
AI議事録の情報漏洩とは、会議の録音や文字起こしが、会社の決めた範囲を越えて見られたり使われたりしてしまうことを指します。AI議事録を使えば必ず漏れる、というわけではありませんが、録音から共有までのどこかで預け先を見落とすと、実際に起きてしまうことがあります。録音・文字起こし・要約・保存・共有の5段階で預け先を決めておけば、使ってよい会議と止める会議を判断することが出来ます。ツールそのものの選び方から知りたい方は、先にAI議事録ツールの選び方を読んでみてください。
録音から共有まで、預け先を5段階で確かめる
AI議事録の情報漏洩を考えるときは、会議の内容が通る場所を順番に書き出すところから始めるのがよいでしょう。録音ボタンを押した方だけが、内容を扱うわけではありません。その先には、音声を文字にするサービス、要約を作るAI、出来上がった議事録の保存先、そして共有先が続いていきます。会議室の中で話したことが、どの段階で社外のサーバーへ送られるのか、一度確かめてみてください。
例えば、会議ツールで録音して、その文字起こしを別の生成AIへ貼り、出来上がった議事録を共有フォルダへ置く、という流れを考えてみましょう。この場合は、会議ツール・生成AI・共有フォルダの条件を、それぞれ確かめることになります。録音に使ったサービスだけを調べていると、文字起こしを貼った先の扱いはつい見落としてしまいます。議事録の預け先は、最初の録音先だけでは決まりません。途中でファイルや文章を移した方にも、行き先を書き残してもらいましょう。
| 段階 | 確認する預け先 | 誰が見られるか | 消える条件 |
|---|---|---|---|
| 録音 | 会議ツールの録画・録音の保存先 | 主催者、管理者、共有を受けた方 | 自動削除の設定とごみ箱の扱い |
| 文字起こし | 会議ツール内の転記先、または別の音声認識サービス | 開催者と共同開催者など、製品の権限設定による | 録音と同じ期限か、別の期限か |
| 要約 | 会議ツールのAI、または文章を貼った生成AI | 要約を受け取る参加者と共有先 | 要約本文と入力履歴の保存条件 |
| 保存 | 主催者のドライブ、会社の文書保管先 | フォルダの権限を持つ方 | 保管期限、手動削除、ごみ箱の扱い |
| 共有 | メール、リンク、社内の共有先 | 送信先やリンクを開ける方 | リンクの停止と複製したファイルの回収 |
この表は製品ごとの保存先を決めつけるものではなく、会社が自分で埋めていくための地図のようなものです。実際に使っている会議ツールの管理画面で、保存先を確かめてみてください。元のファイルを消せば共有済みのコピーまで消えると思い込んでいると、対応を間違えてしまいます。議事録を移した先が増えたら、その分だけ削除の担当と確かめ方も決めておく必要があります。
会議の中身によって、漏れたときの困り方も変わってきます。人事評価の発言が広がれば、対象の方との信頼関係に響いてしまいます。取引先との価格交渉が議事録から見えてしまえば、社外への説明や関係者の確認にも追われることになります。会議の名前だけで決めずに、録音される発言の中身まで思い浮かべてみてください。
会議ツール標準機能の保存先と削除条件を確かめる
会議ツールに最初から付いている文字起こしや要約でも、保存先と共有の条件は確かめておく必要があります。専用のAI議事録サービスを契約していない会社でも、標準機能を使えば録音や文章はきちんと保存されています。いつもの会議ツールだから安全だろう、とひとまとめにせず、機能ごとに見てみてください。
Microsoft Teamsの会議のレコーディングと文字起こしは、通常の会議なら開催者のOneDrive、チャネル会議ならそのチャネルのSharePointサイトに保存される仕組みになります。Microsoftの説明では、その有効期限は既定で120日とされています。A1ユーザーの場合、既定の最大有効期限は30日となります。有効期限に達するとごみ箱へ移り、職場または学校のアカウントでは、ごみ箱のアイテムが、管理者が設定を変えていなければ93日後に自動で削除されます。期限が来た時点で、すぐ完全に消えるとは限りません。社内で決めた削除の期限と、ごみ箱まで含めた製品の動きを、見比べてみてください。
