Nano Bananaの商用利用は可能か。規約・透かし・著作権を公式資料で確認する

Nano Banana(ナノバナナ)とは、Google の生成 AI である Gemini の中で、画像の生成と編集を担当するモデルの名前です。結論から書くと、Nano Banana で作った画像を会社の仕事に使うことは、Google の規約の上では禁じられていません。Google 利用規約には、生成されたコンテンツについて Google が所有権を主張しないと明記されており、生成 AI の使用禁止に関するポリシーに触れない使い方であれば、商用の場面でも使えます。ただし、第三者の著作権・商標・肖像を侵害しない責任は使う側に残ります。さらに、個人向けの Gemini アプリ・Google Workspace・Google Cloud のどの経路で使うかによって、適用される規約も、権利侵害を主張されたときに Google の補償が及ぶかどうかも変わります。この記事では、Google の規約・公式ヘルプ・公式の製品ページ、文化庁の資料という一次資料だけを材料に、会社として判断するための線引きと、そのまま社内ルールに使える確認項目まで整理します。

Nano Bananaとは。Geminiの画像生成モデルと3つの種類

Nano Banana は、Gemini アプリの中で画像の生成と編集を担当するモデルの名前で、Gemini アプリのヘルプでは3つのモデルが案内されています。単体で契約する画像生成サービスではなく、普段の Gemini の画面から、文章のやり取りと同じ流れで呼び出す機能だと考えるとつかみやすくなります。

Gemini アプリのどこにあるか

公式ヘルプ「Gemini アプリで画像を生成、編集する」は、パソコンでの手順として、gemini.google.com を開き、左上のサイドバーから画像を選び、テンプレートを選ぶかプロンプトを入力して生成する、と案内しています。生成した画像はライブラリに残り、画像の下のチャットアイコンからプロンプトを送ると編集できます。手元にある画像をアップロードして編集を依頼したり、複数の画像をアップロードして、それらをもとに新しい画像を作らせたりすることもできます。

ヘルプが挙げている Nano Banana 2 の主な機能は6つです。世界に関する知識の向上(より正確な情報に基づいて図やインフォグラフィックを作成できる)、キャラクターの一貫性(さまざまな生成画像で人物やキャラクターの外見を維持できる)、部分修正(画像の一部にすばやく特定の変更を加えられる)、テキストレンダリングの改善(サポートされているすべての言語で、スペルがより正確なテキストを画像に追加できる)、指示の実行の強化、高画質の出力です。Gemini の公式ページでは、ロゴ・招待状・ポスター・コミックなど、文字が入った制作物の例が挙げられています。会社の業務でいえば、社内掲示、告知バナー、説明用の図解といった用途が想定しやすい領域です。

3つのモデルは、Gemini のモデル設定で切り替わる

Nano Banana は1つのモデルではありません。ヘルプによれば、どのモデルが使われるかは、画像生成をリクエストする前に選んでいる Gemini のモデル設定によって決まります。

モデル使われる条件公式ヘルプの説明(要約)
Nano Banana 2 LiteGemini モデルが Flash-Lite に設定されている場合速度を重視して最適化されている。簡単な画像や基本的なアイデアをすばやく作るのに向く。複数の画像の参照や複数回の編集には対応していない
Nano Banana 2Gemini モデルが Flash または Pro に設定された状態で画像生成をリクエストしたとき速度、より高品質な画像、より広範な実世界の知識、信頼性の高いテキストレンダリングのバランスが取れた選択肢。複数の参照画像に対応
Nano Banana ProGoogle AI プランで利用可能。Gemini モデルを Pro に設定した状態で、その他メニューの「Pro でやり直す」から再生成する最高水準の実世界の知識、高度なテキスト・言語機能、優れた一貫性、より精密なクリエイティブコントロールを備えると説明されている

ここで押さえておきたいのは、Nano Banana Pro が独立した入口ではなく、いったん Nano Banana 2 または Nano Banana 2 Lite で生成した画像を作り直すための機能として案内されている点です。ヘルプには、Nano Banana 2 の1日の使用量上限に達すると、Nano Banana Pro で追加の画像を再度生成できなくなる、という注意書きも添えられています。文字を多く入れた制作物やインフォグラフィックを作るときほど Pro の説明が当てはまりますが、その前段の生成回数を使い切ってしまうと、作り直し自体ができなくなるということです。

年齢の条件は、生成と編集で違う

ヘルプの「必要なもの」には、個人アカウントでこの機能を使うための年齢制限が2行に分けて書かれています。画像を生成および編集するには18歳以上である必要があり、画像を生成するには13歳(またはお住まいの国の該当する年齢)以上である必要がある、という書き方です。つまり、生成と編集で条件が分かれており、編集のほうが厳しく設定されています。18歳未満のユーザーは画像編集機能を利用できない、とも明記されています。学校用アカウントにログインしている場合はアクセス制限が異なる場合がある、という断りもあります。

会社の業務では18歳未満が使う場面は多くありませんが、インターンや高校生のアルバイトに画像編集を任せるようなケースでは、条件に触れる可能性があります。社内ルールを作るときは、この差を書き分けておくと迷いが減ります。

※このセクションの記載は、Gemini アプリ ヘルプ「Gemini アプリで画像を生成、編集する」および Gemini の公式ページ(画像生成)を2026年9月16日に確認したものです。ヘルプの内容は更新されるため、運用の前には最新の記載をご確認ください。

Googleの規約の上では商用利用できる。根拠は利用規約の本文にある

商用利用はできます。根拠は、生成 AI 向けの特別な規約ではなく、Google 利用規約(発効日 2026年7月30日)の本文にあります。この点を取り違えると、社内説明の土台そのものが古い資料になってしまうため、最初に整理しておきます。

規約のどこに書いてあるか

Google 利用規約(発効日 2026年7月30日)の原文:Google の一部のサービスは、ユーザーによるオリジナル コンテンツの生成を許可しています。Google がそのコンテンツに対する所有権を主張することはありません。

この一文は、規約の「Google サービス内のコンテンツ」の中の「ユーザーのコンテンツ」という項目に置かれています。生成物の所有権を Google が主張しない、という会社が気にする点は、ここに書かれています。同じ規約の中には、ユーザーのコンテンツはユーザーに帰属し、コンテンツに含まれるユーザーの知的所有権はすべてユーザーが保持する、という記載もあります。

Google に与えているライセンスの範囲

所有権を主張されないことと、Google が一切使わないことは同じではありません。規約の「ユーザーのコンテンツに対する使用許可」では、ユーザーの知的所有権によって Google によるコンテンツの使用が制限される場合、Google はユーザーから使用許可を得る必要があるとしたうえで、そのライセンスの性質を全世界的・非独占的・無償と定めています。非独占的であるため、ユーザーは自分のコンテンツのライセンスを他者に供与できる、とも明記されています。

ライセンスの目的も限定列挙されています。サービスを運営し改善するため、スパム・不正なソフトウェア・違法なコンテンツを検出するため、データのパターンを認識するため、Google のサービスを個々のユーザーに合わせてカスタマイズするため、ユーザーが一般公開で共有したコンテンツをサービスの宣伝に使うため、そして規約に準拠する形で新しい技術およびサービスを開発するため、という並びです。会社として押さえるべきなのは、このライセンスは知的所有権のみを対象としており、プライバシーの権利には影響しないと書かれている点と、一般公開で共有したコンテンツは宣伝に使われ得ると書かれている点です。

名前の似た規約との関係

Google のポリシーサイトには、生成 AI の追加利用規約(最終更新 2023年8月9日)というページもあります。このページの冒頭には、次の注記が置かれています。

生成 AI の追加利用規約の冒頭注記(原文):AI 関連のトピックをカバーするため、2024年5月22日に Google 利用規約を更新しました。この日付以降、この生成 AI の追加利用規約は、この規約に言及している契約書に署名済みのビジネス パートナーを除き、適用されなくなります。

つまり、署名済みのビジネスパートナーという限られた相手を除けば、今この追加規約を根拠に商用利用の可否を説明することはできません。社内稟議やお客様への説明で規約を引くときは、Google 利用規約の本文と、そこから参照されている生成 AI の使用禁止に関するポリシーの2つを見るのが、現在の形です。

所有権を主張されないことと、権利侵害の責任は別

ここが商用利用を判断するときの中心です。Google が所有権を主張しないという記載は、Google とユーザーの間の話であり、第三者との関係を保証するものではありません。Google 利用規約は「他者の尊重」の項で、適用される法律を遵守すること、プライバシーに関する権利や知的財産権などの他者の権利を尊重することをユーザーに求めています。Gemini アプリのヘルプも、次のように書いています。

Gemini アプリ ヘルプの原文:Gemini で画像を生成する際には、Google の利用規約(生成 AI の使用禁止に関するポリシーを含む)が適用されます。第三者の著作権やプライバシーの権利を侵害しないようにしてください。Gemini アプリによって生成されたコンテンツを信頼したり、公開、使用する前に、自分自身で検証して慎重に判断してください。職場あるいは学校用のアカウントを使用しているユーザーには、ライセンスの種類に応じて別の規約が適用されることがあります。

整理すると、商用利用の可否は3段構えで考えることになります。1段目は Google との関係で、これは規約上、所有権を主張されず、禁止事項に当たらなければ使えます。2段目は第三者との関係で、著作権・商標・肖像の侵害は利用者の責任として残ります。3段目は、生成された画像そのものに著作権が生じるかどうかという別の論点です。この記事では、2段目を第三者の著作権・商標・肖像を侵害するリスクと既存キャラクターの節で、3段目を生成した画像の著作権は誰のものかの節で、それぞれ扱います。

※Google 利用規約(発効日 2026年7月30日・日本版)、生成 AI の追加利用規約(最終更新 2023年8月9日)、生成 AI の使用禁止に関するポリシー(最終更新 2024年12月17日)の各ページは2026年9月16日に確認したものです。規約は改定されるため、契約や社内規程の根拠として引用する際は、その時点の発効日と本文をあらためてご確認ください。また、本記事は法的な助言ではありません。個別の案件については弁護士等の専門家にご相談ください。

無料プランと有料プランで変わるのは画質と使える機能

無料プランと有料プランで変わるのは、商用に使ってよいかどうかではなく、ダウンロードできる解像度、使える機能、そして使用量の枠です。規約は経路(どのサービスとして契約しているか)で決まるものであり、個人向けの Gemini アプリの中で無料か有料かという違いによって、商用利用の可否が切り替わる仕組みにはなっていません。

解像度は2Kと1Kで分かれる

公式ヘルプは、高画質の出力について次のように書いています。画像を高解像度でプレビューでき、Google AI プランを利用している場合は 2K 解像度で、AI プランを利用していない場合は 1K 解像度で画像をダウンロードできる、という説明です。ここでいう Google AI プランは、Google AI Plus・Google AI Pro・Google AI Ultra といった個人向けの有料プランを指します。

この差は、用途によって効き方が変わります。Web バナーやスライドの挿絵であれば 1K でも成立する場面がありますが、A4 のチラシや展示会のパネルのように印刷を前提とする制作物では、解像度が足りずに作り直しになることがあります。印刷物に使う可能性がある部署から先に有料プランを検討する、という優先順位のつけ方が現実的です。

プラン別に変わるもの

AI プランなしGoogle AI PlusGoogle AI ProGoogle AI Ultra
月額(ページの表示どおり)―¥725¥2,900¥14,500〜
画像のダウンロード解像度1K2K(Google AI プランの場合)
Nano Banana 2 による画像生成○○○○
Nano Banana Pro で画像の再度生成×○○○
Gemini の使用量の枠標準標準の2倍標準の4倍Pro よりさらに大きい枠
コンテキストウィンドウ32,000 トークン128,000 トークン100万トークン100万トークン

使用量の枠は、回数ではなく計算量に基づく形に変わっています。Gemini アプリのヘルプは、使用量上限は週ごとの上限に達するまで5時間ごとにリセットされる、と説明しています。したがって、1日に何枚作れるかという形で社内に案内すると実態とずれます。上限に達した場合、Google AI サブスクリプションの利用者は Flash-Lite で会話を続けられるとされていますが、プランがないユーザーは、需要が高い期間に Deep Research など一部の機能を使えないことがある、とも書かれています。

※月額は Google One の日本向けプラン紹介ページ(国表示は日本)に表示されている金額で、2026年9月16日に確認したものです。ページには税込・税別の記載がないため、そのまま転記しています。Google AI Ultra は複数の区分があり、最も低い区分の金額を記載しています。使用量の枠の倍率は Gemini アプリのヘルプの表記に基づきます。Google AI Ultra の倍率については、Google のページによって表現が異なるため、本記事では倍率を記載していません。

なお、Google AI のプランについて、Google のよくある質問には次の記載があります。Google AI のプランに申し込めるのは個人の Google アカウントのみで、Google Workspace の顧客は、既存のサブスクリプションに対する Gemini アドオンに申し込むよう案内されています。つまり、会社として契約する話と、個人が有料プランに入る話は、入口から別だということです。この点は次の節で詳しく見ます。

個人向けGeminiアプリ・Google Workspace・Vertex AI経由の違い

同じ Nano Banana であっても、個人向けの Gemini アプリ、Google Workspace、Google Cloud のどれを経由するかで、適用される規約と、権利侵害を主張されたときに Google の補償が及ぶかどうかが変わります。会社として使うのであれば、機能の比較よりも先に、この経路の違いを確認するほうが判断が早く進みます。

経路によって変わること

確認する点個人向けの Gemini アプリGoogle Workspace(Gemini in Workspace)Google Cloud 経由(旧 Vertex AI)
契約するのは個人の Google アカウント会社会社
適用される規約Google 利用規約と生成 AI の使用禁止に関するポリシーGoogle Workspace の契約とその追加規約Google Cloud の契約、サービス固有の追加規約、生成 AI の使用禁止に関するポリシー
生成 AI 補償対象サービスの一覧記載なしGemini in Workspace として記載あり旧 Vertex AI API の一般提供版の基盤モデル(Gemini・Imagen など)として記載あり
入力の学習利用アクティビティの保存をオフにすると今後のチャットは学習に使われない(個人ごとの設定)コンテンツは人間によるレビューも、許可のないドメイン外での学習にも使われないと明記顧客の許可または指示がない限り、顧客データを学習や微調整に使わないと明記
月額(各ページの表示どおり)Google AI Pro ¥2,900 など年間プランで1ユーザーあたり ¥800/¥1,600/¥2,500(税別)Gemini Enterprise は Business ¥3,700、Standard ¥5,100、Plus ¥8,800 など(1か月単位の表示)

※金額は、Google One の日本向けプラン紹介ページ、Google Workspace の日本語料金ページ、Google Cloud の価格表(通貨を日本円に指定した表示)をそれぞれ2026年9月15日から16日に確認したものです。Google Workspace の料金ページには、価格はユーザー1人あたりの月額料金(税別)と記載があります。Google Cloud の価格表には税の扱いの記載がありません。Google Cloud 経由で画像生成を使う場合、料金は使用量に応じて計算されるため、上の金額はそのまま画像生成の費用ではありません。

Google Cloud の補償の対象に入っているサービス

Google Cloud には、生成された出力が第三者の知的財産権を侵害するという主張に対して、Google が補償義務を負うという仕組みがあります。ただし対象になるのは、Google の事前学習モデル等だけを使って生成された、改変していない出力です。対象サービスも、Google Cloud が公開している生成 AI 補償対象サービスの一覧(最終更新 2026年7月20日)に載っているものに限られます。

区分一覧に載っているもの(抜粋)
Google Cloud PlatformGemini for Google Cloud(旧 Duet AI for Google Cloud)/Gemini Enterprise Agent Platform API(旧 Vertex AI API)を一般提供版の基盤モデル(Codey・Gemini・Imagen・PaLM・Veo)と組み合わせて使う場合/Agent Conversation/Agent Search/Grounding with Google Search/Web Grounding for Enterprise/Grounding with Google Maps/Automotive AI Agent/Gemini Enterprise/NotebookLM Enterprise
Google WorkspaceGemini in Workspace(旧 Gemini for Google Workspace)/Google Vids
一覧に載っていないもの個人向けの Gemini アプリ(gemini.google.com)

画像生成に関係する部分でいえば、Imagen と Gemini が一般提供版の基盤モデルとして一覧に含まれています。一方で、多くの人が実際に Nano Banana を触っている入口である個人向けの Gemini アプリは、この一覧に載っていません。ここは社内で誤解されやすい点です。Google が生成物の所有権を主張しないことと、侵害を主張されたときに Google が矢面に立つかどうかは、別々の仕組みで決まっています。

補償から外れる5つの場合と、無償提供の扱い

Google Cloud のサービス固有の追加規約には、補償の適用範囲と除外が定められています。まず前提として、補償の対象になるのは、そのサービスまたは機能が無償で提供されているのではない場合に限られると書かれています。無料で使っている範囲には補償が及ばない、という意味です。そのうえで、次の5つの場合は除外されます。

  1. 侵害の可能性が高いと知っていた、または知るべきであった出力を、顧客が作成または使用した場合
  2. 出典表示、フィルタ、指示など、責任ある利用のために Google が提供しているツールを、無視・無効化・改変・回避した場合
  3. 権利者またはその正式な代理人から侵害の申立ての通知を受けた後も、その出力を使い続けた場合
  4. 商取引での使用の結果として、商標関連の権利が問題になっている場合
  5. モデルのカスタマイズや再学習に使った顧客データについて、必要な権利を顧客が持っていない場合

会社にとって効くのは4番目です。商標関連の権利が問題になる場面は、まさに商取引での使用、つまり商用利用そのものです。ロゴ、商品パッケージ、店舗の看板、広告のキービジュアルのように、商標としての機能を持つ使い方をするほど、補償の外側に出る可能性が高まります。補償があるから安心という整理ではなく、補償があっても商標の問題は自社で見る、という前提で運用を組むほうが実態に合います。

3番目も運用に直結します。権利者から連絡を受けた後に使い続けると補償から外れるため、申立てを受けたときに使用をすぐ止められる体制があるかどうかが、そのまま補償の有無に影響します。誰が止める判断をするのかを決めていない会社では、担当者が確認している間に日数が過ぎてしまいます。

Google Cloud 経由で明記されている、入出力の扱い

Google Cloud のサービス固有の追加規約には、会社が確認を求められやすい事項が、いくつか明文で置かれています。生成された出力は顧客データであり、そこに生まれた新しい知的財産について、Google は所有権を主張しないと定められています。顧客の事前の許可または指示がない限り、出力を作るために合理的に必要な期間を超えてプロンプトを顧客のアカウント外に保存することも、出力を保存することもしないと書かれています。さらに、顧客の事前の許可または指示なしに、顧客データを AI・機械学習モデルの学習や微調整に使わないという条項もあります。

同時に、注意書きも置かれています。生成 AI のサービスは新しい技術を使っており、不正確または不快な出力を返すことがあり、顧客の規制上・法律上その他の義務を満たすために設計されたものではない、という免責です。加えて、場面によっては複数の顧客に対して同じまたは似た出力を返すことがある、とも明記されています。同じような依頼をすれば、他社の制作物と似た画像が出てくることがあり得るということです。自社だけの図柄ができあがると期待して制作フローを組むと、この点で食い違いが出ます。

複数の生成 AI を会社としてまとめて使う形の全体像はマルチAIとは。複数の生成AIを1つの環境で使う方法と選び方で、国内の法人向けサービスの横並びは法人向け生成AIサービスの比較で整理しています。

どの入口で使うかは、社員任せにせず会社で決める

同じNano Bananaでも、個人のアプリか会社の契約かで入力データの扱いが変わります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

SynthIDと目に見える透かしは、消さない前提で使う

Gemini で作った画像には透かしが入ります。会社で使うのであれば、透かしを消すことを前提にせず、透かしが入った状態で成立する制作物として設計してください。

公式ページに書かれていること

Gemini の公式ページ(画像生成)の原文:Gemini で作成されたビジュアルと人間のオリジナル作品を明確に区別するため、Gemini は、AI 生成であることを示す目に見えない SynthID 透かしと、目に見える透かしを使用します。

ここに書かれているのは、目に見えない SynthID の透かしと、目に見える透かしの2種類を使うということです。どちらがどの条件で付くのかという細かい振り分けについて、公式ページに踏み込んだ記載は見当たりません。プランによって目に見える透かしの扱いが変わるという説明も、公式ページでは確認できません。運用を決めるときは、透かしが入る前提で校正を回し、実際の出力を見て判断するのが確実です。

SynthID はどういう仕組みか

SynthID は Google DeepMind が公開している電子透かしの技術です。公式サイトの説明では、AI が生成した画像・音声・テキスト・動画に対してデジタル透かしを直接埋め込み、人間には知覚できないが SynthID の技術では検出できる、とされています。画像と動画については、コンテンツが作られたその瞬間に付与され、切り抜き、フィルタの追加、フレームレートの変更、非可逆圧縮といった加工に耐えるよう設計されている、と書かれています。画質は変わらないとも説明されています。

確認の方法は2つ案内されています。1つは Gemini アプリに画像をアップロードして、Google AI によって生成されたものかどうかを尋ねる方法です。もう1つは SynthID Detector という検証用のポータルで、こちらは現在ジャーナリストやメディア関係者と協力してテストを行っている段階だと説明され、早期テスターの待ちリストが案内されています。

消そうとすること自体が規約上の問題になり得る

透かしを消す方法は、この記事では扱いません。Google 利用規約は、サービスの不正使用の禁止の項で、システムや保護対策に対するスパム行為、ハッキング、または回避を禁止しています。生成 AI の使用禁止に関するポリシーにも、不正使用対策や保護フィルタを回避する行為が挙げられています。さらに、前の節で見たとおり、Google が提供しているツールを無視・無効化・改変・回避した場合は、Google Cloud の補償からも外れます。透かしの除去を目的とした操作は、保護対策の回避として規約上の問題になり得るうえ、Google が提供するツールを無視・無効化・改変・回避した場合として補償の除外に当たるおそれもあります。

あわせて、出所を偽ることも明確に禁止されています。Google 利用規約には、生成 AI のコンテンツを人間が作成したものであると誤解させる行為が禁止行為として挙げられ、生成 AI の使用禁止に関するポリシーにも、人々を欺くことを目的に、人間によってのみ作成されたコンテンツであると主張し、生成されたコンテンツの出所を偽る行為が挙げられています。AI で作ったことを隠して人間の制作物として納品する、といった運用は、この禁止に正面から当たります。外注先から納品を受ける立場でも、発注する立場でも、ここは確認しておくべき項目です。

※このセクションの記載は、Gemini の公式ページ(画像生成)、Google DeepMind の SynthID 紹介ページ、Google 利用規約、生成 AI の使用禁止に関するポリシーを2026年9月16日に確認したものです。

生成した画像の著作権は誰のものか

生成した画像に著作権が生じるかどうかは、AI 生成物であること自体では決まらず、人の創作的寄与があったかどうかによって、個別具体的に判断されます。この整理は、文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会が取りまとめた「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)に示されています。

引用にあたっての前提:この資料の概要版(令和6年4月・文化庁著作権課)の冒頭には、考え方は現行の著作権法の解釈について、公表時点における小委員会としての一定の考え方を示すものであり、それ自体は法的な拘束力を有するものではない、と明記されています。以下は、その性格を踏まえた整理です。最終的な判断は個別の事案ごとに司法により行われるものであり、実務上の判断は弁護士等の専門家にご相談ください。

ボタンを押すだけでは著作物に当たらない

概要版は、著作権法上の著作物の定義(思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの)を示したうえで、AI が自律的に生成したものは著作物に該当しないと考えられる、としています。ここでいう自律的に生成したものの例として挙げられているのが、人が何ら指示を与えず、または簡単な指示を与えるにとどまり、生成のボタンを押すだけで AI が生成したもの等、という説明です。

これに対して、人が思想又は感情を創作的に表現するための道具として AI を使用したものと認められれば、著作物に該当し、AI 利用者が著作者となると考えられる、とされています。判断は、人の創作意図があるか、そして人が創作的寄与と認められる行為を行ったか、の2点から行われます。なお、著作権法上、著作者となることができるのは人(自然人または法人)のみであり、法人格を持たない AI 自体が著作者となることはない、という注記も添えられています。

創作的寄与の判断要素

概要版は、創作的寄与となり得るものがどの程度積み重なっているかを総合的に考慮して判断されるとしたうえで、判断要素の例として指示・入力の分量、生成の試行回数、複数の生成物からの選択の3つを挙げ、あわせて人間による加筆・修正について整理しています。

判断要素概要版の説明実務での受け止め方
指示・入力の分量創作的表現といえるものを具体的に示す詳細な指示は、創作的寄与があると評価される可能性を高める。長い指示であっても、創作的表現に至らないアイデアを示すにとどまる指示であれば、判断には影響しない長く書けばよいのではなく、何をどう描くかを具体的に指定しているかどうかが分かれ目になる
生成の試行回数試行回数が多いこと自体は判断に影響しない。生成物を確認し、指示・入力を修正しつつ試行を繰り返す場合には、著作物性が認められる場合もある何回作り直したかという記録だけでは足りない。どう直したかが残っているかを見る
複数の生成物からの選択単なる選択行為自体は判断に影響しない。ただし、通常創作性があると考えられる行為の要素として選択行為があるものもあり、その関係も考慮する必要がある並んだ候補から1枚選んだだけ、という工程は弱い
人間による加筆・修正人間が AI 生成物に創作的表現といえるような加筆・修正を加えた場合は、通常、その加筆・修正が加えられた部分については著作物性が認められるデザイナーが手を入れた部分は、その部分について評価され得る

