
Genspark スーパーエージェントとは、頼んだ仕事を手順に分け、必要なツールを選んで、資料やファイルなどの成果物まで進めてくれるGensparkの自律型AIアシスタントです。社員に任せる前に会社で決めておきたいのは、つなぐアプリ(コネクタ)と送信の扱い、成果物とスキルを共有する範囲、クレジットの使い方の3つになります。どれも公式ヘルプに仕様が載っていて、決めないまま使い始めると、あとから元に戻しにくいものばかりです。Genspark自体の運営会社や規約の全体像はGensparkとは?会社で使ってよいかの判断にまとめているので、あわせてご覧ください。
※この記事の仕様・料金は、2026年10月13日時点でGensparkの公式ヘルプと公式ブログの表示を確認した内容です。いずれも同社の発表・記載で、第三者が検証したものではありません。仕様や価格は変わることがあるため、契約や設定の前には公式ページの最新の表示をご確認ください。
Genspark スーパーエージェントとは|依頼を手順に分けて成果物まで進めるAI
スーパーエージェントは、Gensparkの中で「何をしたいか」を書くだけで、調べものから資料づくりまでを1本の流れで進めてくれる機能になります。公式ヘルプでは、日常のタスクを完了するために思考し、計画し、行動する自律型AIアシスタントと説明されています。リクエストをステップに分け、必要なツールを選んで、最終的な成果物まで作業を進めるというのが同社の説明です。対象の例としては、リサーチ、コンテンツ作成、分析、デザイン、コーディング、コミュニケーションなどが挙がっています。
使う側から見たいちばんの違いは、モードを選ばなくてよい点です。公式ブログによると、「検索モード」や「スライドモード」を手で切り替える必要はなく、作りたいものを書けば必要なエージェントとツールが自動で選ばれます。たとえば競合2社と比べた10ページの提案書を頼めば、調べる作業と資料にする作業を、エージェントが自分で順番に並べていく形になります。
中で起きていること|計画から自己検証まで
公式ブログでは、スーパーエージェントの進み方を「計画 → 委任 → 実行 → 自己検証 → 成果物」の5段階で紹介しています。実行の段階では、複数の作業を並行して進めることも出来ます。ヘルプにも、1つのプロジェクトの中で複数のタスクを同時に動かせるとの記載があります。タスクを始めてノートパソコンを閉じ、戻ってきたら作業が終わっているという長時間の使い方まで案内されているほどです。自己検証の段階があるとはいえ、出来上がった中身が正しいかを最後に確かめるのは使う側の役目となります。
新しいスーパーエージェントは専用のサンドボックスで動く
ヘルプでは、以前の版を「クラシック」、今の版を「新しいスーパーエージェント」と呼び分けています。クラシックには専用のクラウドマシンがなく、新しい版には実ブラウザと独自のファイルシステムを持つ専用のサンドボックス環境が用意されている、という違いです。サンドボックスとは、ほかから切り離された作業用の場所のことで、エージェントはそこで実際にWebページを開いたり、コードを動かしたりします。
ここで覚えておきたいのは、作業場所に置かれたファイルの扱いです。ヘルプによると、エージェントが作ったり操作したりするファイルはセッション中ワークスペースに保持され、納品されたもの(チャットに表示されるファイルカード)はプロジェクトに保存されて、いつでもダウンロード出来ます。残しておきたいファイルは、作業環境に置いたままにせず、エージェントに納品を頼みましょう。同社もヘルプの中で、作業環境に残すのではなく納品するよう依頼してほしいと案内しています。
スーパーエージェントでできること|調べもの・資料・表・コード・連絡まで
スーパーエージェントに任せられる仕事は、調べもの、資料づくり、表の作成とデータ分析、画像や動画、コード、メールや電話などの連絡ごとまで広がっています。公式ブログには、仕事の種類ごとにどの機能へ任せるかの対応表があります。調べる仕事はディープリサーチ、資料やスライドはAIスライドとAIドキュメント、表や一覧はAIシートへ回るという整理になります。画像と動画の生成はクレジットを消費し、コードは実ブラウザとファイルシステムの上で動かします。メールは、GmailやOutlookと接続したうえで下書きまで進める形となります。
機能ごとに見た、できることの一覧
Gensparkの日本公式ブログで紹介されている機能を、使い道ごとに分けて見てみましょう。
- 調べる機能は、ディープリサーチと、裏付けの強さを「強い/弱い/裏付けなし」で見せるファクトチェックです。