Teamsの文字起こしは、既定では会議の開催者と共同開催者が、.docxまたは.vttの形でダウンロード出来ます。別のテナントのユーザーや匿名の参加者は、会議の後には表示出来ないと案内されています。ただ、主催者がファイルを別の場所へ移せば、今度はその移した先の共有設定が効いてくることになります。会議の後に誰がダウンロードして、どこへ置くのかを決めておきましょう。
Google MeetでGeminiが取る自動メモは、会議の主催者のGoogleドライブにあるGoogle Meetフォルダへ保存されます。メモの共有先は、主催者が「すべての招待済みゲスト」「組織内の招待済みゲスト」「主催者と共同主催者のみ」の中から選ぶ形になります。参加者全員には、メモを作成中であることが通知されます。管理者が参加者の明示的な同意を必須にする設定もありますが、既定ではオフになっています。この設定が入っているかどうかと、主催者が選んだ共有の範囲は、別々に確かめてみてください。
Zoomには、クラウド録画を管理者が指定した日数の後に自動で削除する設定があります。文字起こしは、WebポータルのRecordings and TranscriptsにあるTranscriptsタブで見ることが出来ます。Zoom AI Companionの会議要約を会議の後に自動で受け取るのは、ホストが共有を選んだ場合に、当初の招待者に入っていて、会議中にZoomアカウントへサインインしていた参加者です。ホストがメールアドレスを入れて共有することも出来ます。録画をいつ消すかと、要約を誰へ送るかは、別々に確かめる項目になります。
ここまでの話は、あくまで製品の既定値や選べる設定についてです。実際の会社の管理設定が同じとは限りません。Microsoftの有効期限の説明、Googleの自動メモの説明、Zoomの会議要約の説明を、管理者と会議の担当者で一緒に開いてみてください。保存期限がまだ分からない機能は、自社の画面と契約条件で確かめるまで、社内の表に数字を入れないほうがよいでしょう。
※上記の製品仕様は、2026年11月7日時点の各社公式資料に基づきます。実際の管理設定は会社ごとにご確認ください。
標準機能は操作が簡単なぶん、使う方が保存先を意識しないまま使い始めてしまいやすいものです。会議を招集する時点で主催者を決め、その方のドライブに何が残るのかを確かめておきましょう。退職や異動の前に、録音と文字起こしの置き場所を引き継ぐ手順も、会社の運用表に足しておくことが出来ます。
文字起こしを別のAIへ貼る前に、学習利用を確認する
文字起こしを別の生成AIへ貼ると、会議の内容は新しい預け先へ渡ってしまいます。録音サービスで学習利用を止めていても、貼り付けた先の条件まで自動で引き継がれるわけではありません。議事録を整える方が、どのアカウントを使っているのかまで見てみてください。
総務省の生成AIの教材には、海外の電子機器メーカーで、社内会議の録音を音声認識アプリで文章に変え、生成AIへ入力して議事録を作った事例が載っています。教材の中でも、社名は挙げられていません。この事例から分かるのは、録音を扱う段階と、文章を生成AIへ渡す段階が別々にあるということです。録音の段階で利用が許されていても、生成AIへの貼り付けは、改めて確かめることになります。
ChatGPT Businessでは、既定でビジネスデータが学習に使われることはありません。ChatGPT Enterpriseについても、提供元はコンテンツをモデルのトレーニングに使用しないと説明しています。一方で、Plusなどの個人向けでは会話の内容が学習に使われる場合があり、設定からオプトアウトすることが出来ます。Claudeの商用製品も、提供元は入力と出力を既定で訓練に使わないと説明していますが、個人向けのFree・Pro・Maxは、設定で学習を拒否する方式となります。同じ名前のAIでも、会社向けと個人向けで入力データの扱いは分かれます。
Geminiの個人アカウントでは、アクティビティの保存をオフにすると、それ以降のチャットはAIモデルのトレーニングに使われなくなります。ただし、チャットは72時間アカウントに保持されます。Google Workspaceは、顧客から事前の許可や指示がない限り、モデルのトレーニングに顧客データを使わないと説明しています。Zoomも、音声や映像などの顧客コンテンツを、自社や第三者のAIモデルの訓練に使わない方針です。Microsoft 365 Copilotの企業向けデータ保護では、Microsoft Graph経由でアクセスしたプロンプト、応答、データは基礎モデルの訓練に使われません。どれも同じ条件だと思い込まず、契約している製品名とアカウントの種類を書き留めておきましょう。
