AIバナー作成の手順と、会社で使うときの商用利用・承認のルール

AIバナー作成とは、ChatGPTやGemini、Canvaなどの生成AIに指示文を渡して、Web広告やSNSの投稿、記事のアイキャッチに使う画像を作る方法のことです。会社で使うなら、背景や素材づくりはAIに任せ、文字入れと公開前の確認は人が受け持つ分担にすると、品質と安全の両方を保ちやすくなります。あわせて、誰がどのAIをどの指示文で使ったかを記録し、規約と著作権の確認を承認の流れに組み込むことが欠かせません。

AIバナー作成とは|できることと向いている場面

AIバナー作成で任せやすいのは、背景やイメージ写真、イラストといった絵の部分になります。広告の出し分けや季節ごとの差し替えのように、似た画像を何枚も用意する場面で特に力を発揮します。一方で、商品そのものの見た目の正確さや、社名・価格といった文字の正しさは、AIに任せきりにできない部分です。

ここで扱うのは、Web広告の枠、InstagramやXの投稿画像、LP(商品やサービスを1枚の縦長ページで紹介するWebページ)のメイン画像、自社サイトの記事のアイキャッチなど、画面で見るバナーになります。紙に印刷するチラシは解像度や塗り足しといった入稿の決まりが別にあるため、AIチラシ作成の手順をご覧ください。

AIでバナーを作るメリット

目に見えて変わるのは、たたき台が出るまでの時間でしょう。外注していた場合は、ラフ案を待つ日数や、方向性の違う案を頼み直す手間が減っていきます。デザインの専門知識がない方でも、言葉で雰囲気を伝えれば、複数の案を並べて比べることが出来ます。

案が複数あると、社内で「どれがお客様に伝わるか」を話し合う材料にもなります。実際に、広告の反応を比べる運用では、少しずつ違う画像を何枚も用意する必要があり、ここはAIの得意な作業です。ただし、速く作れる分だけ、確認の手順を決めないまま公開されてしまう危うさも生まれてしまいます。

AIバナー作成ツールの種類と比較

バナーづくりに使えるAIは、話しかけて画像を作る汎用の生成AIと、テンプレートや文字入れまで一続きで扱えるデザインツールの2種類に分けられます。前者は絵づくりの自由度が高く、後者は仕上げとサイズ展開に向いているのが特徴です。

種類主なサービス得意なこと気をつけたいこと
汎用の生成AIChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot指示文から背景・イラスト・写真風の画像を作る。手持ちの画像を渡して一部を直す画像の中の文字は崩れることがある。個人向けと法人向けで規約が違う
デザインツールCanva、Adobe Fireflyテンプレートに文字や図形を載せる。サイズ違いを作るAI機能の利用回数に上限がある。ツールの素材を加工した部分の権利に注意
図や表を作るAIClaude図表・グラフをSVGやHTMLで作る写真やイラストは生成しないため、写真風のバナーには向かない

Claudeの公式ヘルプは、画像生成ツールのような方法で写真やイラストを作らないと説明しており、図解のバナーや数字を見せる画像に使い道が限られます。どのサービスが自社に合うかは、画像生成AIの比較記事画像生成AIの比較と選び方で詳しく並べてあります。

ChatGPT・Geminiなど汎用の生成AIで作る

OpenAIが2026年9月8日に発表したImages 2.5は、ChatGPTの無料版を含む全プランで使えるとされています。同社の発表では、複雑な背景でも、ほかの部分を変えずに指定した箇所だけを直す精度が上がったとの説明になります。操作の流れはChatGPTの画像生成の使い方をご覧ください。

Geminiは主にNano Banana 2という画像モデルを使い、複数の参照画像を渡して画像を作ることが出来ます。Googleのヘルプによると、Google AIプランの利用者は2K、それ以外の方は1Kの解像度でダウンロードする形です。Microsoft Copilotも文章から画像を作れるものの、職場のアカウントでは管理者が画像生成そのものを止められる設定があり、使えるかどうかは会社の設定によって変わります。詳しくはCopilotの画像生成にまとめました。

Canva・Adobe Fireflyなどデザインツールで作る

Canvaは、AIで作った画像を同じ画面でテンプレートに載せ、文字やロゴを重ねて仕上げられる点が便利です。AI機能の規約では、利用者が出力を所有するとしつつ、Canvaのライブラリの素材を加工した出力は所有にならないと定めています。

