
Gemini EnterpriseとGoogle Workspaceの違いとは、Workspaceが業務アプリにGeminiを組み込んだ道具で、Gemini Enterpriseは外のデータまでつないでAIエージェントを動かす別契約のサービスだという点です。社内のデータがほぼWorkspaceの中にあればWorkspaceのままで足り、Microsoft 365やJiraなど外のデータを横断して探したい部署が出てきたら、その人数分だけGemini Enterpriseを足す順番になります。エディション別の料金の全体はGemini Enterpriseの料金と契約の選び方にまとめていますので、あわせてご覧ください。Workspace側で使えるGeminiの範囲はGoogle WorkspaceのGeminiでできることで確認できます。
※本文の機能・料金は、主に2026年10月15日時点のGoogle公式ページの表示です(一部は2026年9月18〜20日に確認)。Gemini Enterpriseの日本円の価格だけは、2026年9月15日時点のGoogle Cloud SKU一覧の表示を使っています。公式の説明はいずれもGoogleによる自己申告で、第三者が検証したものではありません。
WorkspaceのGeminiとGemini Enterpriseは、上位・下位ではなく別のサービス
WorkspaceのGeminiとGemini Enterpriseは、同じ名前が付いていても、片方がもう片方の上位版という関係ではありません。Googleの公式説明では、Workspaceは日常的に使うアプリにGeminiを直接組み込んだコラボレーションの場とされます。Gemini Enterprise appのほうは、あらゆる従業員がすべてのワークフローで最先端のAIを使える高度なエージェントプラットフォームと位置づけられています。どちらにもGeminiのモデルが入っているため、つい上位と下位の関係に見えてしまいます。
違いがはっきり出るのは、AIが読みに行くデータの範囲と、AIを使う場所です。WorkspaceのGeminiは、Gmail・ドキュメント・スプレッドシート・Meetなどの画面の横で動き、ユーザーが見られるWorkspaceの中身をもとに答えます。Gemini Enterpriseは、Workspaceに加えてMicrosoft 365やSlack、Jira、Salesforceなどのデータをつなぎ、専用の画面からまとめて探したり、エージェントに作業を任せたりする使い方が中心になります。
法人でGeminiを使う3つの入り口
法人向けのGeminiは、契約の形で見ると大きく3つの入り口に分かれます。
| 入り口 | 中身 | 契約と課金 |
|---|---|---|
| Workspaceに含まれるGemini | Gmail・ドキュメントなど各アプリの中のGemini、Geminiアプリ、Gemini Notebook | Google Workspaceの契約に含まれる(追加料金なし) |
| Gemini Enterprise app | 社内外のデータをつないだ検索とチャット、ノーコードのエージェントの作成と実行 | Google Cloud側の契約。シート単位・月単位の課金 |
| Gemini Enterprise Agent Platform | 技術チームがエージェントを開発・運用する基盤(公式FAQではVertex AIの進化版と説明) | Google Cloudアカウントが必要。従量課金 |
公式FAQでは、Gemini Enterprise appとAgent Platformは同じGemini Enterpriseの仲間でも、別々に購入する必要があると説明されています。社内の一般の社員が使うのはapp側で、ここから先でGemini Enterpriseと書くときもapp側を指します。エージェントを自社で一から作り込む開発の話は、まずapp側で足りるかを確かめてから考えても遅くはありません。
契約は別|Gemini EnterpriseはWorkspaceに含まれず、Google Cloud側の契約になる
Gemini Enterpriseは、Workspaceのどのエディションを契約していても自動では付いてこない、別の契約です。公式FAQは、Geminiアプリについては「Google Workspace の商用および公共機関のお客様には追加料金なしで提供」と説明する一方で、Gemini Enterprise appはシート単位・月単位で課金されるサービスとしています。Workspaceの管理コンソールでGemini Enterprise Businessのライセンスを社員に割り当てる手順も公式ヘルプに用意されており、Workspaceを使ったまま必要な人に席を足す形をとることが出来ます。
申し込みの入り口は2つ
Workspaceの管理者向けヘルプには、Gemini Enterprise Businessの申し込み方が2通り書かれています。1つはGoogleの営業やGoogle Cloudのパートナーを通して申し込み、Workspaceの管理コンソールで社員にライセンスを割り当てる方法になります。もう1つは、Business エディション専用の申し込みページから直接登録する方法です。
営業やパートナー経由で始める場合、ヘルプでは自分か別のWorkspace管理者に少なくとも1つライセンスを割り当て、その管理者がbusiness.gemini.googleにサインインして環境を初期化するよう案内されています。すでに別のGemini Enterpriseのプランを契約している組織ではBusiness エディションを購入できない、とも書かれているので、部署ごとにばらばらに申し込む前に、会社としてどのエディションにするかを決めておきましょう。
Workspaceを契約していない会社の場合
Googleの公式ページでは、Workspaceの契約はGemini Enterpriseの購入条件として書かれていません。Business製品ページでも、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのビジネスデータをもとにGeminiとチャットできると説明されています。ただし、Microsoft 365のデータにつなぐときのID連携など、Workspaceのない会社ならではの準備もありますので、申し込み方の違いは料金と申し込み方の解説ページをご覧ください。
WorkspaceのBusiness・EnterpriseにはGeminiが追加料金なしで入っている
いまのWorkspaceでは、BusinessとEnterpriseの各エディションにGeminiが追加料金なしで含まれています。Googleの管理者ヘルプによると、2025年1月にAI機能をBusinessとEnterpriseのエディションへ追加したと説明しており、それまでのGemini用のアドオンは現在購入できません。購入できなくなったアドオンは「Gemini Business - Legacy」「Gemini Enterprise - Legacy」という名前で案内されており、いまのGoogle Cloud側のGemini Enterpriseとは別のものです。古い資料でGemini Enterpriseという名前を見かけたら、どちらを指しているかを日付で確かめてみてください。
Workspaceのプランによって使えるGeminiの範囲が違う(Starterは限定)
追加料金なしといっても、どこまで使えるかはWorkspaceのプランで変わります。料金ページの比較表では、Business StarterはGmailとVidsのGeminiは使えるものの、ドキュメント・スプレッドシート・スライド・ドライブ・Meet・ChatのGeminiは対象外です。Geminiアプリも、Starterは基本的なアクセス、Standard以上はより広いアクセスという書き分けになっています。
Geminiアプリの数字で比べると、Deep ResearchはStarterが月5件、StandardとPlusが1日20件まで使えます。一度に読ませられる長さを表すコンテキストウィンドウは、Starterが32,000、StandardとPlusが100万です。Starterの会社で「Geminiが物足りない」という声が出ている場合、その原因はGemini Enterpriseがないことより、プランの差にあることも考えられます。プラン別の範囲はGoogle WorkspaceのGeminiの使い方と管理とGeminiの法人プランの違いに表でまとめています。
データの範囲|Workspaceの中か、Microsoft 365・Salesforce・Jiraまで横断するか
2つを分ける1つ目の軸は、AIが探しに行くデータがどこにあるかです。WorkspaceのGeminiが答えの材料にするのは、Gmail・ドライブ・Chatなど、ユーザーがWorkspaceの中で見られる内容が中心になります。Googleの公式説明でも、GeminiはWorkspaceでユーザーがアクセスできる関連コンテンツだけを取得する仕組みです。
Gemini Enterpriseがつなげるデータ
製品ページのFAQでは、Gemini Enterpriseはデータを元の場所に置いたまま、選んだデータソースを索引にして横断で探せると説明されています。同じFAQでは100以上の統合に対応するとしており、例としてMicrosoft 365(Outlook・Teams・OneDrive)、Slack、Confluence、Notion、Jira、Salesforce、HubSpot、ServiceNow、BigQueryなどが並んでいます。アクセスは各ユーザーの既存の権限に従うと説明されているので、見る権限のない人には見せない形で探すことが出来ます。
どのコネクタを使えるかには、エディションによる差があります。エディション比較の表では、データコネクタの全体にアクセスする項目にBusinessの印がなく、Businessは用途に合ったコネクタを選んで使う形になっています。つなぎたいデータソースが決まっているなら、申し込む前にBusinessで使えるかを確かめてみてください。
Workspace側も外のツールとつながり始めている
Workspace側でも、外のツールとつなぐ機能が増えています。Googleは2026年9月15日の発表で、Asana、Atlassian Rovo、HubSpot、Mailchimp、QuickBooks、Monday、SalesforceにWorkspaceのGeminiから接続できるようにしました。この接続は、Geminiを使える利用者には既定でオンになると案内されています。同じ月の17日には、Workspace Studioにもベータ版としてサードパーティ連携が加わり、Slack・Jira・Confluence・Salesforceなどとつなげられるようになりました。
Workspaceの外のデータを少し参照したいだけなら、これらの接続で足りる場合もあります。一方で、SharePointやOutlookにある文書を、Workspaceの文書と一緒に探したい場合は、Gemini Enterpriseのコネクタの出番になります。外のデータを「つなぐ」だけでなく「横断して探す」必要があるかが、追加契約を考える分かれ目です。
外のデータだけでなく、ChatGPTやClaudeも社員に使わせたいなら、使う環境を会社で1つにまとめる考え方もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
AIエージェントと業務自動化の範囲|Workspace StudioとGemini Enterprise
AIに作業を任せる仕組みは、WorkspaceとGemini Enterpriseの両方に用意されています。Googleの説明によると、Workspace StudioはWorkspaceで作業を自動化し、AIエージェントを設計・管理・共有するための場所で、BusinessとEnterpriseのすべてのプランで一般提供が始まりました。Workspaceの中で完結する作業の自動化なら、追加の契約なしにStudioから試すことが出来ます。
気をつけたいのは、Studioの使用量の上限です。Enterpriseエディションの比較表では、Studioは「プロモーション特典アクセス」とされ、上限の適用が2026年11月1日に始まると書かれています。いまは制限を気にせず使えていても、11月以降は上限を見ながら使う形に変わります。
Gemini Enterpriseのエージェント
Gemini Enterprise appでは、ノーコードのツール(エディション比較ではプレビューの扱い)でエージェントを作り、社内に公開できます。エージェントの流れを組み立てるWorkflow Builderは、リリースノートによると2026年9月3日に一般提供となりました。
StandardとPlusでは、Agent PlatformやAgent Development Kitで作ったエージェントを直接公開したり、外部で動かしているエージェントをA2Aという仕組みでつないだりする方法も案内されています。製品FAQでは、サードパーティのエージェントへのアクセスもStandardとPlusに含まれる内容として紹介されます。
部署ごとにエージェントを作りたいという声が出たときは、使うデータがWorkspaceの中だけならStudio、外のデータや他社製のエージェントまで使うならGemini Enterprise、と分けて考えると整理しやすくなります。最初から全社で契約するのではなく、エージェントを作る部署から試してみましょう。
管理・セキュリティ・ガバナンスの違い
管理の面では、Gemini EnterpriseのStandardとPlusが、より厳しいセキュリティやコンプライアンスの要件に向けたエディションとして用意されています。製品FAQによると、StandardとPlusには割り当ての増加、無制限のシート、サードパーティのエージェントへのアクセス、Gemini Code Assistが含まれるという説明です。Gemini Enterprise app全体としても、Gemini Notebook Enterprise(旧NotebookLM Enterprise)でのHIPAAへの対応やデータ所在地の要件があるチームに向くと書かれています。
データを置いておけるストレージとデータインデックスは、エディション比較のドキュメントでBusinessが25GiB、Standardが30GiB、Plusが75GiBと記載されており、どれも組織全体で分け合う量になります。製品ページでは、Geminiはセキュリティチームが承認した各ユーザーの既存の権限に基づいて動き、完全な監査証跡を残すと説明されます。
Workspace側の管理はエディションで変わる
Workspace側の管理は、エディションによってできることが変わります。管理コンソールから、Geminiアプリ(gemini.google.com)のオン・オフを組織部門やグループの単位で切り替えられます。一方で、ドキュメントやGmailなどのアプリごとにGeminiをオン・オフする設定はEnterpriseエディションだけのもので、Businessでは使えません。
「Gmailでは使わせるが、ドライブでは止めたい」といった細かな統制が要るなら、Gemini Enterpriseを足す前に、Workspace自体をEnterpriseエディションへ移すかを考える順番になります。
入力データがモデルの学習に使われない点は両方に共通
入力したデータがGoogleのモデルの学習に使われないとする点は、両方に共通しています。Gemini Enterpriseの製品FAQには、プロンプトや出力などのデータがGoogleや他のお客様のモデルのトレーニングに使われることはない、という記載があります。Workspace側も、お客様のデータがGeminiモデルのトレーニングや広告のターゲット設定に使われることはないと説明されています。どちらもGoogleが自ら示している内容で、第三者が検証した結果ではない点は押さえておきましょう。
気をつけたいのは、会社のライセンスがない個人のGoogleアカウントで使った場合です。Workspaceの管理者ヘルプでは、ライセンスのない状態で使うとチャットの内容が人間のレビュアーに確認され、サービスの改良に使われる場合があると案内されています。どちらの契約を選ぶにしても、社員が個人のアカウントに業務の情報を入れない形を先に整えることになります。会社から見えないAI利用の見つけ方はシャドーAI(野良AI)とはで紹介しています。
Workspaceを上げる費用と、Gemini Enterpriseを足す費用を人数別に並べる
1人あたりの年額で見ると、Workspaceのプランを1段上げる差額は9,600円か10,800円、Gemini Enterpriseを1席足す費用はBusinessで37,200円、Standardで52,800円になります。同じ「Geminiを強くする」でも、どちらを選ぶかで会社の出費は大きく変わってしまいます。
Gemini Enterpriseのエディションと料金(Business・Standard・Plus)
Gemini Enterpriseの米ドルの価格は、Business製品ページに「$21~(シートあたり月額)」と表示されています。日本円では、2026年9月15日時点のGoogle CloudのSKU一覧に、Businessが1か月契約で3,700円・1年契約で37,200円と表示されていました。同じ一覧で、Standardは1か月契約で5,100円・年契約の月あたり4,400円、Plusは8,800円と7,300円となっています。SKU一覧の円の価格には、税の扱いが書かれていません。
人数の上限は、Businessの製品FAQと製品ページが300名まで、エディション比較のドキュメントが1〜500人と、公式の中で記載が分かれています。StandardとPlusについては、製品FAQで無制限のシートと説明されます。Frontlineという現場スタッフ向けのエディションもあり、StandardかPlusのアドオンとして購入する形です。
人数別の年額
Workspaceのプランを上げた場合の差額と、Gemini Enterpriseを足した場合の年額を、人数ごとに並べると次のようになります。
| 人数 | Workspace Starter→Standard(年の差額) | Workspace Standard→Plus(年の差額) | Gemini Enterprise Business(1年契約) | Gemini Enterprise Standard(年契約) |
|---|---|---|---|---|
| 10名 | 96,000円 | 108,000円 | 372,000円 | 528,000円 |
| 30名 | 288,000円 | 324,000円 | 1,116,000円 | 1,584,000円 |
| 50名 | 480,000円 | 540,000円 | 1,860,000円 | 2,640,000円 |
| 100名 | 960,000円 | 1,080,000円 | 3,720,000円 | 5,280,000円 |
| 200名 | 1,920,000円 | 2,160,000円 | 7,440,000円 | 10,560,000円 |
※Workspaceの差額は、Google Workspace日本語料金ページの年間プランの月額(Business Starter 800円、Business Standard 1,600円、Business Plus 2,500円。1ユーザーあたり・税別・2026年10月15日確認)の差に、人数と12か月を掛けた値です。料金ページには、Starter・Standard・Plusは最大300人までと記載されています。Gemini Enterpriseは、Google Cloud SKU一覧の日本円表示(Business 1年37,200円、Standard 年契約の月あたり4,400円×12か月。2026年9月15日時点・税の記載なし)に人数を掛けた値です。実際の金額は見積もりでご確認ください。
50名の会社で見ると、全員をStarterからStandardへ上げる差額は年48万円で、全員にGemini Enterprise Businessを足すと年186万円となってしまいます。横断で探す必要があるのが営業と経理の10名だけなら、その10名分の年37万2,000円で済みます。全員に配るかどうかより先に、外のデータを本当に使う人数を数えてみてください。
判断表|Workspaceのみで足りるケースと、Gemini Enterpriseを検討するケース
どちらにするか迷ったら、次の5つの問いに上から順に答えてみてください。1つも「はい」がなければ、いまのWorkspaceのままで足りると考えてよいでしょう。
| 問い | 「いいえ」なら | 「はい」なら |
|---|---|---|
| 1. 社内の文書やデータが、Workspace(ドライブ・Gmail・カレンダー)の外にも多く置かれていますか | Workspaceのままで検討を続ける | 問い2へ進み、外のデータの使い方を確かめる |
| 2. SharePoint・OneDrive・Outlook、Jira・Confluence・ServiceNowなどを、AIから横断して探したい人がいますか | WorkspaceのGeminiの外部接続で足りるかを試す | その人数分だけGemini Enterpriseを検討する。つなぎたいデータソースがBusinessで使えるかも確認する |
| 3. 部署ごとにAIエージェントを作り、社内で共有したいですか | 追加は不要 | Workspaceの中のデータだけならWorkspace Studioで試す。外のデータや他社製のエージェントを使うならGemini Enterprise |
| 4. アプリごとのGeminiのオン・オフや、HIPAA・データ所在地などの要件がありますか | 追加は不要 | アプリごとの統制ならWorkspaceのEnterpriseエディション。Gemini Notebook Enterprise(旧NotebookLM Enterprise)のHIPAAやデータ所在地ならGemini Enterprise(Standard・Plusが対象か見積もり時に確認) |
| 5. Gemini Enterpriseを使う人数が300名を超えそうですか | Businessから始められる | StandardかPlusで考える(Businessの上限は公式内で300名と500人の記載がある) |
「はい」が問い1と問い2に集まる会社は、Gemini Enterpriseを足す理由がはっきりしています。問い3と問い4だけが「はい」なら、Workspace StudioやEnterpriseエディションへの切り替えで済むこともあります。問い5は、Business エディションで始めるか、Standard以上で始めるかを分けるための問いになります。
Workspaceのみで足りるケース
- 社内の文書・メール・予定がほぼWorkspaceの中にあり、AIに探させたい資料もそこにそろっている
- 不満の中身が、ドキュメントやスプレッドシートでGeminiが出ない、回数の上限に当たる、といったプランや上限の話にとどまっている
- 自動化したい作業が、Workspaceのアプリの中で完結している
Gemini Enterpriseを検討するケース
- Microsoft 365・Jira・Confluence・ServiceNowなどにある資料を、Workspaceの資料と一緒に横断して探したい部署がある
- Agent Platformや外部で作ったエージェントを、社員が使う画面に載せたい
- Gemini Notebook Enterprise(旧NotebookLM Enterprise)でHIPAAへの対応やデータ所在地の要件を満たす必要がある
足りないと感じたら、不足の種類から手段を選ぶ
「Geminiが足りない」という声の中身は、会社ごとに違います。中身によって効く手段が変わるので、声を聞いたらまず、どの種類の不足かを分けてみましょう。
| 足りないと感じる場面 | 効く手段 | 契約先 |
|---|---|---|
| ドキュメント・スプレッドシート・スライド・Meet・ChatにGeminiが出てこない | Business Standard以上へ上げる(Starterは対象外) | Google Workspace |
| Deep Researchの件数や、一度に読ませられる長さが足りない | Business Standard以上へ上げる(Starterは月5件・32,000、StandardとPlusは1日20件・100万) | Google Workspace |
| AI関数やスライドの生成などの月間上限によく当たる | 上限を引き上げるアドオンのAI Expanded Access | Google Workspace |
| アプリごとにGeminiをオン・オフしたい | Enterprise Standard・Enterprise Plusへ移す | Google Workspace |
| SharePoint・Jira・ServiceNowなど、Workspaceの外の資料も横断で探したい | Gemini Enterpriseを必要な人数分だけ足す | Google Cloud |
| 自社で開発したエージェントを社員の画面で使いたい | Gemini Enterprise Standard・Plus(開発基盤のAgent Platformは別購入・従量課金) | Google Cloud |
| ChatGPTやClaudeも社員に使わせたい | どちらを足しても解決しない | 別の手段を考える |
※AI Expanded Accessは、Business Standard・Business Plus・Enterprise Standard・Enterprise Plusが対象で、Business Starterは対象外です。料金は地域とサブスクリプションの期間で変わるとされ、公式ヘルプに金額の記載はありません。
表の上の4行は、Workspaceの契約の中で手当てすることが出来ます。Gemini Enterpriseが効くのは、外のデータを横断したいときと、自社のエージェントを載せたいときの2つです。この2つに当てはまらない不満なら、まずWorkspaceの側で手を打ちましょう。
どちらを足しても解決しない不足
ChatGPTやClaudeも社員に使わせたい、という不足は、WorkspaceをEnterpriseにしても、Gemini Enterpriseを足しても解決しません。どちらもGeminiを使うための契約で、ChatGPTやClaudeの契約の代わりにはならないためです。AIごとの得意分野と使い分けは主要4AIの違いと使い分け、複数のAIを会社で1つの環境にまとめる方法はマルチAIとはにまとめています。
まずWorkspaceでできる範囲を使い切ってから検討する順序
追加の契約を決める前に、いまのWorkspaceでGeminiがどれだけ使われているかを数字で確かめましょう。使われていないのに足りないと感じている場合、原因は契約ではなく、設定や使い方にあることも少なくありません。
管理コンソールで「足りない」を数字にする
Googleの管理者ヘルプでは、管理コンソールの[生成 AI]→[Gemini レポート]→[組織レベルの使用状況]で、組織全体の使われ方を確認できると案内されています。この画面には、過去28日間にAI機能の使用量上限に達したユーザーの数も表示されます。同じ[Gemini レポート]の[ユーザーレベルの使用状況]では、ユーザーごとに上限に達した日数とアクティブな日数を見ることが出来ます。
- 使っている人の割合組織レベルの使用状況で、アクティブなユーザーがどれくらいいるかを見ます。少ないなら、契約を足すより使い方を社内で共有するほうが先です。
- 上限に達した人の数と顔ぶれ過去28日間に上限に達した人が一部の社員に集中しているなら、その人だけAI Expanded Accessにする手があります。ヘルプでは、ユーザーレベルの使用状況の画面からアップグレードする操作も案内されています。
- 足りない理由がデータの場所かどうか上限ではなく、Workspaceの外にある資料を探せないことが不満の理由なら、ここで初めてGemini Enterpriseの検討に進みます。
ヘルプでは、レポートに最新のデータが出るまで2〜3日かかることがあるとされています。設定を変えた直後の数字で判断せず、数日おいてから見直してください。レポートの画面の見方はGoogle WorkspaceのGeminiの管理で紹介しています。
Gemini Enterpriseを追加するときに、契約前に決めておくこと
Gemini Enterpriseを足すと決めたら、申し込む前に次の点を社内で決めておきましょう。
- 誰に席を渡すかGemini Enterprise appはシート単位の課金です。外のデータを横断して探す必要がある部署と人数から先に決めます。
- どのデータソースをつなぐかBusinessはコネクタを選んで使う形のため、つなぎたいデータソースが使えるエディションかを確かめます。
- どのエディションで始めるかすでに別のGemini Enterpriseのプランがある組織ではBusinessを購入できません。人数が300名を超えそうならStandard以上も候補にします。
- ログインの仕組み(ID)をどうするかWorkspaceのデータにつなぐ場合はGoogleのID、SharePoint・OneDrive・Outlookにつなぐ場合はMicrosoft Entra IDとWorkforce Identityの連携が必要と案内されています。
- 管理者を誰にするか営業やパートナー経由の場合、管理者自身にもライセンスを1つ割り当て、business.gemini.googleにサインインして環境を初期化します。
- 試す期間をどう使うか製品FAQでは、Business・Standard・Plusとも30日間の無料トライアルが案内されています。試す部署と、確かめる項目を先に決めておきます。
- 開発基盤まで要るか自社でエージェントを開発するAgent Platformはappとは別の購入で、従量課金になります。必要になるまで契約しなくてかまいません。
Microsoft 365のデータもつなぐ予定がある会社は、ID連携の準備を情報システムの担当者と先に確認してみてください。エディションごとの細かな差や請求の方法は、Gemini Enterpriseのエディション別の料金で表にしています。
規模別の判断例|10名・50名・200名の会社の場合
ここまでの判断を、会社の規模ごとの例に当てはめてみます。以下は判断の流れを示すための例で、実在する会社の事例ではない点をご了承ください。
社員10名・Business Starter・資料はすべてGoogleドライブ
データがWorkspaceの中にそろっているので、Gemini Enterpriseを足す理由は見当たりません。ドキュメントやスプレッドシートでGeminiを使いたいという声があるなら、全員をStandardへ上げても差額は年9万6,000円です。まずはStandardで1〜2か月使い、使用状況レポートの数字を見てから次を考える流れになります。
社員50名・Business Standard・営業はSalesforce、管理部門はMicrosoft 365も使う
Workspaceの中の業務は、いまのStandardで足りている状態です。SalesforceやSharePointの資料を横断して探したいのが営業と管理部門の10名なら、その10名にだけGemini Enterprise Businessを足す形が考えられます。費用は1年契約で年37万2,000円となり、50名全員に足す年186万円と比べて大きく抑えることが出来ます。Salesforceを参照するだけで済むなら、WorkspaceのGeminiからの接続で足りるかを先に試してみてください。
社員200名・Business Plus・部署ごとにエージェントを作りたい
200名規模で、アプリごとのGeminiの統制や部署ごとのエージェントを求める声が出てくると、選択肢は2つに分かれます。使うデータがWorkspaceの中だけなら、Enterpriseエディションへの切り替えとWorkspace Studioで対応する道があります。外のデータまで使うエージェントを作る部署があるなら、その部署の30名にGemini Enterprise Standardを足すと、年契約で年158万4,000円という計算になります。全員に配るかどうかは、その30名の使い方を見てから決めても遅くないでしょう。
Geminiだけでなく、ChatGPTやClaudeも会社の管理下で
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約・1つの画面で使える法人向けサービスです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのオン・オフを管理でき、会話の途中でもモデルを切り替えられます。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Google Workspaceを契約していれば、Gemini Enterpriseも使えますか?
Gemini EnterpriseはWorkspaceがなくても契約できますか?
WorkspaceのGeminiとGemini Enterpriseで、入力したデータの扱いは違いますか?
Gemini Enterprise Businessは何人まで使えますか?
Workspace StudioがあればGemini Enterpriseのエージェントは要りませんか?
旧Gemini EnterpriseアドオンとGoogle CloudのGemini Enterpriseは同じものですか?
まとめ
Gemini EnterpriseとGoogle Workspaceは、上位版と下位版の関係ではなく、別の契約の別のサービスです。WorkspaceはBusinessとEnterpriseのエディションにGeminiが追加料金なしで入っていて、アプリの中でWorkspaceのデータを使います。Gemini Enterpriseは、Microsoft 365やJira、Salesforceなど外のデータまでつなぎ、横断で探したりエージェントを動かしたりするためのサービスになります。
費用は、Workspaceのプランを1段上げる差額が1人あたり年9,600円か10,800円、Gemini Enterpriseを足すと1人あたり年37,200円からとなり、差は小さくありません。まず管理コンソールの使用状況レポートで、使われ方と上限に達した人数を確かめましょう。そのうえで、外のデータを横断して探す必要がある人の分だけGemini Enterpriseを足すのが、無理のない順番です。
法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。法人向けの生成AIサービスを料金で比べたい場合は法人向け生成AIサービスの料金比較も参考になります。