個人情報保護委員会は生成AIサービスの利用に関する注意喚起の中で、個人情報を含むプロンプトを入力するときは、特定した利用目的に必要な範囲かを十分に確かめるよう促しています。本人の同意を得ないまま個人データを含むプロンプトを入力し、そのデータが回答の出力以外の目的で扱われる場合は、法令に違反する可能性がある、という説明です。そのため、提供元が機械学習に使わないことなどを、十分に確認するよう求めています。会議の文字起こしに顧客や社員の名前が入っているなら、貼る前に利用目的と学習の条件を見直してみてください。
許可された議事録ツールから文章をコピーして、担当者の個人アカウントへ貼るのは、見落としやすいシャドーAIの経路になってしまいます。担当者が急いで文章を整えたいときほど、起こりやすい使い方でしょう。禁止の一文だけを渡すより、会社が指定する貼り付け先と、貼ってはいけない会議をあわせて伝えましょう。業務で複数のAIを使う場合も、使い分けを考えるより先に、預け先を会社で把握しておく必要があります。
議事録を別のAIへ渡すときも、使う環境を会社でそろえると預け先を追いやすくなります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
共有権限・アクセスログ・脆弱性を運用で確認する
議事録が出来た後は、見られる方を必要な範囲に絞ることが、情報漏洩の予防につながります。録音と文字起こしの預け先が分かっていても、要約を全員に送ったり、共有リンクを広く開いたりすれば、内容は広がってしまいます。主催者だけでなく、共有設定を変えられる方が誰なのかも見てみてください。
例えば人事評価の会議なら、出席者全員に議事録を配る前に、記録に残す発言と見られる方を確かめることになります。本人に関わる話題を含むときは、同じ部門の中でも閲覧の範囲を分けたい場面があるでしょう。取引先との価格交渉なら、社内の検討用メモと相手に送る決定事項を同じファイルにしないほうが、扱いやすくなります。会議の参加者と記録の閲覧者を、同じ名簿にする必要はありません。
共有の確認は、リンクを発行した直後と、担当者が変わるときに分けてみましょう。最初は対象の方だけが開ける設定でも、後から別のフォルダへ複製されることがあります。メールで送った添付ファイルは、元のファイルを消しても残ってしまいます。削除の対象は原本だけでなく、配った要約と複製した文字起こしにも及びます。保存先の一覧に、共有したファイルの行き先も書き足してみてください。
アクセスログや監査ログは、誰がいつ見たり操作したりしたかを、後から確かめるための記録になります。ツールを選ぶときは、ログがあるという表記だけで済ませず、会社の管理者が何を見られるのかを実際の画面で確かめましょう。ログの保管先と保管期限も、録音本体とは別に確かめる必要があります。事故が起きてから初めてログを探すと、必要な操作の記録を集めるまでに時間がかかってしまいます。
ツール側の脆弱性やサイバー攻撃は、社内の共有設定だけでは防ぎ切れません。だからこそ、提供元から届く不具合や事故の連絡をどこで受けて、誰が社内へ伝えるのかを決めておきたいところです。会議の担当者が気づいた不審な共有と、提供元から届く障害の通知を、同じ連絡先へ集める形でもよいでしょう。製品の設定だけで安全と決めずに、連絡の受け皿まで見ておいてください。
ツール選び全般の点検項目は、生成AIのセキュリティ対策チェックリストにもまとまっています。ここでは議事録に絞って、参加者・閲覧者・保存先・削除の担当を会議ごとに残すところから始めましょう。特に社外の方が参加する会議では、議事録を送る前に、共有リンクの宛先をもう一度見直す流れが必要になります。
会議の機密度で、使う・条件付き・使わないを決める
すべての会議を同じ設定で録音するより、内容ごとに使う・使わないの線を引いたほうが判断しやすくなります。いつもの定例と人事評価とでは、発言が広がったときの影響がまったく違ってきます。会議の名前だけで決めず、その日に話す予定の議題から考えてみてください。
| 会議の例 | 社内で決める初期案 | 使う前の確認 | 自社の決定欄 |
|---|---|---|---|
| 通常の進捗確認・定例 | 指定ツールで使う | 主催者、保存先、共有範囲 | ____ |
| 人事・評価・労務の話題 | 条件付き、または使わない | 録音が必要か、閲覧者を絞れるか | ____ |
| 経営、買収、法務の検討 | 原則使わない案から検討 | 記録方法を会議責任者が指定 | ____ |
| 顧客の個人情報を含む相談 | 条件付き、または使わない | 利用目的、入力先、取引先との取り決め | ____ |
この表は、どの会社にも当てはまる正解というわけではありません。例えば定例でも、途中で未公表の価格や人事の話に移ることがあります。そのときは録音を止めるか、その部分を記録に残さないといった運用が必要になります。会議の機密度は招集時に仮決めし、議題が変われば録音の扱いも変えましょう。迷う議題が出てきたら、主催者が会議の責任者に確かめる流れにしておいてください。
人事評価が広がってしまったときは、見た方の確認、対象の方への説明、保存先の点検が一度に重なります。取引先の価格が広がったときは、相手先へどの版を送ったのかも確かめなければなりません。どちらも、議事録が出来た後で共有先を整理するだけでは間に合わない場合があります。会議の前に、使うのを見送るという判断も選べるようにしておきましょう。
社員の方が個人で使っている議事録ツールを持ち込んだときは、使いやすさだけで承認しないようにしてください。会社が指定するツールと、例外を申請する窓口を一緒に示しておくと、現場の方も迷いにくくなります。禁止する会議の例だけでなく、使ってよい会議の例も伝えておけば、会議のたびに同じ質問が繰り返されることも減るでしょう。
参加者への録音・文字起こしの告知文を用意する
録音する会議では、参加者へ用途と預け先を前もって伝える社内ルールを用意しておくと、進めやすくなります。法律上すべての会議で録音への同意が必須だと言い切れる公的な資料は、見当たりません。一方で、個人を識別出来る会話が含まれる場合は、個人情報の利用目的にも気を配る必要があります。録音してよいかどうかで行き違いが起きないよう、告知の文面を用意してみてください。
個人情報保護委員会のQ&Aでは、電話の通話について、通話内容から特定の個人を識別出来るなら個人情報に当たると説明しています。同じQ&Aでは、利用目的を通知または公表する義務はあるものの、録音していることを伝える義務までは負わない、という説明になります。ただ、これはあくまで電話の通話についての説明です。会議の録音にそのまま法律上の結論を当てはめず、参加者への告知は会社の運用として決めておきましょう。
招集メールなら、例えば次のような文章にすることが出来ます。
「この会議は、社内の議事録を作成するために録音と文字起こしを使います。録音・文字起こしの保存先は〔指定ツールと保存場所〕、議事録の共有先は〔部署または担当者〕です。録音を避けたい内容がある場合は、会議前に主催者へお知らせください。」
冒頭の読み上げなら、長い説明はいりません。
「議事録作成のため、これから録音と文字起こしを始めます。共有先は〔対象者〕です。記録に残したくない話題があれば、録音を止めてから扱いますので、お知らせください。」
主催者が読み上げてから、機能をオンにする順番にするとよいでしょう。
社外の方が参加する場合は、招集メールの段階で使うサービス名と目的を書き、先方の取り決めも確かめておきたいところです。文面は次のように変えることが出来ます。
「議事録作成のため、〔サービス名〕で録音と文字起こしを予定しています。作成した記録は〔共有先〕へ共有し、〔社内で定めた期限〕まで保管します。記録方法にご希望があれば、開始前にお知らせください。」
保管期限をまだ決めていない会社は、空欄のまま送らず、先に社内の担当者と決めましょう。
告知をしていても、途中で共有先が変われば、説明と実態がずれてしまいます。会議の途中で新しい参加者が加わったときも、録音と文字起こしを使っていることを伝える流れが必要になります。主催者が読み上げる文面と、議事録を送る担当者の送信先は、同じ運用表で管理してみてください。そうすれば、文面だけ整えて実際の共有設定を見ていなかった、という失敗も減らすことが出来ます。
そのまま直せるAI議事録の社内ルールひな形
社内ルールは禁止事項だけでなく、会議の前後に誰が何を決めるのかまで書いておくと使いやすくなります。長い文書を先に作るより、普段の会議で迷いそうな場面を短い条文にしていきましょう。下のひな形は、会社のツールや部署、保管先に合わせて直してみてください。
第1条 AI議事録を使えるのは、会社が指定した会議とツールに限ります。会議の主催者は、招集時に議題を確かめ、利用区分を決めます。
第2条 人事評価、経営上の未公表事項、顧客の個人情報などを扱う会議は、担当部署が定めた条件を満たさない限り録音しません。会議中に対象の話題へ移った場合は録音を止めます。
第3条 主催者は、録音と文字起こしの目的、使うツール、議事録の共有先を参加者へ伝えます。社外の参加者がいるときは、先方との取り決めも確認します。
第4条 録音、文字起こし、要約は、会社が指定した場所へ保存します。文章を別の生成AIへ貼る場合は、承認された環境と入力してよい情報の範囲を確認します。
第5条 議事録の閲覧者は業務で必要な方に絞ります。外部へ送る版は、社内用のメモと分けて確認します。
第6条 録音、文字起こし、要約の保管期限と削除担当は、別表で決めます。削除時は共有した複製とごみ箱の扱いも確かめます。
第7条 誤共有や無許可ツールへの入力に気づいた方は、〔連絡先〕へ速やかに伝えます。担当者は共有の停止、保存先の確認、関係者への連絡を順に進めます。
ひな形を使うときは、第2条の禁止情報を、会社の業務に合わせて具体的にしてください。技術開発の会社なら設計の話、顧客対応の会社なら相談の中身など、会議で実際に出てくる情報を書き込んでいくとよいでしょう。禁止する言葉を広げすぎると、現場の方がどの会議も録音出来ないと受け取ってしまいます。使ってよい会議の例を第1条の別表に添えておけば、判断もしやすくなります。
第6条の期限は、録音と文字起こしで分けて決めましょう。Teamsに既定の期限があるからといって、それをそのまま会社の保管期限にする必要はありません。Zoomでは管理者が自動削除の日数を指定出来ますが、表には会社が実際に設定した日数を書き入れてください。Google Meetの自動メモも、主催者のドライブに残る文書ですので、削除の担当を決めておきましょう。規程に書いた期限と、ツール側の設定が一致して初めて運用になります。
第7条の連絡先は、部署名だけで終わらせずに、担当の窓口まで書いておいてください。夜の会議や社外との打ち合わせでも連絡が届く窓口を、会社で選んでおきましょう。報告した方を責めるような書き方にすると、誤共有に気づいても言い出しにくくなってしまいます。まずは共有を止めるための連絡なのだと、説明しておくことが大切になります。
ルールを配った後も、会議ツールの設定が変わったときや、新しい議事録サービスを使い始めるときには見直していきましょう。保存先や学習利用、共有の既定値が変われば、文書だけが古いまま残ってしまいます。見直す担当と、変わったことを社員へ知らせる方法も決めておくと安心です。書式を広げたいときは、生成AIの社内ガイドラインも参考になります。
暗号化・第三者認証・オンプレ型をどう選ぶか
議事録ツールを選ぶときは、保存先を追えるかどうかに加えて、通信と保存の守り方も確かめておきたいところです。暗号化とは、送る途中や保存している間のデータを読みにくくする仕組みになります。製品の紹介に安全と書かれていても、録音・文字起こし・要約のどこまでが対象なのかを、資料で見てみてください。
第三者認証としてISMSやISOなどの記載があれば、認証の対象になっている組織とサービスの範囲を確かめましょう。認証の名前があるだけで、会議ごとの共有設定まで正しくなるわけではありません。会社側で誰が閲覧権限を付けるのか、うっかり広げてしまったときに戻せるのかも、あわせて見ておく必要があります。アクセスログや管理者の操作記録が必要な会社は、取れる記録の種類を契約の前に質問してみてください。
クラウドに会議の音声を預けられない会議があるなら、オンプレミス型やオフライン型も選択肢に入ってきます。オンプレミス型は会社が管理する設備で処理する形、オフライン型は外部との通信を使わない形のことです。ただし、外部へ送らないからといって、共有のミスまでなくなるわけではありません。端末や保存先、使う方の管理は残ったままになります。導入した後に誰が保守するのかも含めて、比べてみましょう。
