Google AI Studioに学習させないには?設定がない理由と会社の対処

Google AI Studioとは、Googleの生成AIであるGeminiのモデルを、ブラウザから試したりAPIキーを発行したりできる開発者向けの無料の画面です。結論から言うと、AI Studioには入力を学習に使わせないためのスイッチがなく、無料サービスとして使うと入力と回答はGoogleの製品の改善に使われ、人間のレビュアーが読む場合もあります。学習に使われなくなるかどうかは、設定ではなく、使っているアカウントと契約の条件で決まることになります。会社としては、有料枠の条件を満たして使うか、Workspaceの管理コンソールで社員のAI Studioを止めて学習に使われない環境を別に用意するかを選ぶことが出来ます。

単価やモデル別の月額の目安はGemini APIの料金(単価の仕組みと月額試算)にまとめてあるため、ここでは学習とデータの扱い、社員の利用をどう扱うかに絞ってお伝えします。

※本文の内容は、Gemini API 追加利用規約(日本語版・英語版。いずれも2026年3月23日より有効)、Google API 利用規約、Gemini APIの料金・課金のページ、Google AI StudioのWorkspace向けドキュメント、Google Workspace 管理者ヘルプなど、Googleの公式ページを2026年9月20日に確認したものです。規約や画面の手順は変更されることがあります。

Google AI Studioには学習をオフにする設定がない

Gemini API 追加利用規約では、入力を学習に使うかどうかは無料サービスか有料サービスかで分けて書かれており、利用者が画面で切り替える設定としては説明されていません。ChatGPTのように設定画面のスイッチで切り替える発想で探すと、迷ってしまうことになります。判断の軸は、無料サービスとして使っているか、有料サービスとして使っているかの1点です。

無料サービスとして使うと入力と回答は製品の改善に使われる

規約の日本語版には、無料サービス(Google AI Studio や Gemini API の無料枠など)を使う場合、送信したコンテンツと生成された回答を、Googleのプロダクトやサービス、機械学習技術の提供・改良・開発に使うと書かれています。この機械学習技術には、Googleの企業向けの機能やプロダクトも含まれるという書き方です。料金ページの比較でも、無料枠は Content used to improve our products(製品の改善に使われるコンテンツ)、有料枠は Content not used to improve our products と分けて表示されます。AI Studioそのものは提供されているすべての地域で無料と料金ページにあり、使い始めるのに特別な手続きは要りません。

人間のレビュアーが入力を読む場合がある

無料サービスでは、品質の向上とサービスの改善のために、人間のレビュアーがAPIの入力と出力を確認し、注記や処理を行う場合があると規約にあります。規約によると、レビュアーが見る前に、データはGoogleアカウント・APIキー・Cloudプロジェクトとの結びつきを切り離されるそうです。ただ、切り離されるのはアカウントなどとの結びつきで、本文に書いた顧客名や取引先名、金額までが消えるわけではありません。規約自体も、無料サービスにはプライベート情報、機密情報、個人情報を送信しないよう求めています。無料のAI Studioに業務の文書を貼ると、その中身を人が読む可能性がある状態に置くことになってしまいます。

無料で使える代わりにデータを提供する仕組み

無料サービスと有料サービスの条項を並べて読むと、無料で使える代わりに入力と回答を製品の改善に役立てる、という交換の形になっていることが分かります。料金を払って有料サービスとして使う場合はこの交換がなくなり、プロンプトと回答は製品の改善に使われない扱いに変わります。個人の趣味の試作なら受け入れられる条件でも、顧客の情報を預かる会社の業務では話が違ってくるでしょう。

学習に使われなくなる条件は、設定ではなくアカウントと契約で決まる

学習に使われない有料サービスとして扱われるかどうかは、画面の設定ではなく、AI Studioにアクセスするアカウントの条件で決まります。条件は英語版と日本語版の規約で書き方が異なるため、それぞれ原文に沿って見ていきましょう。

有料サービスではプロンプトと回答を製品の改善に使わない

有料サービスについて規約は、プロンプト(システム指示、キャッシュに保存されたコンテンツ、画像・動画・ドキュメントなどのファイルを含む)や回答をプロダクトの改善に使うことはないと定めています。日本語版には、Cloud 請求先アカウントを有効化すると、Gemini API と Google AI Studio のすべての使用が、データの利用方法に関しては有料サービスになるという一文があります。無料で提供されている AI Studio や API の無料枠を使う場合でも同様だと書かれているのが、見落とされやすい点です。請求先を有効にした会社のアカウントであれば、AI Studioの画面で試した内容も有料サービスとして扱われることになります。

有料サービスに適用されるデータ処理追加条項(DPA)

有料サービスで送ったデータは、Googleがデータ処理者となるサービスのデータ処理追加条項(英語版では Data Processing Addendum for Products Where Google is a Data Processor)に沿って取り扱われると規約にあります。一般に、データ処理者とは、預かったデータを委託元の指示に沿って処理する立場を指す言葉です。個人情報を含む業務で使えるかを社内で判断するときは、この条項の中身を法務の担当者や顧問の専門家と一緒に確かめてください。無料サービスの条項のほうは、データをGoogleのプライバシーポリシーに従って使うという書き方です。

英語版の規約にあるWorkspace enterprise accountの記述

英語版の規約では、AI Studioにアクセスするアカウントが、請求先アカウントが有効なCloudプロジェクトにアクセスできる場合か、Workspace enterprise account である場合に、無料で使っていても有料サービス(Paid Service)になると書かれています。日本語版の規約には、このWorkspace enterprise accountに当たる記述が見当たりません。Google API 利用規約には、翻訳は便宜のためのもので英語版だけが効力を持つと書かれています。社内で判断するときは英語版を基準にしてみてください。また、Workspaceのどのエディションがenterpriseに当たるのかについても、公式の定義は見つけられていません。会社のWorkspaceアカウントなら学習されない、と決めつけるのは避けましょう。自社のエディションが該当するかは、Googleの販売窓口や契約先に書面で確かめるのが確実となります。

欧州経済領域・スイス・英国を拠点とする場合

欧州経済領域、スイス、英国を拠点とする場合は、無料で使うAI StudioやAPIの無料枠にも、有料サービスのデータの利用方法の条項が当てはまると規約に書かれています。海外に子会社や拠点がある会社では、拠点ごとに扱いが分かれる可能性があります。国内だけで事業をしている会社は、この例外には当たらない前提で考えることになります。

自社がどちらに当たるかを確かめる4つの質問

学習に使われるかどうかを社内で判断するときは、次の順番で質問に答えていくと整理がしやすいでしょう。

  1. 社員がAI Studioを開いているのは、会社のWorkspaceアカウントか、個人のGoogleアカウントか。個人のアカウントなら、会社からは状態を確かめられないことを前提に置きます。
  2. そのアカウントは、請求先アカウントが有効なCloudプロジェクトにアクセスできるか。できるなら、効力を持つ英語版の規約で有料サービスとして扱われる条件に当たり、日本語版にも請求先アカウントの有効化で有料サービスになると書かれています。
  3. 利用者は欧州経済領域・スイス・英国を拠点としているか。当たる場合は、無料でも有料サービスのデータ条項が適用されます。
  4. 会社のアカウントで開いた Gemini API key ページの Plan 列に、Paid と表示されたプロジェクトが1つでもあるか。課金のよくある質問では、1つでもあればAI Studioのプロンプトも有料サービスの条項で扱うと案内されています。

4つ目の Plan 列は、会社のアカウントがどちらの扱いかを画面で確かめる手がかりになります。判断に迷うときは、業務の情報を入れる前に、情報システムの担当者に画面を見せて確かめてもらってください。

有料枠への切り替え手順:請求先の紐付けと前払い

AI Studioを有料枠に切り替えるには、Cloudの請求先アカウントをプロジェクトに紐付けます。新しく設定する場合、多くは最低5ドル(相当額)の前払いを求められます。アカウントによっては後払いを選べる場合や、最低額が画面の表示と異なる場合もあるため、画面の案内を確かめてください。前払いの仕組みは2026年3月23日から始まったもので、それより前に書かれた解説とは手順が合わないこともあるでしょう。課金のドキュメントに沿うと、手順は次のようになります。