- 作る機能には、AIスライド、AIドキュメント、AIシート、AIデザイン、AI画像&動画があります。
- 開発の機能として、AIデベロッパーを使うことが出来ます。
- 連絡の機能は、日本語を含む12言語に対応したAI通話代行と、AI受信トレイになります。
- 会議の機能では、Zoom・Google Meet・Teamsに自動で参加できるAI会議メモが使えます。
- 対話の機能は、Mixture of Agentsという仕組みで70以上のモデルを使うAIチャットとなります。
同社は、社内ツールが150以上、外部連携(MCP)が700以上あると発表しています。MCPとは、AIが外部のアプリやデータにつなぐための共通の接続方式のことです。どちらも同社の発表で、第三者が数えた数字ではない点は頭に入れておきましょう。
場面別の頼み方の例
公式ブログが挙げる依頼の例は、会社の仕事にそのまま置き換えやすいものばかりです。営業なら、10ページの提案書を競合2社との比較とROI試算つきで作る、という依頼の例があります。ほかにも、経営会議のアジェンダを先週の議事録をもとに作る、CSVの売上データから分析レポートを起こす、海外企業5社の動向を日本語の比較表にまとめる、という3つの例が載っています。どの例も、目的と条件と出してほしい形が1文に入っている点に注目してみてください。
公式の使い方ガイドでも、共通のコツとして「何のために」「どんな条件で」「どんな形で出してほしいか」の3つを書くよう勧めています。社内でスーパーエージェントを試すときは、この3つを埋めた依頼文を部署ごとに1本ずつ用意しておくと、使い始めの迷いを減らすことが出来ます。
ChatGPTやManusとの違い|チャットで足りる仕事と任せる仕事
ChatGPTやManusと比べてどうかは、スーパーエージェントを調べる方がよく気にする点でしょう。ただ、各社の機能は短い間隔で入れ替わるので、機能の一覧より仕事の渡し方の違いで見たほうが判断を誤りにくくなります。AIチャットは、1つの質問に1つの答えを返す使い方が中心です。スーパーエージェントは、成果物ができるところまで、途中の手順をエージェント側が組み立てて進める使い方になります。
Gensparkの公式ブログ自身も、1問1答で済む調べものはAIチャットのほうが速いこともある、と書いています。Genspark自体にもAIチャットがあり、Mixture of Agentsという仕組みで70以上のモデルを使えるというのが同社の説明です。そのため、Gensparkの中でも、ちょっとした質問はチャット、成果物まで欲しい仕事はスーパーエージェントと分けて使うのが近道となります。
ManusやChatGPTの新しい機能と見比べる場合は、できることの多さより、会社の側で何を管理できるかを並べてみてください。データの保存先、学習に使われるかどうか、管理者に見える範囲、外部アプリとつなぐ権限の4つは、どのサービスでも確かめておきたい項目です。Gensparkのこの4点は、この後の節で公式ヘルプの記載をもとに順に見ていきます。
スーパーエージェントの使い方|登録から最初の成果物まで
スーパーエージェントは、アカウントを作ってホームの入力欄に頼みたいことを書けば、そのまま使い始めることが出来ます。アプリのインストールは要らず、ブラウザでgenspark.aiを開けばパソコンでもスマホでも動きます。登録とサインインは同じ画面で、公式ブログの使い方ガイドによると、選べる方法はGoogle、Microsoft、Apple、メールアドレス、SSO(Team・Enterpriseのみ)の5通りとなります。アカウントは無料で作れて、請求情報を入れるのは有料プランの決済をするときだけです。
最初の成果物までの3ステップ
公式ブログの使い方ガイドは、最初の成果物までを3つのステップで紹介しています。
- 一言でお願いします。条件を盛り込みすぎないほうが、動き出しが早くなります。
- 聞かれたら1つ答えます。資料のサイズや誰向けかなどの確認が入ることがありますが、毎回出るわけではありません。
- 出てきたものを1か所直します。「〇〇の部分をもう少し具体的にして」と頼めば、その部分だけが直ります。
入力欄の中には、ファイルを添付する「+」、モード切り替えの「スタンダード」、音声入力のマイクが並んでいます。ホームの中央に書くほか、サイドバーの「新規作成」メニューからスーパーエージェントを選んでも始められます。ガイドには、うまくいかないときは指示を言い換えるより情報を足すほうが近道、というコツも載っています。
