AIに個人情報を入力してしまったときの削除手順と会社の初動

AIに個人情報を入力してしまった状態とは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIに、顧客名や連絡先、契約情報、社員情報など、誰の情報か分かるものを送ってしまった状態のことです。慌てて消したくなりますが、先に画面などの証跡を残し、入力先の設定と保存期間を確かめてから削除する順番になります。個人情報保護委員会への報告が要るかどうかは、AIに入れたという事実だけでは決まりません。要配慮個人情報・財産的被害・不正目的・1,000人超の4類型に当たるおそれがあるかで、判断してみてください。

まずやる3つ|削除の前に証跡を残し、上長へ報告する

AIに個人情報を入れてしまったら、まず考えたいのは削除ではなく、何を入れたのかを会社として説明できるようにしておくことになります。

最初に確かめたいのは、入力した画面、使ったアカウント、入れた情報の種類と本人の数、学習利用の設定、共有リンクの有無といったところです。ここがあいまいなまま履歴を消してしまうと、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が要るのかを、後から判断しにくくなってしまいます。実際に聞き取りを始めるときは、社員を責める場ではなく事実をそろえる場だと、最初にひと言伝えてみてください。

AIに入れたからといって、すぐに漏えいになるとは限りません。個人情報保護委員会のガイドラインでは、個人データの漏えいを「個人データが外部に流出すること」と説明しています。ただ、AIへの入力を漏えいと直接書いているわけではありません。当たるかどうかは、使ったサービスの規約や学習利用の設定、管理者やレビュアーが見られる状態か、入れた中身を合わせて、個別に判断することになります。

AIに入れた事実だけで、漏えいとも報告不要とも決めつけないでください。4類型に当たるおそれがあるなら、報告の対象になるかもしれない前提で記録を残しておきましょう。リスクの全体像や事例、学習オフの基本は、親記事のChatGPTに個人情報を入力するリスクでまとめています。ここでは、社員がもう入れてしまった後の初動に絞ってお話しします。

最初の3つは、証跡を残すこと、社内に報告すること、被害が広がらないようにすることです。顧客や取引先の個人データであれば、直属の上長で止めずに、総務・情シス・法務・個人情報保護の担当部署へ同じ日のうちに共有する流れになります。送金や決済機能のあるサービスのログインIDとパスワード、クレジットカード番号のように、財産的被害につながる情報なら、削除と並行して変更や停止の手配も急ぎたいところです。

よくあるのが、社員本人にすぐ履歴を消してもらい、画面も日時も残らないまま話が進んでしまうケースになります。サービスによっては、消した会話を戻せないものもあります。善意で素早く消したつもりでも、後で説明の材料がなくなり、調べ直す手間が増えてしまいます。まず画面を残し、それから削除する、この順番だけは関係する方全員でそろえておきましょう。

入力から48時間の動き|聞き取り、保全、削除、学習オフの順で進める

最初の48時間は、削除の作業と法律上の判断を同時に進めていく時間になります。

0時間目は、見つけた方から短く報告を受けるところから始まります。聞くのは、いつ、誰が、どのAIに、どのアカウントで、何を、どのくらい入れたかです。個人アカウントなのか、会社のワークスペースや仕事用アカウントなのかで、後で確かめる先が変わってきます。社員の記憶だけに頼ると抜けが出やすいので、出来れば画面を一緒に見ながら聞いてみてください。

1〜3時間目は、証跡を残す時間です。チャット画面、会話のタイトル、添付ファイル、共有リンクの設定、学習利用の設定画面、アカウントの種類を保存しておきます。後で誰が見ても分かるように、保存した日時と保存した方の名前も社内メモに残しておくと安心です。ファイルを添付していた場合は、会話だけでなく、ライブラリやアップロード済みのファイルの扱いも確かめておきましょう。

3〜6時間目で、履歴と共有リンクを削除します。ChatGPTでは、会話を消すと画面からはすぐに消え、30日以内にシステムから完全に削除される予定とされています。ただ、識別を外されたものや、セキュリティ・法的義務のために長く持つものは例外になります。共有リンクは、設定のデータコントロールにある共有リンクの管理から、一覧で確かめて削除出来ます。リンクを消しても、受け取った方が会話を続けて自分のアカウントに作った会話までは消えない点も覚えておいてください。