選ぶ場では、機能を並べる前に、試しに使う会議を一つ決めると話が進みやすくなります。通常の定例なら、録音から出来上がった要約を送るところまで、実際にたどってみましょう。保存先と閲覧者を担当者が説明出来るか、削除した後に何が残るかを管理者が答えられるかを、確かめてみてください。機密性の高い会議を最初の試しに選んでしまうと、設定を確かめる前に実際のデータを預けることになってしまいます。
費用も、表示された単価だけで決めずに、会社全体の出費で見てみてください。選んだプランの月額に、必要な保管や運用の費用が含まれているかどうかも確かめておきたいところです。社内で人が文字起こしを移し替えたり、いくつもの場所から削除したりするなら、その作業時間も会社の負担になってしまいます。担当する方の時間単価と月の作業時間を掛けて、契約費と並べてみましょう。数字を置くときは実際の社内の単価を使い、仮の相場で決めないほうがよいでしょう。
従業員教育と事故時の動きまで決めておく
社内ルールは、会議を主催する方が迷わずに動けるところまで伝わって、初めて役に立ちます。文章を読んでもらうだけでは、録音ボタンを押す前や要約を送る前の判断には、なかなかつながりません。普段使っている会議ツールの画面を開いて、保存先と共有先を確かめる練習から始めてみてください。
研修では、通常の定例・人事評価・社外との相談を並べて、録音してよいかを参加者に選んでもらうやり方があります。答えが割れた会議は、規程の言葉があいまいになっている場所だと考えられます。そこで条文を直して、次の会議からは迷わない形にしていきましょう。新しいツールを持ち込むときの申請先もあわせて伝えておけば、無許可の利用を相談に変えやすくなります。
誤った相手へ議事録を送ってしまったときは、まず共有を止めて、実際の保存先と見られる方を確かめるのが最初の一歩です。その後、どの版の録音・文字起こし・要約が残っているかを一覧にしていきます。製品側から不具合や攻撃の知らせが来たときも、使った会議をたどれる状態にしておきましょう。事故時に必要なのは、録音から共有までの記録を順に戻れることです。
誰がいつ会議を主催して、どのツールで議事録を作ったのかが分からないと、影響を受けた会議を絞り込めません。会議の招集情報と保存先の管理表を、結び付けておきましょう。個人アカウントで作った要約が混じっていたときは、本人に責任を押し付ける前に、どこへ預けたのかを確かめてください。対応に必要な事実が集まってから、会社として連絡や説明を進めることが出来ます。
運用を見直すときは、使われなかったルールにも目を向けてみてください。指定のツールでは文章を整えにくく、個人向けAIへ貼る方が出ているなら、禁止を知らせるだけでは同じことが続いてしまいます。なぜ別のAIを使ったのかを聞いて、会社が認める環境と手順を整えましょう。会議の機密度・保存先・共有先をきちんと説明出来る状態が、現場にも管理者にも分かりやすい目標になります。
最初からすべての会議に広げる必要はありません。通常の定例で保存から削除までを一巡させ、参加者への告知と共有先の確認が出来たら、対象を広げていきましょう。途中で問題が見つかったら、会議の種類やツールの設定を見直してください。会社の費用も、契約額だけでなく、担当者が確認と削除に使う時間まで含めて毎月見ていくと、判断しやすくなります。
よくある質問
迷いやすい場面は、録音する前の判断と、会議の後の保存先に分けて考えると整理しやすくなります。自社の会議に近い質問から見てみてください。
AI議事録を使うと必ず情報漏洩しますか?
参加者全員から録音の同意を取る法律上の義務がありますか?
会議ツールの文字起こしを別のAIで要約してもよいですか?
録音を削除すれば議事録もすべて消えますか?
会議ツールの標準機能なら別の確認は不要ですか?
議事録ツールそのものの選び方はAI議事録ツールの選び方で、ほかの業務でのAIの扱いはAI活用コラム一覧で読むことが出来ます。まずは次に開く会議を一つ選んで、録音から共有までの預け先を表に書き出してみてください。
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