実行中も入力欄は使えるので、途中で追加の指示を送ることが出来ます。直したいところがあれば、新しく頼み直さず、同じセッションの中で「ここを直して」と伝えましょう。同じセッションの中なら、生成されたファイルもワークスペースに残っています。過去のプロジェクトは、左上のメニューにあるタスクリストから振り返れます。画面ごとの細かな操作は、Gensparkの使い方の記事で順を追ってご覧いただけます。
会社で使うなら、登録するアカウントを最初にそろえる
会社で使うときに見落としやすいのが、どのアカウントで登録するかという点です。公式ヘルプによると、別のメールアドレス、たとえば別のGoogleアカウントでサインインすると、空の別アカウントが新しくできてしまいます。プランやクレジット、プロジェクトは元のアカウントに残り、サインインの方法を自分で切り替える設定もありません。社員が私用のGoogleアカウントで登録すると、作った資料はその私用アカウント側に残ってしまいます。公式ブログでも、Googleで作ったアカウントにはあとからパスワードを設定できないと案内されています。業務で使うと決めたら、会社のメールアドレスで登録するよう最初に伝えておきましょう。
パソコンで使い込みたい方には、WindowsとmacOS向けの「Genspark Super App」も用意されています。公式ブログによると、このアプリではエージェントがパソコンの中で動き、手元の資料を整理したり、直接手を加えたりすることも出来ます。ブラウザ版より扱えるファイルの範囲が広がるため、会社のパソコンに入れてよいかは、情シスの方が先に判断しておくのが安心です。
料金とクレジット|スタンダードとUltraで消費が変わる理由
スーパーエージェントの使用量は、クレジットという単位で数えられます。公式ヘルプのクレジットガイドでは、クレジットは計算負荷を測る単位で、何かを生成するたびに必要な処理能力・メモリ・モデルの使用時間に応じて消費されると説明されています。料金表の全体はGensparkの料金、クレジットの減り方の全体はGensparkのクレジットの記事にまとめてあります。
個人プランとTeamの料金
個人向けのプランは、Free、Plus、Proの3つです。公式ヘルプでは、Freeは1日100クレジットで、無料クレジットには生涯の上限があり、使い切ると毎日の補充が止まると書かれています。Plusは月10,000クレジットで24.99ドルから、Proは月125,000クレジットで249.99ドルからの段階制となります。有料プランのクレジットは請求サイクルの始めに補充され、使い残しは翌月に繰り越せません。
円に直すと、1ドル=155円で計算した場合、Plusのいちばん安い段階で月約3,870円、Proの入り口で月約38,750円が目安となります。日本円で支払うときは、ここに消費税10%が加わる形です。
会社でまとめて契約するTeamは2〜150人向けで、公式ヘルプでは1席あたり月35ドル、各席に月10,000クレジットと案内されています。一方、法人向けの料金ページには30ドル・12,000クレジットという表記もあり、ページの間で食い違いがあります。実際に契約するときは、申込画面に出る金額を正としてください。
10人で使うと、35ドルなら毎月350ドル、1ドル=155円で計算した場合は約54,250円の出費です。30ドルの表記で計算しても毎月300ドル、約46,500円になります。年間では35ドルなら4,200ドル、約651,000円となり、席を増やすほどそのまま比例して増えていきます。ヘルプには、すべての管理者が有料の席として数えられるとも書かれているので、席数を見積もるときは管理者の分も入れておきましょう。
スタンダードとUltraの違い|クレジットが増える理由
スーパーエージェントには、スタンダードとUltraの2つのモードがあります。公式ブログによると、最初の成果物は標準のスタンダードで十分で、タスクに合わせて最適なAIが自動で選ばれます。Ultraはより複雑なタスク向けで、スタンダードより多くのクレジットを消費するというのが同社の説明です。
ヘルプのよくある質問では、新しいスーパーエージェントでクレジットが増えやすいのはモード自体のせいではない、と説明されています。多段階の作業、ライブブラウジング、コードの実行、ツールの呼び出しが増えるほど処理が重くなり、全体として多くのクレジットを使う場合があるという理屈です。クレジットガイドでも、長いコンテキストやマルチターンの会話、調べて書いて画像まで作るような詰め込んだ1タスクは、高コストの側に分類されています。