Adobe Fireflyは、自社のFireflyモデルで作った画像を商用利用に適していると説明しているサービスになります。ただし、Fireflyの画面からは他社のモデルも選べ、そちらで作った画像が用途に合うかは利用者自身が判断するよう、料金ページのよくある質問に書かれています。同じツールの中でもモデルによって扱いが違うため、どのモデルで作ったかを記録しておきましょう。

無料で使える範囲と料金の考え方

主なサービスはどれも無料で試せる範囲を持つ一方で、枚数や回数には上限があります。ChatGPTの無料版は画像生成を使えるものの、有料プランより厳しい上限がかかる場合があると公式のよくある質問に書かれています。Canvaの無料版は、AI機能の利用が月に最大20回までと料金ページで案内されていました。Adobe Fireflyにも、毎日リセットされる無料の生成回数があります。

料金を考えるときは、1人あたりの月額が社員の人数分かかるかどうかを見ておきたいところです。Canvaの有料プランは1人あたり、Fireflyのグループ版はライセンスごとの月額として料金ページに示されています。販促担当の数名だけで使うのか、各部署が自分で作るのかによって、会社の出費は大きく変わってしまいます。

※各サービスの無料範囲・料金の表示は、2026年9月17日〜18日に各社の公式ページで確認した内容です。プランや上限は変わることがあるため、契約前に公式ページで最新の内容をご確認ください。

作る前に決めること|デザインの基本(目的・ターゲット・コピー・配色)

AIに頼む前に、誰に何をしてほしいバナーなのかを1行で書けるようにしておくと、出てくる画像がぶれにくくなります。AIは頼まれた言葉をもとに絵を作るので、狙いがあいまいなまま頼むと、きれいでも使えない画像が並んでしまいます。

決めること書き方の例
目的無料相談会の申込ページに来てもらう
見てほしい人社員30名前後の製造業の総務担当の方
伝えることは1つ予約不要・オンラインで30分
コピー(見出しの文言)短く、ひと目で読める長さに収める。補足は1行まで
配色会社のブランドカラーを軸に、背景・文字・ボタンの色を決める
ボタンや行動の案内「詳しく見る」「申し込む」など、押した先と一致する言葉

配色は、ロゴや自社サイトで使っている色を先にAIへ伝えるのが近道になります。色の名前だけでなく「濃い紺と白を基調に、ボタンだけ明るい青」のように役割まで書くと、そろった仕上がりを得やすいでしょう。コピーは画像の中に入れず、後の工程で人が載せる前提にしておくと、差し替えにも強くなります。

見出しの文言を考える段階でもAIは役に立ちます。ただし、「業界No.1」「必ず効果が出る」のような言い回しは、根拠を示せない限り広告に載せないでください。表示のルールは後半の広告・SNSに出すときの表示の注意で触れています。

AIバナー作成の手順(目的→素材→生成→修正→書き出し)

手順は6つの段階に分けると、誰が作っても同じ品質に近づけられます。とくに、AIで作る絵の部分と、人が仕上げる文字の部分を最初から分けておくことが大切になります。

  1. 目的と、画像に載せる文言(コピー・価格・期限・ボタンの言葉)を決めて、文章で残す
  2. 使う素材をそろえる。自社で撮った商品写真・ロゴ・ブランドカラーを用意し、AIに入れてよい素材かを確かめる
  3. AIで背景やイメージ画像を作る。このとき「文字は入れない」「右側に文字を置く余白を空ける」と指示する
  4. 気になる箇所を部分修正する。直したい所だけを指定し、ほかは変えないよう伝える
  5. CanvaやPowerPointで、コピー・ロゴ・ボタンを載せて仕上げる
  6. 媒体ごとのサイズで書き出し、台帳に記録してから承認に回す

手順3で文字を入れない指示を出すのは、後で誤字を直す手間を減らすためです。手順6の書き出しでは、媒体の入稿規定(画像の容量や形式の上限)を各媒体の公式ヘルプで確かめておくと安心でしょう。記録と承認の進め方は、後半の承認手順とチェックリストでひな形を載せています。

最初の数回は、同じ依頼をChatGPTとGeminiの両方に出して見比べてみてください。得意な画風や指示の通り方に違いがあり、自社のバナーに合うほうを決める材料になります。