6〜12時間目で、学習利用の設定を直していきます。ChatGPTならデータコントロール、Geminiならアクティビティの保存、ClaudeならSettingsのPrivacyにあるトグルを見る流れになります。Microsoft 365 Copilotは、Graph経由のプロンプト・応答・データは基盤LLMの学習に使われないと説明されていますが、プロンプトと応答そのものは保存されます。会社の管理者が検索や保持ポリシーで見られる場合もあるので、削除の話と学習の話は分けて考えておきましょう。

12〜24時間目は、入れた中身を分けていく時間です。氏名とメールアドレスだけなのか、病歴のような要配慮個人情報が入っているのか、預貯金や決済に関わる情報があるのか、本人の数が千人を超えるのかを分けます。ここで判断を急ぎすぎると、後から報告の対象だったと分かり、日数を失ってしまいます。迷う情報は少し重めに分けておくほうが、初動では動きやすいでしょう。

24〜48時間目は、社内の責任者が報告の要否をいったん判断します。個人情報保護委員会への速報の目安は、知った時点から概ね3〜5日以内です。法人の場合は、いずれかの部署が事態を知った時点が基準になります。総務しか知らなかった、情シスにはまだ届いていなかった、という社内の事情で、時計を止めることは出来ません。

削除が済んだかどうかより、会社のどの部署がいつ知ったかが、期限の起点になります。初日のメモには、見つけた日時だけでなく、各部署が知った日時も書き添えてみてください。報告しないと決めた場合でも、なぜ対象ではないと見たのかを残しておけば、後日の問い合わせにも答えやすくなります。

費用の面で見落としやすいのは、ツール代ではなく人の時間です。証跡がないまま消してしまうと、本人への聞き取り直し、管理者への確認、委託元への説明文の作り直しが重なってしまいます。1回の入力ミスでも、総務・情シス・現場の責任者が同時に動くことになれば、その分だけ普段の仕事は止まることになります。初動の型を先に決めておくことは、会社の出費を増やさないための準備にもなるでしょう。

ChatGPT・Gemini・Claude・Microsoft 365 Copilotの削除と保存期間

削除と学習オフは別の操作なので、サービスごとに分けて確かめる必要があります。

ChatGPTの場合

ChatGPTでは、会話を削除すると画面からすぐに消え、30日以内にシステムから完全に削除される予定と説明されています。識別を外されたものや、セキュリティ・法的義務で長く持つものは例外となります。消した会話は戻せません。ライブラリに保存したファイルは、会話を消しても残るので、別に消す必要があります。

削除などの依頼は、OpenAIのプライバシーポータルからも出来るようになっています。ここでは申請フォームの細かな操作までは触れません。履歴の削除とは別の手段なので、使った場合は社内報告書にその名前を残しておきましょう。

学習の設定は、Webのアカウントメニューから設定、データコントロールと進み、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。オフにすると新しい会話からは学習に使われなくなりますが、過去の会話が消えるわけではありません。高評価・低評価のフィードバックを送ると、その会話全体が学習に使われる場合もある点には気をつけてください。

Business・Enterprise・Eduのワークスペースでは、既定で内容は学習に使われないと説明されています。Business・Enterpriseでは、本人がエクスポートやアカウントの削除をすることは出来ず、組織に頼むことになります。個人アカウントで入れたのか、会社のワークスペースで入れたのかを、最初に切り分けておきましょう。

Geminiの場合

Geminiの個人アカウントでは、[アクティビティの保存]をオフにすると、それ以降のチャットは学習に使われないと説明されています(フィードバックを送ったときは例外です)。ただ、オフにした後も72時間はアカウントに残ります。自動削除は既定で18か月となっていて、3か月・36か月・無期限に変えることが出来ます。

人間のレビュアーがレビューしたチャットは、アクティビティを消しても削除されず、最長3年保存されてしまいます。Geminiのヘルプでも、レビュアーに見られたくない機密情報は入力しないよう案内されています。入れた後に消したとしても、レビュー済みのものは別の扱いになると、社員の方にも伝えておきましょう。

仕事用や学校用のアカウントでは、Geminiアプリのアクティビティを削除できるのはWorkspace管理者だけです。会話履歴は既定で18か月、管理者が3・18・36か月またはオフに変えられます。Vaultの保持ルールが有効なら、ユーザーが消した会話も、管理者が保持・検索・エクスポート出来る場合があります。

Claudeの場合

Claudeの個人プランでは、会話を削除すると履歴からすぐに消え、バックエンドからも30日以内に削除されます。改善への利用を許可している場合は、識別を外した形で最長5年使われると説明されています。利用ポリシー違反と判定されると、入出力は最長2年保存されることになります。

