
AI議事録ツールとは、会議の録音や録画から発言を文字に起こし、要点・決定事項・ToDoをまとめた議事録の下書きまでを自動で作るサービスです。選ぶときは機能の多さを比べる前に、録音を預ける先がデータをどう扱うか(学習に使うか・どこに保存するか・いつ消せるか)と、社内にすでにあるWeb会議ツールや生成AIで足りるかどうかを先に確かめてから、専用ツールを増やすかを決めるのが近道です。この記事では、主な11本の料金と無料の範囲を各社の公式ページで確かめた内容、社員10人・30人の全員に配った場合の年額、録音を社外に預ける前の確認項目、議事録を作るプロンプト例までを順に解説します。
AI議事録ツールとは|録音から共有までの仕組み
AI議事録ツールは、録音・文字起こし・要約・共有という4つの工程を1つの画面にまとめたものです。人が議事録を作るときも同じ4つの工程を踏んでいますが、そのうち時間のかかる文字起こしと要約の下書きをAIが受け持つ、と考えると全体像がつかみやすくなります。
録音→文字起こし→要約→共有の4つの工程
- 録音:Web会議の音声を取り込むか、対面の会議をスマートフォン・パソコン・専用の録音機器で録ります。Web会議では、ツールの側が会議に参加者のような形で入って録音する方式と、会議ツールの録画ファイルをあとから読み込む方式があります。
- 文字起こし:音声認識の技術で、話された言葉を文字に変えます。誰が話したかを区別する話者分離(声の違いで発言を分ける機能)や、区別した声に名前を付ける話者識別を持つツールもあります。
- 要約:文字起こしの全文を生成AIが読み、要点・決定事項・次にやること(ToDo)などに整理します。議事録の書式をテンプレートとして指定できるツールもあります。
- 共有:できあがった議事録を、参加者や欠席者にリンク・メール・チャットで配ります。全文と要約を一緒に残しておけば、あとから発言を検索することもできます。
この4つのうち、議事録の品質を左右するのは録音の質と、人による最終確認です。AIが受け持つのは文字起こしと要約の下書きであり、議事録として配ってよいかを判断するのは人の仕事として残ります。
AI議事録を作る3つの方法
会社でAI議事録を作る方法は、大きく分けて次の3つです。検索すると専用ツールの比較記事が多く見つかりますが、会社によっては2つ目か3つ目で足りる場合があります。
- 専用のAI議事録ツールを契約する:録音から共有までを1つのサービスで完結させる方法です。対面会議の録音、話者の区別、会議への自動参加など、議事録に特化した機能がそろっています。
- Web会議ツールの標準機能を使う:Google Meet・Zoom・Microsoft Teamsには、契約プランによって文字起こしや会議の要約を作る機能が付いています。すでに払っている契約の範囲で使えることがあります。
- 汎用の生成AIに文字起こしを読み込ませて要約する:ChatGPT・Copilot・Geminiなど、社内で使っている生成AIに文字起こしのテキストや録音ファイルを渡し、議事録の形に整えてもらう方法です。
考える順序:新しいツールを1本増やすと、契約・アカウント管理・データの預け先がそれぞれ1つずつ増えます。まず2つ目と3つ目で足りるかを確かめ、足りない場面がはっきりしてから専用ツールを検討すると、ツールの乱立を防げます。
導入メリット|作成時間の削減・聞き逃し防止・共有と検索のしやすさ
AI議事録ツールを入れる大きなメリットは、議事録を書く人の時間が、ゼロから書く作業から下書きを確認する作業に置き換わることです。そのほかに、聞き逃しの防止と、共有・検索のしやすさという2つの効果があります。
作成時間の削減
人が議事録を作る場合、会議中にメモを取り、会議後に録音やメモを見返して清書するのが一般的な流れです。AIが文字起こしと要約の下書きを作れば、担当者の作業は下書きの確認と修正が中心になります。どのくらい短くなるかは会議の内容と録音の質で変わるため、後半の費用対効果の節で試算の方法を紹介します。
聞き逃し防止と発言の確認
メモを取りながら議論に加わるのは難しく、書記役の人が発言できなくなるという問題もあります。録音と文字起こしが残っていれば、書記役も議論に集中できますし、会議後に「あの数字は何と言ったか」を全文で確かめられます。言った言わないの行き違いを減らせる点も、現場で評価されやすいところです。
共有と検索のしやすさ
議事録が同じ形式でそろい、1か所に保存されていれば、欠席者への共有や、過去の会議で何が決まったかの確認が速くなります。全文を検索できるツールでは、キーワードで過去の発言にたどり着けます。一方で、保存場所が個人のアカウントに散らばると、この効果はほとんど出ません。共有と検索のしやすさは、ツールの機能だけでなく、会社として保存先をそろえるかどうかで決まります。
注意点|精度は100%ではなく人の最終確認が必要
AIの文字起こしと要約は、どのツールでも100%正しくはならないため、配る前に人が確認する工程を必ず残してください。特に固有名詞・数字・決定事項・担当者と期限は、誤りがそのまま業務の誤りにつながります。
録音環境で精度が変わる
文字起こしの精度は、ツールの性能と同じくらい録音の条件に左右されます。各社が公式ページで示す精度の数値は、それぞれの測り方による自己申告の値で、条件もそろっていません。自社の会議で使えるかどうかは、自社の会議の録音で試すのが確実です。録音の条件で、次の点を見直すと改善しやすくなります。
- マイクと話者の距離対面会議でパソコン内蔵のマイクだけを使うと、遠い席の声が拾いにくくなります。会議室用のマイクか、机の中央に置ける録音機器を使います。
- 同時に話す人の数複数人が同時に話すと、文字起こしも話者の区別も崩れやすくなります。進行役が発言者を指名するだけでも改善します。
- 社名・商品名・専門用語固有名詞は誤変換が起きやすい部分です。単語登録の機能があるツールなら、よく出る固有名詞を登録しておきます。
