パナソニック系、禁止AIに個人情報

COPLUS AI NEWS夕方版

禁じたAIへの持ち出しと、AIが見つけた穴への対応。守りは社内ルールと更新の速さにかかる

ニュース5本・約7分で読めます

パナソニック オペレーショナルエクセレンスが10月23日、社内で利用を禁じている外部の生成AIに、プロジェクトメンバーが従業員や元従業員、家族の個人情報を含むデータを入れたと公表しました。同じ週には、AIの関与も報じられたPHPの脆弱性への対応で、携帯電話会社が緊急地震速報などの配信を一時止めています。生成AIを悪用した保険金の不正請求や、自治体のAI電話の実証、サイバー対策の政策提言とあわせ、本日夕方のAI動向5本を整理します。

① パナソニック オペレーショナルエクセレンス、利用を禁止している外部の生成AIに従業員・元従業員・家族の個人情報をアップロードと公表 人事情報システム導入プロジェクトのメンバーによるルール違反

パナソニック ホールディングス(お知らせ) / 2026年10月23日

パナソニック オペレーショナルエクセレンスは10月23日、子会社のパナソニック デジタルと進める人事情報システムの導入プロジェクトで、プロジェクトメンバーが従業員・元従業員・家族の個人情報を含むデータを、同社が利用を禁止している外部の生成AIサービスにアップロードしたと公表しました。対象は従業員約7万5千人と元従業員約17万8千人の社員番号・住所・電話番号・メールアドレス(氏名は含まない)、緊急連絡先として登録された家族約5万5千人と元従業員の家族約2万6千人の氏名・住所・電話番号・メールアドレスです。同社は外部からの不正な操作ではないとし、9月29日に個人情報保護委員会へ報告、メンバーはチャット履歴とPC内のデータを削除しました。サービス事業者からはAI学習に使う機能が無効だったとの回答を得ており、現時点で公開や不正利用による具体的な被害は確認されていないとしています。

💡 コプラスの視点

外部からの攻撃ではなく、禁止ルールがあっても、現場の判断ひとつで大量の個人情報がAIに渡りうることを示した事例です。「使うな」と決めるだけでは止まらないため、業務で使ってよいAIを会社として用意し、どのデータを入れてよいかを具体的に示すこと、違反を後から見つけるだけでなく、入れる前に止める仕組みを持つことが現実的な対策になります。

パナソニック ホールディングスのお知らせを読む →

② ソフトバンク、PHPの脆弱性対応で10月23日から止めていた緊急地震速報と津波警報の配信を再開 脆弱性の1件は米OpenAIのAIモデルを使って発見とAFP

時事通信 / 2026年10月25日、AFP通信(AFPBB News) / 2026年10月25日

時事通信によると、ソフトバンクは10月25日、プログラミング言語「PHP」に脆弱性が見つかったことを受けたメンテナンスのため10月23日から止めていた、気象庁の緊急地震速報と津波警報の配信を再開したと発表しました。国や自治体の災害・避難情報は26日に再開する予定とされ、NTTドコモも23日から全国瞬時警報システム(Jアラート)の情報などの配信を一部止めており、26日午前に正常化する見込みと伝えています。AFP通信は25日、世界中のウェブサイトで使われているPHPに重大な脆弱性が2件見つかり、うち1件は米OpenAIの高性能AIモデルを使って発見されたと報じました。記事では、米国のサイバー脅威情報の共有団体の代表が今回の件を「かなり混乱した時期の始まり」と述べています。

💡 コプラスの視点

AIによって脆弱性が見つかる速さが上がると、修正版が出てから適用するまでの時間がそのまま事業の停止時間になります。自社のWebサイトや業務システムがPHPなど何の上で動いているか、更新を誰がいつ当てるかを、委託先も含めて一覧にしておくことが備えになります。

時事ドットコムの記事を読む →

AFPBB Newsの記事を読む →

③ 生成AIで車の写真を加工し事故を装う保険金の不正請求が増加 損害保険各社は偽造画像を見分けるシステムの導入や専門部署の設置で対応

共同通信(Yahoo!ニュース掲載) / 2026年10月24日

共同通信は10月24日、生成AIを悪用した保険金の不正請求が増えていると報じました。自動車の写真を加工して事故を装ったり、実際の事故の被害を大きく見せたりするほか、偽造した見積書や領収書で請求する手口があり、火災保険では家具や家電が壊れたように見せかける例もあるとしています。請求では写真や見積書を画像データで提出し、AIによる精巧な偽造は目で見分けにくいとしています。損害保険各社は偽造画像を見分けるシステムの導入などで対策を強めており、不正請求に対応する専門部署を設ける動きもあると伝えています。記事には不正の件数や被害額は示されていません。

💡 コプラスの視点

画像や書類を「写真で受け取って確認する」業務は、保険に限らず経費精算や取引先の請求書、検品報告などにもあります。生成AIで加工された画像は目で見て見分けるのが難しいため、金額の大きいものは原本や別の経路で裏付けを取るなど、確認の手順を見直しておくと安心です。

Yahoo!ニュース(共同通信)の記事を読む →

④ 大田区、建築制限の電話問い合わせにAIが答える実証を建築審査課で実施中 年約1000時間の電話対応のうち300時間の削減をめざす

キーマンズネット(ITmedia) / 2026年10月23日

キーマンズネットは10月23日、東京都大田区が進めるAI電話の実証実験について、区の職員への取材をもとに報じました。2025年度は防災危機管理課で、感震ブレーカーや家具転倒防止器具の支給要件に関する問い合わせを対象に実施しましたが、職員対応の80%削減という目標に対し、AIの有効対応率は約40%にとどまったとしています。住民が質問をうまく言葉にできずに聞き返しが続いて離脱したり、声の小ささや同時に話す声で音声認識が妨げられたりする課題がありました。2026年度は10月1日から2027年2月28日までの予定で建築審査課に対象を移し、用途地域や建ぺい率など客観的に確認できる問い合わせに答え、年約1000時間の電話対応のうち300時間(30%)の削減をめざしています。使用しているのはソフツーのAI電話自動応答サービス「ミライAI」です。

💡 コプラスの視点

目標に届かなかった1年目の結果も含めて公開されている点に価値があります。電話のAI化は、答えが決まっている問い合わせに範囲を絞り、言い換えや俗称まで想定問答に入れておくことが成否を分けることがわかります。中小企業が問い合わせ対応にAIを入れる際も、まず対象を狭く決めて効果を測るところから始めるのが近道です。

キーマンズネットの記事を読む →

⑤ チームみらい、サイバー攻撃から国民を守るための緊急提言をデジタル庁に提出 「AIにはAIを」、中小企業向けの無償診断や税制優遇も盛り込む

ITmedia AI+ / 2026年10月23日

ITmedia AI+によると、政党「チームみらい」の安野貴博党首らは10月23日、サイバー攻撃から国民を守るための緊急提言をデジタル庁に提出しました。提言は7項目で、AIの活用と人材の増強による国の防御力の底上げ、大規模なサイバー攻撃に国が緊急対応できる枠組みの整備、ソフトウェア・クラウド・AIの事業者に安全面の責任を求める制度化などを挙げています。企業が脆弱性を見つけて直し続けることを促す制度として、中小企業向けの無償診断や、セキュリティ投資への税制優遇も盛り込みました。提言は、現在のインシデントは氷山の一角に過ぎないとして、ライフラインの停止を伴う大規模な被害を想定すべきだとしています。

💡 コプラスの視点

提言は政党によるもので、政府の決定ではありません。ただ、中小企業の脆弱性診断を公的に支える案が出てきたことは、自社だけでは点検の手が回らない企業にとって注目点です。制度化を待たずに、外部に公開しているシステムの棚卸しと、取引先から対策状況を聞かれたときに答えられる資料づくりを進めておくとよいでしょう。

ITmedia AI+の記事を読む →

明日への展望

今日の5本のうち3本は、AIが情報の持ち出しや攻撃、偽造の道具にもなる現実を示すものでした。パナソニックの件では、サービス事業者側に保持されていたデータも10月25日以降は残らない予定と同社は説明しています。PHPの脆弱性への対応では、ソフトバンクの災害・避難情報とドコモのJアラート関連の配信が10月26日に戻る予定とされており、通常どおりに戻るかが次の確認点です。大田区の実証は2027年2月まで続きます。

本日のまとめ

利用を禁じた生成AIへの個人情報の持ち出しが公表され、AIの関与が報じられたPHPの脆弱性への対応では災害情報の配信が止まりました。生成AIによる画像の偽造も保険の現場で増えています。一方で、自治体のAI電話のように、範囲を絞って効果を測りながら進める使い方も積み重なっています。

UPGEAR AIのフクロウくん

法人向け生成AI「UPGEAR AI」

ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの画面で。月額3万円(税抜)から、人数による課金はありません。

サービス内容を見る →