ChatGPTに機密情報を入力してしまったら。報告を受けた日に会社がやること

ChatGPTに機密情報を入力してしまったときの会社の初動とは、社員から報告を受けたその日のうちに、事実の聞き取り、記録の保全、削除と設定の見直し、社外へ知らせるかどうかの判断を、この順番で進めていく対応のことです。最初に手を付けるのは削除ではなく、本人からの聞き取りと画面の記録になります。会話を先に消すと、何をどこまで入れたのかを後から確かめる手段が本人の記憶だけになってしまうからです。記録が取れたら会話・ファイル・共有リンクを消し、取引先との契約と個人情報の有無をもとに、社外への連絡を法務や経営と決めましょう。

生成AIへの入力をきっかけに情報が外へ出た国内外の事案は、生成AI・シャドーAIの情報漏洩事例と関連事案で一覧にしています。ここで扱う場面は1つだけです。社員10〜200名ほどの会社で、総務や情シスを担当している方が「ChatGPTに社外秘を入れてしまいました」と報告を受けた日に、何をどの順で決めていくかを追いかけます。

※ChatGPTの操作手順・設定名・データの扱いは、2026年9月17日〜19日にOpenAIの公式ヘルプ(日本語版・英語版)と公式サイトで確認した内容です。ヘルプの多くは機械翻訳で、画面の表記は端末や時期によって「データコントロール」「データ管理」のように異なる場合があります。個人情報保護委員会の資料は2026年9月20日に、OpenAIのプライバシーポリシーは2026年10月17日に原文を確認しました。

報告を受けた日にやること|終業までに決める5つの順番

報告を受けた日にやることは、聞き取り、記録の保全、削除と設定の見直し、社外への連絡の判断、社内報告書の作成の5つで、この順番を入れ替えないことが大切になります。とくに間違えやすいのが、早く消したい気持ちが先に立ち、記録を残す前に会話を削除してしまう流れです。OpenAIのヘルプには、削除したチャットは画面からもAPIからも、サポートに頼んでも取り戻せないと書かれています。消したあとで取引先から入力の範囲を聞かれても、答える材料は本人の記憶しか残りません。

  1. 聞き取り。報告を受けたら、その場で本人と1対1で話し、何を・いつ・どのアカウントで・どの機能を通して入れたかを確かめます。質問は次の節の11項目を使います。
  2. 記録の保全。会話の画面、入力した文章の写し、添付したファイル名、共有リンクの有無を、社内の決まった場所に残します。削除より先に行います。
  3. 削除と設定の見直し。会話の削除、ライブラリに残ったファイルの削除、共有リンクの停止、メモリの確認、学習の設定の確認を、本人の画面で一緒に進めます。
  4. 社外への連絡の判断。取引先から預かった情報なら秘密保持契約の条項を開き、個人情報が混ざっていれば個人情報保護委員会への報告の要否を確かめます。担当者1人で決めず、法務の担当者や経営者と判断します。
  5. 社内報告書の作成。ここまでの事実と判断を、後から読んでも経緯が分かる形で1枚にまとめます。

担当者が1人で抱え込まない形も、最初に決めておきましょう。社外に知らせるか、委員会への報告が要るかといった判断は、会社として責任を負う性質のものです。10〜200名規模の会社では法務の専任者がいないことも多いため、顧問弁護士へ相談する窓口がどこにあるかを、報告を受けた時点で確かめておくと判断が早まります。

10〜200名の会社での役割の分け方

役割は、窓口の担当者、判断する人、記録を預かる人の3つに分けて考えると整理しやすくなります。窓口の担当者は総務や情シスの方が務め、聞き取りから削除の立ち会いまでを受け持ちます。判断する人は、社外への連絡や委員会への報告を決める立場の方で、多くの会社では役員や経営者がこれに当たるでしょう。

記録を預かる人は、残した記録の保管場所と、それを見られる人を管理します。規模の小さい会社では窓口と記録を同じ方が兼ねても構いませんが、判断だけは別の方に任せてください。本人に近い上長が判断役を兼ねると、入力の範囲を小さく見積もる方向に気持ちが傾きやすいためです。

本人に最初に送る返信のひな形

報告してきた社員に最初に返す一言で、その後の聞き取りの正確さは大きく変わってきます。責める調子の返信を受け取った方は、入力した範囲を小さめに言ってしまいがちでしょう。チャットやメールで報告を受けたときは、次のような文面をそのまま使ってみてください。

報告ありがとうございます。すぐに知らせてもらえて助かりました。

このあと、何を入れたかを一緒に確かめさせてください。確認が終わるまで、該当の会話は消さずに残しておいてもらえますか。画面は閉じていても問題ありません。

同じ作業の続きは、確認が済むまで止めておいてもらえると助かります。今日のうちに10分ほど、話を聞かせてください。

会話を消さないように頼むのは、記録を取り終えるまでの短い間だけです。本人が不安から先に削除してしまっていた場合も、責めずに、覚えている範囲で入力した内容を書き出してもらいましょう。削除済みの会話は戻せないため、その時点からは記憶を頼りに記録を作ることになります。