プロンプトの書き方と媒体サイズ別の指示文ひな形

プロンプト(AIへの指示文)は、長さよりも、目的と見せたいものがはっきり書かれているかで出来が変わります。OpenAIの公式ガイドも、多くの場合は1〜3文の明確な文章で十分だという立場です。

伝わるプロンプトに入れる5つの要素

OpenAIのガイドでは、画像の目的、主題、何が起きているか、場所、望ましい見た目の方向性を入れるよう勧めています。バナー用に言い換えると、次の5つを書けば足りるでしょう。

  • 何に使う画像か(Web広告、SNS投稿、記事のアイキャッチなど)
  • 主役になるもの(商品、人物、風景、抽象的な形など)
  • 場面と雰囲気(明るいオフィス、落ち着いた夜、清潔感など)
  • 画風(写真風、イラスト、フラットなデザインなど)
  • 守ってほしい条件(縦横の比率、文字を入れない、余白の位置、使ってよい色)

同じガイドでは、「美しい光」のようなあいまいな言葉より、「左側の窓から入る柔らかな自然光」のように具体的に書くほうが安定すると説明されています。また、特定のブランドや作品をまねるのではなく、汎用的なデザインや独自性のあるデザインを頼むのがよいとされます。社内でひな形を作るときも、他社名や作品名を入れない形にしておきましょう。

媒体サイズ別の指示文ひな形(300×250・728×90・1080×1080ほか)

サイズは、広告枠やSNSで一般に使われている呼び方を目安にまとめました。AIは指定した画素数ちょうどで出力するとは限らないため、指示では縦横の比率を伝え、最後のサイズ合わせはCanvaなどで行う流れをおすすめします。

用途サイズの目安(横×縦)指示文のひな形
Web広告の四角い枠300×250Web広告用の横長に近い四角い画像を作ってください。縦横の比率は6対5です。主役は[商品や場面]で、画面の左半分に置いてください。右半分は文字を載せるため、無地に近い[色]の余白にしてください。画像の中に文字やロゴは入れないでください。
Web広告の横長の帯728×90とても横に長い帯状の背景画像を作ってください。縦横の比率はおよそ8対1です。[色]を基調にした落ち着いたグラデーションで、左端に小さく[モチーフ]を置き、中央から右は文字用に空けてください。文字は入れないでください。
スマホ画面下部の小さな帯320×50スマートフォンの画面下に出す細長い背景画像を作ってください。比率はおよそ6対1です。細かい絵柄は避け、[色]の単色に近い背景と、右端に小さな[モチーフ]だけにしてください。
SNSの正方形の投稿1080×1080SNS投稿用の正方形の画像を作ってください。[人物や商品]を中央よりやや下に置き、上から3分の1は見出しを載せる余白にしてください。写真風で、[時間帯・光の向き]の雰囲気にしてください。文字は入れないでください。
縦長のストーリーズ・リール1080×1920スマートフォンの全画面で見る縦長の画像を作ってください。比率は9対16です。上下の端は画面の表示に隠れやすいため、主役は中央に置き、上下には重要なものを置かないでください。
記事のアイキャッチ・リンクを共有したときの画像1200×630記事のアイキャッチ用の横長の画像を作ってください。比率はおよそ1.9対1です。[テーマを表すモチーフ]をシンプルに描き、右側に見出しを載せる余白を残してください。
LPのメイン画像1920×1080Webページの一番上に置く横長の画像を作ってください。比率は16対9です。[場面]を写真風に描き、左側3分の1は文字とボタンを載せるため暗めで落ち着いた背景にしてください。

※サイズは一般的な呼び方・目安として挙げたもので、特定の媒体の公式仕様ではありません。実際の入稿サイズ・容量・形式は、出稿する媒体の公式ヘルプで確かめてください。

[ ]の中を自社の内容に置き換えて使ってください。社内で使い回すなら、ひな形ごとに番号を振り、どれを使ったかを後で追えるようにしておくと便利です。

A/Bテスト用のバリエーションを量産する指示

A/Bテストとは、少しだけ違う2つの広告を出し分けて、どちらの反応がよいかを比べる方法になります。比べる違いは1回に1つだけにすると、何が効いたのかを読み取れます。

AIには「さきほどの画像をもとに、背景の色だけを[色A]と[色B]に変えた2枚を作ってください。人物の表情と配置は変えないでください」のように、変える所と変えない所を両方書いて頼みましょう。背景色、人物の有無、写真風かイラストか、という順に1つずつ試していくと、自社のお客様に合う方向が見えてきます。

日本語の文字崩れを防ぐ「背景はAI・文字は後乗せ」の分担

画像の中に日本語の見出しを入れる場合、AIが作った文字には誤字や崩れが混ざることがあるため、文字は人が後から載せる分担が確実です。Googleのヘルプは、サポートしているすべての言語で、より正確な綴りの文字を画像に入れられるようになったと説明していますが、日本語の精度を個別に保証する記載は見当たりません。

OpenAIのガイドも、画像の中の文字は短くし、載せたい文言を引用符で囲み、フォントや大きさ、色、置き場所まで指定するよう勧めています。それでも、画数の多い漢字や小さな文字では、形の似た別の字になってしまう場合があります。社名・価格・日付・電話番号は、AIに描かせず必ず人が文字として入力しましょう。

作業担当理由
背景・イメージ写真・イラストAI雰囲気の違う案を短時間で出せる
見出し・価格・期限・ボタンの文字人(Canva・PowerPoint)誤字をなくし、会社で決めたフォントにそろえられる
ロゴ人(元のデータを配置)AIが描き直すと形や色が変わるおそれがある
サイズ違いの展開人(ツールのサイズ変更機能)文字の位置を媒体ごとに調整できる

この分担にしておくと、価格や期限が変わっても画像を作り直さずに文字だけを差し替えられます。PowerPointでも、スライドの大きさをバナーのサイズに合わせれば、画像を背景に敷いて文字を重ね、画像として書き出すことが出来ます。デザインツールに慣れていない方には、この方法がとっつきやすいかもしれません。

部分編集・再生成で商品や人物が変わるときの直し方

修正を頼むたびに商品の形や人物の顔が変わってしまうときは、変える所と変えない所をはっきり分けて頼むのが基本の直し方になります。OpenAIのガイドには、指定した部分だけを変え、それ以外はすべて同じに保つよう伝える書き方の例があり、そのまま使うことが出来ます。

  • 1回の依頼で直すのは1か所にとどめ、小さく的を絞った修正を重ねる
  • 気に入った画像ができたら保存し、その画像を渡したうえで直してもらう
  • 商品や人物の写真は参照画像として渡し、「画像1は商品、画像2は雰囲気の参考」のように役割を書く
  • うまくいかないときは会話を新しく始め、最初の指示文を見直す

Geminiでは、モデルがNano Banana 2 Liteのときは複数回の編集や複数画像の参照に対応していないとヘルプに書かれています。何度直しても形が保てない場合は、使っているモデルを確かめてみてください。

商品そのものは、自社で撮った実物の写真を使い、AIには背景や周りの小物だけを作ってもらう組み合わせが安全です。実物と違う形や色の商品画像を広告に使うと、お客様の誤解につながりかねません。表示のルールとの関係は後の節で整理しています。

素材の扱いを、会社の環境でそろえませんか

AIで作る素材の扱いを社員ごとに任せず、使う環境を会社で1つにまとめる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

AIバナー作成の注意点とデメリット|最後は人が確認する

AIで作ったバナーは、見た目が整っていても、細かい誤りや権利の問題が残っている前提で、公開前に必ず人が確かめる必要があります。気をつけたい点は、品質のばらつき、修正の難しさ、他社と似る可能性、来歴を示す情報の扱いの4つに分けられます。

品質のばらつきと修正指示の難しさ

同じ指示文でも、出てくる画像は毎回少しずつ違います。指の本数や建物の線、商品の細部が不自然になることもあり、原寸で見ても気づかない崩れが、拡大すると目立つ場合もあるでしょう。言葉だけで細かい修正を伝えるのは難しく、思った形になるまで何度もやり取りが続くことも珍しくありません。

他社と似た画像になる可能性

OpenAI、Canva、Microsoftはいずれも規約で、同じような出力が他の利用者にも出る場合があると定めています。よくある構図の指示だけで作ると、他社の広告と似た印象のバナーになりかねません。自社の商品写真やブランドカラーを組み合わせ、独自の要素を足していくのが対策になります。

透かしと来歴の情報は消さない

主なAIは、作った画像にAIで生成したことを示す情報を埋め込んでいます。Geminiは目に見える透かしと、目に見えないSynthIDという電子透かしを付けると公式ページで説明しています。ChatGPTの画像にはC2PA(画像の出どころや編集の履歴を記録する業界の標準)のメタデータと電子透かしが入り、Adobe Fireflyも画像にContent Credentialsが自動で付くと案内するサービスです。

Microsoftの個人向けCopilotの規約、CanvaのAI機能の規約、Adobeの生成AIユーザーガイドラインは、こうした来歴の情報を削除・改変することを禁止事項に挙げています。透かしが邪魔だからと消したり隠したりする加工は、規約違反になるおそれがあります。使える画像かどうかは、透かしの扱いも含めて選んだAIの規約で判断しましょう。

素材の入力の線引きと、個人の無料版を業務で使うリスク

AIに渡す素材は、公開済みのものと、会社として契約したAIに限って入れる社外秘のものとを分けておくのが安全です。個人情報保護委員会は、文章だけでなく画像を生成するサービスも含めて、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を出しています。

区分素材の例扱い
入れてよい公開済みの商品写真、自社サイトに載せているロゴ、公開済みの会社案内の文言どのAIでも可。ただし他社の写真や素材は入れない
会社で契約したAIだけ発表前の新商品の写真、未公開のキャンペーン内容、社内資料のグラフ入力データを学習に使わない設定が確かめられている環境に限る
入れないお客様の顔写真や氏名、取引先から預かった資料、お客様の声の原文(許可のないもの)画像生成の目的では入れない。必要なら本人の同意と社内の承認を先に取る

とくに注意したいのが、社員が自分の判断で個人の無料版を使って業務のバナーを作るケースです。個人向けのChatGPTは、入力した内容がサービスの改善に使われる場合があり、使われたくなければ本人が設定で止める仕組みとなります。Geminiアプリのヘルプは、人のレビュアーに見られたくない機密情報は入力しないよう呼びかけています。

Microsoftの個人向けCopilotは、2026年8月18日に発効した補足使用条件で、個人的な使用のためにのみ使えると定めているサービスです。Googleも公式noteで、広告を含む商業利用でNano Bananaを使うなら、Google Workspace with GeminiかVertex AIを使うよう案内しています。個人の無料版は、入力の扱いだけでなく、業務で使うこと自体が想定から外れている場合がある点を押さえておきたいところです。

会社が把握していないAIの利用は、野良AI(シャドーAI)と呼ばれています。禁止するだけでは、便利さを知った社員が見えない所で使い続けることになりかねず、会社として使える環境とルールを用意するほうが現実的でしょう。入力してよい情報の決め方は生成AIの社内ガイドラインの作り方が参考になります。

著作権・商用利用の可否と主要AIの規約

AIで作ったバナーを広告に使えるかどうかは、使うAIの規約と、できた画像が既存の作品に似ていないかの2点で判断することになります。どちらか一方だけを確かめても、公開後の問題は防ぎきれません。

文化庁の考え方:類似性と依拠性

文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日・文化審議会著作権分科会法制度小委員会)は、生成した画像が既存の著作物の著作権侵害になるかを、類似性と依拠性の2つで説明しています。類似性は創作的な表現が共通していること、依拠性は既存の著作物をもとに創作したことを指す言葉です。この2つが認められ、権利制限規定の対象外であれば侵害になる、というのが概要資料の整理になります。

注意したいのは、AIの学習にその作品が使われていた場合、利用者が作品を知らなくても、通常は依拠性があったと推認されると書かれている点です。さらに、画像を生成する段階で問題がなくても、SNSへのアップロードのような利用まで直ちに適法になるわけではなく、場面ごとの判断が必要とされています。なお「考え方」は、それ自体に法的な拘束力はないと断ったうえで示されたものです。

AIが作った画像そのものに著作権が生じるかも、会社にとって気になる点でしょう。同じ資料は、簡単な指示で生成ボタンを押しただけのものは著作物に当たらないと考えられる一方、人が道具としてAIを使った場合や、人が加筆・修正した部分には著作物性が認められうると説明しています。詳しくは生成AIと著作権をご覧ください。

主要AIの規約上の注意(2026年9月時点)

同じ会社のAIでも、個人向けと法人向けで規約が分かれているものが多く、バナーの商用利用では、どちらのアカウントで作ったかが意味を持ちます。各社の公式ページで確かめた内容を、1つの表に並べました。

サービス生成物の権利業務・商用で気をつけたい点確認した資料と日付
ChatGPT(個人向け)利用者がアウトプットを所有すると規約に記載似た出力が他の利用者にも出る場合がある。入力はサービスの改善に使われうる(本人が停止を要求できる)。人が作ったものと偽って表示しない利用規約(2026年1月1日発効)・2026年9月17日確認
ChatGPT Business・Enterprise(事業者向け)顧客がすべての出力を所有すると契約に記載明示的な同意がない限り、顧客のコンテンツを開発・改善に使わない。出力の補償が書かれているのはAPIと、Enterprise・Edu・Healthcareをまとめた区分で、Businessはその定義に挙がっていないOpenAIサービス契約・サービス利用規約・2026年9月17日確認
Geminiアプリ(個人のGoogleアカウント)Googleは所有権を主張しないと利用規約に記載公式noteで、広告を含む商業利用ではGoogle Workspace with GeminiかVertex AIの利用を案内。生成AIのコンテンツを人が作ったと誤解させる行為は禁止Google利用規約(2026年7月30日発効)・公式note(2025年9月12日)・2026年9月25日確認
Gemini in Workspace(会社のGoogle Workspace)生成物はお客様データで、Googleは所有権を主張しないと記載許可なく学習に使わない。知的財産の補償の対象だが、取引で使ったときの商標に関する申し立ては除外Workspaceサービス固有の利用規約・2026年9月25日確認
Microsoft Copilot(個人向け)Microsoftは利用者のコンテンツを所有しないと記載個人的な使用のためにのみ使える。応答が他者の権利を侵害しないとは約束できず、公開した場合の責任は利用者が負う。来歴の情報の削除は禁止補足使用条件(2026年8月18日発効)・2026年9月26日確認
Microsoft Copilot(職場のアカウント・有料)出力コンテンツは顧客データで、Microsoftは所有しないと記載有料の対象製品は、お客様向け著作権コミットメント(第三者からの知的財産権の申し立てに対する防御)の対象。無料のプレビュー版と商標の申し立ては除外Microsoft Product Terms・2026年9月26日確認
Adobe Firefly生成した人に著作権があるかは地域の法制度によると回答Fireflyモデルの生成物は商用利用に適すると説明。他社モデルで作ったものは利用者が判断。知的財産の補償はエンタープライズ版で利用資格を購入した場合料金ページ・法人向けFAQ・2026年9月18日確認
Canva利用者が出力を所有(Canvaの素材を加工したものを除く)合法な目的に使えるが自己責任。似た出力が他の利用者にも出る場合がある。C2PAなど来歴の情報の削除は禁止。補償は対象のエンタープライズ顧客AI Product Terms(2026年6月26日発効)・2026年9月18日確認
Claude法人向けの規約で顧客が出力を所有すると記載写真やイラストは生成しない。図表はSVGやHTMLで作る公式ヘルプ・商用規約・2026年9月17日確認

※表の内容は各社が公式ページで示している説明(同社の記載)を要約したもので、第三者が検証した結果ではありません。規約は改定されることがあるため、利用の前に各社の最新版をご確認ください。ChatGPTとGeminiの商用利用はChatGPTの商用利用とGeminiの商用利用で個別に解説しています。

表を見比べると、OpenAI・Google・Microsoftの法人向けの補償には、いずれも商標に関する申し立てを除く条件が付いています。補償が付く契約でも、他社の商標に似たロゴや名前の確認は自社の責任で行う必要があります。補償があるから安心と考えず、次の確認手順を公開前に通してください。

公開前の著作権・商標の確認手順

文化庁が令和6年7月31日に公表した「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」は、業務でAIを使う側に、生成物を使う前に既存の著作物と似ていないかをインターネット検索などで確かめるよう勧めています。これをバナーの公開前の作業に落とすと、次の5段階になります。

  1. 指示文を読み返し、他社名・作品名・キャラクター名・作家名・「◯◯風」といった言葉が入っていないかを見る
  2. 完成した画像で画像検索(画像から似た画像を探す検索)をかけ、構図や絵柄がそっくりな作品がないかを確かめる
  3. 他社のロゴ、有名なキャラクター、実在の人物に見えるものが写り込んでいないかを原寸と拡大の両方で見る
  4. バナーに入れた商品名・キャッチコピー・ロゴの形が、他社の商標と紛らわしくないかを確かめる
  5. 少しでも迷う点があれば、公開を止めて法務担当や弁理士・弁護士に相談する

