Microsoft 365 Copilotのセキュリティ。権限、秘密度ラベル、監査ログで管理者が確認すること

Microsoft 365 Copilotのセキュリティとは、AIの設定だけでなく、社員が見られる社内データの範囲までふくめて守る取り組みになります。Copilotは社員本人が見られる範囲だけを参照するため、安全に使えるかどうかは、権限・秘密度ラベル・監査ログの3点を管理者が確かめて決まります。製品名はMicrosoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)に変わりましたが、移行期間中は画面や資料に旧名が残る場合があります。入れる前に共有の広さを見直し、入れた後はPurviewの監査で実際の使われ方を追っていく流れになります。

情報漏洩の経路そのものは、Copilotで情報漏洩が起きる3つの経路の記事で詳しく取り上げています。ライセンスの違いや使える機能の全体像は、Microsoft 365 Copilotでできることをご覧ください。ここから先は、社員10〜200名の会社の管理者の方が、入れる前と入れた後に、どの画面で何を確かめればよいかに絞ってご案内します。

Microsoft 365 Copilotのセキュリティは権限から見る

Copilotの安全を確かめるときは、まず社員本人が見られるデータの範囲から始めるのが近道になります。Microsoftの説明では、Copilotはユーザーがアクセスを許可されているデータにだけアクセスし、少なくとも表示の権限を持っている組織データだけを表示するとされています。ここを取り違えると、AIを入れたから漏れるのか、もともとの共有が広すぎたのかが分からなくなってしまいます。

たとえば、営業部の方が全社共有サイトの提案書フォルダを開ける状態であれば、Copilotもその範囲をもとに回答を作ります。同じサイトに人事評価や給与のファイルが置かれていて、全社員が開ける状態になっていれば、Copilotの回答にもそれが混ざる可能性があります。反対に、その社員が開けないファイルを、Copilotが勝手に探し出して見せることはありません。

そのため、管理者の仕事はAIの回答を1つずつ見張ることではなく、SharePoint・Teams・OneDriveの共有範囲を先に狭めておくことになります。ファイルごとの権限だけを見ていると見落としが出やすいので、サイト、チーム、共有リンク、外部共有、大きなグループの順に見てみてください。Copilot対策の最初の作業は、AIの設定ではなく共有範囲の棚卸しです。

小さな会社ほど、全員が何でも見られる作りになりがちでしょう。10名のころは困らなかった全社共有が、80名になってもそのまま残っていることもよくあります。そのままCopilotを入れると、探す力が上がった分だけ、見えてよい範囲と見えて困る範囲の差が表に出てしまいます。

入力したデータの扱いも、ここで確かめておきましょう。Microsoft Graph経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは、Microsoft Copilotで使われるものもふくめて、基礎LLM(土台になる大規模言語モデル)の学習には使われないと説明されています。ただし、学習に使われないことと、社内で見えてはいけない資料が回答に混ざらないことは、まったく別のお話になります。

もう1つ、Web検索の扱いも別に考えておきたいところです。CopilotのWeb検索では、Bingに送る検索クエリに、ユーザーのプロンプト全体(とても短いプロンプトの場合を除く)やMicrosoft 365のファイル全体、ユーザー名・ドメイン・テナントIDといった識別情報は入らないと説明されています。一方で、Bing検索はMicrosoft 365とは別の仕組みで動いていて、作られたWeb検索クエリにはデータ保護補遺(DPA)やEUデータ境界が当てはまらない扱いとなります。

そのため、Web検索を許すかどうかは、権限の棚卸しとは別に決めておく必要があります。Microsoft 365のクラウド ポリシー サービスにある「Copilot での Web 検索を許可する」ポリシーを使えば、ユーザーやグループごとに、有効・無効・作業モードでだけ無効の3つから選ぶことが出来ます。調べものの多い部署には許し、経理や人事は作業モードだけ無効にする、といった分け方を最初に決めておきましょう。

※Microsoft Copilotの名称、データの扱い、画面名、役割名は、2026年10月3日時点のMicrosoft公式ドキュメント(日本語版)の記載にもとづいています。日本語版は機械翻訳のため、画面の表記は日本語版の表記として載せています。

導入前後の確認チェックリスト

導入前後の点検は、開く画面・見る項目・合格の目安を1枚にまとめておくと回しやすくなります。社員10〜200名の会社なら、専門のチームを作るより、総務や情シスの方が月に1回見て迷わない形にしたほうが長続きするでしょう。

最初から全部を完璧にそろえようとすると、導入そのものが止まってしまいます。まずは、Copilotを配る前に赤信号だけを消すことを目指しましょう。導入した後は、監査ログで実際にどのファイルに触れているかを見ていく形です。

時期開く画面見る項目合格の目安
導入前Microsoft 365 管理センター>Copilot>概要>セキュリティCopilotのセキュリティの表示内容見る担当がグローバル閲覧者で開け、変更する担当はAI管理者として分かれている
導入前SharePoint 管理センター>レポート>データ アクセス ガバナンス過去28日間の共有リンク、大きなグループとの共有、サイトのアクセス許可全社員に近い大きなグループや広い共有リンクが、機密のサイトに残っていない
導入前SharePoint 管理センター>サイト>アクティブ サイト>設定Microsoft Copilot からのコンテンツを制限する設定直し切れていない高リスクのサイトだけ、一時的な保護としてオンにしている
導入前Microsoft Purview ポータル(秘密度ラベル)秘密度ラベルの種類、暗号化、EXTRACT権限手動で選べる最小限のラベルがあり、要約させたくない資料はVIEWだけにできる
導入前Entra IDと条件付きアクセスMFA、管理者のMFA、レガシー認証のブロック少なくとも管理者とCopilot利用者のMFAの方針を説明できる
導入後Microsoft Purview ポータル>監査>検索操作名CopilotInteraction、ユーザー、日付の範囲、アクセスしたファイル記録の反映には時間差があり(Exchange や SharePoint などで通常60〜90分、ほかのサービスはさらにかかる場合あり)、反映後は誰がどのサイトやファイルを根拠にしたか追える
導入後Microsoft 365 管理センターのCopilot Chat 使用状況レポート(ライセンスのある利用者は Microsoft Copilot の使用状況レポート)アクティブユーザー数、送信プロンプト数、ユーザーあたりの平均プロンプト数7日・28日・90日・180日の期間で利用の傾向を見られる(既定ではユーザー名は匿名で表示)
導入後Purviewの保持、電子情報開示保存データ、保持ポリシー、必要なときの中身の確認監査ログと電子情報開示の役割を分けて、社員に伝えている

この表は、点数を付けるためではなく、まだ確かめていない項目をなくすために使います。開けない画面があれば、役割が足りないのか、プランの違いで項目が出ないのか、まだ反映されていないだけなのかを分けて見てください。とくにSharePoint高度な管理(SAM)、DSPM for AI、自動ラベル付けは、Business系のプランで使えると決めつけないほうが安全になります。

費用も、この段階で一度、会社の出費に直して見ておきましょう。Microsoft 365 Copilot Business(既存のプランに足すアドオン)は、1ユーザーあたり年払いの月額相当で3,148円(2026年12月31日までの申し込みは、初年度だけ2,698円の割引があります)、月払いで3,778円(いずれも税抜)と案内されています。20人に月払いで配ると毎月75,560円、1年では906,720円の出費となってしまいます。50人なら毎月188,900円、1年で2,266,800円になるため、配る人数と管理できる範囲は同じ会議で決めるのがよいでしょう。

Microsoft 365 Business PremiumとCopilot Businessをセットにした形では、月払いが1ユーザーあたり5,756円(税抜)です。10人なら毎月57,560円、50人なら毎月287,800円となります。料金のくわしい比較はここでは深追いしませんが、セキュリティ点検にかかる時間も一緒に見積もっておかないと、ライセンスだけ買って運用が追いつかない状態になってしまいます。

200名規模で全員に配る場合は、アドオンの月払いだけで毎月755,600円かかります。1年では9,067,200円となり、管理者が毎月の点検にかける手間も軽くは見られなくなります。最初から全社一斉に配るのではなく、共有の整理が済んだ部署から順に配る進め方も考えてみてください。

※料金は2026年10月3日時点でMicrosoftの公式料金ページに表示されている、一般法人向けの1ユーザーあたりの金額(税抜)です。人数分の金額は、月払いの単価に人数と12か月を掛けて計算しています。

一部の方だけに配るときは、配られなかった社員が個人のアカウントへ流れないよう、ひとこと説明を添えたいところです。対象外の部署には、いつから使えるのか、それまでの相談先はどこかを伝えておきましょう。ここを空白のままにすると、安全のために絞ったはずの配布が、かえって管理の外での利用を増やすことになってしまいます。

チェックリストは、導入前に1回作って終わりの資料ではありません。導入後の月次確認で、共有リンク、監査ログ、履歴削除の相談件数を並べて見てみてください。数字が大きい部署ほど悪いというわけではなく、よく使われている部署ほど、権限のほころびが早めに見つかるものです。

