ファンケル、肌専門AIを無料提供
COPLUS AI NEWS夕方版
店頭のデータをアプリのAIへつなぎ、現場の搬送や社内のAI管理にも動きが広がる
ニュース5本・約8分で読めます
ファンケルが10月27日、チャットと顔画像の解析で肌の悩みに応える肌専門AI「FANCL SKIN MATE」を公式アプリで無料提供し始めました。工場の金型交換を無人で行うシステムの実演発表や、AIカルテに対する患者の意識調査、日本企業のAI活用の進み具合を示す調査、AIエージェントを管理する新機能の発表とあわせ、本日夕方のAI動向5本を整理します。
📋 本日のニュース
① ファンケル、肌専門AI「FANCL SKIN MATE」を公式アプリで無料提供開始 チャットと顔画像解析で肌の悩みに合うケアを提案
AdverTimes(アドタイ)の報道 / 2026年10月27日
ファンケルは10月27日、肌専門のAI「FANCL SKIN MATE(ファンケル スキンメイト)」の提供を同社の公式アプリで始めました。利用は無料で、AIとのチャットでの相談と、素肌を撮影した顔画像の解析をもとに、利用者の肌の悩みに合ったケア方法を提案します。45年以上の皮膚科学研究の知識と、直営店舗で積み重ねた100万人以上のカウンセリングの知見を組み込んだと説明しています。今年3月に直営店で始めた角層解析のカウンセリング「FANCL SKIN PATCH」の解析データも連携できます。三橋英記社長は発表会で、サービスで得られたデータを肌研究や商品開発にも生かしたいという考えを示しました。
💡 コプラスの視点
店舗での接客データをアプリのAIにつなぎ、いつでも相談できる入口を増やす設計です。顔画像や肌の状態といった個人に近い情報を扱う以上、何のために使うのかを利用者に分かりやすく示すことが、サービスを続ける土台になります。中小の店舗やサービス業でも、窓口の時間外にAIが一次対応し、込み入った相談は人につなぐ形なら取り入れやすい考え方です。
② ニチエツ、ティーチング不要の自律搬送で金型を交換する「Zeroteach-mQMC」をIPF Japan 2026で初実演へ 2027年に5セットの受注めざす
ニチエツ(PR TIMES) / 2026年10月28日
ニチエツは10月28日、プラスチック成形機の金型を無人で交換するシステム「Zeroteach-mQMC(mobile Quick Mold Changer)」を、12月1日から5日まで幕張メッセで開かれる「IPF Japan 2026」で初めて実演すると発表しました。基盤は自律搬送技術「Zeroteach-AMR」で、天井のカメラと装置内のカメラを組み合わせて誘導することで、搬送ルートを人が教え込むティーチング作業を不要にしたと説明しています。設備へのドッキング精度は±0.5mmとし、同社はこの技術を「世界初」としています(2026年9月時点の自社調べ)。背景には、成形業界の有効求人倍率が2025年度で5.34倍と、人手が足りない状況や、天井クレーンを使う金型交換作業の労災リスクがあるとしています。現時点は大手機械メーカーや自動車部品メーカーに提案中の段階で、受注は2027年に5セットが目標です。
💡 コプラスの視点
今回の発表は展示会での実演予定であり、導入実績の報告ではありません。数値はいずれも同社の発表で、現場での効果は今後の導入事例を待つ必要があります。ただ、危険を伴う重量物の搬送を人から機械へ移す動きは、製造業の人手不足対策としてAIロボットが現実の選択肢になりつつあることを示しています。
③ medimo、AIカルテに関する患者573人の意識調査を公表 導入への賛成は63.5%、反対理由の1位は「医師がAI任せになり話を聞いてくれなくなりそう」
medimo(PR TIMES) / 2026年10月28日
生成AIで診療録の下書きを作るサービス「medimo」を提供するmedimoは10月28日、AIによるカルテ作成に関する患者の意識調査の結果を公表しました。調査は2026年9月に、直近1年以内に病院やクリニックを受診した20〜69歳の573人を対象にインターネットで行っています。AIカルテの導入に「賛成」「どちらかというと賛成」と答えた人は合わせて63.5%でした。賛成の理由は「記録の手間が減り診察時間が増えそうだから」が54.1%で最多、反対の理由は「医師がAI任せになり話を聞いてくれなくなりそうだから」が39.7%で最多でした。安心できる条件としては、医師による最終確認が77.2%、患者本人による確認・修正が73.3%で上位に挙がっています。AIカルテの内容を知っていた人は12.6%でした。なお、AIカルテのある医療機関を受診した経験者の満足度(96.4%)は、回答者が55人にとどまります。
💡 コプラスの視点
調査を行ったのは製品を提供する企業で、結果は自社サービスの訴求を含む点に留意が必要です。そのうえで、反対の理由と安心できる条件がどちらも「人が最終確認する」「話を聞いてもらえる」ことに集まっている点は、医療に限らず参考になります。顧客と向き合う業務にAIを入れる際は、AIが何を担い、最後は誰が確認するのかを相手に伝えることが、受け入れられる条件になりそうです。
④ デル・テクノロジーズの調査で、AI活用が実活用・成果創出の段階に進んだ日本企業は2025年の35%から2026年は58%に 72%は成果とリスク管理計画がなければ新施策を進めないと回答
デル・テクノロジーズ(調査)、ITmedia エンタープライズの報道 / 2026年10月28日
デル・テクノロジーズは10月27日の社長就任会見で、調査「Modern Enterprise Readiness Study 2026」の日本の結果を紹介しました。調査は2026年6月に、世界35カ国の従業員100人以上の組織でビジネスやITの意思決定に関わる2,950人(うち日本は150人)を対象に行っています。AI活用が初期・試験の段階を抜けて本格展開の段階に進んだ日本企業の割合は、2025年の35%から2026年は58%に増えました。一方で、実証されたビジネス成果と明確なリスク管理計画がなければ新しいAI施策を進めにくいと答えた日本企業は72%でした。ロボトム社長は、次の競争力を決めるのはAIそのものではなく実行力だという考えを述べています。
💡 コプラスの視点
日本の回答者は150人で、同社が委託して行った調査である点に留意が必要です。数字そのものよりも、「成果の見込み」と「リスク管理の計画」が揃わないと次に進めないという回答が7割を超えたことが読み取れます。社内でAIの試行を進めるときは、どんな成果を測るのかと、情報の扱いのルールをあらかじめ文書にしておくと、次の投資の判断がしやすくなります。
⑤ IBM、AIエージェントの発見・識別・権限管理・評価を担う新機能を発表 「HashiCorp Vault 2.2」では短期の認証情報をエージェントに発行
IBM(ニュースルーム) / 2026年10月27日(米国時間)
IBMは10月27日(米国時間)、米アトランタで開いた「IBM TechXchange 2026」で、AIエージェントを企業が管理するための新機能を発表しました。エージェントを見つけ出し、本人確認に当たる識別情報を持たせ、アクセスできる範囲を制御し、導入前に品質や法令順守を評価するという流れです。「HashiCorp Vault 2.2」は、エージェントに有効期間の短い認証情報を渡し、必要最小限の権限だけを与え、すぐに取り消せるようにします。「Agent Identity」は、各エージェントの所有者や稼働状況、与えた権限を記録します。提供状況は機能によって異なり、Vault 2.2とAgent Identityは一般提供、「watsonx Orchestrate」の発見・隔離の機能などは技術プレビューとされています。リリースはGartnerの見通しとして、2028年には米フォーチュン500企業の平均でエージェントが15万件を超える一方、適切な管理体制があると考える組織は13%にとどまると紹介しています。
💡 コプラスの視点
エージェントに任せる作業が増えるほど、「どのエージェントが、誰の許可で、どこまで触れるか」を一覧できる状態が欠かせなくなります。大がかりな製品を使わなくても、社内でAIに接続しているアプリや連携先を洗い出し、不要な権限を外す点検は始められます。数値はいずれもIBMのリリースが引用するGartnerの見通しである点にも留意が必要です。
明日への展望
ニチエツの無人金型交換システムは、12月1日からのIPF Japan 2026での実演が予定されています。IBMが発表した機能は、一般提供のものとプレビュー段階のものに分かれており、今後の提供範囲の広がりが注目されます。デル・テクノロジーズの調査では、日本企業の7割超が成果とリスク管理の計画を求めており、AIの導入後の効果をどう測り、公表していくかも引き続き見ておきたい点です。
本日のまとめ
店頭の接客データをアプリのAIにつなぐ小売、現場の搬送を無人化する製造、診察の記録をAIに任せる医療と、AIが入る業務は広がっています。どの事例にも共通するのは、AIが担う部分と人が確認する部分を分けて示していることです。企業のAI管理や調査の結果からも、成果の測り方と情報の扱いを先に決めておくことの重要性が読み取れます。