- Web会議の音声の質通信が不安定な参加者の音声は途切れた状態で記録されます。重要な会議では、有線接続やヘッドセットの利用を案内します。
要約は話されていないことを補うことがある
生成AIの要約は、文脈から推測して、実際には誰も言っていない結論や担当者を書いてしまうことがあります。決まっていない期限が「来週中」と書かれていたり、検討事項が決定事項として書かれていたりする誤りは、読み手が気づきにくいものです。後半のプロンプト例のように、話されていないことは[未定]と書くよう指示しておくと、この誤りを減らせます。
最終確認の分担を決めておく
確認を誰がするかを決めていないと、全員が確認済みだと思い込んだまま配られます。議事録の担当者が全体を読み、決定事項と担当・期限は会議の主催者が確認する、というように分担を決めておくと漏れが減ります。確認する観点は、固有名詞と数字、決定事項と検討事項の区別、担当者と期限、社外に出してはいけない発言が含まれていないか、の4つで十分です。
AI議事録ツールの選び方|比べる5つの軸
AI議事録ツールは、精度と話者の区別、セキュリティ、会議ツールとの連携、操作性、料金の5つの軸で比べると、自社に合うかを判断しやすくなります。このうち後から変えにくいのはセキュリティと料金体系で、精度と操作性は無料プランや試用で確かめられます。
文字起こし精度と話者分離・話者識別
精度は、公式ページの数値を比べるより、自社の会議の録音を同じ条件で2〜3本のツールに読み込ませて比べるのが確実です。公式に示される精度は各社の自己申告で、測った音声も条件も公開されていないことが多いためです。比べるときは、全体の読みやすさより、社名・商品名・数字が正しく起こせているかを見ます。
話者分離は、発言を声の違いで分ける機能です。分けた声に参加者の名前を付ける話者識別まであると、「誰が何を言ったか」が議事録に残ります。社内の定例会議のように、誰の発言かがそれほど重要でない会議では、話者分離がなくても要約は十分に使えます。一方で、顧客との打ち合わせや、発言者の責任が問われる会議では、話者の区別がある方が確認の手間が減ります。
セキュリティ|学習利用・保存場所・権限管理
セキュリティで最初に確かめるのは、録音と文字起こしがAIの学習に使われるかどうか、どの国に保存されるか、管理者が権限とアカウントを管理できるかの3点です。同じ会社のサービスでも、プランによって学習利用の扱いが違う場合があります。確かめ方と公式ページの読み方は、後半の「録音を社外のサービスに預ける前の確認項目」で解説します。
Zoom・Teams・Google Meetとの連携
社内で使っているWeb会議ツールに対応しているかは、公式ページで必ず確認します。連携の方式は主に、会議にツールが参加して録音する方式、会議ツールの録画や文字起こしのファイルを読み込む方式、カレンダーと連携して予定された会議を自動で記録する方式に分かれます。社外の会議に参加するときは、相手先の会議に記録用の参加者が入ることになるため、相手の了承が必要になる点も考えておきます。
操作性と共有・編集のしやすさ
毎日使うのは、ITに詳しくない社員も含めた全員です。録音の開始が1〜2回の操作で済むか、文字起こしの誤りをその場で直せるか、議事録をチャットやメールにそのまま貼れる形で出せるか、を試用で確かめます。スマートフォンのアプリで対面会議を録れるかどうかも、営業職や現場の多い会社では大きな差になります。共有の範囲を「参加者のみ」「部署内」などに絞れるかどうかは、操作性であると同時にセキュリティの論点でもあります。
料金体系と無料プラン・無料トライアルの範囲
料金体系は、ツールによって4つの型に分かれます。社員数と会議の時間によって、どの型が安くなるかが変わります。
- ユーザー単価型:1人あたりの月額や年額で決まる型です。使う人数に比例して費用が増えます。
- 利用時間の枠型:月に何時間まで文字起こしできるかで料金が決まる型です。会議の多い会社では枠の大きさが決め手になります。
- 録音機器+AIプラン型:録音機器の本体を買い、文字起こしと要約の利用枠を別に契約する型です。
- 問い合わせ型:公式ページに金額が掲載されておらず、会議の量や使い方を聞いたうえで見積もる型です。
無料プランや無料トライアルは、使える範囲がツールごとに大きく違います。月120分まで使える無料プラン、累計3時間まで無料、7日間の無料トライアル、クレジットカードの登録なしで試せるもの、などがあります。無料の範囲では1回の文字起こしの長さや要約機能に制限があることが多いため、試用では実際の会議1本を最後まで通せるかを確かめます。各ツールの具体的な範囲は次の比較一覧にまとめました。
AI議事録ツールの比較一覧|主な11本の料金と無料の範囲
ここでは、専用のAI議事録ツール8本とWeb会議ツールの標準機能3つを、料金と無料の範囲を中心に並べます。精度の順位付けはしていません。各社が示す精度は自己申告の値で、条件がそろっていないためです。
※料金は2026年9月16〜18日に各社の公式ページで確認した金額です。税込・税抜は各ページの表記どおりに記載しています。プランや金額は変わることがあるため、契約前に各社の公式ページで最新の内容をご確認ください。
専用のAI議事録ツール(8本)
- Notta料金ページ(notta.ai/pricing・税込表示)では、無料プランが月120分で、1回につき3分まで文字起こしできる範囲です。有料はプレミアムが年払いの月額換算で1,185円(12か月一括の総額14,220円)、ビジネスが月額2,508円(総額30,096円)と表示されています。法人向けのページ(notta.ai/business・税抜表示)では、ビジネスが年27,360円(税抜、月2,280円)で文字起こし無制限・1回5時間まで、ビジネスPlusが年64,800円(税抜、月5,400円)でAI学習なしに対応、エンタープライズは要相談です。同じ会社の別ページで税込と税抜の表示が分かれているため、見積もりの際はどちらのページの金額かを確かめてください。