会社の実務に引き直すと、意味は大きく2つあります。1つは、生成の過程を記録に残しておく価値があるということです。どの指示をどう修正し、どこに手を入れたのかが残っていれば、後から説明できます。もう1つは、AI 生成物が著作物に当たらない場合、著作権を根拠にして他社の使用をやめさせることは難しくなる、という点です。ロゴや主要なキービジュアルのように、他社に真似されたくない素材では、この点を踏まえて作り方を決める必要があります。生成物をそのまま使うのか、デザイナーが手を入れるのかという判断が、権利の面でも意味を持つということです。

あわせて、概要版には重要な注記があります。AI 生成物が著作物となるかという問題と、生成または利用が既存の著作物の著作権侵害となるかという問題は別個の問題であり、AI 生成物が著作物となる場合でも、既存の著作物との類似性および依拠性が認められれば、その生成や利用は著作権侵害となり得る、という内容です。自社に権利があることと、他社の権利を侵していないことは、まったく別の確認だということになります。

※この節の記載は、文化庁が公開している「AIと著作権に関する考え方について」【概要】(令和6年4月・文化庁著作権課)の本文を2026年9月16日に確認したものです。正確な記載内容は考え方の本体をご確認ください。関連資料として「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日)も公開されています。

第三者の著作権・商標・肖像を侵害するリスクと既存キャラクター

生成した画像が既存の著作物と似ていた場合、AI で作ったことは免責の理由になりません。文化庁の考え方の概要版は、AI を利用して生成した画像等を SNS 等にアップロードして公表したり、複製物を販売したりする場合は、通常の著作権侵害と同様の基準で侵害となるか否かが判断される、と説明しています。

類似性と依拠性

侵害となるための要件は2つです。生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が共通していること)および依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められ、かつ権利制限規定の対象外である場合は、既存の著作物の著作権侵害となる、とされています。逆に、類似性または依拠性のいずれかが認められない場合は侵害とはならず、また私的使用のための複製のように権利制限規定の対象となる行為であれば、利用に許諾は不要とされています。

会社として身構えるべきなのは、依拠性についての次の整理です。

概要版の原文:生成AIの開発・学習段階で当該既存の著作物が学習されていた場合は、AI利用者が既存の著作物を認識していない場合でも、通常、依拠性があったと推認される。

つまり、そんな作品は知らなかったという説明は、依拠性を否定する材料として当然には働きません。既存の著作物が学習データに含まれているか不明な場合でも、権利者は、AI 利用者が既存の著作物にアクセス可能であったことや、生成物に高度な類似性があることなどを立証することで、依拠性ありと推認させることができる、とも書かれています。なお概要版には、その生成 AI について、学習に用いられた著作物の創作的表現が生成・利用段階において出力される状態となっていない場合には、AI 利用者がその事情を主張・立証することで依拠性がないと判断される場合はあり得る、という脚注も付いています。

もう1つ、実務で見落とされやすいのが次の整理です。AI による生成物の生成が適法に行える場合でも、生成物の利用(SNS へのアップロード等)まで直ちに適法となるものではなく、場面ごとに適法性の判断が必要である、とされています。社内の検討用に画像を作ることと、それを広告に使うことは、同じ線の上にはありません。

既存キャラクターに似せる指示は、そもそも入口を塞ぐ

特定の作品名、キャラクター名、作家名をプロンプトに入れて似せにいく使い方は、会社の業務では避けるのが無難です。理由は3つあります。1つ目は、類似性が認められやすくなるためです。2つ目は、Google 利用規約が、知的財産権やプライバシーの権利など他者の法的権利を侵害することを目的とした Google のサービスの使用を、明確に禁止しているためです。3つ目は、侵害の可能性が高いと知っていた、または知るべきであった出力を作成・使用した場合、Google Cloud の補償から外れるためです。

概要版には、事業者が侵害の責任主体となるかという論点の中に、参考になる記述があります。生成 AI 自体は類似物を高頻度で生成するようなものではなかったが、悪意ある利用者の生成指示によって類似物が生成されてしまったという場合について、AI 利用者による類似物の生成を意図したプロンプト入力などの指示により、結果として侵害物が生成されたとしても、その生成 AI が侵害物を高頻度で生成するようなものでないといえる場合は、事業者が侵害主体と評価される可能性は低くなると考えられる、という整理です。指示を出した側の位置づけが重くなり得るということです。

商標と肖像は、著作権とは別の入口から来る

著作権だけを見ていると抜けるのが、商標と肖像です。商標については、前の節で見たとおり、商取引での使用の結果として商標関連の権利が問題になる場合は Google Cloud の補償から除外されます。生成した画像に、既存のブランドのロゴに似た図形や、他社の商品の外観に近い意匠が含まれていないかは、公開前に人の目で確認する工程が必要です。

肖像については、生成 AI の使用禁止に関するポリシーが、本人の同意なく作成された親密な状況のシナリオ・画像・動画を助長するコンテンツの生成や配布を禁止しています。また、法律で義務付けられている同意を得ずに個人データや生体認証データを使用することが、他者の権利を侵害する例として挙げられています。実在する人物の顔に似た画像を広告に使う、有名人に似せた人物像を作る、といった使い方は、著作権とは別の問題として検討が必要です。

すでに公開・印刷してしまった場合の是正の順番

先に使ってしまってから問題に気づく、という順番は現実に起こります。そのときに動く順番を、あらかじめ決めておくと被害が広がりません。

  1. 使用を止める。Web ページやSNSの投稿は公開を停止し、印刷物は配布と出荷を止めます。権利者から申立ての通知を受けた後も使い続けた場合、Google Cloud の補償からは外れます。まず止める、が最初です。
  2. どこまで出たかを洗い出す。自社サイト、SNS、広告配信、印刷物、取引先へ配布した資料、テンプレートとして社内に置いたファイル、名刺やノベルティまで、同じ画像が使われている場所を一覧にします。1か所だけ直しても、他から出続けます。
  3. 生成時の記録を確保する。生成した日時、使ったアカウント、経路(個人向けのアプリか、会社契約か)、プロンプト、参照としてアップロードした画像、その後の加工履歴を、消さずにまとめます。後から説明する材料になります。
  4. 申立ての内容と期限を確認する。誰からどの権利について、何を求められているのかを整理します。ここから先の回答は、社内の判断だけで返さないほうが安全です。
  5. 弁護士に相談する。類似性や依拠性の評価、回答文の内容、損害賠償の可能性は、専門家の判断が要る領域です。
  6. 差し替え素材を手配する。止めたままにできない媒体があるため、差し替え案を並行して用意します。急ぐ場面ほど、同じ経路で作り直して同じ問題を繰り返しやすいので、素材の出所を変えることも検討します。
  7. 再発防止を決める。どの工程で止められたはずかを1つだけ特定し、確認の担当と手順に落とします。全部を厳しくすると運用が続きません。

