コンテキストウィンドウとは。生成AIが一度に参照できる情報量の上限と、長い資料を扱うときの目安

コンテキストウィンドウとは、生成AIが1回の返答を作るときに参照できる情報の範囲と、その量の上限のことです。結論として、契約書の束や規程集のような長い資料は、扱える量の大きいAIやモードに切り替えて読ませるのが確実な方法になります。扱える量はAIの種類だけでなく、同じAIでも無料版か有料版か、どのモデルを選ぶかで何倍も変わってしまいます。各社の公式ページに書かれている上限をもとに、会社の書類がどこまで入るかの見当のつけ方と、長い資料を会社で安全に扱うための準備をまとめました。

コンテキストウィンドウとは|AIが一度に目を通せる範囲

コンテキストウィンドウは、AIが返答を作るその瞬間に、まとめて目を通しておける文章の量を表す言葉になります。Anthropicの開発者向けドキュメントでは、返答そのものも含めて、言語モデルが返答を作るときに参照できるすべてのテキストを指す言葉として説明されています。Geminiアプリのヘルプはもう少しくだけた言い方で、読解の容量のようなもので、その大きさによって一度に理解できる内容の量が決まる、という説明です。大きさはトークンという単位で数え、「128K」「100万トークン」のように表されます。

学習した知識とは別のもの

よく混同されるのが、AIがもともと学習している知識との違いです。同じAnthropicのドキュメントは、コンテキストウィンドウはモデルが学習した大量のデータとは別のもので、モデルにとっての作業用の記憶にあたると書いています。AIが一般的な知識を答えられるのは学習の結果で、今日貼り付けた契約書の中身を踏まえて答えられるのは、その契約書がコンテキストウィンドウに入っているからとなります。そのため、上限の大きさはAIの賢さとは別の物差しとして見る必要があります。

貼り付けた資料だけでなく、指示や履歴も入る

コンテキストウィンドウに入るのは、利用者が貼り付けた資料だけではありません。Anthropicのドキュメントには、システムプロンプト(AIに最初に与えられる設定の指示)、それまでのやり取り、添付した画像や文書、ツールの定義がすべて数に入り、AIが書く返答や考える過程の分も数えられると書かれています。会話を続けるほど前のやり取りが積み上がり、新しく貼れる資料の余地は少しずつ狭くなってしまいます。長い資料を読ませるときは、新しい会話を開いてから貼るほうが余裕を持って使えるでしょう。

単位はトークン|日本語の文字数に直すときの注意

トークンは、AIが文章を処理するときの細かな区切りの単位で、文字数や単語数とは一致しません。OpenAIのヘルプは、1トークンが1文字のこともあれば、単語の一部や単語1つ、句読点にあたることもあると説明しています。英語の目安としては、GeminiはGoogleの開発者向けドキュメントで1トークンが約4文字、ClaudeはAnthropicの用語集で英語約3.5文字とされます。同じOpenAIのヘルプには、同じ文章でもモデルや言語によってトークン数が変わるという注意書きもあります。

日本語の文字数への換算は公式には示されていない

日本語1文字が何トークンになるかは、各社の公式ページでは示されていません。Googleの開発者向けドキュメントも、トークン化は言語ごとに異なり、1トークンあたりの文字数は言語によって変わると書くにとどまっています。解説記事の中には「1万トークンでおよそ何文字」という目安を載せているものもありますが、数字は記事ごとにまちまちで、公式の根拠は確認できませんでした。同じ文章でもモデルによって数え方が違い、Anthropicは料金のページで、Claude 4.7以降のモデルは同じ文章を以前のモデルより約30%多いトークンで数えると説明しています。

ページ数で見当をつけるほうが確か

文字数への換算があいまいな以上、手元の資料がどこまで入るかは、各社が公式に示しているページ数の目安で考えるのが確実でしょう。ChatGPTの料金ページは入力できる量を「約40ページ分のテキスト」のようにページ数で示しており、Claudeのヘルプも20万トークンで約500ページ以上のテキストを読み込めると書いています。Geminiアプリのヘルプには、100万トークンなら最大1,500ページのテキストか3万行のコードを理解できるという記載があります。トークンそのものの考え方は生成AIのトークンとはで詳しく扱っていますので、あわせてご覧ください。

会社の書類に当てはめると、どのくらい入るのか

ChatGPTの料金ページに載っているページ数を使うと、手元の書類がそのまま入るかどうかの見当をつけることが出来ます。2026年9月28日に確認した比較表では、すぐに答えるGPT Instantで入力できる量が、無料版は約12ページ分、GoとPlusは約40ページ分、Proは約250ページ分とされています。じっくり考えてから答えるGPT 推論では、GoとPlusが約320ページ分、Proが約680ページ分で、無料版は「場合によって異なります」という表記です。同じ表のコンテキストウィンドウの上限は、GPT Instantが無料版27K・GoとPlusが54K・Proが128K、GPT 推論がGoとPlusで256K・Proで400Kとなっています。

この数字を、社内でよく扱う書類に当てはめてみると次のようになります。

  • 仮に30ページの就業規則と関連規程をまとめて読ませる場合、無料版の約12ページ分には収まらず、GoやPlusのGPT Instantの約40ページ分なら入る計算になります。
  • 10ページ前後の契約書を5本まとめて比べたい場合は合計約50ページとなり、GoやPlusのGPT Instantの約40ページ分を超えますが、GPT 推論の約320ページ分には収まります。
  • 会議の文字起こしは、話す速さや話者の数で分量が大きく変わります。ワープロソフトに貼ってページ数を確かめてから比べるのが確実です。
  • 取引先1社分の過去の議事録やメールを束ねて数百ページになる場合は、Proの約680ページ分でも入り切らないことがあり、後で説明するRAGを考える段階になります。

料金ページには1ページあたりの文字量が書かれていないため、ここでの計算はあくまで見当です。上限ぎりぎりまで詰め込むより、余裕を持たせて使うほうが安心でしょう。

表示された量が丸ごと使えるわけではない

料金ページの入力上限には注記が付いており、利用者が入力に使える領域はコンテキストウィンドウ全体よりも小さいと明記されています。残りの領域は、ツールや人格の設定を含むシステム指示、有効にしている場合のメモリ、情報の確認や推論、返答の生成といった内部の処理に使われます。同じ注記は、入力用として示された容量は目安で、使っている機能やメモリの内容によって変わる場合があるとしています。表の数字は「そこまで必ず入る」保証ではなく、条件次第で減る上限と受け止めておきましょう。

コンテキストウィンドウが大きいと何ができるのか

コンテキストウィンドウが大きいほど、長い資料を分けずにまとめて読ませたり、複数の資料を並べて突き合わせたりすることが出来ます。Geminiアプリのヘルプも、コンテキストウィンドウが大きくなると、より長いプロンプトやチャットを使えるようになると説明しています。Anthropicのドキュメントには、大きいほど複雑で長い指示を扱えるという趣旨の記載があります。

長い資料を分けずに渡せる

上限が小さいAIで長い資料を扱うと、前半と後半に分けて貼り、それぞれの要約をつなぎ合わせる手間が出てしまいます。分けて読ませると、前半に出てきた定義が後半の条項にどう効いているかといった、資料をまたいだつながりをAIが見られなくなります。一度に入れば、全体を踏まえた要約や、後ろのほうにある例外規定まで踏まえた回答を頼みやすくなるでしょう。

複数の資料を突き合わせられる

社内の実務で役に立ちやすいのは、1つの長い資料よりも、複数の資料を並べて違いを見る作業です。旧版と新版の規程を並べて変更点を洗い出す、取引先ごとの契約書の支払条件を一覧にする、複数回の会議の議事録から決まったことと宿題を拾う、といった作業がこれにあたります。比べたい資料がすべて同時に入っていないと、AIは違いを見比べようがありません。資料の数が増えるほど、上限の大きさがそのまま出来る作業の幅につながるでしょう。

長い会話でも前提を保ちやすい

やり取りを重ねる作業でも、上限の大きさは効いてきます。最初に伝えた前提や資料が会話の途中で押し出されにくくなるため、同じ説明を何度も繰り返す場面が減るでしょう。ただし、大きければ大きいほど良いという単純な話ではない点は、次の節で触れる内容になります。

上限を超えたとき・長すぎるときに起きること

上限を超えると、AIは資料の一部を考慮しないまま答えたり、古いやり取りを整理したり、処理そのものを止めたりします。どれが起きるかは、サービスと使い方によって異なります。

一部が考慮されないまま答えが返ってくる

Geminiアプリのヘルプは、プロンプトがコンテキストウィンドウを超えた場合、提供した内容の一部が考慮されなかったり、全体のつながりや細部が抜けた回答が返ったりする可能性があると説明しています。影響をもっとも大きく受けるのは、大きなファイルを複数渡し、その全体に散らばった細部すべてに目を向けるよう求める依頼で、同じヘルプにその旨の注意書きがあります。資料を渡せたように見えても、答えが資料全体を踏まえているとは限らない点が落とし穴です。

古いやり取りが要約されたり、外されたりする

チャット型のサービスでは、会話が長くなったときに前のやり取りを整理しながら続ける仕組みがあります。Claudeのヘルプによると、有料プランでコード実行を有効にしている場合、会話が上限に近づくと前のメッセージを要約して新しい内容の余地を作るとのことです。この自動管理はコード実行が有効でないと働かず、自動管理が起きるほど長い会話は利用上限を多く消費するとも書かれています。要約された後も会話の履歴自体は保存され、Claudeが参照できるという説明もあります。AnthropicのAPIドキュメントには、claude.aiのようなチャット画面では、古いものから順に外していく形でコンテキストウィンドウを管理することもあるという脚注が付いています。会話の序盤に渡した資料の細部が、後半では細かく参照されていないこともある、と考えておくのが無難でしょう。

APIではエラーで止まる

社内システムからAPI(プログラムからAIを呼び出す窓口)で使う場合は、上限を超えるとその場でエラーになります。AnthropicのAPIドキュメントには、入力だけで上限を超えているときは、どのモデルでも「prompt is too long」というエラーを返すと書かれています。OpenAIのヘルプは、入力が大きすぎるときの対処として、指示を短くする、不要な繰り返しを削る、大きな入力を分ける、送る前に要約するといった方法を示しており、アプリで使うときにも役立つ考え方でしょう。

入り切っても正確さは落ちることがある

上限に収まっていれば安心、とは言い切れません。Anthropicのドキュメントは、トークンの量が増えるほど正確さと想起(必要な情報を思い出す力)が落ちる現象を「context rot」と呼び、多く入れれば自動的に良くなるわけではないと明記しています。何を入れるかを選ぶことは、どれだけ入るかと同じくらい大切だというのが、同じ文書の考え方になります。関係のない資料まで丸ごと貼るより、質問に関わる部分に絞って渡すほうが、答えの質を保ちやすいでしょう。

無料版で入り切らないと、社員は別のAIへ貼り始める

会社で用意したAIの上限が小さいと、長い資料を扱いたい社員は、入り切る別のAIを自分で探して使い始めてしまいます。無料版のChatGPTで約12ページ分を超える資料が入らなかったとき、個人で登録した別のサービスに同じ資料を貼り直すのは、現場の感覚としては自然な流れでしょう。困るのは、その資料が就業規則、人事評価、取引先との契約書のように、社外に出したくない情報を多く含むことです。

個人アカウントでは、学習への利用が本人の設定で決まる

個人向けのサービスでは、入力した内容がAIの改善に使われるかどうかが、利用者本人の設定で決まります。OpenAIのヘルプは、ChatGPTなどの個人向けサービスでは内容がモデルの学習に使われることがあり、止めるには設定の「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにするよう案内しています。同じヘルプでは、ChatGPT Business・Enterprise・APIからの入力と出力は初期設定でモデルの改善に使われないと書かれており、個人向けとは扱いが分かれます。Geminiアプリについても、個人アカウント向けのプライバシーの説明に、見られたくない機密情報や、サービスの改良に使われたくない機密情報は入力しないよう求める一文があります。

会社から、誰が何を貼ったか見えなくなる

個人アカウントでの利用は、会社の管理画面には何も残りません。退職や異動のときに会社がアカウントを止めることも出来ず、どの資料がどのサービスに渡ったのかを後から確かめる手段もなくなってしまいます。社員の心がけの問題というより、長い資料を扱える環境が社内にないことが、見えない利用の入口になっているとも言えます。会社が把握していないAI利用の全体像はシャドーAI(野良AI)とはで整理しています。

社員が別のAIへ貼り始める前に、使う環境を会社で1つに

長い資料の置き場所が個人のアカウントに散らばる前に、使うAIの環境を会社で1つにまとめるのが近道です。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

長い資料が費用と利用枠に与える影響

長い資料を読ませるほど、APIでは料金が、月額制のアプリでは使える回数の枠が、多く消費されます。APIの料金は入力と出力のトークン数で決まり、各社とも出力の単価を入力より高く設定しています。Googleの開発者向けドキュメントにも、Gemini APIの費用は入力トークンと出力トークンの数で決まるという記載があります。

入力と出力で単価が違う

たとえばAnthropicの料金ページでは、Claude Sonnet 5の単価が100万トークンあたり入力2ドル、出力10ドルとされています。長い契約書を読ませて短い要約を返してもらう使い方なら、費用の多くは入力側で生じることになります。仮に20万トークンの資料を読ませて2,000トークンの要約を受け取ると、入力が0.4ドル、出力が0.02ドルという計算です。同じ資料について質問を10回繰り返し、そのたびに資料全体を送り直すと、入力だけで約4ドルとなってしまいます。

※単価は2026年9月27日に各社の公式料金ページで確認した、米ドル建ての金額です。税の扱いは各ページの表示をご確認ください。繰り返し送る部分を安く扱うキャッシュの仕組みは、計算に含めていません。

長い入力には割増の単価が付くことがある

一定の長さを超えた入力に、別の単価を設けているモデルもあります。OpenAIのGPT-6 Solのモデルページには、入力が27万2,000トークンを超えるリクエストは、そのリクエスト全体で入力が2倍、出力が1.5倍の単価になると書かれています。Gemini 3.1 Pro(プレビュー版)も、プロンプトが20万トークンを超えると、100万トークンあたりの単価が入力2ドルから4ドル、出力12ドルから18ドルに上がる料金体系です。Anthropicは、100万トークンのコンテキストを持つモデルについて、長い入力も標準の単価で請求すると案内しています。長い資料をAPIで扱うときは、モデルごとの長文の単価を先に確かめましょう。

考える過程も出力として数えられる

じっくり考えてから答えるモデルでは、画面に表示されない思考の分もトークンとして数えられます。OpenAIのヘルプは、推論トークンは答えの文章としては見えないものの出力として課金されるため、短い答えでも見た目以上にトークンを使うことがあると説明しています。Anthropicのドキュメントも、考える過程のトークンは出力トークンとして請求され、コンテキストウィンドウの上限にも数えられる、という書き方です。

アプリでは利用枠の減り方が変わる

月額制のアプリでは、長い資料を扱っても料金は変わらない代わりに、使える回数の枠の減り方が変わることがあります。Claudeのヘルプは、自動の要約が働くほど長い会話は、利用上限を多く消費すると明記しています。ツールやコネクタ(外部サービスとの連携)はトークンを多く使うため、有効にする数を意識するとコンテキストを広く使える、という助言も同じヘルプにあります。同じ資料を何度も貼り直すより、1つの会話の中で質問をまとめて投げるほうが、枠の消費を抑えやすいでしょう。

主要AIのコンテキストウィンドウ|アプリとAPIは別物

コンテキストウィンドウの大きさは、同じ会社のAIでも、チャット画面のアプリで使うかAPIで使うかで大きく違います。各社のAPIでは100万トークン前後のモデルが並んでいますが、ChatGPTのアプリの上限は、料金ページに数値がある範囲でプランとモードによって2万7,000〜40万トークンとなります。下の表は、2026年9月28日に各社の公式ページで確認したアプリ側の値をまとめたものです。

サービスプラン・モデルコンテキストウィンドウ公式が示す分量の目安
ChatGPT(GPT Instant)無料版27K約12ページ分(入力上限)
Go・Plus54K約40ページ分(入力上限)
Pro128K約250ページ分(入力上限)
ChatGPT(GPT 推論)無料版場合によって異なる場合によって異なる
Go・Plus256K約320ページ分(入力上限)
Pro400K約680ページ分(入力上限)
Claude(有料プランのチャット)Fable 5.1・Opus 5.5・Opus 5・Sonnet 5100万記載なし
Fable 5・Opus 4.8/4.7/4.6・Sonnet 4.650万記載なし
上記以外のモデル20万約500ページ以上
Gemini アプリAI プランなし32,000記載なし
AI Plus128,000記載なし
AI Pro・AI Ultra100万最大1,500ページ

※2026年9月28日に、ChatGPTは料金ページの比較表、Claudeはヘルプ記事How large is the context window on paid Claude plans?、GeminiはGeminiアプリのヘルプで確認した値です。単位はトークンです。Claudeは有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)でチャットする場合の値で、Claude CodeやCoworkでは別の値が示されています。ChatGPTの法人向けプランの値は、この表に含めていません。

ChatGPTはモードとプランで20倍以上の差

ChatGPTは、同じPlusでもGPT Instantで約40ページ分、GPT 推論で約320ページ分と、選ぶモードで入る量が大きく変わります。無料版のGPT Instantの約12ページ分と比べると、Plusの推論では20倍を超える量を一度に渡せる計算です。ただし前の節で見たとおり、表の値は目安で、メモリや使っている機能によって入力に使える量は動きます。ChatGPTでの長文の扱いはChatGPTの文字数制限でも詳しく扱っています。

Claudeは有料プランならモデル次第で100万トークン

Claudeのヘルプによると、有料プランでチャットする場合、Fable 5.1、Opus 5.5、Opus 5、Sonnet 5は100万トークン、Fable 5やOpus 4.8〜4.6、Sonnet 4.6は50万トークンです。それ以外のモデルは20万トークンで、約500ページ以上のテキストを読み込めると説明されています。同じヘルプには、プロジェクト機能がRAG(後の節で説明)を使い、関係する内容だけをコンテキストウィンドウに読み込むことで、より多くの情報を扱えるという案内もあります。無料プランはこのヘルプの対象外です。利用回数の上限の考え方はClaudeの利用制限もご覧ください。

Geminiアプリはプランで32,000から100万トークン

Geminiアプリは、Google AIのプランに入っていない場合が32,000トークン、AI Plusが128,000トークン、AI ProとAI Ultraが100万トークンです。100万トークンあれば最大1,500ページのテキストを理解できる、というのがヘルプの説明になります。無料で使える範囲では、ChatGPTの無料版と同じく、長い資料をまとめて渡すには余裕が小さいことが分かります。

APIの上限をアプリの上限と取り違えない

各社の開発者向けのモデル一覧では、OpenAIのGPT-6 Astraなどが105万トークン、AnthropicのClaude Opus 5などが100万トークン、GoogleのGemini 3.8 Flashなどが約104万8,000トークンとされています。これはAPIで呼び出す場合の値で、ChatGPTやGeminiのアプリで同じ量が使えるという意味ではありません。「100万トークン対応」という紹介は、APIの話かアプリのどのプランの話かを確かめてみてください。AIの仕組みそのものはLLM(大規模言語モデル)とはで解説しています。

※APIの値は、2026年9月16日から27日にかけて各社の開発者向けドキュメントで確認したものです。モデルの名前と上限は短い周期で変わるため、使う前に各社の最新のページをご確認ください。

RAGとの違い・使い分け

RAG(検索拡張生成)は、資料を丸ごとコンテキストウィンドウに入れる代わりに、質問に関係する部分だけを探し出してAIに読ませる方法です。資料の山から必要なページだけを抜き出して渡す係がいる、と考えるとイメージしやすくなります。Claudeのヘルプでも、有料プランではプロジェクトの資料が上限に近づくと自動でRAGに切り替わり、扱える量を最大10倍まで広げるという説明があります。

全体を読ませたいときはコンテキストウィンドウ

契約書1本の全条項を点検する、規程の新旧を突き合わせるなど、資料全体を見ないと答えられない作業は、コンテキストウィンドウに丸ごと入れるほうが向いています。RAGは関係しそうな部分を検索して拾う仕組みのため、検索で拾われなかった箇所は答えに反映されません。見落としが許されない点検は、資料全体を入れられるAIで行うのが基本です。全体がどうしても入り切らない場合は、章ごとに分けて点検し、最後に人が突き合わせる形になるでしょう。