学習の設定は、SettingsからPrivacyへ進み、Help Improve our AI modelsの下にあるトグルで確かめます。社内の手順書には、この英語の表示名をそのまま書いておくと迷いにくくなります。シークレット(Incognito)チャットは改善に使われないとされています。

Claude TeamやEnterpriseでは、商用製品の入出力は既定で学習に使われません。評価ボタンなどのフィードバックは例外で、最長5年使われる場合があります。削除した会話はすぐに履歴から消え、30日以内にバックエンドから削除されます。会話データのエクスポートが出来るのは、Primary Ownerだけです。

Microsoft 365 Copilotの場合

Microsoft 365 Copilotでは、Graph経由のプロンプト・応答・データは基盤LLMの学習に使われないと説明されています。一方で、プロンプトと応答は保存され、管理者はコンテンツ検索やMicrosoft Purviewで確認したり、保持ポリシーを設定したり出来ます。ユーザー自身は、マイ アカウント ポータルからCopilotのアクティビティ履歴を削除する流れになります。

気をつけたいのは、学習に使われないことと、会社の管理者が見られることは別の話だという点です。個人情報を入れてしまった社員の方からすると、消せたのでもう終わりと見えるかもしれません。管理者側では保持や検索の対象になっている場合もあるので、情シスの方が管理画面の設定もあわせて見てみてください。

※各サービスの保存・削除は各社の説明です。ChatGPTは2026年10月4日確認、Geminiは2026年8月10日最終更新の説明、Claudeは2026年7月1日・8月3日の説明、Microsoft 365 Copilotは2026年8月20日更新の説明をもとに整理しています。

一時チャットや履歴オフは、これからの入力を減らす助けにはなります。ただ、ChatGPTの一時チャットは最大30日コピーが残る場合があります。Geminiも、アクティビティの保存をオフにした後72時間は保持されます。履歴に出てこないからといって、保存されていないと受け取らないようにしましょう。

個人情報を扱う業務ほど使う環境を会社でそろえる

学習オフの設定を社員の方それぞれに任せきりにしないためにも、使う環境を会社で1つにまとめておくのも1つの方法になります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

報告が要るかを3つの問いで判断する

個人情報保護委員会への報告が要るかどうかは、AIに入れたかどうかではなく、報告対象事態に当たるおそれがあるかで決まります。

ガイドラインでは、報告の対象になる事態として4つの類型が挙げられています。要配慮個人情報が含まれる個人データ、不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれがある個人データ、不正の目的をもって行われたおそれがある行為による漏えい等、本人の数が1,000人を超える漏えい等の4つです。どれも、実際に起きた場合だけでなく、起きたおそれがある場合も含まれることになります。

1つ目の問いは、入れた情報に要配慮個人情報が入っていないかどうかです。病歴のように本人への影響が大きい情報が入っているなら、もう消したからといって軽く見ないでください。高度な暗号化など、本人の権利利益を守るために必要な措置をとったものは除くという条件もあります。AIに文章のまま貼り付けた場合は、この除外に当たるかを慎重に確かめてみてください。

2つ目の問いは、財産的被害につながる情報が含まれていないかです。ガイドラインの事例には、クレジットカード番号を含む個人データの漏えいや、送金や決済機能のあるウェブサービスのログインIDとパスワードの組み合わせを含む個人データの漏えいが挙げられています。当てはまるなら、報告の判断と同時に、変更や停止の手配も進めておきましょう。

3つ目の問いは、不正の目的のおそれがあるか、あるいは本人の数が千人を超えるかになります。不正の目的をもった行為の主体には、第三者だけでなく従業者も含まれます。社員が急ぎの仕事でAIに貼り付けたケースと、持ち出しや不正利用が疑われるケースとでは、扱いが変わってきます。本人の数は推測で丸めず、入れた一覧や添付ファイルから実際に数えてみてください。

3つの問いのどれかで迷うなら、報告対象のおそれありとして期限を管理しておきましょう。報告の対象ではないと判断する場合も、誰が、いつ、どの事実を見てそう決めたのかを社内報告書に残しておきます。迷ったときは、個人情報保護委員会の窓口や弁護士に相談しておくほうが、後から説明しやすくなるでしょう。

第三者提供の考え方も、別に見ておく必要があります。ガイドラインでは、事業者が自らの意図で個人データを第三者に提供する場合は、漏えいには当たらないという整理になります。ただし、第三者に提供するときは、原則としてあらかじめ本人の同意を取る必要があるとも書かれています。AIサービスに個人データを送ることを法律上どう整理するかは、ガイドラインに直接の記載がありません。契約の内容と入れた中身を合わせて、弁護士などに確かめてみてください。

