
生成AIでアイデア出しをするなら、予算や対象などの条件を数字で渡して一度に30案ほど出させ、別の依頼で絞り込ませる2段階に分けるのが近道になります。さらに同じお題をChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityなど複数のAIに出して並べると、1つのAIだけでは出てこなかった切り口が見つかることがあります。会議の前に1人で取りかかる場合も、30分あれば案を出して絞り、会議に持ち込む1枚までまとめられます。社外秘の企画情報は、入力する前に伏せ字にしておくことが前提です。
ここで扱うのは、企画担当の方が会議の前に1人で生成AIと向き合う場面に絞った話になります。生成AIの始め方や、業務ごとの使いどころの全体像は生成AIの使い方の記事にまとめてありますので、先にそちらをご覧ください。
生成AIのアイデア出しは発散と収束の2段階に分けて頼む
生成AIへのアイデア出しは、案を数多く出させる発散と、出た案を選ぶ収束を、別々の依頼に分けると質が上がります。1回の依頼で「いい案を3つ出して」と頼むと、AIは出すことと選ぶことを同時に行い、無難な3つだけが返ってきてしまいます。人が集まるブレインストーミングで、出している最中に良し悪しを言わない決まりがあるのと同じ考え方になります。
発散の段階では、数と幅だけを求めます。実現できるかどうかや予算に収まるかは、この段階では問わないようAIに伝えておきます。収束の段階では、発散で出た案の一覧を渡し、評価の軸を決めてから選ばせましょう。評価の軸は自分で決めて渡し、AIには当てはめる作業だけを任せるのが安全です。
OpenAIのヘルプも、最初のプロンプトで返ってきた応答を見て、その出力に合わせてプロンプトを直していく反復のやり方を勧めています。1回で完成させようとせず、発散と収束の往復を2〜3回繰り返す前提で時間を取ってみてください。
生成AIがありきたりな案しか出さない原因
生成AIの案がありきたりになる原因の多くは、AIの力不足ではなく、渡している条件の少なさにあります。条件がない依頼では、AIはどの会社にも当てはまる平均的な答えを返しやすくなります。Anthropicの開発者向け公式ドキュメントも、画面デザインを作らせる場面を例に、指示がないとモデルがありきたりな型に寄りやすいと説明しています。アイデア出しでも同じことが起きやすいと考えて、まずは条件を足すほうから試してみましょう。
ありきたりな案が並ぶときの頼み方には、次のような共通点が見られます。
- 対象・予算・期間が書かれておらず、どの会社向けにも使える一般論が返ってくる
- 「5つ出して」と少なく頼み、AIが無難な順に並べたものだけを見ている
- 出すことと評価することを1回の依頼にまとめ、角の立つ案が先に削られている
- 1つのAIに1回だけ聞き、その答えを生成AI全体の限界だと受け取っている
4つ目は見落とされやすく、同じお題でも聞き直したり別のAIに聞いたりすると、返ってくる案の傾向は変わります。物足りない案が続いたら、同じ会話で「もっと」と重ねず、条件を足して新しい会話で頼み直しましょう。Googleの開発者向けの手引きには、API(プログラムからAIを呼び出す仕組み)の温度という設定を上げると、より多様で創造的な結果になりうるという説明もあります。ただし、これはプログラムから使う場合の設定で、普段のチャット画面での使い方とは別の話です。
条件を足す前と後のプロンプト
同じお題でも、条件を足すと頼み方は次のように変わります。
【条件を足す前】 新しいサービスのアイデアを5つ出してください。 【条件を足した後】 従業員30〜100名の製造業で、総務を1〜2名で回している会社向けの新しいサービスを考えています。 初年度の開発費は300万円まで、半年以内に試験提供を始められるものに限ります。 店舗の新設とテレビ広告は使えません。 この条件で、アイデアを30個出してください。実現できるかどうかは、この段階では気にしなくて構いません。
足した後のプロンプトは長く見えますが、書いてあるのは対象・予算・期間・使えない手段・数の5つだけになります。この5つを毎回一から書くのは手間なので、後で紹介するお題カードの形にまとめておくと、どのAIにも同じ条件を渡せます。
会議前30分の手順|何分で何をするか
会議の30分前から始める場合は、お題づくりに5分、発散に10分、並べて見比べるのに5分、絞り込みに7分、会議用の1枚にまとめるのに3分という配分が1つの目安になります。時間を区切るのは、AIとのやり取りが面白くなって発散を続けてしまい、絞る時間がなくなるのを防ぐためです。