無料利用枠の扱いもモードで変わります。ヘルプでは、PlusとProの会員に、スタンダードモードのエージェントをクレジットなしで使える無料利用枠が毎週付与され、7日ごとにリセットされると案内されています。この枠がなくなると、タスクは自動でクレジットの消費に切り替わります。Ultraは無料利用枠の対象外で、Freeプランもこの枠を受け取れません。公式ブログでは、動画と音声の生成はクレジットを消費し、GenMailとAI議事録も無料利用枠の対象外と案内されています。
1回のタスクで何クレジット使うかは、公式には数字が出ていません。クレジットガイドにも、モデルのラインナップと価格は頻繁に変わるため、最新の価格はGensparkの中で確かめてほしいとあります。消費量は記事の数字ではなく、Gensparkの残高画面で実際の減り方を見て判断してください。残高は、左下のメニューの「クレジット」から開く/credit-usageのページで、残高と残りの割り当て、リフレッシュ日まで確認出来ます。利用ログの反映には数時間かかる場合がある、とも書かれています。
Teamのクレジットは社員の間で移せない
Teamを選ぶ会社がまず押さえておきたいのは、クレジットが席ごとに分かれていることです。公式ヘルプのよくある質問では、各席はその人専用の月間クレジットを受け取り、メンバー同士で移すことは出来ないと答えています。あまり使わない社員の残りを、たくさん使う社員に回せない仕組みです。
足りなくなった社員には、オンデマンドクレジットという追加のパックで補う形になります。1パック10,000クレジットで45ドル、1ドル=155円で計算した場合は約6,975円です。管理者が購入しておいたパックがあれば、メンバーは月の分を使い切ったときにポップアップから1クリックで受け取れて、本人とすべての管理者にメールが届きます。管理者がユーザー分析のメンバー統計から、特定の人に先に割り当てておくことも出来ます。パックのクレジットは付与された日から3か月有効で、請求サイクルをまたいで繰り越されます。
途中で抜けた社員の席に別の人を入れた場合は、新しく入った人がそのサイクルの残りのクレジットを引き継ぐとヘルプに書かれています。それ以外の形で、クレジットがほかのメンバーや管理者に戻ることはありません。席を割り当てる前に、誰がどのくらい使いそうかをざっくり見積もっておけば、追加のパックを慌てて買う場面は減らせるでしょう。
個人のPlusやProを契約したまま同じメールアドレスでTeamに入ると、両方に請求が発生するとヘルプは注意しています。Teamに移る社員には、先に個人の契約を解約してもらいましょう。Teamの料金は、一部を使った請求期間について返金されない点も覚えておいてください。
社員が各自で個人プランを契約すると何が起きるか
会社として決めないまま使い始めると、社員がそれぞれ自分のカードでPlusを契約する形になりがちです。そうなると、費用は人数分だけ個人の経費精算に散らばり、作った資料も各自のアカウントの中に分かれてしまいます。前の節で見たとおり、プランもプロジェクトも、支払いや作成をしたアカウントの側に残ります。
スーパーエージェントのような便利な機能はツールごとに次々と増えるため、ツールの数だけ個人契約が重なると、会社から見える範囲はどんどん狭くなってしまいます。まずは、会社としてどのAIの環境を用意し、どこまでを社員の判断に任せるのかを決めるところから始めてみてください。
ツールごとに個人契約が重なる前に、会社で使う生成AIの環境を1本にそろえる方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
運営会社と安全性|データの保存先と学習の設定
Gensparkを運営するのはGenspark Inc.で、2026年1月に日本法人を設立したと同社は発表しています。規約の上では、MainFunc Inc.の完全子会社という位置づけです。セキュリティの認証については、SOC 2 Type IIとISO 27001を取得していると日本公式ブログに記載があります。どちらも同社の発表なので、認証の範囲や時期まで確かめたい場合は、契約前に同社へ資料を求めるとよいでしょう。
データの保存先は、法人向けのよくある質問で米国のMicrosoft Azure上と案内されています。Enterpriseでは、契約でデータの所在地を米国・EU・日本から選べるとヘルプにあります。
学習に使われるかどうかは、プランで決まり方が違う
会話が学習に使われるかどうかは、個人プランとTeam・Enterpriseで決まり方が違います。Team・Enterpriseのチームは、自動でモデルの学習の対象から外れるとヘルプで案内されています。個人プランは、設定の「Data Controls(データ管理)」にあるAI Data Retentionの設定に従う仕組みになります。日本公式ブログでも、オプトアウトした場合、会話内容はモデルの学習に一切使われないと説明しています。
個人プランの初期値がどちらになっているかは、公式の記載からは読み取れません。個人プランで業務に使う場合は、使い始める前に必ずこの設定を開いて確かめてください。コネクタでつないだデータが学習に使われるかどうかも、このAI Data Retentionの設定に従うとヘルプに書かれています。なお、AIチャットのパーソナライズ機能は初期設定でオンになっていて、アプリから切ることが出来ます。
管理者に見えるもの、見えないもの
Teamの管理者が見られる範囲も、事前に知っておきたい仕様です。ヘルプには、組織の管理者であっても、メンバーの非公開のプロジェクトやファイルへ自動でアクセスできるわけではないと書かれています。管理者や組織、グループに共有されたものだけが、共有の権限に従って見られる形となります。管理者のダッシュボードでわかるのは、ユーザー分析で見るチーム全体と1人ずつのクレジット使用量で、メンバーごとの数字はCSVで書き出せます。利用ログ(Usage Logs)とログイン履歴(Login History)は、組織でその機能が有効になっている場合に表示されるという扱いです。
社員がスーパーエージェントにどんな依頼をしたかを、管理者が後から1件ずつ読める前提にはしないでください。何を入れてよいかは、使い始める前のルールで決めておくのが現実的なやり方になります。安全性の全体はGensparkの安全性、TeamとEnterpriseの違いはGensparkの法人プランで詳しく扱っています。
任せる前の注意点と、任せてよい仕事の判断表
スーパーエージェントは手順を自分で組み立てるぶん、頼んだ側が途中の判断を見ないまま成果物を受け取りやすい道具です。だからこそ、仕事の種類ごとに、どこまで任せてよいかを先に分けておく必要があります。
任せる前に押さえておきたい4つの点
1つ目は、出来上がった中身の確認です。公式ブログは自己検証の段階があると説明していますが、数字や固有名詞、日付が正しいかどうかは、人が元の資料と突き合わせることになります。Genspark自体にもファクトチェックの機能があり、裏付けの強さを「強い/弱い/裏付けなし」で見せてくれると同社は紹介しています。社外に出す資料なら、この結果も参考にしながら、最後は担当者が出典を開いて確かめましょう。
2つ目は、入れてよい情報の線引きです。スーパーエージェントは、ファイルや連携済みのアカウント、SecondBrainから情報を取ってきて動くとヘルプにあります。添付したファイルだけでなく、つないだメールやドライブの中身も作業の材料になるという意味です。前の節で触れたパソコン向けのアプリを使えば、手元のファイルまで扱える範囲に入ってきます。
3つ目は、クレジットの減り方です。リトライのたびに元の生成と同じコストがかかり、失敗したエージェントのリトライでもクレジットは消費されると、クレジットガイドにははっきり書かれています。生成のあとで出力に問題ありと判定された場合も処理自体は走っているので、失敗と表示されていてもクレジットは戻りません。品質への不満を理由にした申し立てでは、自動の返還もないとされています。
4つ目は、社外に向けた動作です。スーパーエージェントはGmailやOutlookをつなぐとメールの送信まで進められ、AI通話代行は日本語を含む12言語に対応していると同社は紹介しています。メールの送信や電話のように相手に届く操作は、社員の判断だけで任せないようにしましょう。送ったメールやかけた電話は、あとから取り消しが利かないためです。
任せてよい仕事・確認してから任せる仕事・任せない仕事
この4つを前提に、仕事を3つに分けた判断表の例を置いておきます。
| 区分 | 仕事の例 | 理由と条件 |
|---|---|---|
| 任せてよい仕事 | 公開されている情報の調べもの、社内向け資料のたたき台、公開データの表やグラフ、企画のアイデア出し | 間違っていても社内で直せる。社外に出す前に、出典だけは人が開いて確かめる |
| 確認してから任せる仕事 | 社外向けの提案書、売上や顧客の数字を使う分析、メールの下書き、コネクタでつないだデータを読む作業 | 入れるデータを事前に絞り、名前などは伏せる。出来上がった中身は担当者が確かめ、送信のボタンは人が押す |
| 任せない仕事 | 社外へのメール送信や電話の自動実行、顧客の個人情報や契約書の原本の投入、機密の手順を入れたスキルの公開リンクでの共有 | 取り消しが利かない、または会社のルールで外に出せない情報を含む |
表の区分は一例で、業種や扱うデータによって線の引き方は変わります。迷う仕事があれば、まずは真ん中の「確認してから任せる」に入れておき、使い方が見えてから動かすのが無理のない進め方となります。
コネクタと共有の範囲|つなぐ前・渡す前に決めること
コネクタは、Gmailやドライブなど普段のアプリをGensparkに直接つなぎ、データを手で写さなくても読み取りや操作が出来るようにする機能です。ヘルプでは、接続は使う人の権限や組織の設定に従って使われると説明されています。つなぐ手続きにはOAuthという、アプリ同士でアクセスの許可を受け渡す仕組みが使われます。
つなぐ前に知っておきたい権限のまとまり
つなぐ前に知っておきたいのは、許可する範囲を細かく選べないことです。ヘルプには、Gensparkは個別のスコープ(許可の範囲)のチェックボックスを用意しておらず、あらかじめ決まった権限のまとまりを求めると書かれています。たとえばGmailの権限は、メールの読み取り、検索、下書き、送信、管理で、今は連絡先の読み取りも含まれます。Outlookは読み取り、検索、送信、管理に加えて、承認済みの共有メールボックスへのアクセスまで入ります。Googleのバンドルを選ぶと、Gmail、カレンダー、ドライブの3つへのアクセスをまとめて求める形になります。
読み取り専用の管理を使っていない場合、下書きを作らせたいだけでも、Gmailをつなげば送信の権限まで一緒に渡ってしまいます。チャットアプリとの連携について、同社は、ほかの人に影響する操作の前には確認を取るよう設計しており、メールやSMS、電話のツールは本人が始めたターンでしか動かないと説明しています。ただ、これは同社の設計上の説明で、会社のルールの代わりにはなりません。
つなぐ前に確かめる5つの手順
- まず読み取りだけの作業から始めます。ヘルプも、アクセスできると分かっているリソースに対して読み取りのタスクから始め、送信・作成・更新が必要なら、その権限を別に確かめるよう勧めています。
- つなぐアカウントを決めます。私用のメールではなく、業務で使うアカウントだけをつなぐようにしましょう。
- 求められる権限の一覧を読みます。GmailとOutlookは送信と管理まで含むので、送信が要らない業務では、本当につなぐ必要があるかを考えてみてください。
- 読み取り専用の管理が契約中のプランで使えるかを確かめます(ヘルプではEnterprise管理者向けの説明と同じ箇所にあります)。組織で読み取り専用管理の機能を有効にすると、対応するOAuth接続はより狭い権限を求められるとヘルプにあり、対応しているのはGoogle、Microsoft、Slack、Atlassian、Box、Xとなります。
- 方針を変えたら、既存の接続も見直します。読み取り専用の方針をオンにしても、以前に発行されたトークンからすべての権限が自動で外れるわけではない、とヘルプは注意しています。
管理者がコネクタを制限できる範囲
Enterpriseの管理者は、コネクタをすべてのメンバーに許可するか、選んだチームに限るか、無効にするかを決められます。ヘルプは、この設定が決めるのは接続を使える人で、接続がどのデータに触れて何を出来るかは各アプリ側の権限で決まると整理しています。TeamのダッシュボードのサイドバーにもConnectorsの項目はありますが、チャットアプリ専用のTeam管理者用スイッチは今のところない、というのがヘルプの記載です。
Slackでの@メンションは周りの会話も読む
Slackとつないだ場合の動きも、情シスの方は事前に知っておくと安心できます。ヘルプによると、@メンションされたエージェントは、そのチャンネルやスレッドの直近最大200件のメッセージを、ほかのメンバーの発言も含めて読み取ります。そのうち最大100件が、文脈としてモデルに送られる仕組みとなります。自分が参加している非公開のチャンネルも対象になる場合があるとされているので、機密の話をしているチャンネルでは呼び出さないと決めておきましょう。
成果物ファイルは1つずつ誰にでも送れる
ヘルプによると、納品された各ファイルは会話とは別に単独で共有でき、プロジェクト全体を見せずに1つのファイルだけを誰にでも送れます。作業の途中経過まで見せずに必要なファイルだけを渡せるのは、便利な点でしょう。
