
Geminiの個人向けと法人向けの違いとは、契約するのが社員個人か会社かの違いであり、入力した内容の扱いと、会社が利用を管理できるかどうかが変わるという違いです。会社の業務で使うなら、社員の個人契約ではなく会社で契約する Google Workspace の Gemini を選ぶのが基本で、ドキュメントやスプレッドシートの中でも使うなら Business Standard 以上が目安になります。社員が個人の Google AI Pro などで仕事をしている会社では、まず誰が何に使っているかを棚卸しし、会社の環境へ移していく順番が現実的でしょう。個人向けを含む全プランの料金一覧はGeminiの有料版とは?無料版との違い・料金と会社での選び方にまとめてあります。
個人向けと法人向けの違いは、契約の主体で決まる
個人向けと法人向けの違いは、機能の多さより、契約の主体が誰かという点にあります。個人向けの Google AI Plus・Pro・Ultra は個人の Google アカウントで申し込むプランで、法人向けは会社が Google Workspace や Gemini Enterprise を契約し、管理者が社員にアカウントを配る形となります。同じ Gemini アプリを開いていても、どちらのアカウントで入っているかで、適用される規約と設定の持ち主が変わってきます。違いが出る点を先に並べておきましょう。
個人向けと法人向けで変わる5つの点
① 入力した内容の扱い(人間によるレビューと、モデルの改良への利用)
② 設定を決めるのが本人か管理者か
③ 会話の履歴を誰が残し、誰が消せるか
④ 生成物の知的財産に関する補償の定め
⑤ 契約者と支払いの主体
このうち①から③は、社員本人の注意だけでは埋められない差です。たとえば個人アカウントでは、会社がアクティビティの保存設定を確かめることも、退職した方のアカウントを止めることも、会話の履歴を回収することも出来ません。どれを選ぶかは、この5つを会社の側で持てるかどうかで考えると迷いにくくなります。
個人版のプラン名を整理|Google AI Plus・Pro・Ultra
個人向けの有料プランは、Google AI Plus・Google AI Pro・Google AI Ultra の3段階で、Ultra はさらに5xと20xの2種類に分かれています。2026年10月3日時点の Google の料金ページに表示されている月額は、Plus が725円、Pro が2,900円、Ultra 5x が14,500円、Ultra 20x が32,000円です。税込か税別かは料金ページに記載がないため、ここでは表示の金額をそのまま使っていきます。どのプランにも保存容量が付いており、Plus は400GB(または2TB)、Pro は5TB、Ultra は20TBまたは30TBとなります。
プランの差は、使えるモデルの種類より、使える量に出てきます。Gemini アプリのヘルプでは、Gemini 3 Flash や Gemini 3 Pro はプランなしを含むすべてのプランで使え、違いは使用量の上限だと案内されています。上限は AI プランなしと比べて Plus が2倍、Pro が4倍で、Ultra は料金ページの表示で Pro の5倍または20倍です。一度に読み込める量(コンテキスト ウィンドウ)も、プランなしの32,000トークンに対し、Plus は128,000トークン、Pro と Ultra は100万トークンまで広がります。100万トークンは、最大1,500ページのテキストに当たる量とヘルプでは説明されています。
会社として知っておきたいのは、これらがどれも個人の Google アカウントのためのプランだという点でしょう。Google AI Plus のヘルプには、個人の Google アカウントでログインする必要があると書かれており、料金ページにも、ビジネス アカウントや仕事用アカウントで使うなら Gemini Enterprise app を試すよう案内する一文があります。料金ページのよくある質問には、Google Workspace の利用者が Google AI のプランに申し込めるかという問いも置かれています。最大5人とプランを共有できる Family Sharing も家族と分け合うための仕組みで、社員に配るためのものではありません。社員が会社の経費で Google AI Pro を契約しても、契約者はその社員個人のままとなってしまいます。
学習利用の違い|個人版は設定次第、法人版はモデルの改良に使われない
入力した内容の扱いは、個人アカウントと仕事用アカウントで、公式のヘルプにはっきり違いが書かれています。Gemini アプリのヘルプにある比較表では、個人アカウントについて、チャットの内容は人間のレビュアーによってレビューされ、Google のプロダクト、サービス、機械学習技術の改良のために使用される場合がある、という記載です。一方、仕事用アカウントについては、チャットの内容やアップロード済みのファイルが、人間のレビュアーによってレビューされたり、生成 AI モデルの改良のために使用されたりすることはない、と明記されています。
個人アカウントでも、設定で扱いを変えることは出来ます。プライバシー ハブによれば、[アクティビティの保存] をオフにすると今後のチャットは AI モデルのトレーニングに使われなくなり、例外は本人が Google にフィードバックを送った場合です。ただしオフにしても、チャットは応答やフィードバックの処理、保護のために72時間はアカウントに保持されます。また、人間のレビュアーがすでに確認したチャットはアカウントから切り離されて最長3年保存され、アクティビティを削除しても消えないと案内されています。プライバシー ハブ自身が、レビュアーに見られたくない機密情報や、改良に使われたくない機密情報は入力しないよう呼びかけているほどです。
個人版の安全さは、社員一人ひとりが設定をオフにしているかどうかにかかってしまいます。会社からはその設定の状態が見えず、オフにしたつもりでも、フィードバックを送った会話は例外となります。法人向けでは、Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブが、お客様のコンテンツは人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもない、と定めています。Gemini とのやり取りが組織外に開示されることはない、という一文も同じページにあります。書かれているのは許可なくドメイン外で使わないという範囲の約束である点も、社内で説明するときに添えておきましょう。
Workspace各エディションのGemini機能差|Starter・Standard・Plus・Enterprise
Workspace の Business と Enterprise の各エディションには、2025年1月に Gemini の AI 機能が追加され、以前の Gemini Business などのアドオンはすでに購入できなくなりました。2026年10月3日時点の料金ページでは、年間プランのユーザー1人あたり月額が、Business Starter 800円、Business Standard 1,600円、Business Plus 2,500円(いずれも税別)と表示されています。Business の3プランは最大300人までで、Enterprise の各プランにはユーザー数の上限・下限がありません。
- Business Starter(年間プランで月800円・税別)Gmail の Gemini、Google Vids の Gemini、Gemini アプリの基本的なアクセス、Gem の作成、Gemini Notebook の基本的なアクセスが含まれます。ドキュメント・スプレッドシート・スライド・ドライブ・Meet・Chat の中の Gemini は使えません。
- Business Standard(年間プランで月1,600円・税別)Starter の機能に加え、ドキュメント・スプレッドシート・スライド・ドライブ・Meet・Chat の中で Gemini が使えます。Gemini アプリと Gemini Notebook はより広いアクセスとなり、複雑なタスクに対応する高性能なモデルや校正機能も対象です。
- Business Plus(年間プランで月2,500円・税別)Gemini の機能は Standard と同じ段階で、使用量上限の表でも Standard と同じ列にまとめられています。
- Enterprise Standard・PlusWorkspace の各サービスで Gemini 機能へのアクセスを管理する設定は、Enterprise エディションだけが対象です。
差がはっきり出るのは、Starter と Standard の間です。Starter で使えるのは Gmail と Google Vids の Gemini、Gemini アプリの基本的なアクセスなどで、ドキュメントやスプレッドシートの中の Gemini はサポートされていません。複雑なタスクに対応する高性能なモデルや、校正機能で文体をチェックする機能も、Starter は対象外となります。Standard 以上になるとこれらのアプリ内で Gemini が使え、Gemini アプリや Gemini Notebook もより広いアクセスに変わります。Gem の作成は、Starter を含む全プランで出来ます。
1人あたりの使用量にも段階があります。Workspace の使用量上限の表では、Nano Banana Pro による画像生成が Starter で月5個、Standard と Plus で月30個、Vids の動画生成が月20本と月50本などと並んでいます。スプレッドシートの AI 関数は、Starter では使えず、Standard・Plus で月5,000個が上限です。上限はユーザーごとに適用され、ほかの人と共有したり翌月へ繰り越したりは出来ません。
足りない方には、AI Expanded Access というアドオンで上限を引き上げる道も用意されています。対象は Business Standard・Business Plus・Enterprise Standard・Enterprise Plus で、Business Starter は対象外です。料金は地域の通貨と契約期間で変わるとされ、公式ヘルプに金額は書かれていません。同じ表では、AI Expanded Access を付けると画像生成が月300個、スプレッドシートの AI 関数が月25,000個まで広がります。社員がドキュメントやスプレッドシートの中で Gemini を使っているなら、Standard 以上が出発点です。
著作権・知的財産の補償の有無|定めがあるのは法人向けの規約
生成物が他人の権利を侵害していると訴えられたときの補償は、法人向けの規約の側に定めがあります。Google Workspace のサービス固有の利用規約(第12項)では、生成 AI 補償サービスから出た未修正の生成物が第三者の知的財産権を侵害するという申し立てにも、Google の補償義務が及ぶと定めています。Google Cloud の補償対象サービス一覧には、Gemini in Workspace、Google Vids、Gemini Enterprise、NotebookLM Enterprise などが並んでいます。ただし、仕事用アカウントで使う Gemini アプリそのものが一覧の対象に含まれるかは、一覧の文言からは読み切れない状態です。
補償にも除外があります。侵害の可能性を知っていた、または知るべきだった場合、出典の引用やフィルタを無視・無効化した場合、権利者から侵害の通知を受けた後に使った場合などは対象外です。取引や商業での使用による商標関連の申し立ても、除外に挙がっています。同じ規約は、生成物はお客様データだとしたうえで Google は新しく作られた知的財産の所有権を主張しないとし、複数の顧客に同じか似た生成物を出す可能性も認める内容です。
個人アカウントに適用される Google 利用規約にも、Google がユーザーの作ったコンテンツの所有権を主張しないという一文は置かれています。一方で同じ規約は、消費者ではない個人や法人をビジネス ユーザーと呼び、ビジネス ユーザーがサービスの不正利用や規約違反に起因する第三者の法的手続きについて Google を補償する、という向きの定めです。業務で個人アカウントを使う社員は、この定義ではビジネス ユーザーの側に入ると読むのが自然でしょう。画像生成についても、2025年9月の Gemini の公式 note では、広告利用を含む商業利用で Nano Banana を使う場合は Google Workspace with Gemini か Vertex AI を使うよう注記しています。社外に出す資料や広告に生成物を使うなら、個人アカウントではなく、補償対象として一覧に載るサービスで作るのが筋となります。
管理コンソールによる統制|個人契約だと会社が把握も停止も出来ない
法人向けを選ぶ大きな理由は、設定の持ち主が社員から管理者へ移ることにあります。仕事用アカウントの Gemini アプリでは、[アクティビティの保存] は既定でオンになっており、オフにできるのは Workspace 管理者だけとなります。会話の履歴は既定で18か月保存され、管理者は3か月・18か月・36か月で自動削除する設定や、履歴を完全にオフにする設定を選べます。仕事用アカウントの利用者は、チャットを削除したり、公開リンクを作ったりすることも出来ません。管理者が履歴を残す設定にしている間は、社員が手元で会話を消せず、会社の決めた期間だけ記録が残る形になります。
保持の管理も会社の側にあります。Workspace のプライバシー ハブによれば、Gemini in Workspace のプロンプトと回答は90日から無期限、Gemini アプリは最大36か月の範囲で管理者が保持期間を決め、Vault で管理できます。ユーザーのプロンプトは、Cloud のデータ処理に関する追加条項(CDPA)上の顧客データとして扱われます。また管理者は、Gemini アプリ(gemini.google.com)へのアクセスを有効・無効に切り替えたり、Gemini Notebook を追加サービスとしてオン・オフしたりすることが出来ます。