本人への聞き取り|11の質問と、答えで変わる次の手

聞き取りでは、何を入れたかと同じくらい、どのアカウントで、どの機能を通して入れたかを確かめることが大切です。同じ文章を貼り付けた場合でも、個人の無料版か会社契約のBusinessかによって、学習に使われるかどうかの既定値も、会社から確かめられる範囲も変わってきます。質問ごとに、答えを聞いたあと次に何をするかを添えました。

  1. 入力した日時と、入力に気づいた日時。気づいた日時は、会社としてその事態を知った時点の記録になります。個人情報が含まれていた場合、報告期限の数え始めに関わります。
  2. 使ったサービスとアカウントの種類。ChatGPTの無料版・Go・Plus・Pro、会社契約のBusiness・Enterprise、社内ツールに組み込まれたAPI経由のどれかを確かめ、ログインに使ったメールアドレスも控えます。次の節の判断表のどの行に当たるかが、ここで決まります。
  3. 入れた中身。貼り付けた文章、添付したファイル、画像やスクリーンショットのどれか、ファイルならファイル名まで聞きます。添付したファイルは、チャットを消してもライブラリに残る場合があるため、削除の手順が1つ増えます。
  4. 情報の持ち主。自社の情報か、取引先や顧客から預かった情報か、個人情報が混ざっていたかを確かめます。預かった情報なら秘密保持契約の確認へ、個人情報が混ざっていれば委員会への報告の要否の確認へ進みます。
  5. 使った機能。通常のチャット、一時チャット、プロジェクト、GPTs、外部アプリとの連携のどれを使ったかを聞きます。一時チャットなら履歴に残らないため、本人の記憶をもとに記録を作ることになります。OpenAIは、安全上の理由で一時チャットのコピーを最長30日間保管する場合があるとしています。GPTsのアクション経由で外部のサービスに送られたデータは、受け取った側のプライバシーポリシーが適用され、30日を超えて保管される場合があるとOpenAIのヘルプは説明しています。
  6. 共有リンクを作ったか、会話の内容を誰かに送ったか。個人アカウントで作った共有リンクは、URLを知っている人なら誰でも見られます。作っていれば、停止の手順とあわせて、誰に送ったかを確かめます。
  7. 学習の設定。設定画面の「すべての人のためにモデルを改善する」がオンだったかオフだったかを、本人の画面で一緒に見ます。記憶で答えてもらうより確実です。
  8. 回答への評価。回答に「良い回答」「良くない回答」の評価を付けたかどうかを聞きます。学習をオフにしていても、評価を付けた会話は全体が学習に使われることがあると、OpenAIは説明しています。
  9. メモリ。メモリ機能がオンになっているか、入れた内容の一部がメモリに保存されていないかを確かめます。メモリは学習の設定とは別に管理されています。
  10. 会話の今の状態。残っているか、アーカイブしたか、削除したかを聞きます。アーカイブは削除ではないため、残っているものとして扱います。削除済みなら、記憶をもとに記録を作ります。
  11. 同じ作業をしている人。同じ手順書やマニュアルを見て、同じ入力をしている人がほかにいないかを確かめます。いれば、その方にも作業を止めてもらいます。

答えがはっきりしない項目は、推測で埋めずに不明と書いておきましょう。報告書の段階で不明のまま残る項目があっても問題はなく、後から判明した時点で書き足していけば足ります。反対に、確かめていないことを確かめたように書くと、取引先への説明と食い違ったときに信頼を大きく損ねてしまいます。

聞き取りは、報告してきた本人の上長を同席させるかどうかも迷うところです。上長の前では言いにくいこともあるため、まずは担当者と本人の1対1で事実を集め、上長には結果を共有する順番が話を聞きやすいでしょう。

聞き取りで避けたい聞き方

聞き取りでは、答えを誘導する聞き方を避けることが大切です。たとえば「顧客の名前までは入れていませんよね」と確かめると、本人は記憶があいまいでも、はいと答えてしまいがちになります。入れたかどうかを尋ねるのではなく、画面を一緒に見ながら、何が書かれているかを読み上げてもらう形にすると事実に近づけます。

件数を聞くときも、全部で何件くらいかと尋ねるより、画面の記録を見ながら一緒に数えるほうが正確です。本人の記憶と画面の記録が食い違ったときは、画面を正として記録し、記憶のほうはメモとして残しておきましょう。

使ったアカウント×入れた情報で、その日の動きが変わる

その日の動きは、入力に使ったアカウントの種類と、入れた情報の種類の組み合わせで決まります。アカウントの種類によって、学習に使われるかどうかの既定値と、会社の側から記録を確かめられる範囲が大きく異なるからです。まずアカウントの側を4つに分けて整理しました。

