Copilot Studioとは。料金とCopilotクレジットの消費、無料で試せる範囲、社内エージェントの作り方を整理する

Copilot Studioとは、社内向けのAIエージェントやワークフローを、画面上の操作を中心に組み立てて公開できるマイクロソフトのローコード開発環境です。検討で最初に効いてくるのは機能の一覧ではなく、Copilot クレジットという単位で消費が積み上がる課金の仕組みと、それを誰がどこまで作れるかを決めるテナント側の設定のほうです。この記事では、価格と課金レートを公式ページとライセンス ガイドで確認した数値で示し、25,000クレジットを実際に割り算し、無料で試せる範囲を3つに切り分け、作成権限とガバナンスの設定順まで、社員10〜200名の会社の目線で整理します。

※この記事の価格・課金レート・仕様・引用は、2026年9月16日にマイクロソフトの公式価格ページ(microsoft.com の Copilot Studio 価格ページ)、Microsoft Learn のドキュメント(概要/ライセンスとサブスクリプション/請求レートと管理/クォータと制限/データの保存場所/統合オーサリングへの変換/ナレッジ/セキュリティとガバナンス)、および日本語版の公式ライセンス ガイド(2026年2月版・全18ページ)で確認した内容にもとづきます。価格と仕様は変更されるため、契約前には必ず公式ページで最新の内容をご確認ください。

Copilot Studioとは何か|ローコードで社内向けのAIエージェントを作る基盤

Copilot Studioは、社内の質問に答えたり業務の手順を進めたりするAIエージェントを、ローコードで組み立てて公開するための場所です。公式の概要ドキュメントは、AI搭載のエージェントやワークフローの構築と管理のためのグラフィカルでローコードなスタジオである、と説明しています。つまり、生成AIのモデルそのものを作る道具ではなく、すでにあるモデルに、自社の文書と自社の手順をつないで、社内向けの窓口に仕立てるための道具です。

利用はブラウザから copilotstudio.microsoft.com にアクセスする形で、スタンドアロンのWebアプリとして提供されています。公式に記載されているブラウザ要件は、Chrome 91以降、Firefox 89以降、Safari 16.4以降です。専用ソフトのインストールや、サーバーの用意は前提になっていません。

3つの構成要素|エージェント、ワークフロー、エージェント フロー

公式の概要ドキュメントは、作れるものを3種類に分けて説明しています。何を作ろうとしているかによって、必要な設定も、後述する課金の乗り方も変わります。

  • エージェント:会話を処理し、タスクを完了する担当です。Teams、Microsoft 365 Copilot、Webサイト、モバイルアプリなどに公開でき、複数の言語に対応すると記載されています。
  • ワークフロー:ドラッグ&ドロップのデザイナーで作る自動化です。組み込みのテストと、人による制御を含むと説明されています。
  • エージェント フロー:Power Automateに似たオーサリング体験を、Copilot Studioにネイティブで提供するものと記載されています。

社内FAQの窓口を作りたいという話であれば、主役になるのは1つ目のエージェントです。承認や転記のような決まった手順を自動で回したい場合は、2つ目と3つ目が関わってきます。

ハーネスを選ぶと、課金の方法まで変わる

Copilot Studioでは、舞台裏で作業をこなすエンジンをハーネスと呼び、作るものごとに、どれで動かすかが決まります。公式ドキュメントは、ほとんどのシナリオで提供されるのはGitHub Copilotハーネスと標準ハーネスの2種類だと前置きしたうえで、Microsoft 365 Copilot Chatを組織の知識で拡張するCopilot チャット ハーネスを別に挙げています。公式ドキュメントは、選んだハーネスによって、推論の方法、処理できるタスクの複雑さ、あらかじめ用意されている機能、そして課金の方法が変わると記載しています。料金の話が機能の選択と切り離せないのは、この設計のためです。

  • GitHub Copilot ハーネス:推論を重視し、多段階の処理を扱う位置づけです。
  • 標準ハーネス:ルールベースで、構造化され再現可能な会話に向く位置づけです。この記事で示す課金レートは、この標準ハーネスのものです。
  • Copilot チャット ハーネス:Microsoft 365 Copilot Chatを、組織の知識で拡張する位置づけです。

また、ビジネス上の目標を文章で説明すると、適切なエージェントとワークフローの組み合わせを決めてくれる、自然言語でビルドという機能がプレビューとして案内されています。プレビュー段階の機能は仕様が変わる可能性があるため、本番運用の前提には置かないほうが安全です。

管理する側にも道具が用意されている

作る機能だけでなく、運用の道具も同じスタジオの中にあります。公式の概要ドキュメントには、パフォーマンスの監視・カスタム指標・セッション成果の分析を行うアナリティクス、公開の前後にテストセットとグレーダー ライブラリで品質を検証する評価、エージェントのインベントリ・セキュリティ管理・役割ベースのアクセス・コスト管理を扱う管理、の3つが挙げられています。作りっぱなしにしないための仕組みが最初から用意されている点は、社内展開を考えるうえで押さえておく価値があります。

先に確認しておきたい前提:公式ドキュメントには、Copilot Studioは、疾患や状態の診断・治療・軽減・予防などの医療目的や、その他のいかなる臨床製品の一部としても使用されないことを意図している、と明記されています。あわせて、緊急事態での使用は避けるべきで、緊急通報もサポートしていないこと、作ったエージェントの責任は利用者側にあることも記載されています。医療や安全に関わる窓口に使う計画がある場合は、この記載を先に確認してください。

Copilot Studioは廃止されるのか|名称変更と旧ボットの整理

結論から書くと、Copilot Studioという製品そのものが廃止されるという公式の記載は、2026年9月16日時点で確認できていません。この語が検索されるのは、製品の終了ではなく、名称と課金単位の変更、そして旧製品で作ったボットの扱いが同時に進んだためだと考えられます。ここでは、公式資料で確認できる範囲だけを、3つに分けて整理します。

変わったのは、課金単位の呼び名

日本語版の公式ライセンス ガイド(2026年2月版)の付録Dにある変更履歴には、2025年9月にCopilot Studio メッセージという呼び名がCopilot Studio Copilot クレジットへ変更された、と記載されています。同じ変更履歴には、2025年10月にCopilot クレジット事前購入プランが新設されたこと、2025年12月に既定のDataverseデータベース キャパシティが5GBから15GBへ拡張されたこと、2026年2月にMicrosoft Agent 事前購入プランが新たに追加されたことも並んでいます。呼び名と買い方の追加であって、製品の終了を示す記載ではありません。

旧Power Virtual Agentsで作ったボットの扱い

もう一つの誤解の元が、前身のPower Virtual Agentsです。公式の変換ドキュメントには、クラシック チャットボットは生成AI機能をサポートしていないこと、そしてそれらはCopilot Studioの旧バージョンおよびその前身であるPower Virtual Agentsで作成されたチャットボットであることが記載されています。対応として案内されているのは削除ではなく変換で、Copilot Studio上でクローンして標準エージェントに変換できるとされています。ドキュメントには、クローンは新しいエージェントを作成するものであり、既存のクラシック チャットボットを改変するわけではない、とも明記されています。

変換のときに気をつける点として、公式ドキュメントは次を挙げています。複製はソースと同じ言語でのみ可能であること、Copilot Studioのウェブ キャンバスで作ったトピックだけが複製されること、エージェント管理者は承認・チャネル・セキュリティの設定を再構成する必要があること、Bot Framework スキルは再接続が必要であること、Power Automateフローへの接続は複製されるものの接続のテストを強く勧めるとされていること、クラシック ボットのIDを参照している自動展開パイプラインとカスタム レポートは更新が必要であること、です。

変換して得られるものとしては、生成AI対応の機能、変数管理、Power Fx、コード ビュー、イベントが挙げられています。古いボットが残っている会社では、動いているから触らないという判断が、生成AI機能を使えないまま据え置く判断と同義になっている可能性があります。

廃止という言葉で語らないほうがよい理由

社内の稟議や上申で廃止という言葉を使うと、話が製品選定のやり直しに広がってしまいます。公式資料から言えるのは、名称が変わったのは課金単位であること、旧製品で作られたクラシック チャットボットは生成AI機能に対応せず変換が案内されていること、この2点までです。ここから先の判断は、製品が続くかどうかではなく、自社の用途で費用が読めるかどうかに置いたほうが、議論が前に進みます。

できること|社内FAQ応答・ナレッジ検索・業務アクション・自律型エージェント

できることは、大きく4つの層に分けて考えると整理しやすくなります。層が上がるほど、必要な設定も、1回のやり取りで消費するクレジットも増えていきます。

層1:決まった質問に、決まった答えを返す

作成者が手で用意した定型の応答を返す形です。公式の請求レート表では従来型の回答と呼ばれ、標準ハーネスでの消費は1 Copilot クレジットです。就業時間の問い合わせ、社内の連絡先、備品の申請先といった、答えが1つに決まっている質問はこの層で足ります。ここを生成AIに任せる必要はありません。

層2:社内文書を探して、その内容で答える

ナレッジ ソースとして接続した社内の文書やサイトを参照し、その内容にもとづいて答える形です。公式の請求レート表では生成回答にあたり、消費は2 Copilot クレジットです。さらに、テナント全体のMicrosoft Graphを対象に検索する設定(メッセージのテナント グラフの基盤設定)を使うと、それだけで10 Copilot クレジットが加わります。公式ドキュメントには、テナント グラフに基づいているエージェントは、12個のCopilot クレジット(テナント グラフの接地には10、生成応答には2)を使用して、ユーザーからの単一の複雑なプロンプトに応答できる、という例が示されています。

層3:業務のアクションを実行する

答えるだけでなく、外部のシステムに対して何かをする形です。公式の請求レート表では、エージェント アクションが5 Copilot クレジット、エージェント フロー アクションが100アクションあたり13 Copilot クレジットです。ライセンス ガイドの用語集では、ツールはエージェントが外部システムとやり取りするための構成要素と定義され、コネクタはPower Platformの1,200種類以上の構成済みデータ コネクタとされています。標準コネクタはExcel・Outlook・SharePoint・LinkedInのようなMicrosoft 365エコシステム内、プレミアム コネクタはDocuSign・Zendesk・Jira SoftwareのようなMicrosoft 365以外のビジネス システム、という区分です。

層4:自律的に手順を決めて動く

目的を与えると、推論しながら多段階の処理を進める形です。GitHub Copilot ハーネスが推論重視・多段階の位置づけとして案内されているほか、テキストと生成AIツールの課金レートには、基本・標準・プレミアムの3段階が用意されています。プレミアムは推論モデルにあたり、1,000トークンあたり10クレジット、回答10件ごとに100クレジットという水準です。公式ドキュメントには、推論モデルを使う場合の総コストは、操作のフィーチャー レートに加えて、テキストおよび生成AIツール(プレミアム)の分が乗る、という趣旨の説明があります。二重に積み上がる点は、設計段階で把握しておく必要があります。

層で考える利点:同じ社内ヘルプデスクでも、質問の8割が層1で答えられるなら、消費は1回1クレジットで済みます。全部を生成回答に寄せると2クレジット、テナント グラフの検索まで常時有効にすると12クレジットです。同じ用途でも、設計次第で12倍の開きが出るということです。費用の見積もりは、件数よりも先に、どの層で答えるかの設計から始めるほうが現実的です。

できないこと・限界|自由な雑談、画面の作り込み、複雑な業務ロジック

できないことは、機能が足りないというより、向いていない使い方として理解したほうが正確です。公式ドキュメントに記載されている制約から、実務で当たりやすいものを挙げます。

何でも答える相手にはならない

Copilot Studioで作るエージェントは、接続したナレッジ ソースと設定した手順の範囲で答えるものです。ナレッジの設定には、根拠のない応答を許可するという項目があり、これをオンにすると、ナレッジ ソースやツールを使わなくてもモデルの一般知識で答えるようになります。オフにすると、ナレッジ ソースもツールも呼ばなかったターンの応答をブロックし、フォールバック トピックが起動します。ここで重要なのは、公式ドキュメントに、この設定をオフにしても、エージェントが一般的な知識を一切使用しないことを保証するものではない、という但し書きがある点です。オフにすれば社内文書だけで答えると言い切ることは、公式の記載からはできません。

また、オフにしたときの副作用も公式に例示されています。前のターンの文脈だけで答えられる追加の質問がブロックされることがある、という挙動です。厳しくすると使いにくくなり、緩めると根拠のない答えが混じる、という調整がそのまま運用の手間になります。

画面の作り込みには向かない

Copilot Studioは会話の窓口を作る道具であって、業務アプリの画面を設計する道具ではありません。入力フォームの細かなレイアウト、複雑な一覧画面、独自の帳票といった要素が中心になる要件では、別の手段を検討したほうが早くなります。

表計算の分析は苦手だと明記されている

SharePointを知識源にする場合の制限として、公式ドキュメントにはXLSXなどの構造化ファイルを追加できるとしたうえで、エージェントはコードを記述して実行できないため、分析的な質問に対する回答は最適でない場合がある、と記載されています。数字を集計させる用途を前提に設計すると、期待した精度にならない可能性があります。

上限があらかじめ決まっている

公式のクォータと制限のドキュメントには、標準ハーネスでの上限が具体的に記載されています。設計の前に目を通しておくと、後戻りを避けられます。

  • エージェントごとのナレッジ ソースは全型で500、トピックはエージェントごと1,000、トリガー フレーズはトピックごと200、スキルはエージェントごと100です。
  • エージェントの手順は8,000文字、ファイル アップロードは512MBかつ500ファイル、コネクタのペイロードは5MB(GCCは450KB)です。
  • Dataverse環境ごとの1分あたりの要求数は、アクションとエージェントへのメッセージが8,000 RPMです。生成AIメッセージは、テナントの課金機能で50 RPMかつ1,000 RPH、プリペイド メッセージ パック1〜10で80 RPMかつ1,600 RPH、11〜50で100 RPMかつ2,000 RPH、試用・開発環境と従量課金制の環境で100 RPMかつ2,000 RPHと記載されています。
  • SharePointを知識源にする場合、生成オーケストレーションでは1エージェントあたり最大25サイトURL、リストのクエリは最初の2,048行のみです。同じテナントにMicrosoft 365 Copilotライセンスが無い作成者は、7MB未満のファイルしか生成応答に使えず、ライセンスがあり、セマンティック検索付きのテナント グラフ グラウンディングを有効にした場合は最大200MBと記載されています。

※ここに挙げた上限は、公式のクォータと制限のドキュメントに記載されている標準ハーネスの値です(2026年9月16日確認)。ハーネスや環境の種類によって適用される値が異なるため、実際の設計時には該当する条件をご確認ください。

料金とライセンスの3経路|付帯・スタンドアロン・従量課金制

料金の話がわかりにくいのは、入口が3つあり、どれを通るかで支払いの形が変わるためです。まず3つを分けます。

経路1:Microsoft 365 Copilotに含まれる分を使う

公式の価格ページには、Microsoft 365 Copilotの価格として、ユーザーあたり月額¥4,497相当(年払い)と表示されており、Copilot ChatとCopilot Studioの Standard ハーネスへのアクセスが含まれる、と記載されています。同ページのFAQには、Microsoft 365 Copilotに含まれるCopilot Studioでは、Microsoft 365内でCopilot Chatおよび Standard ハーネスを使用し、ライセンスを持つユーザーが追加費用なしで内部エージェントを構築および使用できる、と書かれています。公式ライセンス ガイドの表では、この使用権で公開できる先が内部チャネル(例として社内Webサイト、Teamsなど)とMicrosoft 365エクスペリエンスとされています。

経路2:スタンドアロンのCopilot Studioを契約する

公式の価格ページには、Copilot Studioは、各パックに25,000 Copilot クレジットを含むテナント全体用のライセンスとして販売されること、価格は¥29,985/パック/月であることが記載されています。ユーザー数に応じた課金ではなく、テナントに対して買う形です。公式ライセンス ガイドの表記では、同じキャパシティ パックが200ドル/キャパシティ パック/月とされています。

※公式ライセンス ガイドは200ドル、日本の公式価格ページは¥29,985と、それぞれ別々に示されています。この記事では換算をせず、日本の価格ページの表示は¥29,985/パック/月(税抜)である、という形でそのまま記載します。価格ページには、価格には消費税は含まれていません、と明記されています。

スタンドアロンを選ぶ理由として公式FAQが挙げているのは、柔軟性です。原文では、スタンドアロンのCopilot Studioライセンスでは、さらに柔軟に、GitHub Copilot ハーネスを使用してエージェントを作成し、外部チャネル(Webサイト、アプリ、ソーシャル プラットフォームなど)に公開できる、と記載されています。同ページには、購入には条件を満たすMicrosoft 365の大企業または一般法人向けプランが別途必要であることも書かれています。なお中小企業向けには、既存プランへのアドオンであるMicrosoft 365 Copilot Businessが別に用意されているため、自社が対象になる価格を先に確かめてください。公式ライセンス ガイドの表でも、スタンドアロンの公開先は外部チャネル(例として外部Webサイト、FB、WhatsAppなど)とされています。

経路3:従量課金制で使った分だけ払う

公式の価格ページには、従量課金制の案内とあわせて、エージェントを使用するにはAzureサブスクリプションが必要である、という注記があります。支払いは請求期間の終わりに、実際に使ったクレジット分です。公式ライセンス ガイドは、この従量課金メーターを後払いと位置づけ、超過による利用停止を心配する必要がない、と説明しています。試算が難しい立ち上げ期に向く形ですが、Azureサブスクリプションの用意が前提になる点は見落とされやすいところです。同じAzure上でOpenAIのモデルをAPIとして直接使う形は、Azure OpenAIとはで整理しています。

事前購入プランと、機能差の有無

4つ目の買い方として、Copilot クレジット事前購入プラン(Copilot クレジット コミット ユニット)があります。公式の価格ページには、前払いで購入すると、コストを最大20%削減できること、プリペイドのクレジットを使い切った場合は自動で従量課金制に切り替えることでサービスの中断を防ぐことが記載されています。公式ライセンス ガイドでは、1 CCCU=1ドル=100 Copilot クレジットという単位が示され、Tier1が3,000 CCCUで2,850ドル(5%引き)、Tier9が3,000,000 CCCUで2,400,000ドル(20%引き)と記載されています。未使用分は翌年に繰り越せず、超過分は追加購入しなければ自動的に従量課金制に切り替わるとされています。

気になるのは、買い方によって性能が変わるのかという点ですが、公式の価格ページのFAQには、Copilot クレジット パックと従量課金制のどちらでも、製品の機能や性能に違いはなく、違いはサービスの支払い方法のみである、と明記されています。選ぶ基準は機能ではなく、費用の読みやすさと、社内の購買手続きの通しやすさです。

作る人のライセンスは無償、使う人にはライセンスが要らない

費用の全体像を見誤りやすいのが、ここです。公式ライセンス ガイドには、エージェントを構築・管理するユーザー1人につきCopilot Studioユーザー ライセンスが必要であること、ただしその価格は無償であることが記載されています。事前購入プランで支払う場合はCopilot Studio作成者ロールが必要で、これも無償とされています。さらに、公式の価格ページのFAQには、エージェントを使用するユーザーにライセンスは必要ありません、と明記されています。つまり、ユーザー数で積み上がるのはクレジットの消費であって、席の数ではありません。

※このほか、公式ライセンス ガイドにはDataverseの既定キャパシティとして、テナントあたり1回のみ、データベース15GB・ファイル20GB・ログ2GBが付与されると記載されています。追加は1GB単位のアドオンで、データベースが月40ドル、ファイルが月2ドル、ログが月10ドル(いずれも年払い)と示されています。ドキュメントをナレッジとして大量に取り込む設計では、この容量も見積もりに含める必要があります。

メッセージからの変更と、クレジット消費の考え方

クレジットの考え方は、機能ごとに単価が違う共通通貨、と捉えると理解しやすくなります。公式ライセンス ガイドの4ページには、ユーザーがCopilot Studioエージェントとやり取りする、またはエージェントがユーザーに代わってタスクを実行するとCopilot クレジットが消費されること、Copilot クレジットはCopilot Studioの機能全体での共通通貨であることが記載されています。

標準ハーネスの課金レート

以下は、公式の請求レートと管理のドキュメントに記載されている標準ハーネスのレートです。右列は、Microsoft 365 Copilotのライセンスを持つユーザーが使う場合の扱いです。

エージェントの機能課金レートMicrosoft 365 Copilotライセンス保有者が使う場合
従来型の回答(作成者が手で作った定型応答)1 Copilot クレジット無料
生成回答2 Copilot クレジット無料
エージェント アクション5 Copilot クレジット無料
メッセージのテナント グラフの基盤設定10 Copilot クレジット無料
エージェント フロー アクション(100アクションあたり)13 Copilot クレジット無料
テキストと生成AIツール(基本)1,000トークンあたり0.1クレジット(回答10件ごと1クレジット)無料
テキストと生成AIツール(標準)1,000トークンあたり1.5クレジット(10件ごと15クレジット)無料
テキストと生成AIツール(プレミアム=推論モデル)1,000トークンあたり10クレジット(10件ごと100クレジット)無料
ページごとのコンテンツ処理ツール8 Copilot クレジット無料
音声(1分あたり)クラシック音声10/GenAI音声35/プレミアムGenAI音声75含まれる

※出典は公式の請求レートと管理のドキュメント(2026年9月16日確認)です。右列の無料は、Microsoft 365 Copilotのライセンスを持つユーザーが従業員向けシナリオで使う場合の扱いを指します。同ドキュメントには、使用はフェアユースの制限に制限されており、製品の進化や新たな使用パターンの出現に伴い制限を更新する権利を留保する、という記載があります。また、コンピューター操作エージェントはMicrosoft 365 Copilot USLに含まれません。エージェント フローが無料になるのは、エージェントがフローを呼び出すトリガーで実行され、利用者がMicrosoft 365 Copilotのライセンスで認証されている場合に限られ、他のトリガーで動くエージェント フローは標準のレートでクレジットを消費する、とも記載されています。

