示すもので、個々の出力を保証するものではありません。それでも、記憶の機能を使った業務では「何を覚えさせ、何を覚えさせないか」を会社として決めておく必要があることを示しています。業務でChatGPTなどを使う場合は、記憶機能の使用可否と、顧客情報や社外秘を入力しない範囲を、社内ルールに書いておくと安心です。
② SB Intuitions、国産の思考モデル「Sarashina3.2 mini thinking」を公開 思考の深さをlow・medium・highから選択、無償ベータ版のサービスとAPIで利用可能
SB Intuitions(公式ブログ) / 2026年10月29日
ソフトバンク傘下のSB Intuitionsは10月29日、無償ベータ版の「Sarashinaサービス」で使えるモデルに、応答の前に思考を行う「Sarashina3.2 mini thinking」を加えたと発表しました。思考の深さは「low」「medium」「high」の3段階から指定でき、APIでは「reasoning_effort」というパラメータで切り替えます。「Sarashinaサービス」は10月13日に無償ベータ版として始まっており、このモデルはAPIでも使えます。同社は12の指標で評価し、J-MultiChallengeなどの指標で前の世代のSarashina3 miniを大きく上回ったとしています。比較に挙げたモデルの中では、エージェント系の指標のJ-tauとBFCL v3、安全性のJMT-Safetyで最高のスコアだったとしています。一方で、JamC-QAは前の世代より低下し、GPQA-DiamondとJ-MultiChallengeでは、Alibabaの「Qwen3-235B-A22B-Thinking-2507」やOpenAIの「GPT-5.4 mini」に及ばなかったことも示しています。
💡 コプラスの視点
スコアは同社の評価で、本文に数値はなく、グラフで示されています。比較に使うモデルや指標を選んだのも同社である点に留意が必要です。国産のモデルを選べることは、データの置き場所や調達先を重視する組織にとって選択肢が増えるということです。使う場合は、無償ベータ版の利用条件と、入力した情報の扱いを事前に確認し、まず社外に出してよい資料で試すのが安全です。
本日のまとめ
AIの行動指針が「記憶の使い方」や「人間による監督」を明記したことで、利用する企業も、AIに何を覚えさせ、どこまで任せるのかを社内で決めておく必要性が高まりました。国産モデルの選択肢が広がるなかでも、評価の数値は提供元の発表であることを踏まえ、自社の業務で試して確かめることが大切です。