  1. AI Studioの API keys ページか Projects ページを開き、対象のプロジェクトの Billing Tier 列にある Set up billing を選ぶ
  2. 初めての場合は国を選んで利用規約に同意し、既存の請求先がある場合は請求先アカウントを選ぶ
  3. 連絡先と支払い方法を登録する
  4. 画面の表示に従って支払い方式を選び、前払いの場合はクレジットを購入する
  5. Projects ページの Billing Tier 列と、Gemini API key ページの Plan 列の表示を確かめる

注意したいのは、前払いの残高が0になると、その請求先アカウントに紐付いたすべてのプロジェクトのAPIキーが止まる点です。有料枠の状態は固定ではなく、残高がプラスのときだけAPIがリクエストを処理する仕組みとなっています。Billing Tier 列に出る Set up billing、Set up Prepay、No credits といった表示は、APIが動く状態かどうかを確かめる手がかりになります。課金の処理には約10分の遅れがあり、その間は残高を少し超えて使われることがあります。前払いの残高は、使い切る前に誰が補充するかを決めておきましょう。前払いしたクレジットの有効期限は1年で、アカウントの種類を切り替える場合を除いて払い戻しはできないと案内されています。2026年3月2日以降に開設した Google Cloud の請求先アカウントに付く300ドルのウェルカムクレジットは、Gemini API と AI Studio の支払いには使えない点も知っておいてください。有料枠で使った分の単価は、冒頭で紹介した料金の記事で確かめることが出来ます。

社員が個人のGoogleアカウントで使うと、会社は確認も強制もできない

社員が自分の個人のGoogleアカウントでAI Studioを使っている場合、会社の側からは、そのアカウントが有料サービスの条件を満たしているかを確かめる手段がありません。英語版の規約では、AI Studioはアクセスするアカウント単位で、Gemini APIは呼び出すCloudプロジェクト単位で、有料か無料かが決まるように書き分けられています。APIなら会社のプロジェクトに請求先を付ければよいのですが、AI Studioの画面は社員がどのアカウントでログインするかに左右されてしまいます。個人のアカウントに請求先を付けてもらう手も考えられますが、支払いも設定も社員個人のものになり、会社として強制も確認も出来ない状態は変わりません。

個人のGoogle AI Proに入っていても扱いが変わるとは書かれていない

Google AI Pro や Ultra に加入している方は、AI Studioで上位のモデルや高い利用上限を使えると、Googleの開発者向けドキュメントに書かれています。一方で、2026年9月20日に確認した時点では、加入者がAI Studioを使うときにデータの扱いが有料サービスになるという記述は、同じページにありませんでした。英語版の規約では、有料サービスになる条件は、請求先付きのCloudプロジェクトか、Workspace enterprise account のどちらかという書き方になっています。有料プランに入っているから学習されない、と社員が考えていても、公式にそう書かれているわけではない点を伝えてみてください。

会社から見えない利用はシャドーAIとして残る

会社が把握していないところで使われるAIは、シャドーAI(野良AI)と呼ばれます。AI StudioはGoogleアカウントさえあれば無料で使えるため、ChatGPTの個人利用と同じく、会社の外側に利用が広がりやすい道具の一つです。どこまで会社から見えるのかはシャドーAIはバレるのか(会社に見える範囲と見えない範囲)で、対策の全体はシャドーAI(野良AI)の対策で詳しく扱っています。止めるだけでは別の無料ツールに移るだけになりやすく、代わりに使ってよい環境を会社が先に示すことが大切になります。

社員のアカウント任せにせず、Geminiを使う入口を会社で用意する

学習に使われるかを社員それぞれのアカウントの条件に委ねないために、Geminiを使う環境を会社で1つに決める方法があります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

有料でも残るデータと保持期間

有料サービスに切り替えても、送ったデータがどこにも残らなくなるわけではありません。

使用禁止ポリシー違反の検出のために一定期間記録される

規約には、有料サービスでも、使用禁止に関するポリシーへの違反を検出・防止する目的と、法律や規制で必要な開示を行う目的に限って、プロンプトと回答を一定期間記録すると書かれています。この一定期間が何日なのかは、規約には書かれていません。データはGoogleや代理人が施設を持つ国で一時的に保存やキャッシュをされることがあると、規約に書かれています。インターネット上の解説には18か月や3年といった数字も見られますが、AI Studioの規約で確かめられる日数ではないため、社内の資料に書くときは出典を確かめてください。

Google検索によるグラウンディングは30日保存される

Google検索によるグラウンディング(回答の根拠をGoogle検索から取ってくる機能)を使うと、プロンプト・文脈情報・出力が30日間保存され、グラウンディング結果の生成とシステムのデバッグ・テストに使われると規約にあります。AI Studioでのこの機能は、無料サービスとして提供されると明記されています。検索と組み合わせて使う場面では、学習とは別に保存される期間があると覚えておくとよいでしょう。

チャット履歴を画面で消せば済むのか

AI Studioの画面で履歴を削除したときに、すでに送った内容が製品の改善から外されるのかどうかは、確認した規約・料金・課金のページには書かれていませんでした。無料サービスの条項は送信したコンテンツと回答を使う書き方になっており、後から消せばよいという前提で入力するのは避けたいところでしょう。消せば済むかどうかで迷う情報は、最初から入れないと決めておきましょう。

プレビュー版のモデルの扱い

プレビュー版や試験運用版のモデルだけデータの扱いが変わる、という記述は、今回確認した公式ページには見当たりませんでした。料金ページで確かめられるのは、たとえば Gemini 3.1 Pro のプレビュー版が無料枠では使えず、有料枠でだけ提供されているという点になります。モデルごとの条件は変わることがあるため、機密性の高い業務に使う前には、そのモデルの説明ページも確かめてください。

会社で止めるなら:Workspace管理コンソールでAI Studioをオフにする手順

Google Workspace を使っている会社なら、管理コンソールで社員のAI Studioの利用をオフにすることが出来ます。Googleの開発者向けドキュメントには、すべてのWorkspaceユーザーが既定でAI Studioにアクセスでき、すべてのエディションで既定でオンになっていると書かれています。何も設定していなければ、会社のアカウントでもAI Studioは使える状態にあります。

管理コンソールでの操作手順

Google Workspace 管理者ヘルプに沿った手順は次のとおりです。

  1. Google 管理コンソールにログインする
  2. [アプリ]→[その他の Google サービス]→[AI Studio]を開く
  3. [サービスのステータス]を選ぶ
  4. 全員に対して止めるなら[オフ(すべてのユーザー)]を選ぶ。一部の部署だけ止めるなら、左で組織部門を選んでから[オン]か[オフ]を選ぶ
  5. [保存]を押す

組織部門単位でオン・オフを切り替えられるほか、アクセスグループを使って一部の人だけ有効にすることも出来ます。子の組織部門は、親の設定を[継承]するか、[オーバーライド]で別の設定にするかを選べる形です。オフにされた社員がAI Studioを開くと、We are sorry, but you do not have access to Google AI Studio で始まる、組織の管理者への問い合わせを促す英語のメッセージが表示されます。

操作に必要な権限と、止められる範囲

この設定には、Gmail 設定の管理者権限(英語版では Gmail Settings administrator privilege)が必要とされています。AI Studioをその他のサービスとして有効にするにはドメインの所有権の証明が必要で、地域によってはサービスを有効にできない場合もあるそうです。教育機関向けの Workspace for Education では、設定がオンでも18歳未満の利用者はAI Studioを使えないと案内されています。気をつけたいのは、この設定で止められるのは会社のWorkspaceアカウントでのAI Studioの利用だけという点です。社員が個人のGoogleアカウントでログインし直せば、管理コンソールの設定は届きません。そのため、設定でオフにすることと、社員への通知と代わりの環境の案内は、1つの組み合わせとして進めてみてください。