一方で、誰にでも送れるということは、社員が顧客向けの資料を自分の判断で社外に出せる状態でもあります。エージェントに取り込めるファイルの大きさは、Freeで最大500MB、有料プランでは1つあたり最大1GBで、Google DriveやAI Driveから直接取り込むことも出来ます。社内の資料をまとめて取り込み、その結果を外へ送る流れが数クリックで出来てしまう点は、意識しておきたいところです。
スキルの共有は3つの経路で届く範囲が違う
スキルとは、うまくいった作業の手順をスーパーエージェントに保存させたもので、「このワークフローをスキルとして保存して」と伝えるだけで作れます。ヘルプでは、スキルの入手先として、Anthropic、OpenAI、Gensparkなどが提供する100以上のコミュニティSkills、組織が公開したチームSkills、自分で作ったマイSkillsの3つが挙がっています。共有の経路も3つあり、届く範囲と更新のされ方がそれぞれ違います。
- ピア共有はメールで招待する方法で、受け取る人はSkillsのホームの「共有されたアイテム」から承認します。招待の有効期限は30日で、相手もGensparkのアカウントが必要です。
- チーム公開はTeamプランが必要で、必要な場合は管理者の承認を経たうえで、全メンバーのチームSkillsタブに表示されます。スキルを更新すると、メンバーには「更新が利用可能」の案内が出ます。
- 公開リンクは、リンクを受け取った人がサインインすれば誰でもプレビューしてインストール出来る方法です。受け取った側に入るのは、その後の更新と同期しないスナップショットのコピーになります。
公開リンクは、古いリンクを「再生成」で無効にしたり、「取り消し」で完全に止めたりすることは出来ます。ただ、取り消す前にインストールされたコピーがどう扱われるかは、ヘルプには書かれていません。チームで使うスキルの更新も自動では届かず、メンバーが自分のスキルのカードにある「更新が利用可能」を押して取り込む仕組みになります。自分のスキルの削除は永続的で元に戻せないので、チームに公開しているスキルを消すときは、使っている人に先に知らせてください。
コネクタを使うスキルは、つないだアカウントをそのまま使う
スキルの中には、コネクタの接続が必要なものもあります。Skillsのヘルプには、一度コネクタをつなげば、そのサービスを必要とするすべてのスキルが自動でその接続を使うと書かれています。外から入れたスキルも、社員がつないだGmailやドライブを使って動くものとして、入れる前に中身を確かめましょう。自分たちでスキルを作る場合は、skill-creatorというエージェントが名前や説明、入力、出力、ツールの権限の設定を案内してくれます。
共有の社内ルール案
ここまでの仕様をもとに、共有について社内で決めておきたいルールの案をまとめました。
- 成果物ファイルを社外に送る前に、担当者以外の目を1回通すファイルの個別共有は誰にでも送れます。社員の判断で送ってよいのは社内向けの下書きまで、と線を引いておきます。
- 社内で使うスキルは、チーム公開を基本にするチーム公開で管理者の承認を必須にしておけば、どんなスキルが社内に出回っているかを把握しやすくなります。
- ピア共有は社内のアカウント宛てだけにする招待は30日間有効です。社外のアドレスには送らない決まりにしておきます。
- スキルの公開リンクは原則使わない受け取った側は更新と同期しないコピーになり、あとで直した内容が届きません。使った場合は、不要になった時点でリンクを取り消します。
- コネクタが必要なスキルは、入れる前に使うアカウントを確かめる一度つないだ接続は、そのサービスを必要とするスキルが自動で使います。
- チームのスキルを消す前に、使っている人に知らせる自分のスキルの削除は永続的で、元に戻せません。
クレジットを無駄にしない頼み方
スーパーエージェントのクレジットを抑えるいちばんの近道は、渡す前に依頼の中身を固めておくことです。ヘルプは、まずAIチャットでプロンプトを練り上げ、完成したプロンプトをスーパーエージェントに渡す方法を勧めています。PlusとProでは、AIチャットの中核モデルを上限の範囲内でクレジットなしで使えると案内されているので、下ごしらえの段階で残高を減らさずに進められるのも利点となります。
クレジットガイドに書かれたコストが膨らむ要因から考えると、頼み方の工夫は次の5つにまとまります。
- 最初はスタンダードで頼み、物足りないときだけUltraに上げます。ガイドの実用例でも、文書の要約や社内メモはスタンダードから始める形が示されています。
- 必要なファイルは始める前に全部添付し、範囲を絞った指示を出しましょう。エージェントのリトライは、失敗するたびにクレジットが減っていきます。
