
AI記事作成とは、キーワード・想定読者・文体などの条件を生成AIに渡し、記事の構成案や本文の下書きを作らせる書き方のことです。会社で取り入れるなら、記事作成の専用ツールを増やす前に、入力が学習に使われない環境を1つ決めて社員に配り、公開前に人が事実・権利・表現を確かめる工程を固定することが先決です。この記事では、ツールの違いと書かせる手順、そのまま使えるプロンプト例に加えて、ブログ以外のプレスリリース・社内報・お詫び文での任せ方、著作権・景品表示法・個人情報の確認点、社内ルールの雛形までを、公的資料と各社の公式ページをもとに整理します。
AI記事作成とは|キーワードと条件を渡して構成と本文を生成させること
AI記事作成は、人が決めた目的と条件をもとにAIが下書きを作り、人が確かめて仕上げる分業のことで、AIが記事を最後まで書き上げる仕組みではありません。渡す条件は、狙う検索語、想定する読者、記事の目的、文体、おおよその分量、必ず入れたい情報などです。これらを指示文(プロンプト)として入力すると、AIは見出しの案、各見出しの本文、導入文、まとめ、タイトル案などを数十秒ほどで返します。
使われるAIは大きく2種類あります。1つはChatGPT・Claude・Geminiのような汎用の対話型AIで、記事以外の業務にも使えます。もう1つは記事やコピーの作成に画面や機能を絞った特化ツールです。どちらを使っても、AIが返す文章は確率的に組み立てた下書きであり、事実の正確さや自社の方針に沿っているかは人が確かめる必要があります。
会社の中で文章を書く場面はブログだけではありません。総務省「令和8年版情報通信白書(概要)」(2026年7月)の企業調査(インターネットアンケート・2026年1〜2月・従業員10名以上でデジタル化に取り組む企業の管理職以上・日本515件)では、日本で生成AIの用途として回答が多かったのは「議事録・メール作成補助」で、割合は約7割でした。同じ調査で、生成AIによる業務変革について「組織的な取り組みはない」と答えた日本の企業は27.0%(n=497)です。文章づくりにAIを使うこと自体は広がっている一方で、会社としての決まりがないまま各自が使っている状態が少なくないと読めます。記事作成も同じで、書き方の工夫より先に、会社としての使い方を決めておくと後の手戻りが減ります。
AIで記事を作るメリット|作成時間の短縮・外注費の削減・ネタ出しと構成の壁打ち
メリットは、白紙から書き始める時間が減ること、外注に出していた作業の一部を社内で回せること、企画や構成を相談できる相手が常にいることの3つです。
- 作成時間の短縮:構成案や下書きがあると、担当者の仕事は「書く」から「直す」に変わります。特に、書き出しで手が止まりやすい人ほど効果を感じやすい工程です。
- 外注費の削減:記事を丸ごと外注していた会社でも、構成案づくりや体裁の調整、要約版の作成といった周辺作業を社内に戻せます。外注を続ける場合も、AIで作った構成案を指示書として渡せば、発注側の意図が伝わりやすくなります。
- ネタ出しと構成の壁打ち:顧客からよく受ける質問を並べて記事の切り口を出させたり、構成案に足りない論点を指摘させたりできます。社内に相談相手がいない少人数の広報担当にとっては、この使い方の価値が大きくなります。
一方で、時間が減るのは下書きまでで、事実確認と社内の承認にかかる時間は残ります。AIの導入効果を見積もるときは、確認と承認の工程をどう短くするかまで含めて考えるのが現実的です。
記事の種類で変わる、AIに任せる範囲と人の確認
AIに任せてよい範囲は記事の種類で大きく変わり、社外に出る文章ほど、人が確かめる項目が増えます。ツール紹介の解説はブログ記事を前提にしたものが多いのですが、会社で書く文章にはプレスリリース、社内報、採用記事、お知らせやお詫び文もあります。種類ごとに、AIに任せやすいことと人が必ず見ることを分けておくと、担当者が迷いません。
記事の種類別の任せ方(ブログ・プレスリリース・社内報・採用記事・お詫び文)
任せやすい:構成案、見出しごとの下書き、タイトル案、要約、言い換え。
人が確かめる:数値と出典、他社名や製品名の表記、自社の実例や担当者の知見を足せているか、他社記事と似すぎていないか。
任せやすい:社内メモからの構成案、見出しとリードの案、表記ゆれの点検。
人が確かめる:発表日・発売日・価格・数量、社名や人名の正式表記、提携先や取引先の了承、「業界初」「No.1」などの表現の根拠資料、公開時刻まで社外秘の情報を入力してよい環境か。
任せやすい:インタビューの書き起こしの整理、見出し付け、読みやすい長さへの調整。
人が確かめる:登場する社員本人の了承、人事・評価・健康など個人情報に当たる内容の扱い、本人の言葉のニュアンスが変わっていないか。
任せやすい:仕事内容の説明の下書き、募集要項の体裁の統一。
人が確かめる:給与・勤務時間・休日などの労働条件が実際と一致しているか、社員の声として載せる文章が本人の発言に基づいているか。
任せやすい:文面の敬語の点検、時系列の整理、読み手ごとの言い換え案。
人が確かめる:原因・影響範囲・対応内容の事実関係、責任の認め方の表現、法務や経営の承認。AIの文面は謝罪の定型に寄りやすいため、何が起き、何をするのかが具体的に書けているかを人が判断します。
AIと人の役割分担の整理
工程ごとに分けると、AIが得意なのは「案を多く出す」「形を整える」作業で、人が担うのは「決める」「確かめる」「責任を持つ」作業です。
| 工程 | AIに任せやすいこと | 人が担うこと |
|---|---|---|
| 企画 | 切り口や読者の疑問の洗い出し | 記事の目的と読者を決める |
| 構成 | 見出し案、抜けている論点の指摘 | 採用する見出しと順番を決める |
| 下書き | 見出しごとの本文、リード文、要約 | 自社の実例・数値・担当者の知見を足す |
| 確認 | 表記ゆれ、敬語、冗長な表現の点検 | 事実・出典・権利・表現の適法性を確かめる |
| 公開 | タイトル案、メタ説明文の案 | 承認し、公開の責任を持つ |
AI記事作成ツールの種類と選び方|汎用AIと特化ツールの違い
会社で最初に整えるなら、記事作成の専用ツールより、記事以外の業務にも使える汎用の対話型AIを安全な形で配るほうが、使う人数と用途が広がりやすくなります。そのうえで、記事の量が多い部署だけが特化ツールを足す順番が無理がありません。
汎用の対話型AIと記事作成特化ツールの違い・向き不向き
汎用の対話型AIは、自由に指示を書ける分、使い道が広いのが特徴です。記事の下書きだけでなく、メール、議事録、企画書、表の整理にも同じ画面で使えます。反面、良い記事を出すには、読者や構成の指定を自分で書く必要があり、使う人の指示の書き方で出来が変わります。
記事作成の特化ツールは、キーワードを入れると構成案から本文まで順に進む画面や、記事向けのテンプレートを備えているものが多く、指示を書き慣れていない人でも一定の形の下書きを作りやすいのが特徴です。一方で、用途が記事やコピーに絞られるため、会社全体の業務には広がりにくく、別途、汎用AIも契約すると、アカウントと費用、データの扱いの確認先が二重になります。
- 汎用AIが向く会社:記事の本数はそれほど多くなく、広報以外の部署でもAIを使わせたい。まず全社で使える環境を1つ用意したい。
- 特化ツールが向く会社:オウンドメディアで毎月多くの記事を出しており、担当者の工程を画面ごと標準化したい。汎用AIの配布とは別に、記事専任の予算を確保できる。
主なAI記事作成ツールの紹介(ChatGPT・Claude・Gemini・Catchy・Transcope・Jasper)
汎用の対話型AIの代表は、OpenAIのChatGPT、AnthropicのClaude、GoogleのGeminiです。いずれも文章の生成、要約、言い換え、校正に使え、ファイルを読み込ませて下書きの材料にすることもできます。どれが記事に向くかは、文章の癖やプランごとの上限、使うモデルの世代で変わり、モデルは数か月単位で入れ替わります。特定の1つに決め打ちするより、同じ指示を複数のAIに出して比べられる状態にしておくほうが、記事の質を安定させやすくなります。使い分けの考え方はChatGPT・Claude・Geminiの使い分けでまとめています。
記事作成の特化ツールとしては、国内ではCatchy(公式サイトでAIライティングアシスタントツールと説明)やTranscope(公式サイトでSEOライティングツールと説明)、海外ではマーケティング向けのJasperなどがよく名前が挙がります。機能や料金はプランごとに異なり、改定も多いため、検討の際は各社の公式ページで最新の内容と、入力データの扱いを確かめてください。
※ツールの説明は、2026年9月18日時点で各社の公式サイトのページタイトルに表示されている分類です。機能・料金の比較ではありません。
検索連動型AI(Perplexity・Felo)でのリサーチと最新情報の補完
記事の材料集めには、Web検索と組み合わせて答える検索連動型のAIが役立ちます。Perplexityは公式ヘルプで、自らをAIを使った検索エンジンと説明し、回答ごとに引用元へのリンクを付けるとしています(2026年9月3日更新のヘルプで確認)。Feloも公式サイトでAI検索・作成プラットフォームと名乗っています。ChatGPT・Claude・GeminiにもWeb検索の機能があります。
検索連動型のAIを使う利点は、情報の出どころをたどれることです。ただし、AIが引用元を要約する過程で数値や主語を取り違えることもあるため、記事に使う数字は必ず引用元のページを開いて原文で確かめます。AIの回答文をそのまま出典として書かず、元の公式ページや公的資料を出典にするのが原則です。
ツールの選び方|予算・必要な機能・操作性・無料トライアル
個人で使うツールなら、予算、必要な機能、操作性、無料トライアルの有無の4点で選べば足ります。会社で配る場合は、ここに次の3点を加えて比べてください。
- 入力データの扱い:入力した文章が提供元のAIの学習に使われるか。既定の設定はどうなっているか。
- 管理のしやすさ:管理者がアカウントの追加・停止、権限、利用状況を把握できるか。
- 記事以外への広がり:記事以外の業務でも同じ環境を使えるか。部署ごとに別々のツールが増えないか。
無料トライアルは、実際に自社の過去記事の構成を作らせる、社内報の下書きを作らせるなど、本番に近い課題で試すと差が分かりやすくなります。試用の段階から、社外秘の情報や個人情報は入力しないことを徹底します。
無料で使えるか|無料プランの範囲
ChatGPT・Claude・Geminiはいずれも無料で使い始められますが、会社の記事作成を無料版で回すことはおすすめしません。ChatGPTの料金ページでは無料版を0円としたうえで、アップロードを含むメッセージ数に上限があると書いています。Claudeにも無料プランがあり、Geminiも有料のAIプランなしで使えますが、Geminiの場合、有料プランなしのコンテキスト(一度に扱える文章量)は32,000トークンで、有料のAI Proの100万トークンより小さく設定されています(いずれも2026年9月16日時点の各社公式ページの記載)。
問題は上限よりもデータの扱いです。ChatGPTの料金ページの比較表では、無料版から個人向け有料プランまで、コンテンツを学習に使う設定は「無効化可能」とされ、公式ヘルプも個人向けサービスではコンテンツがトレーニングに使われることがあると説明しています。Claudeの料金ページでも個人向けの各プランのモデルのトレーニングは「オプトアウト」と表示され、個人向けプランでは使用状況の分析や、一元的な請求と管理は「いいえ」です。つまり無料版や個人向けプランは、学習させない設定を社員一人ひとりに任せることになり、会社から利用状況も見えません。試しに触るのは無料版で構いませんが、業務の記事を書く段階では、後述する法人向けの環境に移すのが安全です。
AI記事作成の手順|目的・読者の整理から人の推敲まで5ステップ
AIで記事を作るときは、一度に全文を書かせず、目的の整理、構成、見出しごとの本文、リード文、人の推敲の5段階に分けると、品質が安定し、直す場所も特定しやすくなります。
ステップ1:目的・読者・検索意図を整理する
最初に人が決めるのは、誰に何を伝え、読んだ後にどう動いてほしいかです。検索から読まれる記事なら、狙う検索語で上位に出ているページを自分で開き、読者が何を知りたくて検索しているのか(検索意図)を書き出します。ここをAIに丸投げすると、どの会社が書いても同じような一般論の記事になります。自社の顧客から実際に受けた質問や、営業担当が現場で聞いた言葉を材料として用意しておくと、後の工程が楽になります。
ステップ2:構成案を作らせ、SEOを意識したタイトル・見出しを決める
整理した目的と読者、材料をAIに渡し、見出しの構成案を3案ほど出させます。検索から読まれる記事では、タイトルと見出しに狙う語や読者が使う言葉を自然に入れ、見出しだけを読んでも記事の流れが分かるようにします。AIの案をそのまま採用せず、足りない論点を追加し、順番を入れ替えて、人が最終の構成を決めます。タイトルは長すぎない案を複数出させ、読者が検索結果で見たときに中身が想像できるものを選びます。
ステップ3:見出しごとに分割して生成させる
本文は、見出しを1つずつ渡して書かせます。記事全体を一度に書かせると、後半ほど内容が薄くなったり、同じ説明が繰り返されたりしやすいためです。見出しごとに書かせると、それぞれに必要な情報や自社の実例を渡しやすく、気に入らない部分だけを書き直させることもできます。前の見出しで説明した内容を繰り返さないよう、構成案の全体を毎回添えるのがコツです。
ステップ4:リード文とまとめを最後に書かせる
記事の冒頭に置くリード文は、本文ができた後に書かせます。本文が固まる前に書いたリード文は、実際の中身とずれることが多いからです。リード文では、記事で分かることと結論を短く示し、まとめでは読者が次に取る行動を1つか2つに絞ります。
ステップ5:人が推敲し、ファクトチェックする
下書きが揃ったら、人が通して読み、事実・表現・権利を確かめます。公開前の確認項目は次のとおりです。
- 数値・日付・固有名詞を原文で確かめたAIの回答ではなく、公式ページや公的資料を開いて照合する。確認した日付を記録する。
- 自社の実例・知見を足した担当者の経験、顧客の質問、自社の数字など、他社に書けない中身が入っている。
- 他社の文章と似すぎていない上位の記事と言い回しや構成が同じになっていないかを読み比べる。
- 広告表現の根拠がある「業界初」「No.1」「〇%削減」などは、根拠資料を示せる状態にしてある。
- 個人名・顧客名の掲載について了承を得た社員の声、顧客事例、写真に写る人の了承を取っている。
- 社内の承認者が確認した社外に出る記事は、決められた承認者が公開前に目を通している。
プロンプトのコツと、そのまま使えるプロンプト例
プロンプトは、役割・想定読者・文体・文字数・含める内容・出典の扱いの6点を毎回書くだけで、出力の質とぶれ幅が大きく変わります。
プロンプトのコツ|役割・想定読者・文体・文字数・含める内容の指定
- 役割:「あなたは中小企業向けの広報担当者です」のように、誰の立場で書くかを指定します。
- 想定読者:業種・役職・知識の水準まで書きます。「社員50名の製造業の総務担当で、ITの専門用語には詳しくない」など、具体的なほど言葉選びが合います。
- 文体:です・ます調か、1文の長さ、専門用語の扱い、使わない言い回しを指定します。
- 文字数:見出しごとに「400〜600字」のように幅で伝えます。AIは文字数を正確に守れないことが多いため、目安として扱います。
- 含める内容:必ず入れる事実、自社の実例、触れてはいけない話題を箇条書きで渡します。
- 出典の扱い:「数値を書く場合は出典名を添え、分からないものは推測で書かずに[要確認]と書く」と指示すると、確認すべき箇所が見つけやすくなります。
指示の書き方の基本はChatGPTのプロンプトの書き方でも解説しています。
そのまま使えるプロンプト例(構成案・本文・リード文・推敲・プレスリリース・社内報)
[ ]の部分を自社の内容に置き換えて使ってください。社名や人名などの実データを入れる場合は、入力が学習に使われない環境で使うことが前提です。
1.構成案を作らせる
2.見出しごとに本文を書かせる
3.リード文を書かせる
4.推敲させる
5.プレスリリースの下書きを作らせる
6.社内報の記事に整えさせる
よく使う指示は、社内で共通の雛形として保存し、誰が使っても同じ条件で書かせられるようにしておくと、記事の品質が担当者によってばらつきにくくなります。
担当者ごとに別のAIで書くと、雛形を共有しても出来と設定がそろいません。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
AIで書いた記事の品質面の注意点
AIの下書きには、誤情報、古い情報、独自性の不足、不自然な文体、出力のばらつきという5つの弱点があり、どれも人の確認で補う前提で使います。
誤情報(ハルシネーション)とファクトチェックの必要性
生成AIは、もっともらしいが事実と異なる内容を書くことがあり、これをハルシネーションと呼びます。総務省「生成AIはじめの一歩」でも、生成AIの回答に実在しない山の名前や存在しないお店が含まれた例を挙げ、生成AIが偽・誤情報を回答する恐れがあることから、生成AIに真偽を問うことは適切ではないと説明しています。つまり、AIに「この内容は正しいですか」と聞き直しても確認にはなりません。数値、日付、法令名、製品名、人名は、公式ページや公的資料を開いて原文で照合します。記事に出典を書く場合は、確認した日付も添えておくと、後から見直すときに役立ちます。
学習データの時点による最新情報の欠落
AIのモデルは、ある時点までのデータで学習しているため、それより後の出来事を知りません。たとえばOpenAIのAPIのモデル一覧では、GPT-6 Astraの知識のカットオフを2026年4月30日、Anthropicのモデル一覧ではClaude Opus 5の信頼できる知識の時点を2026年5月と記載しています(いずれも2026年9月16日時点の各社公式ドキュメント)。Web検索の機能を使えば新しい情報も拾えますが、検索しないまま答えた場合、法改正、料金改定、製品名の変更などが反映されていないことがあります。料金、制度、製品の仕様を書くときは、必ず公式ページで最新の内容を確かめます。
独自性の欠如と類似文章のリスク|体験談・自社事例・一次情報の追記
AIは学習した大量の文章の傾向から書くため、何も材料を渡さなければ、ほかの記事と似た一般論になりがちです。検索上位の記事を貼り付けてまとめさせると、構成も言い回しも似た記事ができ、読者にとって読む理由がなくなります。自社で書く意味を出すには、次のような一次情報を人が足します。
- 顧客から実際に受けた質問と、その答え
- 自社で試した結果や、導入・運用で分かったこと
- 担当者や経営者のコメント、判断の理由
- 自社で集計した数字(集計方法と時期を添える)
他社の文章との類似は、品質だけでなく著作権の問題にもつながります。詳しくは後の法律の論点の節で扱います。
AIっぽい不自然な文章・語尾の単調さと直し方
AIの文章は、「〜です。〜です。〜です。」と同じ語尾が続く、「さまざまな」「重要です」「〜することができます」が多い、段落の最後が毎回同じ型の締めくくりになる、といった癖が出やすくなります。直し方の基本は次の3つです。
- 語尾が3回以上続く箇所は、体言止めや「〜でしょう」「〜ません」を混ぜるのではなく、文をつなげたり順番を入れ替えたりして自然に変える
- 意味を足さない言葉(さまざまな、非常に、〜することができます)を削る
- 抽象的な言い方を、具体的な場面・数字・固有名詞に置き換える
推敲をAIに頼む場合も、前述の推敲プロンプトのように直す観点を指定し、直した箇所を一覧で出させると、人が判断しやすくなります。
出力品質のばらつきを抑える
同じ指示でも、AIの出力は毎回少しずつ変わり、使うモデルや担当者の指示の書き方によっても質が上下します。ばらつきを抑えるには、プロンプトを社内の雛形として固定する、見出しごとに分けて書かせる、良かった出力を見本として添える、の3点が効きます。複数のAIに同じ指示を出して、良い方を採用する方法も有効です。担当者によって出来が違うという状態は、個人の腕の問題ではなく、雛形と確認手順が決まっていないことが原因である場合が多いと考えられます。
GoogleはAIで書いた記事をどう見ているか
Googleは、AIで書いたこと自体ではなく内容の品質で評価すると説明しており、問題になるのは、読者への価値を足さずに検索順位の操作を目的として大量に作ることです。
GoogleのAI生成コンテンツへの見解|作成方法ではなく品質で評価・ペナルティの有無
Google検索セントラルのブログ(2023年2月8日)は、AIや自動化は適切に使っている限りガイドライン違反にはならないとする一方、AIを使ったからといってランキング上の特別なメリットはなく、作成方法ではなく内容が評価の対象だとしています。また、検索結果のランキング操作を主な目的としてAIを含む自動化でコンテンツを生成することは、スパムに関するポリシーに違反するとしています。
スパムに関するポリシー(2026年9月2日更新)の大量生成されたコンテンツの不正使用の例には、「生成 AI ツールまたはその他の同様のツールを使用して、ユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成すること」が挙げられています。AIで書いた記事だから順位が下がる、という説明はありませんが、AIで量産した中身の薄い記事は、この例に近づきます。なお、Googleは有用なコンテンツの作成に関するページで、特定の文字数になるように書いているかという問いに対し、そのような設定は存在しないとも書いています。Googleの見解の詳細はSEOでのAI活用とGoogleの公式見解で整理しています。
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)と著者欄
E-E-A-Tは、経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の頭文字で、Googleがコンテンツの品質を考えるときの観点です。Googleは、E-E-A-T自体はランキングに直接影響する要因ではないとしつつ、なかでも信頼性を重く見ると説明しています。AIの下書きに欠けやすいのは経験の部分で、実際に使った、担当した、顧客とやり取りした人の知見を足すことが、そのまま記事の価値になります。
著者欄については、Googleは著者の情報が求められるであろうコンテンツでは、バイライン(著者名の表示)などで正確な著者の情報を付けることを勧めています。一方で、2023年2月のブログでは、AIの使用を読み手に伝える方法として、著者の署名欄にAIと記載することはふさわしくないと明記しています。著者欄には、内容に責任を持つ社員や部署の名前を書くのが筋です。
AIを使ったことを開示するか
Googleは、AIの使用の開示を義務とはしていませんが、読者が「どのように作られたのか」と疑問に思うようなコンテンツでは、開示が有益だとしています。有用なコンテンツの作成に関するページでも、生成の大部分に自動化を使う場合の自己点検として、自動化の使用を開示などで明確にしているか、どう使ったか、なぜ有用と考えるかを説明しているか、という問いを挙げています。会社の記事では、構成や下書きの補助にAIを使い、事実確認と最終的な執筆は担当者が行った、といった実態に沿った一文を記事末尾に置く方法が考えられます。どこまで開示するかは、社内ルールとして統一しておくと、記事ごとの判断がぶれません。
会社として公開する前に確かめる法律の論点
会社名で公開する記事は、個人のブログと違い、著作権・景品表示法・個人情報保護法の責任が会社に及ぶため、公開前の確認項目として仕組みに組み込んでおく必要があります。
AI生成記事の著作権|生成物の権利と既存著作物との類似
AIで作った記事の著作権は、AIが生成したそのままの部分と、人が手を加えた部分で考え方が分かれます。文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)は、人間がAI生成物に創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分については、通常、著作物性が認められると考えられるとしています。AIの文章には一切権利が生じないと言い切れるものではなく、人がどれだけ創作的に関わったかで変わる、と理解しておくのが正確です。
もう1つの論点は、他人の著作物の権利を侵害しないかです。同じ資料は、生成物に既存の著作物との類似性と依拠性(既存の著作物をもとにしたこと)が認められれば、通常の著作権侵害と同じく差止請求や損害賠償請求の対象になり得るとしています。なお、この「考え方」自体に法的な拘束力はありませんが、実務の目安として参照されています。生成AIと著作権の全体像は生成AIと著作権で詳しく解説しています。
他社の記事を貼り付けて書き直させる危うさ(依拠性)
検索上位の記事や他社のプレスリリースを貼り付けて、AIに「これを参考に書き直して」と頼む使い方は、会社として禁止しておくほうが安全です。文化庁の同資料は、AI利用者が既存の著作物を認識しており、生成AIを利用してその創作的表現を有するものを生成させた場合は、依拠性が認められ、AI利用者による著作権侵害が成立すると考えられるとしています。資料が例として挙げているのは、既存の著作物そのものを入力する場合や、作品の題号などの固有名詞を入力する場合で、記事の貼り付けにもこの考え方が当てはまり得ます。
AIに渡してよいのは、自社で書いた文章、自社のメモや取材記録、権利を確かめた資料です。他社の記事は人が読んで論点をつかむための参考にとどめ、文章そのものを入力しないことを社内ルールに書いておきます。
景品表示法の不実証広告規制|「業界初」「No.1」は根拠資料を用意する
製品紹介やプレスリリース、LPの文章でAIが書いた「業界初」「満足度No.1」「作業時間を50%削減」といった表現は、根拠資料を示せなければ使わないのが原則です。消費者庁は、事業者が求められた資料を期間内に提出しない場合や、提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠と認められない場合、その表示は措置命令との関係では不当表示とみなされる(景品表示法第7条第2項)と説明しており、これを不実証広告規制と呼びます。
消費者庁は、故意に偽って表示した場合だけでなく、誤って表示してしまった場合でも、優良誤認表示に当たれば規制されるとしています。AIは読み手の関心を引く強い表現を自然に書き足すことがあるため、「AIが書いた」は言い訳になりません。前掲のプロンプト例のように、最上級や数値の効果を書かせない指示を入れ、公開前に根拠資料の有無を確認する欄をチェックリストに設けておきます。
ステマ規制|AIで作った「お客様の声」は出さない
AIで作った利用者の体験談風の文章や、会社が社員や第三者に依頼して書かせた紹介記事を、広告と分からない形で出すことは避けてください。消費者庁によると、令和5年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングは景品表示法違反となっています。規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)で、企業が第三者に依頼・指示するものも広告に含まれます。運用基準では、販売や開発に関わる役員や管理職、担当チームの一員など、事業者と一体と認められる従業員が販売促進のために行う表示も事業者の表示に含まれるとしています。
告示や運用基準にAIについての記述はありませんが、作成手段で区別していない以上、AIで書いた場合も同じ枠組みで考えるのが自然です。一方、事業者自身のウェブサイトでの表示は告示の対象外の例に挙げられていますが、運用基準は但し書きで、自社サイトでも第三者の感想に見えるものを事業者が作った場合は、事業者の表示であることを明瞭に示す必要があるとしています。AIで作った実在しない顧客の声は、この但し書きに当たり得るうえ、内容によっては前述の優良誤認の問題にもなり得ます。お客様の声は、実際の顧客の了承を得た発言だけを使います。
顧客名・社員名を入れる前に|個人情報保護委員会の注意喚起
事例記事や社内報で顧客や社員の実名をAIに入力する前に、その入力が提供元の学習に使われないかを確かめる必要があります。個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)は、個人情報取扱事業者に対し、個人情報を含むプロンプトの入力は利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認すること、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、それが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合は個人情報保護法に違反する可能性があるため、提供事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること、を求めています。
実務では、個人名はできるだけ[顧客A]のように置き換えて下書きを作り、名前は人が最後に入れる運用が確実です。ChatGPTに個人情報を入れる際の注意点はChatGPTと個人情報で詳しく解説しています。
会社でAI記事作成を安全に続けるための環境づくり
会社でAI記事作成を続けるには、学習に使われない契約のAIを会社として1つ用意し、社内ルールと一緒に配り、利用状況を管理者が見られる状態にすることが土台になります。
入力が学習に使われるかは契約の種類で変わる
同じAIでも、個人向けと法人向けで入力データの扱いは異なります。各社の公式の記載は次のとおりです(OpenAIは2026年9月16日、AnthropicとGoogleは2026年9月18日時点で確認)。
- OpenAI(ChatGPT):公式ヘルプは、ChatGPTなどの個人向けサービスでは、コンテンツがモデルのトレーニングに使用されることがあるとし、ChatGPT Business、ChatGPT Enterprise、APIを含む法人向け製品の入力や出力は、デフォルトではトレーニングに使用しないと説明しています。個人向けでは、設定の「データコントロール」から学習をオフにできますが、回答に高評価・低評価のフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われることがあるとも書かれています。
- Anthropic(Claude):個人向けのFree・Pro・Maxでは、利用者が学習への利用を許可した場合などに会話を使うとしています(料金ページの比較表では、個人向けプランのトレーニングは「オプトアウト」と表示)。既定の状態は各自の設定画面で確かめてください。法人向け(Claude for Work、Anthropic API等)の入力と出力は、デフォルトでは学習に使わないと説明しています。
- Google(Gemini):個人のアカウントで使うGeminiアプリのプライバシーハブは、レビュアーに見られたくない機密情報や、機械学習技術などGoogleのサービスの改良に使われたくない機密情報は入力しないよう求めています。Google Workspaceの生成AIについては、顧客のコンテンツが人間によってレビューされることも、許可なくドメイン外で生成AIモデルのトレーニングに使われることもないとしています。
個人向けのAIでも設定で学習を止められますが、その設定を社員一人ひとりが正しく行い、続けているかを会社は確認できません。学習させない設定の詳しい手順はChatGPTに学習させない設定で紹介しています。
社内の記事作成ルールの雛形(A4一枚)
記事作成のルールは、全社のAI利用ルールの一部として、A4一枚に収まる程度にまとめると守られやすくなります。次の項目を自社に合わせて埋めてください。
- 使ってよいAI:会社が契約した[AI環境の名称]のみ。個人アカウントの無料版・個人向け有料版は業務の記事に使わない。
- 入力してはいけない情報:顧客・社員の個人情報(名前は[顧客A]のように置き換える)、取引先から預かった資料、他社の記事や資料の本文。公開前の発表内容は会社が契約した環境でのみ扱う。
- AIに任せてよい範囲:構成案、下書き、言い換え、要約、校正。事実の確認と公開の判断は人が行う。
- 公開前の確認:数値・日付・固有名詞の原文照合、広告表現の根拠資料、個人名の了承、他社記事との類似の確認。
- 承認者:ブログは[部署長]、プレスリリース・お詫び文は[役員名]が公開前に確認する。
- 記録:どの記事のどの工程にAIを使ったかを[管理表の場所]に残す。
- 画像:AIで作った画像や素材を使う場合は、利用するサービスの規約と、既存の作品に似ていないかを確認する。
- 開示:AIを使った記事には、末尾に[開示文の定型]を入れるかどうかを統一する。
全社のAI利用ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方でまとめています。
社員への配り方|専用ツールを増やす前に、使ってよい環境を1つ決める
社員への配り方は、使ってよい環境を会社として1つ決め、ルールと一緒に配り、よく使う指示を共有する、の順番が無理がありません。会社が何も用意しないと、社員はそれぞれ個人アカウントの無料版を使い始めます。その状態では、学習の設定も、誰がどの業務にAIを使っているかも会社から見えず、いわゆる野良AI(シャドーAI)になります。
法人向けのプランには、管理者がメンバーや権限を管理する機能があります。たとえばOpenAIは法人向けのページで、ITチームがユーザーや権限を管理できるアクセス管理を提供するとしています。ChatGPT Businessの料金ページでは、ビジネスデータを既定で学習に使わないことや、請求と管理の一元化、利用状況の分析を挙げており、料金はユーザー1人あたりの月額です(2026年9月16日時点)。
記事作成の専用ツールを部署ごとに契約していくと、アカウントの棚卸し、データの扱いの確認、費用の管理がツールの数だけ増えます。まず全社で使える環境を1つ決めて配り、記事の量が多い部署で足りない機能があれば、そのときに専用ツールを検討する、という順番のほうが管理の手間を抑えられます。
複数AIを使い分ける
記事作成では、1つのAIに固定するより、工程に応じて複数のAIを使い分けるほうが、品質を上げやすくなります。たとえば、材料集めは引用元を示す検索型のAIで行い、構成と下書きは文章の癖が自社の文体に合うAIで作り、推敲は別のAIに読ませて気になる点を挙げさせる、といった分担です。同じ下書きを別のAIに読ませると、1つのAIでは見落とした論点や不自然な表現が見つかることがあります。
ただし、AIごとに別々の契約とアカウントを配ると、管理の手間と費用が積み上がります。複数のAIを1つの環境でまとめて使う考え方はマルチAIとはで解説しています。
よくある質問
AI記事作成について、会社で導入を検討する担当者から寄せられることの多い質問をまとめました。
AIで書いた記事は、Googleの評価が下がりますか?
AIで書いた記事に著作権はありますか?
無料版のChatGPTで会社の記事を書いてもよいですか?
AIを使ったことを記事に書く必要はありますか?
記事作成の特化ツールと汎用AIは、どちらを選ぶべきですか?
プレスリリースをAIに書かせても問題ありませんか?
まとめ
AI記事作成は、条件を渡してAIに構成と下書きを作らせ、人が確かめて仕上げる分業です。書かせる手順は、目的と読者の整理、構成案、見出しごとの本文、リード文、人の推敲の5段階に分け、プロンプトは役割・想定読者・文体・文字数・含める内容・出典の扱いを毎回指定すると、品質が安定します。
会社で使う場合は、ブログ以外のプレスリリース、社内報、採用記事、お詫び文まで含めて、AIに任せる範囲と人が確かめる点を種類ごとに決めておくことが大切です。公開前には、事実の原文照合に加えて、他社記事を貼り付けていないか(依拠性)、広告表現に根拠資料があるか(不実証広告規制)、広告と分からない形の口コミになっていないか(ステマ規制)、個人名の扱いは適切か(個人情報)を確かめます。
そして、専用ツールを増やす前に、入力が学習に使われない環境を会社として1つ決め、社内ルールと一緒に配ることが、AI記事作成を安全に続ける土台になります。法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。
記事作成に使うAIを、会社として1つにまとめるなら
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で使える法人向けのAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。よく使う記事作成の指示は、カスタムプラスで社内限定のBOTにして共有できます。会話履歴や利用ログは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。UPGEAR AIの料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。
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