速報3〜5日・確報30日または60日と、報告9項目

報告の対象になるおそれがあるなら、速報は概ね3〜5日以内、確報は30日以内か60日以内で、期限を管理していくことになります。

速報の起点は、知った時点です。法人の場合は、いずれかの部署がその事態を知った時点が基準になります。現場の課長が知った日、総務がメールを受けた日、情シスがログを見た日がずれていても、会社の中で最初に知った部署の日付を確かめてみてください。そこから数えて、概ね3〜5日以内が速報の目安となります。

確報は、知った日から30日以内です。不正の目的をもって行われたおそれがある行為による漏えい等の場合は、60日以内になります。数えるときは土日・祝日も含みます。30日目や60日目が土日祝や年末年始の閉庁日に当たるなら、翌日までとなります。速報の時点で全部報告できれば、1回で速報と確報を兼ねることも出来ます。

報告する事項は、全部で9つあります。概要、個人データの項目、本人の数、原因、二次被害やそのおそれの有無と内容、本人への対応の実施状況、公表の実施状況、再発防止のための措置、その他参考となる事項です。AIに入れてしまった案件なら、使ったサービス名、アカウントの種類、削除の状況、学習の設定、管理者が見られる状態かを、その他参考となる事項としてまとめておくと説明しやすくなるでしょう。

速報の段階で全部が分かっていなくても、分かっている範囲で出すことになります。調査が終わるまで待っていると、3〜5日の目安はすぐに過ぎてしまいます。まだ分からない項目は未確定のまま出し、後から確報に反映させていきましょう。

本人への通知は、報告対象事態を知ったときに、状況に応じて速やかに進めます。連絡先がない、または古いなどで通知が難しい場合は、事案の公表や問い合わせ窓口の公表といった代わりの措置が認められています。お客様向けの文章では、事実・評価・対応の3つを分けて書くと、読む方も混乱しにくくなります。

たとえば事実は、いつ、どのAIサービスに、どんな種類の個人データを入れたかです。評価は、今の時点で確かめられている保存や削除の状況、報告対象のおそれがあるか、二次被害のおそれがあるかになります。対応は、履歴の削除、設定の変更、委託元や本人への連絡、再発防止です。断定できないことを断定してしまわないためにも、文章を出す前にこの3つへ分けてみてください。

委託先が入力したときは委託元への通知も考える

顧客や顧問先から預かった個人データをAIに入れてしまった場合は、社内への報告だけでは終わらず、委託元への通知も考える場面になります。

たとえば、会計事務所が顧問先の給与データをAIに貼り付けた、外部の制作会社が顧客企業の問い合わせ一覧をAIに入れた、BPO先が名簿を要約させた、といったケースです。この場合、本人は委託先のお客様ではなく、委託元のお客様や社員の方ということがあります。委託先だけで本人への通知を進めてしまうと、委託元の契約や説明と食い違ってしまうかもしれません。

個人データの取扱いを委託している場合、報告対象事態であれば、原則として委託元と委託先の双方が報告の義務を負います。委託元と委託先の連名で報告することも出来ます。委託先が、報告義務を負う委託元に、把握している事項を通知したときは、委託先の報告義務と本人への通知義務は免除されることになります。

委託元への通知も、概ね3〜5日以内が目安です。委託元は、通常、遅くとも委託先から通知を受けた時点で、報告対象事態を知ったことになります。通知した委託先は、必要に応じて委託元の報告や本人への通知に協力するよう、ガイドラインで示されています。ここは社内の判断だけで閉じてしまわないようにしましょう。

委託先の立場なら、削除が終わった報告より先に、委託元へ事実を知らせる段取りが必要です。通知には、先ほどの9つの報告事項のうち、その時点で把握している内容を入れます。未確定の項目は未確定と書いて送り、分かりしだい追って伝えるようにしましょう。

委託元に送る文面は、短くても構いません。たとえば、何月何日に、どの業務の中で、どのAIサービスへ、どんな種類の個人データを入れたのか、今どこまで削除と設定の確認が済んでいるのか、報告対象事態のおそれを確かめている最中であることを並べます。謝罪の気持ちだけが先に出てしまうと、相手の方は事実を確かめられません。最初の連絡ほど、落ち着いて事実を並べるようにしてみてください。

社内インシデント報告書と自己申告の文例

報告書は、誰かの責任を問うための紙ではなく、報告の要否と再発防止を考えるための材料になります。

ひな形は、見つけた直後に全部を埋めるものではありません。最初は分からない欄があってもよいので、空欄のまま1枚目を作ってしまいましょう。調べが進むたびに、書き足した日時と書き足した方の名前を残していきます。メールやチャットでばらばらに集めるより、1枚にまとめておくほうが、3〜5日の速報の判断で迷いにくくなるでしょう。

  • 発見日時と会社が知った日時見つけた方、最初に知った部署、責任者へ共有した時刻を分けて書きます。
  • 入力者と利用したサービスChatGPT、Gemini、Claude、Microsoft 365 Copilotなどの名称と、個人アカウントか仕事用アカウントかを記録します。
  • 入力した情報の種類と本人の数氏名、連絡先、給与、病歴、決済情報、ログインIDとパスワードなどに分け、人数はまだ確認中でも、ひとまずの数を書いておきます。
  • 添付ファイルと共有リンクファイルを入れたか、共有リンクを作ったか、リンクを誰に送ったかを確かめます。
  • 学習利用と保存の設定履歴、アクティビティ、学習利用、管理者の保持ルールを、確かめた範囲で書きます。
  • 削除状況会話、共有リンク、添付ファイル、アクティビティ履歴を削除した日時と、削除した方を残します。
  • 報告要否の判断要配慮個人情報、財産的被害、不正目的、1,000人超の4類型に当たるおそれがないかを確かめます。
  • 本人・委託元・顧客への対応通知の要否、通知した相手、問い合わせ窓口、公表の有無を記録します。
  • 再発防止策ルールの追記、教育、利用環境の変更、マスキング手順の見直しを入れます。

社員の方に自己申告をお願いする連絡文は、怖く書きすぎないほうが声が集まりやすくなります。たとえば、次のような文面が使えます。

業務で生成AIに顧客情報、社員情報、契約情報、認証情報などを入力した可能性がある方は、削除の前に総務または情シスへ連絡してください。申告は処分を目的にしたものではなく、保存状況の確認と被害拡大の防止のために使います。入力したサービス名、日時、情報の種類、共有リンクの有無が分かる範囲で構いません。画面を閉じず、まず連絡してください。

この文面のねらいは、削除を先にさせないこと、入れてしまった方を孤立させないこと、必要な情報だけを集めることの3つです。社員の方が怖くなって履歴を消してしまうと、会社側の調べが遅れてしまいます。申告の窓口は、直属の上司だけでなく、総務や情シスにも置いておくと話しやすくなります。

申告した方を責める空気が強いほど、次の入力ミスは見えない場所へ移ってしまいます。初動の連絡では、良い悪いの評価より、事実と削除と報告の判断を先にしましょう。調べた後に教育やルール違反の扱いを考える場合でも、初日の窓口は安心して申し出られる形にしておくほうが、結果として会社を守ることにつながります。

再発防止はルール・教育・法人環境を同時に直す

再発防止は、入力禁止を強く言うだけでなく、入れてよい形と使う環境を会社で決めておくことになります。

入れてはいけない情報は、個人情報・機密情報・認証情報の3つに分けると伝わりやすいでしょう。個人情報は、顧客名、住所、メールアドレス、社員情報などです。機密情報は、契約内容、未公開の売上、社内資料などが当たります。認証情報や決済情報は、パスワード、送金や決済機能のあるサービスのログインIDとパスワードの組み合わせ、カード番号などになります。

社内ルールには、禁止だけでなく代わりの手順も置いておきましょう。顧客名はA社、住所は都道府県まで、メールアドレスは消す、注文番号は仮の番号にする、といった具合に、匿名化・仮名化・マスキングの例を作っておくと分かりやすくなります。社員の方が毎回自分で判断していると、急いでいるときほど本名や実データを貼り付けてしまうものです。入力前に置き換える欄を、業務ごとのテンプレートに入れておくのも使いやすい方法になります。

一時チャットや履歴オフも、補助として使うことは出来ます。ただ、保存期間がゼロになるわけではありません。ChatGPTの一時チャットは最大30日コピーが残る場合があり、Geminiの個人アカウントは、アクティビティの保存をオフにしても72時間保持されます。履歴オフを魔法の消しゴムのように考えず、入れる情報そのものを減らしていきましょう。

再発防止の中心は、使わせないことではなく、会社から見える環境で使ってもらうことです。個人アカウントで使っていると、学習の設定、削除の状況、共有リンク、退職時の停止を会社が追いにくくなってしまいます。法人向けプランや学習に使われない環境を選んだ場合でも、サービスごとの保存期間と管理者からの見え方は確かめておいてください。

教育は、事例を読み聞かせるだけで終わらせないほうが、実務に残りやすくなります。社員の方には、入れてよい文と入れてはいけない文を並べて見せ、どこを伏せるかを実際に手で直してもらいます。総務や情シスの方は、申告が来たときの48時間の流れを一度練習しておくと安心です。会計事務所や受託の仕事がある会社なら、委託元への通知文まで練習しておくと、いざというときに手が止まりにくいでしょう。

事例を社内研修で扱うときは、事案の細かな解説より、自社の入力ルールに落とし込むことを優先してみてください。よその会社の事例は関心を集めますが、読んだだけでは明日の入力欄は変わりません。入れてはいけない情報、マスキングすれば使える情報、上長に確かめる情報の3つに分ける練習をしてみましょう。

社内ガイドラインの作り方は、生成AIの社内ガイドラインの作り方が参考になります。野良AIの把握はシャドーAI対策、会社として使うAI環境の点検は生成AIのセキュリティ対策チェックリストでまとめています。安全な使い方を社内に広げるときは、あわせて読んでみてください。

個人情報を扱う業務でも、会社のルールでAIを使う

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けプラットフォームです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルON/OFFを扱えます。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

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よくある質問

AIに個人情報を入力してしまったら、最初に削除すればよいですか?
最初に削除だけをしてしまうと、何を入れたのかが分からなくなってしまいます。画面、日時、サービス名、アカウントの種類、共有リンク、添付ファイルを確かめてから削除してください。証跡を残したうえで、履歴や共有リンクを消し、学習利用の設定を見直す流れになります。
履歴を削除すれば、AI側から完全に消えますか?
すぐに完全に消えるとは限りません。ChatGPTやClaudeは削除後30日以内にシステムやバックエンドから削除されると説明されていますが、例外もあります。Geminiの個人アカウントは、アクティビティの保存をオフにしても72時間保持され、人間のレビュアーがレビューしたチャットは最長3年保存されます。
個人情報保護委員会への報告は必ず必要ですか?
AIに入れた事実だけで、必ず報告が要るとは決まりません。要配慮個人情報、財産的被害のおそれ、不正目的のおそれ、本人の数が1,000人超のいずれかに当たるおそれがあるかで判断することになります。迷うときは、報告対象のおそれありとして期限を管理しておきましょう。
顧問先や取引先から預かったデータを入れた場合はどうしますか?
委託先の立場なら、委託元への通知を考えることになります。報告対象事態であれば、原則として委託元と委託先の双方が報告の義務を負います。委託先が9つの報告事項のうち把握している内容を委託元へ通知したときは、委託先の報告義務と本人への通知義務は免除されます。
社員に自己申告させるとき、どんな文面にすればよいですか?
処分ではなく、保存状況の確認と被害の拡大を防ぐことが目的だと、はっきり書いてください。サービス名、日時、情報の種類、共有リンクの有無を分かる範囲で伝えてもらい、削除の前に総務や情シスへ連絡するよう案内すると、証跡を残しやすくなります。

まとめ

AIに個人情報を入れてしまったときは、削除を急ぐ前に、入れた中身と設定の証跡を残すところから始めます。顧客や取引先の情報なら、上長で止めずに、総務・情シス・法務など責任ある部署へ同じ日のうちに共有してください。

削除と学習オフは、別の操作になります。ChatGPT、Gemini、Claude、Microsoft 365 Copilotでは、削除後の保存期間、管理者が見られる範囲、学習利用の扱いがそれぞれ違います。履歴オフや一時チャットにしても、保存がゼロになるわけではありません。

個人情報保護委員会への報告が要るかは、AIに入れた事実だけで決めないことが大切です。要配慮個人情報、財産的被害、不正目的、1,000人超の4類型に当たるおそれがあるかを3つの問いで確かめ、必要なら概ね3〜5日以内の速報と、30日または60日以内の確報に向けて動くことになります。

委託先の立場なら、委託元への通知が必要になる場合もあります。社内報告書のひな形と自己申告の文面を先に用意しておき、次に同じことが起きても隠れずに申し出られる流れを作っておきましょう。AI活用の記事一覧はAI活用コラムから見ることが出来ます。