会計事務所のAI研修で教えること。職員向けの時間割と費用の考え方

会計事務所のAI研修とは、職員が顧問先の情報を守りながら、担当する業務で生成AIを使えるようにするための所内研修です。教える中身は、入力してよい情報の線引き、担当業務での指示の出し方、AIの答えの確かめ方の3つで、確定申告期を外した時期に90分×4回ほどで組むと無理なく進められます。その前提として、職員が使うAIを事務所の契約で1つ用意しておくことが欠かせません。研修の種類や一般的な費用相場といった全体像は、生成AI研修の選び方と費用の全体像にまとめています。

会計事務所のAI研修で教える3つのこと

会計事務所の職員に教える中身は、入力の線引き、担当業務での使い方、答えの確かめ方の3つに絞るのが近道になります。一般企業の研修と違うのは、職員一人ひとりが顧問先の決算数値や個人の所得といった、外に出せない情報を毎日扱っている点です。さらに税理士法は、税理士本人だけでなく職員にも秘密を守る義務を課しており、所長には職員を監督する義務もあります。使い方の講座を先に行い、ルールを後から配る順番にすると、研修で覚えた使い方をルールより先に試す職員が出てしまいます。

職員の側の困りごとも、この3つにそのまま重なります。株式会社ミロク情報サービスの「会計事務所白書 生成AIに関する実態調査 第2弾」(2024年11月15日〜12月1日・インターネット調査・会計事務所の職員を含む210名と、企業のバックオフィス担当や事業主949名の計1,159名)では、会計事務所の回答者が困っていることとして、どのような生成AIを使えばよいかわからない50%、業務でどう活用できるか不明48%、ルール未整備32%が挙がりました。同じ調査で、会計事務所が取り組むべき課題に従業員のスキルアップと教育を選んだ割合は42%です。

※いずれも複数選択の設問で、合計は100%を超えます。

使うAIが決まっていない、使いどころが分からない、ルールがないという3つの困りごとは、研修の3つの中身とそのまま対応しています。使うAIとルールを決めずに使い方だけ教えると、職員は自分のアカウントで試すことになります。研修の設計は、道具とルールを先に決めるところから始めましょう。

守秘義務を研修の必修項目にする|税理士法54条と41条の2

守秘義務は、研修の初回に全員へ、条文の言葉のまま伝えるのが確実です。税理士法第54条は、税理士事務所の「使用人その他の従業者」について、「正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない」と定めています。事務所を辞めた後も同じ義務が続くと書かれている点も、職員に伝えておきたいところです。税理士本人の守秘義務を定めた第38条と並べて見せると、自分にも関係する話だと受け止めてもらいやすくなります。

所長の側には、第41条の2で職員を監督する義務が課されています。条文は「税理士は、税理士業務を行うため使用人その他の従業者を使用するときは、税理士業務の適正な遂行に欠けるところのないよう当該使用人その他の従業者を監督しなければならない」という書き方です。条文には生成AIという言葉は出てこず、条文だけでは、AIへの入力が違反にあたるかどうかは決まりません。どこまで入力してよいかを事務所として決め、職員に伝えたことを記録に残す意味が出てきます。

研修の記録と誓約書を残す

研修の実施記録には、日付・受講者・扱った内容・配った資料の版を残してください。受講後に、事務所のルールを守る旨の誓約書へ署名してもらう形にすると、監督を実際に行っていたことを後から説明しやすくなります。日本税理士会連合会は、第41条の2の監督義務を適切に果たすための「税理士事務所等の内部規律及び内部管理体制に関する指針」を策定しており、令和5年3月に改訂しました。附録のモデル様式集には、「使用人等雇用時の誓約書モデル」や「税理士事務所における情報管理チェックリストモデル」といった様式の名前が並んでいます。

指針の本文は会員向けのため、誓約書を作るときは所属する税理士会の資料もあわせて確かめてみてください。守秘義務と生成AIの関係の全体は、税理士の守秘義務と生成AIで詳しく扱っています。

