
ChatGPTに写真を送るときの情報漏洩とは、画像に写り込んだ文字や顔、ファイルに残る撮影場所などの情報が、会社の管理の届かない場所に保存されたり、学習に使われたりすることを指す言葉になります。送った写真がそのまま一般に公開されるわけではありませんが、個人のアカウントでは学習への利用が初期設定で有効になっており、チャットを消しても画像がLibraryに残る点には注意が必要です。送る前に、写り込み・位置情報・学習の設定・送る先の4つを確かめれば、業務の写真から漏れる情報の多くは手前で止めることが出来ます。
文章の入力やアカウントの共有まで含めた全体像は、ChatGPTの情報漏洩の8つの経路にまとめています。ここからは、そのうち業務の写真を送る場面だけに絞ってお話しします。
※ChatGPTの仕様と設定の名称、iPhone・Androidの操作手順は、2026年10月6日時点で各社の公式ヘルプ・公式ページに掲載されている内容です。画面の表記は更新されることがあります。
ChatGPTに写真を送ると何が漏れるのか
漏れる可能性があるのは、写真に写っている中身と、ファイルに付いている情報の2つになります。中身とは、ホワイトボードの文字、書類の宛名、人の顔、窓の外の景色のように、目で見て読み取れるものを指します。ファイルに付いている情報は、撮影した日時や場所、使った機種などで、画面には表示されないまま写真と一緒に運ばれていきます。どちらも、送った時点で会社の手を離れ、ChatGPTを提供するOpenAIのシステムに置かれることになります。
写真を送ったらどうなるのか
OpenAIの画像入力のヘルプによると、写真はプロンプト欄の+アイコンから追加するほか、画像ファイルをドラッグしたり、コピーした画像を貼り付けたりして送ることが出来ます。画像入力は無料プランと有料プランのどちらでも使え、ウェブ版とiPhone・Androidのアプリを含むすべての環境が対象とされています。送った画像は会話の履歴に残り、アップロードしたファイルは左のサイドバーのLibrary(ライブラリ)にもまとめて表示されます。誰かに公開される仕組みではないものの、会社から見ると、業務の写真が社員個人のアカウントの中に溜まっていく状態になってしまいます。
「モデルはメタデータを処理しない」の正しい読み方
同じヘルプには、モデルは元のファイル名やメタデータを処理せず、画像は分析前にサイズ変更される、という説明があります。メタデータとは、撮影日時や位置情報など、写真のファイルに書き込まれている付随情報のことです。この一文は、AIが答えを作るときに位置情報を読まないという意味で、位置情報がファイルごと送られないという意味ではありません。写真のファイルそのものは送られて保存されるため、位置情報を外したいなら、送る前に自分の端末で外す必要があります。
背景・書類・社員証などの写り込みで個人や会社が特定される
写真から情報が漏れる場面で見落としやすいのは、撮った本人が気づかないまま写り込んでいるものになります。IPA(情報処理推進機構)は2016年7月の注意喚起で、「ゲーム画面をSNSに投稿した際、背景に本人の所有物やランドマークが写り込んでいると、自宅や生活エリアを第三者に特定されてしまう等の懸念があります」と呼びかけていました。SNSへの投稿の話ではありますが、業務の写真をChatGPTに送る場面でも、写り込みが手がかりになる点は変わりません。オフィスで撮った写真には、次のようなものがよく写り込みます。
- 首から下げた社員証や、机に置いた名刺・入館証
- 書類の宛名、封筒の住所、付箋に書いた電話番号
- パソコン画面の通知、開いているタブの名前、チャットの相手の名前
- 壁のカレンダーやホワイトボードに書かれた予定・取引先名
- 窓の外の看板や建物、エレベーターの階数表示
1つずつは小さな情報でも、社名と部署と人の名前がそろえば、誰がどこで何をしているかがたどれてしまいます。AIの読み取りの精度にも、期待しすぎないほうが安全です。OpenAIのヘルプには、日本語のようにラテン文字以外を含む画像では性能が落ちることがあると書かれていますが、小さい字だから読まれないだろうと考えるのはやめておきましょう。読み間違いが起きることはあっても、写真のファイルそのものは送られて残るためです。
顔写真による本人特定と、ディープフェイクなどへの悪用
顔写真は、写っている人をそのまま特定できる情報で、名前や社名と並ぶと、どこの誰かが一度でわかってしまいます。外に出た顔写真で心配されるのは、なりすましのアカウントや、別の画像と組み合わせた合成画像(ディープフェイク)への悪用になります。ChatGPTに送っただけで顔写真が公開されるわけではありませんが、社員の顔写真を個人のアカウントに送ると、本人の知らないところで写真が保存されることになってしまいます。社員証の顔写真や集合写真を、イラスト化や画像加工のために送る使い方は、本人の了解を取ってからにしてください。