使ったアカウント学習に使われるか(既定)会社から確かめられる範囲その日に担当者がやること
個人の無料版・Go・Plus・Pro既定では学習に使われうる(本人が設定でオフにできる)本人の画面だけが手がかり本人の画面で記録を残し、削除と設定の見直しを一緒に行う
会社契約のChatGPT Business既定で学習に使われない各メンバーの履歴は本人のものとヘルプに記載。管理者がどこまで見られるかは公式ページの説明が分かれている本人の画面で記録を残してから削除。共有リンクはワークスペース内に限られることを確かめる
会社契約のChatGPT Enterprise既定で学習に使われないCompliance APIで会話などの監査ログを取得できる管理者が記録の取得方法を確かめてから、削除の段取りを決める
API経由の社内ツール既定で学習に使われない自社ツール側のログツールの開発・運用担当とログを確かめる

個人アカウント(無料版・Go・Plus・Pro)で入れた場合

個人アカウントで入れた場合、会社の側から確かめられることはほとんどありません。無料版・Plus・Proの個人用ワークスペースでは、学習へのデータの利用は既定で有効になっていると、OpenAIのヘルプは説明しています。本人が「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにしていなければ、入力した内容は学習に使われうる状態だったことになります。

あとから設定をオフにしても、OpenAIの説明ではオフにした後の新しい会話が学習の対象から外れる、という書き方になっています。過去の会話がさかのぼって外れるかどうかは、公式には書かれていません。個人アカウントでは、記録を残せるのも削除できるのも、本人の画面だけです。担当者は本人の隣で画面を一緒に見ながら、次の節の手順で記録を取っていきましょう。

会社契約のChatGPT Businessで入れた場合

ChatGPT Businessのワークスペースに入れた場合、OpenAIの説明では既定で学習に使われません。共有リンクを作っていても、開けるのは同じワークスペースのメンバーに限られます。個人アカウントと比べると、社外に出ていく経路はかなり狭まった状態になります。

一方で、Businessでは各ユーザーのチャット履歴は本人のもので、他のメンバーには自動で表示されないとヘルプに書かれています。管理者が社員の会話をどこまで確かめられるかは、公式ページの間で説明が分かれているのが現状です。記録はやはり本人の画面から残してもらうのが確実でしょう。Businessのワークスペースでは、利用者が自分でデータをエクスポートする機能も使えません。

会社契約のChatGPT Enterpriseで入れた場合

Enterpriseでは、ワークスペースの管理者がEnterprise Compliance APIを通じて、会話やGPTに関する監査ログにアクセスできるとOpenAIは説明しています。記録の取り方を、本人の画面に頼らず管理者の側で用意できる点が、BusinessやPlusとの大きな違いになります。

ただし、Compliance Logs Platformのデータ保持は30日とされ、より長く残したい場合は利用者の側で継続的にダウンロードして保管する必要があります。英語版のヘルプには、削除した後も、組織の保持ポリシーのもとで許可されたコンプライアンスツールがデータにアクセスしうるという一文も見られます。削除のタイミングは、管理者と記録の取得方法を確かめたうえで決めてください。

API経由の社内ツールで入れた場合

社内の業務ツールや自社開発のアプリがOpenAIのAPIを呼び出していて、そこに機密情報を入れた場合は、ChatGPTの画面とは別の経路になります。APIのデータは既定で学習に使われず、OpenAIはサービスの提供と不正利用の検知のために、入力と出力を最大30日間保持する場合があると説明しています。

この経路では、ChatGPTの設定画面で操作できることはありません。何が送られたかを確かめる手がかりは、自社ツールの側に残るログになります。ツールを作った開発会社や運用担当に連絡し、ログの保存期間と、該当の日時の記録が残っているかを確かめましょう。

入れた情報の種類で変わること

アカウントの種類が決まったら、次は入れた情報の種類を見ます。取引先や顧客から預かった資料・見積・契約書であれば、相手との秘密保持契約が判断の出発点です。自社の未公開の数字や開発中のソースコードであれば、社外への連絡よりも、社内で秘密として管理していた経緯を記録に残すことが優先されます。

氏名や連絡先などの個人情報が1件でも混ざっていた場合は、この2つとは別に、個人情報保護委員会への報告の要否を確かめる手順が加わります。1回の入力に3種類がすべて混ざっていることも珍しくないため、聞き取りで挙がった情報を1つずつ仕分けしていきましょう。

パスワードやAPIキーが入っていたら、まず無効にする

貼り付けた文章の中に、社内システムのパスワードや外部サービスのAPIキー、アクセストークンが混ざっていることもあります。こうした認証情報は、チャットを消しても、それを知った人が中に入れる状態は変わりません。聞き取りで見つかったら、会話の削除とは別に真っ先に、発行元のサービスでパスワードを変えるか、キーを無効にして作り直してもらいましょう。

無効にしたあとは、そのサービスの管理画面で、入力した日時以降に見覚えのないログインや利用がないかを確かめます。変更した時刻と、確かめた範囲は社内報告書の対応の欄に書き残しておくと、後から経緯をたどりやすくなるはずです。認証情報を無効にしても会話そのものは残っているので、次の節の記録の手順はそのまま進めてください。

会話を消す前に残す記録|順番を逆にしない

会話を消す前に残すのは、入力した内容とその時点の設定が後から第三者にも分かる記録です。削除したチャットは復元できず、UIからもAPIからもサポートからも取得できないとOpenAIのヘルプは明記しています。記録が先、削除が後という順番だけは、どれだけ急いでいても守ってください。