職員に配る「入力してよい・いけない」の一枚紙

研修の初回では、入力してよい情報といけない情報を1枚にまとめた紙を配り、その場で読み合わせるのが効果的です。次のひな形は事務所で契約したAIを使う前提で作っていますので、自所の運用に合わせて書き換えてお使いください。

  • マイナンバー(個人番号)は入力しない番号そのものは打ち込みません。書類の画像を読み込ませるときも、番号の部分を隠してから使います。
  • 顧問先名・個人名・住所・口座番号は仮名に置き換えるA社、代表者Bのように置き換えてから入力します。置き換えの対応表はAIに入れず、手元で管理します。
  • 決算数値や試算表は、顧問先名を外したうえで事務所のAIにだけ入れる数字だけでも会社が分かる場合があるため、業種や地域など特定につながる情報も一緒に外します。
  • 個人のアカウントや無料版のAIには、顧問先に関わる情報を一切入れない学習に使うかどうかの設定が本人任せで、事務所からは入力した内容を確かめられないためです。
  • 入力してよいのは、公開情報と事務所内の一般的な文書法令・通達・国税庁の案内などの公開情報、顧問先の情報を含まない手順書や文例が対象です。
  • AIの答えは、そのまま顧問先に出さない数字は元の資料と突き合わせ、条文や通達に触れた部分は原文に当たってから使います。
  • 迷ったら、入力する前に所長か事務長に聞く聞かれた内容は一枚紙の次の版に反映し、全員に配り直します。

紙は1枚に収め、机の見える場所に置いてもらう運用が向いています。事務所全体のルール文書の作り方は、生成AIの社内ガイドラインの作り方を参考にしてみてください。

研修の前に用意しておく環境

研修を始める前に、職員が業務で使うAIを事務所の契約で用意し、学習に使わせない設定と利用の記録が取れる状態にしておきましょう。外部のセミナーの中には、普段使っている無料版のAIで参加できると案内するものもあり、そのまま職員が個人のアカウントで業務に使い始める経路ができてしまいます。個人のアカウントでは学習に使うかどうかが本人任せになり、事務所からは何を入力したかも見えません。事務所が把握していないこうした利用は、野良AI(シャドーAI)と呼ばれます。

研修の前にそろえておく3つのもの

  • 事務所で契約したアカウント(職員の個人アカウントではなく、事務所が発行と停止を管理できるもの)
  • 入力を学習に使わせない設定(全員に一律で適用されているかを、管理する側で確かめられること)
  • 利用の記録(誰がいつ使ったかを、後から確かめられること)

3つがそろっていれば、研修の場で「このAIだけを使ってください」と言い切ることができます。

ChatGPT・Claude・Gemini・Copilotは法人向けの入口で選ぶ

主なAIには、それぞれ個人向けと法人向けの入口があり、研修で使わせるのは法人向けの側になります。ChatGPTは法人向けのBusinessプランの料金ページに、「デフォルトではビジネスデータを学習に使用しません」と書かれています。Claudeの料金ページでは、法人向けのTeamプランでモデルのトレーニングが「デフォルトではなし」、個人向けのProなどは「オプトアウト」と表示されます。GoogleはGoogle Workspaceで使うGeminiについて、「お客様のコンテンツは、人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません」と案内しています。Microsoftの説明では、職場のアカウントでサインインしたCopilotのプロンプトと応答はエンタープライズ データ保護の対象となり、基礎となるLLMのトレーニングには使われません。

同じ名前のAIでも、個人向けの無料版や個人プランとは扱いが分かれるため、研修の資料には職員が開くべきURLやアプリを具体的に書いておいてください。

※各社の記載は、2026年9月に各社の公式の料金ページ・説明ページで確認した内容です。プラン名や内容は変わることがあるため、契約前に公式ページでご確認ください。

税理士向けの専用ツールも含めた比べ方は、税理士向けAIツールの比較にまとめています。研修で使い方を覚えても、事務所に使う場所がなければ、職員は結局手元の個人アカウントに戻ってしまいます。