業務写真(ホワイトボード・契約書・設計図・スクショ)の機密リスクと判断表
業務で撮る写真は、種類ごとに写り込む情報がほぼ決まっているため、送ってよいかも種類で先に決めておくことが出来ます。個人のアカウントのChatGPTに送る前提で、よく撮る写真を並べると次のようになります。
| 写真の種類 | 写り込みやすい情報 | 個人のアカウントに送るか | 送るなら、こうする |
|---|---|---|---|
| 会議のホワイトボード | 議題、取引先名、売上などの数字、担当者名、隅に書いた予定 | 消してから | 相談したい部分だけを切り取り、社名と人名は塗りつぶす。要点を打ち直して文章で送る方法もある |
| 名刺 | 氏名、会社名、電話番号、メールアドレス、顔写真入りのものも | 送らない | 他人の個人情報そのもの。名刺の整理は会社が契約したツールで行う |
| 請求書・見積書 | 取引先名、金額、振込先の口座、担当者名、印影 | 送らない | 書式の相談なら、社名と数字を架空のものに置き換えて文章で送る |
| 契約書 | 当事者の名前、金額、取引の条件、署名・押印 | 送らない | 条文の読み方を知りたいときは、固有名詞を伏せた条文の文章だけを使う |
| 設計図・図面・試作品 | 製品の仕様、寸法、顧客名、図番 | 送らない | 社外秘の資料として、会社が指定した環境以外では扱わない |
| パソコン画面のスクリーンショット | 通知、タブの名前、メールの件名、別のウィンドウ、ファイルの保存場所 | 消してから | 必要なウィンドウだけを範囲を指定して撮る。撮る前に通知を切る |
| エラー画面 | ユーザー名、サーバー名、IPアドレス、ファイルの保存場所 | 消してから | エラーの文だけをコピーして貼るか、名前の部分を塗りつぶす |
| 現場・店舗・倉庫の写真 | 看板、住所の表示、車のナンバー、従業員や来客の顔 | 消してから | 人と看板が入らない位置から撮り直すか、その部分を切り取る |
| レシート・領収書 | 店名、日時、カード番号の一部、購入した品目 | 消してから | 経費の相談なら、金額と品目だけを文章にする |
| 社員・顧客の顔写真 | 顔、名札、制服、背景に写る社内の様子 | 送らない | 本人の了解と社内の判断が先(従業員・顧客の写真の節を参照) |
判断に迷う写真は、写っている情報が取引先や顧客のものかどうかで分けてみてください。自社だけの情報なら消してから送る道もありますが、取引先の契約書や顧客の顔は、相手の了解なしに外のサービスへ渡してよい情報ではありません。取引先や顧客の情報が写った写真は、個人のアカウントには送らない、と最初に決めておくと現場が迷わなくなります。エラー画面や自分で描いた図のように、消せば足りる写真は、この先の方法で整えてから送ることが出来ます。
写真の位置情報(Exif)を送る前に外す方法
スマートフォンで撮った写真には、撮影した日時や場所などの情報が、Exif(イグジフ)と呼ばれる形で書き込まれていることがあります。Appleは公式の使い方ガイドで、「写真やビデオを共有すると、写真やビデオに関連する日付、時刻、場所、デバイス、キャプションなどのメタデータを共有することになります」と案内しています。自宅や取引先で撮った写真なら、その場所の情報がそのまま付いていくことになってしまいます。ChatGPTのモデル自体はメタデータを処理しないとされていても、ファイルは送られて保存されるため、外せるものは送る前に外しておきましょう。
iPhoneで共有するときに位置情報を外す
iPhoneでは、写真を送るときの画面で位置情報だけを外すことが出来ます。Appleの案内では、次の手順になっています。
- 写真アプリを開き、送りたい写真を開きます
- 共有ボタンをタップします
- 「オプション」をタップします
- 「位置情報」をオフにします
Appleが案内しているのは、写真アプリの共有ボタンから送るときの手順になります。ChatGPTのアプリの中から写真を選んで添付する場合はこの共有の画面を経由しないため、次の撮影時の設定と組み合わせると安心です。
iPhoneのカメラで位置情報を記録しない
撮る段階で位置情報を付けたくない場合は、「設定」から「プライバシーとセキュリティ」、「位置情報サービス」と進み、カメラの項目で位置情報の利用を止めることが出来ます。業務用のiPhoneを会社で配っているなら、配る前にこの設定をそろえておくのも1つの方法でしょう。