- 0〜5分 お題カードを書く。目的・対象・予算・期間・使えない手段を1枚にまとめ、社外秘の固有名詞は伏せ字に置き換えます。
- 5〜15分 発散させる。同じお題カードと発散用のプロンプトを2〜4つのAIに出し、それぞれ20〜30案を出させます。
- 15〜20分 並べる。各AIの案を1つのメモに貼り、2つ以上のAIに出た案と、1つのAIにしか出なかった案に印を付けます。
- 20〜27分 絞る。判断シートの軸で自分が点を付け、上位の案だけAIに弱点を挙げさせます。
- 27〜30分 会議用の1枚にまとめる。上位3案に、残した理由と捨てた案の短いメモを添えます。
5分から15分の発散は、使うAIの数が多いほど時間がかかるため、慣れないうちは2つのAIから始めると回しやすくなります。会議で役に立つのは案の数より残した理由の説明なので、最後の3分は削らないでください。お題カードは次の会議でも使い回せるため、一度作ったものはメモとして保存しておくと便利です。
コピペで使えるアイデア出しプロンプト
ここからのプロンプトは、[ ]の部分を自分の企画に置き換えれば、そのまま貼り付けて使えます。OpenAIが公開しているプロンプトの手引き(英語の原文)では、目標・コンテキスト・出力・制約の4つを入れると伝わりやすいとされ、全部を埋める必要はないとも書かれています。以下のひな形も同じ4つを土台にしているので、埋めにくい項目は空けたままで構いません。
予算・期間・対象の制約条件を数字で入れる「お題カード」
お題カードは、どのAIに出すときも同じものを使う、企画の条件をまとめた下書きになります。「若い人向け」ではなく「25〜34歳の共働き世帯」、「低予算」ではなく「販促費は月20万円まで」のように、数字で書ける条件は数字で書きましょう。Googleの開発者向けの手引きにも、応答に対して守ってほしい制約を指定し、何をして何をしないかをモデルに伝えられると書かれています。
【目的】[例:来期に始める新サービスの候補を、企画会議に3案持ち込みたい] 【対象】[例:従業員30〜100名の製造業で、総務を1〜2名で回している会社] 【予算】[例:初年度の開発費は300万円まで、販促費は月20万円まで] 【期間】[例:半年以内に試験提供を始められるもの] 【使えない手段】[例:店舗の新設、テレビ広告] 【すでに社内で出ている案】[例:案A・案B(中身は伏せる)] 【伏せ字にしたもの】[例:社名→X社、新商品名→商品A、取引先→取引先B]
最後の2行は、AIに同じ案を出させないための欄と、伏せ字にした箇所を自分で見返すための欄です。お題カードに書いた条件が具体的なほど、どのAIに出しても案の的が外れにくくなります。
AIに役割(ペルソナ)を与えるプロンプト
役割の指定とは、プロンプトの冒頭で「あなたは〜です」とAIに立場を与える書き方で、案の視点を変えたいときに役立ちます。AnthropicはClaudeの公式ドキュメントで、役割を与えるとふるまいや口調が用途に合わせて絞られ、1文だけでも違いが出ると説明しています。アイデア出しでは1つの役割で終えず、立場の違う役割を3つほど用意して同じお題を順に出すと、案の幅が広がります。
あなたは[役割:例 従業員50名の会社で予算を承認する総務部長]です。 次のお題カードの企画について、あなたの立場から「これならお金を出してもよい」と思える案を10個出してください。 それぞれの案に、あなたの立場でいちばん気になる点を1行で添えてください。 (ここにお題カードを貼り付け)
役割は、買い手・現場の担当者・予算を承認する上司のように、企画に関わる人から選んでみてください。実在の個人の名前を役割にするのは避け、立場と条件で書くほうが無難です。
発散用プロンプト(数を出す)
次のお題カードについて、アイデアを30個出してください。 ・実現できるかどうかや予算は、この段階では気にしないでください ・似た案は1つにまとめ、切り口の違う案を優先してください ・うち5個は、この業界では普通やらない方法にしてください ・1案は1行で、「案の名前:何をするか」の形にして番号を付けてください (ここにお題カードを貼り付け)
「普通やらない方法」を数で指定すると、無難な案ばかりが並ぶのを防げます。30個という数に決まった意味はなく、自分が1人で出せる数より多めに頼むのがねらいになります。
収束用プロンプト(絞る)
ここまでに出た案の一覧を、次の3つの軸で評価してください。 1. 対象の困りごとにどれだけ効くか(1〜5点) 2. お題カードの予算と期間で実現できるか(1〜5点) 3. すでに社内で出ている案と重ならないか(1〜5点) 合計点の高い順に並べ、上位5案それぞれについて、失敗するとしたら何が原因かを1つずつ挙げてください。 点数の根拠が弱い案には「要確認」と書いてください。
