
ChatGPTのパーソナライズとは、回答の口調を選ぶパーソナリティ、あらかじめ伝えておくカスタム指示、会話の内容を覚えて次に生かすメモリの3つで、ChatGPTの答え方を使う人に合わせる設定の総称になります。会社としては、口調とカスタム指示は社員に任せ、メモリは会社の契約(ChatGPT Businessなど)の中ではオン、社員の個人アカウントには業務の情報を入れない、という線引きが現実的でしょう。メモリは「覚えて」と頼まなくても会話から情報を取り込むことがあるため、個人アカウントに会社の情報が溜まると、会社からは手を出しにくくなってしまいます。
ChatGPTそのものの定義や料金、学習の設定までの全体像を先に押さえたい方は、ChatGPTとは?料金・学習設定・会社での始め方の記事をご覧ください。
設定の場所だけ先にお伝えすると、パソコンのWeb版では画面下のプロフィール(名前の表示)から「パーソナライズ」を開き、スマホのアプリではプロフィールアイコンから「設定」→「パーソナライズ」へ進みます。メモリの項目は「設定」→「パーソナライズ」→「メモリ」にまとまっています。
ChatGPTのパーソナライズは、口調・指示・記憶の3つでできている
パーソナライズの中身は、口調を決めるパーソナリティ、自分で書いて渡すカスタム指示、会話から覚えていくメモリの3つに分かれます。3つは役割も会社にとっての重さも違うため、まとめてオンかオフかを決めるより、1つずつ分けて考えるほうが判断しやすいでしょう。
パーソナリティ(基本のスタイルとトーン)は伝え方だけを変える
パーソナリティとは、ChatGPTが答えるときのスタイルとトーンのことで、OpenAIのヘルプでは特性・語り口・ふるまいの組み合わせと説明されています。ヘルプによれば、変わるのは伝え方だけで、ChatGPTにできることや従う安全ルールまでは変わりません。
メールの下書きやコードを頼んだときは、選んだパーソナリティより、依頼の内容と文脈に合わせた書き方が優先されるとも書かれています。業務文書の品質を左右する設定ではないので、会社として細かく決める必要は薄いと考えてよいでしょう。
パーソナリティのプリセットは7種類
選べるのは、標準のデフォルトと、プロフェッショナル・フレンドリー・率直・ユニーク・効率重視・シニカルの6つを合わせた7種類です。ヘルプの説明では、プロフェッショナルはフォーマルな言葉遣いで職場の文章に向き、効率重視は前置きを省いてまず答える型になります。シニカルは皮肉っぽくドライなスタイルとされているため、社外に出す文面の下書きには向かないと考えておきましょう。
なお、Web版でパーソナリティを変えると、既存の会話を含むすべてのチャットに反映されます。
口調の細かな好みは、本人に任せてよい
ヘルプがパーソナリティを特性・語り口・ふるまいの組み合わせとしているとおり、回答の口調にまつわる細かな好みも、伝え方の範囲に入ります。会社としては、社外に出す文面は必ず人が整えるという一点だけを決め、あとは本人の好みに任せて問題ありません。
カスタム指示は、あらかじめ渡しておくメモ
カスタム指示とは、ChatGPTに知っておいてほしいことや、どう答えてほしいかを、使う人が自分で書いて渡しておく指示のことです。本人が書いた文面なので、何が渡っているかを本人も会社も把握しやすい設定と言えます。
会社で文面のひな形を配れば、社員ごとの答え方の差を小さくすることも出来ます。ひな形は後半の社員に配るひな形の節に載せました。
メモリは、会話やファイルから覚えていく記憶
メモリとは、ChatGPTがチャットやほかのソースから好みや詳しい事情を覚えておき、次の回答に生かす機能です。同じ説明を毎回くり返さずに済むのが利点で、仕事の前提を覚えてもらうと回答の手直しが減っていきます。
一方で、何を覚えたかは本人が画面を開かない限り見えず、会社からはさらに見えにくくなります。会社として判断が要るのは、主にこのメモリの扱いです。
保存したメモリとチャット履歴の参照、2つの記憶の違い
メモリの設定には、性質の違う2つの記憶が含まれます。保存したメモリは、「覚えておいて」と頼んだ内容や、ChatGPTが役立つと判断して保存した内容を、チャット履歴とは別に残しておくものです。