研修の前に、職員が使うAIを事務所で1つに決めておく

研修で覚えた使い方を、顧問先の情報を守れる環境でそのまま続けてもらうために。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

所内研修の時間割|90分×4回を繁忙期の外に置く

所内研修は、90分を2〜3週間おきに4回、合計6時間ほどで組むと、業務の手を止めすぎずに一巡させることができます。1回で詰め込むより、間に実務で試す期間を挟んだほうが、次の回に具体的な質問が集まるようになります。次の表は、職員10〜50名ほどの事務所を想定した時間割の例です。

回対象中身次の回までの課題
第1回(90分)全員事務所のルールと守秘義務(税理士法38条・54条)、一枚紙の読み合わせ、事務所のAIへのログインと設定の確認国税庁の案内など公開情報を使い、要約を3回試す
第2回(90分)全員指示の出し方の基本と答えの確かめ方。顧問先への説明文の下書き、通達の要約を題材に演習自分の業務で1つ、AIで下書きした文書を持ち寄る
第3回(90分)役割別担当者は巡回監査報告書の下書きと決算説明資料の構成案、入力スタッフは手順書づくりと読み取り結果の確認よく使う指示文を1つ書き、事務所で共有する
第4回(90分)全員持ち寄った事例の発表、よく使う指示文の共有、月次のふり返りの進め方月次のふり返りに参加する

時期は確定申告期と年末の山を外す

研修の時期は、確定申告期と、その手前の年末調整から法定調書の提出までの時期を避けて決めましょう。国税庁のタックスアンサーでは、所得税の確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日まで、源泉徴収票や報酬の支払調書など主な法定調書は原則として翌年1月31日までに提出するものとされています。第1回から第4回までに2か月ほどかかるため、申告期が明けた後で、自所の決算業務が集中する月も外して始めると、4回を途切れずに終えやすくなります。助成金を使う場合は計画届の期限から逆算する必要があるので、後の節の日程もあわせて見てみてください。

経験の長い職員と若手で教え方を変える

同じ内容でも、経験の長い職員とAIに慣れた若手では、つまずく場所が違います。経験の長い職員には、操作よりも、このAIの答えはどこを確かめればよいかという確認の観点から入ると、本人の知識がそのまま活きる形になります。若手の職員には操作の説明を短くし、答えを条文や通達で確かめる手順に時間を割くと、研修の重みが偏りません。第3回で経験の長い職員と若手を組にして、若手が操作し、経験の長い職員が中身を確かめる演習にすると、双方の強みが噛み合います。

所長・担当者・入力スタッフで教える中身を分ける

第3回は役割ごとに題材を分けると、研修の時間がそのまま翌日からの仕事に結びつきます。役割別に教える中身は、次の表のように整理できます。

役割教える中身題材の例
所長・税理士事務所として使ってよい範囲の決定、利用の記録の見方、答えを顧問先に出す前に誰が確かめるかの決め方一枚紙の承認、利用の記録の月次確認
担当者(巡回監査・決算・申告)月次や決算の業務で下書きに使う方法と、数字・条文の確かめ方月次の巡回監査報告書の下書き、顧問先向け決算説明資料の構成案、顧問先からの質問への回答案
入力スタッフ・事務定型の文書や手順の整理、読み取った内容の確認の仕方業務手順書やOJT資料の下書き、証憑の読み取り結果と原本の突き合わせの手順

所長の研修は、職員と同じ操作の練習より、利用の記録の見方と、答えを顧問先に出すときの確認の分担を決める時間に充てるのが現実的です。所長が研修に一度も顔を出さないと、職員は事務所として本気で取り組んでいるのか判断できず、使うのをためらいやすくなってしまいます。第1回の冒頭だけでも所長が自分の言葉でルールを説明すると、その後の3回の受け止め方が変わってきます。