資料が多すぎるときや、社内の問い合わせ窓口にはRAG

社内規程の全冊やマニュアル類のように、どのAIの上限にも収まらない量を扱うときは、RAGの出番となります。総務への問い合わせのように、質問ごとに必要な箇所が数ページで足りる用途なら、毎回すべてを読ませるより費用も利用枠も抑えられるでしょう。一方で、RAGは資料の置き方や閲覧権限の設定次第で、見せるべきでない人に情報が届くおそれもあります。RAGの仕組みと注意点はRAGとはで詳しく解説しています。

入り切らないときの切り替えの判断と、上手な渡し方

長い資料が入り切らないときは、資料を削るか、扱える量の大きいAIやモードに切り替えるかのどちらかを選ぶことになります。まず資料の量を測り、次に使っているAIとプランの上限と比べ、足りなければ切り替える、という順番で考えると迷いにくいでしょう。

  • 資料のページ数を数えたか渡す前にワープロソフトなどでページ数を確かめ、料金ページやヘルプに書かれたページ数の目安と比べます。
  • 今のモードで足りるかChatGPTのGoやPlusなら、GPT InstantからGPT 推論に切り替えるだけで、料金ページの目安は約40ページ分から約320ページ分に増えます。
  • 新しい会話で始めたか前のやり取りが積み上がった会話では、資料に使える余地が狭くなっています。
  • 質問に関係のない部分を外したか表紙や目次、定型の署名欄など、答えに関係しない部分を外すと余裕が生まれます。
  • 画像だけのページが混ざっていないかChatGPTのファイルアップロードFAQでは、Enterprise以外のプランでは文書ファイルから文字を取り出し、画像は破棄すると説明されています。スキャンしただけのページは、文字として読まれない可能性があります。
  • 会社の環境で扱ってよい資料か機密や個人情報を含む資料は、学習に使われない設定になっている会社の環境で扱います。

アップロードできる量と、一度に考慮できる量は別

ファイルを添付できたからといって、その全文をAIが一度に見ているとは限りません。OpenAIのヘルプでは、会話にアップロードできるテキストや文書のファイルは1ファイルあたり最大200万トークンとされています。これはGoやPlusのコンテキストウィンドウよりずっと大きな値で、アップロードできる上限と、返答を作るときに一度に考慮できる量は分けて考える必要があります。ヘルプには添付ファイルをどう読み込むかの詳しい記載がないため、長い資料の細部を問うときは、該当する章を指定して質問するほうが確実でしょう。

渡し方の工夫

同じ量でも、渡し方を少し変えるだけで答えの確かさは変わってきます。最初に「この契約書の第5条と第12条の関係を知りたい」のように目的と見てほしい箇所を書き、資料はその後に貼ると、AIが何を探せばよいかがはっきりします。長い会話で前提がぼやけてきたと感じたら、それまでの要点を短くまとめてもらい、新しい会話にその要点と必要な資料だけを貼り直すのも一つの方法です。大事な数字や条項は、AIの答えをうのみにせず、元の資料で必ず確かめましょう。

長い資料を会社で安全に扱うには

長い資料を扱えるAIを社員に使ってもらうなら、上限の大きさと同じくらい、資料の扱いを会社で決めておくことが大切になります。就業規則や契約書、議事録は、長いだけでなく、社外に出したくない情報が詰まった資料でもあるためです。

学習に使わせない設定を、全員に一律でかける

最初に押さえたいのは、入力した資料がAIの学習に使われない状態を、社員一人ひとりの操作に任せずに作ることになります。個人向けのChatGPTでは本人が設定を切り替える必要がありますが、法人向けのプランやAPIでは初期設定で学習に使われない形になっています。設定を社員任せにすると、1人の切り忘れがそのまま漏れの入口になってしまいます。

誰がいつ、どのAIを使ったかを残す

長い資料ほど、1回の入力で渡る情報も多くなります。会社の管理下にある環境なら、利用者・日時・使ったAIといった記録を後から確かめられるため、問題が起きたときに範囲を絞り込むことが出来ます。記録が取れない個人アカウントでの利用には、何が起きたかを調べる手がかりそのものがありません。

社員全員に配り、用途でAIを使い分ける

一部の社員にしか会社のAIを配らないと、配られなかった社員が長い資料を個人のアカウントに貼る流れは残ったままとなってしまいます。長い資料は上限の大きいAIやモードで、日常のメールや短い文章は手軽なAIで、と用途で使い分けられる環境を全員に用意するのが現実的でしょう。複数のAIをどう割り当てるかは主要AIの違いと使い分け、複数のAIを1つの環境でまとめて使う方法はマルチAIとはで整理しています。

貼ってよい資料と、貼らない資料を決める

環境を整えても、個人情報や未公表の数字をどこまで入れてよいかは、会社としての線引きが必要です。社内ルールに「長い資料はこの環境で扱う」「この種類の情報は入れない」と明記すれば、社員が判断に迷う場面は減らせるでしょう。ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方をご覧ください。

4つのAIを、会社が管理する1つの環境で

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。入力データを学習に使わない設定が全モデルに標準で適用され、社員ごとの設定操作は要りません。会話履歴・利用ログ・アカウントの管理先は、国内サーバー(AWSの日本リージョン)です。管理画面では、UPGEAR AI上で誰が・いつ・どのAIを使ったかを一覧できます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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よくある質問

コンテキストウィンドウとトークンは何が違いますか?
トークンは、AIが文章を処理するときの細かな区切りの単位です。コンテキストウィンドウは、そのトークンを1回の返答を作るときにどれだけ扱えるかという上限を指します。「コンテキストウィンドウは128Kトークン」のように、トークンはコンテキストウィンドウの大きさを表す単位として使われます。
日本語の資料なら、何文字までコンテキストウィンドウに入りますか?
日本語1文字が何トークンにあたるかは、各社の公式ページでは示されていません。手元の資料が入るかどうかは、ChatGPTの料金ページの約何ページ分という目安や、Claudeのヘルプの約500ページ以上という目安と、資料のページ数を比べて見当をつけるのが確実です。
無料版のChatGPTに長い契約書を貼っても大丈夫ですか?
量の面では、無料版のGPT Instantで入力できるのは約12ページ分が目安で、長い契約書や複数の契約書は入り切らないことがあります。内容の面では、個人向けのChatGPTは設定によって入力が学習に使われることがあるため、機密を含む契約書は、学習に使われない設定になっている会社の環境で扱うことをおすすめします。
コンテキストウィンドウは大きければ大きいほど良いのですか?
大きいほど長い資料をまとめて扱えますが、入れる量が増えるほど正確さが落ちることがあります。Anthropicのドキュメントは、トークンの量が増えるほど正確さと想起が落ちる現象をcontext rotと呼んでいます。上限の大きさを活かしつつ、質問に関係する部分に絞って渡すのが基本です。
上限を超えたら、エラーが表示されますか?
APIではエラーで止まります。一方、チャット型のアプリでは、前のやり取りが要約されたり、資料の一部が考慮されないまま答えが返ったりすることがあり、エラーとしては表れない場合もあります。長い資料を渡したときは、答えが資料全体を踏まえているかを元の資料で確かめてください。
RAGがあれば、コンテキストウィンドウは気にしなくてよいですか?
RAGは質問に関係する部分だけを探して読ませる方法のため、どのAIの上限にも収まらない量の資料を扱うときに役立ちます。ただし、検索で拾われなかった箇所は答えに反映されないため、契約書の全条項の点検のように資料全体を見る必要がある作業では、コンテキストウィンドウに丸ごと入れるほうが向いています。

まとめ

コンテキストウィンドウとは、生成AIが返答を作るときに参照できる情報の範囲と、その上限のことです。単位はトークンで、日本語の文字数への公式な換算はないため、手元の資料が入るかどうかは各社が示すページ数の目安で見当をつけるのが確実になります。ChatGPTなら無料版のGPT Instantで約12ページ分、GoとPlusのGPT 推論で約320ページ分と、同じサービスでもプランとモードで入る量が大きく変わってしまいます。

上限を超えると、資料の一部が考慮されなかったり、前のやり取りが要約されたりします。入り切った場合でも、量が増えるほど正確さが落ちることがあるため、質問に関係する部分に絞って渡すのが基本でしょう。どのAIにも入り切らない量の資料には、RAGを使う方法もあります。

長い資料は扱える量の大きいAIに切り替えて読ませるのが確実ですが、その切り替え先が個人のアカウントになると、学習への利用もログも会社から見えなくなります。学習に使わない設定とログの管理ができる環境を会社で用意し、用途に合わせて複数のAIを使い分けられるようにしてみてください。法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧にまとめています。