Gemini無料版の制限。10月9日からの変更と仕事で困る場面

Gemini無料版の制限とは、Googleの有料プラン(Google AI Plus・Pro・Ultra)に入っていない個人アカウントに掛かる、使えるモデルと使用量の上限のことです。Googleの公式ヘルプは、2026年10月9日から、AIサブスクリプションを使っていない個人アカウントで選べるモデルはFlash-Liteだけになると告知しています。社員が無料版で回している議事録の要約や長い資料の読み込みは、答えの質や扱える長さが変わる可能性があります。仕事用アカウント(Google Workspace)への扱いは告知に書かれていないため、会社として何を確かめ、どこまで無料版を許すかを順に見ていきましょう。

上限がいつ戻るかや、仕事用アカウントの上限の数字はGeminiの制限はいつ戻るか(仕事用アカウントの上限と対処)で詳しく扱っています。有料プランの料金や機能の全体像は、Gemini有料版とは?無料版との違い・料金・会社での選び方をご覧ください。

10月9日から何が変わる?公式ヘルプの告知

10月9日の変更で、AIサブスクリプションのない個人アカウントがGeminiアプリで選べるモデルは、Flash-Liteの1つに絞られます。告知が出ているのは、Geminiアプリヘルプの「Gemini モデルへのアクセスと使用量上限の変更」というページになります。原文には「2026 年 10 月より、個人アカウントで Gemini アプリを使用する場合に利用可能なモデルが変更されます」と書かれています。

適用の時期は、プランによって分かれます。AIサブスクリプションを使っていないユーザーには10月9日から適用され、AI Plusの利用者には、いつから適用されるかを説明するメールが届く予定とされています。同じページの表を見ると、変更後に選べるモデルは次のように整理することが出来ます。

  • プランなし(無料):Flash-Liteのみ
  • Google AI Plus(月725円):Flash-LiteとFlash
  • Google AI Pro(月2,900円):Flash-Lite、Flash、Pro
  • Google AI Ultra(月14,500円から):Flash-Lite、Flash、Pro

無料版から外れるのはFlashとProの2つで、AI PlusでもProは選べない形です。同じページには、モデルごとにエフォートレベルを低・中・高から選べるとも書かれています。レベルを上げると答えは詳しくなる一方で、使用量の上限も早く減ってしまいます。AI ProとAI Ultraでは、並列で推論するDeep Thinkも選べるとされています。無料のままProを使う前提で組んだ作業は、10月9日を境に見直しが必要になります。

料金ページとモデル一覧のヘルプは、まだ変更前の表示

告知とは別に、Google公式の料金ページ(gemini.google/jp/subscriptions)の無料欄は、2026年10月4日の時点で「3.6 Flash へのアクセス」「3.1 Pro へのアクセス(制限あり)」という表示でした。これは10月9日の変更前の内容で、無料でもPro系のモデルを量を絞って使える、という以前の仕組みを示しています。プラン別の違いをまとめたヘルプ(回答ID 16275805)のモデル表も、同じ日の時点ではプランなしでFlash-Lite・Flash・Proのすべてに印が付いた旧表のままでした。社員から、無料でもProが使えると書いてあったと言われたら、どのページを見たのかを確かめてみてください。10月9日以降の無料版のモデルは、告知のページ(回答ID 17004136)の表で判断するのが確実でしょう。

※モデルの告知はGemini アプリ ヘルプ「Gemini モデルへのアクセスと使用量上限の変更」(support.google.com/gemini/answer/17004136)、料金はGoogle公式の料金ページ(gemini.google/jp/subscriptions)の表示で、どちらも2026年10月4日時点の内容です。料金ページには税込・税別の記載がないため、本記事では表示の金額をそのまま書いています。AI Ultraは料金ページで最小構成価格として月14,500円と表示されています。

5月17日の変更と、今回の変更の違い

2026年5月17日の変更は、使用量の上限をコンピュート量に基づく上限に移行し、上限の数え方を5時間ごとと週単位の2段にしたものでした。今回の告知は、プランごとに選べるモデルを分ける内容で、上限の仕組みの変更には触れていません。5月以降の無料版は、Proも選べるかわりに、重い使い方をすると早く上限に当たる形でした。10月9日からは、無料版ではProを選ぶこと自体が出来なくなり、上限の範囲で回せる作業の種類が変わってしまいます。社内で5月の変更のときに決めた運用があれば、モデルの前提が変わる点を含めて見直してみてください。

対象は個人アカウント、仕事用アカウントへの扱いは書かれていない

17004136の告知は、冒頭で個人アカウントでGeminiアプリを使う場合の変更だと書いています。会社が契約するGoogle Workspaceの仕事用アカウントに同じ変更が及ぶかどうかは、2026年10月4日時点でこのページに記載がありません。ITmedia NEWSも2026年10月4日の記事で、今回のモデル変更は個人アカウントが対象だと報じています。仕事用アカウントの扱いは、管理者がGoogleからの案内や管理コンソールの表示で確かめる前提で考えるのが安全でしょう。同じ記事は、無料版のGemini自体が使えなくなるわけではないとも伝えており、使えなくなるのはFlashとProを選ぶ自由の部分になります。

無料版の制限の中身:使用量・扱える長さ・使える機能

無料版の制限は、モデルの種類だけでなく、使用量の上限と一度に扱える長さにも掛かっています。使用量の上限は2026年5月17日から、コンピュート量(処理に使う計算の量)に基づく上限に移行しました。上限は5時間ごとにリセットされ、それとは別に週単位の上限もあります。同じ1回の質問でも、プロンプトが複雑だったり、チャットが長くなっていたりすると、その分だけ多く数えられてしまいます。18歳未満のユーザーには、同じ変更が2026年7月24日に適用されたとヘルプに記載されています。

公式ヘルプが、使用量が多くなるものとして挙げているのは次の4つになります。

  • メディア生成(画像、動画、音楽)
  • Deep Research
  • Proモデル
  • 拡張思考とDeep Think

プランごとの上限は、プランなしを標準として、AI Plusが標準の2倍、AI Proが標準の4倍とされています。AI Ultraの倍率はヘルプのページによって書き方が違うため、ここでは数字を挙げません。上限が予告なく変わることがある点も、ヘルプにははっきり書かれています。上限が変わるときは、プランを使っていないユーザーのほうが先に制限される場合があるとも書かれているため、無料版の使い勝手は今後も動くと見ておくと安心でしょう。無料版の上限は回数で決まっておらず、重い使い方ほど早く尽きる仕組みです。

一度に読める長さは、無料版が32,000トークン

一度の会話で扱える長さ(コンテキストウィンドウ)は、プランなしで32,000トークン、AI Plusで128,000トークン、AI ProとAI Ultraで100万トークンとなります。トークンはAIが文章を読むときの単位で、ヘルプは100万トークンで最大1,500ページのテキストを理解できると説明しています。単純な比例で割ると、32,000トークンは約48ページ分にあたる計算です。実際に読める量は文章の中身で変わるため、目安として捉えておきましょう。数十ページの契約書や規程を何本もまとめて読ませる使い方は、無料版の長さでは収まりにくいと考えられます。

無料でも使える機能、使えない機能

プラン別の違いを示すヘルプの機能表(2026年9月16日に確認)では、プランなしでもCanvas・Gem・Deep Research・画像生成などに使える印が付いていました。一方で、動画生成・時間指定アクション・今日のまとめ・上位モデルでの画像の再生成は、プランなしでは使えません。Deep Researchのように計算量の多い機能は、プランがない場合、需要が高い時間帯に使えないことがあるとも書かれています。機能の一覧に載っていても、締め切りのある仕事で当てにできるとは限らない点に注意してください。

GemやCanvasのように、指示や作りかけの文書を残しておける機能は、無料でも使い続けられる便利な部分です。ただし、Gemに書いた指示や参考の資料も、個人アカウントの中に置かれる点は変わりません。部署の手順書や取引先の一覧をGemに入れて使い回している社員がいないかも、あわせて確かめておくとよいでしょう。

2026年9月18日に確認したファイルのアップロードのヘルプでは、同じプロンプトに添付できるファイルは最大10個で、動画は1ファイル2GB、そのほかの形式は各100MBまでとされていました。数字の上ではファイルを添付できても、読み込める長さは先ほどの32,000トークンの範囲に収まる必要があります。添付できることと、全部を読んで答えられることは別の話だと捉えておくとよいでしょう。

10月9日以降、仕事で困るのはどこから?

困りやすいのは、無料版でProを選んで回していた、長い文章を読ませて考えさせる作業です。Googleの説明では、Proは使用量を多く使う側のモデルに挙げられており、変更後の無料版ではそもそも選べなくなります。一方で、公式ヘルプにはFlash-Liteと他のモデルの差を業務ごとに示した記載はないため、どの作業がどれだけ落ちるかを数字で言うことは出来ません。ここでは、公式の説明から言える範囲で、影響が出そうな場面を業務ごとに見ていきます。

変更の前に感触を確かめたい場合は、いま無料版で回している作業を1つ選び、モデルの選択でFlash-Liteを指定して同じ指示を出してみてください。モデル表の旧版では、プランなしでもFlash-Liteに使える印が付いていました。答えの長さや細かさがどこまで変わるかを社員と一緒に見ておくと、10月9日以降に困る作業を先に洗い出せます。

長い資料の読み込みと要約

数十ページの契約書や規程、決算書の注記などを丸ごと読ませる使い方は、扱える長さが32,000トークンの無料版では、もともと分割が必要な長さになります。10月9日からはProも選べなくなり、分割した資料の前後の突き合わせの精度は落ちる可能性があるため、最後は使う方が自分の目で確かめる前提にしておくと安心です。章ごとに要約させてから全体をまとめ直す、といった手間が増える場面も出てくるでしょう。長い資料を扱う仕事が多い部署ほど、影響を先に確かめておきましょう。

会議の録音や動画を読ませる作業

同じファイルのアップロードのヘルプでは、動画は合計5分まで、音声は合計10分までで、Google AI ProとUltraではそれぞれ合計1時間、合計3時間まで広がると説明されていました。1時間の会議を録音したファイルは、無料版ではそのまま読ませられない長さになります。録音から議事録を作る作業を無料版に頼っていた部署は、書き起こしを別の手段で用意するか、会社の環境に移すかを決めておきましょう。発言者の名前や社外の方の発言が入る録音は、長さの前に、個人アカウントに入れてよいかという問題も抱えています。

データ分析や複雑な計算の確認

売上データの傾向を読む、複数の条件で計算を組み立てるといった考える工程の多い作業も、Proや拡張思考を前提にしていた場合は答えの組み立てが変わる可能性があります。エフォートレベルを高にすれば詳しい回答を返すとされていますが、そのぶん上限も早く減ります。無料版で出た数字は、元のデータと照らし合わせてから使うようにしてください。そもそも顧客別の売上表のように社外に出せないデータは、モデルの性能以前に、無料版へ入れない扱いにするのが筋でしょう。

社内規程の確認や問い合わせへの回答づくり

就業規則や経費精算のルールを貼り付けて、社員からの質問への答えを作らせる使い方は、総務の仕事では考えやすい場面の1つです。規程が長くなると、32,000トークンに収めるために必要な章だけを切り出す手間がかかります。社員の個人名が入った問い合わせ文をそのまま貼ると、次の節で見る情報の扱いの問題にもつながってしまいます。規程そのものが社外に出ても困らない内容なのか、まず確かめてから使い方を決めてみてください。

画像・動画の作成

画像生成は無料でも使えるものの、メディア生成は使用量を多く使う側に入っています。動画生成はそもそもプランなしでは使えないため、販促用の動画を無料版で作る前提の計画は成り立ちません。画像を何枚も作り直す作業は、5時間ごとの上限に早く当たりやすいと考えておくとよいでしょう。チラシやバナーを無料版で量産する予定があるなら、上限に当たったときの代わりの手段まで決めておくと安心です。

