生成AIの費用の勘定科目と仕訳。法人の消費税・インボイス・立替精算の確認点

生成AIの費用の勘定科目とは、ChatGPTやClaudeなどの利用料を帳簿に記録するときに使う科目のことです。法令で科目名が決まっているわけではなく、通信費や支払手数料など会社で1つに決めて、毎期同じ科目を使い続けることが大切になります。法人で手間がかかるのは科目選びよりも、海外事業者の消費税やインボイスの登録番号、社員の立替、年払い、請求書データの保存といった周りの確認のほうでしょう。使うAIの数だけ確認が増えていくため、請求の窓口を減らす工夫もあわせて考えてみてください。

※各社の案内と国税庁の資料は、2026年9月28日時点で確認した内容です。記事中の仕訳は一般的な考え方の例で、税務の最終的な判断は顧問税理士にご確認ください。

生成AIの利用料の勘定科目は、会社で1つに決めて毎期続ける

生成AIの利用料の勘定科目は、法令で名前が決まっているわけではなく、会社で決めた科目を毎期同じように使うのが基本になります。同じ費用が月によって通信費になったり雑費になったりすると、前の年と比べるときに数字が読めなくなってしまいます。決めた科目は経理の手順書に書き残し、担当者が替わっても同じ処理が続くようにしましょう。

候補になる主な科目

生成AIの利用料でよく使われるのは、次のような科目です。

  • 通信費(インターネットを通じて使うサービスの料金としてまとめる考え方)
  • 支払手数料(サービスの利用料・手数料としてまとめる考え方)
  • ソフトウェア利用料・システム利用料など、会社で新しく設ける科目(ITの月額サービスを1か所に集める考え方)
  • 雑費(金額が小さく、たまにしか発生しない場合)
  • 諸会費(会費の性格が強い定額のサービスを会費としてまとめる考え方)

科目の名前を変えただけで、費用として認められるかどうかが変わるわけではありません。大事なのは、選んだ科目を続けることと、何の費用かが後から分かるように摘要へサービス名とプラン名を書いておくことになります。金額が大きくなってきたら、雑費のままにせず独立した科目へ移すことも検討してみてください。

複数のAIを使う会社は補助科目で分けておく

複数のAIを契約している会社では、科目は1つにしたまま、補助科目でサービスごとに分けておくと集計が楽になります。例えば通信費の下にChatGPT・Claude・Geminiといった補助科目を作れば、どのサービスにいくら払っているかを月ごとに確かめることが出来ます。費用の全体を見直すときの考え方は生成AIのコスト管理でもまとめていますので、あわせて読んでみてください。

私用と混ざるときの按分と、法人での分け方

私用と混ざる利用料は、個人事業主なら家事按分で分け、法人なら按分より先にアカウントを業務用と私用に分けるのが基本になります。同じ有料プランでも、払っているのが個人か会社かで、考える順番が変わってしまいます。

個人事業主の確定申告では家事按分で分ける

個人事業主が1つのアカウントを仕事と私用の両方で使っている場合は、業務に使った割合だけを必要経費にする家事按分で分けるのが一般的な考え方です。割合の決め方は、業務で使った日数や時間の記録、用途ごとの会話の数など、後から説明できる根拠を選ぶことが大切になります。根拠のメモや集計は、確定申告が終わった後も帳簿と一緒に保管しておきましょう。

法人は按分より先にアカウントを分ける

法人の場合は、会社が払ったAIの利用料を、社員や役員が私用にも使っている形そのものを避けるのが先になります。業務用と私用のアカウントを分ければ、按分の計算をしなくて済みます。会社が私用分まで負担している状態が続くと、税務上の別の論点が出てくることもあるため、扱いに迷うときは顧問税理士に相談してみてください。

社員が会社に伝えずに個人のアカウントを業務に使っている場合は、費用の話より先に情報の扱いが問題になります。会社が把握していないAIの利用は野良AI(シャドーAI)と呼ばれ、入力した業務情報の行き先を会社が確かめられない状態になってしまいます。

消費税の区分は法人税の科目と別に判断する

消費税の扱いは、どの勘定科目を使うかとは別に、サービスの提供元と取引の種類で判断します。同じ通信費でも、国内の会社から買うか海外の会社から買うかで、請求書に消費税が載るかどうかが変わります。会計ソフトに登録するときは、科目と税区分を別々の項目として確かめてみてください。

事業者向けと消費者向けで、申告する人が変わる

国税庁のタックスアンサーNo.6118では、インターネットなどを通じて行われる役務の提供を、電気通信利用役務の提供と呼んでいます。海外の事業者から受けるこのサービスのうち、役務の性質や取引条件から通常は事業者に限られるものは事業者向けとされ、受けた国内の事業者が特定課税仕入れとして申告と納税を行います。この仕組みはリバースチャージ方式と呼ばれています。ただし、一般課税で課税売上割合が95%以上の課税期間や、簡易課税を選んでいる課税期間は、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされます。

一方で消費者向けのものは、原則として海外の事業者の側が申告と納税を行う形です。消費者向けのサービスを海外の事業者から受けた場合、仕入税額控除を受けるには、適格請求書発行事業者から受け取った適格請求書の保存が要件とされています。自社が使っているAIがどちらに当たるかは、提供元の案内や、請求書に消費税が載っているかどうかで見分けていくことになります。自社でリバースチャージの申告が必要になるかどうかは、顧問税理士に確認してみてください。

アプリストア経由で買うと、請求元がプラットフォームになる

スマートフォンのアプリ内課金でAIの有料プランを買った場合は、支払先がAIの提供元ではなくアプリストアの運営会社になります。国税庁は消費税法第15条の2に基づいて特定プラットフォーム事業者を指定しており、名簿(令和8年6月10日現在)にはApp StoreのiTunes株式会社、Google PlayのGoogle Asia Pacific Pte. Ltd.、AWS Marketplaceのアマゾンウェブサービスジャパン合同会社などが載っていて、いずれも指定日は2025年4月1日となっています。同じAIサービスでも、ブラウザから申し込んだ社員とスマートフォンから申し込んだ社員とで、領収書の発行元が変わることがあります。会社で契約するときは申し込む経路も決めておき、台帳に請求元の会社名を書いておきましょう。

インボイスの登録番号と海外事業者の消費税を確かめる

海外のAIサービスにも日本の消費税を請求に載せる会社があるため、請求書に書かれた登録番号と発行元の名義を1通ずつ確かめることが大切になります。登録番号は国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで照合でき、名義と登録年月日も表示されます。以下は、2026年9月28日時点で各社の公式の案内に書かれている内容です。

ChatGPT(OpenAI)の請求書で見るところ

OpenAIのヘルプでは、日本の消費税の課税は2025年1月1日からとされ、現在はOpenAI OpCo, LLCが対象サービスの請求書に10%の消費税を課すと案内されています。価格は米ドル表示のままとされ、ヘルプに書かれている登録番号はT3700150133253です。国税庁の公表サイトでは、この番号の名義はOpenAI OpCo, LLC、登録年月日は令和8年1月1日と表示されています。公表サイトにはOpenAI, LLC名義の番号(T4700150127989、登録年月日は令和7年1月1日、失効年月日は令和9年1月1日と表示)も載っているため、手元の請求書に書かれた番号と名義が一致しているかを見比べてみてください。

Enterpriseなどの個別契約を結んでいる法人の顧客には、一般にリバースチャージが適用され、消費税は課されないと案内されています。法人向けのBusinessプランでは、請求情報を見られるのはワークスペースの所有者だけで、支払いはクレジットカードかデビットカードに限られます。所有者が経理と関係のない社員になっていると、経理の担当者が自分で請求書を取りに行けなくなってしまいます。

請求先の会社名や税の登録情報を変えても、反映されるのはこれから発行される請求書だけで、過去の請求書は設定画面からは直せないとされています。請求先の会社名は、最初の請求書が出る前に入力を済ませておきましょう。ChatGPTとAPIは請求の仕組みが別々になっている点も、覚えておきたいところです。法人向けプランの違いはChatGPTの法人向けプランの料金でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

Claude(Anthropic)は2026年4月から消費税を別に課している

Anthropicの日本の顧客向けの案内によると、2026年4月1日から、日本の顧客に提供するサービスには10%の消費税が別に課される形になりました。請求の通貨は変わらず、消費税の額は適格請求書に日本円で表示されると説明されています。同社の案内では登録番号はT7700150134388とされ、消費税の納税義務がある法人の顧客は、同社が発行する適格請求書を使って仕入税額控除を受けられるとのことです。国税庁の公表サイトでは、この番号の名義はAnthropic, PBC、登録年月日は令和8年2月17日と表示されていますので、請求書の番号と名義が一致するかも確かめてみてください。

Google Workspaceは契約形態で扱いが分かれる

Google Workspaceの公式ヘルプでは、契約がGoogle Asia Pacificと結ばれている日本の顧客には日本の消費税を請求せず、代わりにリバースチャージ方式で申告が必要になる場合がある、と説明されています。同じGoogle Workspaceでも契約の相手によって扱いが分かれるため、自社の契約書や請求書で契約先の会社名を確かめることになります。使っているサービスが増えるほど、この確認を1社ずつ繰り返す形になってしまいます。

複数のAIの請求が経理を重くする

複数のAIを別々に契約している会社では、科目・通貨の換算・消費税の扱い・登録番号・請求書の保存という確認が、サービスの数だけ増えていきます。1通の請求書で確かめることは少なくても、毎月・サービスごとに繰り返すと、経理の作業としては無視できない量になります。

仮に、会社のカードで3つのAIサービスを月払いで契約しているとします。請求書は3サービス×12か月で年36通になり、1通ごとに5項目を確かめると年180回の確認になります。ChatGPTとAPIのように、同じ提供元でも請求の仕組みが分かれている場合は、通数がさらに増えてしまいます。

社員がそれぞれ個人のカードでAIを契約している場合は、確認の数がさらに膨らみます。例えば社員30名の会社で20名が1つずつAIを立て替えて使っていると、立替の精算は月20件、1年で240件になります。精算のたびに、宛名が誰になっているか、米ドルをいくらで円にしたか、請求書に消費税と登録番号が載っているかを確かめる必要があり、担当者の手間はサービスの数と人数の掛け算で増えてしまいます。

手間だけでなく、会社から見えない契約が残る点も気になるところです。退職した社員の個人契約が続いていたり、誰がどのAIに何を入力しているか分からなかったりする状態は、費用の管理と情報の管理の両方で穴になってしまいます。利用ルールの決め方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で紹介していますので、請求の整理とあわせて見直してみてください。

請求がAIの数だけ増えるなら、契約を1つにまとめる

使うAIを会社の1つの契約にまとめると、届く請求書も経理の確認も毎月1回で足りるようになります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

社員10名・30名の会社で見る仕訳例

仕訳は、国内の会社への月払い、海外の会社への米ドル払い、年払い、社員の立替の4つの形を押さえれば、多くの場面に当てはめることが出来ます。ここでは税抜経理で記帳する場合を例にしており、金額はすべて説明のための仮の数字です。自社の経理方式に合わせた実際の処理は、顧問税理士に確かめてみてください。

国内の会社に法人カードで月払いする場合

国内の会社が提供するAIサービスを、月額20,000円(税抜)と消費税2,000円の合計22,000円で法人カードから支払った場合は、次のような仕訳になります。

利用月の計上
借方 通信費 20,000円/仮払消費税 2,000円 貸方 未払金 22,000円
カード代金の引き落とし
借方 未払金 22,000円 貸方 普通預金 22,000円

請求書に登録番号が書かれているかを確かめ、請求書のデータは後で触れる電子取引のルールに沿って保存しておきましょう。

海外の会社から米ドルで請求される場合

海外の会社から米ドルで請求され、請求書に日本の消費税が別に載っている場合は、円に直した金額で記帳します。例えば税抜200ドルに消費税20ドルが加わる請求を、1ドル=150円で計算した場合は、利用料30,000円と消費税3,000円の合計33,000円になります。

利用月の計上(1ドル=150円で計算した場合)
借方 通信費 30,000円/仮払消費税 3,000円 貸方 未払金 33,000円

実際には、カード会社が円に換算した金額と、請求書の日の為替で計算した金額がずれることがあります。どちらの金額を使うかを会社で1つに決め、毎月同じやり方で記帳していきましょう。Anthropicのように消費税の額を円で書く請求書もあるため、消費税の額は請求書の円の表示とも見比べてみてください。請求書に消費税が載っていない事業者向けのサービスでは、リバースチャージの扱いになるかを顧問税理士に確かめる必要があります。

年払いは前払費用と短期前払費用の特例で考える

1年分をまとめて払う年払いは、支払った時点では前払費用として資産に計上し、毎月の利用分を費用に振り替えるのが原則的な処理になります。

支払時(1年分240,000円・税抜)
借方 前払費用 240,000円 貸方 普通預金 240,000円
毎月末の振り替え
借方 通信費 20,000円 貸方 前払費用 20,000円

※年払いの例では、わかりやすくするため消費税の記載を省いています。

法人税基本通達2-2-14を紹介している国税庁のタックスアンサーNo.5380では、一定の契約に基づいて継続的に受けるサービスの前払いのうち、支払った日から1年以内に提供を受ける分を支払い、その額を継続して支払った日の属する事業年度の損金に算入している場合は、その年度の損金に算入できるとしています。これを短期前払費用の特例と呼び、法人の場合、条件を満たせば支払時に240,000円を通信費として計上することも出来ます。特例は毎期続けることが前提となるため、一度使い始めたら年ごとに処理を変えないようにしましょう。

10名と30名で変わる仕訳の本数

同じAIの費用でも、会社の規模と契約の形によって、毎月の仕訳の本数は大きく変わります。社員10名の会社が会社のカードで3つのサービスを契約している場合、毎月の仕訳は利用料の計上が3本と、カード代金の引き落としが1本になります。社員30名の会社で20名が個人のカードで立て替えている場合は、精算の支払いを月1回まとめて振り込み1本で記帳したとしても、立替の計上20本と合わせて毎月21本の仕訳が発生してしまいます。同じ30名でも、使うAIを会社の1つの契約にまとめれば、毎月の仕訳は計上と引き落としの2本で足りる計算です。

利用料と開発費・研修費は、処理の仕方が分かれる

AIにかかるお金のうち、毎月の利用料は費用になりますが、自社向けのシステムを作ってもらった開発費はソフトウェアとして資産に計上するのが原則となります。研修にかかったお金は、研修費として別に扱うことが出来ます。近畿税理士会姫路支部が公開している「税のお話Q&A」(令和6年12月号掲載)でも、生成AIのライセンス料や研修費は支出した時の費用、独自のシステム開発は資産計上と、支出の中身で分けて説明しています。

APIの従量課金は、使った月の費用にする

ChatGPTやClaudeを自社のシステムから呼び出すAPIは、使った量に応じて請求が来る従量課金が中心になります。従量課金も月額の利用料と同じく、使った月の費用として計上するのが基本的な考え方です。月末で締めて翌月に請求が来る場合、決算月の利用分は請求書が届く前でも未払金として計上しておく必要が出てきます。前払いでクレジットを買う形なら、買った時点では前払費用などで資産に置き、使った分を費用に振り替える方法も考えられますので、扱いは顧問税理士と決めてみてください。

自社向けのAIシステムを外注したら、ソフトウェアとして資産に計上する

社内の文書を読み込ませた問い合わせ対応の仕組みなど、自社の目的に合わせたAIシステムを外注して作った場合は、完成した時点で無形固定資産のソフトウェアとして計上するのが原則になります。国税庁のタックスアンサーNo.5461では、購入したソフトウェアの取得価額に、導入に必要な設定作業や自社の仕様に合わせる付随的な修正作業の費用も含めるとされています。耐用年数は、複写して販売する原本や研究開発用のものが3年、それ以外が5年になります。見積書の初期設定費やカスタマイズ費も、ソフトウェアの取得価額に入る点に気をつけましょう。

金額が小さいときは、一度に費用にできる場合もあります。タックスアンサーNo.5403では、取得価額が10万円未満なら使い始めた年度に全額を損金経理でき、20万円未満なら3年で均等に償却する一括償却資産を選ぶことが出来ます。青色申告をしている中小企業者等(常時使用する従業員が400人以下などの条件があります)には、取得価額40万円未満の資産を年300万円まで一度に損金にできる特例もあります。タックスアンサーNo.5408によると、40万円未満の基準は令和8年4月1日以後に取得したものに当てはまり、それより前の取得は30万円未満となります。

作ったシステムの保守料など毎月払う費用は、支払手数料などで費用にしていきます。国税庁の法人税基本通達7-8-6の2では、ソフトウェアの不具合を直したり今の機能を保ったりするための修正は修繕費、新しい機能を足したり機能を上げたりする修正は資本的支出とされています。同じ改修の請求でも中身で扱いが変わってしまうため、請求書の内訳を分けて出してもらうよう、発注の段階で頼んでおくとよいでしょう。

社員向けのAI研修は研修費で処理する

社員がAIを使いこなすための講習会や外部研修の費用は、研修費として、研修を受けた期の費用にするのが一般的になります。研修の前に代金だけ先に払った場合は、その時点では原則として費用にならない点にも注意が必要です。研修の案内と受講者の名簿、受講した日が分かる資料を、請求書と一緒に保存しておいてください。

※この節の国税庁と近畿税理士会姫路支部の資料は、2026年10月16日時点で確認した内容です。

社員の個人カード立替を精算するルール

社員が個人のカードでAIの利用料を立て替えた場合は、国税庁のインボイスQ&Aに沿って、請求書と一緒に精算の書類を残すのが基本になります。問94(取引先が立て替える例)では、立替払いをした側の名前が書かれた適格請求書であっても、立替金精算書などの交付を受けて会社の課税仕入れであることを明らかにし、両方を保存すれば要件を満たすとされています。令和6年4月に追加された問94-2では、従業員の名前が宛名になっている適格簡易請求書は従業員名簿などをあわせて保存すれば認められ、誰が立て替えたか特定できないときは従業員が作った立替金精算書が必要になると整理されました。社内のルールとしては、立替金精算書と請求書をセットで保存する形にそろえておくと安心です。

社員が1人3,300円(税込、うち消費税300円)の利用料を立て替えた場合は、次のような仕訳になります。

立替の計上
借方 通信費 3,000円/仮払消費税 300円 貸方 未払金(従業員)3,300円
精算の支払い
借方 未払金(従業員)3,300円 貸方 普通預金 3,300円

これを社内のルールに落とすと、次のような形が考えられます。

  • 立替を認めるのは、会社が指定したAIサービスを業務で使う場合に限る
  • 申し込む前に上長と経理へ申請し、サービス名・プラン・月額・通貨を伝える
  • 請求先には会社名を入れ、会社名を入れられないサービスでは本人の名前で請求書を受け取る
  • 毎月、請求書のPDFと立替金精算書(利用月・金額・通貨・円に直したときのレート・業務の内容)を経理に出す
  • 経理は従業員名簿と照らし合わせ、登録番号の有無を確かめてから精算する
  • 退職や異動のときは、解約したことが分かる画面や書類を出してもらう

立替を続ける限り、精算の件数は使う人の数だけ増えてしまいます。立替はあくまで例外として期間を区切り、使う人が増えてきたら会社の契約に切り替える目安も決めておくとよいでしょう。

AIツールの管理台帳に入れる項目

会社で使っているAIツールは1つの台帳にまとめ、科目や消費税の扱いまで書き込んでおくのがおすすめです。台帳があれば、担当者が替わっても、どのサービスをどう処理しているかがすぐに分かるようになります。最低限、次の項目を用意してみてください。

  • サービス名とプランサービスの名前、プラン名、月払いか年払いか、契約の更新日。
  • 契約者と請求情報を見られる人申し込んだ人と、管理画面で請求書を取り出せる人(ワークスペースの所有者など)。
  • 請求元の会社名請求書の発行元。アプリストア経由で申し込んだ場合は、その運営会社の名前。
  • 勘定科目と補助科目通信費・支払手数料など会社で決めた科目と、サービスごとの補助科目。
  • 通貨と円に直す方法円建てか米ドル建てか。米ドルならカード明細の金額を使うのか、請求書の日の為替を使うのか。
  • 消費税の扱い請求書に消費税が載るか、リバースチャージの対象になるか、顧問税理士に確かめた結果。
  • 登録番号と照合した日請求書に書かれた登録番号と、国税庁の公表サイトで名義を照合した日。
  • 請求書の保存場所保存するフォルダと、ファイル名の付け方。
  • 使っている人と解約日利用者の名前と、退職や異動で止めた日。

台帳は年に1回見直すものではなく、請求書が届くたびに見比べる使い方が向いています。請求の金額や請求元が前の月と変わっていたら、プランの変更やアプリストア経由の申し込みが紛れていないかを確かめるきっかけになります。社内で使われているAIの洗い出し方は野良AI(シャドーAI)の対策でも取り上げています。

請求書のPDFは電子取引データとして保存する

メールや管理画面で受け取ったAIの請求書や領収書は、紙に印刷して終わりにせず、データのまま保存する必要があります。国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月版)の問30では、電子的に受け取った請求書や領収書等は、データのまま保存しなければならないとされています。同じ資料の問44は、領収書等のデータが提供されている以上、ダウンロードしなければ保存義務が生じないというものではないとしており、管理画面に置いたままの請求書も保存の対象になります。

AIの請求書は、メールで届かず管理画面の中にだけ置かれていることもあります。毎月決まった日に各サービスの管理画面から請求書を取り出し、決めたフォルダに保存する流れを作っておきましょう。ファイル名に日付・金額・取引先を入れておけば、後から探すときに役立ちます。保存の細かい要件は、最新の国税庁の資料と顧問税理士に確かめてみてください。

※一問一答は令和7年6月版の記載によります(2026年9月28日確認)。

請求を1本にまとめると、請求書も仕訳も少なくて済む

生成AIの経理の手間を減らすには、科目の選び方より先に、請求の窓口を減らすことを考えてみてください。社員がそれぞれ個人のカードでAIを契約していると、請求書・通貨・消費税の扱い・登録番号の確認が、サービスと人の数だけ増えていきます。会社で使うAIを1つの契約にまとめれば、毎月届く請求書は1通になります。円建てで請求されるサービスであれば、為替の換算もいりません。

一方で、使えるAIが1つに限られると、用途によっては社員が別のAIを個人で契約し直すことも起こり得ます。複数のAIを1つの契約で使える形であれば、使い分けの自由を残したまま、請求だけを1本にまとめることが出来ます。契約先を選ぶときは、円建てで請求されるか、請求書による銀行振込に対応しているか、適格請求書が発行されるかも確かめておきたいところです。複数のAIを1つの環境で使う考え方はマルチAIとはで、法人向けサービスの料金の並びは法人向け生成AI 38サービスの料金比較でまとめていますので、比べてみてください。

4つのAIの請求を、1つの契約にまとめる

UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けサービスです。社員がそれぞれ個人のカードでAIを契約する形をやめ、会社の1つの契約にまとめられます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。お支払いはクレジットカード払いと、請求書による銀行振込(法人のみ)に対応しており、月額料金は毎月末日締め・翌月末日までのお支払いです。

資料をダウンロード UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

生成AIの利用料は何の勘定科目で処理すればよいですか?
法令で科目名が決まっているわけではなく、通信費・支払手数料・ソフトウェア利用料などから会社で1つを選び、毎期同じ科目を使い続けるのが基本です。複数のAIを使う場合は、補助科目でサービスごとに分けると、月ごとの費用を確かめやすくなります。
海外のAIサービスの請求書で仕入税額控除を受けられますか?
請求書に日本の消費税と登録番号が載っている適格請求書であれば、控除の対象になり得ます。OpenAIやAnthropicは、日本の顧客向けに消費税を課し、登録番号を示すと案内しています。一方でGoogle Workspaceのように、契約形態によっては消費税が請求されず、リバースチャージ方式で申告が必要になる場合もあるため、扱いは顧問税理士に確認してください。
社員が個人のカードで払ったAIの利用料は、会社の経費にできますか?
業務で使った分であれば、立替金として精算する形が一般的です。国税庁のインボイスQ&Aの問94・問94-2では、立替金精算書や従業員名簿をあわせて保存することで、会社の仕入税額控除の要件を満たす形が示されています。立替が増えると精算の手間も増えるため、使う人が増えてきたら会社の契約に切り替えることをおすすめします。
年払いしたAIの利用料は、支払った年に全額を経費にできますか?
原則は前払費用として計上し、毎月の利用分を費用に振り替えます。国税庁のタックスアンサーNo.5380では、一定の契約に基づいて継続的に受けるサービスの前払いのうち、支払った日から1年以内に提供を受ける分を支払い、その額を継続して支払った日の属する事業年度の損金に算入している場合は、その年度の損金に算入できるとしています。この短期前払費用の特例を使うかどうかは、顧問税理士と相談して決めてください。
AIのシステム開発を外注した費用も、利用料と同じように経費にできますか?
自社の目的に合わせたAIシステムを外注して作った場合は、ソフトウェアとして資産に計上し、耐用年数に応じて償却するのが原則です。耐用年数は複写して販売する原本や研究開発用のものを除いて5年とされ、導入時の設定作業や自社向けの修正作業の費用も取得価額に含まれます。取得価額が10万円未満なら一度に費用にでき、青色申告の中小企業者等には40万円未満の特例もあるため、金額と条件は顧問税理士に確認してください。
管理画面からダウンロードしていない請求書も保存が必要ですか?
国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月版)の問44では、領収書等のデータが提供されている以上、ダウンロードしなければ保存義務が生じないというものではないとされています。毎月決まった日に各サービスの管理画面から請求書を取り出し、決めた場所に保存する流れを作ってください。

まとめ

生成AIの利用料の勘定科目は、通信費や支払手数料など会社で1つに決め、毎期同じ科目を使い続けることが基本になります。私用と混ざる場合、個人事業主は家事按分で分け、法人は業務用と私用のアカウントを分けるところから始めるのが近道です。

法人で手間がかかるのは、科目より周りの確認のほうでしょう。消費税の区分は科目とは別に判断し、海外の会社の請求書では登録番号と名義を国税庁の公表サイトで照合する必要があります。年払いは前払費用と短期前払費用の特例、社員の立替はインボイスQ&Aの問94・問94-2に沿った精算書、請求書のデータは電子取引のルールに沿った保存と、それぞれに押さえたい決まりごとが設けられています。

こうした確認は、使うAIと人の数だけ増えていきます。管理台帳でサービスごとの扱いをそろえ、請求の窓口そのものを減らすことも考えてみてください。法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧にまとめています。