Geminiの商用利用は個人アカウントで大丈夫か。規約上の責任と会社契約の違い

Geminiの商用利用とは、Geminiで作った文章・資料・画像を、客先への提出物や自社の販売物、Webの記事や広告に使うことを指します。Googleの利用規約は商用利用を禁じておらず、生成されたコンテンツの所有権もGoogleは主張しないと定めています。ただし社員が個人アカウントで業務に使うと、規約の定義に照らすと「ビジネス ユーザー」に当たると読め、その場合は第三者からの請求についてGoogleを補償する旨の条項の対象になります。判断の起点は、何を作ったかより先に、誰のアカウントで作ったかに置くのが現実的です。

Geminiの始め方や機能の全体像はGeminiの使い方にまとめてあり、ここでは会社として生成物を社外に出してよいかの判断に絞って扱います。

Geminiの商用利用は規約で禁止されていない|ただし誰のアカウントで作ったかで責任が変わる

Geminiで作った文章や画像を商用に使うこと自体は、Googleの規約で禁止されていません。2026年7月30日に発効したGoogle利用規約(日本版)には、商用利用をはっきり許可する条文も、禁止する条文も見当たらないのが現状です。Geminiアプリに適用される規約の一覧では、Google利用規約と生成 AI の使用禁止に関するポリシーなどが挙がっており、商用であることを理由にした制限はどちらにも書かれていません。

Googleは生成物の所有権を主張しない

商用利用の根拠としてよく挙がるのは、利用規約の「Google サービス内のコンテンツ」の節にある次の一文になります。

Google の一部のサービスは、ユーザーによるオリジナル コンテンツの生成を許可しています。Google がそのコンテンツに対する所有権を主張することはありません。
(Google 利用規約・2026年7月30日発効版)

この一文が扱っているのは、Googleと利用者のあいだでGoogleが所有権を主張しない、という関係だけです。生成物に著作権が生じるかどうか、他人の権利を侵害していないかは、日本の法律に照らして別に考える必要があり、後半の節で触れることにします。

生成物をどう使うかの責任は使う側にある

Geminiアプリのヘルプは、画像の生成について、第三者の著作権やプライバシーの権利を侵害しないよう求め、生成されたコンテンツを公開・使用する前に自分自身で検証して慎重に判断するよう案内しています。文章や資料でも考え方は同じで、Googleが出力の正しさや権利関係を保証してくれるわけではありません。社外に出してよいかの判断と、出したあとの責任は、使った側が引き受けることになります。利用規約も、サービスを医学上・法律上・財務上などの専門的な助言として使わないよう求めているため、契約書の条文や税務の判断をそのまま客先に出す使い方は避けたほうが安全でしょう。

商用の可否をGoogleに個別に判断してもらうのは難しい

Googleのヘルプコミュニティにも、テレビCMに生成画像を使いたい、個人アカウントで作ったレポートを有料で販売したいといった相談が寄せられています。ヘルプコミュニティの回答では、個別の用途について商用の可否をGoogleに判断してもらう窓口は、今のところないとされていました。実際に判断するのは会社自身となり、その材料になるのが規約の原文と、どのアカウントで作ったかという事実です。

根拠になる規約はどれか|いま効いているのはGoogle利用規約本体

いま根拠にすべきなのは、2026年7月30日に発効したGoogle利用規約本体と、生成 AI の使用禁止に関するポリシーの2つになります。社内の規程や稟議書で引用している規約が古い版のままになっていないか、最初に確かめてみてください。

よく引かれる「生成AIの追加利用規約」はいまは適用外

「ご自身の裁量で依拠、公開、利用してください」という免責の一文は、Geminiの商用利用の根拠として今もよく引用される文です。この一文が載っている「生成 AI の追加利用規約」(最終更新日は2023年8月9日)のページ冒頭には、2024年5月22日にGoogle利用規約を更新したこと、その日以降この追加利用規約は、規約に言及している契約書に署名済みのビジネス パートナーを除いて適用されなくなることが書かれています。社員が個人アカウントで使うGeminiについて根拠にできるのは、利用規約本体のほうとなります。

禁止されている使い方|使用禁止ポリシーと利用規約の不正使用

生成 AI の使用禁止に関するポリシー(最終更新日は2024年12月17日)は、法律・規制に違反する行為、セキュリティの侵害、性的・暴力的・差別的で有害な行為、誤った情報や誤解を招く行為の4つを柱に禁止事項を並べています。他者のプライバシー権や知的財産権の侵害、スパムやフィッシング、保護フィルタの回避、なりすましもここに含まれます。雇用・医療・金融・法律・住宅・保険・社会福祉のようなリスクの高い分野で、人の監督なしに個人の権利に大きな悪影響を及ぼす意思決定を自動で行うことも禁止の対象です。

利用規約本体の「サービスの不正使用」にも、会社の使い方に直接関わる項目が入っています。他者の法的権利の侵害を目的とした使用のほか、機械学習モデルや関連するAI技術の開発を目的に、Googleサービスで生成したコンテンツを使うことが挙がっているため、Geminiの出力を集めて自社のAIの学習データにする使い方は、この項目に当たるおそれが出てきます。

AIで作ったことを隠す使い方は避ける

同じ不正使用の項目には、生成 AI のコンテンツを人間が作成したものであると誤解させる行為も並んでいます。使用禁止ポリシーの側は、人々を欺くことを目的に、人間だけで作ったと主張して出所を偽ることを禁止する、という書き方です。すべての生成物にAI製と表示する義務までは書かれていませんが、客先から人の手で書いた原稿を求められている場面で、AIの出力をそのまま人の作品として納めるのは避けるべきでしょう。取引先の契約書や発注仕様にAI利用の申告が定められていることもあるため、納品前に一度読み直しておきましょう。

規約は改定されるので、発効日を控えて定期的に確認する

Googleの規約とヘルプは、ここ数か月だけでも何度も更新されています。今回確かめた範囲では、Workspaceのサービス固有の利用規約が2026年7月16日、補償対象サービスの一覧が同年7月20日、Google利用規約が同年7月30日発効、Geminiアプリのプライバシー ハブが同年9月24日に更新されていました。社内のルールには、根拠にした規約の名前と発効日を書き添え、半年に一度などの頻度で見直す担当を決めておきましょう。

※本記事の規約・ヘルプの内容は、2026年9月25日に各ページの日本語版を開いて確認したものです。Google利用規約は2026年7月30日発効版(国別バージョン:日本)、生成 AI の追加利用規約は最終更新日2023年8月9日、生成 AI の使用禁止に関するポリシーは最終更新日2024年12月17日の版を参照しています。

社員の個人アカウントで業務に使うと起きること

社員が自分の個人アカウントで業務にGeminiを使うと、その社員は規約の定義に照らすと「消費者」ではなく「ビジネス ユーザー」に当たると読め、その場合は第三者からの請求についてGoogleを補償する旨の条項の対象になります。会社の知らないところで、こうした規約上の立場が生まれている形です。無料版か、Google AI Proのような個人向けの有料プランかは、この点では関係がありません。

規約上は「ビジネス ユーザー」に当たると読め、補償の条項の対象になる

Google利用規約は、消費者を、取引・ビジネス・専門的職業での利用ではない非営利の目的で、個人的にGoogleサービスを使う個人と定義しています。ビジネス ユーザーは、消費者ではない個人または法人のことです。業務で提案書を作る、客先向けの記事を書くといった使い方は、この定義に照らすとビジネス ユーザー側に入ると読めます。

規約には「対象者: ビジネス ユーザーおよび組織のみ」という節があり、ユーザー自身によるサービスの不正利用や規約違反に起因する第三者の法的手続きについて、適用される法律によって許可される範囲で、ユーザーがGoogleを補償すると定めています。一方でGoogle側の責任の総額には、500米ドルか、不履行の前12か月に支払った額の125%のいずれか大きい額という上限が、すべてのユーザー向けの例外を除いて置かれる形です。社員の個人アカウントで作った生成物が客先でトラブルになったとき、この補償を誰がどう負うのか、会社からは把握できません。この条項を日本の法律のもとでどう評価するかは、個別の事情によって変わるため、ここでは原文にこう書かれている、という事実の紹介に留めます。

組織の代理で使うなら、代表者の同意が要る

同じ規約には、特定の組織の代理としてGoogleのサービスを使う場合、当該組織の正式に権限を有する代表者が本規約に同意する必要があります、という定めもあります。社員が自分の判断で個人アカウントを業務に使っている状態は、会社の代表者が規約に同意した状態とは言えないでしょう。組織が管理するアカウントであれば、管理者は追加のルールを求めたり、アカウントにアクセスしたり、無効にしたりすることができます。

個人アカウントには、こうした会社側の管理者がいません。退職した社員の個人アカウントに、客先向けに作った資料の下書きや会話の履歴が残り続けても、会社が消したり回収したりする手段はないことになります。

入力した内容は人のレビューと学習の対象になり得る

Geminiアプリのプライバシー ハブによると、個人アカウントのチャットは、Googleのサービスプロバイダを含む人間のレビュアーが一部を確認することがあり、レビュー済みのチャットはアカウントから切り離されて最長3年保存されます。アクティビティの自動削除は既定で18か月、[アクティビティの保存]をオフにしても72時間はアカウントに保持される仕組みです。ハブ自身も、レビュアーに見られたくない機密情報や、機械学習技術などの改良に使われたくない機密情報は入力しないよう呼びかけています。保存期間や設定の詳しい手順はGeminiの情報漏洩リスクと設定に分けて載せてあります。

見落としやすいのが、GeminiアプリではなくGoogle AI Studioを個人アカウントで無料で使うケースとなります。Gemini APIの追加利用規約では、無料サービスで送った内容と回答は製品の改良に使われ、人が確認することもあると書かれています。英語版の規約では Workspace enterprise アカウントは無料でも有料サービス扱いと書かれていますが、どのエディションが該当するかは契約先に確認が必要です。Google Workspaceの利用者は既定でAI Studioを使える状態になっているため、管理者側での止め方はGoogle AI Studioの学習と社内での止め方を参考にしてみてください。こうした経路が会社から見えないまま広がった状態が、いわゆるシャドーAI(野良AI)の典型的な形です。

社員の個人アカウント頼みを、会社の契約に切り替える

規約の読み方を社員ごとに任せず、使うAIの環境を会社で1つに決めることができます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

会社契約のアカウントで変わること|個人アカウントとの判断表

会社がGoogle Workspaceの対象エディションを契約し、会社のアカウントでGeminiを使うと、入力と生成物の扱いが会社の契約の中に入ります。Geminiアプリのプライバシー ハブも、仕事用のGoogleアカウントで使う場合はデータの取り扱いに別の規約が適用される場合がある、と書き分けています。違いを項目ごとに並べると、次の表のようになります。

確認する点社員の個人アカウント(無料版・Google AI Proなど)会社のWorkspaceアカウント(対象エディション)
規約に同意する人社員本人。業務で使えば、定義に照らしてビジネス ユーザーに当たると読める会社(管理者が契約)
入力の学習利用[アクティビティの保存]の設定次第。オンならモデルの改良に使われ得る許可なくドメイン外で生成AIモデルのトレーニングに使わない(Workspace の生成AIに関するプライバシー ハブ。Geminiアプリを含む)。Gemini in Workspace については固有規約12.11にも同趣旨の定め
人によるレビュー一部を人が確認することがあり、レビュー済みは最長3年保存人間によってレビューされることはない、と記載
保存期間自動削除は既定18か月。保存をオフにしても72時間は保持Geminiアプリは最大36か月の範囲で管理者が設定。Vaultで保持を管理
生成物の位置づけGoogleは所有権を主張しない(利用規約)Gemini in Workspace の生成物は「お客様データ」。新しく作られた知的財産の所有権をGoogleは主張しない(固有規約12.12)
第三者の知的財産の申し立てへのGoogleの補償個人向けGeminiアプリは補償対象サービスの一覧にないGemini in Workspaceは一覧に記載。条件と除外あり(固有規約12.10)。Geminiアプリが含まれるかは要確認
会社による管理管理者がいない管理コンソールで設定し、アカウントの停止や保持の管理ができる

※出典:Google 利用規約(2026年7月30日発効)、Gemini アプリのプライバシー ハブ(最終更新日2026年9月24日)、Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ(最終更新日2026年8月14日)、Google Workspace サービス固有の利用規約(最終更新日2026年7月16日)、Google Cloud Generative AI Indemnified Services(最終更新日2026年7月20日)。いずれも2026年9月25日に確認しています。

プラン別の違い|無料版・Google AI Pro・Workspace・API

個人向けの有料プランで変わるのは、主に使える量と機能です。Geminiアプリのヘルプの表では、選べるモデル(3 Flash-Lite・3 Flash・3 Pro)はどのプランでも同じで、違いは使用量や扱える文章の長さ、一部の機能となっています。使用量の上限は、プランなしの標準に対してGoogle AI Plusで2倍、Google AI Proで4倍という設定です。個人アカウントのデータの扱いを説明したプライバシー ハブにも、プランによる違いの記載はありません。

画像については、Geminiの公式noteが2025年9月12日の記事で、広告利用を含む商業利用でNano Bananaを使う場合はGoogle Workspace with GeminiかVertex AIを使うよう案内しています。個人の有料プランに切り替えても、規約の上では個人アカウントのままという点は変わりません。画像の商用利用と補償の細かな条件はNano Bananaの商用利用で取り上げました。

生成物は「お客様データ」になる

Workspaceのサービス固有の利用規約12.12は、生成物はお客様データであり、お客様とGoogleとの間において、Googleは生成物で新しく作成された知的財産の所有権を主張しない、と定めています。Gemini in Workspace で作った提案書の下書きや画像であれば、会社のデータとして契約の条件のもとで扱われることになります。退職者が出たときも、管理者がアカウントとデータを引き継いだり止めたりする前提で運用を組み立てられます。

補償には条件と4つの除外がある

同じ規約の12.10(a)は、生成AI補償サービスからの未修正の生成物が第三者の知的財産権を侵害するという申し立てにも、Googleの補償義務が及ぶと定めています。ただし除外が4つあり、侵害の可能性を知っていた、または知るべきだった場合、出典の引用やフィルタなどのツールを無視・無効化・回避した場合、権利者から侵害の通知を受けた後も使い続けた場合、取引や商業での使用による商標関連の申し立ては、補償の外に置かれます。無料枠やクレジットでの利用は補償の対象外と書かれている点にも注意しましょう。

補償の条件が未修正の生成物と書かれている以上、手を入れて仕上げる文章や資料で補償がどう働くかは、契約前に確かめておきたい点です。会社契約に切り替えても、公開前の確認がいらなくなるわけではありません。

同じような生成物が他社にも出ることがある

固有規約12.2には、Workspaceの生成AIサービスが複数のお客様に対して同一または類似の生成物を提供する可能性があることを認める、という一文があります。キャッチコピーや商品名の案、ロゴの下書きのように独自性が価値になる成果物は、ほかの会社にも似た案が出ている前提で扱うのが無難でしょう。商品名やサービス名に使う場合は、登録商標の調べ方を含めて、公開前の確認を一段厚くしておくと安心です。

Gemini APIやVertex AIで商用利用するとき

自社のシステムや顧客向けのサービスにGeminiを組み込む場合は、画面で使うGeminiアプリとは別の規約が関わってきます。Gemini APIの追加利用規約(2026年3月23日から有効)では、無料サービスで送った内容と回答は製品の改良に使われ、人が確認することもある一方、有料サービスでは製品の改良に使わないと書き分けられています。Vertex AIは、補償対象サービスの一覧ではGemini Enterprise Agent Platform(旧称 Vertex AI)と表記され、Gemini Enterprise Agent Platform API(旧称 Vertex AI API)を一般提供版のモデルと使う場合が一覧に並んでいます。顧客に提供する仕組みを作るなら、無料枠のまま本番に使わないこと、契約の名義を会社にすることを最初に決めておきましょう。

契約前に販売店やGoogleへ確認したいこと

公開されている規約と一覧だけでは読み切れない点も残っています。契約の前に、次の項目を販売店かGoogleに文書で確かめてみてください。

  • Workspaceアカウントで使うGeminiアプリが補償の対象に入るか一覧に載っているのはGemini in Workspace(旧称 Gemini for Google Workspace)で、gemini.google.comで使うGeminiアプリが含まれるかは一覧の文言からは読み切れません。
  • 自社が契約するエディションが、プライバシー ハブの言う対象エディションに入るかエディションによって使える機能やデータの扱いが異なるため、契約書の名前で確認します。
  • 手を入れた生成物に、補償の条件である未修正がどう当てはまるか文章や資料は修正して使うのが普通のため、実際の使い方に合わせて聞いておきます。
  • Geminiアプリの会話をどれだけの期間残すか最大36か月の範囲で管理者が決める設定です。社内の文書保存のルールとそろえます。
  • Google AI Studioを社員に使わせるかどうか既定で使える状態になっているため、使わせない場合は管理コンソールで止めます。

生成物そのものの権利リスク|著作権・肖像権・商標

どのアカウントで作ったとしても、生成物が他人の権利とぶつかるリスクは残ります。一般論の詳しい整理は生成AIと著作権に譲り、ここではGeminiの生成物を社外に出すときに押さえたい点だけを短く扱います。

既存の著作物に似た出力で著作権侵害になるリスク

文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月、文化審議会著作権分科会法制度小委員会)は、生成物に既存の著作物との類似性と依拠性が認められ、権利制限規定の対象外であれば著作権侵害になると整理しています。学習段階で既存の著作物が使われていた場合は、利用者がその作品を知らなくても、通常は依拠性があったと推認されるという記載もあります。知らなかったでは済まない場面があるため、社外に出す前の類似チェックは欠かせません。なお、この考え方は公表時点での小委員会の見解で、それ自体に法的な拘束力はないと断り書きが付いています。

日本の著作権法では、AI生成物に著作権が生じるとは限らない

同じ考え方は、人が簡単な指示を与えるだけでAIが生成したものは、著作物に該当しないと考えられるという立場です。人が道具としてAIを使い、創作的に表現したと認められれば著作物となり、加筆・修正した部分には通常著作物性が認められる、と整理されています。販売物や納品物で著作権の譲渡を約束する契約を結ぶ場合は、AIの出力をそのまま使った部分に権利が生じない可能性を踏まえ、人がどこに手を入れたかを残しておくと説明がしやすくなります。

肖像権・パブリシティ権・商標権のリスク

使用禁止ポリシーは、プライバシーに関する権利や知的財産権などの他者の権利を侵害する使い方と、なりすましを禁止しています。実在の人物に似せた画像、有名人の名前を使った宣伝文、他社のロゴや商品名に寄せたデザインは、Googleの規約とは別に、肖像権やパブリシティ権、商標権の問題になり得ます。会社契約の補償でも、取引や商業での使用による商標関連の申し立ては除外に入っていました。

固有名詞やキャラクター名を避けるプロンプトにする

権利の問題を入口で減らすには、プロンプトに作品名・キャラクター名・実在の人物名・他社のブランド名を入れないことが近道になります。「〇〇風のイラスト」のように特定の作品に寄せる指示も、類似性の心配を増やす原因となってしまいます。雰囲気を伝えたいときは、色や構図、時代背景、素材感といった一般的な言葉に置き換えて頼んでみましょう。

画像にはSynthIDと目に見える透かしが入る

Geminiの公式noteは、生成された画像にGeminiのロゴの透かしと、目には見えない電子透かしのSynthIDが入ると説明しています。Geminiアプリには、SynthIDとContent Credentialsを使って、画像・動画・音声がGoogleのAIで作られたかを確かめる機能もあります。判定できるのはGoogleのAIツールで作られたものに限られ、1ファイル100MB以下、動画は90秒以内、音声は1時間以内という制約があるため、社内に回ってきた素材の出どころを確かめる補助として使うのが現実的です。

社外に出す前のチェックリスト|出す先ごとに確認者と記録を決める

確認の重さは、生成物を出す先によって変えるのが現実的です。社内だけで読む資料と、不特定多数が見る広告では、権利や誤りの問題が起きたときの影響の大きさがまるで違ってきます。

社内資料(議事録・社内報告・下書き)

  • 会社のアカウントで作ったか個人アカウントで作ったものは、作成者に申告してもらい、入力した情報に機密が含まれていないかを確かめます。
  • 数字・固有名詞・日付を原典と照らしたか確認者は作成者本人で足ります。

提案書・見積の添付

  • 客先の情報を個人アカウントに入れていないか取引先との秘密保持契約に触れないかを、上長が確認します。
  • 客先の発注仕様や契約に、AI利用の申告や禁止の定めがないか定めがある場合は、申告の文面を営業担当と決めてから出します。
  • 法律・税務・医療の判断を、AIの出力のまま書いていないか専門的な内容は、資格を持つ人か担当部署が目を通します。

Web記事・広告・SNS投稿

  • 文章の一部を検索にかけ、既存の記事と同じ表現が続いていないかコピペチェックのツールを使うか、特徴的な一文を検索して確かめます。
  • 画像を類似画像検索にかけ、既存の作品や他社のロゴに似ていないか確認者は作成者と別の人にします。
  • 実在の人物・他社の商品名・キャラクターが入っていないか広告に使う場合は、広報や法務の担当が最終確認をします。

販売物・納品物

  • AIの出力をそのまま使った部分と、人が手を入れた部分を区別して残したか著作権の譲渡や保証を契約で約束する場合の説明材料になります。
  • 人が作ったものだと誤解させる表示になっていないかGoogle利用規約の不正使用の項目に当たらないよう、表示の文言を確認します。
  • 補償や保証の範囲を、自社の契約書で約束しすぎていないかGoogleの補償には除外があり、個人向けGeminiアプリは補償対象の一覧に載っていません。

どの場面でも、作ったアカウント、作成日、プロンプトの要旨、確認した人の4つを記録に残しておきましょう。後から客先や権利者に問われたとき、確認の手順を踏んでいたことを示す材料になります。

迷ったら法務部門や弁護士に相談する

チェックリストで判断がつかないものは、社内の法務部門か、顧問の弁護士に相談するのが確実です。とくに、テレビや新聞などの広告、商品パッケージ、有料で販売する教材や報告書のように、影響が大きく差し替えが難しいものは、公開の前に専門家の目を通しておくと安心できます。相談の際は、作ったアカウントの種類と、適用される規約の名前と発効日を伝えると話が早く進みます。

社員に出す通知文のひな形と社内ルールづくり

規約の確認を社員一人ひとりに任せず、会社として使う環境と手順を通知で示しましょう。次の文面は、そのまま社内のチャットやメールに貼って使えるように書いてあります。

通知文のひな形(そのまま使える文面)

件名:Gemini など生成AIの業務利用について

社員各位

業務でGeminiなどの生成AIを使う場合は、会社が用意したアカウント(〇〇)を使ってください。個人のGoogleアカウントでの業務利用は、〇年〇月〇日をもって終了とします。

1.個人アカウントで作った文章・資料・画像を、社外(客先への提出、Web掲載、広告、販売物)に出す場合は、出す前に〇〇部へ申告してください。
2.次の情報は、会社のアカウントであっても入力しないでください。
 (1)取引先・顧客から預かった情報のうち、秘密保持の対象となるもの
 (2)個人情報(氏名と連絡先の組み合わせ、マイナンバー、健康情報など)
 (3)未公表の決算・人事・製品の情報、パスワードや認証情報
3.社外に出す生成物は、社内のチェックリストに沿って確認し、作ったアカウント・作成日・確認者を記録してください。
4.Google AI Studio など、会社が指定していないAIサービスを業務で使う場合は、事前に〇〇部へ相談してください。

問い合わせ先:〇〇部 〇〇

入力してはいけない情報の分け方は、会社の業種によって変わってきます。より細かな分類と具体例はAIに入れてはいけない情報を参考に、自社向けに書き換えてみてください。

通知と一緒に決めておくこと

通知だけを出して、会社のアカウントが用意されていなければ、社員は結局個人アカウントに戻ってしまいます。通知を出す前に、使わせるアカウントの種類、申告を受ける部署、チェックリストの置き場所、規約を見直す担当と頻度を決めておくことが大切です。社内ルール全体の組み立て方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめてあります。