管理センターの入口と必要な役割

Copilotのセキュリティ確認でつまずきやすいのは、画面の場所よりも、誰の権限で開くかのほうです。小さな会社では管理者アカウントを1人が持ちっぱなしにしていることも多いのですが、見るだけの担当と変える担当を分けておけば、うっかりの設定ミスを減らすことが出来ます。

Microsoft 365 管理センターのCopilotセキュリティダッシュボードは、Copilot>概要>セキュリティから開く形になります。このセキュリティの画面を見るにはグローバル閲覧者、設定を変えるにはAI管理者の役割が必要です。まずは総務や情シスの確認担当にグローバル閲覧者を渡し、設定の変更は別の方にお願いする形で始めてみてください。

SharePointの点検は、SharePoint 管理センターで進めていきます。レポートの中にあるデータ アクセス ガバナンスが、過剰共有や機密性の高いコンテンツを含むサイトを見つける入口になります。アクティビティ レポートでは過去28日間の共有リンクや大きなグループとの共有を追えるので、導入前の赤信号探しにぴったりでしょう。

リスクの高いサイトが見つかったら、同じSharePoint 管理センターのサイト>アクティブ サイトから、そのサイトを選びます。設定タブにある「Microsoft Copilot からのコンテンツを制限する」をオンにして保存すると、そのサイトの中身をCopilotから一時的に隠すことが出来ます。ただし、この設定で今のアクセス権が変わるわけではありません。

ここは社内でもきちんと説明しておきたいところです。制限付きコンテンツ検出は、あくまで一時的な管理のための機能として作られています。すでにその資料を開ける社員は、直接開けば今までどおり見られてしまいます。Copilotに出てこなくなったから権限も直った、とは考えないようにしてください。

Purviewのほうでは、監査と秘密度ラベルを見ていきます。監査ログの検索は、Microsoft Purview ポータルの監査>検索から進み、操作名にCopilotInteractionを入れて絞り込みます。必要な役割は「監査ログ」か「監査ログの表示専用」なので、ここも日ごろのMicrosoft 365管理者とは分けて考えましょう。

秘密度ラベルは、情報保護のしくみの一部になります。ラベルの作成や暗号化、権限、社員への見え方は、Copilotだけの設定ではなくPurview全体の設計にかかわってきます。Copilotの導入チームだけで決めずに、人事・経理・営業管理の責任者にも見てもらえば、あとでラベル名を作り直す手間を減らすことが出来ます。

画面入口必要な役割や注意点管理者が見ること
CopilotセキュリティダッシュボードMicrosoft 365 管理センター>Copilot>概要>セキュリティ見るのはグローバル閲覧者、変えるのはAI管理者Copilotを入れるときのセキュリティの状態
データ アクセス ガバナンスSharePoint 管理センター>レポート>データ アクセス ガバナンスSharePoint 管理センターで開く。秘密度ラベルのレポートは上位のプランが関係する場合がある過剰共有、機密のコンテンツ、大きなグループとの共有
制限付きコンテンツ検出SharePoint 管理センター>サイト>アクティブ サイト>設定SharePointサイトだけが対象。OneDriveには使えない直すまでCopilotから見せない暫定の保護
監査の検索Microsoft Purview ポータル>監査>検索「監査ログ」か「監査ログの表示専用」。反映には時間差ありCopilotInteractionで利用者、時刻、アクセスした資料を確認
秘密度ラベルMicrosoft Purview ポータル(秘密度ラベル)手動のラベルから始める。自動ラベル付けが使えるかは自社のプランで確認暗号化、VIEW、EXTRACT、引き継ぎと上書き

画面が見えないときも、すぐにライセンス不足と決めつけないほうがよいでしょう。役割が足りない、反映を待っている、プランが違う、テナントの設定が違う、といった原因が混ざっていることがあります。販売店や管理を任せている会社に聞くときも、画面名と入口をそのまま伝えると話が早く進みます。

SAMの前提となるライセンスの一覧には、E系のプランが並んでいます。DSPM for AIもふくめて、Business系の会社は管理センターに項目が出るかを、提供元や販売店に確かめてから使うのが無理のない進め方になります。使える前提で社内の手順書を書いてしまうと、現場で画面が出ずに作業が止まってしまいます。

過剰共有を潰す順番

過剰共有(必要以上に広く共有されている状態)は、見つける、暫定で隠す、所有者に直してもらう、暫定を外す、の順で進めれば無理がありません。いきなり権限をまとめて消すと業務が止まり、あとで誰が何を見られなくなったのかも追えなくなってしまいます。

最初に見るのは、SharePoint 管理センターのデータ アクセス ガバナンスです。ここでは、過剰共有や機密性の高いコンテンツを含むサイトを見つけることが出来ます。アクティビティ レポートは過去28日間の共有リンクや大きなグループとの共有を追うので、最近広がった共有を探すのに向いています。

見つけたサイトをすぐに直せないときは、制限付きコンテンツ検出で「Microsoft Copilot からのコンテンツを制限する」をオンにします。この段階では、アクセス権そのものは変わりません。社員が直接ファイルを開ける状態は残るため、あくまでCopilotの回答に混ざるのを一時的に止める手段となります。

次に、サイト アクセス レビューを使って、過剰共有になっているサイトの確認をサイトの所有者にお願いします。IT管理者だけで全ファイルの意味を判断するのは難しいので、部門の所有者に見てもらったほうが実際に直りやすいでしょう。依頼のメールは中身を書き換えて送れるため、なぜ確認するのか、いつまでに直してほしいのかを短く添えましょう。

所有者に直してもらう内容は、共有リンク、大きなグループ、サイトのメンバー、外部共有の4つに分けると進めやすくなります。営業資料の共有リンクは残してよい場合もありますが、人事評価のフォルダまで同じリンクで見えているなら整理が必要です。全社員が入っているサイトに、経営資料のライブラリが混ざっていないかも見てみてください。

直し終わったら、暫定の保護を外します。制限をオンにしたままだと、本来Copilotで使ってほしい資料まで回答に出にくくなってしまいます。直したサイトは、所有者・対応した日・制限を外した日を記録に残しましょう。記録があれば、翌月の確認で同じ話し合いをくり返す必要もなくなります。

うまくいかないのは、IT管理者が1人で共有を消し切ろうとする進め方です。実際には業務で使っている共有も混ざっているので、勝手に消すと問い合わせが増えてしまいます。リスクの高いサイトだけを暫定で隠し、所有者に直してもらう流れにすると、現場にも納得してもらいやすくなります。

  • 見つけるSharePoint 管理センター>レポート>データ アクセス ガバナンスで、大きなグループとの共有や広い共有リンクを見ます。
  • 暫定で隠すアクティブ サイト>設定タブで、Microsoft Copilot からのコンテンツを制限するをオンにします。SharePointサイトだけの一時的な対応です。
  • 所有者に直してもらうサイト アクセス レビューを始めて、部門の所有者に共有リンク、サイトのメンバー、外部共有を直してもらいます。
  • 暫定を外す権限を直したら制限を外し、Copilotで使ってよい資料が回答に戻ってくるかを確かめます。

SharePoint高度な管理(SAM)の前提ライセンスの一覧には、Office 365 E3・E5・A5、Microsoft 365 E1・E3・E5・A5などが並んでいます。Business Basic・Business Standard・Business Premiumは、この基本ライセンスの一覧には載っていません。Business系の会社は、項目が出るかどうかを先に確かめてから、運用の手順に書き込むようにしましょう。

過剰共有の棚卸しは、Copilotを止めるための作業ではありません。見えてよいものはきちんと見せ、見えて困るものを先に分けておくための作業になります。ここが整うと、社員は自分の権限で必要な資料を探しやすくなり、管理者も監査ログを見たときに判断しやすくなるでしょう。

Copilotの外に出るAI利用も会社の管理下に置きたい方へ

権限を整えても、社員が個人で使うAIは管理の外に出てしまいます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

秘密度ラベルは手動の最小構成から始める

秘密度ラベルは、最初から細かく作るより、社員が迷わない最小限の形から始めたほうが社内に根づきます。Copilot対策では、ラベル名のきれいさよりも、どの資料を要約させてよいかを社員が判断できることのほうが大切になります。

おすすめは、公開可・社内限定・部署限定の3段階から始める形です。公開可は社外に出してもよい資料、社内限定は全社員が見てもよい資料、部署限定は人事・経理・経営・案件ごとなど、限られた範囲の資料に使います。いきなり10種類も作ると社員が選べず、結局ラベルのない資料が増えてしまいます。

Copilotとの関係で特に確かめたいのが、暗号化をかけるラベルのEXTRACT権限です。秘密度ラベルで暗号化をかけている場合、AIアプリがデータを返すには、ユーザーがVIEWとEXTRACTの両方の権限を持っている必要があります。Purviewの画面では、EXTRACTは「コンテンツのコピーと抽出」という名前で表示されます。

これを使うと、開いて読むことはできても、Copilotには要約させない資料を作ることが出来ます。VIEWだけを持つ社員は資料を開けますが、Copilotはその中身を要約しません。役員会の資料や給与・評価の資料のように、人が直接開く場面はあっても、AIには拾わせたくない資料で考えてみてください。

ラベルの引き継ぎ(継承)の動きも確かめておきましょう。Word・PowerPoint・OutlookのCopilotで、ラベル付きの資料をもとに新しい文書を作ると、元のラベルが保護の設定ごと引き継がれます。複数のファイルから作るときは優先度がいちばん高いラベルが引き継がれるので、機密度の高い資料を混ぜた下書きが、軽いラベルのまま出回るのを防ぎやすくなります。

ただし、この引き継ぎにも抜け道があります。ユーザーは引き継がれたラベルをいつでも別のラベルに置き換えられ、必須のラベル付けを使っていなければ外すことも出来てしまいます。ユーザーが自分でアクセス許可を決める形の暗号化は引き継がれず、サイトやグループに付けたラベルも、中のファイルにそのまま引き継がれるわけではありません。

そのため、秘密度ラベルだけで安心しないようにしてください。ラベルは資料に付ける札のようなもので、SharePointの共有範囲や監査ログと組み合わせて、はじめて役に立ちます。ラベルは権限の代わりではなく、Copilotに扱わせる資料を分けるための目印になります。

ラベル想定する資料Copilotでの考え方運用の注意
公開可公開済みの会社案内、採用ページの原稿、社外に配った資料要約や下書きのもとに使いやすい公開前の資料と混ざらない置き場所にする
社内限定社内規程、手順書、全社員向けのお知らせ多くの社員がCopilotで参照してよい全社共有サイトに置く前提でも、外部共有は別に見る
部署限定人事、経理、経営、案件ごとの資料対象の部署だけがCopilotで扱うVIEWとEXTRACTの使い分けを決め、所有者を置く

自動ラベル付けは便利そうに見えますが、使えるかどうかはプランによって変わってきます。Business系のプランで使える前提にはせず、まずは手動のラベルから始めて、自社のプランでどの項目が出るかを画面で確かめましょう。

よくある失敗は、ラベル名を管理部門だけで決めてしまうことです。社員が画面で選ぶ名前が難しいと、正しく使ってもらえません。公開可・社内限定・部署限定のような普段の言葉で始めて、例外が増えてきたら後から分けるほうが長続きするでしょう。

ラベルを入れるときは、まず1つの部署で試してみるのが現実的です。経理だけ、人事だけ、営業管理だけのように、資料の種類が分かりやすい部署を選びます。1か月ほど使ってもらい、社員がどこで迷ったかを聞いてから全社に広げれば、ラベルが形だけで終わることも少なくなります。

監査ログでCopilotInteractionを検索する

導入した後の確認は、Purviewの監査ログでCopilotInteractionを検索するところから始まります。組織で監査が有効になっていれば、CopilotやAIアプリの監査のために追加の設定をする必要はないと説明されています。

検索の入口は、Microsoft Purview ポータルの監査>検索です。日付の範囲を選び、操作名にCopilotInteractionを入れて、必要ならユーザーで絞り込みます。日付の範囲ははじめ7日になっていて、記録が反映されるまでの時間は、Exchange や SharePoint などで通常60〜90分、ほかのサービスではさらに長くなる場合があるとされています。

監査ログに出てくるのは、いつ・誰が・どのアプリで・どの資料にアクセスしたかを追うための情報になります。AccessedResourcesにはファイル名やサイトURL、SensitivityLabelId(秘密度ラベルのID)などが入り、Copilotが回答を作る途中で機密情報に触れたかどうかを調べる手がかりとして使えます。Messagesには、ID、IsPrompt、JailbreakDetected(AIの制限を外そうとする脱獄の試みがあったか)などの項目があります。

ここで気を付けたいのが、プロンプトや回答の本文まで監査ログに残ると思い込まないことです。この点は、Microsoftの資料どうしで書かれている内容が食い違っています。監査ログで分かるのはいつ・誰が・どのファイルに触れたかまでと考え、やり取りの中身まで確かめるときは電子情報開示(eDiscovery)を使う、と分けておくのが安心でしょう。

監査ログを月ごとに見る場合も、最初から全件を細かく見る必要はありません。まずは、人事・経理・経営資料のあるサイトがAccessedResourcesに出ていないかを見てみましょう。出ていたとしても、権限どおりの使い方であれば問題とは限りません。社員の仕事の内容とアクセス先が合っているかを確かめてみてください。

Web検索を許している場合は、AISystemPlugin.IdがBingWebSearchになっている記録で、Web検索の利用も確かめることが出来ます。Web検索のクエリはMicrosoft 365の中の組織データとは別の扱いになるので、外部検索を許す部署を決めている会社では、ここも月に1回は見ておきましょう。

  • 検索画面を開くMicrosoft Purview ポータル(purview.microsoft.com)>監査>検索を開きます。
  • 日付の範囲を決めるはじめは7日になっています。月ごとの確認では対象の月に合わせ、記録の反映には時間差があるため、少し時間を置いてから検索します。
  • 操作名を入れるアクティビティの操作名にCopilotInteractionを入れ、必要に応じてユーザーで絞り込みます。
  • アクセス先を見るAccessedResourcesのファイル名、サイトURL、SensitivityLabelIdを見ます。
  • 中身は電子情報開示に分けるやり取りの中身まで確かめる必要があるときは、監査ログではなく電子情報開示の範囲として扱います。

保持期間も、社内規程に書ける形にしておきたいところです。監査(Standard)は最初から有効になっていて、保存期間は180日間とされています。監査(Premium)では最大1年まで延ばせて、10年の保持はアドオンで付けられます。社員から履歴について聞かれたときに、会社側で何日分まで追えるのかを答えられるようにしておきましょう。

月ごとの見直しでは、まずCopilotInteractionの件数だけを見ていきます。前の月より急に増えた部署があれば、仕事で使い始めたのか、特定の資料を何度も要約しているのかを確かめます。件数が増えたことだけで判断せず、アクセス先がその部署の仕事に合っているかを見てください。

次に、AccessedResourcesに出てくるサイトURLを部門ごとに並べてみます。人事のサイトや経営資料のサイトが、思わぬ部署の利用者に出てきていれば、共有範囲かラベルの設計を見直す合図となります。権限を直したら、翌月の監査ログで同じサイトが出なくなったかも確かめておきましょう。

監査ログは、社員を疑うためだけの道具ではありません。権限の直し漏れやラベルの設計ミス、Web検索の使い方、部署ごとの利用のかたよりを見つける材料にもなります。見つかったことを責めるのではなく、翌月の権限の見直しに戻す運用にすれば、現場も報告しやすくなるでしょう。

履歴は会社にバレるかを表で答える

社員からよく出てくるのが、Copilotの履歴は会社に見られるのか、という質問です。答えとしては、ユーザーはマイ アカウント ポータルからCopilotの利用履歴(プロンプトと回答)を削除できますが、会社の側には監査ログや保持、電子情報開示のしくみがある、となります。

ここをあいまいにすると、社員は監視されていると感じてしまうか、反対に何をしても消せると誤解してしまいます。履歴・監査ログ・電子情報開示の役割を分けて、それぞれ短く伝えてあげてください。

社員の疑問答え管理者が説明する言い方
自分の履歴は消せますかユーザーはマイ アカウント ポータルからCopilotの利用履歴を削除できます画面上の履歴は整理できますが、会社の保持や調査のしくみとは別のものです
管理者は何が分かりますか監査ログでは、誰がいつCopilotを使い、どの資料に触れたかを追えます監査ログは操作とアクセス先を見るためのものです
プロンプトの本文も見られますか監査ログに本文まで残るとは考えないほうが安全です。中身の確認は電子情報開示の範囲として扱います必要な調査では、決められた手順で中身を確かめる場合があります
削除したら会社からも消えますかユーザー側の削除と、会社の保持ポリシーや電子情報開示は別に扱われます削除の操作ですべての記録が消えるとは考えないでください
どれくらい残りますか監査(Standard)は既定で180日間です。Premiumやアドオンで変わります会社の契約と保持の設定に沿ってお答えします

社員に説明するときは、最初に監査の目的を伝えましょう。個人の会話をのぞくためではなく、情報漏洩や誤った共有、権限の直し漏れを調べるためのものです。個人データを扱う従業者のモニタリングについて、個人情報保護委員会のQ&Aでは、目的を社内規程などで定めて従業者に示し、責任者と権限、運用のルールを決めておくことが挙げられています。

実際の運用では、監査ログを見る人を限っておくことが大切になります。総務の全員が見られる状態にしてしまうと、履歴の扱いそのものがリスクになってしまいます。「監査ログ」か「監査ログの表示専用」の役割を持つ方を絞り、検索した理由・日付・対象のユーザー・確認した結果を残しておきましょう。

社員が個人情報や取引先の情報を入れてしまったときの最初の動きも、決めておくと安心です。まず本人に履歴の削除を案内し、管理者へ報告してもらいます。次にPurviewで保持の設定やアクセス先を確かめ、必要であれば電子情報開示の手順に進みます。最後に、同じ情報を入れないよう社内への周知に戻ってください。

