
中小企業診断士のAI活用とは、ヒアリング記録の整理や事業計画書の検算、補助金申請書の見直しなど、診断業務の下書きと点検を生成AIに手伝わせることです。任せてよいのは下書きと点検の補助までで、支援先の情報は伏せ字と概数に置き換えてから入れることになります。補助金によっては(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金など)事業計画を申請者自身が作るよう公募要領に定めがあり、その場合の診断士の役目は助言にとどまります。
士業全体の守秘義務の条文や、事務所で決める環境・ルールの全体像は士業のAI活用|守秘義務の条文と、事務所で決める環境・ルールにまとめてあります。ここでは診断士の実際の業務に絞り、そのまま貼れる指示文と、診断士が確かめる点を業務ごとに並べました。
中小企業診断士のAI活用は「下書きはAI、判断と責任は診断士」
診断士がAIに任せられるのは、材料の整理と文章の下書き、それに数字の突き合わせの補助までになります。何を支援先に勧め、どの数字を計画に置くかを決めて責任を持つのは、診断士本人です。
大阪中小企業診断士会の経営コラム「診断士業務における生成AI活用 ~AIと人の共働・役割分担で高める支援の質~」(2025年9月10日、執筆は中小企業診断士の久保井篤史氏)も、この分担を軸に書かれています。事業計画書では、ChatGPTと構想段階の対話を重ねてたたき台を作り、仕上がった文章をClaudeに客観的に評価させる流れが紹介されているのです。資料の要約や議事録の整形、ヒアリング記録の整理には、GeminiやNotebookLM、文字起こしの道具を使うとしています。
中小企業診断士事務所ハッシュタグが2023年12月時点で行った小規模な自社調査(有効回答124名、この設問は116名)では、仕事で生成AIを使うことがあると答えた方が約70%で、最も使われていたのはChatGPTの無料版でした。無料版を業務に使う場合は、後の節で触れる学習の設定を、一人ひとりが自分で確かめることになってしまいます。どのAIを使うにしても、下書きはAI、判断は診断士という線を最初に決めておきましょう。
ChatGPT・Claude・Gemini・NotebookLMの使い分け
使い分けは、性能の順位より「どの工程に使うか」で決めると迷いにくくなります。久保井氏の例に沿えば、構想を広げる対話とたたき台はChatGPT、出来上がった文の評価はClaude、録音や長い資料の要約はGeminiやNotebookLMという割り当てです。士業に共通する使い分けの考え方は親記事の士業のAI活用に、モデルごとの違いは主要4AIの違いと使い分けにまとめてあります。
診断士の守秘義務とAI|規則と協会の倫理規程
診断士が支援先の秘密を漏らすことは、経済産業省令の規則上、登録の拒否と取消しの事由とされています。AIに支援先の情報を入れる前に、まずこの根拠を押さえておきましょう。
中小企業診断士の登録制度の根拠は、中小企業支援法第11条です。同法の本文には、診断士個人の秘密保持を定めた条文は見当たりません。具体的な定めは、省令である「中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則」に置かれています。
同規則の第5条第1項は、登録を拒否する者として、第7号で「正当な理由がなく、中小企業診断士の業務上取り扱ったことに関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者」を挙げます。第8号は「前各号のほか、中小企業診断士の信用を傷つけるような行為をした者」で、どちらも、その行為をしたと認められる日から3年を経過しない者が対象となります。さらに第6条第1項で、登録の後に第5条の各号(第9号を除く)のいずれかに当てはまるに至ったときは登録を取り消すと定めているのです。
都道府県の協会が独自に定めた規程もあります。大阪府中小企業診断協会の「中小企業診断士 倫理規程」(平成24年4月2日実施)は第7条で、「会員は、職務上知り得た秘密及び情報等を、他に洩らし又は利用してはならない」としています。同じ規程の細則第5条は、診断の過程や結果を研究・教育の目的で発表するときの配慮と、企業名などが入る場合の事前の承諾を求めるものです。
※大阪府中小企業診断協会の倫理規程は都道府県協会の規程で、会員に向けたものです。全国組織の倫理規程の本文は、2026年10月16日の確認時点で見つかっていません。条文は e-Gov法令検索の現行条文で確認しました。
支援先の情報を外部のAIサービスに入れることは、その情報を事務所の外へ出すことでもあります。学習に使われる設定のまま実名や実数を入れれば、自分で漏れの経路を作ることになってしまいます。士業ごとの条文の違いは、親記事の士業のAI活用で一覧にまとめてあります。
連合会の調査研究報告書と、個人情報保護委員会の注意喚起
一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会は、令和6年度の調査・研究事業として『生成AIを活用した診断業務の効率化と付加価値化に向けた支援マニュアルの策定』(令和7年3月)をまとめました。第3章「生成AI活用の上で抑えておきたいポイント」では、情報漏洩への対応策として「生成AIに学習をさせない設定を行う」(オプトアウト)を挙げ、ChatGPTの設定を切り替える方法を図で示しています。ハイブリッド型やオンプレ型、RAG(手元の資料を検索して回答に使う仕組み)にも触れており、第4章では生成AIと著作権、EUの規制が取り上げられます。
一方で、連合会として生成AIの利用指針やガイドラインと呼べる文書は、2026年10月16日の確認時点では見つかっていません。現時点で頼れる診断士向けの資料は、上の調査研究報告書になるでしょう。
支援先の従業員や取引先の個人情報が絡む場合は、個人情報保護委員会の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)も関係してきます。個人情報取扱事業者が個人情報を含むプロンプトを入力するときは、特定した利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確かめるよう求める内容です。事業者向けの全体の考え方は、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」1.2版(令和8年3月31日公表)にまとめられています。
※連合会の報告書・個人情報保護委員会の注意喚起・AI事業者ガイドラインは、2026年10月16日に各公式サイトで本文を確認しています。
支援先データをAIに入れる前の匿名化手順
支援先の資料は、誰の話か分からない形に直してからAIに入れ、出てきた文を手元の対応表で元に戻すのが基本の流れになります。前掲の久保井氏のコラムも、個人情報や会社の機密をそのまま入れるのはセキュリティリスクだとして、氏名・電話番号・売上高・メールアドレスを伏せ字や概数にするマスキングを欠かせないものとしています。
実際の手順は次のとおりです。慣れれば手間はそれほどかからないので、毎回同じ順で進めてみてください。
- 原本には手を付けず、作業用のコピーを作ってそちらを直す
- 伏せ字にするのは、会社名・代表者や従業員の氏名・住所・電話番号・メールアドレス・取引先名・金融機関名・口座番号・法人番号・許認可番号
- 概数にするのは、売上高・利益・借入残高・従業員数・創業年。「約3億円」「約20名」「創業約40年」のように丸める
- 置き換えの呼び名は「A社」「取引先B」「代表者X」とし、同じ支援先の中では最後まで同じ呼び名を使う
- 地域・業種・創業年・特徴的な商品名の組み合わせで会社が分かることもあるため、地域は「近畿」、商品は「主力の金属部品」程度にぼかす
- 元の名前と呼び名の対応表は事務所内の支援先フォルダにだけ置き、AIにもメールにも貼らない
- AIが出した文は作業用のコピーに貼り、対応表を見ながら置換で元に戻す
- 戻した後は、概数のまま残った数字を実数に直し、文全体を診断士が読み直す
【入れる前】 〇〇製作所(〇〇市)の代表 〇〇氏。売上高3億2,450万円、従業員23名。主要取引先は〇〇工業で、売上の4割を占める。 【入れた後】 A社(近畿の金属加工業)の代表者X。売上高は約3億円、従業員は約20名。主要取引先Bが売上の約4割を占める。 【対応表(事務所内にだけ置く)】 A社=〇〇製作所/代表者X=〇〇氏/取引先B=〇〇工業/売上高 約3億円=3億2,450万円
数値計画の検算だけは、概数にすると合計が合わなくなってしまいます。その場合は、会社名を外した実数の表を貼るか、AIには計算式だけを作らせ、実数での計算は手元の表計算ソフトで済ませる方法が向いています。対応表をAIに貼った時点で匿名化の意味はなくなるため、表は必ず事務所の中に残してください。
伏せ字にしても、入れないほうがよい資料もあります。支援先から社外秘と念を押された資料や、公表前の事業承継・M&Aの相手、金融機関との交渉の中身は、名前を伏せても話の筋から会社が分かってしまうことがあるでしょう。こうした資料はAIに頼らず手元で読む、と先に決めておけば判断に迷いません。
一方で、補助金の事業計画書は、地域・設備・工程がどれだけ具体的に書かれているかが審査で見られる要になります。地域や設備名までぼかした原稿では、AIも具体性の不足を正しく指摘できず、見直しの精度が落ちてしまいます。具体名のまま見直したい場合は、入力が学習に使われず保存先を支援先に説明できる法人向けの環境に限り、支援先の同意を得てから入れるようにしてください。支援先の件数が多い事務所では、毎回の伏せ字の手作業そのものが重い負担になることも、環境を選ぶ理由の1つとなります。
いつ、どのAIに、どの資料を入れたかも、支援先ごとに1行ずつ残しておきましょう。後から支援先に聞かれたとき、記録があればすぐに答えることが出来ます。
個人向けプランは学習に使わせない設定を先に確かめる
個人向けのプランで業務に使う場合は、入れた会話がモデルの学習に使われない設定になっているかを、使い始める前に確かめることになります。設定の名前は、サービスごとに次のとおりです。
- ChatGPTの個人向け(Free・Plus・Pro)は、設定のデータコントロールにある「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、会話が学習に使われなくなる
- Claudeの個人向け(Free・Pro・Max)は、設定のプライバシーにあるモデル改善の切り替えで、学習への利用を止められる
- Geminiの個人向けは、Gemini アプリ アクティビティのページにある[アクティビティの保存]をオフにすると、今後の会話はAIモデルのトレーニングに使われない(フィードバックを送った場合を除く)。オフにしても72時間は保持される
※設定の名前と扱いは、2026年10月16日にOpenAI・Anthropic・Googleの公式ヘルプで確認したものです。画面の表記は変わることがあります。Claudeの個人向けで最初からどちらになっているかは、ご自身の画面でご確認ください。
法人向けの契約との違いや、士業に共通する設定の考え方は、親記事の士業のAI活用で整理しています。診断士の事務所で難しいのは、この設定がアカウントごとに分かれている点にあります。補助者やパートナーの診断士がいれば、全員の画面を1つずつ確かめなければなりません。個人のアカウントで使われていると、誰がどのAIに何を入れたのかを事務所の側から見る手段もなくなってしまいます。
学習の設定や利用の記録を各自のアカウントに任せず、事務所で使うAIの環境を1つにまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
ヒアリング記録・議事録の整理
ヒアリングの文字起こしは、発言にない事実を足させない条件を付けて、決まった見出しに振り分けさせるのが向いています。材料は、匿名化を済ませた文字起こしと、事前に用意した質問票の2つです。
録音や文字起こしの道具を使うことは、ヒアリングの最初に支援先へ伝えておきましょう。録音を外部の文字起こしサービスに上げる場合は、その時点で実名入りの音声が外に出るため、文字起こしの道具も学習と保存の扱いを先に確かめることになります。次の指示文は、整理の結果をそのまま診断報告書の材料に回せる形にしてあります。
【指示文1 ヒアリング記録の整理】 あなたは中小企業診断士の補助者です。下のヒアリングの文字起こしを、診断報告書の材料として整理してください。 条件 ・会社名と人名は、文中の「A社」「代表者X」などの表記のまま使い、推測で補わない ・発言にない事実や数字を足さない。はっきりしない箇所は【要確認】と書く ・次の見出しで整理する:1 事業の概要/2 代表者が感じている課題/3 数字に関する発言(発言どおり)/4 今後やりたいこと/5 次回に聞くべきこと ・3は、発言した人と、文字起こしのタイムスタンプ(例 12:30)を添える ・最後に、発言どうしで食い違っている箇所を箇条書きで挙げる 質問票 (ここに事前に用意した質問を貼る) 文字起こし (ここに匿名化した文字起こしを貼る)
【出てくる文の例】 2 代表者が感じている課題 ・年末の繁忙期に受注を断っている。断った件数は【要確認】 ・熟練の職人2名の退職が数年内に見込まれる(代表者X) 3 数字に関する発言 ・売上高は約3億円で、ここ数年は横ばい(代表者X・12:30) 食い違い ・08:15では「新しい取引先は増えていない」、41:50では「昨年から2社増えた」と話している
- 発言にない数字が入っていないか「数字に関する発言」の各行を、添えられたタイムスタンプの箇所と1つずつ照らし合わせます。
- 誤変換で人名・商品名が変わっていないか文字起こしの段階の聞き違いは、整理の後では気づきにくくなります。
- 【要確認】と食い違いを次回の質問に回したかAIが拾った食い違いは、そのまま次のヒアリングで聞く項目になります。
会議の議事録も、同じ指示文の見出しを「決まったこと/宿題と担当/次回までに確かめること」に替えれば使えます。整理の結果に診断士の解釈を書き足すときは、AIが整理した部分と分けて書くと、後で読み返したときに区別がつきやすくなるでしょう。
現状分析・SWOTのたたき台
SWOTのたたき台は、材料に書かれていないことを書かせず、各項目に根拠の番号を付けさせると、そのまま点検できる形で出てきます。材料は、匿名化したヒアリングの整理、直近3期の売上高と営業利益の概数、ローカルベンチマークの財務指標(概数)、それに診断士が自分で集めた業界の公開資料の抜き書きです。
AIは業界の動きや最新の制度を、それらしく作ってしまうことがあります。外部環境の材料は、出典名を付けた自分の抜き書きだけに絞ってみてください。
【指示文2 SWOTのたたき台】 あなたは中小企業診断士です。下の材料だけを使って、A社のSWOT分析のたたき台を作ってください。 条件 ・材料に書かれていないことは書かない。業界の一般論を足す場合は、その行の先頭に【一般論】と付ける ・各項目の後ろに、根拠にした材料の番号を(材料1)のように添える。根拠がない項目には【根拠なし】と付ける ・強みと弱みはA社の内部のこと、機会と脅威は外部の環境のことに分ける ・各4つまでにする ・最後に、強みと機会を組み合わせた打ち手の案を3つ、弱みと脅威が重なる注意点を2つ挙げる 材料1 ヒアリングの整理(匿名化済み) 材料2 直近3期の売上高・営業利益(概数) 材料3 ローカルベンチマークの財務指標(概数) 材料4 業界の公開資料の抜き書き(出典名つき)
【出てくる文の例】 強み ・地域の取引先から指名で受注している(材料1) ・営業利益は3期続けて黒字(材料2) 機会 ・【一般論】人手不足で外注を増やす同業者がいる【根拠なし】 打ち手の案 ・指名の多い取引先に、繁忙期の受注枠を前もって提案する(強み1×機会1)
- 【一般論】【根拠なし】の行をどうするか決めたか自分で裏付けを取って残すか、消すかのどちらかにします。そのまま報告書に載せないようにします。
- 材料にない統計や制度が混ざっていないか機会と脅威の欄に、材料4に無い調査名や制度名が出ていたら、まず疑ってかかります。
- 内部と外部の取り違えがないか「人手が足りない」は弱み、「業界全体の人手不足」は脅威、のように書き分けられているかを見ます。
たたき台は、支援先と一緒に直していく前提の下書きです。代表者に見せて「これは違う」と言われた項目こそ、次のヒアリングで深く聞くべき場所になります。
事業計画書の数値計画の検算と文章との整合
事業計画書では、文章の評価と数字の検算を別々の指示文に分けると、それぞれの抜けが見つけやすくなります。久保井氏のコラムにある、たたき台を作る、修正を繰り返す、別のAIに評価させる、最後は人が判断する、という流れに沿って使ってみてください。
たたき台・修正・評価の3段で回す
融資用の計画や経営革新計画のように診断士が作成を手伝える計画では、たたき台と修正を支援先との対話で進めます。公募要領で申請者自身の作成を求める補助金では、たたき台は申請者が書き、診断士は指示文3や指示文5で指摘だけを返す形になります。仕上がりに近づいた原稿は、たたき台を作ったのとは別のAIに、審査する側の目で読ませるのが効き目のある使い方です。書き直しをさせず、指摘だけを返させるのがこの指示文の要になります。
【指示文3 事業計画書を審査する側の目で読む】 あなたは(補助金名・回)の審査員です。下に貼る審査項目と加点項目に照らして事業計画書の原稿を読み、書き直さずに、指摘だけを返してください。 見てほしい点 1 課題→取組み→効果のつながりが途切れている箇所 2 根拠が書かれていない数字や、言い切りすぎている表現 3 同じ内容の繰り返しと、読み手が知らない用語 4 読み手が真っ先に疑問を持ちそうな箇所を3つ 5 貼った審査項目・加点項目のうち、原稿で触れていないもの 返し方 ・原稿の該当箇所を短く引用し、その下に指摘を1〜2文で書く ・良い点は最後に2つだけ書く ・審査項目と加点項目は、下に貼った原文だけを使い、覚えている内容で補わない 審査項目と加点項目 (公募要領の該当箇所を原文のまま貼る) 原稿 (ここに匿名化した原稿を貼る)
【出てくる文の例】 引用:「新設備の導入で生産性が大きく向上する」 指摘:どの工程の作業時間が何割減るのかが書かれていないため、効果の大きさが読み手に伝わりません。 引用:「市場は今後も拡大が見込まれる」 指摘:拡大の根拠になる資料名がありません。出典を添えるか、表現を弱める必要があります。
数値計画の検算と、本文との食い違い探し
数値計画の点検では、本文と表の突き合わせをAIに任せ、伸び率の計算はAIの答えをそのまま信じないことが肝心です。AIは表の伸び率を、もっともらしく間違えることがあります。表は表計算ソフトからCSV形式で書き出して貼り、計算式を出させて手元の表で計算し直すところまでを1セットにしましょう。表は会社名を外した実数で貼り、概数で貼った場合は○×を使わず式だけを使います。
【指示文4 数値計画と本文の突き合わせ】 下に貼る数値計画の表(CSV形式・単位:千円)と本文を突き合わせ、食い違いと基準値への当てはまりを調べてください。 手順 1 本文に出てくる数字(金額・人数・比率・年度)をすべて拾い、表の該当する行・年の数字と一致するかを一覧にする。一致しないものは本文の該当箇所を短く引用する 2 付加価値額と給与支給総額の伸び率を、下に貼った様式の定義と判定の単位(計画期間の年平均か各年か)どおりに計算する 3 2の結果が、下に貼った公募要領の基準値を満たすかを○×で示す 4 2の計算に使った式を、表計算ソフトにそのまま入れられる形で書く 注意 ・暗算の結果だけで「満たしている」と書かない。必ず4の式を添える ・計算方法は、下に貼った様式の定義だけを使う。定義が無い指標は計算せず【定義なし】と書く ・基準値は下に貼った原文だけを使い、覚えている数字で補わない 様式の定義(付加価値額・給与支給総額の計算方法) (公募要領や計画様式の該当箇所を貼る) 公募要領の基準値 (公募要領の該当箇所を原文のまま貼る) 数値計画の表(CSV形式) (表計算ソフトからCSVで書き出した中身を貼る) 本文 (ここに匿名化した本文を貼る)