Android(Pixel)で位置情報を保存しない
GoogleのPixelカメラでは、カメラの設定から「その他の設定」を開き、「位置情報を保存」をオフにすると、撮影時に場所を記録しない設定になります。Androidは機種によってカメラアプリが違い、項目の名前も変わるとGoogleのヘルプに書かれているため、手元の機種の表示で確かめてください。すでに位置情報付きで撮った写真には注意が要ります。Googleフォトでは、カメラが記録した位置情報を後から更新・削除することは出来ず、変えられるのは推定された撮影場所だけとされています。撮り直せる写真なら、設定を変えてから撮り直すほうが確実になります。
写真を一枚ずつ社員の判断に任せるより、AIを使う環境を会社で1つにそろえるほうが確かめやすくなります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
写り込みを消してから送る方法と、写真を送らない代わりの手
写り込みが見つかったら、送る前にその部分を写真から取り除くのが基本になります。iPhoneやAndroidの写真アプリにある切り取り(トリミング)と書き込みの機能だけで、多くの写り込みは消すことが出来ます。
切り取りで、必要な部分だけを残す
ホワイトボードなら書かれた中身の部分だけ、書類なら相談したい欄だけを残して、周りを切り落としてみてください。切り取った後は、端に名前や数字の一部が残っていないかを拡大して確かめましょう。元の写真は端末に残るので、送る画面では切り取った後の写真を選んでいるか、もう一度見直すと安心です。
塗りつぶしは不透明な色で、ぼかしに頼らない
名前や数字を隠すときは、書き込み機能のペンで不透明な色を選び、文字が見えなくなるまで塗りつぶします。半透明の蛍光ペンや軽いぼかしでは、下の文字が透けて読めてしまうことがあります。塗った後に画面を拡大し、文字の形が少しでも読み取れるなら、もう一度塗り重ねてください。
スクリーンショットは撮る範囲を絞る
パソコンの画面を送るときは、画面全体ではなく、必要なウィンドウや範囲だけを撮るのが近道になります。撮る前に通知を切り、関係のないタブやウィンドウを閉じておけば、写り込みの多くは最初から入りません。
写真を送らずに、文章で伝える
文字が中心の写真なら、必要な部分を自分で打ち直して文章で送るほうが、写り込みの心配はなくなります。エラー画面ならエラーの文だけを選んでコピーし、ホワイトボードなら要点を箇条書きに直してから貼り付けてみてください。人や看板が写る現場の写真は、撮る位置を変えて背景を壁や床にするだけでも、写り込む情報はぐっと減ります。写真でなければ伝わらない部分だけを写真で送る、という線を引いておくと、送る枚数そのものが少なくなっていきます。
送る前30秒のチェックリスト
ここまでの話を、送る直前に見返せる形にまとめました。スマホのメモに貼っておき、業務の写真を送る前に上から順に指で追ってみてください。
- 写真を隅まで拡大した四隅と端に、名前・数字・ロゴの一部が残っていないかを、指で広げて見ます。
- 人の名前と宛名が写っていない書類、封筒、付箋、名札、社員証の文字を探します。
- 机の上と手元を見た名刺、入館証、スマホの画面、開いたノートが入っていないかを確かめます。
- 窓の外と壁を見た看板、建物、掲示物、カレンダー、ホワイトボードの予定が写っていないかを見ます。
- パソコン画面の通知とタブを見たメールの件名、チャットの相手、ファイルの保存場所が出ていないかを確かめます。
- 他人の顔が写っていない写る場合は、本人の了解を取っているかを確かめます。
- 位置情報を外して共有するiPhoneなら共有のオプションで「位置情報」をオフにします。
- 送る先が会社で決めた環境になっている個人のアカウントや私物のスマホから送ろうとしていないかを見ます。
1つでも当てはまらない項目があれば、その写真は送らずに、消すか撮り直すかを選びましょう。迷ったときに相談できる相手を社内で決めておくと、この確認が個人の我慢にならずに続きます。
学習利用の設定と、オフにする手順(モデルを改善する)
個人のアカウントでChatGPTを使っている場合、送った写真は初期設定のままだとモデルの学習に使われることがあります。OpenAIのヘルプは、FreeやPlus、Proを個人用のワークスペースで使っているときはデータ共有が初期設定で有効になっており、学習への利用はオプトアウト(利用を断る設定)が出来る、と説明しています。画像入力のヘルプにも、画像を含むコンテンツの扱いは各製品で同じとあり、写真も文章と同じ扱いになります。オフにする手順は次のとおりです。
