Copilot Excelの使い方と必要なライセンス、動かないときの切り分け手順

Copilot in Excel(Copilot Excel)とは、Excelの中で日本語の指示を出すと、ブックを直接編集したり、数式やグラフを作ったり、表の内容について答えたりしてくれる機能です。結論から言うと、Excelを開けば誰でも使えるわけではなく、対象のライセンスが割り当てられたアカウントで、条件を満たしたブックを開いているときに動きます。この記事では、必要なライセンスの4通り、起動の場所と3つのモード、日本語の指示の実例、Copilotボタンが出ないときの切り分け手順、そして社員10〜200名の会社が先に決めておきたい「どこまで読ませてよいか」「誰に配るか」までを、Microsoftの公式ヘルプの記載にそって整理します。

Copilot Excelとは|表そのものを触らせる機能

Copilot in Excelは、文章を書かせるAIというより、手元の表に対して作業をさせる機能だと考えると実態に近くなります。チャット欄に日本語で頼むと、ブックの中身を読み取り、指示に応じてシートを書き換えます。

Microsoftの公式ヘルプ(2026年9月18日確認)では、Excel の Copilot でできることとして「ワークシートの編集」「データと数式を生成する」「グラフ、ピボットテーブル、図形を作成する」「分析情報を特定する」「データの強調表示、並べ替え、フィルター処理」「Web 検索」「他のブックからデータをインポートする」「反復可能なタスクを完了する」が挙げられています。表の値を読んで答えるだけでなく、列を足す・並べ替える・グラフを置くといった操作まで含まれている点が、ブラウザで使う一般的な生成AIとの違いです。

Word・PowerPoint・Copilot Chat との関係

Excel の Copilot は、Excelだけの独立した製品ではありません。公式ヘルプは「Excel の Copilot はMicrosoft Copilot Chatツールであり、個別にオフにすることはできません」と記載しており、Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)という一連の仕組みの中の、Excel向けの入口という位置づけです。Word・PowerPoint・Outlook・Teamsにも同じ系統の機能があり、ライセンスの考え方も共通しています。アプリごとにできることとライセンスの段階はMicrosoft 365 Copilotでできることで整理しています。

同じ名前の製品が複数あるので、社内では区別して呼ぶ

Copilotという名前は、Webデータだけを使うチャット、Officeアプリの中の機能、業務用のAIを自分たちで作る開発環境など、複数のものに付いています。社内で検討を始めるときは、どのCopilotの話なのかを先にそろえておくと、ライセンスの話が噛み合います。名前の整理はCopilotとは、自社用のAIを組む側の話はCopilot Studioで解説しています。Excelにアドインとして入れるOpenAI公式のChatGPT for Excelも名前が紛らわしいため、違いはChatGPT for Excelとはにまとめました。

有料か無料か|使えるライセンスは4通り

Excelを買えば付いてくる機能ではなく、対象のサブスクリプションが要ります。公式ヘルプは「Excel の Copilot には、次のいずれかが必要です」として、次の4通りを挙げています。

  • AI クレジット プラン付きの Microsoft 365 Personal または Family サブスクリプション
  • Microsoft 365 Premium サブスクリプション
  • 商用 Microsoft Copilot サブスクリプション
  • Copilot Chat 対象の Microsoft 365 または Office 365 のビジネスまたはエンタープライズ サブスクリプション

会社で使う場合、実務上は下の2つが対象になります。見落とされやすいのが4番目で、公式ヘルプは Copilot Chat の対象になっているビジネス/エンタープライズのサブスクリプションも適格ライセンスとして挙げています。ただし、アドオンがなければ必ず使えるという意味ではありません。Microsoftのサポート記事「所有している Copilot ライセンスの種類」は、アドオンなしのライセンスを Copilot Chat (基本) と M365 Copilot (基本) に分け、前者は「Microsoft Copilot アドオン ライセンスがなく、Word、Excel、PowerPoint、OneNote の Copilot にアクセスできません。」、後者は「Microsoft Copilot アドオン ライセンスはありませんが、アプリでの Copilot への標準アクセスは可能です。」と書き分けています(2026年9月18日確認)。自社がどちらかは、次の製品内ラベルで判断します。

製品内ラベルで、自分がどちら側か確認できる

公式ヘルプは、アプリ内に表示されるラベルの意味をこう書いています。「M365 Copilot (Premium) は、ユーザーが Microsoft Copilot アドオン ライセンス (Excel の Copilot への優先アクセスを含む) を持っていることを示します。M365 Copilot (基本) は、ユーザーが Microsoft Copilot アドオン ライセンスを持っていないが、Excel の Copilot への標準的なアクセスはあることを示します。」

つまり、社内の人が「使えない」と言ってきたときに最初に見るのは値段表ではなく、この製品内のラベルです。別の公式ページも「Excel の Copilot にアクセスするには、M365 Copilot (Basic) または M365 Copilot (Premium) ラベルが必要です。」と記載しています。

M365 Copilot (基本)M365 Copilot (Premium)
アドオンの有無Microsoft Copilot アドオンなしMicrosoft Copilot アドオンあり
Excel の Copilot標準的なアクセスがある優先アクセスを含む
作業リソースを読ませる対象外(作業ソースは商用 Microsoft Copilot サブスクリプション向け)利用できる
フェデレーション コネクタ対象外利用できる(管理者が使えるコネクタを制御)
モデルの切り替え対象外商用 Microsoft Copilot または Microsoft 365 Premium で利用できる
Excelの会話履歴対象外商用 Microsoft Copilot サブスクリプションでロールアウト中

※右列の条件は、公式ヘルプではサブスクリプション(商用 Microsoft Copilot/Microsoft 365 Premium)の条件として書かれています。ラベルは、アドオンを持っているかどうかの目印です。

アドオンを足すかどうかは、Excelで何かを触れるかどうかではなく、社内の資料や会話履歴まで踏み込ませるかどうかの判断になります。

アドオンの金額

一般法人向けの Microsoft 365 Copilot Business アドオンは、公式の料金ページ上で、ユーザー1人あたり年払いで月額相当3,148円、月払いで3,778円と表示されています(いずれも税抜。ページには「価格には消費税は含まれていません」と記載)。同じページには割引価格2,698円も併記されていますが、脚注に「この割引キャンペーンは、2026 年 7 月 1 日から 2026 年 12 月 31 日まで利用できます。」「年間契約が必要で、プロモーション価格は初年度にのみ適用されます。」とあるため、2年目以降の予算を組むときの単価としては使えません。

あわせて、脚注には「Microsoft 365 Copilot を購入するには、対象となる Microsoft 365 プランのライセンスが別途必要です。最大 300 ユーザーまで。」とあります。Copilotだけを単独で買う形ではない、という点は社内説明で必ず聞かれるところです。

※金額は2026年9月18日時点で、Microsoftの公式料金ページに表示されている一般法人向けの金額です。すべて税抜です。人数別の年間総額や、前提となるプランを含めた比較はMicrosoft 365 Copilotの料金で扱っています。

どこから起動するのか|右下のアイコンと3つのモード

起動の場所は1か所です。公式ヘルプは「Excel の右下隅にある Copilot アイコンを選択します」と案内しています。アイコンを押すとチャット欄が開き、そこに日本語で指示を書きます。

そのうえで、動き方が3通りに分かれます。公式ヘルプの記載は「Excel の Copilot には、編集、計画、チャットの 3 つのモードが用意されています。既定では、Excel の Copilot は編集モードで開きます。」です。

  • 編集モード:「Copilot in Excel は要求に基づいてブックを直接編集できます」。公式は「データの整形、シートのマージ、複数の要素を含むレポートの作成など、複雑な複数ステップのタスクがサポートされます」と説明しています。既定はこのモードです。
  • 計画(プラン)モード:「Copilot は、すぐに行動を起こす代わりに計画を生成するので、開始する前にアプローチを確認して確認できます」。いきなり書き換えられると困る作業は、こちらから入ると安全です。
  • チャットモード:「ブック データを分析し、ブックを変更せずに分析情報を得られます」。既存の集計表を壊さずに、中身について質問だけしたいときに向きます。

さらに、Microsoft Copilot ライセンスを持っている場合について、公式ヘルプは「スプレッドシートで直接アクセスするか、[ツール] メニューから [エージェント モード] を選択して、Excel の高度な AI 機能にアクセスすることもできます。」と記載しています。手順を細かく指示しなくても、複数の工程をまとめて進めさせる使い方がここに当たります。

パソコンとスマートフォンで、できることが違う

モードは、どの環境でExcelを開いているかで変わります。公式ヘルプの表を整理すると次のとおりです。

環境使えるモード
Windows の Excel編集、チャット、計画モード
Excel on Mac編集、チャット、計画モード
Excel on the Web編集、チャット、計画モード
iPad の ExcelChat モードとプラン モード。編集モードのサポートは運用環境にロールアウトされています
iPhone の ExcelChat モード
Excel on AndroidChat モード

スマートフォンで試した担当者が「聞けるだけで何もしてくれない」と報告してくることがありますが、これは環境による差です。社内で試すときは、Windows・Mac・Web版のいずれかで確認してもらうほうが判断を誤りません。

日本語の指示でできること|数式・グラフ・分析

指示は日本語で構いません。公式ヘルプのサポート言語一覧に日本語が含まれています(公式は、Copilotが主に英語のソースで学習している点も併記しています)。ここでは、公式の作業例に出てくる指示文をそのまま挙げながら、用途ごとに整理します。

数式を作らせる(列ごと・単一セル・ルックアップ)

関数を覚えていなくても、やりたいことを書けば数式の形にしてくれます。公式の例は「各製品の利益率を計算する列を追加する。」「セル C1 のフル ネームから名を抽出します。」「在庫シートから各品目の在庫数量を調べる列を作成します。」です。列全体に入れる、1つのセルだけに入れる、別のシートから引いてくる、という3種類が一通りそろっています。

すでに入っている数式の意味を聞くこともできます。公式の例は「選択したセルの数式について説明する。」です。前任者が作った引き継ぎ用のブックを読むときに使い道があります。

グラフ、ピボットテーブル、図形を作らせる

公式が挙げるできることに「グラフ、ピボットテーブル、図形を作成する」が入っています。月次の集計表から推移のグラフを作る、支店別に集計し直したピボットテーブルを別シートに置く、といった作業が指示ひとつで進みます。ピボットテーブルの作り方を毎回調べていた人ほど、時間の差が出やすいところです。

データの強調表示、並べ替え、フィルター処理

見た目を整える作業も対象です。公式のできること一覧には「データの強調表示、並べ替え、フィルター処理」が含まれます。目標を下回った行に色を付ける、金額の大きい順に並べ替える、といった指示で、条件付き書式やフィルターの設定を任せられます。書式のルールを毎回手で作り直している集計表があるなら、最初に試す価値があります。

傾向や外れ値を質問する

表を見て気づく作業も頼めます。公式の例は「このリストにはまだ何人がいますか?」「売上が最も高かった地域と最も少ない地域はどれですか?」「このデータに外れ値や異常はありますか?」です。

文字が並んだ列も対象になります。公式ヘルプは「大きなテキスト セット (アンケート結果、レビュー、フィードバックなど) がある場合、Copilot はそれを要約し、主要なテーマやセンチメントを特定して、結果を新しい列としてブックに追加できます。」と説明しています。アンケートの自由記述を人手で分類していた作業が、列の追加として片づく形です。根拠の確認方法も公式に書かれていて、「結果を確認するには、分析の上付き番号にカーソルを合わせると、Copilot が参照しているソース データが表示されます。」とあります。

作ったものは、普通のExcelとして確認・編集できる

出てきた結果は、AI専用の特殊なオブジェクトではありません。公式ヘルプは「Copilot を利用する前に、Copilot によって作成されるあらゆるものを確認、編集、検証できます。」と明記しています。数式もグラフも通常のExcelの機能として残るため、気に入らなければ手で直せますし、取り消しもできます。

一方で、保存したあとの扱いには注意が要ります。公式ヘルプは「Copilot の変更をブックに保存すると、共同編集セッションのユーザーを含め、ファイルにアクセスできるすべてのユーザーがそれらの変更を確認できます。」と記載しています。共有フォルダーの集計表を試し打ちの場にしないでください、という話です。

使われるAIモデルと、切り替え

公式ヘルプは「Excel の Copilot では、ブックの編集に Anthropic の Claude モデルと OpenAI の GPT モデルがサポートされています。モデルを切り替えるか、[自動] を選択して Copilot に選択させることができます。選択はアクティブなセッションにのみ適用されます。Excel を閉じると、Copilot は既定のモデルに戻ります。」と説明しています。毎回選び直す前提なので、社内マニュアルに特定のモデル名を書き込む運用は続きません。

切り替え機能そのものにも条件があります。公式は「モデル スイッチャーを使用するには、商用 Microsoft Copilot サブスクリプションまたは Microsoft 365 Premium サブスクリプションが必要です。エンタープライズのお客様の場合は、Claudeを使用する前に、管理者がAnthropicをMicrosoftサブプロセッサとして有効にする必要があります。」と記載しています。複数のAIを業務で使い分ける考え方そのものはマルチAIとはで解説しています。

Excelの中だけでなく、ほかのAIも1つの契約で

表の分析や資料づくりで使うAIが部署ごとに違うと、契約も設定もばらばらになります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

Copilotボタンが出ない・押せないときの切り分け手順

総務や情報システムの担当者が受ける問い合わせで多いのが、この形です。原因が複数あるため、思いついた順に試すと時間がかかります。公式ヘルプに書かれている条件を、確認しやすい順に並べると次のようになります。

手順1:ライセンスを見る(製品内のラベルを確認)

まず、その人のアカウントに対象のライセンスが割り当たっているかを見ます。前掲のとおり、アプリ内に M365 Copilot (基本) または M365 Copilot (Premium) のラベルが出ているかが判断材料です。ここで外れていれば、以降の手順を試しても解決しません。

手順2:ファイルの状態を見る(保存場所とチェックアウト、自動保存)

ライセンスがあるのに動かない場合、次に見るのはブックの側です。公式ヘルプは原因の一つとして「考えられる原因の 1 つは、ファイルが SharePoint でチェックアウトされていることです。ファイルをチェックインし直し、閉じて、Excel でもう一度開きます。」を挙げています。

組織の設定が原因になることもあります。公式ヘルプは「organization で SharePoint での編集にチェックアウトが必要な場合、Windows または Mac 上の Excel の Copilot は、そのサイトのファイルでは機能しません。これらのファイルで Excel for the web を引き続き使用できます。」と記載しています。サイトの設定を変えずに回避するなら、Web版のExcelで開くという逃げ道が公式に案内されている形です。

自動保存については、公式ヘルプに「Excel の Copilot は、自動保存が有効または無効になっているブックで実行されます。Excel の変更をチェックアウトするために、それらの変更をブックに自動的に保存せずにそれらの変更を試すには、自動保存を無効にします。」と記載されています(2026年9月18日確認)。自動保存をオンにすることが動作の条件として書かれているわけではなく、むしろ結果をブックに残さずに試したいときは自動保存を切る、という案内です。初めて触る人に試してもらうときは、この使い方のほうが事故が起きません。

手順3:ファイル形式を見る

公式ヘルプは「もう 1 つの原因としては、Strict Open XML スプレッドシートなど、サポートされていないファイル形式が考えられます。Excel ブック (.xlsx) などの最新形式でファイルを保存します。」と案内しています。長く使い回してきた申請書や台帳は、保存形式が古いまま引き継がれていることがあります。名前を付けて保存から .xlsx にし直すだけで解決する例がここに当たります。

手順4:計算オプションが自動になっているか見る

見落としやすいのがこれです。公式ヘルプは制限事項として「計算の設定: Copilot の編集は、[計算オプション] が [自動] に設定されている場合にのみサポートされます。」と記載しています。重い集計ブックでは、動作を軽くするために計算を手動へ切り替えたまま運用していることがあります。数式タブの計算方法の設定を確認してください。

手順5:アプリのバージョン・ネットワーク・プライバシー設定を見る

ここまでで解決しない場合は、環境側を疑います。公式ヘルプは「Copilot には、アプリのバージョン、ライセンス、ネットワーク、プライバシーの設定に関する特定の要件があります。」と記載しています。Officeの更新が止まっている端末、社内のプロキシで通信が制限されている環境、プライバシー設定で接続エクスペリエンスが無効になっている端末が、この段階の候補になります。1台だけ動かないのか、全員動かないのかを先に確認すると、端末側か組織側かの切り分けが早くなります。

  • 対象ライセンスが割り当てられているか製品内のラベルが M365 Copilot (基本) または (Premium) になっているかを本人の画面で確認します。
  • そのブックはチェックアウトされていないかチェックインし直し、閉じてから開き直します。サイトの設定でチェックアウトが必須なら、Web版のExcelで開きます。
  • 保存形式は .xlsx かサポートされない形式は名前を付けて保存でExcelブック形式にします。
  • 計算オプションは自動か手動になっていると編集がサポートされません。
  • アプリの更新・通信・プライバシー設定1台だけの問題か全員かを先に確認してから、端末側と組織側を切り分けます。

毎回同じ指示を書かずに済ませる3つの仕組み

使い始めると、日付の書き方や数式の作り方を毎回指示している自分に気づきます。Excel の Copilot には、この手間を減らす仕組みが3つあり、効く範囲がそれぞれ違います。

個人用設定ルールカスタム スキル
保存される場所アカウントそのブックの専用ワークシートOneDrive 内の「スキル」フォルダー(ユーザーがアップロード)
効く範囲すべてのブックとCopilotセッションそのブックだけオンにしたスキルが既定で自動的に使われる。[スキルの管理]でオフにしても @mention で直接呼び出せる(適用範囲は公式に明記なし)
他の人への影響他ユーザーとは共有されない。ブックファイルにも追加されないブックを共有するとルールも共有される。共有相手は別途設定が不要公式に共有可否の記載なし。組織が作成したカスタム スキルを使うこともできる
日本語環境で使えるか使える使える英語でのみサポート。Officeの表示言語を英語に設定する必要がある
向いている用途自分の書式の好みを固定する部署で回すブックの書式や計算の決まりをそろえる繰り返しの定型作業を登録する

個人用設定は、自分の全ブックに効く

公式ヘルプは「個人用設定を行うと、アカウントに保存され、すべてのブックと Copilot in Excel セッションに適用されます。」「個人用設定は、Copilot セッションにのみ適用されます。これらは他のユーザーと共有されず、ブック ファイルに追加されません。」と説明しています。設定文の例として公式に挙がっているのは「日付の形式は DD-MMM-YYYY を使用します。」「数式では、構造化参照と名前付き範囲を優先します。」「詳細な表の前に、重要なポイントの簡単な要約からすべての分析を開始します。」です。自分のやり方を1回書いておくと、以後の指示が短くなります。

ルールは、ブックに付いて共有相手にも効く

会社で価値が出るのはこちらです。公式ヘルプは「Copilot in Excel のルールは、ブックの専用ワークシート内にあります。このルール ワークシートはブックと保持されるため、ルールは Excel の Copilot によって適用されます。ブックを共有すると、ルールも共有されます。共有相手は、別途設定する必要はありません。」と記載しています。ルールは列Aに一覧で書きます。

注意点も公式に書かれています。公式ヘルプは、ルール ワークシートがブックに表示されている必要があり、非表示のルール ワークシートは使用されない、と記載しています。見た目を整えるつもりでシートを非表示にすると効かなくなるため、部署で回すブックでは触らないよう周知しておく必要があります。

カスタム スキルは、日本語環境では前提が合わない

繰り返しの作業を登録して呼び出すカスタム スキルという機能もありますが、公式ヘルプは「Excel の Copilot を使用したスキルは、英語でのみサポートされています。スキルにアクセスするには、Microsoft Office の表示言語を英語に設定する必要があります。」と記載しています。日本語で業務をしている会社で、Officeの表示言語を英語に切り替えて運用するのは現実的ではありません。当面は、自分の好みは個人用設定、部署でそろえたい決まりはルール、という2本立てで組むほうが無理がありません。

Excelのどこまで読ませてよいか|社内の線引き

Excelで先に決めておきたいのは、読ませてよいブックの線引きです。文書1本を渡すWordと違い、Excelは1シートがまるごと指示の材料になります。顧客名簿、給与台帳、取引先別の売上、試算表は、1枚のシートに全件が並んでいることが普通です。ファイルを開いて指示を出した時点で、材料の範囲は自然と広くなります。

読ませる先の制御は用意されています。公式ヘルプは「Copilot in Excel で使用できるデータ ソースを制御できます。これには、Web、作業リソース、およびフェデレーション コネクタを介した外部ソースからのデータが含まれます。」「チャット フィールドの [ソースの選択] メニューを使用して、データ ソースのオンとオフを切り替えます。」と案内しています。Web検索を使った場合は「応答を強化するために使用される Web サイトは、常に応答に引用を含むソースとして一覧表示されます。」とも記載されています。

そのうえで、公式ヘルプは次の注意を明記しています。「Copilot はチャット セッション中に会話履歴全体にアクセスできることに注意してください。特に、ドキュメントを他のユーザーと共有している場合、または共有する予定がある場合は、Copilot がドキュメントに取り込むことに満足しているソースのみを承認します。」

承認の有効範囲も押さえておく必要があります。公式は「承認または拒否するソースは、現在のチャットに適用されます。」「新しいチャットを開始すると、以前の承認と拒否がリセットされ、ソースを再度確認する必要があります。」と説明しています。1回承認したから以後は安心、という運用にはなりません。

社内ルールに落とすときの粒度:使ってよい・悪いを人で分けるより、ブックで分けるほうがExcelでは運用できます。月次の売上集計や在庫表は可、氏名と給与額が並ぶ台帳や顧客の連絡先が入ったブックは要相談、という形です。あわせて、公式が制限事項として書いている「金融、法律、医療に関するトピックなど、機密性の高い分野の意思決定には Copilot を使用しないでください。」の一文も、そのままルール文書に引用できます。確認項目の作り方は生成AIのセキュリティチェックリストを参考にしてください。

管理者ができること・できないこと

先に、できないことから確認しておくと話が早くなります。公式ヘルプは「Excel の Copilot はMicrosoft Copilot Chatツールであり、個別にオフにすることはできません。Microsoft Copilot Chatへのアクセスを制御するためのすべての管理者設定が適用されます。」と記載しています。Excelだけを止める設定はなく、Microsoft Copilot Chat側のアクセス制御がそのまま反映される形です。

一方で、管理者が握れるものもあります。Web検索のオンとオフについて、公式は「Web 検索のオン/オフは、IT 管理者によるコントロールによって行うこともできます。」と記載しています。フェデレーション コネクタについては「管理者は、organization で使用できるコネクタを制御することもできます。」「Copilot は資格情報を使用し、表示権限を持つデータにのみアクセスします。データを外部サービスに送信する前に、明示的な同意を行う必要があります。」とあります。

モデルまわりにも管理者の作業があります。公式ヘルプの注記は「商用 Microsoft Copilot サブスクリプションをお持ちの場合、管理者は、Microsoft 365 管理 センターで 『他の大きな言語モデルの AI プロバイダー』 を許可することで、Anthropic AI モデルへのアクセスを許可する必要があります。」です。現場から「モデルが選べない」と言われたときは、端末ではなく管理センター側を見ることになります。

会話履歴についても、現時点の制約が書かれています。公式は「Excel の会話履歴での Copilot へのアクセスは現在、商用 Microsoft Copilot サブスクリプションでロールアウトされています。」「現時点では、個々の Copilot 会話を削除する機能は使用できません。」と記載しています。1件ずつ消す運用は前提にできません。

ライセンスを誰に配るか|人に付くという前提

社員10〜200名の会社で全員分のアドオンを買う判断は、すぐには出ません。現実的なのは、月次集計・請求・給与・在庫・名簿といった、Excelを実際に触っている担当に寄せる配り方です。

ここで運用上の落とし穴があります。ライセンスは人に割り当てられるため、担当者が作ったブックを別の人が開いても、その人にライセンスがなければCopilotは動きません。ブックに機能が付くわけではない、という点は配る前に共有しておいてください。「あの集計表はAIで作ったのだから自分も同じことができるはず」という期待は、ここでずれます。

もうひとつ、配り方そのものが別の問題を生みます。配られなかった社員は、業務が止まるわけではないので、手元の方法で片づけようとします。ブックの内容を個人のChatGPTアカウントに貼り付けて集計や文章化を頼む、という行動がその典型です。会社から見えない利用は野良AI(シャドーAI)と呼ばれ、ログも残らず、入力した内容の行方も追えません。

対策は、禁止の周知よりも、受け皿を先に用意することです。Excelの中の作業はCopilotに任せ、それ以外の調べもの・文章化・要約・資料の下書きは、会社が契約した環境で全員が使える状態にしておく、という切り分けです。人数別の総額比較はMicrosoft 365 Copilotの料金、他のサービスも含めた選択肢の一覧は法人向け生成AIサービスの比較をご覧ください。

現場のブックでつまずく条件と、直し方

手順どおりに使えるようになっても、思ったとおりに動かないことがあります。公式ヘルプは「Copilot は分析情報と数式を生成し、流暢で文法的に正しい言葉で説明しますが、内容が不正確または不適切である可能性があります。」として、生成されたものを確認・編集・検証する前提だと明記しています。裏を返せば、確認の回数が少なくて済む形にデータを整えておくほど、実務では扱いやすくなります。

長く使われてきた社内のブックには、人が見れば分かるが機械には読みにくい作りが残っていることがあります。うまくいかない報告が続くときは、指示文を工夫する前に、次の5点を見てください。

  • 結合セルが入っている:見出しの結合は、列と行の対応が崩れる原因になります。結合を解除し、必要なら同じ値を各セルに埋めます。
  • 1行目が見出しになっていない:タイトルや作成日が最上部に入っていると、どこからがデータか判断しにくくなります。見出し行を1行目に置くか、データ範囲を別シートに分けます。
  • 1シートに複数の表が並んでいる:左に売上、右に在庫のような配置は、どちらを指しているかが伝わりません。表ごとにシートを分けます。
  • 小計行や空行が混ざっている:明細の途中に小計が入っていると、合計を出させたときに二重計上が起きます。小計は別の集計表に出し、明細は明細だけにします。
  • 表記がそろっていない:株式会社と(株)、1月と01月のような揺れは、集計が分かれる原因になります。指示を出す前に置換でそろえておきます。

整え方の手順としては、対象範囲を選んでテーブルとして書式設定し、列名を短く言い切りの形にしておくと、指示が通りやすくなります。日付の形式や数式の書き方の好みは、前述の個人用設定やルールに書いておけば、毎回伝える必要がなくなります。

社内マニュアルの作り方:Excel の Copilot は機能の追加が続いており、モードの名称やメニューの位置も変わり得ます。画面の名前とスクリーンショットで手順書を作ると、更新の手間が積み上がります。「月次の売上表から支店別の推移グラフを作る」のように、やりたいことを主語にして書き、画面の場所は最小限に留めておくほうが長持ちします。

Copilotを配れない社員の受け皿を、会社の環境として用意する

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けプラットフォームです。パワポ・Word・Excelを画面で確認できるOfficeプレビューを備え、会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。

UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

Copilot in Excelは無料で使えますか?
Excelを持っているだけでは使えません。公式ヘルプは、AIクレジットプラン付きのMicrosoft 365 PersonalまたはFamily、Microsoft 365 Premium、商用Microsoft Copilot、Copilot Chat対象のMicrosoft 365またはOffice 365のビジネスもしくはエンタープライズのいずれかが必要だと記載しています。会社で使う場合、アドオンなしのライセンスは2種類あり、アプリ内の表示がM365 Copilot (基本)であればExcelのCopilotへの標準的なアクセスがあります。サポート記事「所有している Copilot ライセンスの種類」では、Copilot Chat (基本)のライセンスはWord・Excel・PowerPoint・OneNoteのCopilotにアクセスできないと記載されています。アドオンがあると優先アクセスや作業データの検索が加わります。
ファイルはOneDriveやSharePointに置かないと使えませんか?
公式ヘルプに、保存場所そのものを条件とする記載はありません(2026年9月18日確認)。2026年9月18日時点の公式ヘルプには、自動保存について「Excel の Copilot は、自動保存が有効または無効になっているブックで実行されます。」と記載されています。あわせて、変更をブックに自動的に保存せずに試したい場合は自動保存を無効にする、という案内も出ています。動かない原因としては、SharePointでファイルがチェックアウトされていること、組織がSharePointでの編集にチェックアウトを必須にしていること、サポートされないファイル形式であることが公式に挙げられています。
リボンにCopilotのボタンが見当たりません。何から確認すればよいですか?
確認の順番を決めておくと早く終わります。最初にライセンスで、アプリ内の表示がM365 Copilot (基本)またはM365 Copilot (Premium)になっているかを見ます。次にブックの状態で、SharePointでチェックアウトされていないか、組織の設定でチェックアウトが必須になっていないかを確認します。次にファイル形式をExcelブック形式にし直し、計算オプションが自動になっているかを見ます。それでも動かない場合は、アプリのバージョン、ネットワーク、プライバシーの設定を確認します。
顧客名簿や給与台帳のブックで使っても問題ありませんか?
社内で先に線引きを決めることをおすすめします。Excelは1シートに全件が並ぶため、指示を出した時点で材料になる範囲が広くなります。公式ヘルプは、チャットセッション中は会話履歴全体にアクセスできる点に注意し、特にドキュメントを他の人と共有している場合や共有する予定がある場合は、取り込ませてよいソースだけを承認するよう案内しています。ソースの承認は現在のチャットにだけ適用され、新しいチャットを開始するとリセットされます。
管理者の設定で、Excelだけ使わせないようにできますか?
できません。公式ヘルプは、ExcelのCopilotはMicrosoft Copilot Chatのツールであり個別にオフにすることはできない、Microsoft Copilot Chatへのアクセスを制御するためのすべての管理者設定が適用される、と記載しています。管理者が制御できるものとしては、Web検索のオンとオフ、組織で使えるフェデレーションコネクタ、他の大きな言語モデルのAIプロバイダーの許可などが公式に案内されています。
担当者にだけライセンスを配れば、その人が作ったブックは全員が使えますか?
ライセンスは人に割り当てられるため、作られたブックを別の人が開いても、その人にライセンスがなければCopilotは動きません。ブックに機能が付くわけではない点を、配る前に共有しておくと誤解が減ります。あわせて、配られなかった社員がブックの中身を個人のアカウントの生成AIに貼り付ける形になりやすいため、Excel以外の調べものや文章化については、会社として使える環境を用意しておくほうが安全です。
毎回同じ指示を書かずに済ませる方法はありますか?
2つあります。個人用設定はアカウントに保存され、すべてのブックとCopilotのセッションに適用されますが、他のユーザーとは共有されず、ブックファイルにも追加されません。ルールはブックの専用ワークシートに入るため、ブックを共有するとルールも共有され、共有相手は別途設定する必要がありません。ルールのワークシートが非表示だと使われない点には注意が必要です。カスタムスキルという機能もありますが、公式ヘルプは英語でのみサポートされ、Officeの表示言語を英語に設定する必要があると記載しています。

まとめ

Copilot in Excelは、日本語の指示でブックそのものを編集し、数式・グラフ・ピボットテーブルを作り、表の内容について答える機能です。使えるかどうかはライセンスで決まり、公式ヘルプが挙げる4通りのいずれかが必要になります。会社で使う場合、アドオンなしでも製品内ラベルが M365 Copilot (基本) であれば標準的なアクセスがあり、アドオンを足すと優先アクセスや作業データの検索、モデルの切り替え、会話履歴が加わります。

動かないという問い合わせは、ライセンス、ファイルの状態、ファイル形式、計算オプション、アプリとネットワークの順に見ると短時間で切り分けられます。自動保存については、公式ヘルプが有効でも無効でも実行されると記載しており、結果をブックに残さずに試したい場合は無効にするという案内も出ています。

出力をそろえる仕組みは、自分の全ブックに効く個人用設定と、ブックに付いて共有相手にも効くルールの2つが日本語環境で使えます。カスタムスキルは英語表示が前提のため、当面は前の2つで組むことになります。

導入前に社内で決めておきたいのは、読ませてよいブックの線引きと、誰に配るかです。Excelは1シートがまるごと材料になるため、台帳や名簿の扱いは事前に決めておく必要があります。そして、配られなかった社員の受け皿を用意しないと、会社から見えない利用が残ります。法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。