個人契約では、これらのどれも会社の手元にありません。契約者は社員本人で、設定を変えるのも、履歴を残すか消すかを決めるのも本人です。会社が把握していない AI の利用は野良AI(シャドーAI)と呼ばれ、Gemini の個人契約もこれに当たります。退職や異動の際も、会社には個人アカウントを止める手段がなく、会話の履歴は本人のアカウントに残り続けてしまいます。会社が設定を決められず、止めることも出来ないまま、業務の情報だけが個人のアカウントに積み上がっていくわけです。
社員が個人で契約しているのは、たいてい会社の環境では足りない何かがあるからでしょう。禁止の通知を出す前に、同じことが出来る環境を会社の側で用意できているかを見直してみてください。
社員ごとの個人契約をやめ、使う AI の環境を会社で1つにそろえると、配布も停止も管理者の手に戻ります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
Gemini API(従量課金)と法人SaaS(定額)の使い分け
Gemini API は、自社のシステムや業務ツールに Gemini を組み込むための開発者向けの入口で、社員が画面で使う Workspace の Gemini とは別のものです。API の料金ページは無料枠と有料枠に分かれており、無料枠ではコンテンツがプロダクトの改善に使われ、有料枠では使われないと書かれています。試しに無料枠の API キーで業務データを流すと、そのデータは改善に使われる側に入ってしまいます。一方の Workspace は、ユーザー1人あたりの月額で、使う量ではなく人数で費用が決まる形となります。
どちらを選ぶかは、使う人と使い方で分けると迷いません。社員が文章作成や要約、調べものに使うなら Workspace、自社のシステムから決まった処理を繰り返し回すなら API、という分け方が基本です。API は使った分に応じた課金となるため、処理の量が読めないうちは、上限の設定と請求の確認の担当を最初に決めておきましょう。Gemini を使う場面が社員の日々の仕事であれば、まず Workspace 側を整えるほうが順序として自然でしょう。
Gemini Enterprise appとGemini Notebook(旧NotebookLM)の位置づけ
Workspace の Gemini で足りない場合に検討するのが、Gemini Enterprise です。Google AI プランの料金ページも、ビジネス アカウントや仕事用アカウントで使う AI ソリューションとして Gemini Enterprise app を案内しています。Workspace の管理者向けヘルプには、Gemini Enterprise の Business エディションを追加して設定する手順の項目があります。Google Cloud の価格表(2026年9月15日確認)では、Business エディションが1か月契約で月3,700円と表示され、税の扱いは記載がありません。Standard・Plus を含む料金と Workspace との違いは、Gemini Enterpriseの料金|Workspaceとの違いと人数別総額で人数別に試算しています。
Gemini Notebook(旧称 NotebookLM)も Workspace の Gemini の一部として提供され、Starter は基本的なアクセス、Standard 以上はより広いアクセスとなります。音声解説は Starter が1日3件まで、Standard 以上が1日20件までと差があります。管理者は Gemini Notebook を追加サービスとしてオン・オフできるため、使わせるかどうかも会社で決められます。Workspace の上位には Google AI Ultra for Business というアドオンもあり、管理者が有効にする必要があると案内されています。順番としては、Workspace の Standard で足りるかを確かめてから、上位の拡張を検討するのが無理のない進め方です。
人数別の差額ミニ試算|全員がGoogle AI Proの場合とBusiness Standard
社員が個人で Google AI Pro を契約して会社が立替精算している場合と、会社で Business Standard を契約した場合を比べると、人数が増えるほど差が広がります。計算には2026年10月3日時点の公式ページの表示額を使い、Google AI Pro は月額2,900円、Business Standard は年間プランの月額1,600円で比べています。
- 10人の場合Google AI Pro は月29,000円・年348,000円、Business Standard は月16,000円・年192,000円で、差は月13,000円・年156,000円です。
- 30人の場合Google AI Pro は月87,000円・年1,044,000円、Business Standard は月48,000円・年576,000円で、差は月39,000円・年468,000円です。
- 100人の場合Google AI Pro は月290,000円・年3,480,000円、Business Standard は月160,000円・年1,920,000円で、差は月130,000円・年1,560,000円です。
※料金は2026年10月3日時点で各社の公式ページに表示されている金額です。Google AI プランの料金ページには税込・税別の記載がないため、税を加えていません。Google Workspace は税別・年間プランの月額で、期間限定の割引は含めていません。税の扱いが異なるため、差額は目安としてご覧ください。
100人の会社なら、全員の個人契約を続けると、表示額で単純に計算して年1,560,000円の上乗せとなってしまいます。しかも Business Standard の料金には、Gmail やドライブなど Workspace 本体の利用料も含まれています。すでに Business Standard 以上を契約している会社であれば、Gemini の基本機能のために追加で払う額はなく、個人契約の分はそのまま減らせる計算です。Business Starter から Standard に上げる場合は1人あたり月800円の差で、30人なら月24,000円、年288,000円の追加になります。どちらの計算にも、個人契約の管理や精算の手間が消える分は入れていません。
会社の状況別の判断表|Workspaceを契約済みかどうかで分かれる
どれを選ぶかは、すでに Google Workspace を契約しているかどうかで、最初の一手が変わります。自社の状況に近いものを探してみてください。
Workspaceを契約済みの会社
- Business Standard・Plus・Enterprise を契約しているGemini アプリと各アプリ内の Gemini は、すでに料金に含まれています。新しい契約より先に、Gemini アプリの有効・無効と、会話履歴の保持期間を管理者が決めましょう。
- Business Starter を契約しているGmail と Gemini アプリは使えますが、ドキュメントやスプレッドシートの中では使えません。そこを補うために個人の Google AI Pro を使う社員がいるなら、Standard への切り替えを試算してみましょう。
- 画像や動画の生成を多く使う部署がある上限を引き上げる AI Expanded Access の対象は Standard 以上です。ライセンス単位で割り当てるため、必要な方に絞って検討できます。
Workspaceを契約していない会社
- メールや文書を別のサービスで管理しているGemini のためだけに Workspace へ移るかどうかは、メールやファイルの移行も含めた判断になります。社員が使う AI をまとめる別の選択肢とも並べて比べましょう。
- まず数名で試したい料金はユーザー1人あたりの月額のため、費用は試す人数に応じた額になります。ドキュメントやスプレッドシートで試すなら Standard を選びます。
- 社員が個人契約で使っているだけ先に棚卸しで誰が何に使っているかを把握し、その結果を見て会社の環境を選びます。
どの状況に当てはまっても、個人契約をそのまま業務に使い続ける道は残さないのが前提となります。
小さく始める|Business Standardから1部門で試す
会社として初めて Gemini を入れるなら、Business Standard を1つの部門で試し、使い方とルールが固まってから広げると無理なく進みます。Standard を出発点にするのは、ドキュメントやスプレッドシート、Meet の中で Gemini が使え、日々の仕事の中で効果を確かめやすいためです。Workspace の請求はすべてのプランで月単位ですが、ここで使った月1,600円は1年契約の年間プランの月額になります。短い期間で試すなら、契約期間とその料金を申し込みの際に確かめておきましょう。試す部門には、文書作成や会議が多く、すでに個人契約で使っている方がいる部署を選ぶと、比べる材料が集まりやすいでしょう。期間は1〜3か月を目安に、使った場面と困った場面を記録してもらいましょう。
少人数の会社でも法人契約できるか
Business の各プランは最大300人までと上限が示されている一方、料金ページに下限の人数は書かれていません。Enterprise の各プランには、ユーザー数の上限も下限もないと明記されています。料金がユーザー1人あたりの月額なので、少人数なら費用もその人数分です。たとえば5人で Business Standard を使うと、年間プランで月8,000円となります。同じ5人が Google AI Pro を個人で契約すると、月14,500円です。少人数だから個人契約で済ませる、と決める前に、この金額と管理の差を比べてみてください。
契約主体が法人であること|請求・支払いと代理店経由の確認点
法人向けを選ぶ意味は、契約の当事者が会社になることにもあります。Google 利用規約では、組織の代理でサービスを使う場合、その組織の正式な権限を持つ代表者が規約に同意する必要があると定めています。追加のルールを求めたり、アカウントにアクセスしたり無効にしたりできることも、同じ規約に書かれた管理者の権限です。
支払いの面でも、個人契約は社員本人の支払いとなり、会社は立替精算で後から把握する形になってしまいます。Workspace では会社が契約者となり、請求はすべてのプランで月単位と案内されています。支払い方法や販売代理店を通した購入の扱いは、申し込む前に申し込み先へ確認しましょう。稟議の書面には、契約者・支払い方法・請求の単位の3点を必ず書き入れてください。
無料版・個人版を業務で使うのは非推奨|入力してよい情報の区分表
無料版や個人版の Gemini に、業務の情報を入れるのはおすすめしません。個人アカウントでは人間のレビュアーが会話の一部を確認することがあり、プライバシー ハブ自身が機密情報を入力しないよう求めているためです。加えて、設定の確認にも退職時の停止にも、会社からは手が届きません。とはいえ全面的に禁じると、目の届かないところで使われやすくなるため、情報の種類ごとに使ってよい環境を決めておきましょう。
- 公開済みの情報(自社サイトやプレスリリースに載せた内容、公開されている法令や統計)個人版・法人版のどちらに入力しても情報の面での問題は小さい区分です。ただし業務の成果物を作るなら、ドキュメントやスライドの中の Gemini など、補償対象として一覧に載るサービスで作ります。
- 社内の一般情報(社内向けの手順書、会議の議題、個人を特定できない形にした数値)法人版だけで扱います。個人版には入力しません。
- 取引先・顧客の情報(見積もり、契約書、顧客名の入った資料)法人版で、社内ルールで認めた業務に限って扱います。個人版には入力しません。
- 個人情報・機密情報(従業員や顧客の個人情報、未公開の財務情報、パスワードなどの認証情報)原則としてどの環境にも入力しません。業務上どうしても必要な場合は、責任者の承認を取ってから法人版で扱います。
※区分と扱いは、社内規程のひな形としての一例です。自社の就業規則や情報管理規程に合わせて調整してください。
稟議・社内ガイドラインに入れる線引き
この区分表は、そのまま社内ガイドラインの別表として使えます。ガイドライン全体の作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方で、点検の項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストで整理しています。稟議には、費用・リスク・移行日の3点を1枚にまとめた書面を添えると、判断する側も読みやすいでしょう。記入例を入れたひな形を置いておきます。
【稟議書】生成AI(Gemini)の会社契約への切り替え 起案日:〇年〇月〇日 起案者:総務部 〇〇 1.目的 社員が個人で契約している生成AIの業務利用を、会社が契約・管理する環境へ移す。 2.現状(棚卸しアンケートの結果) ・回答〇名のうち、業務で生成AIを使っている:〇名 ・個人の Google AI Plus/Pro/Ultra を契約している:〇名(うち立替精算あり〇名) ・取引先・顧客の情報を個人契約に入力したことがある:〇名 3.提案内容 ・Google Workspace Business Standard(年間プラン・1人月1,600円・税別)を〇名分 ・〇月〇日から、業務での生成AIの利用は会社のアカウントに限る ・入力してよい情報の区分表を社内ガイドラインの別表として定める 4.費用 ・年額:1,600円 × 〇名 × 12か月 = 〇円(税別) ・現在の立替精算額(年額換算):〇円 ・差額:〇円 5.リスクと対策 ・個人契約が残る:退職・異動時のチェックリストに確認項目を追加する ・入力済みの情報:申告窓口を設け、内容に応じて取引先への説明を検討する 6.移行日程 ・〇月〇日:社内通知 ・〇月〇日:アカウント配布 ・〇月〇日:個人契約の業務利用終了
社員の個人契約を法人へ移す|棚卸しアンケートと社内通知文のひな形
移行は、責めずに聞く棚卸しから始めるのが近道です。処分のための調査だと受け取られると、正直な回答は集まりません。回答の内容で個人を処分しないことを、アンケートの冒頭に書いておきましょう。
棚卸しアンケートのひな形
【生成AIの利用状況アンケート】 (無記名でも回答できます。回答の内容を理由に処分することはありません) Q1.仕事で生成AIを使っていますか。 □毎日 □週に数回 □月に数回 □使っていない Q2.使っているサービスとプランを選んでください(複数可)。 □Gemini(無料) □Google AI Plus □Google AI Pro □Google AI Ultra □会社の Google Workspace アカウントで使う Gemini □ChatGPT □Claude □Perplexity □その他( ) Q3.有料プランの支払いはどれですか。 □自分で払っている(立替精算なし) □自分で払い、会社に立替精算している □会社が払っている □無料で使っている Q4.どの Google アカウントでログインしていますか。 □個人の Gmail アカウント □会社のアカウント □分からない Q5.これまでに入力したことがある情報を選んでください(複数可)。 □公開済みの情報 □社内の手順書や議事録 □取引先・顧客の情報 □個人情報 □業務の情報は入力していない Q6.[アクティビティの保存] の設定を確かめたことがありますか。 □オフにしている □オンのまま □確かめたことがない Q7.会社の環境ではなく個人で使っている理由を教えてください(複数可)。 □会社の環境がない □会社の環境では機能が足りない □申請しても承認が遅い □費用を出してもらえない □個人のほうが使い慣れている □その他( ) Q8.会社の環境に移すとしたら、困ることはありますか(自由記述)。
Q5で取引先・顧客の情報や個人情報を入れたと答えた方には、入力した内容と時期を個別に聞き取ってください。内容によっては、取引先への説明が必要かどうかを責任者と相談することになります。
社内通知文のひな形(メール用・社内チャット用)
棚卸しが終わったら、切り替えのお願いを出します。メール用は経緯と期限をていねいに、社内チャット用は要点だけを短くまとめています。
件名:生成AI(Gemini等)の会社アカウントへの切り替えのお願い 各位 日頃より業務の効率化にご協力いただき、ありがとうございます。 先日のアンケートで、多くの方が個人で契約した生成AIを業務に役立てていることが分かりました。 業務で生成AIを使っていただくこと自体は、会社として歓迎しています。 一方で、個人の Google アカウントで使う Gemini は、入力内容の扱いを会社が設定できず、 退職や異動の際に会話の履歴を会社で管理することもできません。 そこで、業務での利用を会社が契約する環境へ切り替えることにしました。 1.切り替え日:〇月〇日(〇)から、業務での生成AIの利用は会社のアカウントに限ります 2.アカウントの配布:〇月〇日までに、情報システム担当から順にお知らせします 3.個人契約の費用:〇月分までの立替精算は、これまでどおり受け付けます 4.入力済みの情報:取引先・顧客の情報や個人情報を個人契約に入力したことがある方は、 〇月〇日までに〇〇(担当)へお知らせください。責任を問うためのものではありません 5.入力してよい情報:添付の「生成AI利用ルール」の区分表をご確認ください ご不明な点は、〇〇(内線〇〇)までお寄せください。
【お願い】生成AIの会社アカウントへの切り替え ・〇月〇日から、業務で使う生成AIは会社のアカウントに限ります ・会社のアカウントは〇月〇日までに配布します ・個人契約の立替精算は〇月分まで受け付けます ・取引先や顧客の情報を個人契約に入れたことがある方は、〇〇まで一言ください(責めることはありません) ・詳しくはメール「生成AIの会社アカウントへの切り替えのお願い」をご覧ください
社員が個人契約を選ぶ理由別の対処表
アンケートのQ7の答えごとに、会社の側で打てる手を並べました。
- 会社の環境がない会社で使える環境を用意し、配布の日程を先に知らせます。環境が整うまでの間は、入力してよい情報を区分表で示しておきます。
- 会社の環境では機能が足りないStarter でドキュメントやスプレッドシートの Gemini が使えないなら Standard を、上限に当たるなら AI Expanded Access を検討します。Gemini 以外の AI を求める声であれば、複数の AI を扱える環境も候補に入ります。
- 申請しても承認が遅い申請から配布までの期限を決め、試す部門には先にアカウントを配ります。
- 費用を出してもらえない人数別の差額を示し、会社負担にした場合の総額と、立替精算の手間を並べて判断します。
- 個人のほうが使い慣れている同じ Gemini アプリを仕事用アカウントでも使えることを伝えます。よく使う Gem や指示文があれば、仕事用アカウントで同じものを用意する手伝いをします。
退職・異動時のチェックリスト
- 仕事用アカウントの停止、または異動先に合わせた権限の付け替え管理者の側で手続きを行います。会話の履歴は、管理者が決めた保持期間の設定に沿って残ります。
- 業務で使っていた個人契約が残っていないか棚卸しアンケートの回答と照らし合わせ、本人に確認します。
- 個人アカウントに入れた業務情報の申告会社からは個人アカウントの中を見られないため、本人の申告が頼りです。取引先・顧客の情報を入れたことがあれば記録します。
- 引き継ぎ資料の置き場所AI で作った下書きや Gem の指示文のうち、業務で使うものを会社の共有ドライブへ移したかを確認します。
- 立替精算の終了個人契約の費用を会社が負担していた場合は、精算を打ち切る月を決めます。
この5項目を人事の退職・異動の手続きに組み込んでおけば、個人アカウントに残る業務情報を減らしていけます。
会社で安全に使うには|学習させない設定・ログ・配布をそろえる
会社で安全に使うための条件は、入力内容をモデルの改良に使わせない設定、誰がいつ使ったかのログ、社員への配布と停止の3つを、会社の側で持つことです。Gemini だけで考えるなら、Workspace の対象エディションで仕事用アカウントを配れば、この3つの多くを管理者が持てるようになります。ただ、社員が使う AI は Gemini だけとは限りません。ChatGPT や Claude、Perplexity を個人で契約している方がいれば、Gemini だけを整えても、見えない利用は別の場所に残ってしまいます。
大事なのは、どの AI にも同じ線引きを当て、会社が認めた環境を1つ決めておくことです。AI ごとに契約を分けると、学習の設定やアカウントの停止をサービスの数だけ繰り返すことになり、どこかで漏れが出やすくなります。複数の AI を1つの契約と管理画面で扱う考え方はマルチAIとはで、AI ごとの得意分野は主要4AIの違いと使い分けで紹介しています。棚卸しの結果を見て、Gemini を中心に置くのか、複数の AI を1つの環境でそろえるのかを決めましょう。
使う AI を、会社が管理できる1つの環境に
UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約・1つの画面で使える法人向けサービスです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFをまとめて扱え、基盤はAWSの日本リージョンで稼働しています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
社員が個人で契約したGoogle AI Proを、会社が費用を出せば業務に使ってよいですか?
Google WorkspaceのアカウントでGoogle AI Proに申し込めますか?
Business StarterでもGeminiは使えますか?
仕事用アカウントのGeminiでは、入力した内容は学習に使われませんか?
仕事用アカウントでは、社員が自分で会話を消せますか?
Gemini APIの無料枠を業務に使っても大丈夫ですか?
まとめ
Geminiの個人向けと法人向けの違いは、契約するのが社員個人か会社かという点にあり、入力内容の扱い・設定の持ち主・会話履歴の管理が変わります。社員が個人の Google AI Pro などで仕事をしているなら、まず棚卸しで実態をつかみ、区分表と通知文を使って会社の環境へ移していきましょう。ドキュメントやスプレッドシートの中でも使うなら Business Standard 以上が目安で、表示額で計算すると、100人の会社では全員の個人契約より年1,560,000円少ない計算です。画像生成や上限に不満が出たら AI Expanded Access や Gemini Enterprise を、Gemini 以外の AI も使われているなら複数の AI を1つの環境でそろえる形を検討してください。法人のAI活用に関するほかの記事はAI活用コラム一覧にまとめています。