代わりの選択肢:Geminiアプリ・WorkspaceのGemini・Gemini Enterprise Agent Platform

AI Studioを止めたあとにGeminiを業務でどう使わせるかは、主に3つの道から選ぶことになります。

Geminiアプリで「アクティビティの保存」をオフにする

個人のGoogleアカウントでGeminiアプリを使う場合、[アクティビティの保存]をオフにすると、それ以降のチャットはAIモデルのトレーニングに使われなくなるとGeminiのプライバシーハブに書かれています。ただし、自分でGoogleにフィードバックを送った場合は例外とされ、オフにしたあとのチャットも72時間はアカウントに保存されます。これはAI StudioではなくGeminiアプリの設定である点に、注意が要ります。設定は社員一人ひとりの操作に頼る形になり、会社として全員が済ませたかを確かめるのは難しいでしょう。

会社のWorkspaceでGeminiを使う

会社がWorkspaceを契約しているなら、対象のエディションで使うGeminiについて、コンテンツが人間によってレビューされることも、許可なくドメインの外で生成AIモデルのトレーニングに使われることもない、とGoogleは案内しています。管理コンソールでGeminiのオンとオフを切り替えられ、社員が会社のアカウントで使う限り、会社の管理の中に置くことが出来ます。どのプランでどこまで使えるかは、Gemini Google Workspaceが使えない原因とプラン別の範囲で整理しています。

Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)へ移す

開発者がAPIを組み込んでGeminiを使う場合は、Google CloudのGemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)を使う方法もあります。Gemini APIの料金ページではEnterpriseプランとしてこの基盤が案内されており、専用サポート、高度なセキュリティとコンプライアンス、プロビジョンドスループット、ボリュームに応じた割引が、任意で利用できる項目として挙げられています。Google Cloudのプロジェクトと請求の管理、使う人の権限の設計まで自社で持つ形になるため、情報システムの担当者がいる会社に向く方法です。名前の似たGemini Enterpriseを1人で使う場合の条件は、Gemini Enterpriseは個人でも使えるかにまとめています。どの道を選ぶ場合も、会社のアカウントで使わせ、個人のアカウントには業務の情報を入れないという線引きは変わりません。

社員への伝え方:禁止する入力の具体例と通知文のひな形

AI Studioを止めるときは、止める理由と代わりに使う環境を1通で伝えると、社員が迷わずに済みます。禁止の一覧だけを配ると、書かれていない情報なら入れてよいと受け取られがちです。

入力してはいけない情報の具体例

無料のAI Studioを含め、会社が契約していないAIに入れないでほしい情報の例を挙げます。

  • お客様・顧問先・取引先の会社名や担当者の氏名、連絡先
  • マイナンバー、健康診断の結果、給与の額などの従業員の情報
  • 公表前の決算書の数字、試算表、資金繰りの表
  • 見積書や契約書の条件、取引の金額
  • 社内のパスワード、APIキー、システムに入るための鍵
  • 製品の設計図や、公表前の企画の資料

人のレビュアーが読む前に切り離されるのはアカウントなどとの結びつきで、文書の中に書かれた社名や数字はそのまま残る点を、一覧と一緒に伝えてください。区分ごとの詳しい一覧と報告票は、AIに入れてはいけない情報(社内に配る一覧と通知文ひな形)にまとめています。

社員に配る通知文のひな形

社内チャットやメールにそのまま貼れる形にしました。〇〇の部分を自社に合わせて書き換えて使ってみてください。

【Google AI Studioの業務利用についてのお知らせ】
〇月〇日から、会社のGoogleアカウントでのGoogle AI Studioの利用を停止します。

1.停止する理由
 無料のGoogle AI Studioでは、入力した内容と回答がGoogleの製品の改善に使われ、人が読む場合があると利用規約に書かれています。
 Googleも、無料サービスには機密情報や個人情報を送らないよう求めています。

2.お願いしたいこと
 ・個人のGoogleアカウントでも、Google AI Studioに業務の情報を入れないでください。
 ・個人でGoogle AI ProやUltraに加入していても、扱いが変わるとは公式に書かれていません。
 ・これまでに業務の情報を入れたことがある方は、〇月〇日までに〇〇へお知らせください(責めるための確認ではありません)。

3.代わりに使う環境
 Geminiを業務で使う場合は、会社が用意した〇〇(環境の名前)を使ってください。
 使い方は〇〇(社内ポータルの場所)にまとめています。

問い合わせ先:〇〇部 〇〇(内線〇〇)

利用の実態を確かめるアンケート項目

通知と一緒に今の使い方を無記名で聞くと、代わりの環境に何が必要かが見えてきます。

  • 業務でGoogle AI Studioを使ったことがあるか(ある・ない・分からない)
  • 使ったときのアカウント(会社・個人・覚えていない)
  • 主な用途(文章の下書き、要約、プログラム、画像や資料の読み込み、そのほか)
  • 入れたことがある情報の種類(上の具体例から選ぶ)
  • 個人で加入している有料のAIサービスがあるか
  • 会社で用意してほしいAIの機能

アンケートは処分のためではなく、代わりの環境を決めるための材料だと最初に書きましょう。正直に答えた方が損をする聞き方にすると、見えない利用は残ったままとなってしまいます。

AI Studioの扱いを決めるときのチェックリスト

  • 会社のWorkspaceでAI Studioが既定のオンのままになっていないか管理コンソールの[アプリ]→[その他の Google サービス]→[AI Studio]で確かめます。
  • 業務で使うプロジェクトのBilling Tier列が有料枠の状態かSet up billing・Set up Prepay・No credits の表示が出ていないかを見ます。
  • 前払いの残高を誰が見て、いつ補充するかが決まっているか残高が0になると、紐付いた全プロジェクトのAPIキーが止まります。
  • Workspace enterprise accountに当たるかを書面で確かめたか効力を持つ英語版の規約にある記述のため、該当するかを販売窓口などに確認します。
  • 検索によるグラウンディングを使うかを決めたか使う場合、プロンプトなどは30日間保存されます。
  • 社員への通知と代わりの環境の案内を出したか止めるだけにせず、使ってよい環境を同じ通知で示します。

社内のルール全体の作り方は、生成AIの社内ガイドラインの作り方で紹介しています。

利用規約の所在と、学習以外に知っておきたい注意点

AI Studioのデータの扱いは、公式の文書を読めば社内でも確かめることが出来ます。

AI Studioの利用条件が書かれている文書

AI Studioを使うときの条件は、主に3つの文書に書かれています。

Gemini API 追加利用規約には、APIを使うにはGoogle API 利用規約と追加利用規約の両方に同意する必要があると書かれ、無料サービスのデータはプライバシーポリシーに従って使うという構成です。社内の規程に引用するときは、英語版と日本語版で書き方が違う箇所があることも添えると親切でしょう。

学習以外に知っておきたい注意点

学習の扱いのほかにも、会社で使う前に押さえておきたい点がいくつかあります。

  • 規約上、Gemini APIを利用できるのは18歳以上の方です
  • 英語版の規約では、AI StudioとGemini APIは開発者が仕事や事業の目的で使うためのもので、一般消費者の利用は想定していないとされています
  • Workspaceの管理者ヘルプには、地域によってはAI Studioを有効にできない場合があると書かれています
  • 前払いのクレジットは有効期限が1年で、アカウントの種類を切り替える場合を除き払い戻しはできません
  • 料金の変更は、別途の指定がない限り、掲載から30日後に有効になると規約に書かれています

規約やモデルの条件は更新されることがあるため、社内の規程には確認した日付を書き添えてください。

学習に使われない環境で、Geminiを会社として使う

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。学習非利用は全モデルに標準で、全社一律に適用されるため、社員が一人ずつ設定を操作する必要はありません。Geminiへの接続経路は、Google Cloud(Vertex AI)の東京リージョン・入力データ非保存と案内しています(接続経路は提供元の設計に基づく、ページ作成時点の仕様です)。管理画面ではUPGEAR AI上の利用状況を利用者・日時・利用モデル単位まで把握でき、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

Google AI Studioに学習させない設定はありますか?
画面で切り替える設定としては説明されていません。学習に使われなくなるのは、有料サービスとして扱われる条件を満たすアカウントで使う場合です。英語版の規約では、請求先アカウントが有効なCloudプロジェクトにアクセスできるアカウントか、Workspace enterprise account が条件とされています。Google API 利用規約では英語版だけが効力を持つとされており、日本語版にも、Cloud 請求先アカウントを有効化するとAI Studioのすべての使用が有料サービスになると書かれています。
無料のGoogle AI Studioに入力した内容は人に読まれますか?
読まれる場合があります。規約には、品質の向上とサービスの改善のために、人間のレビュアーが入力と出力を確認、注記、処理する場合があると書かれています。レビューの前にアカウントなどとの結びつきは切り離されますが、文章の中に書いた社名や金額は残るため、無料サービスには機密情報や個人情報を入れないでください。
会社でGoogle AI Studioの使用を禁止するにはどうすればいいですか?
Google Workspace を使っている場合は、管理コンソールの[アプリ]→[その他の Google サービス]→[AI Studio]→[サービスのステータス]で[オフ]を選び、保存します。組織部門単位でオン・オフを切り替えられるほか、アクセスグループを使って一部の人だけ有効にすることもでき、操作にはGmail 設定の管理者権限が必要です。ただし、社員が個人のGoogleアカウントで使う分には設定が届かないため、社員への通知と代わりの環境の案内もあわせて行います。
Google AI Proに入っていれば、AI Studioの入力は学習に使われませんか?
そう書かれた公式の記述は、2026年9月20日の確認では見つかりませんでした。Google AI ProやUltraの加入者はAI Studioで上位のモデルや高い上限を使えると案内されていますが、英語版の規約では、有料サービスの条件は請求先付きのCloudプロジェクトか、Workspace enterprise account という書き方です。個人のプランに入っていることを理由に、業務の情報を入れないようにしてください。
有料枠に切り替えるにはいくらかかりますか?
請求先アカウントを紐付けたうえで、新しく設定する場合、多くは最低5ドル(またはほかの通貨の同等額)のクレジットの前払いを求められます。アカウントによっては後払いを選べる場合や、最低額が画面の表示と異なる場合があります。前払いでは使った分が残高から差し引かれ、残高が0になると紐付いたすべてのプロジェクトのAPIキーが止まります。前払いのクレジットの有効期限は1年です。
有料枠にすれば、入力したデータはGoogleに残りませんか?
残る場合があります。有料サービスでもプロンプトと回答は製品の改善には使われませんが、使用禁止ポリシーへの違反の検出・防止と法令上の開示のために一定期間記録されると規約にあります。その日数は規約に書かれていません。Google検索によるグラウンディングを使った場合は、プロンプトなどが30日間保存されます。
AIの学習をオフにするにはどうすればいいですか?
サービスごとに方法が違います。個人のGoogleアカウントで使うGeminiアプリは、アクティビティの保存をオフにすると、以後のチャットはトレーニングに使われなくなります(72時間は保存されます)。Google AI Studioには切り替えの設定がなく、有料サービスの条件を満たすかどうかで決まります。会社で使う場合は、学習に使われない契約の環境を用意し、社員にはそちらを使ってもらうのが確実です。

まとめ

Google AI Studioには入力を学習に使わせないための切り替えの設定がなく、無料サービスとして使えば入力と回答は製品の改善に使われ、人が読む場合もあります。学習に使われなくなるのは、請求先が有効なCloudプロジェクトにアクセスできるアカウントなど、有料サービスの条件を満たす場合で、その条件はアカウント単位で決まります。社員が個人のアカウントで使う限り、会社はその条件を確かめることも強制することも出来ません。

会社としては、Workspaceの管理コンソールでAI Studioをオフにし、入れてはいけない情報と代わりに使う環境を通知で伝える流れが現実的です。有料枠で使う部署があるなら、前払いの残高の管理まで担当を決めてみてください。法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧に、複数のAIを会社でまとめて使う考え方はマルチAIとはの記事にまとめています。