- 「プロファイル」から「設定」を開きます
- 「データコントロール」を選びます
- 「すべてのユーザー向けにモデルを改善する」の切り替えをオフにします
※項目名はOpenAIのヘルプ内でも「すべてのユーザー向けにモデルを改善する」「すべての人のためにモデルを改善する」と表記が揺れています。データコントロールの中にある、モデルを改善する項目を探してください。
オフにした後は、新しい会話が学習に使われなくなるとOpenAIは説明しています。オフにする前に送った写真まで、さかのぼって学習から外れるとは書かれていません。設定は社員一人ひとりの画面にあるため、会社からは全員がオフにしたかを確かめにくい、という弱さも残ってしまいます。
一時チャットで送る場合
一時チャットは、チャット履歴に表示されず、モデルの改善にも使われないとされる使い方になります。ただし、安全上の理由から最大30日間保持される場合があるとOpenAIは案内しており、送った写真がすぐに消えるわけではありません。一時チャットは個人で使うときの備えとして覚えておき、業務の写真を送ってよい理由にはしないでおきましょう。
プランによるデータの扱いの違い(無料・Plusと法人プラン)
同じChatGPTでも、個人向けのプランと法人向けのプランでは、送った写真の扱いの初期設定が違います。OpenAIはビジネスデータのプライバシーのページで、ChatGPT EnterpriseやChatGPT Business、ChatGPT Edu、APIなどのデータは、初期設定ではモデルの学習や改善に使われない、と説明しています。法人向けのEnterpriseなどについては、データの保持期間を管理者が決められることや、削除した会話は法的に保持が必要な場合を除き30日以内にシステムから消すことも、同社のページに記載があります。
- 個人向けのFree・Plus・Pro:データ共有は初期設定で有効。オフにするかどうかは本人の操作次第
- 法人向けのBusiness・Enterprise・Eduなど:初期設定でモデルの学習に使わない、と同社が説明
- Enterprise・Edu・Healthcare:データの保持期間を利用する組織が決められる、と同社が説明
いずれもOpenAIによる説明(自己申告)で、第三者が検証した結果ではありません。法人プランにすれば何を送っても安全、ということにはならず、写り込みや取引先の情報をどう扱うかは、プランとは別に社内で決める必要が残ります。
会社が確かめられることと、確かめられないこと
会社が自分で決めて確かめられるのは、どのプランを契約し、誰にアカウントを配り、どの画面で使わせるかという入口の部分になります。一方で、送った写真が提供元のシステムの中でどう扱われているかを、会社の側から目で見て確かめることは出来ません。そこは提供元の説明と契約の内容を読むことでしか確かめられないため、個人情報保護委員会も、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認するよう利用者に呼びかけています。社員が個人で契約したアカウントは、この入口の部分すら会社から見えない状態になってしまいます。法人向けプランの種類と費用の違いはChatGPTの法人プランの料金と違いで比べることが出来ます。
2026年9月に公表された画像53件の外部掲載を正しく読む
2026年9月25日、OpenAIは、研究用の環境で動くAIエージェントが、学習・評価用のデータを扱う中で、利用者が提供した画像53件を画像共有サイトにリンクの形で掲載していたと公表しました。同社の発表によると、掲載された画像の大半はすでに削除され、残りも削除を進めているということです。あわせて、同社の技術的な方法とプライバシーポリシーにより、これらのデータを元の利用者のアカウントと結び付け直すことは出来ない、と説明しています。
公式の発表と報道を分けて読む
この件は、OpenAIの発表と、それを元にした報道とで、書かれている範囲が違います。朝日新聞(2026年9月26日)は、対象は利用者が学習データにすることに同意していた画像で、画像から利用者をたどれないため本人への通知は出来ていない、と報じています。中央日報日本語版の記事(Yahoo!ニュースに2026年9月28日転載)は、掲載されていた時期は明らかにされていないと報じました。どちらの報道も、OpenAIの9月25日の発表を元にしたものになります。OpenAIの発表そのものは、研究用の環境で動くエージェントが、第三者のサービスを使う中で学習・評価用のデータを送っていた事例を確認した、という範囲の内容です。
※53件という件数、削除の状況、アカウントと結び付け直せないという説明は、いずれもOpenAIの発表(自己申告)によるものです。
この件から、業務の写真について読み取れること
この件で外に出たのは、学習・評価用として扱われていた画像となってしまいました。一方で、学習や評価に使ってよいとされたデータは研究や開発の工程で扱われ、その工程で外部のサービスに送られた例が実際にあった、ということになります。業務の写真を学習に使わせない設定にしておくことが、この件から引き出せる手前の備えでしょう。
従業員・顧客の写真と個人情報保護法・本人同意
従業員や顧客の顔、名前が写った写真は、個人情報として扱う必要が出てきます。個人情報保護委員会は2023年(令和5年)6月2日の生成AIサービスの利用に関する注意喚起で、個人情報を含むプロンプトを入力する場合には、利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認するよう呼びかけました。同じ注意喚起は、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが応答の出力以外の目的で扱われる場合には、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある、としています。そのため、入力する前に提供事業者が個人データを機械学習に利用しないことなどを十分に確認することが、同じ注意喚起で挙げられた備えになります。
写真を送る前に整理しておきたいのは、誰の写真を、何のために、どの環境へ送るのかという3点です。たとえば社員証用の顔写真は本人確認のために集めたもので、イラスト化や資料の挿絵に使うと、集めたときの目的から外れてしまうことがあります。委員会のQ&Aには、それだけでは個人情報に当たらない情報でも、ほかの情報と容易に照合して特定の個人を識別できれば、全体として個人情報に当たることがある、という考え方も示されています。顔を切り取った写真でも、名札や社内の背景から誰かがわかるなら、個人の写真として扱うのが無難になります。
他人の顔・他人の写真と著作権・肖像権
他人が撮った写真や、ウェブで見つけた画像には、撮った人の著作権があります。写っている人には、勝手に撮られたり使われたりしないという肖像権の問題もあり、社外の人が写った写真を加工して使う場合は特に気をつけたいところです。ChatGPTに送るだけなら外に公開するわけではありませんが、送った写真をもとに作った画像を資料やSNSで使うときは、元の写真の権利者や写っている人の了解を取ってからにしましょう。判断に迷う使い方は、法務の担当者や顧問の専門家に相談してみてください。
送ってしまった後の削除手順(チャット削除とLibraryの画像)
送ってはいけない写真を送ってしまったら、チャットとLibraryの両方から削除するのが最初の手当てになります。OpenAIのヘルプには、チャットを削除しても、ライブラリに保存されたファイルは削除されない、と書かれています。チャットだけを消して安心してしまうと、写真はLibraryに残ったままとなってしまいます。
- 写真を送ったチャットを開き、チャットを削除します
- 左のサイドバーの「Library」を開き、種類を画像に絞り込みます
- 送ってしまった写真を選んで削除するか、ゴミ箱のアイコンから削除します
- 同じ写真を別のチャットにも送っていないか、Libraryの一覧で確かめます
- 個人のアカウントなら、データコントロールのモデルを改善する項目もオフにします
削除したチャットについてOpenAIは、30日以内にシステムから完全に削除するよう手配するとし、個人を特定できない状態になっている場合や、セキュリティ上・法的な義務で長く保持する場合は除くと説明しています。ヘルプによると、Libraryのファイルも削除から30日以内なら元に戻すことが出来、OpenAIのシステムからは30日以内に完全に削除される予定になります。削除はこれから先の保存を止める手当てで、送った事実そのものは消えないため、会社の写真なら次の報告まで進めてください。
会社の写真なら情シス・上長へ報告する
業務の写真を個人のアカウントに送ってしまった場合は、削除とあわせて、上長と情報システムの担当者へ報告するところまでを1セットにしましょう。報告が遅れるほど、取引先への説明や、同じ写真がほかに送られていないかの確認が難しくなってしまいます。責める場にすると次から報告が上がらなくなるため、書式をあらかじめ決めておき、埋めれば出せる形にしておくのがおすすめです。
【生成AIへの写真の誤送信 報告】 1. 送った日時: 年 月 日 時ごろ 2. 使った端末:会社のパソコン/会社のスマホ/私物のスマホ 3. 使ったサービスとアカウント:例)ChatGPT・個人のアカウント(プラン名) 4. 写真の内容:何が写っていたか(取引先名・人の顔・書類の種類など) 5. 学習の設定:モデルを改善する項目は オン/オフ/わからない 6. 削除の状況:チャットの削除 済・未/Libraryの画像の削除 済・未 7. ほかに送った先:同じ写真を別のチャットやサービスに送ったか 8. 気づいたきっかけと、いまの状況
報告を受けた側は、写っていた情報が取引先や顧客のものかどうかを先に確かめ、相手への連絡が必要かを判断する流れになります。
社内ルールに入れる一文のひな形
写真の扱いは、生成AIの社内ルールに短い一文で入れておくと、現場が迷わなくなります。ひな形として、次の文をそのまま使ったり、自社の言葉に直したりしてみてください。
(写真・画像の扱い) 第◯条 業務で撮影した写真、画面のスクリーンショット、書類を撮影した画像は、会社が指定した生成AIの環境にのみ送ることができる。個人で契約したアカウント、私物の端末のアカウントには送らない。 2 次の写真・画像は、会社が指定した環境であっても送らない。ただし、◯◯(例:情報システム担当)の承認を得た場合はこの限りでない。 一 取引先・顧客の名刺、契約書、請求書、見積書を撮影したもの 二 設計図、図面、試作品など、社外秘として扱う資料を撮影したもの 三 従業員・顧客の顔が写ったもの(本人の了解がある場合を除く) 3 前2項により写真・画像を送るときは、事前に写り込みを確認し、位置情報を外す。 4 誤って送った場合は、ただちに削除し、所定の書式で上長および◯◯へ報告する。
例外の申請先を空欄にせず、担当者の名前か役職まで書いておくのがコツになります。ルール全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で、点検の項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストで確かめることが出来ます。
会社で写真を安全に扱うには、個人の設定任せにしない
業務の写真を安全に扱う近道は、社員一人ひとりの設定と注意に頼らず、会社が用意した環境で送ってもらう形にすることです。個人のアカウントでは、学習の設定をオフにしたか、写真を誰かと共有していないか、どんな写真を送ったかを、会社の側から確かめる手段がありません。社員が自分の判断で使い始めた個人のアカウントは、会社から見えないシャドーAI(野良AI)の1つになり、写真もその中に溜まっていきます。会社の環境で塞ぐときに確かめたいのは、次の3つになります。
- 学習:会社のデータが初期設定で学習に使われない契約・設定になっているか
- 権限:使えるAIや使える人を、会社の側で絞れるか
- ログ:誰がいつどのAIを使ったかを、管理者が後から確かめられるか
この3つを会社で押さえたうえで判断表とチェックリストを配れば、残るのは一人ひとりの写り込みの確認だけで済みます。禁止だけを決めると、私物のスマホから送る形に流れやすくなってしまいます。送ってよい場所を1つ用意し、業務の写真もそこに集めていく形を、会社の方針として決めてみましょう。
AIを使う場所を、会社が管理する1つの環境に
UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理でき、基盤はAWSの日本リージョンで稼働しています。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
ChatGPTに写真を載せるのは危険ですか?
ChatGPTに写真を送ったらどうなりますか?
ChatGPTに顔写真を送ってしまったらどうすればいいですか?
自分の写真をChatGPTに送っても大丈夫ですか?
一時チャットで写真を送れば安全ですか?
まとめ
ChatGPTに写真を送るときに漏れうるのは、写っている中身と、撮影日時や場所などのファイルの情報になります。送っただけで公開されるわけではありませんが、個人のアカウントでは学習への利用が初期設定で有効で、チャットを消してもLibraryの画像は残ります。業務の写真は種類ごとに送ってよいかを決め、送る前に写り込みと位置情報を確かめ、送ってしまったらチャットとLibraryの両方を消して報告する、という流れを社内でそろえてみてください。そのうえで、個人の設定任せにせず、学習・権限・ログを会社で管理できる環境に送り先をまとめることが、写真の漏れを手前で止める近道でしょう。法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧から探すことが出来ます。