- 同じステップで何度も失敗したら、続けずにタスクを止めて入力を直してください。ガイドもこの対応を勧めています。
- 直しは作り直しではなく、同じセッションで部分修正を頼みます。小さな編集は、ゼロから生成するよりはるかに低コストとされています。
- 1つの会話を長く続けすぎないようにしましょう。メッセージを送るたびに、それまでのやり取り全体が処理し直されます。
調べて、書いて、画像まで作る、という依頼を1回に詰め込むと、ガイドの分類では高コストの側に入ります。調べものと資料づくりを分けて頼むだけでも、途中で方向を直しやすくなり、やり直しの回数が減っていくでしょう。1問1答で済む質問は、スーパーエージェントではなくAIチャットに回すのが基本です。
なお、AIチャットとAI画像生成には、クレジット残高とは別の制限もあります。固定の5時間の枠の中で使いすぎると一時的に止まることがあり、追加のクレジットを買っても外れず、止まっている間もクレジットは減らないとヘルプは説明しています。Teamでは、AIチャットとAI画像のトップティアのモデルがクレジットなしで使える扱いになっていますが(公正利用の範囲と短時間の利用制限あり)、これは2026年12月31日までの措置となります。
管理者は残高の画面で使い方を見直す
Teamの管理者は、ユーザー分析のメンバー統計で、メンバーごとの残高、受け取ったオンデマンドクレジット、今日・過去7日・30日の使用量を確かめられます。表全体はCSVで書き出せるので、月に1回、使い方の偏りを見る習慣を作ってみてください。残高がゼロと表示される理由として、ヘルプは月の割り当てを使い切った場合のほか、リセットの前後で新しい割り当てがまだ反映されていない場合も挙げています。メンバーシップのクレジットには3日間の猶予期間があり、その間は残高が古いまま表示されることもあるそうです。
社員に配る利用ルールのひな形
最後に、ここまでの内容を社員に配る短いルールの形にしておきます。社内の事情に合わせて言葉を直し、チャットや社内の掲示でそのまま共有してみてください。
Genspark スーパーエージェントの利用ルール(例)
- 登録は会社のメールアドレスで行い、私用のアカウントで業務の資料を作らないこと。
- 個人プランで使う場合は、使い始める前に設定の「Data Controls」でAI Data Retentionを確かめ、学習に使わない側にしておくこと。
- 顧客の個人情報、契約書の原本、公表前の数字は、入力も添付もしないこと。
- コネクタは業務用のアカウントだけをつなぎ、最初は読み取りの作業から始めること。メールの送信や電話の代行は、上長の了解を得てから使うこと。
- 社外に出す成果物は、数字・固有名詞・出典を自分で確かめてから共有すること。ファイルの共有やスキルの公開リンクを社外に送るときは、担当部署に相談すること。
- 最初はスタンダードで頼み、Ultraは必要なときだけ使うこと。同じ失敗が続いたらタスクを止めて相談すること。
- 迷ったときは、AIの利用窓口(担当:〇〇)に聞くこと。
このひな形には、どのツールにも共通する部分と、Genspark特有の部分が混ざっています。登録のアカウントや学習の設定、入れてはいけない情報は、ほかの生成AIでも同じように決めておきたい項目です。全社の生成AIのルールとして整えるなら、生成AIの社内ガイドラインの作り方もあわせて参考にしてみてください。
スーパーエージェントのように、1つのツールの中に便利な機能が次々と加わる流れは、これからも続くでしょう。機能が増えるたびにツールと個人契約が増えていくと、会社が見るべき設定と請求の数も増えてしまいます。会社が把握していない個人契約は、野良AI(シャドーAI)の入り口にもなります。社員に任せる前に、どのAIを会社の環境として用意するのかを、一度落ち着いて決めておきましょう。
個人課金を重ねる前に、会社のAI環境を1本に
新しいAI機能はツールごとに増えていきます。1つのツールに社員それぞれの課金を重ねる前に、会社で使う生成AIの環境を1本にそろえる方法があります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で使える法人向けサービスで、管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理できます。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
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