【出てくる文の例】 1 本文では「3年後に従業員を5名増やす」とありますが、表の人件費は2名分の増加にとどまっています。 3 給与支給総額の伸び率は、貼られた基準値に届いていません(×)。 4 年平均伸び率の式:=(D8/B8)^(1/2)-1
- 計算式を手元の表で計算し直したかAIの返した式を表計算ソフトに入れ、AIの答えと一致するかを見ます。一致しなければ、手元の計算を正とします。
- 本文と表の食い違いを全部つぶしたか人数・金額・年度のずれは、審査する側が最初に気づく箇所です。
- 様式の定義と基準値を、最新の公募要領から貼ったか前の回の要領を貼ると、計算そのものが合っていても結論がずれてしまいます。
匿名化の節で触れたとおり、概数のままでは計算が実数と合いません。実数で貼った場合も、基準値を満たすかどうかの判断は、出させた式を手元の表に入れて計算し直してから下すようにしてください。
補助金申請書を審査項目に沿って見直す
事業計画を申請者自身が作るよう公募要領で定めている補助金では、診断士がAIを使う場面は、申請者が書いた原稿を審査項目に沿って見直す助言の段階になります。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領(第1回)1.2版(令和8年8月、独立行政法人中小企業基盤整備機構)の「外部支援者活用時の注意」は、申請者が事業計画の作成・実行・成果目標の達成に責任を持つとしています。
同じ箇所には、認定経営革新等支援機関を含む外部支援者の助言を受けることは差し支えないが、「必ず申請者自身で作成してください」とあります。作成そのものを申請者以外が行うことは認められず、発覚した場合は不採択や採択の取消し、交付決定の取消しになるとの記載です。外部支援者が他の事業者と同じ、または似た内容の申請を故意や重い過失で主導した場合は、その支援者が関わった申請を以後受け付けない可能性にも触れています。
生成AIの使用そのものについては、この公募要領には記載がありません。ただ、診断士がAIで計画を書き上げて申請者に渡す形は、作成自体を申請者以外が行うことに当たるおそれがあります。別の支援先の申請書をAIに参考として読ませる使い方も、似た内容の申請を生む元になってしまいます。作成者の決まりは補助金ごとに違うため、支援する制度の公募要領でそのつど確かめてみてください。
GビズIDとパスワードを外部支援者などの第三者に教えることは、GビズIDの利用規約第10条に反すると、同じ公募要領は注意を促します。デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の公式ページ「不正行為にご注意ください」でも、補助対象者以外が申請手続きを代理で行う行為や、GビズIDを他者と共有して手続きさせることが不正行為の例に挙がっています。申請の操作は、必ず申請者本人にお願いしましょう。
※確認したのは公募要領(第1回)1.2版(令和8年8月)です。同要領のPDFで「生成AI」の語は見当たらず、確認した範囲で生成AIの使用についての記載はありません。公募要領の版は改訂されることがあるため、最新版は事務局サイト(ミラサポplus 等)でご確認ください。第1回の締切後は、次の回の公募要領で作成者の定めを確かめてください。いずれも2026年10月16日に事務局サイトと公式ページで確認しています。
下の指示文は、AIに文案を出させず、審査項目と加点項目ごとの記載の有無と、申請者への質問だけを返させる形にしてあります。書き直すのは申請者で、診断士は質問と指摘で支える、という役割分担がそのまま守れる作りです。
【指示文5 審査項目に沿った見直し(申請者の原稿への助言)】 あなたは補助金申請書の見直しを手伝う助言者です。申請書の本文は申請者自身が書いたもので、あなたは書き直してはいけません。 下に貼る公募要領の審査項目と加点項目ごとに申請者の原稿を照らし合わせ、次の形で返してください。 ・審査項目または加点項目の名前(公募要領の原文どおり) ・原稿のどこで触れているか(見出しと短い引用)。触れていなければ【記載なし】 ・読み手が足りないと感じそうな点(1〜2文) ・申請者に確かめるための質問(1つ) 守ること ・言い換えた文案や、書き直した段落は出さない ・公募要領にない加点項目や要件を作らない ・最初の行に、貼られた公募要領の名前・回・版を書き写す 公募要領の審査項目(原文を貼る。名前・回・版も) 加点項目(原文を貼る) 申請者の原稿(匿名化済み)
【出てくる文の例】 (公募要領の名前)第1回 1.2版 審査項目:(公募要領の原文どおり) 原稿の該当箇所:「3 事業の内容」の2段落目「新しい顧客層に…」 足りないと感じそうな点:想定する顧客の数と、その数字の出典が書かれていません。 申請者への質問:この顧客層は、どの資料や実績をもとに見込みましたか。
- 公募要領の名前・回・版が合っているか出力の1行目と、事務局サイト(ミラサポplus 等)にある最新の公募要領を見比べます。前の回の要領で見直すと、審査項目そのものがずれてしまいます。
- 審査項目と加点項目をAIの要約でなく原文で照らしたか要約の段階で項目が抜けることがあります。項目の名前は原文と一字ずつ見比べます。
- 直すのは申請者になっているか指摘と質問を申請者に返し、申請者が自分の言葉で書き直す流れを守ります。
- 公募要領にない要件が混ざっていないかAIが他の補助金の要件を混ぜることがあります。指摘の根拠が公募要領のどこにあるかを確かめます。
公募要領で申請要件・補助対象経費・加点項目を確かめる
原稿の見直しに入る前に、支援先の計画がそもそも申請要件を満たし、予定している経費が補助の対象になるかを、公募要領の原文に照らして確かめておくと手戻りが減ります。要件・対象経費・加点項目は制度や回ごとに変わるため、ここでは具体的な基準は書かず、公募要領の該当ページを貼って使う指示文にしてあります。
入れる材料は、事務局サイト(ミラサポplus 等)から取った最新の公募要領のうち申請要件・補助対象経費・加点項目の箇所(ページ番号つき)と、匿名化した支援先の概要、予定している経費の一覧の3つです。AIには○×を付けさせますが、決めるのは診断士と申請者になります。
【指示文6 公募要領で申請要件・補助対象経費・加点項目を確かめる】 あなたは補助金の公募要領を読み合わせる助言者です。下に貼る公募要領の原文だけを根拠に、A社の計画が申請要件・補助対象経費・加点項目に当てはまるかを確かめてください。 返し方 ・最初の行に、貼られた公募要領の名前・回・版を書き写す ・申請要件:要件ごとに ○(満たす)/×(満たさない)/【要確認】のどれかを付け、根拠にしたページと短い引用を添える ・補助対象経費:予定している経費ごとに、対象になるかを ○/×/【要確認】で示し、根拠にしたページを添える ・加点項目:項目ごとに、A社の概要から当てはまりそうかを ○/×/【要確認】で示し、根拠にしたページを添える ・A社の概要だけでは判断できないものは、推測で○×を付けずに【要確認】とし、申請者に確かめる質問を1つ添える 守ること ・公募要領に書かれていない要件・経費の区分・加点項目を作らない ・覚えている他の補助金や前の回の内容で補わない 公募要領の該当箇所(申請要件・補助対象経費・加点項目の原文を、ページ番号つきで貼る) A社の概要と、予定している経費の一覧(匿名化済み)
【出てくる文の例】 (公募要領の名前・回・版) 申請要件 ・(要件の名前):○ 根拠 〇ページ「(原文の短い引用)」 補助対象経費 ・新しい加工機の購入:○ 根拠 〇ページ ・展示会への出展費:【要確認】 貼られた箇所に、この経費に当たる区分が見当たりません。 申請者への質問:この出展は、新しい事業のどの段階で行う予定ですか。 加点項目 ・(加点項目の名前):【要確認】 A社の概要に判断できる記載がありません。 申請者への質問:この項目に当たる取組みや認定はありますか。
- 根拠のページを公募要領の原文で開いたか○が付いた項目も、示されたページを開いて自分の目で読みます。引用がページとずれていたら、その行は使いません。
- 【要確認】をすべて申請者か事務局に確かめたか判断できなかった項目は、申請者への質問か、事務局への問い合わせで1つずつ埋めます。
- 貼った公募要領が最新の版か版が改訂されると要件や経費の扱いが変わることがあります。事務局サイト(ミラサポplus 等)の最新版と見比べます。
経営革新計画などの申請書ドラフト支援
経営革新計画のような申請書でも、AIに書かせるより、代表者自身の言葉を引き出す質問づくりに使うほうが、内容の濃い申請書に近づきます。東京都中小企業診断士協会 城南支部の「爆速仕事改革!診断士のための生成AI活用講座(初級編)」の受講報告(2025年5月31日掲載)でも、経営革新計画などの申請書のドラフト作成支援が扱われました。同じ講座では、ハルシネーション(AIがもっともらしい誤りを出すこと)や個人情報の取扱い、オプトアウト設定の大切さも取り上げられています。
申請書の作り手や様式の決まりは、申請先の手引きで確かめてから進めてください。下の指示文は、申請様式の欄ごとに、代表者に聞く質問を作らせるものです。
【指示文7 代表者の言葉を引き出す質問づくり】 A社は経営革新計画などの申請を検討しています。申請書は代表者自身の言葉で書いてもらう前提で、代表者に聞く質問を作ってください。 条件 ・下の申請様式の欄ごとに、質問を3つずつ作る ・はい・いいえで終わらず、具体的な場面や数字を引き出す聞き方にする ・専門用語は使わず、代表者がその場で答えられる言葉にする ・様式の欄にない要件を推測で足さない 申請様式の欄の名前(申請先の手引きから写す) A社の概要(匿名化済み)
【出てくる文の例】 欄:新たな取組みの内容 ・この取組みを思いついたのは、どんなお客様の、どんな一言からでしたか。 ・今のやり方と比べて、作業のどこが一番変わりますか。 ・始めてから1年後、売上や受注の件数がどのくらいになっていれば成功だと考えていますか。
- 質問が様式の欄から外れていないか欄の名前と質問を並べ、関係の薄い質問は外します。
- 代表者の答えを、代表者の言葉のまま残したか答えをAIに整えさせると、代表者の考えより一般論に寄ってしまいます。
作成者の定めがある場合は、代表者の答えがそろったら、それを代表者が自分で欄に書き込み、診断士は指示文5の形で指摘を返します。答えの録音や文字起こしを使うときは、ヒアリングの節と同じく匿名化してから入れることになります。
診断報告書の構成と根拠の点検
診断報告書では、AIに文章を書かせるより、現状分析の課題と提言の対応や、出典のない記述を洗い出させる点検役に使うと手戻りが減ります。報告書は支援先が社内で回し読みするものなので、根拠の書かれていない言い切りが1つあるだけでも、全体の信頼を落としてしまいます。
【指示文8 診断報告書の構成と根拠の点検】 下の診断報告書の原稿(匿名化済み)を読み、内容を書き直さずに次を点検してください。 1 現状分析で挙げた課題が、提言のどれに対応しているかの対応表。対応する提言がない課題と、課題と結びつかない提言を明記する 2 数字・統計・制度名で、出典が書かれていないもの 3 「必ず」「確実に」など、診断士として言い切れない表現 4 伏せ字にし損ねた固有名詞や、個人が分かる記述が残っていないか 原稿 (ここに匿名化した原稿を貼る)
【出てくる文の例】 1 対応表 課題2「受注の波が大きい」→ 提言3「繁忙期の受注枠の事前提案」 課題4「熟練職人の退職」→ 対応する提言なし 2 出典なし ・「業界の平均利益率は5%程度」(4ページ)
- 対応する提言のない課題をどうするか決めたか提言を足すか、課題の書き方を見直すかを診断士が判断します。
- 出典のない数字を、自分で資料に当たって確かめたか見つからない数字は消すか、根拠を示せる表現に改めます。
報告書を研修や勉強会で事例として使う場合は、大阪府中小企業診断協会の倫理規程の細則第5条のように、企業名などが入るなら事前の承諾を求める協会の規程もあります。所属する協会の規程を確かめ、匿名化の手順を報告書の公開用の版にも当てはめておきましょう。
AIの出力で診断士が必ず確かめる点
AIの出力は、日付・数字・出典・公募要領の版の4つを、診断士が原資料に戻って確かめてから使うことになります。AIはもっともらしい誤り(ハルシネーション)を出すことがあり、文がなめらかなほど誤りに気づきにくくなってしまいます。事業計画書と補助金申請書では見るべき点が少し違うため、分けて挙げておきます。
事業計画書で確かめる点
- 本文と表の数字が、決算書や試算表と一致するかAIが整えた文の中で、数字だけが元の資料からずれていることがあります。
- 合計と伸び率を、表計算ソフトで計算し直したかAIの暗算の結果は、そのまま使わないようにします。
- 日付と曜日、和暦と西暦、事業期間の年月曜日の取り違えや、年度のずれがよく起きる箇所です。
- 実数と割合の取り違え「売上の4割」が「4億円」のように化けていないかを見ます。
- AIが挙げた統計名・調査名が実在するか出典の名前を自分で検索し、本文を開いて数字を確かめます。
- 匿名化の戻し忘れ「A社」「約3億円」のまま残っている箇所がないかを、最後に検索して確かめます。
補助金申請書で確かめる点
- 公募要領の回と版前の回の要領を貼ったまま見直していないかを確かめます。
- 審査項目を原文で照らしたかAIの要約した審査項目ではなく、公募要領の原文で照らします。
- 作成者が申請者のままか指摘を受けて書き直すのが申請者自身になっているかを見ます。
- 他の支援先の文が混ざっていないか別の支援先の申請書を参考としてAIに入れていないかを確かめます。
- GビズIDを申請者本人が操作するかIDとパスワードは預からないようにします。
提出前の確認の流れ
提出の前には、誰が・何を・どの資料と突き合わせるかを決めておくと、確認の抜けが減ります。作成者に定めのある補助金では、原稿を書くのは申請者で、診断士は聞き取りと見直しで支える、という順に並べると次のようになります。
- 診断士が申請者にヒアリングし、指示文7で代表者に聞く質問を作る
- 申請者が質問に自分の言葉で答える
- 申請者が、その答えをもとに申請様式へ自分で書き込む
- 診断士が指示文5で原稿を見直し、指摘と質問を申請者に返す(要件・経費・加点項目は指示文6で確かめておく)
- 申請者が書き直し、担当の診断士が決算書・見積書・公募要領と突き合わせる
- 事務所のもう1人が、数字だけを決算書と照らし合わせる(1人の事務所なら、日を改めて読み直す)
- 申請者が自分のGビズIDで申請する
事務所・会社でAIを安全に使うには
事務所でAIを使うなら、学習に使わせない設定、利用の記録、アカウントの配布と停止、複数のAIの使い分けを、個人の判断ではなく事務所の決まりとしてそろえることになります。個人向けのプランを各自で使う形のままだと、設定の確認も記録も一人ひとりの手に委ねられてしまいます。
ChatGPTのBusinessやEnterpriseのように、法人向けの契約では既定で会話を学習に使わないものもあります。事務所の環境を選ぶときは、次の点を確かめてみてください。
- 学習に使わない扱いを、管理者の側で全員にそろえられるか一人ひとりの設定に任せる形だと、補助者の1人が戻し忘れただけで抜けが生まれます。
- 誰がいつどのAIを使ったかを、事務所の側で見られるか支援先に聞かれたときに答えられるかどうかが分かれ目です。
- 退所した補助者やパートナーのアカウントを止められるか個人のアカウントは、本人が消さない限り会話の履歴が残ります。
- データの保管場所を支援先に説明できるかどこの国の、どの事業者のサーバーに残るかを答えられる環境を選びます。
- 工程に合わせて複数のAIを使い分けられるかたたき台と評価を別のAIに任せる使い方が、1つの環境で出来るかを見ます。
環境をそろえたら、支援先にもAIの使い方を伝えておくと、後から聞かれて慌てることがなくなります。次の文は、支援を始めるときの説明や年初の案内に添える例として使えます。
【支援先へのお知らせ(例)】 当事務所では、記録の整理や文章の点検の一部に生成AIを使うことがあります。使うときは、次のとおり扱います。 ・会社名・氏名・連絡先・取引先名は伏せ字にし、金額は概数にしてから入力します ・入力した内容が学習に使われない設定、または契約のサービスだけを使います ・AIが出した文や数字は、すべて担当の中小企業診断士が原資料と照らして確かめます ・申請者自身の作成を求める補助金の申請書は、貴社ご自身で作成いただき、当事務所は助言と見直しをお手伝いします AIを使ってほしくない資料があれば、お申し付けください。
支援先の社内でAIの使い方を整えたいと相談されたときも、考え方は同じです。社員が個人のアカウントで使う野良AIの問題はシャドーAI(野良AI)とは、社内ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方、点検の項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストで整理しています。複数のAIを1つの環境で使う形の全体像は、マルチAIとはをご覧ください。
AIで診断士の仕事は代替されるのか
文章の下書きや資料の整理は速くなりますが、支援先と一緒に決め、実行まで付き合う部分は、AIの下書きでは置き換わりにくいと考えられます。ここまで見てきた指示文は、どれも最後に診断士が判断する前提で作ってあります。
申請者自身の作成を求める補助金で診断士が担うのは、申請者の原稿に問いを投げ、根拠の弱い箇所を一緒に詰めていく仕事です。代表者の考えや現場の事情をよく知る人でなければ、この役目を果たすのは難しくなります。AIで下書きの時間が減った分を、代表者の話を聞く時間や、数字の裏付けを取る時間に回せるかどうかが、これからの差になっていくでしょう。
診断士試験の学習にAIを使うとき
試験の学習では、AIを用語の説明役や、自分の答案の論点の抜けを探す相手に使うのが向いています。AIの評価が試験の採点の考え方と一致するとは限らないため、2次試験の答案の良し悪しをAIの点数で判断するのは避けたほうが無難です。
1次試験の知識は、AIの説明をうのみにせず、テキストや過去問の解説と見比べて覚えるようにしましょう。AIが出す法令や制度の説明には古い情報が混ざることがあり、受験する年度の内容かどうかは自分で確かめることになります。
事務所のAIを、1つの契約と1つの管理画面で
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約・1つの画面で切り替えて使える法人向けサービスです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・使うモデルのON/OFFを管理でき、会話の途中でもモデルを切り替えられます。基盤はAWSの日本リージョンで稼働しています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
中小企業診断士が支援先の情報をAIに入れると、守秘義務に反しますか?
補助金の事業計画書をAIで作って支援先に渡してもよいですか?
日本中小企業診断士協会連合会に生成AIの利用指針はありますか?
ChatGPTやClaude、Geminiで入力内容を学習に使わせない設定はどこですか?
支援先のデータはどこまで匿名化すればよいですか?
AIに数値計画の検算を任せても大丈夫ですか?
まとめ
中小企業診断士のAI活用は、下書きと点検をAIに手伝わせ、判断と責任は診断士が持つという分担が出発点です。秘密を漏らすことは規則上の登録の拒否・取消しの事由であり、支援先の情報は伏せ字と概数に直し、対応表を事務所の中に残したうえで入れることになります。
業務ごとの使い方は、ヒアリング記録の整理、SWOTのたたき台、数値計画の検算と本文との整合、診断報告書の点検で、それぞれ書き直しをさせず指摘を返させる指示文が使いやすい形です。公募要領で申請者自身の作成を求める補助金では、AIは要件の確かめと、申請者の原稿を審査項目に沿って見直す助言に使いましょう。
個人向けのプランを各自で使う形では、学習の設定も利用の記録も一人ひとりに任されてしまいます。事務所として環境と決まりをそろえ、支援先にも使い方を伝えておくことが、安心してAIを任せられる土台になるでしょう。法人のAI活用のほかの記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。