無料という言葉の範囲を正確に読む

この表の右列は、社内利用なら費用がかからない、という意味ではありません。公式ライセンス ガイドの注6には、従業員向けシナリオにおけるCopilot Studioエージェントの使用と、それらのエージェントによって呼び出されたCopilot Studioのツールおよび機能の使用は、ユーザーがMicrosoft 365 Copilotのライセンスを保有し、当該エージェントが認証済みのMicrosoft 365 Copilot USLユーザーIDを使用して動作している場合にMicrosoft 365 Copilot USLに含まれる、ただし公平な利用の範囲内に限定される、と記載されています。条件は3つ重なっています。利用者がライセンスを持っていること、社内向けの用途であること、公平な利用の範囲であること、です。

注7には、Teams、SharePoint、Microsoft 365 Copilot用にCopilot Studioで構築されたエージェントは、Microsoft 365 Copilotユーザー ライセンスに含まれており、追加料金なしで利用できる、とも記載されています。裏を返すと、Microsoft 365 Copilotを配っていない社員が使うエージェントは、社内向けであってもクレジットを消費します。ここが、社員10〜200名の会社で見積もりが割れる分かれ目になります。

上限に達したときに、何が起きるか

止まり方は、公式に具体的な数字で書かれています。請求レートと管理のドキュメントには、消費が容量を超えると環境が過剰状態になり、猶予はあるものの、テナントが前払いキャパシティの125%に達すると強制措置がトリガーされ、カスタム エージェントは無効になる、と記載されています。あわせて、進行中の会話は中断されないこと、以降の呼び出しは容量を増やすかリセットするまで拒否されること、テナントの指定管理者にメール通知が送られ、Power Platform管理センターにも投稿されることが書かれています。エージェント フローについては、前払い容量が不足すると、エージェントを無効にするのではなく新しい実行がブロックされる、と別に記載されています。

公式ライセンス ガイドの10ページは、より強い表現です。購入したCopilot Studioのキャパシティはすべて月単位で適用され、未使用のCopilot クレジットを翌月に繰り越すことはできないこと、そして、使用量が購入したキャパシティを超える場合には技術的措置(サービス拒否など)が講じられること、が記載されています。繰り越せないということは、少なめに買って余った月の分を繁忙月に回す、という運用ができないということです。

管理者が見る場所:公式ライセンス ガイドの10ページには、Power Platform管理センターの[請求]>[ライセンス]>[Copilot Studio]>[概要]タブで確認する、という案内があります。また、公式には使用量の見積もりツール(Microsoft Copilot Studioのエージェント使用量見積)が用意されていることも案内されています。社内で試算する前に、まずこのツールに自社の想定件数を入れてみるほうが早い場合があります。

25,000クレジットを実際に割り算してみる

1パック25,000クレジットが自社で何回分になるかは、割り算1つで見当がつきます。ここでは推計や丸めを行わず、前提と式だけを示します。

この試算の前提:(1)標準ハーネスの課金レートを使う。(2)利用者はMicrosoft 365 Copilotのライセンスを持っていない(持っている場合、社内向け利用は前掲の条件のもとで無料の扱いになる)。(3)テキストと生成AIツールのトークン単位の課金は含めない。(4)1パック=25,000 Copilot クレジット、未使用分は翌月に繰り越せない。この4つが崩れると、下の式の答えも変わります。

1回のやり取りあたりの単価で割る

  • 定型応答だけで完結する場合:従来型の回答1回=1クレジット。25,000÷1=25,000回。
  • 1回の問い合わせで生成回答が2回の場合:2×2=4クレジット。25,000÷4=6,250回。
  • 生成回答2回に業務アクションが1回入る場合:2×2+5=9クレジット。25,000÷9=2,777.77…(割り切れません)。
  • テナント グラフの検索を伴う複雑な質問1回:公式の例のとおり10+2=12クレジット。25,000÷12=2,083.33…(割り切れません)。
  • ページ単位のコンテンツ処理を1回挟む場合:8クレジット。25,000÷8=3,125回。
  • エージェント フロー アクション:100アクションあたり13クレジット。25,000÷13=1,923.07…(割り切れません)。100アクションを1単位として数えた回数です。

6,250回という数字を月20営業日で割ると、6,250÷20=312.5回/日です。社員50名の会社で1人1日6回使うと想定すれば、50×6=300回/日となり、1パックの範囲に入る計算になります。ここで効いてくるのが単価の設計で、同じ300回/日でも、テナント グラフの検索を常時有効にして1回12クレジットになれば、300×12=3,600クレジット/日、25,000÷3,600=6.94…日分にしかなりません。

公式が示している課金の例を、そのまま割ってみる

公式の請求レートと管理のドキュメントには、3つの計算例が原文のまま掲載されています。これを25,000で割ると、1パックの持ち時間が見えます。

  • 顧客サポート エージェント:[(4×1)+(2×2)]×900 customers=7,200 Copilot Credits/日。25,000÷7,200=3.47…日分(割り切れません)。
  • 営業業績担当者:[(4×2)+(4×10)]×100 users=4,800 Copilot Credits/日。25,000÷4,800=5.20…日分(割り切れません)。
  • 受注処理エージェント:[(4×5)]=20 Copilot Credits/日。25,000÷20=1,250日分。

同じ1パックが、用途によって3日分にも1,250日分にもなります。料金表の金額だけを見て高い安いを判断できないのは、このためです。社内の申請案内のように、1日の呼び出しが数十回で、しかも多くが定型応答で済む用途であれば、1パックはかなり長く持ちます。逆に、全社員が毎日使う対話型の窓口を、テナント全体の検索付きで作ると、1パックは数日で消えます。

※上記3つの計算例は、公式の請求レートと管理のドキュメントに掲載されている例をそのまま引用したものです。自社の消費量を示すものではありません。25,000で割った結果は、この記事で前提を明示したうえで計算したものです。

無料で試せる範囲を3つに切り分ける

無料で使えるかという問いには、3つの別々の答えがあります。混ざったまま検討すると、試用版でできたことが本番でできない、という事故につながります。

無料の1:無料試用版。作れるが、公開はできない

公式のライセンスとサブスクリプションのドキュメントには、個人としてサインアップすると無料試用版が始まること、そして試用版ではエージェントを公開することはできないことが記載されています。作成とテストはできるが、公開はできない、という区切りです。社内で配って使ってもらうところまでは、試用版では到達しません。

期間については、試用期間の終了時に30日間の延長ができること、さらに、試用版が期限切れになった後でもエージェントは90日間引き続き動作することが記載されています。評価に使える時間は見た目より長いということです。

つまずきやすい点も公式に書かれています。個人のメールアドレスは拒否されることがあり、職場または学校のアカウントを使うこと、そして組織のIT管理者がセルフサービス サインアップを無効にしている場合があることです。担当者が自分のアドレスで登録しようとして進めない、という詰まり方は、この2つが原因である可能性があります。

無料の2:Microsoft 365 Copilotのライセンスがあれば、社内向けは追加費用なし

2つ目は、すでにMicrosoft 365 Copilotを配っている場合です。前掲のとおり、公式の価格ページには、ライセンスを持つユーザーが追加費用なしで内部エージェントを構築および使用できる、と記載されています。ただし条件は、利用者がライセンスを持つこと、社内向けの用途であること、公平な利用の範囲内であることです。コンピューター操作エージェントはこの範囲に含まれません。Microsoft 365 Copilot自体の内容はMicrosoft 365 Copilotでできることの解説にまとめています。

無料の3:エージェントを作る人のライセンスそのもの

3つ目は見落とされがちですが、作る側のライセンスです。公式ライセンス ガイドには、エージェントを構築・管理するユーザー1人につきCopilot Studioユーザー ライセンスが必要であり、その価格は無償であると記載されています。作る人を増やすこと自体には費用がかかりません。費用がかかるのは、作られたエージェントが動いたときです。この非対称が、後述する野良エージェントの問題を生みます。

Teamsプランに含まれる範囲は、機能が限定される

一部のMicrosoft 365サブスクリプションには、Teamsプランの Copilot Studio が含まれます。ただし公式ドキュメントには、このプランでは生成オーケストレーション、Premiumコネクタ、ライブ担当者への引き継ぎ、Copilotを使った作成と編集が該当なしとされ、公開先はTeamsのみであることが記載されています。スタンドアロンのサブスクリプションでは、Copilot Studioがサポートする任意のチャネルに公開できます。なお、Copilot Studioの権利はDynamics 365 Customer Serviceのデジタル メッセージングおよびチャット アドオンにも含まれると記載されています。すでに契約している製品の中に権利が紛れている可能性があるため、新規に買う前に社内の契約内容を確認する価値があります。

試用の次は、社員が毎日使う環境を決める段階

無料の範囲で作ったものを本番で使うには、社員全員が使える場所が要ります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

作成手順|サインインからテストと公開まで5ステップ

実際の流れは5段階です。ここで大事なのは、手順そのものより、どの段階で何が決まってしまうかを把握しておくことです。

ステップ1:サインインする

ブラウザで copilotstudio.microsoft.com にアクセスし、職場または学校のアカウントでサインインします。個人のメールアドレスは拒否されることがあると公式に記載されているため、最初から会社のアカウントで入るのが確実です。ここで管理者がセルフサービス サインアップを無効にしていると入れないため、情報システム担当がいる会社では先に確認しておきます。

ステップ2:エージェントを作る

新しいエージェントを作り、名前・説明・言語を決めます。この段階でハーネスの選択も関わります。標準ハーネスは構造化され再現可能な会話向け、GitHub Copilot ハーネスは推論重視で多段階向け、Copilot チャット ハーネスはMicrosoft 365 Copilot Chatを組織の知識で拡張する向き、という位置づけです。課金の方法もここで決まるため、あとから気軽に変える前提で進めないほうが安全です。

ステップ3:ナレッジを接続する

社内文書やSharePointサイト、公開Webサイトなどを知識として接続します。ここが回答の品質を決める段階であり、同時にセキュリティの分かれ目でもあります。後述のとおり、接続したソースの元のアクセス権がそのまま効くため、共有設定が雑なままのSharePointをつなぐと、雑なまま答える結果になります。

ステップ4:トピックまたは生成AI応答を組み立てる

決まった質問には定型の応答(トピック)を、それ以外はナレッジにもとづく生成回答を、という割り振りを作ります。トピックはエージェントごとに1,000、トリガー フレーズはトピックごとに200という上限が公式に記載されています。エージェントの手順は8,000文字までです。長い社内規程をそのまま指示文に貼り付ける設計はできません。

ステップ5:テストして公開する

テスト用のパネルで動作を確認し、公開します。公式の概要ドキュメントには、公開の前後にテストセットとグレーダー ライブラリで品質を検証する評価の仕組みがあること、公開前の自動セキュリティ スキャンとリアルタイムのリスク評価、作成者向けのセキュリティ警告があることが記載されています。無料試用版ではこの公開の段階に進めない点は、前述のとおりです。

公開前にやっておく確認:本来は見られない情報について、あえて質問してみることです。アクセス権の設定が緩いまま公開すると、エージェントは設定どおりに答えます。手順を進める前に、質問する人の権限を変えて2回試す、というだけでも、多くの事故は手前で止まります。

接続できるナレッジ ソースと、その上限

ナレッジ ソースは5系統に整理されています。以下は公式のナレッジのドキュメントに記載されている内容です。

ソース内部/外部生成モードでの上限認証
公開Webサイト(Bingで検索し、指定したサイトの結果だけを返す)外部25サイト(クラシックは4 URL)なし
ドキュメント(Dataverseにアップロード)内部すべてのドキュメントなし
SharePoint(GraphSearchで結果を返す)内部25 URL(クラシックは生成回答ノードごと4 URL)エージェント利用者のMicrosoft Entra ID認証
Dataverse内部無制限(クラシックは2ソース・1ソース最大15テーブル)エージェント利用者のMicrosoft Entra ID認証
コネクタを使ったエンタープライズ データ(Microsoft Searchがインデックス)内部無制限(クラシックはエージェントごと2)エージェント利用者のMicrosoft Entra ID認証

ナレッジの権限は、元のアクセス権がそのまま効く

この表で最も実務に影響するのは、認証の列です。公式ドキュメントには、ナレッジ ソースに対するエージェント ユーザー認証とは、特定のユーザーがエージェントに質問すると、エージェントは特定のユーザーがアクセスできるコンテンツのみを表示することを意味する、と記載されています。エージェントが新しい権限を作るのではなく、既存の権限がそのまま持ち込まれる、ということです。

これは安心材料であると同時に、落とし穴でもあります。SharePointの共有設定が長年見直されていない会社では、本来は特定の部署だけが見るはずの資料が、実際には全社に共有されたままになっていることがあります。その状態でエージェントをつなぐと、エージェントは規定どおりに、見られる人には見せます。つまり、雑な共有設定は、雑なまま答えに出ます。

対処の順番は、ナレッジを接続する前に共有リンクと権限を棚卸しする、という1点に尽きます。社内の点検項目は生成AIのセキュリティ対策チェックリストにまとめています。エージェントを作る話と、ファイルサーバーを整理する話は、別の作業に見えて実際にはつながっています。

根拠のない応答を許可するという設定

ナレッジのセクションには、根拠のない応答を許可するという設定があり、生成オーケストレーションが必要です。オンにすると、ナレッジ ソースやツールを使わなくてもモデルの一般知識で答えます。オフにすると、ナレッジ ソースもツールも呼ばなかったターンの応答をブロックし、フォールバック トピックが起動します。前述のとおり、公式ドキュメントにはこの設定をオフにしても、エージェントが一般的な知識を一切使用しないことを保証するものではない、という但し書きがあります。社内向けの説明資料では、この但し書きまで含めて書いておいたほうが、後の齟齬を避けられます。

もう一点、公式ドキュメントには、現時点ではナレッジ ソースから返された引用は、他のツールやアクションへの入力として使用できない、という制約も記載されています。文書から読み取った値を、そのまま別のシステムへ渡す設計を考えている場合は、この制約が効いてきます。

Power Automateとの違いと連携・使い分け

両者の関係は、対立ではなく、似た体験が両方にあるという状態です。公式の概要ドキュメントは、Copilot Studioの構成要素の一つであるエージェント フローについて、Power Automateに似たオーサリング体験をCopilot Studioにネイティブで提供するもの、と説明しています。つまり、自動化の処理をCopilot Studioの中で組み立てられる、ということです。

連携もできます。前述のとおり、クラシック チャットボットを標準エージェントへ変換する際の注意点には、Power Automateフローへの接続は複製されるものの、接続のテストを強く勧める、という記載があります。既存のPower Automateの資産をそのまま活かす経路が想定されている、ということです。

使い分けの目安は、会話が入口にあるかどうかです。人が質問し、その答えによって次の処理が変わるなら、入口はエージェントになります。人の問いかけが不要で、決まったきっかけで決まった処理が流れるだけなら、会話の仕組みを載せる必要はありません。課金の面でも、エージェント フロー アクションは100アクションあたり13 Copilot クレジットとして計上されるため、大量の定型処理をエージェント側に寄せる設計は、消費の観点でも確認が要ります。

※この節は、公式ドキュメントに記載されているエージェント フローの位置づけと、変換時のPower Automate接続に関する記載にもとづいています。両製品の機能を網羅的に比較したものではありません。

Teamsをはじめとする展開チャネル

どこに公開できるかは、契約の経路で決まります。公式の概要ドキュメントには、エージェントはTeams、Microsoft 365 Copilot、Webサイト、モバイルアプリなどに公開でき、複数の言語に対応する、と記載されています。一方で、公式ライセンス ガイドの表では、公開できるチャネルが経路ごとに分けて書かれています。

  • Microsoft 365 Copilotに含まれる使用権:内部チャネル(例として社内Webサイト、Teamsなど)と、Microsoft 365エクスペリエンス。
  • スタンドアロンのCopilot Studio:外部チャネル(例として外部Webサイト、FB、WhatsAppなど)。
  • Teamsプランに含まれるCopilot Studio:公開先はTeamsのみ。

社内のヘルプデスクをTeamsに置くだけなら、Microsoft 365 Copilotを配っている会社では追加の契約が要らない可能性があります。逆に、会社のWebサイトに問い合わせボットを置きたい、という話になった瞬間に、スタンドアロンの契約が必要になります。社内向けと社外向けで検討の前提がまったく変わるため、企画の初期に、置く場所を1つに決めてから費用を試算するほうが手戻りが少なくなります。

社外に公開するときの追加の論点:公式のデータの保存場所のドキュメントには、外部サービスとの連携(顧客サービスのハンドオフ、FacebookやMicrosoft Teamsとの連携)では、選択した地理的範囲の外へデータが転送される可能性があると記載されています。社外チャネルへの公開は、料金の話だけでなく、データがどこへ出るかの話でもあります。

Microsoft 365 Copilotとの違い

2つは競合する製品ではなく、役割が違います。Microsoft 365 Copilotは、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsといった業務アプリの中で、その人の作業を助けるものです。Copilot Studioは、社内の誰かのために、特定の目的を持った窓口や自動化を作るものです。前者は個人の作業効率に効き、後者は組織の問い合わせ対応や手続きに効きます。

両者は価格の単位も違います。公式の価格ページの比較表では、Microsoft 365 Copilotが¥4,497から、Copilot Studioが¥29,985と並んでいます。前者はユーザーごと、後者はテナント全体に対するパックです。人数が増えたときに増えるのは前者で、利用が増えたときに増えるのは後者です。ChatGPTやClaudeなど他社のAIエージェントとの料金体系の違いは、AIエージェント比較|種類・料金・会社で選ぶ基準で整理しています。

そして、両者は重なってもいます。公式の価格ページには、Microsoft 365 Copilotに、Copilot ChatとCopilot Studioの Standard ハーネスへのアクセスが含まれると記載され、同ページには、Microsoft 365 Copilotには組織内で使用できるエージェント構築機能が含まれていること、エージェントを外部チャネルで公開または共有する場合はスタンドアロンのCopilot Studioプランを選ぶこと、という案内があります。すでにMicrosoft 365 Copilotを契約している会社は、まず含まれている範囲を使い切ってから、足りない部分だけを買い足す順番で検討できます。

活用例・ユースケース|ヘルプデスク、一次対応、オンボーディング、申請案内

向く業務には共通点があります。答えが文書のどこかに書いてあり、同じ質問が繰り返され、間違えても人が引き取れる、という3条件です。

社内ヘルプデスク

パスワードの再設定手順、社内システムの使い方、備品の手配先といった質問は、答えが決まっていて、しかも件数が多い領域です。定型応答(従来型の回答、1クレジット)で答えられる割合が高いほど、消費も抑えられます。情報システム担当が1人しかいない会社では、同じ質問に答える時間がそのまま削れます。

問い合わせの一次対応

社外向けのWebサイトに置く場合は、スタンドアロンの契約が必要になります。ここで検討すべきは、答えられない質問をどう引き継ぐかです。公式ドキュメントには、Teamsプランに含まれるCopilot Studioではライブ担当者への引き継ぎが該当なしと記載されているため、有人対応への引き継ぎを前提にする設計では、契約の区分から確認が必要です。

入社時のオンボーディング

入社直後の社員は、質問したいことが多い一方で、誰に聞けばよいかがわかりません。就業規則、経費精算の締め日、社内の略称や用語といった質問は、聞く側の心理的な負担が高く、ボットに向く領域です。ナレッジとして接続する文書が、実際に最新版かどうかだけは、事前に確認しておく必要があります。

申請・手続きの案内

稟議、休暇、経費の申請では、どの様式を使い、誰に回すのかという質問が繰り返されます。案内だけなら定型応答で足り、申請そのものを進めるところまで踏み込むと、エージェント アクション(5クレジット)やエージェント フロー アクションの領域に入ります。案内までで止めるか、実行まで踏み込むかで、費用も検証の手間も変わります。

向かない業務の線引き

反対に、次のような業務は最初の1本目に選ばないほうが無難です。判断や例外処理が中心の業務、答えが文書に書かれておらず担当者の経験にある業務、数字の集計や分析が主目的の業務(公式に、分析的な質問への回答は最適でない場合があると記載されています)、そして間違えたときの影響が大きい業務です。1本目は、失敗しても誰も困らない領域を選ぶほうが、社内の理解も得やすくなります。

導入前の注意点|ナレッジ整備・ライセンス試算・テナント設定

導入でつまずく場所は、作る技術ではなく、その手前の3つに集中します。

注意点1:ナレッジの整備は、作る前の作業

答えの品質は、接続した文書の品質を超えません。古い版と新しい版が同じフォルダーに並んでいれば、エージェントは両方を根拠にします。接続する範囲を決める、最新版だけを置く場所を決める、更新の担当を決める、という3つを先に済ませておく必要があります。前述の、元のアクセス権がそのまま効くという性質も、この段階で効いてきます。

注意点2:ライセンスの試算は、件数より単価から

前章で示したとおり、同じ件数でも1回あたりのクレジットが1か12かで、1パックの持ち方は12倍変わります。試算の順番は、想定件数を数える前に、その問い合わせがどの層で答えられるかを決めることです。そのうえで、公式の使用量見積ツールに入れて確認します。未使用分が翌月に繰り越せない以上、余裕を持って多めに買う戦略は、そのまま毎月の取りこぼしになります。

注意点3:社員10〜200名の会社が最初に確かめる分岐

この規模の会社では、次の3つの質問で検討の道筋がほぼ決まります。

  • Microsoft 365 Copilotを配っているか配っている場合、そのライセンスを持つ社員が社内向けに使う分は、公平な利用の範囲内という条件のもとで追加費用なしの扱いになります。配っていない場合は、社内向けであってもクレジットを消費します。ここが試算の前提を丸ごと変える分岐です。
  • 公開したい場所は社内か社外か社内のTeamsや社内Webサイトで足りるなら、内部チャネルの範囲です。外部のWebサイトやメッセージ アプリに出すなら、スタンドアロンのCopilot Studioが必要になります。
  • 従量課金制を使う用意があるか公式の価格ページには、従量課金制でエージェントを使用するにはAzureサブスクリプションが必要という注記があります。Azureを契約していない会社では、この経路を選ぶ前に社内の手続きが1つ増えます。

※Microsoft 365 Copilotのライセンス保有者に関する扱いは、公式ライセンス ガイドの注6・注7、および公式の請求レートと管理のドキュメントに記載されている条件にもとづきます。公平な利用の範囲という条件が付いており、その範囲は更新される可能性があると明記されています。

注意点4:作って終わりにしないための運用

公開した後に続く作業も、先に見積もっておく必要があります。ナレッジに入れた文書は、規程が変われば差し替えが要ります。答えられなかった質問を拾い、定型応答を足していく作業も続きます。公式の概要ドキュメントにあるアナリティクス(セッション成果の分析)と評価(テストセットとグレーダー ライブラリ)は、この作業のための道具です。そして、担当者が異動や退職をしたときに、誰が引き継ぐのかを決めておかないと、中身が更新されないまま動き続けるエージェントが残ります。

セキュリティ・認証・データの扱い|管理者が先に決めること

管理側の設定は、作り始めてからではなく、作り始める前に決めるほうが圧倒的に楽です。公式のセキュリティとガバナンスのドキュメントに記載されている機能から、社員10〜200名の会社で実際に使うものを、触る順番に並べます。

野良エージェントを増やさない順番

作る人のライセンスは無償で、使う人にはライセンスが要らない。この設計は展開を速くする一方で、誰が何を作ったか把握できない状態を生みやすくもあります。情報システム担当が1人しかいない会社では、次の順番で先に枠を作っておくことをおすすめします。

  • 1.発行できるかどうかを、テナント単位で決める公式ドキュメントには、管理者はテナントに対して生成AI機能を使うエージェントの発行そのものをオフにできる(Power Platform管理センター)と記載されています。まず全体を止めたうえで、必要な範囲だけ開ける判断ができます。
  • 2.作れる人をセキュリティ グループで絞る公式ライセンス ガイドには、Power Platform管理センターの設定でセキュリティ グループを指定すると、そのグループのメンバーだけがCopilot Studioにアクセスできる、と記載されています。作成者を名簿で管理できる状態にします。
  • 3.作業する環境を指定する公式ドキュメントには、環境ルーティングで作成者が作業する環境を管理者が指定できる、と記載されています。本番のデータが入った環境で試作が始まる事態を避けられます。
  • 4.データ ポリシーを当てるPower Platform管理センターのデータ ポリシーでは、作成者と利用者の認証、ナレッジ ソース、アクション・コネクタ・スキル、HTTPリクエスト、チャネルへの公開、Azure Monitor Application Insights、トリガーの利用と可用性を管理できると記載されています。社外へ出る経路を、ここで閉じます。
  • 5.クレジットの上限を設定する公式ドキュメントには、管理者はPower Platform管理センターのCopilot Hubで使用状況を監視し、従量課金制のCopilot クレジット上限を設定できる、と記載されています。請求が読めない状態を、設定で止められます。
  • 6.公開前のスキャンと監査ログを確認する公開前の自動セキュリティ スキャンとリアルタイムのリスク評価、作成者向けセキュリティ警告があると記載されています。監査は、Microsoft Purviewの作成者監査ログと、Microsoft Sentinelの管理者監査ログです。コネクタ依存関係のインサイトで、データ移動のリスクを展開前に確認できるとも記載されています。

1から3までは、エージェントを1本も作っていない段階でも今日できる設定です。逆に、部署ごとに作られ始めてから枠をはめようとすると、止める側が悪者になります。順番を前後させないことが、いちばん費用のかからない対策です。社内での使い方のルールづくりは生成AIの社内ガイドラインの作り方で解説しています。

暗号化と、管理者が見られる範囲

公式ドキュメントには、カスタマー マネージド暗号化キーとCustomer Lockboxに対応していることが記載されています。ただしLockboxについては、Copilot Studioから送信されるすべての送信データをカバーしていない、という但し書きが明記されています。対応していると書かれている項目でも、範囲の注記まで読んでおく必要があります。

あわせて、Microsoft Agent 365という中央の制御プレーンが案内されています。公式ドキュメントでは、Copilot Studioエージェントを監視・管理・保護するもので、エージェントをMicrosoft Entraのアイデンティティとして表現し、条件付きアクセスや役割ベースのアクセス制御で扱えると説明されています。エージェントを人と同じように管理する、という方向です。

データはどこに保存されるのか

公式のデータの保存場所のドキュメントには、Copilot Studio内の顧客データが、選択されたAzureの地理的ロケーション内に留まるよう保証している、と記載されています。日本のデータセンターとして挙げられているのは、東日本(東京、埼玉)と西日本(大阪)です。

ただし、そのまま読み切ってはいけない注記が3つあります。1つ目は、テナントの所在地がデータ保存先の表に記載されていない場合、データは米国に保存されるという記載です。2つ目は例外の扱いで、サポートの提供・トラブルシューティング・法的要件の遵守のためにデータを転送する場合があること、Microsoft Entra IDはデータをグローバルに保存すること、外部サービスとの連携では選択した地理的範囲の外へデータが転送される可能性があることが挙げられています。

3つ目が、社内説明で最も効きます。会話ログを含むエージェントの過去の活動データは、ユーザーのExchangeメールボックスが配置されている地域に保存される、と記載されています。エージェント本体の保存場所と、会話ログの保存場所は、別の規則で決まるということです。取引先や顧問先に保管場所を説明する必要がある会社では、この2つを分けて説明できる状態にしておくと安全です。

社内文書に答えるボットと、社員が日常で使う環境は別物

ここまでの整理で見えてくるのは、Copilot Studioが担うのは会社の問いに答える窓口であって、社員が日々の仕事で使う道具そのものではない、ということです。この2つを1つの話として進めると、どちらも中途半端になります。

社内FAQのエージェントは、就業規則や手続きのように、答えが自社の文書の中にある質問に強い仕組みです。一方で、社員が実際に生成AIを使いたい場面は、それだけではありません。提案書の下書き、メールの言い換え、長い資料の要約、調べ物の下調べ、翻訳。これらは自社の文書に答えが書かれている質問ではなく、汎用の生成AIに投げる作業です。

ここで起きやすいのが、社内ボットを用意したのに、社員は個人のアカウントで別のAIを使い続ける、という状態です。会社が用意した窓口が、自分のやりたい作業に対応していないためです。会社から見えないまま業務情報が外に出る、いわゆる野良AI(シャドーAI)が生まれる典型的な経路でもあります。

したがって、整理すべきは二層です。第一層が、社内文書に答えるエージェント。Copilot Studioが担う領域で、費用はクレジットの消費として積み上がります。第二層が、社員が日常の作業で使う汎用のAI環境。こちらは、誰が何を使ってよいかを会社が決め、学習利用の設定とログの取得を会社側の管理下に置いた状態で用意する必要があります。複数のモデルを1つの管理体制で使う考え方はマルチAIの解説に、法人向けサービスの横並びは法人向け生成AIサービスの比較にまとめています。

この二層を同時に見ておくと、Copilot Studioの検討も具体的になります。第一層に何を載せ、第二層に何を逃がすかが決まれば、エージェントに求める範囲が絞れ、結果としてクレジットの消費も読みやすくなるためです。

社内で使うAIを、1つの契約と1つの管理画面にまとめる

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で使える法人向けのAI基盤です。カスタムプラスは、よく使う指示と手順をBOTにして社内限定で共有する機能で、社内文書RAGにより自社の資料を読み込ませた回答もできます。管理者ダッシュボードから利用ログ・権限・モデルのON/OFFを管理でき、会話履歴とログは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。UPGEAR AIの料金は月額30,000円(税抜)からで、ユーザーごとの課金はありません(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。別途、初期費用100,000円(税抜)がかかります。

UPGEAR AIの詳細を見る

よくある質問

Copilot Studioを使うのに、プログラミングの知識は必要ですか?
公式の概要ドキュメントは、Copilot Studioをグラフィカルでローコードなスタジオと説明しており、画面上の操作を中心に組み立てられる設計になっています。定型の応答を用意する、社内文書をナレッジとして接続する、といった範囲であれば、開発の経験がなくても進められる想定です。一方で、外部システムを呼び出すアクションを組む、承認の流れを作る、といった段階では、対象システムの仕様やデータの扱いを理解している人が関わったほうが確実です。加えて、公開の前にテナント側の設定(作成できる人の範囲、公開先のチャネル、データ ポリシー)を決める作業が必要で、これは開発というより管理の仕事にあたります。
Copilot Studioは無料で使えますか?
無料で試せる範囲は3つに分かれます。1つ目は無料試用版で、公式ドキュメントには、エージェントの作成とテストはできるが公開はできないこと、試用期間の終了時に30日間の延長ができること、期限切れの後もエージェントは90日間引き続き動作することが記載されています。2つ目は、Microsoft 365 Copilotのライセンスを持つユーザーが社内向けに使う分で、公平な利用の範囲内という条件のもとで追加費用なしの扱いになります。3つ目は、エージェントを構築・管理する人のCopilot Studioユーザー ライセンスそのもので、公式ライセンス ガイドに価格は無償と記載されています。試用版だけでは社内に配れない点が、実務上いちばん効く区切りです。
Copilot Studioは廃止されるのですか?
2026年9月16日時点で、Copilot Studioという製品そのものが廃止されるという公式の記載は確認できていません。名称に関して公式ライセンス ガイドの変更履歴に記載されているのは、2025年9月にCopilot Studio メッセージという呼び名がCopilot Studio Copilot クレジットへ変更されたことです。あわせて、前身のPower Virtual Agentsおよび旧バージョンで作られたクラシック チャットボットは生成AI機能をサポートしないこと、Copilot Studio上でクローンして標準エージェントに変換できることが公式の変換ドキュメントに記載されています。古いボットが残っている場合は、変換の可否と、承認・チャネル・セキュリティ設定の再構成が必要な点を先に確認してください。
Microsoft 365 Copilotを契約していれば、追加の費用はかかりませんか?
条件を満たす範囲であれば、追加費用なしの扱いになると公式に記載されています。公式の価格ページには、Microsoft 365 Copilotに含まれるCopilot Studioでは、ライセンスを持つユーザーが追加費用なしで内部エージェントを構築および使用できると書かれています。ただし公式ライセンス ガイドの注6では、利用者がMicrosoft 365 Copilotのライセンスを保有していること、認証済みのユーザーIDで動作していること、従業員向けシナリオであること、公平な利用の範囲内であること、という条件が付いています。ライセンスを持たない社員が使うエージェントや、外部チャネルに公開するエージェントは、この範囲に入りません。コンピューター操作エージェントも含まれないと記載されています。
25,000クレジットは、どのくらいの利用量に相当しますか?
用途によって大きく変わります。標準ハーネスの課金レートで、1回の問い合わせに生成回答が2回(2×2=4クレジット)なら、25,000÷4=6,250回です。定型応答だけ(1クレジット)なら25,000÷1=25,000回、テナント グラフの検索を伴う複雑な質問(公式の例で10+2=12クレジット)なら25,000÷12=2,083.33…で割り切れません。公式に掲載されている計算例のうち、顧客サポート エージェントの1日7,200クレジットという例では25,000÷7,200=3.47…日分、受注処理エージェントの1日20クレジットという例では25,000÷20=1,250日分になります。なお、未使用のクレジットを翌月に繰り越すことはできないと公式ライセンス ガイドに記載されています。
作ったエージェントは、社外のWebサイトでも公開できますか?
スタンドアロンのCopilot Studioライセンスであれば可能です。公式の価格ページには、スタンドアロンのライセンスでは外部チャネル(Webサイト、アプリ、ソーシャル プラットフォームなど)に公開できると記載されており、公式ライセンス ガイドの表でも、スタンドアロンの公開先が外部チャネルとされています。一方、Microsoft 365 Copilotに含まれる使用権の公開先は内部チャネルとMicrosoft 365エクスペリエンス、Teamsプランに含まれるCopilot StudioはTeamsのみです。あわせて、外部サービスとの連携では、選択した地理的範囲の外へデータが転送される可能性があると公式のデータの保存場所のドキュメントに記載されているため、公開先の検討ではデータの流れも同時に確認してください。

まとめ

Copilot Studioは、社内向けのAIエージェントとワークフローをローコードで組み立てるための基盤で、エージェント・ワークフロー・エージェント フローの3つを作れます。選んだハーネスによって、処理できるタスクの複雑さだけでなく課金の方法まで変わる設計になっているため、機能の検討と費用の検討を切り離せません。

廃止という語で語られがちですが、2026年9月16日時点で製品そのものの廃止を示す公式の記載は確認できていません。公式資料で確認できるのは、2025年9月に課金単位の呼び名がCopilot Studio メッセージからCopilot Studio Copilot クレジットへ変わったこと、そして前身のPower Virtual Agentsで作られたクラシック チャットボットは生成AI機能に対応せず、クローンして標準エージェントへ変換する案内が出ていること、この2点です。

費用の入口は3つあります。Microsoft 365 Copilot(ユーザーあたり月額¥4,497相当・年払い)に含まれる範囲、スタンドアロンのパック(25,000 Copilot クレジットで¥29,985/パック/月・税抜)、そしてAzureサブスクリプションを前提とする従量課金制です。加えて事前購入プランがあり、前払いで最大20%の削減が案内されています。買い方による機能や性能の差はなく、違いは支払い方法だけだと公式に明記されています。

1パックが何回分になるかは、件数より単価で決まります。定型応答1クレジットなら25,000÷1=25,000回、生成回答2回で4クレジットなら25,000÷4=6,250回、テナント グラフ検索を伴う12クレジットなら25,000÷12=2,083.33…と、同じ1パックでも開きが出ます。未使用分は翌月に繰り越せず、前払いキャパシティの125%に達すると強制措置がトリガーされてカスタム エージェントが無効になる、という止まり方も先に共有しておくべき事実です。

導入で最初に決めるのは、作る技術ではありません。Microsoft 365 Copilotを配っているか、公開先は社内か社外か、Azureサブスクリプションを用意できるか。この3つで道筋が決まります。そして、エージェントを1本も作っていない段階で、発行の可否・作成者の範囲・作業する環境・データ ポリシー・クレジット上限を先に設定しておくことが、後からの引き締めより安く済みます。ナレッジは元のアクセス権がそのまま効くため、共有設定の棚卸しは接続の前に終えてください。

最後に、社内文書に答えるエージェントと、社員が日常の作業で使う汎用のAI環境は別の層として用意する必要があります。前者だけを整えても、後者が空いたままなら、個人のアカウントでの利用は続きます。法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。