指示の出し方は担当業務の題材で教える

指示の出し方(プロンプト)は、どの業種にも通じる型を覚えるより、自所の業務の題材で練習したほうが身につきます。型そのものは単純で、AIの役割、渡す材料、欲しい形、確かめたい点の4つを書けば足ります。月次の巡回監査報告書の下書きなら、次のような指示になります。

指示の例(月次の巡回監査報告書の下書き)

  • あなたは会計事務所の担当者の補助です。
  • 次の試算表の前月比(顧問先名は伏せてA社とします)から、増減が大きい科目を3つ挙げ、考えられる理由の候補を書いてください。
  • 顧問先の社長に渡す月次報告書の下書きとして、1項目3行以内でまとめてください。
  • 理由は推測であると分かる書き方にし、確かめるべき資料を各項目の最後に書いてください。

この例では、顧問先名を伏せる手順そのものが、一枚紙のルールの練習にもなっています。答えの確かめ方は、数字は試算表の元の数字と突き合わせ、条文や通達に触れた部分は国税庁の原文に当たるという2つを、毎回の手順として教えます。AIの答えを顧問先に出す前に、担当者が原資料で確かめる手順は省かないでください。事務所でうまくいった指示文は、会計事務所のAI活用事例も参考にしながら所内で共有すると、使い方が広がりやすくなります。

人材開発支援助成金を使う研修の組み方

人材開発支援助成金を使うなら、汎用的なプロンプト講座ではなく、特定の業務にAIを当てはめる内容で、10時間以上の訓練として組むことが条件になってきます。厚生労働省の事業展開等リスキリング支援コースでは、令和8年8月3日からの変更点として、「生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練」は特定業務への具体的な適用を伴わないため助成対象外とされています。一方で対象となる例として挙がっているのは、営業担当者が生成AIで商品提案書の構成案づくりや文章の生成・修正を学ぶ訓練です。会計事務所に置き換えるなら、月次の巡回監査報告書の下書きや、顧問先向けの決算説明資料の構成案づくりを学ぶ訓練が、この考え方に沿った組み方になります。対象になるかどうかは審査で決まるため、計画の段階で管轄の労働局に相談してみてください。

押さえておく要件と期限

  • 実訓練時間は10時間以上(OFF-JT=通常の業務を離れて行う訓練)
  • 計画届は、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に提出
  • 支給申請は、訓練終了日の翌日から2か月以内
  • 外部講師の謝金は、実訓練時間1時間あたり3万円(税込)が上限
  • 賃金助成の対象は、所定労働時間内に受けた分だけ
  • eラーニング・通信制は経費助成のみで、経費助成の上限は中小企業で15万円
  • 8月3日以降の計画届に基づくeラーニングによる訓練は、同一の職員につき1年度1回まで
  • 事業展開、またはDX化・GX化に伴う訓練であることが基本の要件

このコースは令和4年度から8年度までの期間限定の助成金として創設され、令和8年度末までの時限措置と書かれています。令和8年度末(2027年3月末)までの措置のため、このコースを使うなら申告期より前に始められるかを先に確かめ、申告期が明けてから始める場合は、その年度の制度を管轄の労働局で確認してください。6時間の所内研修はそのままでは時間が足りないため、助成金を使うなら、例えば120分×5回の10時間に組み替え、各回の題材を担当業務に結びつけましょう。守秘義務やルールの説明のように業務へ直接当てはめない時間は、実訓練時間に数えられない場合があるため、担当業務に当てはめる演習だけで10時間を超えるように組むと安心です。

前提を置いた試算

中小企業にあたる事務所で、受講する20名全員が訓練で扱う業務の担当者として対象になり、事務所と密接な関係のない外部講師に事務所が謝金を全額支払う形で、所定労働時間内に10時間の訓練を行った場合を計算してみます。講師謝金を上限の1時間3万円(税込)で払うと、10時間で30万円となります。経費助成の率は中小企業で75%のため、認められれば22万5千円が経費助成の見込みです。経費助成の上限は受講者1人あたり30万円(中小企業・10時間以上100時間未満)のため、この例では上限にかかりません。賃金助成は1人1時間あたり1,000円なので、20名×10時間で20万円の計算になります。合わせた42万5千円が、要件をすべて満たして満額が認められた場合の目安です。職員10名なら賃金助成は10万円、30名なら30万円と、人数に比例して変わります。実際の支給額は審査と支給要領の各種の上限で決まり、この試算は支給を約束するものではありません。訓練の題材と受講者の担当業務が合っていることも、審査で見られる点になります。

※要件と金額は、厚生労働省の人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コースのパンフレット(令和8年8月3日版)、同コースの8月3日からの変更点、令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(令和8年4月8日時点)で確認した内容です。申請の前に、最新の支給要領と管轄の労働局の案内をご確認ください。

研修費用の考え方|外部セミナーと所内研修を比べる

研修の費用は、職員を外部の講座に1人ずつ出すか、講師を事務所に招いて全員で受けるかで、人数に対する増え方が変わってきます。外部の公開講座は1人あたりの受講料で決まり、例えば株式会社ビズアップ総研は、専門家向けの「生成AI活用術」の講座を1名55,000円(税込)で案内しています。職員10名が受ければ55万円、20名なら110万円となり、人数の分だけ積み上がってしまいます。一般向けの入門講座では、トレノケート株式会社の「ChatGPTで学ぶ生成AIビジネス活用」が1日33,000円(税込)です。

所内に講師を招く形なら、費用は講師の時間で決まるため、人数が増えても大きくは変わりません。例えば助成金の上限と同じ1時間3万円(税込)を仮に置き、6時間の所内研修を行うと18万円で、20名で割れば1人あたり9,000円の計算です。所内研修は、講師が事務所の業務と契約しているAIに合わせて題材を作れるかどうかで、中身の質が決まります。研修会社の案内に最大75%の補助とある場合は、中小企業の経費助成の率と同じ数字で、賃金助成や上限の扱いによって実際の割合は変わる点に気をつけましょう。

※受講料は、ビズアップ総研は2026年9月29日、トレノケートは2026年9月17日に各社の公式ページで確認した金額です。日程と価格は変わることがあります。

講師・研修会社を選ぶときに見る点

講師や研修会社は、実績の大きさより、事務所の業務と守秘義務に合わせた中身を用意できるかで選ぶのが安全です。会計事務所向けのAIセミナーには、自社のツールやサービスの紹介を目的とした説明会が含まれることもあるため、申し込む前に何を持ち帰れるのかを見極めておきましょう。

  • 研修で使うAIが、事務所の契約した環境になっているか(受講者の個人アカウントや無料版で進める前提になっていないか)
  • 守秘義務と入力ルールの時間が、初回に入っているか
  • 題材を、巡回監査や決算説明、手順書など事務所の実際の業務に合わせて作ってくれるか
  • 特定のツールの購入や会員登録が、受講の前提になっていないか
  • 講師の実績や受講事務所の数が、主催者自身の発表か、第三者が確かめたものかが分かるか
  • 助成金を使う場合に、訓練の中身を計画届に合わせて組めるか

講師紹介に並ぶ肩書きや受講事務所の数は、多くが主催者自身の発表です。数字の大きさより、自所と同じくらいの規模の事務所で何をどう教えたかを、具体的に聞いてみてください。

効果の測り方|削減時間の数字は自分の事務所で測る

研修の効果は、他社の削減時間の数字ではなく、自所の利用の記録と、研修前後の作業時間で測るのが確かです。例えば、会計事務所向けのAI研究会を運営する株式会社エフアンドエムは、2026年2月26日の発表で、参加事務所から記帳・仕訳業務の作業時間を月20時間以上削減、顧問先向け提案資料の作成時間を約75%削減といった成果が報告されていると紹介しています。これらは同社の発表で第三者による検証ではなく、事務所の規模や業務の中身によって結果は変わります。

定着を見る4つの指標

  • 利用者数(1週間に1回以上使った職員の数と割合)
  • 業務別の利用(報告書の下書き、説明文、手順書など、どの業務で使ったかを月に1回聞き取る)
  • 作業時間(研修前の2週間と研修後の2週間で、対象業務1件あたりの時間を記録して比べる)
  • ルールの守られ方(一枚紙で入力しないと決めた情報が入っていないかを、利用の記録で抜き取り確認する)

研修の後は、月に1回30分ほどのふり返りを所内で開き、うまくいった指示文と困った場面を持ち寄ってもらいましょう。利用が止まっている職員がいれば、使えない理由を聞いて、第3回の題材を見直す材料にしてください。3か月ほど続けても利用者の数が伸びない場合は、ルールが厳しすぎるのか、使う場面が見つからないのかを切り分けると、次の手が見えやすくなります。

研修で覚えた使い方を、事務所の管理の下で続けるために

UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面では誰が・いつ・どのAIを使ったかを一覧で確認できます。よく使う指示と手順をBOTにして社内限定で共有できるカスタムプラスも備えています。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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よくある質問

会計事務所のAI研修は、何時間くらい必要ですか?
所内で一巡させるなら、90分を2〜3週間おきに4回、合計6時間ほどが組みやすい目安になります。人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースを使う場合は、実訓練時間10時間以上が要件のため、120分×5回などに組み替えてください。守秘義務やルールの説明など業務に直接当てはめない時間は実訓練時間に数えられない場合があるため、担当業務に当てはめる演習だけで10時間を超えるように組むと安心です。
研修はどの時期に行うのがよいですか?
確定申告期(原則2月16日〜3月15日)と、年末調整から、源泉徴収票や報酬の支払調書など主な法定調書の提出(原則として翌年1月31日まで)にかけての時期は避けるのが無難です。4回を途切れずに終えるには2か月ほどかかるため、自所の決算業務が集中する月も外して始めてみてください。
汎用的なプロンプトの講座でも助成金は使えますか?
厚生労働省は、令和8年8月3日からの変更点として、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は特定業務への具体的な適用を伴わないため助成対象外としています。月次の巡回監査報告書の下書きなど、担当業務にAIを当てはめる内容にし、計画の段階で管轄の労働局に確認してください。
職員にも守秘義務はありますか?
あります。税理士法第54条は、税理士事務所の使用人その他の従業者にも、正当な理由なく税理士業務に関して知り得た秘密を漏らしたり盗用したりしてはならないと定めており、職員でなくなった後も同様です。所長には第41条の2で職員を監督する義務があるため、研修の記録を残しておくことをおすすめします。
職員が個人で使っているChatGPTを研修に使ってもよいですか?
顧問先に関わる情報を扱う研修では、おすすめしません。個人のアカウントでは学習に使うかどうかの設定が本人任せになり、事務所からは入力した内容も見えないためです。研修の前に事務所で契約したAIを用意し、研修ではそのAIだけを使う形にしてください。
外部講師と所内の職員では、どちらが教えるのがよいですか?
守秘義務と入力ルールの回は、所長が自分の言葉で説明するのが向いています。操作や指示の出し方の回は、外部講師に事務所の業務に合わせた題材を用意してもらうか、使い慣れた職員が講師役を務める形でも進められます。

まとめ

会計事務所のAI研修で教えるのは、入力の線引き、担当業務での使い方、答えの確かめ方の3つです。税理士法は職員にも守秘義務を課し、所長には監督義務を課しているため、守秘義務とルールの説明は初回に置き、研修の記録を残しておくことが大切になります。時期は確定申告期と年末の山を外して90分×4回ほどで一巡させ、助成金を使うなら特定業務に結びつけた10時間以上の訓練に組み替えましょう。そして研修の前に、職員が使うAIを事務所の契約で1つに決め、学習に使わせない設定と利用の記録をそろえておくことが、研修の中身を定着させる土台となります。

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