AIが付けた点数はそのまま採用せず、自分の点数と見比べる材料として使いましょう。点が大きくずれた案ほど、会議で話し合う価値のある案になることもあります。出た案を1つ選んで深く掘り下げる使い方はAIの壁打ちの記事で、プロンプトの基本の書き方はChatGPTのプロンプトの書き方の記事で扱っています。
社外秘の企画情報を入れる前の伏せ字チェックリスト
企画の情報を生成AIに入れる前には、新商品名や未公開の数字、取引先名などを伏せ字にしたかを、毎回同じ項目で確かめるのが安全です。総務省と経済産業省のAI事業者ガイドライン(第1.2版)も、AIの利用者に対して、機密情報等を不適切に入力しないよう注意を払うことを求めています。個人情報保護委員会は2023年6月の注意喚起で、個人情報を含むプロンプトを入力する場合は利用目的の範囲内かを十分に確認するよう、事業者に呼びかけました。
- 新商品名・サービス名・プロジェクト名を置き換えた未発表の名前は、それだけで企画の中身が推測される手がかりになります。「商品A」「計画B」のような仮の名前に変えます。
- 取引先や顧客の社名、担当者名を消した「取引先B(中堅の卸売業)」のように業種と規模だけ残せば、アイデア出しには十分です。
- 未公開の売上・原価・予算の数字を丸めた「販促費は月20万円まで」のような条件は残し、実績の数字は「数千万円規模」のように幅で書きます。
- 発売日や発表日など、未公開の日付をぼかした「来年の春」「半年以内」程度でも、案の方向は変わりません。
- 社内の会議資料やメールを、そのまま貼り付けていない資料を丸ごと渡さず、必要な条件だけを自分の言葉で書き直します。
- 個人名・連絡先などの個人情報が入っていない顧客の声を使う場合も、誰の声か分かる情報は消してから入れます。
- 使うAIの学習の設定を確かめた個人向けのChatGPTは、設定の「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにできます。
- 伏せ字の対応表をAIに貼っていない「商品A=本当の名前」という対応表は、手元のメモにだけ残します。
伏せ字にすると案の具体性が下がるのではと心配になりますが、アイデア出しで必要なのは固有名詞より、対象・予算・期間といった条件のほうです。条件をお題カードに数字で残しておけば、伏せ字にしても案を考える材料はほとんど減りません。ただ、この確認を毎回一人ひとりの注意に任せていると、急いでいる日ほど抜けが出やすくなってしまいます。
確認の抜けを一人ひとりの注意だけで防ぐより、使うAIの環境を会社で1つにそろえるほうが確実です。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
発想フレームワーク(SCAMPER法・マンダラート・シックスハット法)をプロンプトに組み込む
発想フレームワークとは、アイデアを考える切り口をあらかじめ決めた型のことで、AIへの依頼に組み込むと発散の偏りを減らせます。型を指定すると、AIが同じ方向の案ばかりを並べるのを防ぎ、自分では思いつかない角度の案も拾いやすくなります。
SCAMPER法|既存の商品を7つの問いで変える
SCAMPER法は、置き換える・組み合わせる・応用する・変更する・他の用途に使う・取り除く・逆にする(並べ替える)の7つの問いを、既存の商品やサービスに順に当てていく方法です。既存の商品の改良や、今あるサービスの別の売り方を考える企画に向いています。
次の既存サービスについて、SCAMPER法の7つの問い(置き換える・組み合わせる・応用する・変更する・他の用途に使う・取り除く・逆にする・並べ替える)ごとに、改良案を3つずつ出してください。 問いごとに見出しを付け、1案は1行で書いてください。 (ここにサービスの説明とお題カードを貼り付け)
マンダラート|1つのテーマを8つに広げる
マンダラートは、3×3の9マスの中央にテーマを書いて周りの8マスを関連する言葉で埋め、さらにその8つをそれぞれ中央に置いて広げていく方法です。AIに頼むときは、最初の8つを自分で選び直してから2段目を広げさせると、自分の関心から外れにくくなります。
テーマ「[中央に置くテーマ]」から連想される切り口を8つ、1語か短い句で出してください。 (出てきた8つを見て、使うものを選び、足りないものは自分で書き足してから次を送る) 次の8つの切り口それぞれについて、お題カードの条件に合う企画案を8つずつ出してください。 [切り口1]/[切り口2]/……/[切り口8]
シックスハット法|6つの立場で案を検討する
シックスハット法は、事実・感情・慎重・楽観・創造・進行管理という6つの立場を帽子の色に見立て、同じ案を順番に検討する方法として知られています。収束の段階で、残った上位の案を6つの立場から見直させると、見落としていた弱点が見えやすくなります。
次の案について、シックスハット法の6つの立場から、それぞれ3行で意見を述べてください。 白:事実と数字(分かっていること、足りない情報) 赤:感情や直感(対象の人が最初に抱きそうな気持ち) 黒:リスクと懸念(失敗しそうな点) 黄:利点と価値(うまくいった場合に得られるもの) 緑:新しい発想(案をさらに良くする工夫) 青:全体の整理(次に何を確かめるべきか) (ここに案とお題カードを貼り付け)
フレームワークはどれか1つを毎回使う必要はなく、発散にはSCAMPER法かマンダラート、収束にはシックスハット法というように、段階で使い分けると迷いません。
ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityに同じお題を出して並べる
複数のAIを使うときは、どのAIが優れているかを決めるより、同じお題カードを出して答えを横に並べ、違いを案の材料にするほうが企画には役立ちます。提供元も作り方も違うAI同士では、同じお題でも出てくる案の切り口がそろうとは限りません。2つ以上のAIに出た案は多くのAIが思いつく定番、1つにしか出なかった案は切り口の候補として扱うことができます。
それぞれのAIの特徴をどう使うか
ChatGPTは、OpenAIのヘルプによると、ウェブを検索し、最新の情報と情報源へのリンクを使って質問に答えることもできると説明されています。Perplexityは、公式ブログ(日本語)で、すべての回答にクリックできる引用元が示されると案内しており、似たサービスがすでにないかを確かめる下調べに使いやすいAIです。Claudeは前の節で触れたとおり、役割を1文与えるだけでも答え方が変わると公式に説明されているため、役割を変えて何度も出させる使い方と合わせやすいでしょう。Geminiについては、GoogleがGemini APIの開発者向けの手引きで制約を指定できると説明しています。APIの説明ではあるものの、チャット画面でもお題カードの条件をそのまま渡すところから始めるのが手堅い使い方になります。
ここに挙げた特徴は各社の説明に基づくもので、アイデアの質の優劣を示すものではありません。実際の出力を並べて、自分の企画に合うAIを確かめてみてください。
同じお題を出すときにそろえる条件
AI同士を比べるときは、AIの違い以外の条件をそろえておかないと、違いがどこから来たのか分からなくなってしまいます。
- お題カードとプロンプトは、一字一句同じものを貼り付ける
- どのAIでも新しい会話で始め、前のやり取りを引き継がない
- 出させる案の数と1案の書き方(1行・番号付き)をそろえる
- 役割を与えるなら、どのAIにも同じ役割を与える
- どのAIの、どの画面で出したかをメモに残す
新しい会話で始めるのは、それまでのやり取りやAI側に保存された好みの情報が、案の出方に混ざるのを避けるためです。ChatGPTの一時チャットは、OpenAIのヘルプによると履歴に保存されず、メモリも作成されないと説明されているため、比べるための発散にも向いています。
並べて比べるメモの型
並べるときは、AIごとに案を貼るだけでなく、重なった案と1つにしか出なかった案に印を付けるところまで行うと、会議で説明しやすくなります。
【お題】[お題カードの目的を1行で] 【出した日】[日付] 【使ったAI】[ChatGPT/Claude/Gemini/Perplexity] ■ 2つ以上のAIに出た案(定番) ・[案] …出したAI:[ChatGPT・Gemini] ■ 1つのAIにしか出なかった案(切り口の候補) ・[案] …出したAI:[Claude] ■ すでに似たものがある案(Perplexityなどで確認) ・[案] …似た例:[確かめた出典のURL] ■ 次に深掘りする案 ・[案] …理由:[1行]
すでに似たものがある案に出典を残しておくと、会議で「それはもうある」と言われたときに、違いを説明する材料として使えます。AIが示した出典は、リンク先を開いて中身を確かめてから会議に出しましょう。OpenAIのヘルプも、検索結果や引用が不完全だったり古かったりする場合があるとして、引用元を開いて確かめるよう案内しています。
出た案を絞る判断シートの型
判断シートとは、出た案を同じ物差しで比べるための一覧で、アイデア出しの結論を会議に持ち込める形に整えるものです。よく使われるのは効果の大きさと実現のしやすさの2軸で点を付ける方法ですが、複数のAIを使う場合は、どのAIの案かを書く欄を足しておきましょう。どのAIから出た案かが分かれば、次に同じ種類の企画を考えるとき、どのAIから始めればよいかの手がかりになります。
【案の番号】[1] 【案の名前】[ ] 【出したAI】[ChatGPT/Claude/Gemini/Perplexity/自分] 【効果】1・2・3・4・5(対象の困りごとにどれだけ効くか) 【実現のしやすさ】1・2・3・4・5(予算と期間の中でできるか) 【AIの点数との差】[自分の点 − AIの点] 【似た例の有無】[あり(出典)/なし/未確認] 【判断】[会議に出す/保留/捨てる] 理由:[1行]
効果と実現のしやすさがどちらも4点以上の案を会議に出す候補とし、片方だけ高い案は保留に残しておくのが1つの目安です。捨てた案も理由と一緒に残しておくと、会議で同じ案が出たときにすぐ答えられます。判断の欄だけは、AIに任せず自分で書いてください。シートを案の数だけ並べたら、上位3案を会議用の1枚に写し、残りは参考として後ろに付けておくと、議論の途中で別の案に戻りたいときにも探しやすくなります。
会議に持ち込む1枚の形
会議用の1枚には、案そのものより、どう出してどう絞ったかが分かる情報を載せると、参加者が短い時間で判断できます。
【お題】[お題カードの目的を1行で] 【出し方】[使ったAIの数]つのAIに同じお題を出し、合計[ ]案から絞り込み ■ 会議で話したい上位3案 1. [案の名前] 効果[ ]点・実現のしやすさ[ ]点 出したAI:[ ] 残した理由:[1行] 弱点:[AIに挙げさせた失敗の原因を1行] 2. (同じ形で) 3. (同じ形で) ■ 保留にした案(片方の点だけ高い) ・[案の名前]:[何が足りないかを1行] ■ 捨てた案と理由 ・[案の名前]:[すでに似た例がある/予算に収まらない など] ■ 会議で決めたいこと ・[例:上位3案のうち、どれを来月までに詳しく調べるか]
最後の「会議で決めたいこと」を1行でも書いておくと、案の説明で時間が終わってしまうのを防げます。AIで出した案であることは隠さず、どのAIに何を頼んだかを添えておくほうが、参加者も案の出どころを確かめやすいでしょう。
企業の生成AIアイデア出しの事例と調査
企業の実例を見ると、アイデア出しは文章作成に次ぐ使い道になっている会社があり、個人任せの使い方から会社の環境へ移す動きも見られます。
MIXI|1,000人以上がアイデアの創出に使い、会社の環境へ一括で移行
OpenAIが2025年8月20日に公開した事例ページによると、MIXIは希望する従業員にChatGPT Plusの利用補助を行い、1,000人以上がアイデアの創出に活用していたとのことです。一方で、個人向けのPlusを会社で使うには、AIの学習についての設定や、社内情報の扱いに関するルールの整備が壁になったと書かれています。取締役の村瀬龍馬氏の言葉として、社員が入力した情報を安全に業務に使えるようにするには、一人ずつアカウント設定をする必要があったという振り返りも載っていました。同社はその後、ChatGPT Enterpriseへ一括で移行しました。
MIXIが2025年8月21日に出したプレスリリースでは、2025年3月から全従業員に導入したChatGPT Enterpriseの日常の活用方法として、文章コンテンツの作成と編集に次いで、ブレインストーミングと創造的なアイデアの形成が2番目に多かったと発表されています。数字や順位は、OpenAIの事例ページとMIXIの発表によるもので、第三者が検証したものではありません。
調査で見るアイデア出しの利用
帝国データバンクの「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年3月17日〜31日に実施、有効回答1万312社、同年5月14日公表)では、生成AIを業務で活用している3,560社のうち11.0%が、主な活用業務として企画立案時のアイデア出しを挙げました。最も多かった文章の作成・要約・校正の45.1%、情報収集の21.8%に続く3番目で、同社は、生成AIが判断の手前にある業務の補助として使われている様子がうかがえると分析しています。主な用途として挙げた会社の割合なので、アイデア出しに使っている会社全体の割合ではありません。
会社で安全に使うには|学習させない設定・ログ・配布・複数AIの使い分け
アイデア出しを部署や会社で続けるなら、個人のアカウントに任せず、学習の設定・利用の記録・アカウントの配布を会社が管理できる環境で使うのが基本になります。企画の情報は発表前ほど外に出たときの影響が大きく、個人の設定の漏れがそのまま会社の問題になってしまいます。
個人で使うアカウントと、会社が用意する環境の違い
OpenAIのヘルプでは、個人向けのChatGPTで学習をオフにするには、設定の「データコントロール」から「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする手順が案内されています。オフにした後の新しい会話は学習に使われないという説明で、設定は本人が自分で切り替える仕組みです。一方、ChatGPT Businessなどの法人向けプランについて、OpenAIは既定ではビジネスデータを学習に使わないと説明しています。個人のアカウントのままでは、会社は誰がどのAIに何を入れたかを確かめる手段を持てません。手順の詳細はChatGPTに学習させない方法の記事にまとめてあります。
- 学習の設定 個人のアカウントでは本人任せになり、会社の環境では会社が一律に決められる
- 利用の記録 個人のアカウントは会社から見えず、会社の環境なら誰がいつどのAIを使ったかを確かめられる形を選べる
- アカウント 退職や異動のとき、個人のアカウントは会社が止められず、会社の環境なら管理者が止められる
- 使えるAI 個人で契約したAIに限られがちで、会社の環境なら複数のAIをそろえて全員に渡せる
複数のAIをそろえて配ると、案の幅が広がる
複数のAIに同じお題を出す使い方は、社員がそれぞれのサービスに個人で登録していると、登録した数だけ学習の設定や記録の管理が分かれてしまいます。そろえる場合は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの画面で切り替えられる法人向けの環境を選ぶと、同じお題カードを別々のサービスへ貼りに行く手間も減らせます。社内でよく使う発散用や収束用のプロンプトを共有できる仕組みがあれば、企画担当ごとに頼み方がばらつくのも抑えられます。
複数のAIを1つの環境でまとめて使う考え方はマルチAIとはの記事で、用途ごとの割り当て方は主要4AIの違いと使い分けの記事で詳しく扱っています。社員が個人のアカウントで使っている状態、いわゆる野良AI(シャドーAI)への備え方もあわせて確認してみてください。
アイデア出しのために社内ルールへ書いておくこと
アイデア出しは気軽に使える分、どこまで入れてよいかの線引きを社内ルールで先に決めておかないと、企画担当の方が毎回迷うことになってしまいます。
- アイデア出しに使ってよいAIと、使う環境(会社の環境か、個人のアカウントか)
- 入力してよい情報と、伏せ字にする情報の範囲(前述のチェックリストをそのまま使える)
- AIの案を社外に出す資料に使うときに、似た例の確認を誰が行うか
- よく使うプロンプトやお題カードのひな形を、どこに置いて共有するか
ルール全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で、項目ごとの例文とあわせて紹介しています。
同じお題を、4つのAIにそのまま出せる環境を
UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。会話の途中でもモデルを切り替えられるため、ChatGPTで出した案をClaudeに引き継いで深掘りするなど、1つの画面で4つのAIを行き来できます。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面では誰が・いつ・どのAIを使ったかを一覧で確かめられます。よく使う指示と手順はカスタムプラスでBOTにして、社内限定で共有できます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
無料版のChatGPTでアイデア出しをしても大丈夫ですか?
生成AIが出したアイデアをそのまま企画書に使ってもよいですか?
アイデア出しにはどのAIを使えばよいですか?
プロンプトは長く書いたほうがよい案が出ますか?
AIが出した案が、他社の商品やサービスと似ていたらどうすればよいですか?
チームのブレインストーミングでも生成AIは使えますか?
まとめ
生成AIでのアイデア出しは、条件を数字で書いたお題カードを用意し、数を出す発散と、軸を決めて選ぶ収束を別々に頼むのが基本になります。会議の前の30分なら、お題づくり・発散・並べる・絞る・1枚にまとめるの5つに時間を割り振ると、最後まで回しきれます。複数のAIに同じお題を出して並べると、重なった定番の案と、1つのAIにしか出ない切り口の候補を見分けられます。社外秘の企画情報は伏せ字のチェックリストで確かめてから入れ、続けて使うなら、学習の設定と利用の記録を会社で管理できる環境を用意しましょう。