権利者の側が取り得る措置についても、概要版は整理しています。侵害を受けた権利者は、新たな侵害物の生成の差止め、すでに生成された侵害物の利用(インターネット配信など)の差止めといった差止請求や、侵害行為により生成された生成物の廃棄請求が可能である、とされています。公開を止めれば終わりではなく、手元のデータの扱いまで求められ得るということです。

Googleが禁止している使い方

Google が禁止しているのは、大きく分けて、法令に違反する行為、セキュリティを侵害する行為、性的・暴力的・差別的・有害な行為、そして誤った情報や誤解を招く行為の4つです。生成 AI の使用禁止に関するポリシー(最終更新 2024年12月17日)に、この4本柱で整理されています。

4つの柱と、会社の業務で踏みやすいもの

柱ポリシーに挙げられている例(抜粋)会社の業務で関係しやすい場面
適用される法律や規制に違反する行為プライバシーに関する権利や知的財産権など他者の権利を侵害している/法律で義務付けられている同意を得ずに個人データや生体認証データを使用している/本人の同意を得ないで個人を追跡または監視している/リスクの高い領域(雇用、医療、金融、法律、住宅、保険、社会福祉など)で個人の権利に大きな悪影響を及ぼす意思決定を人間の監督なしで自動的に行う他社のデザインを参照素材にする、社員や顧客の顔写真を同意なく使う、採用や与信の判断に人の確認を挟まず使う
Google または Google 以外のサービスのセキュリティ侵害スパム、フィッシング、マルウェア/不正使用対策や保護フィルタを回避する安全機能の回避、透かしの除去を狙う操作
性的・暴力的・差別的・有害な行為憎悪を煽るスピーチ/ハラスメント、いじめ、脅迫、虐待、侮辱/暴力または暴力の誘発/性的描写が露骨なコンテンツ社内向けの冗談画像、キャンペーンの過激な表現
誤った情報、不実表示、誤解を招く行為欺瞞行為、詐欺行為/なりすまし/センシティブな分野(健康、金融、行政サービス、法律など)における専門知識や能力に関して誤解を招く主張/人間によってのみ作成されたコンテンツであると主張し、生成されたコンテンツの出所を偽る効果を強調した広告表現、専門家が監修したかのような見せ方、AI 生成であることを隠した納品

ポリシーの末尾には、これらのポリシーを適用するにあたり、教育、記録、科学、芸術の観点に基づく考慮が必要な場合、または社会にもたらされる実質的な利益が有害性を上回る場合は、例外を設けることがある、という記載もあります。ただし、例外の判断は Google 側が行うものであり、自社で当てはめてよいという趣旨ではありません。

Google 利用規約の側にある3つの禁止行為

ポリシーとは別に、Google 利用規約のサービスの不正使用の禁止の項にも、生成 AI に関係する禁止行為が挙げられています。1つ目は、生成 AI のコンテンツを人間が作成したものであると誤解させる行為です。2つ目は、知的財産権やプライバシーの権利など、他者の法的権利を侵害することを目的とした Google のサービスの使用(サービスが提供するコンテンツを含む)です。3つ目は、機械学習モデルまたは関連する AI テクノロジーの開発を目的とした、Google サービスの AI 生成コンテンツの使用です。

3つ目は見落とされやすい項目です。Gemini で作った画像を大量に集めて、自社の画像生成モデルを学習させるといった使い方は、この禁止に当たります。社内で独自のモデルを作る構想がある会社は、素材の集め方の段階で確認が必要です。

なお、ヘルプには、Google の利用規約(生成 AI の使用禁止に関するポリシーを含む)に違反する可能性があるとシステムが判断した場合、Gemini アプリによってプロンプトの画像が削除されることがある、という記載もあります。生成できたかどうかが、そのまま適法性の判定になるわけではありませんが、削除された場合はそこで踏みとどまるべき合図です。社内ルールを作るときの参考として、生成AIの社内ガイドラインの作り方もあわせてご覧ください。

入力した画像とプロンプトは学習に使われるのか

個人向けの Gemini アプリでは、アクティビティの保存をオフにすると、今後のチャットは AI モデルのトレーニングに使用されません。ただしこれは個人アカウントごとの設定であり、会社が全員に一律で担保できるものではないという点が、業務利用では重要になります。

個人向けの Gemini アプリでの扱い

Gemini アプリのプライバシー ハブには、次の記載があります。アクティビティの保存をオフにすると、今後のチャットはアクティビティに表示されず、AI モデルのトレーニングに使用されることもない(ただし、Google にフィードバックが送信されるようユーザー自身が選択した場合を除く)、という内容です。あわせて、一時チャットと、アクティビティの保存がオフになっているときのチャットは72時間アカウントに保持される、と書かれています。これは、Gemini の応答、フィードバックの処理、利用者と一般の人々の保護を目的とした保持だと説明されています。

一方、保存が有効な場合については、次の記載があります。

Gemini アプリのプライバシー ハブの原文:人間のレビュアー(トレーニングを受けた Google のサービス プロバイダのレビュアーを含む)が収集したデータの一部をレビューすることがあります。レビュアーに見られたくない機密情報や、Google のサービス(機械学習技術など)の改良のために使用されたくない機密情報は入力しないでください。

同ハブによれば、アクティビティの自動削除はデフォルトで18か月に設定されており、3か月・36か月・無期限に変更できます。そして、人間のレビュアーがレビューしたチャットは、アクティビティを削除しても削除されず、最長3年間保存されると説明されています。自分で消せば消える、という前提が成り立たない領域があるということです。仕事用または学校用の Google アカウントで Gemini アプリを利用する場合は、データの取り扱いに関する別の規約が適用される場合がある、という断りも置かれています。

会社の契約で使う場合の扱い

Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ(最終更新 2026年8月14日)には、お客様のコンテンツは、人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもない、と記載されています。Gemini とのやり取りが組織外に開示されることはない、とも書かれています。

Google Cloud の側では、サービス固有の追加規約に、顧客の事前の許可または指示がない限り、顧客データを AI・機械学習モデルの学習や微調整に使わないという条項が置かれています。加えて、出力を作るために合理的に必要な期間を超えて、プロンプトや生成された出力を顧客のアカウント外に保存しないと定められています。

3つの経路を並べると、会社として管理できる度合いに差があることが分かります。個人向けのアプリは、設定そのものは存在するものの、設定するのは社員本人です。会社が契約する経路では、条件が契約の側で決まります。この差は、画像生成に限らず、生成 AI 全般の利用方針に関わります。会社の管理外で使われている状態の整理は野良AI(シャドーAI)とは。会社が把握していない利用のリスクと対策で扱っています。

自社の商品写真・図面をアップロードしてよいか

出力の権利ばかりが語られがちですが、画像生成では入力側のリスクのほうが会社に効くことがあります。Nano Banana は画像をアップロードして編集を依頼できるため、実務では自社の素材を上げる場面が必ず出てきます。判断の前に、次の点を確認してください。

  • 取引先から預かった図面・写真・原稿。秘密保持契約の対象になっていることが多く、第三者のサービスにアップロードする行為が契約に触れる可能性があります。預かり物は、原則として上げないという線引きが分かりやすくなります。
  • 未発表の商品・新店舗・新パッケージの画像。発表前に外部のサービスへ渡す必要があるのかを、まず問い直します。
  • 図面・見積書・仕様書が写り込んだ写真。寸法、部品構成、原価の手がかりが読み取れることがあります。画像の一部を切り出してから上げる、という手順をルールに入れておくと事故が減ります。
  • 他社の作例や、ストックフォトの購入画像。Google 利用規約には、コンテンツをアップロードまたは共有する場合は、そのために必要な権利を自分が有していること、およびそのコンテンツが合法であることを確認するよう求める記載があります。素材サイトの利用許諾で、生成 AI への入力が認められているかどうかは、素材ごとに条件が違います。

顧客や社員の顔写真をアップロードしてよいか

顔写真は、入力側で特に慎重な扱いが要る素材です。まず、本人の同意をどう取るかという問題があります。生成 AI の使用禁止に関するポリシーは、法律で義務付けられている同意を得ずに個人データや生体認証データを使用することを、他者の権利を侵害する例として挙げています。社員の顔写真を採用サイト用に加工する、顧客の写真を事例紹介に使うといった場面では、撮影時の同意の範囲に、生成 AI での加工が含まれているかを確認する必要があります。

次に、経路の問題があります。個人向けの Gemini アプリでアクティビティの保存が有効なままであれば、人間のレビュアーがデータの一部をレビューすることがあると明記されています。顔写真は、社員個人のアカウントで扱うべき素材ではありません。さらに、退職者や取引が終わった顧客の写真をいつまで使えるのか、という期限の管理も必要です。撮影時の同意書に生成 AI の利用が書かれていない場合、あらためて同意を取り直すのか、その写真は使わないのかを決めておきます。

入力側のルールは、出力側より先に決めたほうが早い。出力の権利は、公開前の確認工程である程度受け止められます。しかし、上げてはいけないものを上げてしまった事実は、後から取り消せません。上げてよい素材と、上げてはいけない素材を先に一覧にしておくほうが、社内の運用としては確実です。点検すべき項目の全体像は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにまとめています。

※この節の記載は、Gemini アプリのプライバシー ハブ、Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ、Google Cloud のサービス固有の追加規約、Google 利用規約、生成 AI の使用禁止に関するポリシーを2026年9月16日に確認したものです。

会社で商用利用するときのチェック項目

会社として決めるべきことは4つに絞れます。使ってよい経路、入力してよい素材、公開前の確認、そして記録です。ここまでの内容を、そのまま社内ルールの下敷きに使える形にまとめます。

外注・制作会社にAI生成画像を発注するときの確認事項

自社で作らない場合も、責任が消えるわけではありません。納品物に AI 生成画像が含まれているかどうかを、発注側が把握しないまま進むのが危うい形です。発注の段階で次の5点を確認しておくと、後から問い合わせる手間が減ります。

確認すること具体的な聞き方残しておく形
生成 AI を使ったか納品物のうち、生成 AI で作成または加工した素材はありますか。どの工程で使いましたか発注書または納品書に、AI 生成物の有無を申告する欄を設ける
どの経路で使ったか使用したサービス名と、個人アカウントか法人契約かを教えてくださいサービス名と契約区分をメールで回答してもらい、保存する
入力した素材の出所参照画像をアップロードしましたか。その画像の権利は誰が持っていますか参照素材の一覧と、その入手元の記録
透かしと加工の扱い納品データに透かしは残っていますか。透かしを除去する処理は行っていませんか元データと納品データの両方を受け取る
権利侵害がないことの取り決め第三者の権利を侵害していないことを保証していただけますか。申立てがあった場合の対応はどうなりますか契約書または発注書に、表明保証と、申立て時の協力義務・差し替えの取り扱いを書く

表明保証の書き方は、案件の規模と、相手との関係によって変わります。最低限の形としては、納品物が第三者の著作権・商標権・肖像権その他の権利を侵害していないこと、生成 AI を使用した場合はその事実と使用したサービスを申告すること、第三者から申立てを受けた場合は速やかに通知し、調査と差し替えに協力することの3点を入れておくと、確認の起点になります。実際の条文の作成と、費用負担や賠償の範囲の設計は、弁護士に相談してください。ここを曖昧にしたまま発注すると、問題が起きたときに、発注側と受注側のどちらが止める判断をするのかすら決まっていない状態になります。

そのまま社内ルールに使えるチェック項目

  • 画像生成に使ってよい経路を1つに決め、文書に書く個人向けの Gemini アプリ、Google Workspace、Google Cloud のどれを使うのかを決めます。経路によって適用される規約も、補償の有無も違うため、複数を黙認すると説明できない状態になります。
  • 個人の Google アカウントでの業務利用を認めるかどうかを決める認めない場合は、代わりに使える環境を同時に用意します。使えない状態のまま禁止すると、見えない利用が残ります。
  • 入力してよい素材と、上げてはいけない素材を列挙する取引先から預かった図面・写真、未発表の商品画像、寸法や原価が読み取れる図面、人の顔、他社の作例。抽象的な注意ではなく、具体名で並べます。
  • 顔写真を使う場合の同意の取り方と、退職・異動時の扱いを決める撮影時の同意に生成 AI での加工が含まれているかを確認し、含まれていない場合の手順(取り直すか、使わないか)を決めます。
  • プロンプトに既存の作品名・キャラクター名・作家名を入れない似せる指示は、類似性が認められやすくなるだけでなく、規約の禁止行為と補償の除外の両方に触れる可能性があります。
  • 公開前に、似ている既存の作品がないかを確認する工程を入れる誰が、いつ、どの方法で確認するかまで決めます。担当者が兼務で気づいたときに確認する、という形では機能しません。
  • 目に見える透かしと SynthID は消さない。透かしが入った状態で校正を回す入稿サイズと配置は、透かしが入る前提で設計します。除去を前提にした工程を作らないことが要点です。
  • 生成の記録を保存する期間を決める日時、アカウント、経路、プロンプト、アップロードした参照画像、加工の履歴。著作物性の説明にも、申立てへの対応にも使います。
  • 権利の申立てを受けたときの一次窓口と、使用を止める判断者を決める止める判断が遅れると、補償の対象からも外れます。決裁を待たずに止められる人を先に決めておきます。
  • 外注先に AI 生成物の有無を申告してもらう欄を発注書に作る口頭の確認は残りません。書式に組み込むと、聞き忘れがなくなります。

経路を1つに寄せると、決めることが減る

このチェック項目を眺めると、ほとんどが経路の話に帰着することが分かります。学習に使わせない設定を会社側で担保できるか、誰がいつ何を作ったかの記録が残るか、全社員に配れるか。この3つは、個人が自分のアカウントで使っている限り、会社側では決められません。画像生成だけを別のルールにしても、社員から見れば、文章も画像も同じ生成 AI です。結局は、会社として使う環境を1つに寄せ、その中で画像の扱いも決めるほうが、ルールが短くなり、守られやすくなります。

用途によって向くモデルが違うという事情も、同じ方向を指します。調査に強いもの、長文の読み込みに強いもの、画像の生成と編集に強いもの、というように得意分野が分かれているため、1つのサービスだけに絞ると、どこかの業務で無理が出ます。業務ごとの割り当ての考え方は主要4AIの違いと使い分けで解説しています。

画像の生成も、4つのAIも、1つの管理画面で

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1契約で使える法人向けプラットフォームです。画像・PDF生成に対応し、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。基盤は国内サーバー(AWSの日本リージョン)です。月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

UPGEAR AIの詳細を見る

ChatGPTで画像を作る場合の使い方や規約の考え方は、ChatGPTの画像生成の使い方と会社で使うルールで解説しています。

よくある質問

Nano Bananaで作った画像を、自社のチラシやホームページに使ってもよいですか?
Googleの規約の上では禁じられていません。Google利用規約(発効日2026年7月30日)には、Googleがユーザーの生成したコンテンツに対する所有権を主張しないと明記されており、生成AIの使用禁止に関するポリシーに触れない使い方であれば、商用の場面でも使えます。ただし、第三者の著作権・商標・肖像を侵害しない責任は使う側に残ります。公開前に、似ている既存の作品がないか、ブランドのロゴや商品の外観に近い図形が含まれていないかを人の目で確認する工程を入れてください。個別の案件については弁護士等の専門家にご相談ください。
無料プランで作った画像も商用利用できますか?
個人向けのGeminiアプリの中で、無料か有料かによって商用利用の可否が切り替わる仕組みにはなっていません。公式ヘルプで案内されている違いは、ダウンロードできる解像度(Google AIプランを利用している場合は2K、利用していない場合は1K)、Nano Banana Proで画像を再度生成できるかどうか、そして使用量の枠です。ただし、Google Cloudの生成AI補償対象サービスの補償は、そのサービスや機能が無償で提供されている場合には及びません。そもそも個人向けのGeminiアプリは、有料プランかどうかにかかわらず、この補償対象サービスの一覧に載っていません。会社として補償まで含めて考えるなら、無料か有料かではなく契約の経路で判断してください。
生成した画像に入っている目に見える透かしは、消してもよいですか?
消さない前提で使ってください。Googleの公式ページには、Geminiは目に見えないSynthID透かしと、目に見える透かしを使用すると記載されています。Google利用規約は、システムや保護対策に対する回避を禁止行為として挙げており、生成AIの使用禁止に関するポリシーにも、不正使用対策や保護フィルタを回避する行為が挙げられています。さらに、Googleが提供しているツールを無視・無効化・改変・回避した場合は、Google Cloudの補償からも外れます。入稿サイズや配置は、透かしが入った状態で成立するように設計するのが確実です。
生成した画像の著作権は自社のものになりますか?
AI生成物であることだけで一律に決まるものではなく、人の創作的寄与があったかどうかで個別に判断されます。文化審議会著作権分科会法制度小委員会の「AIと著作権に関する考え方について」の概要版は、人が何ら指示を与えず、または簡単な指示を与えるにとどまり、生成のボタンを押すだけでAIが生成したものは著作物に該当しないと考えられるとし、人が創作的に表現するための道具としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当しAI利用者が著作者となるとしています。判断要素として、指示・入力の分量、生成の試行回数、複数の生成物からの選択、人間による加筆・修正が挙げられています。なおこの考え方は、それ自体が法的な拘束力を有するものではないと明記されています。
既存のキャラクターに似た画像ができてしまいました。使わなければ問題ありませんか?
公表や販売をしていない段階と、公開した後では状況が違います。文化庁の考え方の概要版は、AIによる生成物の生成が適法に行える場合でも、生成物の利用まで直ちに適法となるものではなく、場面ごとに適法性の判断が必要だとしています。使わない判断をしたのであれば、その画像を社内のテンプレートや共有フォルダに残さず、同じ指示で作り直さないように、プロンプトの記録とあわせて扱いを決めてください。すでに公開している場合は、まず使用を止め、どこまで出たかを洗い出し、生成時の記録を確保したうえで、弁護士に相談する順番が安全です。
社員が自分のGoogleアカウントで作った画像を、会社の資料に使ってもよいですか?
会社として経路を把握できていない状態は避けるべきです。個人向けのGeminiアプリでは、学習に使われないようにする設定はありますが、設定するのは社員本人であり、会社側で一律に担保できません。Geminiアプリのプライバシーハブには、人間のレビュアーが収集したデータの一部をレビューすることがあり、機密情報は入力しないよう求める記載があります。また、個人向けのGeminiアプリは、Google Cloudの生成AI補償対象サービスの一覧に載っていません。会社の資料や公開物に使う画像については、使ってよい経路を1つに決め、入力してよい素材とあわせて社内ルールに書いてください。

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