メールの下書きや短い文章の手直し

短いメールの下書き、言い回しの手直し、箇条書きの整理といった軽い作業は、無料版でも続けやすい部類になります。ただし、入力する文面に取引先名や金額が入るなら、モデルが変わっても情報の扱いの問題は残ります。社内向けのお知らせ文の言い換えのように、外に出ても困らない文章なら無料版でも十分に回せるはずです。この線引きを、次の節で詳しく見ていきましょう。

無料版に入れてはいけない情報

個人アカウントのGeminiアプリでは、入力した内容の一部を人間のレビュアーが確認することがあると、Googleのプライバシーハブに書かれています。レビュアーに見られたくない機密情報や、機械学習技術などの改良に使われたくない機密情報は入力しないよう求める一文が、同じページにあります。ここでいうレビュアーには、トレーニングを受けたGoogleのサービスプロバイダのレビュアーも含まれると説明されています。社員の画面からは、どのチャットが確認の対象になったかを知ることは出来ません。

保存期間にも注意が必要です。アクティビティの自動削除は既定で18か月で、3か月・36か月・無期限に変えられます。人間のレビュアーが確認したチャットは、アクティビティを削除しても最長3年間残ります。アクティビティの保存をオフにしても、今後のチャットは応答やフィードバックの処理などのために72時間はアカウントに保持されるとされています。設定を切り替えれば何も残らない、という理解で社員が使っている場合は、周知の中身を直す必要が出てきます。プライバシーハブには無料か有料かで扱いを分ける記載がないため、AI Proを個人で契約しても、この点は変わらないものとして考えておきましょう。

無料版(個人アカウント)に入れない情報の一覧

  • 顧客・取引先の個人情報氏名、住所、電話番号、メールアドレス、口座番号など。個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日)で、個人データを含むプロンプトを入力する場合は、利用目的の範囲内か、機械学習など応答以外の目的で扱われないかを十分に確認するよう求めています。
  • 社員の人事評価・給与・面談の記録本人に見せる前提で書かれていない情報は、社外の誰かが目にする可能性のある場所に置かない扱いにします。
  • 公開前の決算・業績・資金調達・人事異動発表前の数字や計画は、要約や言い換えのためであっても入れないようにします。
  • 契約書の原文と、交渉中の条件取引先との契約に秘密保持の条項がある場合は、相手の情報を第三者のサービスに渡すことになりかねません。
  • 顧問先・委託元から預かった資料預かった資料の扱いは、預けた側との契約で決まります。会社の判断だけで個人アカウントに入れてよいものではありません。
  • パスワード・APIキー・社内システムの設定情報エラーの原因を聞くつもりで設定ファイルを丸ごと貼り付けると、認証情報まで一緒に渡してしまいます。
  • マイナンバーや健康診断の結果など、扱いの決まりが特に厳しい情報社内規程で扱える人が限られている情報は、AIに入れる前提そのものを置かないようにします。

迷ったときの目安は、その文面を社外の人に見られても困らないかどうかになります。困るなら、無料版でも有料の個人プランでも入れないと決めておきましょう。個人アカウントに業務の情報が入る経路の全体像は、生成AIの情報漏洩リスクと対策でも整理しています。

うっかり業務の情報が入りやすい場面

入れてはいけない情報は、わざと入れなくても、気づかないうちに混ざる形で入ってしまいます。メールの文面を整えてもらうつもりで返信の履歴ごと貼ると、相手の署名にある氏名・電話番号・住所まで一緒に入ります。表計算のファイルを丸ごと添付するときは、画面に出していない列やシートに顧客の情報が残っていないかを確かめてください。画面のスクリーンショットを貼る場合も、通知やタブの名前に取引先名が写っていないかを見ておきましょう。社員に注意を促すときは、入れてはいけない情報の名前を並べるだけでなく、こうした混ざり方の例を添えると伝わりやすくなります。

社員が個人でAI Proを契約すると、会社には何が起きるか

無料版が不便になると、仕事を回すために社員が自分のお金で有料プランに入る流れが起きやすくなります。Google AI ProとAI Ultraの利用には、自身で管理する個人のGoogleアカウントが必要だと、料金ページのよくある質問に書かれています。この説明どおりなら申し込みは個人アカウントで行うことになり、業務の会話も社員個人のアカウントに積み上がっていってしまいます。

個人契約を経費で精算すると、いくらになるか

2026年10月4日時点の料金ページの表示は、AI Plusが月725円、AI Proが月2,900円です。社員10人がそれぞれAI Proを個人で契約し、会社が経費で精算すると、月2,900円×10人で毎月29,000円、1年では348,000円の出費となります。AI Plusでそろえた場合でも、月725円×10人で毎月7,250円、1年で87,000円が出ていく計算です。料金ページには税込・税別の記載がないため、ここでは表示どおりの金額で計算しています。金額そのものより困るのは、誰がどのプランに入っていて、いつ解約したのかを会社が把握しにくくなる点でしょう。

人数を広げて計算すると、AI Proの個人契約は30人で毎月87,000円・1年で1,044,000円、50人なら毎月145,000円・1年で1,740,000円になります。人数に比例して増える形なので、全員に配るほど精算の件数と金額がそのまま膨らんでしまいます。1人分では小さな金額でも、会社の出費として並べると、ほかのソフトの契約と同じ目線で見直す対象になるでしょう。

料金ページの説明では、解約はいつでも出来る一方で、残りの請求対象期間の払い戻しは、法律で義務付けられている場合を除いて行わないとされています。退職や異動のたびに、精算した契約の後始末を総務が個人に頼む形が続いてしまいます。精算のたびに領収書を確かめる手間も、人数に比例して増えていきます。

AI Plusで足りる作業、足りない作業

AI Plusは月725円で、使用量の上限が無料版の2倍、一度に扱える長さが128,000トークンになります。100万トークンで最大1,500ページという説明から単純な比例で割ると、128,000トークンは約192ページ分にあたる計算です。長さの面では無料版より余裕がある一方で、変更後の表ではAI PlusでもProは選べません。Proを前提にしていた考える工程の多い作業は、AI Plusに入っても戻らない点に気をつけてください。個人アカウントである点も変わらないため、情報の扱いは無料版と同じと考えておくのが安全です。

会社から見えないところで起きること

個人契約が増えると、会社が契約していないAIを業務で使う、いわゆる野良AI(シャドーAI)の状態になります。会話の履歴は社員個人のアカウントに残るため、退職したあとに業務の会話を会社が消したり引き継いだりする手段がありません。学習やレビューの設定も本人任せになり、会社としては同じ水準で守られているか確かめようがない状態が続きます。経費で精算していると、会社が個人契約を事実上認めている形にもなるため、精算の扱いと利用のルールは一緒に決めておきましょう。無料版の制限が強まるいまは、社員が自分で解決しようとして、こうした個人契約に流れやすい時期でもあります。

社員の個人契約が増える前に、会社で使う環境を1つに

業務の会話を個人のアカウントに散らさないために、会社が契約する環境を先に用意する方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

仕事用アカウント(Google Workspace)なら何が違うか

会社が契約するGoogle Workspaceの仕事用アカウントでは、データの扱いと上限の決まり方が、個人アカウントとは別の決まりになります。仕事用・学校用アカウント向けのヘルプには、チャットの内容やアップロードしたファイルが、人間のレビュアーに確認されたり生成AIモデルの改良に使われたりすることはないと書かれています。アクティビティの保存は既定でオンで、オフに出来るのはWorkspaceの管理者だけです。会話履歴は既定で18か月保存され、管理者が3か月・18か月・36か月の自動削除や履歴のオフを選ぶことが出来ます。

上限の数え方も個人とは違い、Business StandardやBusiness Plusなどでは、Proが4時間あたり最大25件、思考モードが1日あたり最大300件と、2026年9月19日時点のヘルプでは件数で示されています。Business Starterなどは、上限が変更・制限される場合があるという注記付きの扱いです。上限を上げたいときは、社員が自分で有料プランに入るのではなく、管理者がライセンスを変える形になります。会社の管理の下で上限を広げられる点が、個人契約との大きな違いでしょう。

Workspaceの管理者が設定・確認できること

Workspaceでは、管理コンソールの[生成 AI]>[Gemini アプリ]から、組織部門やグループごとにGeminiアプリのオンとオフを切り替えることが出来ます。設定の反映には最長24時間かかる場合があるため、切り替えは余裕をもって進めるのがよいでしょう。使用状況レポートでは、過去28日間に上限に達したユーザーの数や、ユーザーごとの上限到達日数を確かめられます。ユーザーが自分でチャットを削除したり、公開リンクを作ったりできない点も、個人アカウントとの違いになります。誰がどれだけ使い、どこで足りなくなっているかを会社の側で見られる点は、個人契約にはない仕組みです。

上限に当たる社員が特定の部署に集まっているなら、その部署だけライセンスを見直すといった判断も、この数字から組み立てることが出来ます。社員の声だけで有料化を決めるより、28日分の記録を見てから決めるほうが、費用の説明もしやすくなるはずです。

10月9日の変更は、仕事用アカウントにも及ぶのか

2026年10月4日時点で、17004136の告知は個人アカウントについての内容で、仕事用アカウントの扱いには触れていません。Workspaceでも無料版と同じくFlash-Liteだけになる、あるいは何も変わらない、のどちらとも、現時点では言い切れない状態です。管理者は、Googleから届く管理者向けのお知らせと、管理コンソールの表示を見て判断するようにしてください。仕事用アカウントへの扱いは、公式の案内が出るまで決めつけずに確かめましょう。社内で問い合わせを受けたときも、個人アカウントについての告知だと伝える形にとどめるのが無難でしょう。

Workspaceの料金と、個人契約との違い

Google Workspaceの公式料金ページの表示は、Business Starterが1ユーザー月800円、Business Standardが1,600円、Business Plusが2,500円で、いずれも税別・年間プランの価格です。GeminiアプリでのAIとのチャットはStarterから使え、ドキュメントやスプレッドシートなどへのGeminiの組み込みはStandard以上という区分になります。10人でBusiness Standardを使う場合、月1,600円×10人で毎月16,000円(税別)となり、メールやドライブを含むWorkspace全体の費用でもある点が、AI Proの個人契約とは性格が違います。個人契約の29,000円と単純に比べるのではなく、会社が管理できる環境に払うお金かどうかで見比べてみてください。

Google AIの料金ページには、ビジネスアカウントや仕事用アカウント向けのAIとして、Gemini Enterprise appを案内する一文も載っています。個人向けのプランとは別に、会社向けの入口が用意されている形です。どの契約が合うかは、使う人数と、ドキュメントやスプレッドシートの中でGeminiを使いたいかどうかで変わってくるでしょう。

Business Starterで足りるか

いちばん安いBusiness Starterでも、GeminiアプリでAIとチャットすること自体は出来ます。一方で、仕事用アカウント向けのヘルプでは、Starterなどの上限は変更・制限される場合があると注記されており、StandardやPlusのように件数がはっきり示されているわけではありません。ドキュメントやスプレッドシートにGeminiが組み込まれるのもStandard以上の区分です。チャットで短い作業をする程度ならStarterで様子を見て、長い資料や上限が気になる部署だけ上のエディションを検討する、という順番も考えられるでしょう。

※仕事用アカウントの内容は、Gemini アプリ ヘルプの仕事用・学校用アカウント向けページ(support.google.com/gemini/answer/14620100)で、データの扱いは2026年10月3日、上限は2026年9月19日に確認したものです。Workspaceの料金は2026年10月3日時点で公式の料金ページに表示されている通常価格で、期間限定の割引は含めていません。

業務別の判断表:無料版・AI Plus・AI Pro・仕事用アカウント

業務に使えるかどうかは、モデルの性能より先に、入れる情報と扱う長さで決まります。次の表は、ここまでの公式の説明をもとに、業務のタイプごとの向き不向きを整理したものです。性能の比較ではなく、会社として許すかどうかの目安として使ってみてください。

業務無料の個人アカウント(10月9日以降)AI Plus(月725円・個人)AI Pro(月2,900円・個人)仕事用アカウント(Workspace)
社外に出ても困らない文の言い換え・一般的な調べもの使える使える使える使える
取引先名や金額が入るメールの下書き入れない(レビュアーの確認対象になりうる)入れない(個人アカウントの扱いは同じ)入れない(同上)会社のルールの範囲で使える
発言者名や社外秘が入る議事録の要約入れない。音声は合計10分まで入れない入れない。音声は合計3時間まで会社のルールの範囲で使える
長い契約書・規程の読み込み32,000トークン。Proは選べない128,000トークン。Proは選べない100万トークン。Proを選べる(原文は入れない)Proの件数上限はStandard以上で明記(2026年9月19日時点)。10月9日以降の扱いは管理者に確認。原文を入れるかは会社のルール次第
社内規程を貼った問い合わせへの回答づくり規程が社外に出ても困らない内容なら使える。社員の個人名は入れない同左(長い規程も収めやすい)同左会社のルールの範囲で使える
Deep Researchでの下調べ使える(需要が高い時間帯は使えないことがある)使える使える管理者に確認
売上・顧客データの分析顧客データは入れない同左同左会社のルールの範囲で使える
画像の作成使える(上限に早く当たりやすい)使える使える管理者に確認
動画の作成使えない使える使える管理者に確認
会社が利用状況を把握できるかできないできないできない管理コンソールで把握できる

表で個人アカウントの3列が同じ扱いになっている行は、お金を払っても情報の扱いが変わるという記載がない部分です。有料の個人プランで変わるのはモデルと上限と長さで、情報の扱いが変わるという記載はありません。プランを上げて解決するのは、この3つだけだと覚えておきましょう。どの個人プランが合うかを料金と機能から選ぶ話は、Gemini有料版とは?無料版との違い・料金・会社での選び方に任せ、ここでは会社として許す範囲だけを決めていきます。

表の中で迷いやすいのは、AI Proの列でしょう。長さもモデルも足りるため、仕事にそのまま使えそうに見えてしまいます。ただし個人アカウントである以上、入れてよい情報の範囲は無料版と同じです。社外に出せない資料を長いまま読ませたい場合は、個人のAI Proではなく、会社の管理下にある環境で行う形を考えてみてください。

表の仕事用アカウントの列で管理者に確認としている行は、エディションや管理者の設定で使える範囲が変わる可能性がある部分です。社内で表を使うときは、この列を自社の設定に合わせて埋めてから配ると、社員が迷いにくくなるでしょう。

会社としての判断の流れ:許す・止める・移す

判断表を社内のルールに落とすときは、作業を3つに分けて考えると決めやすくなります。分け方の軸は、入れる情報が社外に出ても困らないかどうかと、長い資料や考える工程が要るかどうかの2つです。

  1. 社外に出ても困らない情報だけで済む短い作業は、無料版での利用を許してもよいでしょう。言い換え、一般的な調べもの、公開済みの資料の要約などが当てはまります。
  2. 取引先・顧客・社員の情報や公開前の数字が入る作業は、無料版でも有料の個人プランでも止めましょう。個人アカウントでは、人間のレビュアーの確認や最長3年の保存について、有料・無料で扱いを分ける記載がないためです。
  3. 業務の情報を入れたい作業や、長い資料を読ませたい作業は、会社が契約して管理できる環境へ移してください。Workspaceの仕事用アカウントか、学習に使わない設定とログを会社が持てる法人向けのサービスが候補になります。

この3つに分けると、社員に伝える内容も、使ってよい作業・使ってはいけない作業・会社の環境で行う作業の3行で収まります。線引きに迷う作業が出てきたら、入れる情報の中身で判断し、モデルや料金の話は後から考える順番にしてみてください。迷ったときは、モデルの性能ではなく入れる情報の中身で線を引きましょう。部署ごとに作業の中身は違うため、総務が1人で決めるより、各部署から使っている作業を挙げてもらうと漏れが減るでしょう。

部署ごとの当てはめ方の例

営業部門なら、提案書の言い回しの手直しは1つ目、顧客名の入った見積もりの説明文は2つ目、過去の商談記録をまとめて分析する作業は3つ目に入ります。経理部門では、勘定科目の一般的な考え方を調べるのは1つ目、取引先別の残高や未公開の決算数字を扱う作業は2つ目か3つ目になります。人事部門の場合、求人票の一般的な表現の相談は1つ目でも、応募者の書類や面談の記録は2つ目として扱うのが自然でしょう。こうして部署ごとに具体例を3つずつ並べるだけでも、社員が自分で判断しやすい周知になります。

当てはめた結果、3つ目に入る作業が多い部署ほど、無料版の制限の影響と情報の扱いの問題を同時に抱えていると考えられます。会社の環境を用意するなら、まずその部署から始めると、効果を確かめやすいでしょう。反対に1つ目の作業しかない部署は、10月9日以降も無料版のままで大きく困らない可能性があります。

社員が10人ほどの会社であれば、部署に分けるより、社員一人ひとりに最近Geminiに頼んだ作業を3つ書き出してもらうほうが早いでしょう。集まった30件ほどの作業を3つの箱に振り分けるだけで、会社としてどこに手当てが要るかが見えてきます。振り分けた一覧はそのまま周知文の具体例として使えるため、手間を二度かけずに済む点も助かります。