- Rimo Voice料金ページ(税込表示・月払い)では、文字起こしプランが月1,650円、プロプランが月4,950円、チームプランが月6,600円で、11アカウント以上の法人プランはお見積りです。クレジットカードの登録なしで各プランを試せると案内されています。
- AI議事録取れる君公式ページでは、お試しプランが月1,380円(税抜、税込1,518円)で月1回の会議・月3時間まで、EnterpriseP-10が月5,800円(税抜)で月10時間、EnterpriseP-100が月47,000円(税抜)で月100時間です。お試しプランの超過分は1分22円(税込)です。無料プランはなく、7日間の無料トライアルがあります。
- toruno(リコー)個人向けのパーソナルは、累計3時間分の記録・文字起こしが無料で、有料は基本月額1,650円(税込の計算例)に超過分が加わる形です。法人向けのビジネス(税抜表示)は、月30時間プランが基本料金27,000円、月100時間プランが85,500円です。リコーは2025年7月4日に、AI要約機能付きプランの提供開始を発表しています。
- LINE WORKS AiNoteLINE WORKSの公式サイト内の料金解説コラム(税抜表示)では、企業向けのチームが年契約で月19,800円(月契約22,000円)・月100時間、ビジネスが年契約で月54,000円(月契約60,000円)・月300時間、エンタープライズが年契約で月162,000円(月契約180,000円)・月1,000時間です。個人向けのフリーは0円で月5時間(300分)まで、AI要約は使えず、データの保管は1年です。個人向けのソロは年契約で月1,440円(月契約1,600円)・月10時間です。
- Plaud NOTEカード型の録音機器とAIプランを組み合わせる形です。本体は2026年9月18日時点の販売価格が22,000円(税込・セール価格、通常価格27,500円)と表示されています。AIプラン(税込表示)は、Starterが無料で月300分、Proが年額16,800円で月1,200分、Unlimitedが年額40,000円で無制限です。
- YOMELPKSHA Infinityが提供する議事録ツールです。公式ページに金額の掲載はなく、料金は問い合わせで確認する形です。
- Otolio(旧スマート書記)公式の料金ページに具体的な金額の掲載はありません。会議の量や使い方をヒアリングしたうえで提案すると案内されており、料金は問い合わせで確認する形です。
Web会議ツールの標準機能(3つ)
- Google Meetの自動メモ生成(Geminiでメモを取る)対象のGoogle Workspaceエディションなどへの登録が必要です。Workspaceの料金ページの機能表では、Business Starterは非対応、Business StandardとBusiness Plusは対応と示されています。Workspaceの料金は、年間プランでStarterが月800円、Standardが月1,600円、Plusが月2,500円(ユーザーあたり・税別)です。新規の顧客向けの期間限定の割引表示を除いた標準の料金です。詳しい使い方はGoogle Meetで議事録を作る方法で解説しています。
- Zoomのミーティング要約Zoomの料金ページでは、無料のベーシックにも月3回の主催ミーティングでミーティング要約を使える枠が表示されています。プロは1ユーザーあたり月1,999円(年払い・消費税別)で、ミーティング要約は無制限と表示されています。一方、Zoomのサポート記事では、ミーティング要約の対象をプロ以上の有料ライセンスと案内しています。出典によって表記が異なるため、契約前に確認してください。詳しくはZoomで議事録を作る方法をご覧ください。
- Microsoft Teamsのインテリジェント要約Microsoftの公式ドキュメントでは、ユーザーにTeams PremiumライセンスまたはMicrosoft Copilotライセンスを割り当てる必要があり、音声の要約にはMicrosoft Copilotライセンスが必要とされています。Microsoft 365 Copilot Businessのアドオンは、一般法人向けの料金ページで年払いの月額相当3,148円(税抜)と表示されています(対象のビジネスプランを使っている既存の顧客が、2026年7月1日〜12月31日に年契約で申し込んだ場合、初年度だけ2,698円)。別途、対象となるMicrosoft 365プランのライセンスが必要です。詳しくはTeamsで議事録を作る3つの方法をご覧ください。
※LINE WORKS AiNoteの金額は、LINE WORKS公式サイト内の料金解説コラムの表示です。Teams Premiumの円建ての料金は、この記事では扱っていません。ZoomとMicrosoft 365 Copilotは表示されている年払いの金額で記載しています。
Web会議ツールの標準文字起こし機能と専用ツールの違い
Web会議が中心で、すでに対象プランを契約している会社は、専用ツールを増やす前に標準機能で足りるかを試す価値があります。標準機能は追加の契約やデータの預け先を増やさずに使えることがある一方、対面会議や、複数の会議ツールをまたぐ使い方には向かない場合があります。
標準機能が使える契約(2026年9月時点の公式ヘルプ)
- Google Meet:文字起こしは、Business Standard・Business Plus、Enterprise Starter・Standard・Plus、Workspace Individualなどが対象です。自動メモ生成はBusiness Standard・Business Plus、Enterprise Standard・Enterprise Plusなどが対象で、Business Starterは対象外です。メモと文字起こしは、会議の主催者のGoogleドライブの「Google Meet」フォルダに保存されます。無料のGmailアカウントは、自動メモ・文字起こし・録画の対応一覧に含まれていません。2026年8月には、Meetのホーム画面から対面会議のメモを取る機能も発表され、Android・Web・iOSの順に段階的に展開されています。
- Zoom:クラウドレコーディングの音声文字起こしは、Pro・Business・Education・Enterpriseのアカウントが対象で、ベーシックは対象外です。2026年5月の変更で、会議中の字幕は会議後に保存・ダウンロードできなくなり、会議後に文字起こしを残すにはMeeting transcriptの設定を有効にする必要があります(既定はオフ、対象はPro・Business・Enterpriseのアカウント)。
- Microsoft Teams:インテリジェント要約にはTeams PremiumかMicrosoft Copilotのライセンスが必要です。文字起こしをオンにし、録画を許可するポリシーも必要で、録画がオフの場合は話者・トピック・チャプターのない要約になると案内されています。
標準機能で足りる会社
次の条件に多く当てはまるなら、まず標準機能で1か月運用してみることをおすすめします。
- 会議のほとんどがWeb会議で、使う会議ツールが社内で1つにそろっている
- 標準機能が使えるプランを、すでに全員か主催者が契約している
- 議事録に求めるのは要点・決定事項・ToDoで、発言の一字一句までは要らない
- 社外の会議でも、自社が主催する会議が中心である
専用ツールが要る会社
反対に、次のような会社では専用ツールが向いています。以下の用途では汎用の生成AIや標準機能より専用ツールの方が手間は少なくなります。
- 対面の会議・商談・面談が多く、Web会議ツールの外で録音する場面が中心である
- 取引先ごとにGoogle Meet・Zoom・Teamsを使い分けており、会議ツールをまたいで議事録を1か所に集めたい
- 会議中にリアルタイムで字幕を表示したい、話者を名前で識別したい
- 社外が主催する会議にも、記録用の参加者を入れて自動で記録したい
- 標準機能が使えるプランを契約しておらず、全員分を上位プランに切り替えるより安く済む
判断の順序:①会議の場所(Web会議か対面か)と使っている会議ツールを数える→②標準機能が使える契約かを確かめる→③標準機能と汎用の生成AIで2週間試す→④足りない場面が具体的に残った場合にだけ、その場面に合う専用ツールを比べる。この順に進めると、使われない専用ツールを契約することを避けられます。
社員10人・30人の全員に配ったときの年額
AI議事録を全社で使うなら、1人あたりの月額だけでなく、全員に配った場合の年額で比べる必要があります。1人あたりが安く見えても、人数分を掛けると大きな差になるためです。ここでは、公式ページに表示された金額をもとに、社員10人と30人で計算します。
| サービスとプラン | 計算式 | 10人の年額 | 30人の年額 |
|---|---|---|---|
| Notta ビジネス(法人ページ・税抜) | 27,360円×人数 | 273,600円 | 820,800円 |
| Notta ビジネスPlus(AI学習なし対応・税抜) | 64,800円×人数 | 648,000円 | 1,944,000円 |
| Rimo Voice プロプラン(税込・1人ずつ契約した場合) | 4,950円×人数×12か月 | 594,000円 | 法人プランのお見積り |
| LINE WORKS AiNote(税抜・年契約) | 月額×12か月(利用時間の枠で選ぶ) | チーム 237,600円 | ビジネス 648,000円 |
| Google Workspace Business Standard(税別・年間プラン) | 1,600円×人数×12か月 | 192,000円 | 576,000円 |
| Zoom プロ(消費税別・年払い) | 1,999円×人数×12か月 | 239,880円 | 719,640円 |
| Microsoft 365 Copilot Business アドオン(税抜・年払い) | 3,148円×人数×12か月 | 377,760円 | 1,133,280円 |
※料金は2026年9月16〜18日に各社の公式ページで確認した金額です。税込・税抜は各ページの表記どおりです。Nottaは表示金額が1ユーザーあたりの金額である前提で計算しています。Rimo Voiceは、プロプランを1人ずつ契約した場合の計算です。Rimo Voiceは11アカウント以上が法人プランのお見積りのため、30人の欄は計算していません。LINE WORKS AiNoteは、1人が月に1時間の会議を4回記録すると仮定し、10人(月40時間)はチーム(月100時間)、30人(月120時間)はビジネス(月300時間)で計算しています。Google WorkspaceとZoomは会議ツールそのものの料金で、議事録の機能以外も含みます。Microsoft 365 Copilotは、対象となるMicrosoft 365プランのライセンスが別途必要で、割引の条件(対象のビジネスプランを使っている既存の顧客が、2026年7月1日〜12月31日に年契約で申し込んだ場合)を満たすときは、初年度だけ2,698円で、10人なら323,760円です。
この表から分かるのは、ユーザー単価型は人数に比例して増え、利用時間の枠型は会議の量で段階的に増える、という違いです。専用ツール同士で比べると、全員が日常的に記録する場合は、この表では利用時間の枠型(LINE WORKS AiNote)がユーザー単価型(Notta)より安くなっています。記録する人が一部だけなら、単価型の方が安くなることがあります。また、Google WorkspaceやZoomのように、すでに払っている会議ツールの料金に議事録の機能が含まれている場合は、追加の費用が0円で済むこともあります。
費用対効果|削減時間の試算
費用対効果は、議事録1本あたりに今かけている時間と、AIの下書きを確認する時間の差で計算できます。ここでは分かりやすい仮定を置いて計算の手順を示します。数字はすべて仮定なので、自社の実際の時間に置き換えてください。
- 仮定1:1時間の会議の議事録を、人が60分かけて作っている
- 仮定2:AIの下書きを使うと、確認と修正にかかる時間が20分になる
- 仮定3:議事録を作る会議が、会社全体で月20回ある(前の節の年額表で置いた、1人が月4回記録するという仮定とは別の仮定です)
- 仮定4:議事録を作る担当者の人件費を、1時間あたり3,000円とみなす
この仮定では、1回あたり40分(60分−20分)の削減になり、月20回で800分、つまり13時間20分の削減です。人件費に換算すると、13時間20分×3,000円で月40,000円、年間で480,000円分の時間が浮く計算になります。
前の節の年額と比べると、この仮定のもとでは、年額が480,000円を下回るプランであれば、時間の削減だけで費用を回収できる計算です。ただし、削減できた時間が別の仕事に使われなければ、実際の効果にはなりません。試用の2週間で、議事録1本あたりの時間を実際に測っておくと、社内への説明がしやすくなります。
※上記はすべて仮定に基づく計算例で、特定のツールの効果を示すものではありません。確認と修正にかかる時間は、録音の質・会議の内容・求める議事録の細かさによって大きく変わります。
ChatGPT・Copilotなど汎用の生成AIで議事録を要約する方法
社内ですでに生成AIを使っているなら、文字起こしのテキストや録音ファイルをそのAIに読み込ませて、議事録の形に整えてもらう方法があります。専用ツールを1本増やさずに済み、データの預け先も増えません。ChatGPTの場合に会議の録音をどの入口から文字にできるか(音声入力・Record・API)とプランごとの違いは、ChatGPTで文字起こしするには?会議の録音を議事録にする方法と会社の備えで整理しています。
手順
- 文字起こしを用意する:Google Meet・Zoom・Teamsの文字起こし機能で作ったテキストを使うか、録音ファイルを読み込める生成AIであれば、録音ファイルをそのまま渡します。
- プロンプトで議事録の形を指定する:決定事項・ToDo・担当・期限などの項目と、話されていないことを推測しない指示を入れます。下のプロンプト例をそのまま使えます。
- 人が確認して配る:固有名詞と数字、決定事項と検討事項の区別、担当と期限を確認してから配ります。
Microsoft 365を使っている会社では、対象となるMicrosoft 365のサブスクリプションを持つユーザーは、Microsoft 365 Copilot Chatを追加料金なしで使えると、Microsoftの大企業向けの料金ページに記載されています。ただし、アプリの中でCopilotを使える範囲は一部で、エージェントの利用は従量課金です。Geminiで議事録を作る手順はGeminiで議事録を作る方法で解説しています。
議事録プロンプト例
次のプロンプトの後ろに、文字起こしのテキストを貼り付けて使います。項目は自社の議事録の書式に合わせて入れ替えてください。
あなたは会議の議事録担当です。下の文字起こしから、社内向けの議事録を作ってください。 【出力する項目】 1. 会議名・日時・参加者(文字起こしから分かる範囲で) 2. 会議の目的(1〜2文) 3. 決定事項(箇条書き。決まったことだけを書く) 4. ToDo(表形式。列は「やること」「担当」「期限」) 5. 保留・継続検討の事項(決まらなかったこと) 6. 次回の予定 【守ること】 ・文字起こしに出てこないことは書かない。推測で補わない ・担当や期限が話されていない場合は[未定]と書く ・決定事項と検討中の事項を混ぜない。迷う場合は保留に入れる ・数字・金額・日付・社名は文字起こしの表記のまま書き、聞き取れない箇所は[要確認]と書く ・発言者の評価や感想は書かない 【文字起こし】 (ここに貼り付け)
このプロンプトの要点は、[未定]と[要確認]を書かせることです。空欄を埋めようとしてAIが推測で書いた部分と、実際に話された部分を、読み手が区別できるようになります。
そのまま使える議事録テンプレート
社内で議事録の書式がそろっていない場合は、次の形を共通のテンプレートにすると、AIの出力と人の確認の両方が速くなります。
■ 会議名: ■ 日時: ■ 場所・会議ツール: ■ 参加者: ■ 記録・確認者: ■ 目的: ■ 決定事項: ・ ■ ToDo: ・やること/担当/期限 ■ 保留・継続検討: ・ ■ 次回: ■ 取り扱い:社内限り/参加者限り
専用ツールが向く場面との線引き
汎用の生成AIで議事録を作る方法は、会議が終わったあとに文字起こしをまとめる作業には向いていますが、会議の最中の作業は得意ではありません。会議中にリアルタイムで字幕を出す、話者を名前で識別する、会議に記録用の参加者を自動で入れる、といった機能は専用ツールやWeb会議ツールの標準機能の領域です。こうした機能が毎日の業務に欠かせないなら、専用ツールを選ぶのが合理的です。一方で、会議の後に要点をまとめて配ることが目的なら、全社で使うAI環境に録音や文字起こしを読み込ませる方法で足りる場合があり、ツールと預け先を増やさずに済みます。
録音を社外のサービスに預ける前の確認項目
会議の録音を社外のサービスに預ける前に、学習利用・保存場所・保存期間・削除・管理者の権限・退職者のアカウントの6点を、公式の規約やポリシーで確かめてください。会議の録音には、取引先の名前や未公表の数字など、機密情報がそのまま多く含まれるからです。総務省の教材「生成AIはじめの一歩」も、生成AIに入力する際に注意が必要な機密情報の例として、経営・営業に関する情報や顧客や社員のデータと並べて議事録を挙げています。
個人情報保護委員会の注意喚起
個人情報保護委員会は、2023年6月2日の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、事業者に向けて次のように注意を促しています。
個人情報取扱事業者が、あらかじめ本人の同意を得ることなく生成AIサービスに個人データを含むプロンプトを入力し、当該個人データが当該プロンプトに対する応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、当該個人情報取扱事業者は個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。そのため、このようなプロンプトの入力を行う場合には、当該生成AIサービスを提供する事業者が、当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。
会議の録音には、参加者の名前や声、顧客の氏名や相談内容など、個人データが含まれることがあります。AI議事録ツールに録音を預けることは、この注意喚起の対象になり得る行為です。同じ文書は一般の利用者に向けても、利用規約やプライバシーポリシー等を十分に確認し、入力する情報の内容を踏まえて利用を判断するよう求めています。
確かめる6つの項目
- 録音と文字起こしがAIの学習に使われるか、その既定値は何か学習に使わない設定がある場合も、初期状態がオンかオフかを確かめます。無料プランと有料プランで扱いが違うことがあります。
- データがどの国に保存されるか録音や議事録を保存する場所と、文字起こしや要約の処理を行う場所を、それぞれ確かめます。
- 保存期間と自動削除の設定録音・文字起こし・要約がいつまで残るか、管理者が日数を指定して自動で削除できるかを見ます。
- 削除の方法と削除後の扱い削除したデータがすぐに消えるのか、ゴミ箱に一定期間残るのか、バックアップにどのくらい残るのかを確かめます。
- 管理者による権限とアカウントの一括管理共有範囲の制限、アカウントの発行と停止、利用状況の確認を、管理者の画面からまとめてできるかを見ます。
- 退職者のアカウントと録音の引き継ぎ社員個人のアカウントに録音がたまる形だと、退職時に会社がデータを回収できません。会社の契約の下にデータが残るかを確かめます。
公式ポリシーの該当文の読み方(Notta・Rimo Voiceの例)
規約やポリシーは、主語・対象・例外の3つに注意して読むと、何が約束されていて何が約束されていないかが分かります。2社の公式ページの記載を例に、読み方を示します。
Notta:LLMのセキュリティに関する公式ページには「有料サービスのお客様のコンテンツをモデルの学習に使用することはできません」と書かれています。この文の対象は有料サービスの利用者です。無料プランについての明記は、このページでは確認できませんでした。つまり、無料プランで録音を預ける場合は、学習利用の扱いを別途確かめる必要があります。同じページには、保存場所について「東京リージョンを基本として、日本国内に複数のデータセンターを利用」とあります。「基本として」という表現なので、例外があるかどうかは問い合わせで確かめる余地があります。なお、法人向けページでは、ビジネスPlusのプランに「AI学習なし」と書かれており、プランによって示し方が違う点も確認しておきたいところです。
Rimo Voice:プライバシーポリシーの第9項には「外部から取得したお客様の情報を、生成AIおよび機械学習モデルの開発、改善またはトレーニングに利用することはございません」とあり、第10項には「日本国内のデータセンターにて保管」とあります。ここでは学習に使わない対象が「お客様の情報」と広く書かれており、プランによる区別は書かれていません。保存場所も国内と明記されています。
Web会議ツールの標準機能も同じように確かめます。Googleは、Workspaceの生成AIに関するプライバシーハブで、事前の許可や指示がない限りモデルのトレーニングに顧客データを使用しないと説明しています。Zoomは、英語版のプライバシーステートメントで、音声・映像・チャットなどの顧客コンテンツをZoomや第三者のAIモデルの学習に使わないと記載しています。
※上記はNotta・Rimo Voice・Google・Zoomの公式ページを2026年9月16〜18日に確認した記載です。規約やポリシーは改定されることがあるため、契約前に最新の本文をご確認ください。
総務省の教材が紹介する会議録音の事例
総務省の教材「生成AIはじめの一歩」は、2023年3月に海外の電子機器メーカーで生成AIの使用による社内情報の流出が続けて起きた事例を紹介しています。そのうちの1件は、社内会議の録音データを音声認識アプリで文章に変換し、生成AIに入力して議事録を作成した、というものです。会議を録音して文字起こしし、AIで要約するという流れは、AI議事録ツールが行う処理と同じ流れです。どのサービスに、どういう条件で預けるかを会社として決めておかないと、同様の流出につながるおそれがあります。
同じ教材は、情報流出を防ぐ3つの行動として、生成AIサービスの規約を確認すること(データの利用目的や範囲等)、個人情報や機密情報の入力は必要最小限にすること、入力したデータを学習に使わせないように設定すること(オプトアウト設定)を挙げています。AI議事録ツールにそのまま当てはめると、規約で学習利用と保存場所を確かめる、録音しない会議を決める、学習に使わせない設定やプランを選ぶ、の3つになります。
議事録ツールを社員が各自で選ぶと、会議の録音がどのサービスに渡ったか把握できません。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
録音の同意の取り方と冒頭の一言の文例
会議を録音するときは、冒頭で目的と使い道を伝えて参加者の了承を得るのが基本です。録音されていると知らずに話した内容が議事録に残ると、社内でも社外でも信頼を損ないます。
標準機能の通知と同意の設定
Web会議ツールには、録音や記録を参加者に知らせる仕組みがあります。Google Meetの自動メモ生成では、参加者全員にメモの作成中であることが通知され、鉛筆のアイコンが表示されます。2026年5月には、自動メモ・録画・文字起こしを始める前に参加者の明示的な同意を必須にできる管理者向けの設定(既定はオフ)の提供が告知されています。Zoomでは、録画の開始時や録画中の会議に入ったときに参加者へ通知が表示され、参加者は同意するか退出するかを選べます。通知の文言は、Business・Education・API・Enterpriseで100ライセンス以上の契約であれば変更できます。
ただし、通知が出ることと、参加者が内容を理解して了承したことは同じではありません。特に専用ツールを会議に参加させる場合や、対面の会議をスマートフォンで録る場合は、ツールの通知に頼らず、口頭で一言伝えることを社内ルールにしておくと安心です。
冒頭の一言の文例
社内会議の場合
議事録作成のため、この会議を録音してAIで文字起こしします。議事録を確認したあと、録音は社内のルールに従って削除します。録音してほしくない話題があれば、その部分だけ止めますので声をかけてください。
社外の商談・打ち合わせの場合
本日の内容を正確に記録するため、議事録作成用に録音させていただいてもよろしいでしょうか。録音は社内の議事録作成にのみ使い、社外には共有しません。差し支えがあれば、録音せずにメモで進めます。
顧客の面談・相談の場合
ご相談内容の記録のため、録音してもよろしいでしょうか。録音は記録の作成にだけ使い、作成後は削除します。お名前などは記録に残さない形にもできますので、ご希望があればお知らせください。
文例の中の「削除します」「社外には共有しません」といった約束は、社内ルールで決めた保存期間や共有範囲と一致している必要があります。守れない約束を口にすると、かえって信頼を損ないます。実際の運用では、社内ルールの内容に合わせて言い回しを直してから使ってください。
録音しない会議の決め方
すべての会議を録音する必要はありません。むしろ、録音しない会議をあらかじめ決めておく方が、社員が安心してツールを使えます。たとえば、人事評価や処遇の面談、健康や家庭の事情に関わる面談、未公表の合併や提携などの経営判断、顧客の個人情報を詳しく扱う相談、相手が録音を望まない会議は、録音しないか、固有名詞を伏せた手書きのメモで記録する対象にする、といった決め方が考えられます。基準は、その録音が社外のサービスに保存されたとして、取引先や本人に説明できるかどうかです。
導入事例と調査に見る使われ方
議事録やメールの作成は、日本企業で生成AIの活用が進んでいる業務で、公的な調査や金融機関の調査にもその傾向が表れています。個別企業の導入事例を公式サイトに掲載しているツールもありますが、効果の数値は各社の発表によるものです。ここでは、調査主体と母数が分かる2つの調査を紹介します。
総務省「令和8年版情報通信白書(概要)」
総務省の「令和8年版情報通信白書(概要)」(2026年7月)は、企業調査(2026年1月〜2月、従業員10名以上かつ2025年までにデジタル化の取組を開始した企業の、企業全体の戦略等を理解する管理職以上が対象、日本の有効回答は企業調査全体で515件)の結果として、業務類型ごとの生成AIの活用状況を示しています。日本では「議事録・メール作成補助」の回答割合が約7割といちばん高く、導入効果を実感すると回答した割合も同様だったと報告されています。
※概要版の該当する図には回答者数の記載がなく、515件は企業調査全体の有効回答数です。効果の割合は、その業務類型で生成AIを活用していると回答した企業に限った割合と読めます。
商工組合中央金庫「中小企業の生成AIの利用にかかる調査」
商工組合中央金庫の「中小企業の生成AIの利用にかかる調査」(2026年1月調査、同金庫の取引先中小企業を対象、有効回答数3,892社、2026年3月31日公表)では、会社として生成AIを導入しているか個人の活用を推奨している積極活用層(全体の31.1%)の活用事例として、メール・報告書・議事録の作成・要約が74.0%で挙がっています。
一方で、同じ調査では、会社での導入はなく使用は個人の判断に任せているという回答が64.9%で、選択肢の中で一番多くなっています。会社が環境を用意していない場合、議事録やメールの作成のように効果を実感しやすい業務では、社員が個人の判断でアプリを使い始めることも考えられます。
導入を考えるときの視点:議事録を含む文書作成は、生成AIの効果を実感しやすい業務として調査に表れています。効果の大きさを見込むのと同時に、社員が個人でアプリを探し始める前に、会社として使ってよい環境を用意しておくことが大切です。
会社で安全に使うには|学習させない設定・ログ管理・配布・複数AIの使い分け
AI議事録を会社で安全に使うには、学習させない設定を会社側でそろえること、利用ログと権限を管理者が見られるようにすること、必要な社員全員に公認の環境を配ること、の3つが土台になります。そのうえで、議事録以外の業務でも使うAI環境とまとめて考えると、ツールの乱立を防げます。
学習させない設定を会社側でそろえる
学習利用の設定を社員一人ひとりの操作に任せると、設定漏れが起きやすくなります。会社の契約として学習に使われないプランを選ぶか、管理者が全員分を一括で設定できるサービスを選んでください。ChatGPTの設定の確かめ方はChatGPTに学習させない設定で解説しています。
利用ログと権限を管理者が見られるようにする
誰がどの会議を録音し、議事録を誰に共有したかを、管理者が後から確かめられる状態にしておきます。問題が起きたときに調べられるだけでなく、ログを見られることを社員が知っていること自体が、不用意な共有を防ぐ効果を持ちます。点検すべき項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにまとめています。
社員への配布|一部だけに配らない
費用を抑えようとして一部の社員にだけ配ると、配られなかった社員が無料の議事録アプリやスマートフォンの録音アプリを自分で入れて使い始めることがあります。会社が把握していないAIの利用、いわゆる野良AI(シャドーAI)です。無料のアプリは、学習利用の扱いや保存場所が有料プランと違う場合があり、会社の側からは何が預けられたかを確かめられません。禁止のルールだけを作るより、同じことができる公認の環境を先に用意し、そちらを使うよう案内する方が、見えない利用を減らしやすくなります。
複数のAIを使い分ける
議事録の要約、メールの下書き、資料の読み込み、調べものなど、社員がAIを使う業務は議事録だけではありません。業務ごとに別のツールを契約すると、契約と預け先が業務の数だけ増えます。複数の生成AIを1つの環境で使い分ける方法はマルチAIとはで解説しています。社内ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方を参考にしてください。
社員10〜200名の会社の導入手順
社員10〜200名の会社なら、対象会議の棚卸し、2週間の試用、社内ルールの決定、配布とログ確認の4段階で進めます。この手順どおりに進めると、試用の2週間と配布後1か月の確認で、全社に広げるまでおよそ1〜2か月かかります。専任の情報システム担当がいなくても進められる手順です。
ステップ1:対象会議の棚卸し
最初に、社内でどんな会議がどれだけあるかを数えます。定例会議、部署の打ち合わせ、社外の商談、顧客の面談などに分け、それぞれの回数、Web会議か対面か、使っている会議ツール、今の議事録の作り方と担当者を一覧にします。この一覧があれば、標準機能で足りるか、専用ツールが要るか、録音しない会議はどれかを、根拠を持って決められます。
ステップ2:2週間の試用
対象会議のうち、録音しても問題のない社内会議を3〜5種類選び、2週間試します。比べるのは、Web会議ツールの標準機能、社内の生成AIでの要約、必要なら専用ツールの無料プランや試用版です。試用では、議事録1本あたりにかかった時間、固有名詞と数字の誤りの数、担当者の使いやすさを記録します。試用の段階から、録音する会議では冒頭の一言を使って同意を取る習慣を付けておきます。
ステップ3:社内ルールを決める
試用の結果をもとに、次の項目を社内ルールとして決めます。長い規程にする必要はなく、1枚にまとまっていれば十分です。
- 使ってよいツールと、個人のアカウントやアプリを使わないこと
- 録音してよい会議と、録音しない会議の基準
- 冒頭の一言(同意の取り方)の文例
- 録音・文字起こし・議事録の保存場所と保存期間、削除の担当
- 議事録を配る前の確認の分担(誰が何を確認するか)
- 共有してよい範囲(参加者のみ・部署内・社外)
ステップ4:配布とログ確認
ルールが決まったら、対象の社員全員にアカウントを配り、10分程度の説明の場を設けます。配って終わりにせず、1か月後に利用ログを見て、使われている会議と使われていない会議、共有の範囲がルールどおりかを確かめます。使われていない部署には理由を聞き、ルールや手順を直します。退職や異動のときにアカウントを止める手順も、この段階で決めておきます。
進め方のコツ:専用ツールの選定から始めると、比較に時間がかかったうえに、使われないツールが残りがちです。棚卸しと試用で、今ある会議ツールと社内のAIで足りない部分を先に特定し、その部分にだけ専用ツールを当てると、契約も管理もシンプルに保てます。
録音の要約も、全社で使う1つのAI環境で
UPGEAR AIは、会議録音や動画の読み込みに対応した法人向けの生成AI環境です。1契約でChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの4つのAIを使え、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。データは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。UPGEAR AIの料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
AI議事録ツールは無料でも使えますか?
Google MeetやZoom、Teamsの標準機能だけで議事録は作れますか?
ChatGPTなどの生成AIで議事録を作っても大丈夫ですか?
会議の録音に参加者の同意は必要ですか?
AI議事録ツールの精度はどのくらい信頼できますか?
社員が無料の議事録アプリを勝手に使っていたらどうすればよいですか?
まとめ
AI議事録ツールは、録音・文字起こし・要約・共有の4つの工程のうち、文字起こしと要約の下書きをAIが受け持つサービスです。作成時間の削減、聞き逃しの防止、共有と検索のしやすさというメリットがある一方、精度は100%ではなく、配る前の人の確認は欠かせません。
選ぶときは、精度や機能の比較より先に、録音を預ける先が学習に使うか、どこに保存するか、いつ消せるか、管理者がアカウントと権限を管理できるかを、公式の規約やポリシーで確かめてください。録音が学習に使われないかを確かめる点は、個人情報保護委員会の注意喚起と総務省の教材も求めています。
そのうえで、Web会議ツールの標準機能と、社内で使っている生成AIで足りるかを先に試し、対面会議の録音やリアルタイムの字幕、話者の識別など、足りない場面がはっきりしたときに専用ツールを検討する順序がおすすめです。全員に配った場合の年額と、配らなかった場合に残る見えない利用のリスクを合わせて比べれば、自社に合う形を選べます。
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