このとき本人を責めすぎると、次からは報告が上がってこなくなってしまいます。Copilotは仕事の道具なので、使いながら覚えていく部分もあるでしょう。報告してくれた方を責めないこと、入れてはいけない情報を短く書いておくこと、困ったときの連絡先を決めておくことが、同じことをくり返さないための近道になります。

DLP・MFA・無料版・社員教育を短く押さえる

権限・秘密度ラベル・監査ログを軸にしたうえで、DLP、ID保護、無料版との違い、ガイドラインも短く押さえておきましょう。どれも深く入ると長くなるので、ここでは管理者が最初に決めることだけに絞ってお伝えします。

DLPポリシーは暫定保護として短く使う

DLPポリシー(情報漏洩を防ぐための設定)は、機密情報が思わぬ場所に出ていくのを抑えるしくみになります。Copilotの展開ガイダンスでは、過剰共有を直すまでの暫定の保護として、Copilot向けのDLPが挙げられています。DLPを入れれば共有の設計はいらない、とは考えないでください。

社員10〜200名の会社では、最初から細かいDLPを作り込むより、対象を絞ったほうが現実的です。人事・経理・契約・顧客リストのように、漏れたときの説明が重いものから始めましょう。検知が多すぎると、管理者がアラートを見なくなってしまいます。

入力データは基礎LLMの学習に使われない

Entraアカウントでサインインして使うCopilot Chat(Basic)、Microsoft 365 Copilot(Basic)・(Premium)は、エンタープライズ データ保護(EDP)で守られると説明されています。Microsoft Graph経由でアクセスされるプロンプト・回答・データは、基礎LLMの学習には使われない扱いとなります。ただし、何を入力してもよいという意味ではありません。保存されたデータは暗号化され、管理者はコンテンツ検索やMicrosoft Purviewで表示・管理でき、Purviewで保持ポリシーを設定することも出来ます。学習に使われないことと、会社の管理の対象として残ることは、別のお話です。

ID保護はMFAと条件付きアクセスから見る

ID保護については、強いID確認、必要最小限の権限、継続的な評価といったゼロトラストの考え方が示されています。条件付きアクセスのおすすめ設定としては、E3を前提に、管理者に多要素認証(MFA)を求めること、すべてのユーザーにMFAを必須にすること、古い認証方式(レガシー認証)をブロックすることが並びます。このおすすめはE3を前提にしたものなので、Business Premiumの会社は自社のプランと画面で確かめておきましょう。

少なくとも、Copilotを配る社員と管理者のMFAは後回しにしないでください。アカウントを乗っ取られてしまうと、Copilot以前に、Microsoft 365の中のデータそのものに入られてしまいます。

無料版・個人向けと法人向けプランの違い

無料版や個人向けの使い方と、法人向けに管理された使い方とでは、会社が把握できる範囲が変わってきます。Copilot Chat(Basic)はWebのデータだけを根拠にしていて、Microsoft Graphにはアクセスできないと整理されています。組織の資料を使うには、貼り付ける、ファイルをアップロードする、TeamsやOutlookで開いている内容を対象にする、組織データにアクセスできる従量課金のエージェントを使う、のどれかが必要になります。

法人向けの管理では、ライセンス・役割・監査・保持・Web検索の許可などを会社側で決めます。社員が個人の判断で使うAIは、会社の権限設計やPurviewの外へ出てしまいます。便利だからと黙って見過ごすのではなく、会社として認める範囲と禁止する範囲を分けておきましょう。

無料で使える入口を、すべて否定する必要はありません。試しに触ってみたり学んだりするのには役立ちますが、業務のデータを扱う段階では、誰が使い、どの設定で守られ、いつ止められるのかを会社が説明できる形に移す必要があります。社員には、便利かどうかではなく、業務の情報を入れてよい場所かどうかで判断してもらうとよいでしょう。

ガイドラインと社員教育は短い文で始める

ガイドラインは、長いPDFにするとなかなか読んでもらえません。Copilotを入れるときは、入れない情報、使ってよい資料、履歴と監査のこと、困ったときの連絡先を短く書くところから始めましょう。社員教育も年に1回の研修で終わらせず、よくある入力の例を毎月更新していくと伝わりやすくなります。

周知文は、次のような短い形で充分です。社内での呼び方に合わせて、置き換えてお使いください。

Copilotは業務で使ってよいAIです。ただし、社員本人が見られるMicrosoft 365内の資料をもとに回答します。人事評価、給与、未公開の取引条件、個人情報など、入力や要約に迷う情報は入れないでください。利用状況は会社の監査ログで確認する場合があります。誤って機密情報を入れたときは、履歴削除だけで終わらせず、管理者へ連絡してください。

最後に、Copilot以外のAIも同じルールに入れておきましょう。社員がChatGPT・Claude・Geminiなどを個人のアカウントで使うと、Microsoft 365の権限設計やPurviewの管理の外に出てしまいます。Copilotをどれだけ整えても、別のAIに業務の情報が流れていれば、会社として説明するのは難しくなるでしょう。

この問題は、禁止するだけではなかなか解決しません。社員がAIを使いたい理由が調べもの・下書き・要約・資料作りにあるのなら、会社が使ってよい環境を用意するほうが現実的です。会社が認めた環境に集めるほど、ルール・ログ・権限の説明もそろえやすくなります。

よくある質問

最後に、管理者と社員の両方から出やすい質問をまとめました。社内で説明するときのたたき台として、そのまま使ってみてください。

Microsoft 365 Copilotは社員が見られないファイルまで探しますか?
いいえ、探しません。Copilotは、ユーザー一人ひとりが少なくとも表示の権限を持っている組織データだけを表示すると説明されています。問題になりやすいのは、Copilotが勝手に権限を広げることではなく、SharePointやTeamsの共有がもともと広すぎることのほうです。
Copilotの履歴は会社に見られますか?
ユーザーは、マイ アカウント ポータルからCopilotの利用履歴を削除することが出来ます。一方で、会社の側には監査ログ・保持ポリシー・電子情報開示のしくみがあります。監査ログは主に、誰がいつ使い、どの資料に触れたかを確かめるためのものと説明しておくとよいでしょう。
監査ログにプロンプト本文まで残りますか?
本文まで残るとは考えないほうが安全です。Microsoftの資料どうしで、この点の記述が食い違っているためです。監査ログで分かるのはいつ・誰が・どのファイルに触れたかまでと考え、やり取りの中身を確かめるときは電子情報開示(eDiscovery)を使う、と分けておきましょう。
Business系のMicrosoft 365でもSAMやDSPM for AIは使えますか?
使えるとは言い切れません。SharePoint高度な管理(SAM)の前提ライセンスの一覧にはE系のプランが並び、Business系は載っていません。DSPM for AIもふくめて、管理センターに項目が出るかを提供元や販売店に確かめてから、社内の手順に入れるのが安全です。
秘密度ラベルを付ければ過剰共有は解決しますか?
ラベルだけでは解決しません。秘密度ラベルは資料の扱いを分ける目印になりますが、SharePointやTeamsの共有範囲そのものを直す作業は別に必要です。Copilotを入れる前は、過剰共有を見つける、暫定で隠す、所有者に直してもらう、暫定を外す、の順で進めるのがおすすめです。

まとめ

Microsoft 365 Copilotのセキュリティは、権限・秘密度ラベル・監査ログの3点で見ると整理しやすくなります。Copilotは社員が見られる範囲だけを参照するため、最初に直すのはAIの回答ではなく、SharePoint・Teams・OneDriveの共有の広さです。

会社が把握していないIT全般をどう見つけて減らすかは、シャドーITとは?シャドーAIとの違いと会社での見つけ方で整理しています。会社でCopilotを使うときの費用は、Microsoft 365 Copilotの料金で整理しています。情報漏洩を防ぐために会社が確かめる条件は、AI・生成AIの情報漏洩対策にまとめています。

導入前は、Microsoft 365 管理センターのCopilot>概要>セキュリティ、SharePoint 管理センターのデータ アクセス ガバナンス、Purviewの秘密度ラベルを見てみてください。リスクの高いサイトは制限付きコンテンツ検出で一時的に隠し、サイトの所有者に共有を直してもらって、直ったら制限を外しましょう。

導入後は、Purviewの監査>検索でCopilotInteractionを追っていきます。監査ログではいつ・誰が・どのファイルやサイトに触れたかを確かめ、やり取りの中身が必要なときは電子情報開示に分けて扱います。社員には、履歴の削除と会社側の保持、監査の目的を短く伝えておけば安心でしょう。

法人のAI活用についてのほかの記事は、AI活用コラム一覧にまとめています。Copilotの外で起きる野良AIへの対策は野良AI(シャドーAI)、社内ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインも参考になります。

Copilotの外に出るAI利用も、会社でそろえる

Copilotの管理は、Microsoft 365の権限設計とPurviewの上に成り立っています。社員がCopilot以外のAIを個人で使うと、その管理の外に出てしまいます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で使える法人向けサービスです。管理者ダッシュボードで、利用ログ・権限・モデルのON/OFFを扱うことが出来ます。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

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