
Copilot Proとは、Microsoftが個人向けに販売していた有料のCopilotのサブスクリプションです。現在は新規購入ができず、Microsoftの公式サポートでは既存の契約も2026年8月1日にキャンセルまたはサポートが終了するまで使えると案内されており、Microsoftが代わりの選択肢の1つとして案内しているのはMicrosoft 365 Premiumです。どちらも契約者本人のもので、社員が自腹で払っていても経費精算していても、会社は解約・停止ができず、個人のCopilotアプリでの利用履歴も確認できません。業務の情報を扱う使い方が続いているなら、容認の条件を決めたうえで、会社の契約の環境へ切り替えることをおすすめします。
この記事は、社員が個人で契約したCopilot Pro(や代わりの選択肢のMicrosoft 365 Premium)を仕事に使っていると気づいた、社員10〜200名の会社の総務・情報システム担当・経営者に向けて、その個人契約を会社としてどう扱うかの判断材料をまとめたものです。Copilotという名前の製品がいくつあるか、個人向けプランの価格表の全体、個人アカウントと会社アカウントでデータの扱いがどう違うかの全体像は、親記事のCopilotとは?同じ名前の製品の違いと会社で安全に使う方法で整理しています。ここでは、個人契約と会社の関係に絞って掘り下げます。
※料金・プラン・規約の内容は、2026年9月18日時点でMicrosoftの公式ページ(個人向け価格、一般法人向け価格、サポート記事、Microsoft Learn、Microsoft サービス規約)に表示されている内容です。個人向けプランの価格は公式ページに税込・税別の記載がないため、表示額のまま書いています。一般法人向けの価格は公式ページの表記どおり税別です。
結論:社員のCopilot Pro、会社としての扱い方
社員の個人契約は、入れる情報が公開情報だけで、使う人が少数のうちは条件付きで容認できますが、顧客情報や社内の資料を扱い始めた時点で会社の契約に切り替えるのが筋です。理由は料金ではなく、契約の名義にあります。Copilot ProもMicrosoft 365 Premiumも、Microsoftと社員個人との契約です。会社がその費用を負担していても、アカウントの持ち主は社員で、個人のアカウントの設定を変えられるのも、その履歴を見られるのも、解約できるのも本人だけです。
一方で、個人の契約を業務に使うことをMicrosoftが一律に禁じているわけではありません。後で詳しく見るとおり、Microsoftのサポート記事は、個人向けのPersonal・Family・Premiumの所有者が職場で安全かつ準拠した方法でCopilotを使えるようになったと案内しており、会社のWordやExcelのファイルに個人のCopilotを使う仕組み(複数アカウントアクセス)も用意されています。この仕組みは、会社が設定をしていなければ既定で使える状態です。つまり「気づいたら使われていた」は、社員の落ち度というより、初期状態のまま放置された結果として起こります。
1. Copilot Proは新規購入できず、Microsoftが代わりの選択肢の1つとして案内しているのはMicrosoft 365 Premium。どちらも個人の契約で、会社は管理できない。
2. 会社のファイルに個人のCopilotを使う仕組みは既定で有効。認めるか止めるかを会社が決めて、管理画面で設定する。
3. 業務の情報を扱うなら、職場アカウントのCopilot Chatを全員に行き渡らせ、会社のメールやファイルを横断して参照したい人、アプリ内のCopilotを優先アクセスで使いたい人にだけ有料のアドオンを付ける形に移す。
Copilot Proの販売終了と、代わりの選択肢のMicrosoft 365 Premium
Copilot Proは、2026年9月18日時点で新規に購入できない状態です。Microsoftのサポート記事「Microsoft Copilot Pro について」には、Copilot Proは購入できなくなり、既存のサブスクライバーは2026年8月1日にキャンセルまたはサポートが終了するまで引き続き使用できる、という趣旨の注記があります。同じ記事では、Copilot Proの終了後もCopilotを広く使いたい場合の選択肢の1つとして、Microsoft 365 Premiumが挙げられています。
Microsoftの個人向け価格ページ(個人向け Copilot の価格プラン)にも、2026年9月18日時点でCopilot Proの名前は載っていません。並んでいるのはMicrosoft 365 Personal・Family・Premium・Proの4つです。検索でCopilot Proの解説記事を開くと、現行の商品として月額の料金や機能を紹介しているページがまだ多く見つかりますが、会社として判断するときは、新しく契約できるのはPremium以下の個人向けプランだという前提に立ってください。
社員の契約がいま何になっているかは、本人の画面でしか分からない
2026年8月1日という日付はすでに過ぎていますが、その日以降に個々の既存契約がどう扱われたかは、契約者本人のMicrosoftアカウントで確認するしかありません。会社側からは見えないためです。社員に聞くときは「Copilot Proを使っているか」ではなく、「Microsoftアカウントのサブスクリプションのページに、いま何が表示されているか」を確認してもらうと、Premium・Family・Personalなど別のプランに変わっている場合も漏れなく拾えます。確認の場所は、後半の切り替え手順で説明します。
名前の似た別プラン:Microsoft 365 ProとGitHub Copilot Pro
個人向け価格ページには、Microsoft 365 Proという月額16,000円(月額請求のみ)のプランがあります。名前にProが付いていますが、AIの利用量を最大量とした別のプランです。Microsoftのサポート記事がCopilot Proの後の選択肢として挙げているのはMicrosoft 365 Premiumで、Microsoft 365 Pro(月額16,000円・月額請求のみ)は挙げられていません。社員から「Copilot Proの代わりにMicrosoft 365 Proを契約した」と申告があった場合は、Premiumとの取り違えがないか、金額と合わせて確認してください。
また、GitHub Copilot Proは、プログラムを書く開発者向けのGitHub Copilotの有料プランで、ここで扱うCopilot Proとは別の製品です。開発部門の経費精算に「Copilot Pro」とだけ書かれていたら、どちらの製品かを確かめる必要があります。
Copilot Proの料金と、代わりの選択肢Premiumの料金
Copilot Proは公式の料金表から外れているため、いま比べるべき金額は、代わりの選択肢として案内されているMicrosoft 365 Premiumの月額3,200円・年額32,000円です。個人向け価格ページ(2026年9月18日時点)の表示は次のとおりです。
- Microsoft 365 Premium:月払い3,200円/年払い32,000円。最大6人で共有できるが、AI機能はサブスクリプションの所有者のみ。AIの利用量の表記は「充実」で、高度なリサーチや分析などを代わりに行うエージェント型のAI機能を含む
- Microsoft 365 Family:月払い2,740円/年払い27,400円。最大6人で共有、AI機能は所有者のみ
- Microsoft 365 Personal:月払い2,130円/年払い21,300円。1人用
- Microsoft 365 Pro:月払い16,000円(月額請求のみ)。最大6人で共有、AI機能は所有者のみ。AIの利用量の表記は「最大量」
4つのプランの細かな違いと、無料版を含めた選び方は親記事のCopilotとは?同じ名前の製品の違いと会社で安全に使う方法で扱っています。会社としての判断に必要なのは、金額そのものより次の2点です。
FamilyやPremiumを部署で共有しても、AIを使えるのは所有者1人だけ
FamilyとPremiumは最大6人で共有できますが、AI機能はサブスクリプションの所有者だけが使えて、共有できません。個人向け価格ページの脚注には、AI機能はサブスクリプションの所有者のみが利用でき共用できないこと、使用量の制限が適用されることが書かれています。よくある質問でも、Word・Excel・PowerPoint・OutlookなどのアプリにおけるAI機能と、DesignerなどのアプリでのAI機能の高度な利用は所有者のみ、と説明されています。
そのため、部署でPremiumを1つ契約して5人に共有する、という節約の方法は、AIに関しては成り立ちません。共有された5人が使えるのはOfficeアプリなどAI以外の部分で、Copilotを使えるのは契約した1人だけです。「部署の費用で1つ買って回している」という運用を見つけたら、実際にAIを使っているのが誰なのかを確認してください。
そもそも個人利用向けと明記されている
同じ価格ページのよくある質問には、FamilyとPremiumは個人利用向けに設計されており、職場での共同作業にはMicrosoft 365 CopilotやMicrosoft 365 Business Basic・Standard・Premiumなどの一般法人向けプランをすすめる、という趣旨の回答があります。個人向けプランの売り場で、Microsoft自身が会社の共同作業には法人向けを案内している点は、社内で方針を説明するときの根拠として使えます。
無料版との違い(AIの利用量・画像生成)
無料版との違いは、AIを使える量と、Word・ExcelなどのアプリでCopilotを使えるかどうかの2点に集約されます。個人向け価格ページでは、Personal・FamilyのAI利用量は「無料より多くの使用量」、Premiumは「充実」、Proは「最大量」と表示されています。具体的な回数は公式ページに書かれていないため、この記事でも回数では比べません。
もう1つの違いが、Microsoft 365アプリの中のCopilotです。サポート記事「自宅向け Microsoft 365 アプリの Copilot:データとプライバシー」は、Personal・Family・Premium・Proの契約でWord・Excel・PowerPoint・Outlook・OneNoteの中のCopilotを使う場合を対象にしています。個人のMicrosoftアカウントでサインインして使うもので、個人用のメールアドレスでのサインインがその例として挙げられています。
個人向けのCopilotアプリについては、サポート記事「個人向けの Microsoft Copilot:データ、プライバシー、責任ある AI」に、Microsoft 365のサブスクリプションがない場合はCopilotに広告が表示されることがあると書かれています。チャット履歴、メモリ、Web検索、広告のパーソナライズといった設定は、利用者が自分のアカウントで各自に行う形です。会社の目線で言い換えると、無料版でも有料版でも、個人アカウントの設定は社員1人ひとりが持っていて、会社からは見えず、揃えることもできません。
画像生成(Designer)で変わること
画像生成については、個人向け価格ページのよくある質問に、Designerなどのアプリにおける AI 機能の高度な利用は所有者のみ、と書かれています。つまり有料の個人プランでは、無料版より充実した画像生成を使えるのは契約した本人だけです。回数や解像度などの具体的な上限は、公式の個人向け価格ページには示されていません。
会社として気にしたいのは、画像生成の量よりも使い道です。社員が個人アカウントで作った画像を会社のチラシやWebサイトに使う場合、その画像がどのアカウントのどの条件のもとで作られたのかを会社は後から確認できません。広告物・販促物など社外に出す制作物に生成画像を使うなら、会社の契約の環境で作る、または社内ルールで使ってよい場面を決めておくのが安全です。ルールの作り方は生成AIの社内ガイドラインの作り方にまとめています。
Word・Excel・PowerPoint・Outlookの中でできること
会社が止める設定をしていなければ、個人のPersonal・Family・Premiumを持っている社員は、会社のアカウントで開いたWord・Excel・PowerPoint・Outlook・OneNoteのファイルに対して、自分の個人契約のCopilotを使えます。これがMicrosoft Learnの記事「職場および学校ドキュメント用の Microsoft Copilot への複数アカウント アクセス」で説明されている仕組みです。社員の側では便利な機能として紹介されることが多いため、ここでは会社側から見た動き方を具体的に確認しておきます。
記事によると、複数のアカウントでのサインインに対応したMicrosoft 365アプリ(デスクトップ版とモバイル版のWord・Excel・PowerPoint・Outlook・OneNote)では、あるアカウントのCopilotを、別のアカウントのドキュメントに対して使えます。個人のMicrosoftアカウントを職場のアプリに追加しておけば、会社のファイルを開いたまま、個人の契約に付いているCopilotを呼び出せるということです。
複数アカウントアクセスでできること・できないこと
できる範囲は、開いているファイルとWebに限られます。Microsoft LearnとMicrosoftサポートの記事にある対照は次のとおりです。
- できること:いま開いているドキュメントについての質問、支援付きの編集/Web検索で答えられる質問/アクセスできる特定のドキュメントを参照した下書き
- できないこと:組織の Microsoft Graph(会社のメール・予定表・ファイルなどをつなぐ仕組み)へのアクセス/開いていない他のドキュメントについての質問
利用できるアプリは、Windowsの場合Excel・OneNote・Outlook(新版)・PowerPoint・Word、MacではExcel・OneNote・Outlook・PowerPoint・Wordです。iPadではExcel・PowerPoint、iOSではOneNote・Outlook・PowerPoint・Word、AndroidではOutlook・PowerPoint・Wordが対象として挙げられています。
データ保護についてLearnの記事は、Microsoft Copilotのデータ保護は常にファイルへのアクセスに使われるIDに基づく、と説明しています。会社のアカウントで開いたファイルなら、会社側の保護が効くという意味です。Web検索の設定も職場側のIDに従います。サポート記事でも、Copilotの操作はすべて監査でき、会社のID・アクセス許可・コンプライアンスポリシーは引き続き有効だと説明されています。
既定で使える状態になっている理由と、止めるときの設定場所
この仕組みは、会社が何も設定していなければ使える状態です。Learnの記事には、ポリシー設定を有効にした場合または構成しなかった場合、組織外からのCopilotライセンスを使って職場・学校のドキュメントでCopilotを使える、とあります。構成しなかった場合も含まれている点が重要で、設定を触ったことがない会社では、社員の個人契約のCopilotが会社のファイルに対して動く状態になっています。
止めるとき、または一部の社員だけに認めるときは、Microsoft 365 のクラウド ポリシー サービスで、ポリシー「職場の Copilot ドキュメントへの複数のアカウント アクセス」を構成します。サポート記事「職場で Microsoft 365 Personal、Family、または Premium を使用する」でも、管理者はクラウドポリシーで、一部またはすべてのユーザーについて、個人のサブスクリプションを通じた仕事用コンテンツでのCopilotの使用を無効にできると説明されています。
Microsoft 365 のクラウド ポリシー サービスで、「職場の Copilot ドキュメントへの複数のアカウント アクセス」が構成されているかどうか。未構成なら、個人契約のCopilotは会社のファイルに対して使える状態です。認める・止める・一部の人だけ認める、のどれにするかを決めてから設定してください。
会社契約側のアプリ内Copilotでできること
比較のために、会社の契約でのアプリ内Copilotも見ておきます。Microsoft Learnの説明では、Microsoft 365 Copilot (Basic) で使えるアプリ内機能として、Wordではドキュメントの下書き・書き換え・要約、Excelではデータの分析・分析情報の生成・数式やビジュアルの作成、PowerPointではプロンプトや既存のコンテンツからのプレゼンテーション作成・要約・編集、Outlookではメールの下書き・スレッドの要約・明確さやトーンを改善するヒント、OneNoteでは下書きの計画やアイデア出しが挙げられています。Teamsの会議の要約(最大30日間)と文字起こし、Formsの質問の下書きも含まれます。
個人契約の複数アカウントアクセスとの差は、TeamsやFormsまで広がることと、上位のライセンスでは会社のメール・ファイル・会議といった業務データを自動で参照できることです。後者は、次の章で説明する3段階のライセンスの違いに関わります。
個人契約を業務で使うときの注意(規約・データ・経費精算・退職)
個人契約を業務に使うときに会社が押さえるべき論点は、契約の条文、データの扱い、費用の払い方、退職時の4つです。商用利用の可否は伝聞で語られがちなので、ここでは、公式の記載をそのまま並べたうえで、どこから先を社内で確かめる必要があるかを整理します。
Microsoft サービス規約 第13条h.iの条文
Microsoft サービス規約(公開日2025年7月30日・発効日2025年9月30日)の第13条h.iは、Microsoft 365 Family、Microsoft 365 Personal、Microsoft 365 Basicなどについて、次のように定めています。
マイクロソフトとの別途の契約に基づき商用利用権を有していない限り、お客様が個人的に非商用目的で使用するためのものです。(Microsoft サービス規約 第13条h.iより抜粋)
この条文には「その他の Microsoft 365 アプリまたはサービス」という言葉も含まれており、続けてWordやExcelなどの使用には追加のライセンス条件(aka.ms/useterms)が適用されると書かれています。Premiumは名指しされていませんが、「その他の Microsoft 365 アプリまたはサービス」に含まれるかどうかは条文だけでは判断できません。
サポート記事の「職場で安全かつ準拠した方法で使用できる」
一方、Microsoftのサポート記事「職場で Microsoft 365 Personal、Family、または Premium を使用する」には、Personal・Family・Premiumのサブスクリプション所有者は、職場で安全かつ準拠した方法でCopilotを使用できるようになった、とあります。複数アカウントアクセスのように、会社のアカウントで開いたファイルに個人のCopilotを使う形を想定した案内です。
規約の条文とサポート記事の案内のどちらがどの場面に優先して当てはまるのか、日本の利用者に対する追加のライセンス条件にどう書かれているのかは、この記事では断定しません。個人契約を業務に使うことを会社として認めるかどうかを決める前に、契約上の扱いを法務担当やMicrosoftの販売窓口で確認してください。確認の結果がどうであれ、会社が管理できないという次の3点は変わりません。
データの扱い:アプリ内のCopilotと、個人のCopilotアプリは別
個人アカウントのデータの扱いは、どこでCopilotを使うかによって分かれます。サポート記事によると、Microsoft 365アプリの中のCopilotを使う場合のプロンプト、応答、ファイルの内容は、基礎モデルのトレーニングには使われません。アプリ内のCopilotはMicrosoft サービス契約の対象で、コンテンツを分析するエクスペリエンスと、すべてのコネクテッド エクスペリエンスという2つのプライバシー設定に依存し、どちらかをオフにするとExcel・OneNote・Outlook・PowerPoint・WordでCopilotを使えなくなります。
個人のMicrosoftアカウントでCopilotアプリにサインインする場合には、Microsoft サービス規約とCopilotの使用条件が適用されます。会社の職場アカウント(Microsoft Entraアカウント)でサインインした場合のエンタープライズ データ保護とは、別の条件です。会社が気にするべきなのは、社員がWordの中から会社のファイルに使う場面より、会社の資料の内容を個人のCopilotアプリに貼り付けて相談する場面です。後者は会社のアカウントの外で起きるため、会社の保護も記録も届きません。
経費精算で払っても、契約の名義は個人のまま
経費精算は、費用を会社が負担するだけで、契約の名義を会社に移すものではありません。立替精算を認めても、Microsoftとの契約は社員個人のもので、Microsoftアカウントも社員のものです。会社ができるのは、精算を認めるか打ち切るかの判断までで、次のことはできません。
- 契約の解約・利用の停止(解約は本人がMicrosoftアカウントのサブスクリプションのページから行う)
- チャット履歴・メモリ・プライバシー設定の確認や変更
- 個人のCopilotアプリで、誰が・いつ・何を入力したかの記録の取得
- 支払方法の変更や、他の社員への契約の付け替え
毎月の精算で会社が見ているのは、金額と領収書だけです。精算を認める運用は、費用の負担を会社が引き受けながら、管理の権限は何も持たない形だと理解したうえで判断してください。見えないAI利用全般への向き合い方はシャドーAI(野良AI)対策でも扱っています。
退職・異動のときに本人のもとに残るもの
個人契約である以上、社員が退職しても、個人のMicrosoftアカウントとそのサブスクリプションは本人のもとに残ります。個人のCopilotアプリでのチャット履歴やメモリ、個人のOneDriveに保存したファイルも、本人のアカウントの中のものです。会社のアカウントを停止しても、個人のアカウントには手が届きません。会社のファイルを開いて使った場合の保護は会社側のIDで効きますが、個人アプリに貼り付けた内容や、個人の保存先に移したファイルは、会社の管理の外にあります。
個人のアカウントの中身が退職後にどう保持されるか、細部までの公式の記載はありません。会社から個人のアカウントの中身の消去や回収を指示する仕組みは、公式の案内には見当たりません。退職時の手続きに「業務で使った個人のAIアカウントに会社の情報を残していないかの確認」を入れる会社もありますが、確認できるのは本人の申告までです。
個人契約のCopilot Proは、データも請求も本人名義のままで会社は管理できません。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
法人向け(Microsoft 365 Copilot)との違いと、会社はどちらを選ぶか
業務の情報を扱う前提なら、会社が選ぶのは法人向けです。個人向けとの違いは、機能の多さより、会社がアカウント・データ・費用を管理できるかどうかにあります。なお、Microsoft Learnの記事によると、Microsoft 365 Copilotは名前がMicrosoft Copilotに、Microsoft 365 Copilot ChatはMicrosoft Copilot Chatに変わっており、移行期間中は旧名が残る場面があります。この記事では料金ページの表記に合わせて旧名も併記します。
職場アカウントのCopilot Chatは追加料金なし
会社にすでに対象のMicrosoft 365の法人契約があるなら、職場アカウント(Microsoft Entraアカウント)のユーザーは、Microsoft 365 Copilot Chatを追加料金なしで使えます。大企業向けの料金ページには、対象となるMicrosoft 365サブスクリプションを持つすべてのMicrosoft Entraアカウントユーザーが、安全でエンタープライズ対応のAIチャットを追加料金なしで利用できる、とあります。一部のMicrosoft 365アプリでもCopilotを使えます。ただし、エージェントの利用は従量課金で、Azureサブスクリプションが必要です。
個人契約のCopilotを業務に使っている社員の多くは、Web検索つきのチャットや文章の下書きが目的です。その用途なら、まず職場アカウントのCopilot Chatで足りるかを試してもらうのが、費用のかからない最初の一歩です。
ライセンスは3段階
Microsoft Learnの説明では、会社のCopilotは次の3段階に分かれます。
- Copilot Chat (Basic):Webデータのみで回答。Word・Excel・PowerPoint・OneNoteの中のCopilotにはアクセスできない。組織のコンテンツは、貼り付け・ファイルのアップロード・TeamsやOutlookで開いている内容を対象にする形で使う
- Microsoft 365 Copilot (Basic):Webデータのみ(アドオンなし)。アプリ内のCopilotに標準アクセス(優先アクセスは含まれない場合があり、サービスの容量で変動)
- Microsoft 365 Copilot (Premium):Webに加えて、会社のメール・ファイル・会議などの作業データ(Microsoft GraphとWork IQ)を自動で参照。すべての機能に優先アクセス、管理者向けの管理機能と使用状況レポートを含む
職場アカウントでサインインすれば、どの段階でもエンタープライズ データ保護の対象になり、Microsoft Graph経由でアクセスされるプロンプト・応答・データは基礎となるLLMのトレーニングに使われないと説明されています。管理者はコンテンツ検索やMicrosoft Purviewでデータを表示・管理でき、保持のポリシーも設定できます。個人契約では、これらの管理はどれも会社の手の届かないところにあります。
個人契約と会社契約、会社が持てる権限の違い
- アカウントの持ち主:個人契約は社員本人/会社契約は会社(職場アカウント)
- 使える人を決める:個人契約は本人が勝手に始めて勝手にやめる/会社契約は管理者がライセンスを割り当てる
- 適用される条件:個人契約はMicrosoft サービス規約とCopilotの使用条件/会社契約はエンタープライズ データ保護
- 履歴の確認:個人契約は、個人のCopilotアプリでの利用は会社から見えない(会社のファイルに使った操作は監査の対象)/会社契約は管理者がPurviewなどで管理できる
- 退職時:個人契約は本人に残る/会社契約は会社がアカウントを止められる
- 会社のデータの参照:個人契約は開いたファイルとWebまで/会社契約の上位ライセンスは会社のメール・ファイル・会議まで
一般法人向けのプランは、料金ページによると対象のMicrosoft 365プランのライセンスが別途必要で、最大300ユーザーまでです。社員10〜200名の会社なら、この一般法人向けの範囲に収まります。料金の細かな構成と、2年目以降の総額の考え方はMicrosoft 365 Copilotの料金で詳しく扱っています。
容認か会社契約かを決める3つの問い
判断は、入れる情報、使う人数、会社にMicrosoft 365の法人契約があるか、の3つの問いで足ります。順に答えていくと、個人契約のまま容認する・条件付きで容認する・会社契約へ移す、のどれかに落ち着きます。
- 問い1:顧客情報・個人情報・社内の非公開資料を入れているか入れている(または入れる可能性がある)なら、会社契約へ移す。入れていない、公開情報の調べものや一般的な文章の下書きだけなら、問い2へ。
- 問い2:業務で使っている人は何人か、増えそうか1〜2人で用途も限られるなら、条件付きの容認で様子を見られる。部署単位で広がっている、あるいは広がりそうなら、会社契約へ移す準備を始める。
- 問い3:会社にMicrosoft 365の法人契約(Business Basic・Standard・Premiumなど)があるかあるなら、職場アカウントのCopilot Chatを追加料金なしで全員に出せるため、会社契約への移行の負担は小さい。ないなら、法人契約そのものを含めた検討になり、他の法人向けAIサービスも比較の対象になる。
判断の結果ごとに決めること
公開情報だけを扱う、少人数の、試しの利用に限る。容認の範囲(扱ってよい情報)を文書で示し、精算の対象にするかどうかも決める。複数アカウントアクセスは止めておく。
期限(例:会社契約に移すまでの数か月)と、扱ってよい情報・扱ってはいけない情報を明示する。複数アカウントアクセスを認めるなら対象者を絞って設定し、個人のCopilotアプリへの会社資料の貼り付けは禁止と明記する。
職場アカウントのCopilot Chatを全員へ、会社のメールやファイルを横断して参照したい人・アプリ内のCopilotを優先アクセスで使いたい人にだけ有料アドオンを付ける。個人契約の経費精算は打ち切り日を決めて終了し、複数アカウントアクセスは原則として止める。
どの結果でも、社内のAI利用ルールと合わせて決めておくと、次に別のAIサービスで同じ問題が起きたときにも同じ基準で判断できます。点検の項目は生成AIのセキュリティチェックリストが使えます。
人数別の年額の目安(10・30・50名)
1人あたりの金額だけを見ると、個人のPremiumのほうが会社契約より安く見えますが、比べているのは同じものではありません。以下は、社員全員が個人のPremiumを年払いで契約して会社が精算した場合と、会社の契約で揃えた場合の年額を、公式ページの表示額から計算した目安です。
| 前提(1人あたり年額) | 10名 | 30名 | 50名 |
|---|---|---|---|
| 個人のMicrosoft 365 Premium(年払い32,000円・公式ページの表示額) | 320,000円 | 960,000円 | 1,600,000円 |
| Microsoft 365 Business Standard と Copilot Business(年払い月3,523円相当×12=42,276円・税別) | 422,760円 | 1,268,280円 | 2,113,800円 |
| 既存の法人契約に Copilot Business アドオン(年払い月3,148円相当×12=37,776円・税別) | 377,760円 | 1,133,280円 | 1,888,800円 |
| 同アドオンの割引価格(月2,698円相当×12=32,376円・税別・条件は下記) | 323,760円 | 971,280円 | 1,618,800円 |
| 既存の法人契約で職場アカウントの Copilot Chat のみ | 追加料金なし | 追加料金なし | 追加料金なし |
※2026年9月18日時点の公式ページの表示額で計算。個人向けプランの価格は公式ページに税込・税別の記載がないため税を足していません。一般法人向けは公式ページの表記どおり税別(「価格には消費税は含まれていません」)です。アドオンの行は、対象となる法人契約(Business Standardなど)の費用が別途かかります。Copilot Businessの割引価格2,698円は、2026年7月1日から12月31日までの申込みが対象で、対象のビジネスプランを利用している既存のMicrosoft 365顧客のみ、年間契約が必要で、プロモーション価格は初年度にのみ適用されます(2年目以降は通常の3,148円で計算)。試用版サブスクリプションは対象外で、他のオファーとは併用できません。月払いのアドオンは月3,778円(税別)です。
表から読み取れること
1人あたりでは、個人のPremium(年32,000円)が、アドオンの通常価格(年37,776円)やBusiness Standardとのセット(年42,276円)より安く表示されています。アドオンの割引価格(年32,376円)は初年度だけPremiumとほぼ並びます(税の扱いが異なる額どうしの比較です)。金額だけで比べると個人契約に分があるように見えますが、差額で会社が手に入れるのは、ライセンスの割り当てと停止、エンタープライズ データ保護、履歴の管理、退職時の停止といった、個人契約では持てない権限です。
もう1つの見方は、全員に有料版を配る必要があるかどうかです。個人契約を業務で使っている社員の用途がチャットと下書き中心なら、既存の法人契約に含まれる職場アカウントのCopilot Chatで多くを置き換えられます。たとえば30名の会社で、会社のメールやファイルを横断して参照したい5名にだけアドオン(通常価格)を付けると、年額は37,776円×5名=188,880円(税別)です。全員にPremiumを精算する960,000円とは、比べる前提がそもそも違ってきます。AIの費用を部署ごとにどう管理するかは生成AIのコスト管理、他の法人向けサービスとの料金の並びは法人向け生成AI 38サービスの料金比較を参考にしてください。
会社契約へ切り替える5つの手順と、社内への通知文
切り替えは、棚卸しから精算の打ち切りまでの5段階で進めると、途中で業務が止まりません。個人契約を急に禁止すると、使っていた社員が別の個人向けAIサービスに移るだけになりやすいため、代わりの環境を先に用意してから個人契約を終わらせる順番が大切です。
- 棚卸し:誰が、どの個人プラン(Copilot Pro・Premium・Family・Personal・Proなど)を、何の業務に使っているかを聞き取る。経費精算の履歴に「Microsoft」「Copilot」が含まれる明細がないかも確認する。GitHub Copilotの精算は別製品として分けて扱う
- 職場アカウントのCopilot Chatを全員へ:法人契約があれば追加料金なしで使える。使い方と、入れてよい情報の範囲を短く案内する
- 有料アドオンを付ける人を選ぶ:会社のメールやファイルを横断して参照したい人、アプリ内のCopilotを優先アクセスで使いたい人を選び、Copilot Businessなどを割り当てる。アドオンなしでアプリ内のCopilotがどこまで使えるかは、契約とテナントの構成で異なるので、先に管理者が確かめる。割引価格の適用条件(申込期間・初年度のみ)も確認する
- 複数アカウントアクセスの方針を決めて設定:Microsoft 365 のクラウド ポリシー サービスで「職場の Copilot ドキュメントへの複数のアカウント アクセス」を構成する。会社契約へ移すなら原則は無効、移行期間だけ一部の人に認めるなら対象を絞る
- 個人契約の解約と精算の打ち切り日を周知:経費精算を受け付ける最後の月を決めて通知する。解約は本人の操作になるため、手順も合わせて伝える
画面で確認する場所(アカウントの追加・サブスクリプションページ)
棚卸しと解約で社員に見てもらう画面は2つです。実際の操作は社員本人の画面で行うため、次の場所を案内すると話が早くなります。
- いま何を契約しているか・解約:購入に使ったMicrosoftアカウントの[サブスクリプション]ページを開き、Copilot Pro(またはPremiumなど)を見つけて[管理]→[キャンセル]。Copilot Proの解約手順として、Microsoftのサポート記事に書かれている流れです
- 職場のアプリに個人のアカウントを追加しているか:Word・ExcelなどのMicrosoft 365アプリのヘッダーにあるアカウントのプロファイルを開くと、[アカウントの追加]で追加されたアカウントが並びます。個人のアカウントが追加されていれば、複数アカウントアクセスで個人のCopilotを会社のファイルに使える状態です
管理者側で見る場所は、前述のMicrosoft 365 のクラウド ポリシー サービスです。社員の画面の確認と、管理側のポリシーの設定を同じ週に行うと、確認した時点の状態と設定がずれにくくなります。
社内への通知文のひな形
そのまま社内のチャットやメールで使える短い文面です。会社名・日付・担当部署は置き換えてください。
業務でCopilotを使っている皆さんへ。
これまで個人で契約したCopilot Pro・Microsoft 365 Premiumなどを業務に使い、経費精算していただいていたケースがありました。個人の契約は会社で管理ができないため、今後は会社のアカウントのCopilotに切り替えます。
1. ◯月◯日から、会社のアカウントでCopilot Chatが使えます(追加の費用はかかりません)。
2. 会社のメールやファイルを横断して参照したい方、Word・Excelの中のCopilotを優先アクセスで使いたい方は、◯月◯日までに情報システム担当へお知らせください。
3. 個人契約の経費精算は◯月分までで終了します。個人契約を続けるかどうかはご自身で判断してください。解約は、Microsoftアカウントのサブスクリプションのページから行えます。
4. ◯月◯日以降、会社のファイルに個人契約のCopilotを使う設定は無効にします。顧客情報や社内資料を、個人のアカウントのAIに貼り付けないでください。
不明な点は◯◯(担当)までご連絡ください。
通知の前に、社内のAI利用ルールで扱ってよい情報の範囲を決めておくと、4.の一文に具体的な例を足せます。個人の利用を責める文面にしないことも、移行を早く進めるうえで効きます。
個人の経費精算から、会社の契約でAIを使う環境へ
社員が個人で契約したAIを経費で落とす運用は、費用は会社が払っても管理は本人の手元に残ります。UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けAI基盤です。全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面ではUPGEAR AI上の利用状況を利用者・日時・利用モデル単位まで把握できます。料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
Copilot Proは今から申し込めますか?
社員のCopilot Proを会社の経費で払えば、会社の契約になりますか?
個人のMicrosoft 365 Premiumで、会社のWordやExcelのファイルにCopilotを使えますか?
Microsoft 365 FamilyやPremiumを部署で1つ契約して共有すれば、全員がAIを使えますか?
Microsoft 365 ProはCopilot Proの代わりになるプランですか?
会社にMicrosoft 365の法人契約があれば、追加料金なしでCopilotを使えますか?
まとめ
Copilot Proは新規購入ができず、公式サポートでは既存契約も2026年8月1日までと案内されており、Microsoftが代わりの選択肢の1つとして案内しているのはMicrosoft 365 Premiumです。社員の手元にあるのがCopilot ProでもPremiumでも、それは社員個人とMicrosoftの契約で、経費精算で会社が払っていても、会社は解約・停止ができず、個人のCopilotアプリでの利用履歴も確認できません。退職すれば、個人のアカウントとその中身は本人のもとに残ります。
その一方で、個人のPersonal・Family・Premiumで会社のファイルにCopilotを使う複数アカウントアクセスは、会社が設定をしていなければ既定で使える状態です。サービス規約第13条h.iの条文と、職場で安全かつ準拠した方法で使えるとするサポート記事の案内のどちらをどう当てはめるかは、法務担当やMicrosoftの販売窓口で確認したうえで、会社として認めるか止めるかを決めて、クラウドポリシーで設定してください。
判断は、入れる情報・使う人数・法人契約の有無の3つの問いで足ります。業務の情報を扱うなら、職場アカウントのCopilot Chatを全員へ、必要な人にだけ有料アドオンを付け、個人契約の精算に打ち切り日を設ける順番で進めると、業務を止めずに移れます。他のAIサービスでも同じ問題は起きるため、今回の判断を社内のAI利用ルールに書き残しておくと次に役立ちます。
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