Microsoft 365 Copilotの無料版でできることと、会社で追加料金が要る機能

Microsoft 365 Copilotの無料版とは、法人向けMicrosoft 365の対象プランに追加料金なしで付くCopilot Chatのことです。無料のままでもWebを根拠にしたチャットや要約、画像の作成、Outlookでの受信トレイへの質問は出来ますが、社内のメール・会議・ファイルを自動で横断する回答と、アプリ内での優先アクセスには有料のアドオンが必要となります。さらに無料版には2段階あり、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteの中で使えるかどうかは会社の契約と構成で変わってしまいます。まずは自社の画面に出るラベルを確かめ、そのうえで有料を付ける人を絞り込んでみてください。

法人のMicrosoft 365にはCopilot Chatが追加料金なしで付く

会社でMicrosoft 365の対象プランを契約していれば、Microsoft Entraの職場アカウントを持つ社員は、Copilot Chatを追加料金なしで使うことが出来ます。Microsoftの大企業向けの料金ページでも、Copilot Chatはプランに含まれるものとして表示されています。ただし、アプリの中で使えるのは一部に限られ、組織のデータを使うエージェントは従量課金の扱いとなります。

料金表や人数別の総額、2年目以降の金額はMicrosoft 365 Copilotの料金|2年目以降を含む人数別総額にまとめました。ここでは、無料のまま何が出来て、どこから追加料金が要るのかに絞って見ていきます。

名前が変わった:Microsoft CopilotとCopilot Chat

2026年9月時点のMicrosoftの公式ドキュメントでは、Microsoft 365 CopilotはMicrosoft Copilotに、Microsoft 365 Copilot ChatはMicrosoft Copilot Chatに名前が変わったと案内されています。移行期間中は旧名も残るとされ、一般法人向けの料金ページは今もMicrosoft 365 Copilot Businessの表記のままです。個人向けの無料版もMicrosoft Copilotという名前のため、同じ名前が個人の無料版と会社の有料版の両方を指すことになってしまいます。以下では検索でよく使われる旧名を中心に書き、法人の無料版はCopilot Chat、有料のアドオンはMicrosoft 365 Copilotと呼び分けます。

個人向けのPersonal・Family・Premiumとの違い

個人向けには、サインインしなくても使える無料のMicrosoft Copilotと、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・OneNoteの中でCopilotが使える有料のMicrosoft 365 Personal・Family・Premiumがあります。公式の個人向け料金ページでは、月払いでPersonalが月2,130円、Familyが月2,740円、Premiumが月3,200円と表示されています。FamilyとPremiumは最大6人で共有できても、AIの機能を使えるのはサブスクリプションの所有者だけに限られます。同じページのよくある質問でも、職場での共同作業には一般法人向けプランをすすめており、会社の業務は法人の契約で考えるのが筋となります。

※個人向けの価格は、2026年9月16日時点でMicrosoftの個人向け料金ページに表示されている金額です。ページに税込・税抜の表記はありません。

Copilot Proは新規購入できない

以前の個人向け有料版だったCopilot Proは、公式のサポートページで購入できなくなったとの案内があります。既存の契約も2026年8月1日にサポートが終了すると案内されており、続けて使う方向けの選択肢としてMicrosoft 365 Premiumが挙がっています。社員が個人で契約していた場合の扱いはCopilot Proを社員が個人で契約していたらで取り上げました。

無料版は2段階ある|Copilot Chat(Basic)とMicrosoft 365 Copilot(Basic)

Microsoftの概要ドキュメントでは、Copilotの利用者をCopilot Chat(Basic)、Microsoft 365 Copilot(Basic)、Microsoft 365 Copilot(Premium)の3つに分けています。このうち前の2つがアドオンなしの無料の範囲で、Premiumだけが有料のアドオンを持つ人となります。無料の2つの差は、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteの中でCopilotを使えるかどうかにあります。

Copilot Chat(Basic):アプリの中には入れない

Copilot Chat(Basic)は、対象のMicrosoft 365ライセンスに含まれる単独のチャットで、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteのCopilotにはアクセスできません。回答の根拠はWebのデータで、社内の資料を使わせたいときは、貼り付けるかファイルをアップロードするか、TeamsやOutlookで開いている内容を対象にするか、組織のデータにアクセスできる従量課金のエージェントを使う形となります。社内のメールやファイルをつなぐMicrosoft Graphという仕組みには届かない区分です。

Microsoft 365 Copilot(Basic):アプリの中で標準アクセス

Microsoft 365 Copilot(Basic)は、アドオンを持たないまま、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteのCopilotに標準アクセスで入れる区分となります。ただし公式には、完全なチャットの統合や優先アクセスが含まれない場合があり、標準アクセスはサービスの容量の影響を受けて1日の中でも変わると書かれています。同じ無料でも、混み合う時間帯には使い勝手が変わることを見込んでおきましょう。

Microsoft 365 Copilot(Premium):有料のアドオンを付けた人

Premiumは有料のアドオンを割り当てた人の区分で、アプリ内のすべての機能に優先アクセスできます。Webに加えて、Microsoft GraphとWork IQを通じて社内の作業データを自動で参照できるのが、無料との大きな違いとなります。

自社がどれに当たるかを確かめる手順

どの会社がCopilot Chat(Basic)になり、どの会社がMicrosoft 365 Copilot(Basic)になるかの条件は、今回確認した公式の概要ページにもライセンスのページにも書かれていません。そのため、無料版の区分は、記事や噂ではなく自社の画面のラベルで判断するのが確実です。次の順で確かめてみてください。

  • アプリの製品内ラベルを見るExcelなどのCopilotの画面で、M365 Copilot (Premium) はアドオンあり、M365 Copilot (基本) はアドオンなしでも標準アクセスがある状態を示します。ExcelのCopilotを使うには、このどちらかのラベルが必要とされています。
  • Copilot ライセンス詳細診断で社員ごとに確かめるMicrosoftのライセンスのページは、特定のユーザーがCopilotの要件を満たしているかを、この診断で確かめるよう勧めています。
  • 契約しているプラン名を確かめるアドオンの前提となるプランとして、ビジネス向けではMicrosoft 365 Business Basic・Standard・Premium、Microsoft 365 Apps for business、Microsoft Teams Essentialsが挙がっています。大企業向けではMicrosoft 365 E3・E5・F1・F3、Office 365 E1・E3・E5・F3などです。
  • デバイス単位のライセンスでないかを見るMicrosoft 365 Apps for enterpriseをデバイスベースのライセンスで使っている場合、Copilotは使えないとされています。

※区分・ラベル・前提プランの記載は、2026年9月19日時点でMicrosoft Learnの概要ページとライセンスのページ、ExcelのCopilotのよくある質問を確認した内容です。

始め方|会社のアカウントでサインインする

無料のCopilot Chatを業務で使うときは、Microsoft Entraの職場アカウントでサインインしてから開くのが前提となります。Microsoft 365 Copilotアプリか、ブラウザの m365.cloud.microsoft/chat から開けます。Web版のWord・Excel・PowerPointでCopilotを動かすにはサードパーティのCookieを有効にする必要があるため、表示されないときはここも見てみてください。

アプリ別|無料版で使える範囲と有料が要る範囲

無料で届く範囲はアプリごとに違い、Outlookのように無料でも社内の情報に触れられる画面もあります。ここでは、画面ごとに無料版と有料版の境目を並べます。

Copilot Chatの画面|無料版でできること

無料のCopilot Chatでは、Webの情報を根拠にしたAIチャット、文書やWebページの要約、画像の作成、ファイルのアップロードが出来ます。文章の下書きや言い換え、アップロードした資料の要約といった普段の作業であれば、無料の範囲でも困る場面は少ないでしょう。画像の生成は、管理者が管理センターの[Copilot]>[設定]>[Copilot アクション]>[Copilot 画像生成]で止めることも出来ます。

Word・PowerPoint・OneNote・Forms

Microsoft 365 Copilot(Basic)の区分であれば、無料でもWordでは下書き・書き換え・要約、PowerPointではプレゼンテーションの作成・要約・編集、OneNoteでは計画やアイデア、リストの下書きを作れます。Formsでも、質問の下書きからアンケートや投票を作ることが可能です。一方、Copilot Chat(Basic)の区分では、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteの中のCopilotは使えません。有料にすると、これらの機能に優先アクセスが付き、社内の他のファイルやメールを自動で参照した下書きも作れるようになります。

Excel|M365 Copilot (基本) のラベルが要る

ExcelのCopilotを使うには、画面にM365 Copilot (基本) か M365 Copilot (Premium) のラベルが出ている必要があります。アドオンがなくても標準アクセスでデータの分析や数式、グラフの作成は出来ますが、ClaudeとGPTを切り替えるモデルの選択、作業データのソース、フェデレーション コネクタ、エージェント モードは有料の商用サブスクリプション側の機能です。ExcelのCopilotだけを個別に止める設定はなく、Copilot Chatの管理設定がそのまま効きます。ラベルが出ないときの切り分けはCopilot Excelの使い方と必要なライセンスで手順にしました。

Outlook|無料でも受信トレイと予定表に質問できる

Outlookは、無料でも社内の情報に触れられる画面です。Microsoftのサポート記事では、アドオンがなくてもOutlookのCopilot Chatで受信トレイ、予定表、会議などの限られたデータについて質問できると説明されています。アドオンがあれば、これにチャットや組織全体のデータが加わります。Microsoft 365 Copilot(Basic)のアプリ内機能としては、メールの下書き、スレッドの要約、明確さや語調を整えるコーチングも挙がっています。

Teams|会議の要約は自社の画面で確かめる

Teamsの会議の要約については、公式の説明が2つのページで分かれるところです。概要のドキュメントは、アドオンなしのMicrosoft 365 Copilot(Basic)で使える機能に、会議の要約(最大30日間)と文字起こし、アクションアイテムの抽出を挙げます。一方、無料版と有料版の違いを説明するサポート記事は、会議の概要と要約を有料アドオンの特典として挙げています。無料で使えると決めつけず、自社のTeamsで会議の後にCopilotの要約が表示されるかを確かめてみてください。会議の内容を後からCopilotに参照させるには、文字起こしか録画を有効にしておく必要もあります。

有料版(Premium)だけでできること

有料のアドオンで増えるのは、社内のデータを自動で踏まえた回答と、重い作業を任せるエージェント、そして混雑時の優先アクセスの3つが中心となります。

社内のメール・会議・ファイルを横断する回答はPremiumだけ

Premiumでは、Microsoft GraphとWork IQを通じて、メール・ファイル・会議・予定表・チームといった社内の文脈を自動で回答に取り込みます。Work IQは、組織のデータやツールをAIが推論に使えるようにする層で、オンとオフを切り替えられます。無料の2区分で社内の情報を使えるのは、貼り付けやアップロードで渡した資料、OutlookやTeamsで開いている内容、従量課金のエージェントを通した場合に限られ、Graphには届きません。先週の取引先とのやり取りをまとめるような依頼は、有料を付けた人でないと自動では答えられない依頼となります。

リサーチツール・アナリストなどのエージェント

サポート記事では、リサーチツールやアナリストといった推論型のエージェントも有料アドオンの特典に挙がっています。無料の区分で使えるのはWebのデータを使うエージェントが中心で、社内の作業データを使うエージェントは従量課金で別に費用がかかります。Premiumであれば、Webと作業データの両方を使うエージェントが含まれます。

優先アクセスと混雑時の制限

無料の区分の標準アクセスは、サービスの容量によって1日の中でも使い勝手が変わると公式に書かれています。有料のPremiumは、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteのすべての機能に優先アクセスが付く点が違いとなります。

無料版は何回まで使えるか|回数は公表されていない

無料版のCopilot Chatで1日に何回まで質問できるかという回数は、今回確認したMicrosoftの公式ページには載っていません。決まった回数の代わりに、標準アクセスは混雑の具合で変わるという書き方になっています。個人向けのPersonal・Family・Premiumにも使用量の制限が適用されると書かれていますが、具体的な回数までは示されていないのが現状です。

有料版の料金は1人ずつの席課金

有料のアドオンMicrosoft 365 Copilot Businessは、年払いで1ユーザーあたり月3,148円相当(税抜)の、1人ずつの席に付ける課金となります。2026年12月31日までのキャンペーン期間に年間契約で申し込む既存のMicrosoft 365顧客に限り、初年度だけ月2,698円相当になる割引があり、月払いは月3,778円(税抜)に上がります。一般法人向けは最大300ユーザーまでで、大企業向けのMicrosoft 365 Copilotは年払いで月4,497円相当(税抜)と表示されています。社員10人に付けると、年払いで毎月31,480円(税抜)の上乗せとなってしまいます。

※料金は2026年9月19日時点でMicrosoftの公式ページに表示されている金額(税抜)です。割引は初年度のみのため、2年目以降は通常の価格で計算してください。人数別の総額は親記事で扱っています。

無料版・有料版とは別にかかる費用|エージェント・Cowork・Copilot Studio

無料のCopilot Chatのままでも、使い方によっては追加の費用が発生します。公式の料金ページでは、Copilot Chatの利用者も組織が作ったカスタムエージェントを従量課金で使えるとされ、エージェントの利用にはAzureのサブスクリプションが必要と書かれています。前払い方式のCopilot Studioキャパシティパックという買い方もあります。

従量課金の作業データエージェント

無料の2区分では、社内の作業データを使うエージェントは従量課金の扱いとなります。社員が便利だからと使い始めると、Azureのサブスクリプションを通じて費用が発生するため、誰に使わせるかを先に決めておきましょう。

Microsoft Copilot Cowork

Coworkは、メールの送信や会議の設定、文書の作成、Teamsへの投稿をユーザーに代わって行う機能で、各操作は実行前に本人が承認します。使うにはMicrosoft 365 Copilotのライセンスに加えて管理者が使用量ベースの課金を有効にする必要があり、有料アドオンを付けていても使った分だけ請求が発生します。単価は1クレジットあたり0.01米ドルと公表されています。課金は管理センターの[Copilot]>[Cost Management]から始め、支出ポリシーの既定は組織全体・全ユーザーが対象となるため、対象のグループを絞ってから有効にするのが安全です。

Copilot Studio

Copilot Studioは自社用のエージェントを作るローコードのツールで、Microsoft 365 Copilot(Premium)のライセンスとは別にライセンスされる製品となります。料金とクレジットの仕組みはCopilot Studioとは|料金とクレジット制で詳しく取り上げました。

無料のままでも、エージェントを使えば費用は発生します。管理者として確かめたいのは、Azureのサブスクリプションがつながっているか、支出ポリシーの対象者が誰になっているか、の2点です。

有料を誰に付けるか|使用状況レポートから決める手順

全員に有料を付ける前に、無料のCopilot Chatをどれだけ使っているかを見てから決める方法があります。概要のドキュメントによると、Copilot Chatの使用状況レポートはすべてのライセンスが対象です。7日・30日・90日・180日の期間で、アクティブユーザー数、送信されたプロンプトの合計、1人あたりの平均プロンプト数を確認できます。ユーザーごとの最終利用日や利用日数も見られますが、公式の説明では匿名化された形で表示されるとされています。

名前までは分からないこともあるため、レポートで全体の広がりをつかみ、社員からの申請と組み合わせて決めるのが現実的です。進め方の例を挙げます。

  1. 無料のCopilot Chatを全員が使える状態にし、しばらく業務で使ってもらう
  2. 使用状況レポートで、アクティブユーザー数と1人あたりのプロンプト数の推移を見る
  3. 社内のメールや会議を踏まえた回答が必要な業務を、社員に申請してもらう
  4. 申請があり、無料版をよく使っている人から順にアドオンを割り当てる
  5. 割り当てた後は、アプリ内の利用が分かるMicrosoft Copilotの使用状況レポートも合わせて見て、年払いの更新の前に席の数を見直す

たとえば社員50名の会社で、申請のあった5名にだけ付けると、年払いで月15,740円(税抜)の上乗せで済みます。全員に付けると年払いで月157,400円(税抜)となり、差は毎月141,660円にもなります。席ごとの課金は、付ける人数に比例して増えていくのが特徴です。使う人を絞り込むのか、利用人数によらない会社定額のサービスで全員に配るのかを、費用と管理の手間の両方で比べてみてください。

席ごとの課金は、付ける人が増えるほど膨らみます

有料を付ける人を選ぶ手間ごと減らしたいなら、使う環境を会社で1つに決める方法もあります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

管理センターで確かめたい無料版の設定

無料のCopilot Chatは対象の契約に自動で含まれるため、管理者は既定のままでよいかを一度確かめておく必要があります。設定の多くは、Microsoft 365 管理センターの[Copilot コントロール システム]にまとまっています。

ピン留めを外しても使えることに注意

[Copilot コントロール システム]の[設定]では、Microsoft 365アプリにCopilot Chatをピン留めするかどうかを選べます。ただし公式の管理ドキュメントには、ピン留めしない設定にしても m365.cloud.microsoft/chat からはアクセスできると明記されています。ピン留めを外すのは入口を目立たなくするだけで、利用を止める設定ではありません。利用そのものを止めたいときは、このピン留めの設定に加えて、管理センターの[統合アプリ]でCopilotアプリの対象を絞る、Teams管理センターでCopilotアプリを許可しない、Edgeのポリシーで止める、を組み合わせることになります。

Web検索・統合アプリ・Edgeの設定

同じ[設定]には[Copilot での Web 検索を許可する]のポリシーもあり、未構成のままなら、オプションの接続エクスペリエンスを無効にしていない限りWeb検索は使える状態です。Web検索をオフにすると、利用者の画面のWebコンテンツの切り替えもオフになり、淡色で表示されます。Copilotアプリをどの社員に出すかは、管理センターの[統合アプリ]で[Copilot]を選んで管理します。EdgeのCopilot ChatにWebページやPDFの内容を読ませたくない場合は、EdgeEntraCopilotPageContextというポリシーで止めることも出来ます。

※設定名は、2026年9月19日時点でMicrosoft Learnの「Microsoft 365 Copilot Chatの管理」などのページに記載されている表記です。管理センターの画面の表記は更新で変わることがあります。

個人アカウントの無料Copilotを業務で使わせない対策

会社で無料のCopilot Chatを用意しても、社員が個人のMicrosoftアカウントで無料のCopilotを使えば、会社の管理の外での利用となってしまいます。職場アカウントと個人アカウントでは、データの扱いも契約も別になるためです。会社が把握していないこうした利用は、シャドーAI(野良AI)と呼ばれます。

データの扱い|職場アカウントと個人アカウントの違い

Microsoft Entraの職場アカウントでサインインすると、Copilot Chat(Basic)からPremiumまでの3区分すべてがエンタープライズデータ保護の対象となります。公式ドキュメントでは、Microsoft Graph経由でアクセスされるプロンプト・応答・データは基礎モデルのトレーニングに使われないと説明されています。プロンプトと応答、Web検索のクエリはログに記録され、管理者はMicrosoftの検索ツールや監査ツールで確認できます。Web検索に送られるクエリは原則として質問の全文ではなく、この部分はDPA(データ保護に関する補遺)の対象外となりますが、Microsoftは基盤モデルの学習や広告に使わないと約束しています。

一方、個人のMicrosoftアカウントで使う無料のCopilotには、Microsoftサービス規約とCopilotの使用条件が適用されます。学習への利用は、2026年8月18日から提供された新しい版のアプリの説明では基礎モデルの学習に使わないとされ、前の版の説明ではオプトアウトしない限りAIの学習に使うとされていて、版によって説明が分かれます。いずれにしても設定は社員一人ひとりの個人アカウントに残り、会社からは見えず、そろえることも出来ません。

商用利用と生成物の権利

個人向けCopilotの追加の使用条件(2026年8月18日発効の英語版)は、Copilotを本人の個人的な利用に限るとし、職場アカウントでのサインインには適用されないと明記しています。Microsoftサービス規約にも、Microsoft 365 PersonalやFamilyは、別の契約で商用利用権を持たない限り個人的・非商用の利用に限るという条項があります。その一方で、個人向けプランの持ち主が職場で安全に使えるとするサポート記事もあるため、契約上の扱いは法務の担当者やMicrosoftの販売窓口で確かめてみてください。生成物については、サービス規約でMicrosoftは所有権を主張しないとし、法人向けの製品条項では出力を顧客のデータとして扱うと定めています。

会社の端末で個人アカウントを使わせない設定

Microsoftの概要ドキュメントでは、社員にEntraアカウントでサインインしてからCopilotを使うよう案内すること、個人アカウントでMicrosoft 365アプリにサインインできるかをテナント制限 V2で管理できることの2点が挙げられます。また管理のドキュメントによると、個人向けのMicrosoft CopilotアプリはEntraアカウントで認証する商用ユーザーでは機能せず、仕事ではMicrosoft 365 CopilotアプリのCopilot Chatを使うことになります。個人のMicrosoft 365 PersonalやPremiumのCopilotを職場のWordやExcelの文書に使える複数アカウントアクセスという仕組みもあり、ポリシーを設定していなければ既定で使える状態です。止めたい場合は、Microsoft 365のクラウドポリシーサービスで[職場の Copilot ドキュメントへの複数のアカウント アクセス]を無効にしましょう。個人アカウントへの入力が漏えいにつながる経路はCopilotで情報漏洩は起きる?で3つに分けて整理しています。

無料のままでよい会社・有料を検討したい会社

判断の分かれ目は、社内のメールや会議、ファイルを自動で踏まえた回答が業務に要るかどうかにあります。文章の下書きや要約、Webの調べもの、アップロードした資料の整理が中心であれば、無料のCopilot Chatのままでも足りる場面は多いでしょう。

無料のままで足りる会社

  • 使う業務が、文章の下書き・要約・Webの調べものが中心
  • Outlookで受信トレイや予定表に質問できれば足りる
  • 社員がAIに慣れる段階で、まず使う習慣を作りたい
  • WordやExcelの中で使えなくても、Copilot Chatの画面に貼り付けて使えば困らない

有料を検討したい会社

  • 過去のメールや会議、共有フォルダーのファイルを横断してまとめる業務が多い
  • 混み合う時間帯もWordやExcelの中で安定して使いたい
  • リサーチツールやアナリストなどのエージェントを業務に使いたい
  • 画面にM365 Copilot (基本) のラベルが出ず、アプリの中で使うには有料が要る

どちらの場合も、全員を一度に有料にする必要はありません。有料は、社内のメールや会議を踏まえた回答が要る人から順に付けていけば足ります。

会社で安全に使うために決めておきたいこと

無料か有料かを決めたあとも、会社として使い方を決めておかないと、個人アカウントへの流出や使い方のばらつきは残ってしまいます。押さえたいのは、学習させない設定、ログの管理、社員への配り方、複数のAIの使い分けの4つです。学習させない設定は、職場アカウントで使う限りエンタープライズデータ保護が効くため、社員に会社のアカウントで使わせることが出発点となります。ログはプロンプトと応答が記録され、Microsoft Purviewで保持の期間を決めることも出来ます。配り方は、無料のCopilot Chatを全員に、有料は必要な人に、という二段構えが現実的でしょう。入力してよい情報の線引きは生成AIの社内ガイドラインの作り方を土台に、社内ルールとして文書にしておきましょう。

社員への周知文のひな形

無料のCopilot Chatを全社で使い始めるときに、そのまま社内に貼れる文面を用意しました。会社名や申請先は、自社に合わせて書き換えてください。

件名:Copilot Chat(無料)の利用開始と使い方のルール

各位

会社で契約しているMicrosoft 365に含まれるCopilot Chatを、本日から業務で使えます。次の点を守って利用してください。

1. 業務では必ず会社のアカウントでサインインし、m365.cloud.microsoft/chat またはOutlook・TeamsのCopilot Chatから使ってください。
2. WordやExcelのCopilotの画面に M365 Copilot (基本) または M365 Copilot (Premium) の表示があるかを確かめてください。表示がない場合は情報システム担当へ連絡してください。
3. 個人のMicrosoftアカウントで使うCopilotや、個人で契約したAIサービスには、顧客情報や社外秘の資料を入力しないでください。
4. 社内のメールや会議を踏まえた回答が業務に必要な方は、有料ライセンスの申請を〇〇部まで出してください。
5. Copilotの回答には誤りが含まれることがあります。社外に出す前に、数字・固有名詞・日付を必ず確かめてください。

問い合わせ先:〇〇部 〇〇

プロンプトのコツ

Microsoftのサポート記事は、プロンプトに目標・コンテキスト・期待値・ソースの4つを含められると説明しています。中でも欠かせないのは明確な目標で、何のために、誰に向けて、どの形で出してほしいのかを1文目に書いてみてください。無料のCopilot Chatは社内のファイルを自動では読まないため、根拠にしてほしい資料は貼り付けるかアップロードして渡すのが基本となります。

回答の誤り(ハルシネーション)への注意

公式のサポート記事でも、Copilotの応答には不正確な内容が含まれる場合があり、信頼できる情報源と照らし合わせるよう書かれています。ExcelのCopilotのよくある質問には、金融・法律・医療などの重要な分野の意思決定には使わないようにとの注意もあります。数字や固有名詞、日付は、出典を開いて人が確かめる工程を残しましょう。

ChatGPTとの比較と複数AIの使い分け

Copilotの強みは、WordやExcel、Outlookの中で動き、有料版では社内のデータを踏まえられる点にあります。一般法人向けの料金ページには、使われるモデルとして最新のOpenAIモデル(GPT-5.X)と記されています。ChatGPT・Claude・Geminiといった他のAIは、それぞれ別の会社が別の契約で提供するサービスで、得意な作業も分かれます。用途によって使い分けたい場合は契約と管理画面がAIの数だけ増えるため、複数の生成AIを1つの環境で使う方法もあわせて比べてみてください。法人向けの主なサービスの料金は法人向け生成AI 38サービスの料金比較で並べています。

1人ずつの席課金か、会社定額か

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けプラットフォームです。管理者ダッシュボードで利用ログ・権限・モデルのオン/オフを管理でき、データの保管とログ管理は国内サーバー(AWSの日本リージョン)で行います。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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よくある質問

Microsoft 365 Copilotの無料版と有料版の違いは何ですか?
無料版のCopilot Chatは、Webの情報を根拠にしたチャットや要約、画像の作成が中心で、社内の資料は貼り付けやアップロードで渡す形です。有料のアドオンを付けると、Microsoft GraphとWork IQを通じて社内のメール・会議・ファイルを自動で参照した回答、リサーチツールなどのエージェント、Word・Excel・PowerPoint・OneNoteでの優先アクセスが加わります。
Copilotの無料版は何回まで使えますか?
回数は公表されていません。Microsoftの公式ドキュメントでは、無料の区分の標準アクセスはサービスの容量の影響を受け、1日の中でも変わると説明されています。混み合う時間帯に使い勝手が変わることを前提に、業務の段取りを組むのが安全です。
ExcelのCopilotは無料版でも使えますか?
画面にM365 Copilot (基本) のラベルが出ていれば、アドオンなしでも標準アクセスで使えます。Copilot Chat(Basic)の区分ではExcelの中のCopilotは使えません。モデルの切り替えや作業データのソース、エージェント モードは有料の商用サブスクリプション側の機能です。
無料版のCopilot Chatに入力した内容は学習に使われますか?
職場のEntraアカウントでサインインしていればエンタープライズデータ保護の対象となり、Microsoft Graph経由のプロンプト・応答・データは基礎モデルのトレーニングに使われないと公式に説明されています。個人のMicrosoftアカウントで使う無料のCopilotには別の規約が適用され、アプリの版によって説明が分かれるため、業務では会社のアカウントで使うようにしてください。
無料版のCopilot Chatを社員に使わせないようにできますか?
できます。ただし1つのスイッチで止まるわけではなく、Microsoft 365 管理センターのピン留めの設定と[統合アプリ]でのCopilotアプリの対象の絞り込み、Teams管理センターでのCopilotアプリの許可、Edgeのポリシーを組み合わせて止めます。ピン留めしない設定だけでは、m365.cloud.microsoft/chat から引き続き使える点に注意してください。
Teamsの会議の要約は無料版でも使えますか?
公式の説明が分かれています。概要のドキュメントはアドオンなしのMicrosoft 365 Copilot(Basic)で使える機能に会議の要約を挙げ、サポート記事は有料アドオンの特典に会議の概要と要約を挙げています。自社のTeamsで、会議の後に要約が表示されるかを確かめてください。

まとめ

Microsoft 365 Copilotの無料版は、法人のMicrosoft 365に追加料金なしで付くCopilot Chatのことです。無料にはCopilot Chat(Basic)とMicrosoft 365 Copilot(Basic)の2段階があり、WordやExcelの中で使えるかは、自社の画面のラベルとライセンス詳細診断で確かめることになります。

有料のアドオンで増えるのは、社内のメール・会議・ファイルを自動で踏まえた回答、エージェント、優先アクセスの3つです。Outlookのように無料でも受信トレイや予定表に質問できる画面もあるため、使用状況を見てから必要な人にだけ付けていきましょう。ピン留めを外しても利用は止まらないこと、個人アカウントの無料Copilotは会社の管理の外にあることも、管理者として押さえておきたい点となります。

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