上限に達したときの表示と、その場でできる対処

上限が近づくとGeminiアプリに通知が出て、上限に達すると通知の内容が変わり、いつリセットされるかが分かるようになります。Google AIのサブスクリプションを使っている場合は、上限に達してもFlash-Liteで会話を続けることが出来ます。無料版でできる対処は、リセットを待つか、上限の高い有料プランに切り替えるかの2つとヘルプに書かれています。料金ページの注記には、AIクレジットを買って使用量上限を引き上げる方法の案内もあります。

ヘルプの説明は、週単位の上限に達するまで5時間ごとにリセットされる、という書き方です。週の上限に当たったときは、5時間待っても戻らないと考えておくのが無難でしょう。締め切りの前日に上限に当たると、その日のうちに作業を終えられない事態も起こりえます。

上限に早く当たりやすい使い方

公式ヘルプが使用量を多く使うものとして挙げているのは、メディア生成、Deep Research、Proモデル、拡張思考とDeep Thinkでした。無料版では10月9日からProを選べなくなるため、残る中では画像の生成とDeep Researchの使い方が上限に響きやすいでしょう。同じチャットで長くやり取りを重ねると、チャットの長さも計算に入るため、話題が変わったら新しいチャットを始めるのも1つの手になります。社員から上限にすぐ当たるという声が出たら、まずこの3点を見直すよう伝えてみてください。

使用量の確認方法

  1. パソコンのブラウザでgemini.google.comを開きます。
  2. 画面の左下にある設定アイコンを選びます。
  3. 使用量上限アイコンを選ぶと、ご利用のプランに基づく上限の状況を確かめることが出来ます。

個人アカウントの使用量は本人の画面でしか確かめられず、会社の管理者が一覧で把握する仕組みはありません。聞き取りのときは、使用量上限の画面だけを写した画像を送ってもらう形にすると、集計しやすいでしょう。仕事中に上限に当たる社員が多い場合は、どの作業で使い切っているのかを聞いてみると、無料版で回す範囲を決める材料になります。上限に当たっても、確かめていない別の無料AIに業務データを貼り直すのはやめましょう。待つ間に同じ内容を別のサービスへ移すと、情報の扱いを確かめていない場所にデータが広がってしまいます。上限に当たったときの動き方も、周知の中に一行入れておくとよいでしょう。

Google AI StudioやAPIの無料枠は、Geminiアプリとは別物

開発者向けのGoogle AI StudioやGemini APIの無料枠は、Geminiアプリの無料版とは別の仕組みで、10月9日の告知が対象にしているのはGeminiアプリになります。APIの上限は、1分あたりのリクエスト数(RPM)、1分あたりのトークン数(TPM)、1日あたりのリクエスト数(RPD)で決まり、プロジェクト単位で数えられます。データの扱いも違い、Gemini APIの料金ページでは、無料枠のコンテンツはプロダクトの改善に使用され、有料枠では使用されないとされています。社員が無料版の代わりにAI Studioで同じ作業をしようとしたら、無料枠に業務データを入れることになる点を伝えてください。APIの料金や請求の仕組みは開発の話になるため、業務で使う前に情報システムの担当者と相談してみましょう。

※Gemini APIの無料枠と有料枠のデータの扱いは、Gemini APIの料金ページ(ai.google.dev/gemini-api/docs/pricing・最終更新2026年9月12日)を2026年9月16日に確認した内容です。

AI Studioは画面がチャットに似ているため、Geminiアプリの別の入口だと受け取られがちです。実際には開発者向けの道具で、会社の管理者が利用状況を見られる前提のものではありません。社内の周知では、AI Studioも無料版と同じく業務データを入れない場所として並べておくと、抜け道になりにくくなります。AI Studioを業務で使いたいという声が出たら、その作業は会社の環境へ移す候補として扱うとよいでしょう。

Gemini無料版の制限で起きやすい5つの思い違い

社内の周知を作る前に、社員が持ちやすい思い違いを確かめておきましょう。どれも、公式の説明の一部だけを見たときに起きやすいものになります。

無料でもProが使えると書いてある

料金ページの無料欄や、プラン別のヘルプのモデル表は、2026年10月4日の時点では変更前の表示でした。10月9日以降の無料版で選べるのはFlash-Liteだけだと、告知のページで確かめてもらいましょう。

有料プランにすれば、入力した内容は誰にも見られない

人間のレビュアーによる確認や最長3年の保存は、プライバシーハブでは個人アカウント全体の扱いとして書かれています。AI ProやAI Ultraに入っても、個人アカウントである限り、この扱いが外れるという記載はありません。料金を払えば安全になる、という受け止め方は避けてもらう必要があります。

5時間待てば、いつでも元に戻る

5時間ごとのリセットは、週単位の上限に達するまでの話として書かれています。週の上限に当たった場合は、5時間を待っても使えないことがあると考えておくほうが安全でしょう。Geminiアプリの通知には、いつ上限がリセットされるかが表示されるため、まずはその表示を確かめてみてください。

会社のWorkspaceも、同じくFlash-Liteだけになる

10月9日の告知は個人アカウントについての内容で、仕事用アカウントの扱いは2026年10月4日時点で書かれていません。同じになるとも、ならないとも決めつけず、管理者向けの案内を待つ姿勢が無難になります。仕事用アカウントの上限は、もともと個人とは別に件数で示されている点も伝えておきましょう。

AI Studioなら、無料でいくらでも使える

AI StudioやGemini APIの無料枠にも、リクエスト数やトークン数の上限があります。Gemini APIの料金ページでは、無料枠のコンテンツはプロダクトの改善に使用されるとされており、業務データを入れる場所には向きません。無料版の代わりの抜け道として広まらないよう、周知の中で名前を挙げておくと安心でしょう。

管理者・総務が今週やる確認手順と周知文のひな形

10月9日を前に会社としてやることは、社員がどのアカウントで使っているかを知り、許す範囲を決め、それを伝える3段階になります。手順を順に並べると次のとおりです。

  1. 社員に、Geminiをどのアカウントで使っているか(会社の仕事用アカウントか、個人のGmailのアカウントか)を聞いてみましょう。
  2. 個人のアカウントを使っている社員には、gemini.google.comの左下の設定アイコンから使用量上限アイコンを開いてもらい、上限に当たる頻度を確かめてもらってください。
  3. 生成AIの有料プランを個人で契約して経費で精算している人がいないかを、経費の記録から洗い出しておきましょう。
  4. Workspaceを契約している会社は、管理コンソールの[生成 AI]から[Gemini アプリ]を開き、組織部門やグループごとにオンかオフかを確かめてください。設定の反映には最長24時間かかる場合があります。
  5. Workspaceの使用状況レポートでは、過去28日間に上限に達したユーザーの数や、ユーザーごとの上限到達日数を確かめることが出来ます。
  6. 無料版に入れてよい情報と入れてはいけない情報を決め、次のひな形を使って社内に周知しましょう。

手順の1と3は、Workspaceを使っていない会社でもそのまま行えます。聞き取りは責める目的ではなく、どの業務でAIが役に立っているかを知る機会として伝えると、正直な答えが返ってきやすくなります。社員が上限に当たっている作業こそ、会社として環境を用意する価値のある業務だと考えられるでしょう。点検の項目を広げたい場合は、生成AIのセキュリティ対策チェックリストも使えます。

社内への周知文のひな形

件名:Gemini(無料版)の業務利用について(10月9日の変更)

社員各位

Googleの公式ヘルプによると、2026年10月9日から、有料プランに入っていない個人のGoogleアカウントでは、Geminiアプリで選べるモデルがFlash-Liteのみになります。業務でGeminiを使う際は、次の点を守ってください。

1. 個人のGoogleアカウント(無料・有料とも)には、顧客・取引先の情報、社員の個人情報、公開前の数字、契約書の原文を入力しないでください。
2. 会社の許可なく、生成AIの有料プランを個人で契約し、経費で精算することはできません。すでに契約している方は◯月◯日までに総務へ申し出てください。
3. 上限に達した場合に、別の無料AIサービスやGoogle AI Studioへ同じ内容を貼り付けないでください。
4. 業務で使ってよいAIの環境は◯◯です。使い方の質問は◯◯(担当)までお願いします。

この内容は◯年◯月◯日時点のものです。Googleの仕様が変わった場合は改めてお知らせします。

総務部

ひな形の◯の部分は、会社で用意する環境や担当者に合わせて書き換えてください。禁止だけを並べると、社員はかえって見えないところで使い始めてしまいます。使ってよい環境を同じ文面で示すことが、周知を守ってもらう近道になるでしょう。ルール全体を文書にまとめる手順は、生成AIの社内ガイドラインの作り方が参考になります。

経費精算の扱いを先に決める

個人で契約した有料プランを経費で落とせるかどうかは、周知の前に決めておきたい点です。認めない場合は、すでに精算している人の契約をいつまでに解約してもらうかと、解約後に業務で使う環境をどこにするかを一緒に伝えましょう。料金ページの説明では、残りの期間の払い戻しは原則として受けられないため、解約の時期は請求日に合わせてもらうと無駄が出にくくなります。例外として認める場合も、入れてよい情報の範囲は無料版と同じだと、精算の条件に書き添えておくとよいでしょう。

10月9日の前と後で分けて動く

10月9日より前にやるのは、使っているアカウントの聞き取り、経費の洗い出し、周知文の配布の3つになります。10月9日を過ぎてからは、上限に当たったという声や、答えの質が変わったという声を集めてみてください。1か月ほどたった時点で、集まった声を判断表に当てはめ直すと、無料版で回す作業と会社の環境へ移す作業の線を引き直すことが出来ます。AI Plusを個人で使っている社員がいる場合は、Googleから届く適用時期のメールの内容も共有してもらいましょう。

会社で安全に使うには:学習させない設定・ログ・配布・使い分け

無料版の制限への答えは、社員一人ひとりにプランを選ばせることではなく、会社として使う環境を1つ決めることになります。その環境を選ぶときに確かめたいのは、次の4つです。

入力データを学習に使わせない設定を、会社側でそろえられるか

個人アカウントでは、学習やレビューに関わる設定は社員一人ひとりの操作に任されます。会社が契約する環境であれば、学習に使わない設定を全員に一律で当てられるかを、契約前に確かめておきましょう。Workspaceの仕事用アカウントは、先に見たとおり、人間のレビュアーによる確認やモデルの改良に使われないとヘルプに書かれた環境の1つです。設定を社員の操作に頼らない形にすることが、入れてはいけない情報の一覧を守ってもらう土台にもなります。Workspace以外の法人向けのサービスを選ぶ場合も、学習に使わない設定が標準で全員に当たるのか、社員ごとに切り替える必要があるのかを、資料や問い合わせで確かめてみてください。社員ごとの操作に任せる形だと、1人の設定漏れがそのまま会社の穴になってしまいます。

誰がいつ何に使ったかを、会社が見られるか

個人契約の会話は会社から見えないため、事故が起きたあとに何を入力したのかを確かめられません。利用者・日時・使ったモデルの単位でログを取れるか、書き出しが出来るかを確かめてみてください。取引先や顧問先から、AIに何を入れているのかと聞かれたときに、記録を見せて答えられる状態を目指しましょう。ログは監視のためというより、社員が正しく使っていることを示す材料としても役立ちます。

全員に配れる料金の形か

1人ごとに課金される形だと、費用を抑えるために一部の社員にだけ配る判断になりやすくなります。配られなかった社員が無料版や個人契約に戻ると、ここまで見てきた問題がそのまま残ってしまいます。人数が増えても配りやすい料金の形かどうかを、最初に見ておきましょう。費用の考え方は、生成AIのコスト管理で詳しく整理しています。

社員への配り方と、使い方の伝え方

環境を用意しても、使い方が伝わらなければ、社員は慣れた無料版に戻ってしまいます。配るときは、今まで無料版でやっていた作業を、新しい環境でどう進めるかを1つずつ見せると移りやすくなります。議事録の要約、メールの下書き、長い資料の要約といった、社員が実際に上限に当たっていた作業から始めるのがよいでしょう。最初の数週間は、使い方の質問を受ける担当者を決めておくと、総務への問い合わせも落ち着きやすいはずです。入れてはいけない情報の一覧も、新しい環境の案内と同じ紙に載せておくと、ルールと道具を一緒に覚えてもらえます。

複数のAIを使い分けられるか

Geminiだけを見ても、2026年5月に使用量の数え方が変わり、10月には無料版のモデルが絞られることになりました。1つのサービスの1つのプランに業務を寄せすぎると、変更のたびに社内の使い方を組み直すことになってしまいます。長い資料の読み込みはこのAI、調べものはこのAIというように、用途ごとに使い分けられる環境なら、1つのサービスの変更に振り回されにくくなるでしょう。主要なAIの得意分野の違いは4つのAIの使い分けに、複数のAIを1つの環境で使う方法はマルチAIの解説にまとめています。

4つの確かめどころを並べると、無料版の制限で困っている作業は、そのまま会社の環境を選ぶときの試験問題になります。社員が上限に当たっていた作業を候補の環境で実際に試し、答えの質と、入れた情報がどう扱われるかの両方を見比べてみてください。情報の扱いを先に決めてから性能を比べる順番にすると、料金の比較だけで決めてしまう失敗を避けやすくなるでしょう。

取引先から聞かれたときに答えられるか

取引先との契約に秘密保持の条項がある場合、相手の情報をAIに入れてよいのかを聞かれる場面も考えられます。そのときに、どのAIを、どの契約で、どの設定で使っているかを短く答えられる状態を作っておきましょう。社員が個人の無料版や個人契約で使っている状態では、この問いに会社として答えることが出来ません。答えられる環境を1つ持つことが、無料版の制限への対応と、取引先への説明の両方を兼ねることになります。

個人の無料版に頼らず、会社の環境で同じ作業を

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よくある質問

10月9日以降も、Geminiは無料で使えますか?
使えます。Googleの公式ヘルプによると、10月9日以降、AIサブスクリプションのない個人アカウントで選べるモデルはFlash-Liteのみになります。Gemini自体が使えなくなるわけではなく、選べるモデルが絞られる変更です。使用量の上限は引き続き5時間ごとにリセットされ、週単位の上限もあります。
AI Plusに入れば、10月9日以降もProを使えますか?
公式ヘルプの変更後の表では、AI Plusで選べるモデルはFlash-LiteとFlashで、Proは含まれていません。Proを選べるのはAI ProとAI Ultraです。AI Plusの利用者には、変更がいつから適用されるかを説明するメールが届く予定とされています。
会社のGoogle Workspaceのアカウントにも、10月9日の変更は適用されますか?
2026年10月4日時点で、変更を告知した公式ヘルプは個人アカウントについての内容で、仕事用アカウントの扱いは書かれていません。適用されるともされないとも言い切れないため、管理者はGoogleからの管理者向けのお知らせと管理コンソールの表示で確かめてください。なお、仕事用アカウントのGeminiアプリの上限は、個人とは別に件数で示されています。
無料版のGeminiに入力してはいけない情報は何ですか?
顧客・取引先の個人情報、社員の人事や給与の情報、公開前の決算や業績、契約書の原文、パスワードなどの認証情報、顧問先や委託元から預かった資料は入れないようにしましょう。個人アカウントでは人間のレビュアーが入力の一部を確認することがあり、確認されたチャットは最長3年間保存されると、Googleのプライバシーハブに書かれています。プライバシーハブには有料・無料で扱いを分ける記載はなく、有料の個人プランでも同じ扱いと考えておくのが安全です。
社員がAI Proを個人で契約して、経費で精算してもよいですか?
会社としてはおすすめしにくい形になります。料金ページの説明では、AI ProとAI Ultraの利用には自身で管理する個人のGoogleアカウントが必要で、業務の会話は社員個人のアカウントに残ります。10人が契約すると月2,900円×10人で毎月29,000円かかり、会社は学習やレビューの設定、退職時の履歴の扱いを管理できません。
Google AI Studioの無料枠なら、Geminiアプリの制限を避けられますか?
AI StudioやGemini APIは、Geminiアプリとは別の仕組みで、上限もリクエスト数やトークン数で決まります。Gemini APIの料金ページでは、無料枠のコンテンツはプロダクトの改善に使用されるとされているため、業務データを入れる使い方には向きません。開発の目的で使う場合も、情報システムの担当者と相談してから使ってください。

まとめ

Gemini無料版の制限は、2026年10月9日から、個人アカウントで選べるモデルがFlash-Liteだけになる形に変わると公式ヘルプが告知しています。使用量は5時間ごとにリセットされる計算量ベースの上限で、一度に扱える長さも32,000トークンにとどまります。短い文の言い換えや一般的な調べものは続けやすい一方で、長い資料の読み込みや考える工程の多い作業は、Proを選べなくなる影響を受けやすくなります。AI Plusに入ってもProは選べず、変更後にProを選べるのはAI ProとAI Ultraだけです。

情報の扱いは個人アカウントかどうかが分かれ目で、人間のレビュアーの確認や最長3年の保存について、プライバシーハブには有料・無料で扱いを分ける記載はありません。有料の個人プランでも同じ扱いと考えておくのが安全です。仕事用アカウントへの10月9日の変更の扱いは公式に書かれていないため、管理者がGoogleの案内で確かめる必要があります。社員が個人契約に流れる前に、使ってよい環境と入れてはいけない情報を、今週のうちに社内へ伝えておきましょう。料金ページやモデル一覧のヘルプは変更前の表示が残っている時期でもあるため、社内の資料は10月9日の告知を基準に書き直してみてください。法人のAI活用に関するほかの記事は、AI活用コラム一覧からご覧いただけます。