  • 会話の画面入力した文章から回答の最後まで、スクロールしながら全体を画面の記録として残します。会話のタイトルと、表示されていれば日時も入れます。
  • 入力した文章の写し貼り付けた文章を、会話の画面からテキストでコピーして残します。画面の記録だけでは、後から件数や項目を数えにくいためです。
  • 添付したファイルの名前と元のファイルファイル名、ファイルの種類、ページ数を控え、元のファイルが社内のどこにあるかを記録します。
  • 共有リンクの一覧設定の共有リンクの管理画面を開き、該当の会話のリンクがあるかを画面の記録に残します。
  • その時点の設定「すべての人のためにモデルを改善する」の状態と、メモリの一覧を画面の記録に残します。
  • 聞き取りのメモ11の質問への答えと、答えた日時、聞き取った担当者の名前を残します。

保管場所と見られる人を先に決める

残した記録は、それ自体が機密情報の写しになります。本人の私物のスマートフォンで撮った写真のまま置いておいたり、社内チャットの大人数のグループに貼ったりすると、今度は記録から情報が広がってしまいます。保管先は閲覧できる人を絞った社内のフォルダを1か所決め、見られるのは担当者と判断に関わる人だけにしましょう。

範囲を確かめたいからといって、記録を別の生成AIに貼り付けて要約させるのも避けてください。同じことを繰り返す結果になります。

個人アカウントなら、削除の前にデータのエクスポートも選べる

個人アカウント(無料版・Go・Plus・Pro)であれば、設定のデータコントロールにある「データのエクスポート」から、チャット履歴を含むZIPファイルを受け取ることが出来ます。準備ができるとメールなどで知らせが届き、OpenAIのヘルプでは最大7日かかる場合があるとされています。ダウンロードのリンクは、受け取ってから24時間で有効期限が切れます。

ヘルプには、エクスポートではすでに削除されたチャットは復元できない、という注意も書かれています。エクスポートを使うなら、依頼は削除より前に出しておく必要があるわけです。個人アカウントのエクスポートには、共有した会話のリンクIDやタイトルを記録したファイル(shared_conversations.json)が含まれるため、どの会話を共有していたかの確認にも使えます。

もっとも、最大7日待つ間に会話を残しておくことにもリスクはあります。その日のうちに画面の記録とテキストの写しを取り、会話はすぐに削除して、エクスポートは補助の記録として扱うのが現実的でしょう。個人アカウントの誤入力は、本人の画面にある情報がすべてで、会社の側には何も残らない形になってしまいます。

誤入力が起きても、会社の側で記録を追える環境に

誰が・いつ・どのAIを使ったかを会社で確かめられるよう、社員が使う入口を会社で1つにそろえる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

削除と設定の見直し|会話・ファイル・共有リンク・メモリ・学習

記録を取り終えたら、会話・ファイル・共有リンク・メモリ・学習の設定の5か所を、本人の画面で順に見直します。1か所だけ消して安心してしまうと、ほかの場所に同じ内容が残ったままになりがちです。手順はOpenAIのヘルプに記載されている操作に沿って書いています。

チャット履歴を削除する(1件ずつ・まとめて)

1件ずつ消すときは、サイドバーで該当の会話にカーソルを合わせ、タイトルの横の3点リーダー(⋯)から「削除する」を選び、確認画面で確定します。会話は画面からすぐに消え、OpenAIのシステムからは30日以内に完全に削除される予定とされています。ただし、すでに匿名化されてアカウントとの関連付けが外れているデータや、セキュリティ上・法律上の理由で保持が必要なデータは例外です。

すべての会話をまとめて消すことも、設定のデータコントロールから出来ます。この操作はプロジェクト内の会話を含むすべての会話に及ぶため、業務で使っている会話まで消えてしまう点に気を付けましょう。1件の誤入力であれば、個別の削除で足りるはずです。

アーカイブは削除ではない

本人が慌ててアーカイブしていた場合は、削除し直す必要があります。アーカイブした会話はサイドバーから見えなくなるだけで、通常の会話と同じ保持の扱いのまま残り、検索にも表示されるとヘルプに書かれています。設定のデータコントロールにある「アーカイブ済みのチャット」の管理画面から、削除を選び直してください。

ライブラリに残ったファイルを消す

ファイルを添付していた場合は、会話とは別にファイルの行方を確かめます。OpenAIのヘルプには、チャットを削除してもライブラリに保存されたファイルは削除されない、と書かれています。会話を消しただけで終わらせず、ライブラリに該当のファイルが残っていないかを本人の画面で見ておきましょう。

共有リンクを止める

共有リンクは、設定のデータコントロールから共有リンクの「管理」を開くと一覧で確かめられ、1件ずつ、またはまとめて削除できます。リンクを消すとそれ以降は開けなくなりますが、元の会話は消えません。反対に、元の会話を削除すると、その共有リンクも一緒に削除されます。

気を付けたいのは、リンクを受け取った相手が会話の続きを始めていた場合です。そのときは相手のアカウントに別の非公開の会話ができていて、リンクを消しても相手の側には残ります。個人アカウントのリンクには有効期限を設定する機能がなく、リンクを知っている人は誰でも転送できるとヘルプは説明しています。共有リンクを送っていたなら、送った相手を記録に加え、相手側に残った会話の扱いを相談しましょう。

メモリを確認して消す

メモリは、設定のパーソナライズにあるメモリの画面で内容を確かめ、個別に削除したり、機能ごとオフにしたりできます。入力した取引先名や数字の一部がメモリとして保存されていると、会話を消しても別の会話でその情報が使われる可能性が残ります。

OpenAIのヘルプは、ChatGPTが利用者について知っている情報を完全に消すには、過去のチャット、アーカイブ済みのチャット、ファイル、メモリなど、その情報が現れるすべての場所を削除し、関係する連携アプリの接続も外す必要があると説明しています。削除された保存済みメモリのログは、安全性とデバッグのために最長30日間保持される場合があるとの記載もあります。

学習の設定を確かめ、オフにする(すべての人のためにモデルを改善する)

個人アカウントでは、プロフィールアイコンから設定を開き、データコントロールの「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。モバイルアプリでは、サイドバーのメニューからプロフィールアイコンを開き、同じ項目を切り替えます。一度オフにすれば、使っている端末に関係なくアカウント全体に適用されるとOpenAIは説明しています。

ヘルプの中では同じ設定が「すべてのユーザー向けにモデルを改善する」と書かれている箇所もあり、画面の表記が少し違っていても同じ設定のことです。プライバシーポータルで「Do not train on my content」を選ぶ方法もあり、どちらか一方で足りるとされています。前述のとおり、対象はオフにした後の新しい会話と説明されている点は、報告書にもそのまま書いておきましょう。

OpenAIに削除を依頼する(privacy.openai.com)

画面の削除だけで足りるか不安なときは、OpenAIに直接、個人データの削除を依頼する方法もあります。プライバシーポリシー(2026年2月6日更新)では、削除などの権利の一部は、アカウントのデータ管理のツールのほか、プライバシーポータル(privacy.openai.com)や dsar@openai.com 宛てのリクエストで行使できると書かれています。ChatGPTの回答に自分についての事実と違う情報が出てくる場合も、同じ窓口から訂正や削除の依頼を送ることが出来ます。

依頼の前には、本人確認を求められる場合があるとされています。OpenAIは、依頼に応じたかを確かめられるように削除依頼の記録(監査記録)を残すとも書いているので、会社の側でも、依頼した日と受け付けの返信を報告書に控えておきましょう。なお、依頼によって、すでに学習に使われた分がモデルから取り除かれるかどうかまでは、ポリシーには書かれていません。

会社契約のBusinessやEnterpriseで入れた場合は、本人が個別に依頼する前に、まずワークスペースの管理者に相談してください。ポリシーには、事業者向けのサービスで顧客のためにコンテンツを扱う場合はこのポリシーの対象外とあり、ビジネスアカウントでは管理者がアカウントを管理できるとも書かれています。

多要素認証(MFA)を有効にする

アカウントのパスワードを使い回していた、家族と端末を共有していた、といった事情があれば、多要素認証もその日のうちに有効にしておきたいところです。セキュリティ企業のGroup-IBは2023年6月の発表で、ChatGPTは既定で問い合わせと回答の履歴を保存するため、アカウントが乗っ取られると機密情報を見られるおそれがあると指摘しています。

手順は、ChatGPTの設定からセキュリティを開き、多要素認証を有効にする流れです。OpenAIのヘルプでは、有効にするとChatGPTとAPIプラットフォームを含むOpenAIのサービス全体に適用されるとされています。なお、ワークスペースや組織の単位で管理者が多要素認証を必須にする機能は、現時点では提供されていないとヘルプにあります。

取引先・顧客に知らせるかの判断|契約書の条項から確かめる

取引先や顧客から預かった資料を入れてしまった場合、知らせるかどうかは、相手と結んでいる秘密保持契約や業務委託契約の条項から考え始めます。契約によっては、秘密情報の漏えいやそのおそれが生じたときに相手へ通知する義務と、その期限が定められていることがあります。一般論で決めずに、まずは該当する契約書を開いてみてください。

秘密保持契約で見る6つの条項

  • 秘密情報の定義。入れてしまった資料が、契約でいう秘密情報に当たるか。書面に秘密と表示したものに限るのか、口頭で伝えたものまで含むのか。
  • 目的外使用の禁止。業務の目的以外に使わないという約束があるか。生成AIに入れる行為がこれに当たりうるかは、法務の担当者や顧問弁護士と確かめます。
  • 第三者への開示の禁止と、その例外。委託先や専門家への開示を例外として認めているか、その条件は何か。
  • 事故が起きたときの通知。漏えいやそのおそれがあるときに、相手へ知らせる義務と期限が書かれているか。
  • 返還と廃棄。契約の終了時などに、資料を返すか廃棄する約束があるか。
  • 損害賠償と責任の範囲。違反があったときの扱いがどう書かれているか。

条項の読み方には、会社ごと・契約ごとの事情が大きく影響します。通知の義務があるかどうか、あるとして今回の件が当たるかどうかは、担当者が1人で結論を出さないようにしましょう。

判断は法務・経営と一緒に、記録を手元にそろえてから

社外への連絡の判断は、法務の担当者や顧問弁護士、経営者と一緒に行います。相談のときに手元にあると話が早いのは、聞き取りの答え、残した記録、使ったアカウントの種類、削除と設定の見直しが済んだかどうか、そして該当する契約書の条項です。

知らせる義務がない場合でも、相手との関係から自主的に伝える判断もありえます。反対に、契約上の義務があるのに連絡が遅れると、連絡の遅れそのものが、入力より大きな問題として扱われるおそれがあります。どちらに決めた場合も、誰がいつ、何を根拠に決めたかを報告書に残しておきましょう。

自社の営業秘密を入れてしまった場合

自社の未公開の数字や開発中のソースコードを入れた場合は、社外への連絡より、社内での扱いを確かめるほうが先になります。不正競争防止法 第2条第6項は、営業秘密を「秘密として管理されている」「事業活動に有用な」「公然と知られていない」情報と定めています。

外部のサービスに入れたからといって、その情報がすぐに営業秘密でなくなるとまでは言えません。ただ、社内の規程で生成AIへの入力を禁じていなかったり、禁じていても守られていなかったりすると、秘密として管理していたと主張しにくくなるおそれがあります。今回の件をきっかけに、社内の規程と運用を見直した経緯を記録に残すことが、今後の備えにつながります。

知らせると決めたときに伝える内容

相手に知らせると決めたら、事実、範囲、対応済みの措置、今後の対策の4つに分けて伝えます。入力した日時、使ったサービスとアカウントの種類、入れた資料の名前と範囲を事実として並べ、会話とファイルの削除、共有リンクの有無、学習の設定の状態を対応済みの措置として示します。

分かっていないことは、分かっていないと書いてください。学習に使われたかどうかのように、利用者の側から確かめる方法が公式ヘルプに示されていない点を、使われていないと言い切ってしまうと、後で説明を撤回することになりかねません。

個人情報が混ざっていたとき|委員会への報告は要点だけ

入れた資料に氏名や連絡先などの個人情報が混ざっていた場合は、個人情報保護委員会への漏えい等報告が必要かどうかを、委員会が示す4つの類型に当てはめて確かめます。要配慮個人情報を含むもの、不正に利用されると財産的な被害が生じるおそれがあるもの、不正の目的をもって行われたおそれがあるもの、本人の数が1,000人を超えるもので、いずれも「おそれ」がある段階を含みます。

生成AIへの入力がそのまま漏えい等に当たるかどうかは、委員会のページには書かれていません。当てはまるかどうかは事案ごとの判断で、入力しただけで必ず報告の義務が生じるとは言い切れない点に注意が必要です。報告が要る場合、速報の目安は知った時点から概ね3〜5日以内とされています。法人の場合、個人情報保護法のガイドライン(通則編)では、いずれかの部署が事態を知った時点が起算点になります。

報告の要否の判断線と期限の詳しい数え方はChatGPTの情報漏洩の経路と止め方で、個人アカウントの設定や法律上の論点はChatGPTに個人情報を入力するリスクと会社の初動対応で扱っています。個人情報保護委員会が2023年6月2日に出した注意喚起も、事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、利用目的の範囲内かを十分に確認するよう求める内容です。

社内報告書のひな形|速報の9項目と同じ並びで書く

社内報告書は、個人情報保護委員会の速報で求められる9項目と同じ並びで書いておくと、個人情報が混ざっていた場合にそのまま委員会への報告の下書きとして使えます。個人情報が含まれていない件でも、並びをそろえておけば、取引先への説明資料や経営への報告にも転用しやすくなります。ガイドライン(通則編)は、速報では報告しようとする時点で把握している内容を報告すれば足りる、としています。

次のひな形は、9項目の見出しを原文どおりに置き、生成AIへの誤入力で書き込む中身を添えたものです。社内で使うときは、このままコピーしてみてください。

  1. 概要。いつ、誰が、どのサービスのどのアカウントに、どの業務の途中で入力したか。発覚の経緯(本人の申告か、別の人の指摘か)と、会社として知った日時。
  2. 漏えい等が発生し、又は発生したおそれがある個人データの項目。入れた資料の名前と、含まれていた情報の種類(取引先名、金額、氏名、連絡先など)。個人データを含まない場合もここに情報の種類を書きます。
  3. 本人の数。含まれていた個人の人数。取引先の機密であれば、関係する取引先の数。分からなければ不明と書き、確かめる方法を添えます。
  4. 原因。入力に至った作業の流れと、使ったアカウントが会社の契約か個人のものか。社内規程との関係。
  5. 二次被害又はそのおそれの有無及びその内容。共有リンクの有無と送った相手、学習の設定の状態、回答への評価の有無、GPTsや外部連携の使用。確かめられない点はその旨を書きます。
  6. 本人への対応の実施状況。個人情報の本人への通知の要否と、その状況。取引先への連絡を決めた場合は、その日時と内容。
  7. 公表の実施状況。公表するかどうかと、その判断をした人。
  8. 再発防止のための措置。会話・ファイル・共有リンク・メモリの削除、学習の設定の変更、多要素認証、社内規程の見直し、使う環境の見直し。
  9. その他参考となる事項。残した記録の保管場所、聞き取りの日時と担当者、相談した弁護士など。

9項目のあとに、社内向けの欄として報告を受けた担当者の名前、判断に加わった人の名前、次に見直す日を足しておくと、翌週以降の追いかけが楽になります。報告書は1回で完成させるものではありません。判明したことが増えるたびに版を重ね、最初の版と比べられるようにしておきましょう。

報じられた実例|Samsungの社内コード入力(2023年)

機密情報の誤入力の例としてよく引かれるのが、韓国のSamsung(サムスン電子)の件です。米ブルームバーグが2023年5月2日に報じ、TechCrunchなども伝えた内容によると、社員が社内の機密データやソースコードをChatGPTに入力したことが問題になったとされています。報道では、同社が社用端末などでの生成AIの利用を一時的に制限する社内の規則を設け、5月1日から適用したと伝えられました。

この件で注目したいのは、報道によれば、入力が起きたあとに会社が取った手段が利用の制限だったことです。制限をかけると、同じ種類の入力は止まる一方で、業務でAIを使いたい社員が個人の端末やアカウントに流れていくおそれも生まれます。中小規模の会社で同じ判断をするときは、禁止のあとに社員がどこでAIを使うことになるのかまで、あわせて考えておくことが大切になります。国内の事例は生成AI・シャドーAIの情報漏洩事例にまとめています。

翌日以降の再発防止|個人アカウントのままでは会社から追えない

翌日以降の再発防止は、ルールの見直しと、社員がAIを使う環境の見直しの2つに分けて進めます。今回の対応を振り返ると、個人アカウントでの入力は、会社から見えるものがほとんどなかったはずです。個人アカウントに任せたままでは、次に同じことが起きても、会社は本人の記憶を頼るしかありません。

IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」解説書[組織編]は、3位の「AIの利用をめぐるサイバーリスク」の中で、職場が従業員の個人アカウントによるAIの業務利用を認識できないこともリスクだと指摘しています。報告があったから今回は分かった、という状態から、報告がなくても会社で確かめられる状態へ近づけていくのが翌日以降の課題です。

社内ガイドラインを直して周知する

最初に手を付けたいのは、入力してよい情報といけない情報の線引きと、入れてしまったときの報告先を、社内のガイドラインに書き足す作業になります。総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」(第1.2版)も、AIを使う側の留意点として、機密情報等を不適切に入力しないよう注意を払うことを挙げています。

区分けの具体例と社員に送れる通知文はAIに入れてはいけない情報で、規程全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめてあります。今回の経緯は、個人名を伏せたうえで研修の教材に使うと、ルールの理由が伝わりやすくなるでしょう。報告してくれた社員を責める形の周知は避けてください。次に同じことが起きたとき、報告そのものが上がってこなくなってしまいます。

法人向けプラン(Business・Enterprise)へ切り替える

ChatGPTを業務で使い続けるなら、会社契約のBusinessやEnterpriseにそろえる選択肢があります。OpenAIは、BusinessやEnterprise、APIを含む法人向けの製品では、入力と出力を既定で学習に使わないと説明しています。社員が個人の設定を切り替え忘れても、既定で学習に使われない状態が保たれる点が大きな違いです。

ただし、Businessでは共有リンクをワークスペース全体で無効にする設定がなく、この機能はEnterpriseとEduに限られるとヘルプに書かれています。どのプランを選んでも、設定だけで入力のミスそのものが防げるわけではありません。プランの違いと料金はChatGPTの法人プランの料金、学習の設定の全体像はChatGPTに学習させない方法で確かめてみてください。

DLP・API経由の利用など技術的な対策

入力の段階で止める仕組みとしては、DLP(Data Loss Prevention。機密データの持ち出しや送信を検知・遮断する仕組み)を使う方法があります。社外秘の表示がある文書や、特定の形式の番号を含む文章が外部に送られるのを検知する考え方で、導入には製品の選定と運用の手間がかかります。

API経由で社内ツールに組み込めば、既定で学習に使われない経路を使いつつ、誰が何を送ったかのログを自社の側に残すことも出来ます。一方で、ツールを作って保守する体制が社内に必要になります。10〜200名の会社では、どちらも一足飛びに入れるのは負担が大きいかもしれません。

会社側で利用ログを持てる入口を用意する

現実的な落としどころは、社員がAIを使う入口を会社で1つ用意し、その入口では利用ログを会社が持てるようにすることです。誰が・いつ・どのAIを使ったかを管理画面で確かめられれば、誤入力の報告を受けた日に、本人の記憶だけに頼らずに範囲を確かめることが出来ます。

入口を用意しても、業務に足りなければ社員は個人アカウントに戻ってしまいます。会社が把握していない利用(シャドーAI)をどう見つけ、どう会社の入口に集めるかは野良AI(シャドーAI)とはで詳しく扱っています。今回の件をきっかけに、社員がどのAIをどんな業務で使いたがっているかを聞き取ってみるのも、入口の中身を決める材料になるはずです。

1週間後に見直すこと

報告を受けた日から1週間ほどたったら、対応を一度振り返る場を設けてみてください。見直したいのは、報告書で不明だった項目が埋まったか、取引先に連絡した場合はその後の相手の反応、同じ作業をしている部署への注意の伝達、ガイドラインの改訂が全社に届いたかの4点になります。

あわせて、今回の報告が上がってくるまでにかかった時間も振り返っておきましょう。入力から報告までが数日空いていたなら、報告の窓口が社員に知られていなかった可能性があります。窓口の連絡先をガイドラインの冒頭に書く、社内のポータルの目立つ場所に載せるといった小さな工夫で、次の報告は早くなるはずです。

誤入力の報告を受けた日に、会社の側で記録を確かめられる環境へ

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。管理画面では誰が・いつ・どのAIを使ったかを一覧でき、CSVでの書き出しにも対応しています。会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

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よくある質問

ChatGPTに機密情報を入力してしまったら、最初に何をすればよいですか?
最初にやるのは削除ではなく、本人からの聞き取りと画面の記録です。何を、いつ、どのアカウントで、どの機能を通して入れたかを確かめ、会話の画面と入力した文章の写しを社内の決まった場所に残します。削除したチャットは復元できないため、記録を取ってから会話・ファイル・共有リンクを消し、学習の設定を見直します。
チャットを削除すれば、入力した情報は完全に消えますか?
画面からはすぐに消えますが、OpenAIの説明では、システムからの完全な削除は30日以内の予定とされ、匿名化済みのデータやセキュリティ上・法律上の理由で保持が必要なデータは例外です。添付したファイルはライブラリに残る場合があり、メモリに保存された内容や共有リンクを受け取った相手の会話も、チャットの削除とは別に確かめる必要があります。
学習の設定を後からオフにすれば、入力した内容は学習に使われませんか?
OpenAIは、設定をオフにした後の新しい会話が学習に使われなくなると説明しています。過去の会話がさかのぼって対象から外れるかどうかは、公式には書かれていません。学習に使われたかどうかを利用者の側から確かめる方法は公式ヘルプに示されていないため、報告書や取引先への説明では、使われていないと言い切らないようにしましょう。
OpenAIに個人データの削除を依頼することはできますか?
個人データについては依頼できます。OpenAIのプライバシーポリシー(2026年2月6日更新)では、削除などの権利の一部は、アカウントのデータ管理のツールのほか、プライバシーポータル(privacy.openai.com)や dsar@openai.com 宛てのリクエストで行使できるとされています。依頼の前に本人確認を求められる場合があり、すでに学習に使われた分がモデルから取り除かれるかどうかまでは書かれていません。会社契約のBusinessやEnterpriseで入れた場合は、まずワークスペースの管理者に相談してください。
会社契約のChatGPT Businessで入れた場合も、同じ対応が必要ですか?
Businessは既定で学習に使われず、共有リンクも同じワークスペースのメンバーに限られるため、個人アカウントより社外への経路は狭くなります。それでも、聞き取り、記録、削除、取引先との契約の確認という順番は同じです。Businessでは利用者が自分でデータをエクスポートできないため、記録は本人の画面から残してもらいます。
取引先の資料を入れてしまった場合、必ず取引先に報告しなければいけませんか?
一律には決まりません。相手と結んでいる秘密保持契約や業務委託契約に、秘密情報の定義、目的外使用の禁止、事故が起きたときの通知の義務などがどう書かれているかによります。担当者1人で結論を出さず、契約書の該当条項を開いたうえで、法務の担当者や顧問弁護士、経営者と一緒に判断してください。
入力した社員を処分するべきですか?
処分の可否は社内規程や事案の事情によって異なるため、ここでは判断を示しません。一方で、報告した社員を責める形で周知すると、次に同じことが起きたときに報告が上がってこなくなるおそれがあります。報告の早さが記録の正確さにつながるため、報告してくれたこと自体は評価し、再発防止はルールと使う環境の見直しで進めるのが現実的です。

まとめ

ChatGPTに機密情報を入力してしまったという報告を受けた日は、聞き取り、記録の保全、削除と設定の見直し、社外への連絡の判断、社内報告書の作成を、この順番で進めます。削除したチャットは戻せないため、記録を取る前に消さないことが何より大切になります。

その日の動きは、使ったアカウントと入れた情報の組み合わせで変わってきます。個人アカウントでは本人の画面だけが手がかりで、学習の設定は既定で有効です。取引先の資料なら秘密保持契約の条項を開き、個人情報が混ざっていれば委員会への報告の要否を確かめましょう。

翌日以降は、ガイドラインの見直しとあわせて、社員がAIを使う入口を会社の側で持てるかを考えてみてください。ほかの記事はAI活用コラム一覧から読むことが出来ます。