社員向けの説明会では、禁止事項を読み上げるより、実際に起きうる場面を1つ見せるほうが伝わりやすいでしょう。客先に出した提案書の画像が他社のロゴに似ていた、といった例を使い、どの時点で誰が止められたかを一緒に考えてもらうと、チェックリストの意味が腹に落ちます。ChatGPTを併用している会社は、同じ観点で整理したChatGPTの商用利用も合わせて社内資料に使えます。

規約の確認を社員任せにせず、会社が用意したAI環境で

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けのサービスです。全モデルで学習非利用を標準適用し、UPGEAR AI上の誰が・いつ・どのAIを使ったかを管理画面で把握できます。Geminiへの接続はGoogle Cloud(Vertex AI)の東京リージョン経由で、入力データ非保存の経路として設計されています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

無料版のGeminiで作った文章を、会社のブログに載せてもよいですか?
Googleの利用規約は商用利用を禁止しておらず、生成したコンテンツの所有権もGoogleは主張しないと定めています。ただし社員の個人アカウントで業務に使うと、規約の定義に照らすとビジネス ユーザーに当たると読め、その場合は第三者からの請求についてGoogleを補償する旨の条項の対象になります。載せる前に既存の記事と同じ表現が続いていないかを確かめ、今後は会社のアカウントで作る運用に切り替えることをおすすめします。
社員が個人アカウントで作ったレポートを、有料で販売してもよいですか?
規約に販売を禁じる条文はありませんが、会社の商品として売るなら、会社の代表者が同意した環境で作ったものにするのが筋です。Google利用規約は、組織の代理で使う場合は組織の正式な代表者が規約に同意する必要があると定めています。また、人が簡単な指示を与えただけの生成物には著作権が生じない可能性があるため、人が手を入れた部分を記録し、販売前に法務担当か弁護士に確認してもらうと安心です。
Geminiで作った画像を広告やチラシに使えますか?
Geminiの公式noteは、広告利用を含む商業利用でNano Bananaを使う場合は、Google Workspace with GeminiかVertex AIを使うよう案内しています。商業利用の注記では、個人向けの有料プランは挙げられていません。広告に使う場合は会社契約の環境で作り、類似画像検索や実在の人物・他社のロゴが入っていないかの確認を経てから使うのが安全です。
AIで作ったことを記事や資料に書く必要はありますか?
すべての生成物にAI製と表示する義務は、Googleの規約には書かれていません。ただしGoogle利用規約は、生成AIのコンテンツを人間が作成したものであると誤解させる行為を不正使用として挙げています。客先から人が書いた原稿を求められている場合や、発注仕様にAI利用の申告が定められている場合は、それに従って伝えることが必要です。
Google AI Proなど個人の有料プランにすれば、会社で商用利用しても安心ですか?
個人の有料プランで変わるのは、主に使える量と機能です。適用される規約は個人アカウントのGoogle利用規約のままで、個人アカウントのデータの扱いを説明したプライバシー ハブにもプランによる違いの記載はありません。入力が学習に使われない、生成物を会社のデータとして扱う、管理者が統制できるといった条件が必要なら、Google Workspaceなどの会社契約を検討してください。

まとめ

Geminiの生成物は、2026年7月30日発効のGoogle利用規約のもとで商用利用が禁止されておらず、Googleは生成物の所有権を主張しないと定めています。根拠としてよく引かれる生成 AI の追加利用規約は、2024年5月22日以降、署名済みのビジネス パートナーを除いて適用されていません。

会社にとっての分かれ目は、誰のアカウントで作ったかにあります。社員の個人アカウントでの業務利用は、ビジネス ユーザーに当たると読める場合の補償の条項、代表者の同意、人のレビューと保存期間といった問題を、会社の管理の外に残してしまいます。会社契約にすれば Gemini in Workspace の生成物はお客様データとなり、条件つきの補償も付きますが、除外がある以上、社外に出す前の確認は続けましょう。通知文とチェックリストを用意し、使う環境を会社で決めることが、規約の確認を社員任せにしない第一歩になります。

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