チャット履歴を参照する設定は、過去の会話に含まれる情報を使って回答を合わせる仕組みで、覚える中身は、ChatGPTが役立つ情報を更新するのに合わせて変わる場合があります。ヘルプには、チャット履歴から参照できる情報に個別の保存容量の上限はないと書かれています。
2つの関係にも注意が要ります。「保存したメモリを参照する」をオフにするとチャット履歴の参照も一緒にオフになり、保存したメモリがオンのときに限って、チャット履歴の参照だけを個別に切り替えられます。
設定画面の場所とPC・スマホの手順
- パソコン(Web版):画面下のプロフィール(名前の表示)→「パーソナライズ」→「基本のスタイルとトーン」の横のドロップダウンでパーソナリティを選ぶ
- スマホ(iOS・Android):プロフィールアイコン→「設定」→「パーソナライズ」→「基本のスタイルとトーン」からパーソナリティを選ぶ
- メモリ:「設定」→「パーソナライズ」→「メモリ」。使える環境に応じて「メモリ」「保存したメモリを参照する」「チャット履歴を参照する」「メモリの概要」「管理」「保存したメモリ」などの項目が並ぶ
ヘルプには、メモリの機能や項目はプラン・地域・プラットフォーム・ワークスペースの設定によって異なり、説明どおりの項目が見当たらない場合はそのアカウントでまだ使えない可能性がある、と書かれています。社員の画面と管理者の画面で表示が違うこともあり得るため、方針を決める前に何台かの画面を実際に確かめてみてください。
会社で決める設定の判断表(オンでよい・条件付き・オフで始める)
社員10〜200名の会社なら、パーソナリティとカスタム指示はオンでよい、保存したメモリとチャット履歴の参照は会社の契約の中なら条件付きでオン、接続済みアプリとファイルはオフで始める、を基本に置くのがおすすめです。一時チャットは禁止するものではなく、機密に近い相談をするときの逃げ道として使ってもらう位置づけになります。
判断の軸は、顧客や取引先の情報を毎日扱う部署かどうか
線を引く基準は、機能の新しさより、その部署が顧客・顧問先・取引先の情報を日常的に扱うかどうかに置くとぶれません。営業事務や経理、会計事務所の担当者のように、名前や金額が会話に混ざりやすい部署ほど、メモリに残るものが重くなってしまいます。反対に、社内の文書づくりや調べものが中心の部署なら、メモリをオンにしても残る情報は比較的軽く済みます。
- パーソナリティ(基本のスタイルとトーン)…オンでよい口調を選ぶだけの設定で、会社の情報を渡す操作ではありません。社外に出す文面は人が整える、という一点だけ決めておけば足ります。
- カスタム指示…オンでよい(会社のひな形を配る)会社が共通部分を用意し、社員は自分の役割だけを書き足します。顧客名・金額・社外秘は書かない決まりにしてください。書いた文面は、プランや地域によってはメモリの参照元にもなります。
- 保存したメモリ…条件付き(会社の契約の中ならオン)Businessでは会話やメモリを含むデータが既定で学習に使われません。個人アカウントには業務の情報を入れない決まりとセットで使います。
- チャット履歴を参照する…条件付き(顧客情報を毎日扱う部署はオフで始める)過去の会話の中身が次の回答の材料になります。オフにすると、過去のチャットから記憶した情報は30日以内に削除される予定になると説明されています。
- 接続済みアプリ・ライブラリのファイル…オフで始めるGmailなどの接続済みアプリやファイルの中身も、プランや地域によってはメモリの参照元になります。つなぐ範囲を決めてから個別に許可します。
- 一時チャット…使ってよい(使い方を教える)メモリを作らず、履歴にも表示されません。保存すると通常のチャットになる点だけ、あわせて伝えます。
この判断表は、会社が契約するワークスペースで使うことを前提にしています。社員が個人のアカウントで業務に使っている状態では、設定は本人の画面で行うものになり、会社が決めた線引きが届きにくくなってしまいます。まず会社の契約の中で使う環境を用意し、そのうえでメモリをオンにする、という順番で進めましょう。
「覚えさせなければ大丈夫」が通じにくくなった2026年6月のメモリ刷新
社内ルールを、ChatGPTに覚えてと言わなければよい、で済ませている会社は見直しが必要です。OpenAIは2026年6月4日に、ChatGPTのメモリの仕組みを、dreamingと呼ぶ処理を土台に作り直したと発表しました。
同社の説明によれば、メモリは2024年4月に、頼んだ内容を書き留める保存済みメモリとして始まっています。2025年4月にはチャット履歴を参照する仕組みが加わり、裏側でメモリを自動で整理するdreamingの最初の版が導入されました。
dreamingは、覚えておくよう明示的に頼まなくても、会話の中に自然に出てきた事情をメモリに取り込みやすくする仕組みだと、同社は説明しています。頼まなくても覚えることがある以上、ルールの軸は入力しない・一時チャット・会社の契約の3つに移すのが現実的でしょう。
時間の感覚も変わります。発表では、7月にシンガポールへ行く予定という記憶が、旅行の後には2026年7月にシンガポールへ行ったという記憶に自動で書き換わる例が紹介されていました。
会社の仕事に置き換えると、担当している取引先や進行中の案件の状況を、ChatGPTが時間の経過に合わせて覚え直していく可能性があるということです。便利さの裏返しとして、どの会社のどの案件の話が記憶に入っているかを、本人も正確には把握しにくくなります。
※dreamingに関する記述は、OpenAI「ChatGPT メモリ機能のより強固な基盤」(2026年6月4日)の同社発表に基づきます。発表内の評価結果は同社の社内評価で、第三者による検証結果ではありません。
プラン別の違いと、提供の広がり方
発表では、この刷新は米国のPlus・Proのユーザーから提供を始め、数週間かけて他の国のユーザーやFree・Goのユーザーへ順次広げる予定とされていました。Plus・Proのユーザーに向けては、メモリの容量を増やすことも示されました。発表で提供先として挙がっているのは個人向けのPlus・Pro・Free・Goで、ChatGPT Businessへの適用は発表に書かれていません。
ただし、どのプランでどの項目が使えるかについて、ヘルプはプラン・地域・プラットフォーム・ワークスペースの設定で異なると書くにとどめています。無料版なら使えない、Businessなら全部使える、といった一律の線は引かず、社員と管理者の実際の画面で確かめるのが確実です。
メモリの参照元はチャットだけではない
メモリが参照する情報源は、チャットに限りません。ヘルプによれば、プランや地域によって、過去のチャット、保存したメモリ、カスタム指示、ライブラリ内のファイル、Gmailなどの接続済みアプリのコンテンツが含まれます。
メールや共有ファイルをつないだ時点で、会話に書いていない会社の情報まで、回答を合わせる材料になりうるということです。アプリの接続を解除すると以後はアクセスできなくなりますが、そのアプリの中身をすでに使った過去の会話は削除されずに残ります。判断表で接続済みアプリをオフで始めるとしているのは、このためです。
メモリに覚えさせてよい情報・入れてはいけない情報
覚えさせてよいのは、自分の役割や文章の好み、公開済みの会社情報までです。顧客や社員の個人情報、財務の数字、パスワードは、会社の契約の中であっても入れないのが基本になります。ヘルプにも、ChatGPTと共有した機密情報がメモリに記憶される場合がある、と明記されています。迷ったときに使えるよう、3段階に分けておきましょう。
覚えさせてよい情報
- 自分の役職と担当業務(例:総務で社内規程の改訂を担当している)
- 文章の好み(結論から書く、敬語の強さ、箇条書きを使うかどうか)
- ホームページや会社案内で公開している会社の概要・事業内容
- よく使うソフトの名前や、社内で使っている書式の名前
会社の契約の中でだけ覚えさせてよい情報
- 社内用語や部署名、業務の進め方
- 社内だけで使う資料の構成やテンプレートの名前
- 公開前の企画の大まかなテーマ(取引先名や金額を含まない範囲)
この段は、会社の契約(Businessなど)の中に限っています。個人アカウントに入れると、退職や異動の後も本人の手元に残り続けてしまいます。
どの環境でも入れてはいけない情報
- 顧客・顧問先・取引先の名前と、財務の数字や契約金額
- 社員の人事評価、健康状態、家族の事情
- マイナンバー、口座番号、パスワード、ログイン情報
- 未公表の決算や、社外秘と定めた資料の中身
会計事務所や士業の方は、職業上の守秘義務も判断に加わります。税理士法第38条は、税理士が正当な理由なく税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用することを禁じ、税理士でなくなった後も同様としています。
※税理士法の条文は、e-Gov法令検索で2026年9月24日に確認しました。
メモリに顧問先の事情が残ると、何が記憶に入り、どこで参照されるのかを、事務所として説明しにくくなってしまいます。顧問先の名前や数字は、メモリがオンの会話には書かない運用にそろえておくのが安心です。
取引先や顧問先の情報を個人のアカウントに残さないには、社員が使うAIの環境を会社で1つにそろえるのが近道です。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
法人で使う場合の前提と、Businessの所有者・管理者ができること
ChatGPT Businessを契約しているなら、メモリを会社としてどうするかは、社員を招待する前に決めておくのが安全でしょう。所有者がワークスペースのメモリを後からオフにすると、メンバーが保存していたメモリは削除される、とOpenAIのヘルプに明記されているためです。
OpenAIのBusiness版メモリFAQでは、メモリとパーソナライズの管理設定は、ユーザーとワークスペースの両方のレベルにあると説明されています。社員一人ひとりは自分の設定からいつでもメモリを無効に出来、所有者はワークスペース全体でパーソナライズとメモリを使えるようにするかどうかを管理します。
学習の扱いも、個人アカウントとは前提が違います。Businessでは、会話やメモリを含むワークスペース内のデータは、既定でOpenAIのモデルの学習に使われません。個人アカウントでは、データコントロールの「すべての人のためにモデルを改善する」がオンだと、チャットや記憶した情報がモデルの改善に使われることがあります。学習の設定の違いはChatGPTに学習させない方法の記事で詳しく扱っています。
所有者・管理者が招待の前に決めておくこと
- ワークスペースでメモリとパーソナライズを使えるようにするか(所有者が管理します。後からオフにすると、メンバーの保存したメモリは削除されます)
- 社員向けの方針を、招待より先に配るか(Businessではワークスペースの検出が既定でオンで、会社ドメインの確認済みメールアドレスで登録した人は、ワークスペースを見つけて参加をリクエスト出来ます)
- 誰を所有者・管理者にするか(所有者は請求・ID管理・ワークスペース設定を含むすべての権限、管理者はユーザーやグループの管理、分析閲覧者はワークスペース情報と分析データの閲覧、メンバーは管理者権限なし、の4つのロールがあります)
ロールごとの権限を見ると、ワークスペース設定の表示と管理、メンバーの削除は、所有者と管理者に限られています(管理者が削除できるのは自分より下位のロールのメンバーだけです)。メモリの方針を変えられる人を少数に絞り、変える前には全員に知らせる手順にしておきましょう。
※ChatGPT Businessの有料シートは2席から最大200席までと案内されています(2026年8月24日より前に作成したワークスペースには以前の上限が適用)。Businessの初期設定全体はChatGPT Businessのワークスペース設定の記事にまとめています。
契約をやめるときの扱いも押さえておくと慌てません。支払いの失敗などでワークスペースが無効になっても、会話やメモリは削除されず、再び有効にすればアクセスは戻ります。一方でワークスペースを完全に削除すると、会話やメモリを含むすべてのユーザーデータが削除され、復元は出来ません。
メモリは人に紐づき、同僚へは引き継げない
Businessの中でも、メモリは各個人のアカウントに紐づいており、同じワークスペースのほかのメンバーへは移せない仕組みです。担当者が育てた前提、たとえば社内の言い回しや資料の型を後任に渡したいなら、メモリとは別の置き場所を用意する必要があります。
引き継ぐならカスタム指示のひな形とGPTで
共有の置き場所として使えるのは2つです。1つ目は、会社で文面をそろえたカスタム指示のひな形で、各自が自分の設定に貼り付けて使います。2つ目はGPT(いわゆるGPTs)で、Businessではメンバーを含む全ロールがGPTを作成出来るため、よく使う指示と手順をまとめた業務用のGPTを用意しておけます。
作ったGPTは、ワークスペース内の特定の人やグループ、またはワークスペース全体に共有出来ます(管理者が共有の範囲を制限している場合があります)。作り方はGPTsの作り方の記事が参考になるでしょう。プロジェクト機能は、メモリとの関係を説明したヘルプが規制業種向けの内容に限られるため、ここでは引き継ぎの手段に含めていません。
メモリは本人の中で育つもの、ひな形とGPTは会社が形を決めて配るもの、と役割を分けて考えてください。そうすれば、人が替わっても答え方の質を保ちやすくなります。
社員の個人アカウントに溜まったメモリは、どこへ行くのか
社員が以前から個人アカウントで業務に使っていた場合、そこに溜まったメモリの行き先は、Businessに参加するときの選び方で変わります。会社が把握していない個人アカウントでの業務利用は、いわゆるシャドーAI(野良AI)の一つでもあり、移行のタイミングで整理しておきたいところです。
統合すると保存したメモリは移せるが、元には戻せない
招待でBusinessに参加するとき、個人用ワークスペースを別々に残すか、Businessワークスペースに統合するかを選べます。統合を選ぶと、保存したメモリのうち、チャット全体に適用される対応済みのものは、移行先へ移すことが出来ます。特定の範囲に限定されたメモリは移行の対象外で、移したことでメモリが自動でオンになるわけでもない点に注意してください。
統合は取り消せず、元に戻すことは出来ません。個人用ワークスペースは無効になり、切り替えメニューにも表示されなくなりますが、統合によって個人データが削除されるわけではないとされています。
統合しなければ、個人の記憶は本人の手元に残る
統合しない場合、個人用ワークスペースとその会話・メモリは、Businessワークスペースと分かれたまま非公開で保たれます。以前の業務の情報がここに入っていても、中身の確認と削除は本人にお願いする形になるでしょう。
また、Businessから退出しても、Businessのコンテンツが個人用ワークスペースに移ることはありません。会社の契約の中で交わした会話が、退出によって個人の側へ持ち出される流れにはなっていないということです。
どちらを案内するかは会社で決められますが、実際に選ぶのは参加する本人になります。個人の生活に関わる記憶まで会社側に入ってくるのを避けたいなら、統合しない選択を案内し、個人アカウントに残っている業務の記憶は本人に消してもらう形が無理のない進め方です。
退職・異動のときに確認すること
退職や異動の手続きに、ChatGPTの記憶の確認を1行加えておくのがおすすめです。Businessならメンバーと請求の席の手続きで片づきますが、個人アカウントで使っていた社員の場合は、本人の画面での操作が中心になります。
Businessで使っていた社員
- メンバーを削除する「ワークスペース設定」→「メンバー」で対象者の「•••」から「メンバーを削除」を選ぶと、ワークスペースへのアクセスはすぐに終わります。
- 請求の席も外すメンバーを削除しただけでは、請求対象の席数は減りません。次の請求から止めるには、所有者が「ワークスペース設定」→「メンバー」の「ユーザー」から「シートを管理」を開いて席を外します。
- 引き継ぎたい前提を、削除の前に書き出すメモリは他のメンバーへ移せないため、後任に渡したい書き方や手順は、カスタム指示のひな形やGPTに移しておきます。
- 異動だけなら方針を伝え直す扱う情報の重さが変わる場合は、チャット履歴の参照をどうするかを、新しい部署の方針に合わせてもらいます。
個人アカウントで業務に使っていた社員
- 「私について何を覚えていますか」と聞いてもらうChatGPTに直接尋ねると、記憶している内容の見当がつきます。
- メモリの概要と保存したメモリから、会社・顧客の情報を消してもらうチャットを消しても、そこから別に作られた保存したメモリが消えるとは限らないため、両方を確認します。
- 業務の話をしたチャットと、ライブラリのファイルを消してもらう記憶の元になったソースも消さないと、情報が残ります。
- 会社のメールやストレージとの接続を解除してもらう解除すると以後はアクセスできなくなります。
- 確認した日と、確認した人を記録に残す後から問われたときに、手続きを踏んだことを示せます。
削除の細かな手順や、チャットの保存期間の説明は、ChatGPTの履歴の削除と保存期間の記事にまとめてあります。
社員に配る通知文とカスタム指示のひな形
方針が決まったら、社内チャットやメールで短く伝えましょう。長い規程より、何をしてよく何をしてはいけないかが一目で分かる文面のほうが読まれやすいはずです。
社員向け通知文のひな形(そのまま使える約300字)
【ChatGPTのメモリ・パーソナライズの使い方】 会社が契約したChatGPT(Businessワークスペース)では、メモリをオンにして使ってかまいません。口調(基本のスタイルとトーン)は各自の好みで選んでください。 次の情報は、どの環境でもChatGPTに入力しないでください。 ・顧客・取引先の名前、金額、契約内容 ・社員の評価や健康に関する情報 ・マイナンバー、口座番号、パスワード 個人のアカウントには、業務の情報を入れないでください。 毎月初めに「設定」→「パーソナライズ」→「メモリ」を開き、会社や顧客の情報が残っていないか確認してください。見つけたら削除し、迷うときは総務(内線◯◯)までご連絡ください。
会社で配るカスタム指示のひな形
カスタム指示は、会社が共通部分を用意し、社員が自分の役割だけを書き足す形にすると品質がそろいます。共通部分には機密を含めず、誰が読んでも困らない内容だけを入れてください。文字数の上限や、共有プロジェクトで各自の指示が使われない点など、カスタム指示そのものの扱いはChatGPTのカスタム指示とは?設定・書き方と、会社で指示をそろえる方法で詳しくまとめています。
【会社共通】 ・回答は結論から書き、そのあとに理由を短く添えてください。 ・社名は「◯◯株式会社」と表記してください。 ・社外向けの文面は丁寧語で書き、敬語を重ねすぎないでください。 ・数字や制度の説明には、確認できる出典を添えてください。分からないことは分からないと答えてください。 ・メモリに残す内容は日本語で記録してください。 【各自で書き足す】 ・私の担当:(例)総務部で、社内規程と備品の管理を担当しています。 ・よく作る文書:(例)社内通知、稟議書の下書き、取引先へのお礼状
カスタム指示の書き方と入力例
書き方のコツは、毎回言い直していることを、具体的な動きの形で書くことです。「分かりやすく」より「結論を1行目に」、「丁寧に」より「社外向けは丁寧語、社内向けは簡潔に」のように、読んだChatGPTがそのまま動ける言い方にそろえます。
職業や担当を書いておけば、前提の説明を毎回省けるようになります。一方、書いた文面はプランや地域によってはメモリの参照元にもなるため、顧客名や社内の数字は入れないでおきましょう。
メモリを日本語で残すための一行
保存したメモリやメモリの概要は、社員が月1回の点検で読むものです。万一ほかの言語で記録されると確認が進まないため、ひな形にはメモリに残す内容を日本語で記録するよう求める一行を入れました。この一行がどこまで効くかはOpenAIのヘルプに説明がないため、配る前に何人かの画面で記録のされ方を確かめてみてください。
総務・営業・経理など、部署別の活用例
- 総務:社内通知の文体と、よく使う書式の名前を覚えてもらい、毎回の下書きを速くする
- 営業:自社の商品名と、提案書の構成の好みを覚えてもらう(取引先名や見積金額は書かない)
- 経理:使っている会計ソフトの名前や、社内での勘定科目の呼び方を覚えてもらう(取引の金額は書かない)
- 経営者:会社の公開情報と、好みの報告の形(結論、数字、次の一手の順)を伝えておく
- 情シス:社内で使っている機器やソフトの名前を覚えてもらい、手順書の下書きに生かす
どの例も、覚えてもらうのは仕事の進め方と好みで、相手先の情報は含めていません。この線を守る限り、メモリは下書きの手直しを減らす道具として素直に役立ってくれます。
月1回の点検と、古い記憶・誤った記憶の直し方
メモリは放っておくと、異動前の担当や終わった案件のような古い前提が残ることがあります。月に1回、5分ほどの点検を社員の習慣にしてもらえば、誤った前提のまま回答が返ってくる場面を減らせます。
5分で終わる点検の手順
- ChatGPTに「私について何を覚えていますか」と聞く
- 「設定」→「パーソナライズ」→「メモリ」から、メモリの概要と保存したメモリを開く
- 会社・顧客の情報や、古くなった前提を見つけたら、訂正を入力するか削除する
- 気になる回答があれば、回答の下に表示される「ソース」で、どの会話や資料が使われたかを確かめる(すべてが表示されるとは限りません)
気をつけたいのは、メモリの概要が記憶のすべてを表示するわけではない点です。ヘルプは、概要は情報を大まかに示すもので、関連性の低い詳細や、個別に表示されないソースから得た詳細は省かれる場合があると説明しています。概要に出ていないから覚えていない、とは限りません。
「覚えて」「忘れて」と会話で指示する使い方
保存したメモリは、ChatGPTに覚えておくよう頼んで作ることも、忘れるよう頼んで消すことも出来ます。記憶が古くなったときは、担当は今月から経理に変わった、のように会話で伝えれば、情報が誤っている・古くなっていることを知らせられます。
メモリの概要が使える場合は、「今後この情報に言及しない」を選ぶ方法もあります。ただしこれは参照されにくくするだけで、元のチャットやファイルは削除されません。
保存済みメモリの確認・個別削除・一括削除
保存したメモリは、メモリの概要や保存したメモリの管理から、1件ずつ修正や削除が出来ます。まとめて消したいときは、メモリの概要の「•••」から「削除してメモリをオフにする」を選ぶと、概要に表示されている記憶が消え、メモリもオフになります。
オフにしても消えないもの・消えるもの
- メモリをオフにしても、過去のチャットは削除されません。後でオンに戻すと、履歴に残っているチャットから新しく記憶する場合があります。
- チャットを消しても、そこから別に作られた保存したメモリが削除されるとは限りません。
- 保存したメモリを消すと今後の回答には使われませんが、過去の会話の中にある言及は消えません。
- チャット履歴の参照をオフにすると、過去のチャットから記憶した情報は30日以内に削除される予定になります。元のチャットは、削除しない限り履歴に残ります。
- 削除した保存したメモリのログは、安全性の確保とデバッグのため、最長30日間保持される場合があります。
- メモリやパーソナライズをオフにしても、まれな高リスクの状況での、安全とセキュリティのための限定的な利用は止まりません。
記憶を確実に消したいなら、メモリだけでなく、元になったチャットやファイルまで消す必要があります。ヘルプも、保存したメモリと、その情報を最初に共有したチャットの両方を削除するよう案内しています。
一時チャットなら、メモリを作らず履歴にも表示されない
顧客の事情に触れる相談など、記憶に残したくない話は一時チャットを使うのが手軽です。一時チャットでは、パーソナライズがオンでもメモリは作られず、更新もされません。
始める前に、既存のメモリやカスタム指示を使うか、「パーソナライズなし」にするかを選べますが、会話を始めた後は変えられない仕様になっています。一時チャットを保存すると通常のチャットになり、その後はアカウントの設定が適用されるため、残したくない相談は保存しないでおいてください。
※一時チャットは履歴に表示されませんが、安全上の理由から最長30日間コピーが保管される場合があると、OpenAIのヘルプは説明しています。
画面共有や共用のパソコンで見えてしまうもの
会議で画面を映すときにも注意が要ります。ChatGPTが個人の事情を使って答えると、回答の下に「ソース」が表示され、使われた過去のチャットや保存したメモリ、カスタム指示、ファイル、接続済みのメールなどを確認できる場合があります。
会議の前には、映す画面を新しい一時チャットにしておき、メモリの概要やソースを開いたまま共有しないようにしましょう。共用のパソコンでは、使い終わったらログアウトする決まりも添えておくと安心です。なお、共有リンクで会話を人に送る場合、メモリのソースは含まれないとヘルプに書かれています。
設定が効かない・指示どうしがぶつかるとき
パーソナリティを変えたのに口調が変わらないときは、ほかの設定が上書きしていることがあります。ヘルプによれば、保存したメモリに、まじめでプロフェッショナルな回答を好むといった好みが入っていると、選んだパーソナリティの特徴が弱まったり、上書きされたりすると説明されています。
会話の途中で出した指示も、パーソナリティのふるまいを調整します。メールの下書きやコードのように依頼の中身がはっきりしている場合は、パーソナリティより指示と文脈に合わせた書き方が選ばれる、という点も押さえておくと混乱しません。
- 設定の項目自体が表示されているか(表示されない場合、そのアカウントやワークスペースではまだ使えない可能性があります)
- 保存したメモリに、今の依頼とぶつかる好みが残っていないか
- カスタム指示に、前の担当や古い書き方の指定が残っていないか
- 会社のワークスペースで、所有者がメモリやパーソナライズを使えない設定にしていないか
一時チャットでは、アカウントやワークスペースの制限が、一時チャットごとのパーソナライズの選択より優先されます。会社の設定で止めている機能は、社員の側でどう選んでも使えないということです。社員から効かないと言われたら、まず会社側の設定から確かめてください。
AIとのやり取りを、会社が見渡せる場所に集める
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UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
ChatGPTのメモリをオフにすると、過去の会話も消えますか?
会社の管理者は、社員のメモリをまとめてオフに出来ますか?
前任者のメモリを後任に引き継げますか?
ChatGPT Businessのメモリは、モデルの学習に使われますか?
医療など規制の厳しい業種でも、メモリを使えますか?
一時チャットなら、何を話しても残りませんか?
ChatGPTは自分の名前も覚えますか?
まとめ
ChatGPTのパーソナライズは、口調を選ぶパーソナリティ、自分で書くカスタム指示、会話から覚えるメモリの3つでできています。会社として重く扱うべきなのはメモリで、頼まなくても会話やつないだアプリから情報を取り込むことがあるため、覚えさせなければ大丈夫というルールだけでは足りません。
線引きの基本は、会社の契約の中ならメモリをオン、個人アカウントには業務の情報を入れない、接続済みアプリはオフで始める、の3つになります。Businessでは所有者が後からメモリをオフにすると社員の保存したメモリが消えるため、方針は招待の前に決め、通知文とカスタム指示のひな形を添えて配ってください。
退職や異動のときは、Businessならメンバーと請求の席を外し、個人アカウントなら本人にメモリとチャットの両方を消してもらいます。ChatGPTそのものの全体像はChatGPTとは?料金・学習設定・会社での始め方の記事に、社内ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめてあります。法人のAI活用に関するほかの記事は、AI活用コラム一覧からご覧いただけます。