実在の人物に見える画像について、OpenAIのガイドは、その人物の肖像を使う許可を得ているかを確かめるよう求めています。社員をモデルにする場合も、本人の了承を取ってから使いましょう。

広告・SNSに出すときの表示の注意

AIで作った画像を広告に使うときは、実物よりよく見せていないかと、AIで作ったことを偽っていないかの2点を確かめることになります。どちらも、画像の作り方に関係なく問われる点です。

消費者庁は、景品表示法の優良誤認表示を、商品やサービスの品質を実際のものよりも著しく優良であると示す表示などと説明しています。故意ではなく誤って表示した場合でも規制の対象になりうると同庁のページには書かれており、注意が必要になります。消費者庁のこのページにAIへの言及はありませんが、AIで仕上がりを盛った商品画像や、実際にはない効果を想像させる画像は、同じ論点になりうると考えておくほうが安全でしょう。

AIで作ったことの扱いについては、各社の規約に共通する決まりがあります。Googleは生成AIのコンテンツを人が作ったものと誤解させる行為を、OpenAIは人が作ったものではないアウトプットを人が作ったと表示することを、それぞれ禁止しています。AIで作った画像を「撮り下ろし」「お客様の実際の写真」のように見せる表示は避けてください。

SNSや広告媒体ごとに、AIで作った画像の表示ルールを設けている場合もあります。出稿や投稿の前に、使う媒体の公式ヘルプで最新の決まりを確かめましょう。SNSでのAIの使い方はSNS運用のAI活用にまとめています。

社内で作ってから公開するまでの承認手順とチェックリスト

AIで作ったバナーは、作成者・確認者・必要なときの法務確認という3段階の流れに乗せ、記録を残してから公開する形にすると、担当者が替わっても同じ品質を保てます。作る速さが上がった分、公開の手前にある確認を人の目で固めておくことが大切です。

段階担当すること
1. 作成作成者(販促・広報の担当者)会社で決めたAIで作り、台帳に指示文と素材を記録する
2. 確認上長または広報の責任者下のチェックリストを通し、文言と画像の中身を確かめる
3. 法務確認(該当時のみ)法務担当・顧問の専門家実在の人物に見える画像、他社との比較、効果や数字をうたう表現、有名作品に似た画風のもの
4. 公開作成者承認日と掲載先を台帳に書き、公開する

法務確認に回す基準は、あらかじめ社内で決めて書面にしておきましょう。基準がないと、確認する人によって判断が変わり、急ぎの案件ほど確認が飛ばされがちになります。公開前のチェック項目は次のとおりです。

  • 会社で認めたAIとアカウントで作ったか個人の無料版で作ったものは、作り直すか、会社の環境で同等の画像を作ってから使います。
  • 入れてはいけない素材を入れていないかお客様の写真や氏名、発表前の商品、取引先の資料をAIに渡していないかを作成者に確かめます。
  • 指示文に他社名・作品名・作家名が入っていないか台帳の指示文の欄を読み、特定の作品をまねる指示がないかを見ます。
  • 似た作品がないか画像検索で確かめたか構図や絵柄がそっくりな画像が見つかった場合は使わずに作り直します。
  • 他社のロゴ・キャラクター・実在の人物が写り込んでいないか拡大して、看板や服の模様などの細部まで確かめます。
  • 社名・価格・日付・電話番号は人が文字で入れたかAIが描いた文字が残っていないか、誤字がないかを1字ずつ見ます。
  • 商品の形や色が実物と違っていないか実物の写真と並べて、形・色・付属品の有無を比べます。
  • 効果や順位をうたう言葉に根拠があるか根拠の資料がない表現は外します。
  • 透かしや来歴の情報を消す加工をしていないか使ったAIの規約で禁止されていないかを確かめます。
  • 媒体の入稿規定とAIの表示ルールを確かめたかサイズ・容量・形式と、AI生成物の表示の決まりを媒体の公式ヘルプで確認します。

誰が・どのAIで・どの指示文で作ったかを残す台帳のひな形

文化庁のチェックリスト&ガイダンスは、生成に使ったプロンプトなど、生成の過程を確認できる状態にしておくよう努めることを挙げています。後から似た作品があると指摘されたときに、どう作ったかを説明する材料になるためです。表計算ソフトに次の列を作れば、そのまま台帳として使えます。

列の名前書く内容の例
管理番号BN-2026-001
作成日・作成者2026年10月1日・販促課 担当者名
使ったAIとアカウントの種類ChatGPT(会社契約のBusiness)、Canva(会社契約)など
使ったモデル・機能画像生成、部分編集など、画面に表示されている名前
指示文(全文)最初の指示と、修正の指示をすべて貼り付ける
渡した素材自社撮影の商品写真(ファイル名)、ロゴデータなど
人が加えた作業文字入れ、ロゴ配置、色の調整、トリミングなど
確認の記録画像検索の実施日、チェックリストの確認者、法務確認の有無
承認日・掲載先・掲載期間2026年10月3日承認・Instagram広告・10月5日〜31日

台帳は作成者が書き、確認者が承認欄を埋めたときに初めて公開できる、という順番にしておくのがおすすめです。書く手間はかかりますが、指示文が残っていれば、反応のよかったバナーを次回も同じ条件で作り直すことにも役立ちます。まずは次のキャンペーン1本から、この台帳を使ってみてください。

画像づくりのAIも、会社の管理のもとで

UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。画像・PDF生成に対応し、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。全モデルで学習非利用を標準適用し、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理しています。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。

UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

AIで作ったバナーは商用利用できますか?
多くのサービスは、規約を守る範囲で業務に使えるとしていますが、条件はサービスとアカウントの種類で異なります。たとえばMicrosoftの個人向けCopilotは個人的な使用のためにのみ使えると定めており、Googleは広告を含む商業利用ではGoogle Workspace with GeminiかVertex AIの利用を案内しています。使う前に、会社で契約したアカウントかどうかと、そのサービスの最新の規約を確かめてください。
無料のAIだけでバナーは作れますか?
ChatGPTの無料版やCanvaの無料版、Adobe Fireflyの無料の生成回数などで、試しに作ることは出来ます。ただし回数や枚数に上限があり、個人の無料版は入力の扱いや業務での利用について会社が管理できません。業務で継続して使うなら、会社として契約したアカウントに切り替えることをおすすめします。
AIが作ったバナー画像に著作権はありますか?
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」は、簡単な指示で生成しただけのものは著作物に当たらないと考えられる一方、人が道具としてAIを使った場合や、人が加筆・修正した部分には著作物性が認められうると説明しています。最終的には個別の事情で判断されるため、文字入れやレイアウトなど人が手を加えた記録を台帳に残しておくと説明しやすくなります。
画像の中の日本語が崩れたときはどうすればよいですか?
AIには文字を入れない背景だけを作らせ、見出しや価格はCanvaやPowerPointで後から文字として載せる方法が確実です。どうしても画像の中に文字を入れたい場合は、文言を短くし、引用符で囲んで、フォントや大きさ、置き場所まで指定してください。社名・価格・日付・電話番号は、AIに描かせないようにしましょう。
AIで作ったことをバナーに表示する必要はありますか?
表示のルールは媒体やサービスごとに異なるため、出稿する媒体の公式ヘルプで確かめる必要があります。少なくとも、GoogleやOpenAIの規約は、AIで作ったものを人が作ったと誤解させる表示を禁止しています。AIで作った画像を実際の写真のように見せる表現は避けてください。
社員が個人の無料版でバナーを作ってもよいですか?
おすすめしません。個人の無料版では、入力した素材の扱いや利用の記録を会社が把握できず、サービスによっては業務での利用が想定されていない場合もあります。会社として使うAIとアカウントを決め、社内ガイドラインで入力してよい素材の範囲を示したうえで使ってもらう形が安全です。

まとめ

AIバナー作成は、背景や素材づくりをAIに任せ、文字入れと公開前の確認を人が受け持つ分担にすると、速さと品質を両立しやすくなります。プロンプトは目的・主役・場面・画風・条件の5つを押さえ、サイズは比率で伝えて最後にツールで合わせる流れが扱いやすいでしょう。

会社で使うときに差が出るのは、どのアカウントで作ったかと、公開前にどこまで確かめたかです。個人の無料版は業務での利用が想定されていない場合があり、素材の入力の線引きも守りにくくなってしまいます。会社で認めたAIを決め、類似作品と商標の確認、実物との違いの確認を承認の流れに組み込み、指示文を台帳に残す形を整えていきましょう。

複数のAIを会社でまとめて使う考え方はマルチAIとはで、法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧でご覧いただけます。