ChatGPT for Excelとは。公式アドインと第三者製アドインの見分け方、対応プランと会社で先に決めること

ChatGPT for Excelとは、Excelのサイドバーで動き、自然な言葉の指示にしたがってブックを作成・更新・分析するOpenAI公式のアドインになります。会社で入れるかどうかを決める前に、先に切り分けておきたいことが1つあります。同じChatGPT for Excelという名前で、2023年ごろから出回っている第三者製のアドインが別にあり、検索結果には両方が混ざって並んでいるためです。料金の請求先も、社内のブックが渡る先も違うので、どちらの話なのかを見分けるところから始めましょう。

ChatGPT for Excelとは何か|同じ名前の別物が2つあります

検索結果には、提供元の違う2種類のアドインが混ざって並びます。さらに、名前の似たMicrosoftのCopilot in Excelと取り違えられることもあるため、最初にこの3つを見分けるところから進めていきましょう。

系統1|OpenAIの公式アドイン(サイドバーで動くChatGPT)

1つ目は、OpenAIが自社で提供している公式のアドインです。OpenAIのヘルプセンターには、ExcelとGoogle Sheetsのスプレッドシート内にあるサイドバーで利用できる、スプレッドシートに組み込まれたAI体験、と書かれています。ベータ版の発表は2026年3月5日で、同年4月22日の追記ではGoogle Sheets版のベータ提供と、アプリ連携およびスキルへの対応が加わりました。使うのに必要なのは対応プランのChatGPTアカウントだけで、APIキーという言葉は一度も出てきません。

系統2|2023年ごろからある第三者製アドインとAI関数

2つ目は、OpenAIとは別の会社が作って配っているアドインになります。Microsoftのマーケットプレイスには、見出しに「Your ChatGPT for Excel.」と掲げた「GPT for MS Excel」というアドインが並んでいます。製品名の表示はGPT for MS Excel、作成者はTwistlyで、説明文のなかでは自社の製品名としてTwistlyCellsと書かれていました。2026年9月20日時点の表示は4.5(526評価)で、日本語で検索したときに公式版のすぐ近くに出てきます。

この系統の特徴は、ChatGPTのアカウントではなく、自分で取得したOpenAIのAPIキーをアドインに入れて使う点にあります。セルにAI.ASKのような専用の関数を書くと、そのセルの中に生成AIの回答が返ってくる、という作りになっているものが多く見られます。解説ページの途中にAPIキーの取得手順が出てきたら、それは公式版の説明ではありません。

系統3|名前の似たMicrosoft Copilot in Excel

3つ目は、Microsoftが提供しているCopilot in Excelです。こちらはアドインを追加するものではなく、Excelの右下に出るCopilotアイコンから呼び出す機能になっています。必要なライセンスも、会社での止め方も、ChatGPT for Excelとはまったく別の作りです。違いと使い分けは、この記事の後半でまとめて扱います。

検索で出てきた記事が古いかどうかを見分ける3つの手がかり

日本語の解説記事は、公開された時期によって書いてある内容が食い違います。次の3つを目印にすると、読んでいる記事がいつの話なのかを自分で判定できます。

  • APIキーの取得手順が書いてあれば、それは第三者製アドインの記事で、公式版の解説ではありません
  • 提供範囲が有料プランだけ、またはEU域外のPro・Plusに限ると書いてあれば、2026年3月のベータ発表当時の記述のまま更新されていません
  • 無料版では使えないと書いてあれば、提供範囲が広がる前に書かれた記事になります

この3つで振り分けると、いま読むべき記事とそうでない記事が分かれます。判断に迷ったときは、OpenAIの製品ページとヘルプセンターを直接開いてみてください。

GPT-5.4搭載と、投資銀行ベンチマーク87.3%という同社発表値

公式版の中身については、OpenAIの発表に数値が1つ出ています。同社は発表ページで、ChatGPT for ExcelにGPT-5.4を搭載したと説明し、社内の投資銀行ベンチマークにおける性能がGPT-5の43.7%からGPT-5.4 Thinkingの87.3%へ向上したと記載しました。このベンチマークは、適切な書式と引用を備えた三表連動モデルの作成など、実務のワークフローを評価するものだと説明されています。ただしこれはOpenAI自身が社内で測った自己申告値であり、第三者機関による検証結果ではありません。

※GPT-5.4の搭載とベンチマークの数値は、OpenAIの発表ページ(https://openai.com/ja-JP/index/chatgpt-for-excel/ ・2026年3月5日公開、同年4月22日更新)の記載です。2026年9月20日に同ページで確認しました。独立した第三者による検証結果ではありません。

公式版のChatGPT for Excelでできること

公式版でできることは、大きく4つに整理できます。どれも、ブックを開いたままサイドバーに指示を書く形で進みます。

自然言語で指示すると、ブックの中で何が起きるのか

いちばん大きい違いは、回答が文章で返ってくるのではなく、開いているブックそのものが書き換わる点になります。OpenAIの製品ページには、ChatGPTを使ってスプレッドシート全体を作成したり、タブをまたいで分析したりできること、数式の追加や編集とリアルタイム更新も可能なことが記載されています。発表ページでは、必要な内容を自然な言葉で説明するだけで、ChatGPTがワークブック内でモデルを直接作成・更新すると説明されました。モデルの構造・数式・前提条件を保ったまま、データ分析、レポート作成、在庫管理、予算管理を行えるという位置づけになっています。

計算そのものはExcel上で実行されるため、出来上がったブックはそのままExcelで開いて使えます。前提条件をたどり、数式を監査し、結果がどのように導かれたかを検証できる、という説明も発表ページに添えられました。

複数のタブをまたいで参照関係をたどり、エラーの原因を説明する

公式版は、シートをまたいだ参照のつながりを読み取ります。発表ページには、複数のワークブックをまたいで推論し、シートや数式の参照関係を理解すること、出力が変わった理由を説明してエラーを特定し修正できること、前提条件がモデル全体にどう反映されているかを示すことが記載されていました。引き継いだテンプレートの中身が分からないときや、意思決定の前にブックを検証したいときに向いた使い方になります。担当者が辞めたあとに残った、誰も中身を説明できないブックを読み解く場面を思い浮かべると近いでしょう。

変更の前に許可を求め、元に戻せる

ブックを書き換える機能となると、勝手に壊されないかという心配が先に立ちます。OpenAIは、ワークブックに変更を加える前にChatGPTが許可を求めるため、利用者は各ステップを確認し、必要に応じて変更を元に戻せると説明しています。回答の中には、参照したセルと更新したセルへのリンクが差し込まれます。ヘルプセンターは、重要な作業では先にファイルを複製しておくことも合わせてすすめています。

そのまま試せる指示の例

はじめて触るときは、いきなり大きなブックを渡さず、小さな指示から試してみてください。OpenAIのヘルプセンターが上手な使い方として挙げている指示は、そのまま社内の練習に使えます。

  • 「Inputsタブの前提だけを更新してください。書式は変更しないでください。変更内容を要約してください。」(何を保持し、何を上書きし、どこを対象にするかを具体的に指定する例)
  • 「編集前に、変更するタブや範囲を正確に概説してください。」(大きな編集の前に、まず計画を出させる例)
  • ブック内の特定のシートを@メンションして、指示の対象を1枚に絞り込む
  • ブックに取り込みたい情報をWebで検索させる

指示が不明確な場合、データが誤って変更または削除される可能性があるという注意も、製品ページのFAQに記されています。更新内容を具体的に指定し、変更点を再確認し、必要に応じて元に戻せるようにしてほしい、という言葉が添えられました。

公式版でできないこと

できないことを先に把握しておくと、社内で期待値がずれません。OpenAIは製品ページのFAQに、対応していない機能を具体的に並べています。

対応していないExcel機能|ピボットテーブル・Power Query・VBA/マクロ・Office Scripts

FAQの原文には、一部の高度なExcel機能にはまだ対応していないとあり、次の機能が挙げられていました。

  • Office Scripts
  • Power Query
  • ピボットとデータモデル
  • データの入力規則
  • 名前付き範囲マネージャー
  • スライサー、タイムライン
  • 外部接続の管理
  • 現在の対応範囲を超える高度なグラフ機能
  • マクロとVisual Basic for Applications(VBA)による自動化

あわせて、非常に大きなワークブックでは一部のデータが処理可能な範囲に収まらず、結果が不完全になる場合があると書かれています。月次の集計をピボットテーブルで回している部署では、そこだけ従来どおりの手作業が残ります。試す前に、対象のブックがこの一覧に触れていないかを確かめてみてください。

ChatGPT本体のチャット履歴やメモリとは同期しない

スプレッドシート内のチャットは、ふだん使っているChatGPTの画面とはつながっていません。ヘルプセンターの現在の制限事項には、スプレッドシートのチャットはメインのChatGPTチャット履歴とは別に動作し、会話とスプレッドシートのデータは両方の環境間で同期されないと記されています。ChatGPTのメモリにもアクセスできないため、本体で覚えさせた社内の前提や書式の好みは引き継がれません。

この点は、社内で使い方を教えるときにつまずきやすいところになります。本体のチャットで作った指示文をそのまま貼り直す、という手間が毎回かかると考えておいてください。

共有する前に、数式と変更されたセルを確認する

生成された内容をそのまま社外へ出す流れは避けましょう。OpenAIは、ChatGPTは数式の生成や説明ができるものの、複雑な数式や例外的なケースでは手動での調整が必要になる場合があると書きました。ヘルプセンターも、共有または利用の前に、数式、計算、出典、変更されたセルの4点を確認するようすすめています。社内で回すなら、まず変更されたセルと書き換わった数式の2か所から始めてみてください。取引先に渡すブックや、決算に関わる数字を扱うブックでは、この確認を誰が担当するのかまで決めておきましょう。

対応プランと料金|無料版で使えるのか、有料はどこからか

公式版は、ChatGPTの無料版からでも触れる状態になっています。OpenAIの製品ページには、ChatGPT Business、Enterprise、Edu、Teachers、K-12のユーザーに加え、無料版、Go、Pro、Plusのユーザーにも世界中で提供されている、と記載がありました。

ただし、使える量はプランによって変わります。ヘルプセンターの提供状況と料金の節には、無料版とGoには制限付きの利用アクセスが含まれること、PlusとProには各プランのエージェント型使用上限の範囲内でのアクセスが含まれることが書かれています。使用量はスプレッドシート作業のサイズと複雑さによって変わり、大きなブックや複数ステップの編集、より複雑な分析では上限を多く消費する場合がある、という説明も添えられました。

無料プレビューは2026年6月2日で終わり、いまはクレジットと使用条件に従う

法人で使う場合に効いてくるのが、この期限になります。ヘルプセンターには、Business、Enterprise、Edu、K-12の顧客は2026年6月2日まで無料プレビューを利用でき、その後の使用は各プランのクレジットと使用条件に従う、と書かれています。2026年9月20日の時点で、この無料プレビュー期間はすでに終わった状態です。BusinessとEnterpriseの管理者は使用状況を監視し、追加アクセス用のクレジットを購入できる、という記載も同じ節にありました。

1人あたりの月額が読みにくくなる、という予算面の注意

クレジットを消費する形になると、席の数だけでは費用が決まらなくなります。同じ10人でも、大きなブックを毎日回す部署と月に数回しか触らない部署とで消費量が変わってしまいます。予算を立てるときは、席の月額に加えて、追加クレジットをどこまで認めるのかという上限を先に決めておきましょう。

ChatGPTの各プランの金額そのものは、料金ページに出ています。日本から料金ページを開いたときの個人向けの表示は、無料版が0円、Goが月1,400円、Plusが月3,000円、Proが月16,800円からでした。法人向けのBusinessは、標準シートが年額課金で月3,050円、月額課金で月3,850円と表示されます。料金ページには税込か税別かの記載がないため、ここでは表示されている金額をそのまま載せています。10人にPlusをそろえるなら毎月30,000円、Businessの標準シートを年額課金で10人分なら毎月30,500円という出費になります。プランごとの中身の違いはChatGPTの法人プランの料金で整理しました。

※対応プランと提供範囲は2026年9月20日時点で、OpenAIの製品ページ(https://chatgpt.com/ja-JP/apps/spreadsheets/ )とヘルプセンター(https://help.openai.com/ja-jp/articles/20001063-chatgpt-for-excel-and-google-sheets )に記載されている内容です。金額は2026年9月16日に料金ページで確認した表示額で、税の扱いはページに記載がありません。なお製品ページは、冒頭で無料版を含む提供範囲を示す一方、導入手順の節ではPlus、Pro、Business、Enterpriseのアカウントでサインインするよう書かれており、同一ページ内で記述がそろっていません。ヘルプセンターのページには機械翻訳である旨の注記があります。

入れ方|公式版・Googleスプレッドシート・社内配布・第三者製

入れ方は、どの系統を選ぶかで手順がまるごと変わります。会社として配るなら、ここも管理者側の作業として押さえておきましょう。

公式版の入れ方|ホーム→アドイン→ChatGPTを検索→追加→サインイン

公式版の手順は、ヘルプセンターに次の順で書かれています。

  1. Microsoft Excel(デスクトップ版またはWeb版)を開く
  2. ホームに移動する
  3. アドインに移動する
  4. ChatGPTを検索し、追加してからリボンでChatGPTを開く
  5. 対応プランを持つChatGPTアカウントでサインインする

追加が終わると、ワークブック上部のリボンにChatGPTが表示されます。ここで社員が自分のアカウントでサインインできてしまう点は、あとの節でもう一度取り上げます。

Googleスプレッドシート側の入れ方

Googleスプレッドシートでも同じことができます。製品ページの手順は、ホーム、拡張機能、アドオン、アドオンを取得の順に進み、ChatGPTを検索してChatGPT for Google Sheetsを追加する、という流れです。Excel側だけを止めても、こちらの経路が残ってしまいます。

Microsoft Storeが使えない会社は、マニフェストXMLを社内配布する

アドインのストアを閉じている会社でも、配る方法は用意されています。ヘルプセンターには、組織がこのアドイン用のMicrosoft Storeにアクセスできない場合、Microsoft 365管理者はマニフェストXMLファイルを使って社内展開できる、と記載がありました。

  1. Microsoft 365管理センターを開く
  2. 統合アプリに移動する
  3. アドインを展開を選択する
  4. カスタムアプリをアップロードを選択する
  5. マニフェストファイルをアップロードする
  6. 適切なユーザーまたはグループに割り当てる

割り当てを部署単位で切れるため、まず1部署だけで試すという配り方も取れます。全社に広げる前に、月次の定型業務で本当に時間が減るのかを測ってみてください。

第三者製アドインの入れ方|OpenAIのAPIキーを取得して設定する

APIキー方式のアドインは、手順の途中でOpenAIのAPIキーを求めてきます。APIキーは、ChatGPTの月額契約とは別に、OpenAIの開発者向けサービスで発行する利用者ごとの鍵になります。APIキーの入力を求められた時点で、それはOpenAI公式のアドインではありません。アドインを追加したあと、このキーを設定画面に貼り付けると関数が動き出す、という流れが2023年ごろの解説記事では一般的でした。

ただし、第三者製であれば必ずAPIキーが要るわけでもありません。先ほどのGPT for MS Excelのページでは、料金がSTARTER、PRO、TEAMの3つに分かれていました。STARTERには提供元がOpenAIの費用を負担して利用量を管理すると書かれており、PROにはアドインの利用料は定額でAIの利用分は自分のOpenAIアカウントへ直接請求されるとあり、TEAMはまとめて1本の請求になる、という区分になっています。自分のOpenAIアカウントへ課金される形では、そのアカウントの契約者に請求が立ちます。社員が個人で取得したアカウントであれば、社内のExcelから発生した費用が会社の契約の外で立つことになってしまいます。

AI関数の一覧|AI.ASK・AI.LIST・AI.FILL・AI.EXTRACT・AI.FORMAT・AI.TRANSLATE・AI.TABLE

第三者製アドインの特徴は、セルに直接書ける専用の関数にあります。GPT for MS Excelのページに載っている関数は、次のとおりです。

  • AI.ASK:質問に答えさせる、文章を書かせる
  • AI.TABLE:AIを使って表を作る
  • AI.TRANSLATE:多くの言語へ翻訳する
  • AI.FORMAT:表記のばらつきをそろえる
  • AI.EXTRACT:データから必要な情報を取り出す
  • AI.FILL:データを整えて、欠けている範囲を埋める
  • AI.LIST:結果を行に分けて出力する
  • AI.CHOICE:与えた選択肢の中から最も近い値を選ぶ

同じ系統のアドインは複数あり、扱う関数の数や名前は提供元によって少しずつ違います。関数がセルに残るため、同じアドインが入っていない環境でそのブックを受け取った社員は、関数の入ったセルを更新できなくなってしまいます。

※第三者製アドインの名称・作成者・関数の一覧・料金プランの区分は、2026年9月20日にMicrosoft Marketplaceの製品ページ(https://marketplace.microsoft.com/ja-jp/product/office/wa200005271 )で確認した表示です。同種のアドインは複数あり、提供元ごとに内容が異なります。

会社として先に決めること①|権限とデータの渡り先

ここからが、社員10〜200名の会社でいちばん効いてくるところになります。入れるかどうかを決める前に、次の4点を管理側で確認しておきましょう。

Enterprise系のワークスペースは既定で無効|Businessはロールベースの設定次第

Enterprise・Edu・Teacherのワークスペースは、既定でアクセスが無効な状態から始まります。製品ページのFAQには、ChatGPT Enterpriseのワークスペースではこの機能がデフォルトで無効になっており、管理者がワークスペース設定のロールベースのアクセス制御で有効化して、利用できるユーザーを管理できる、と書かれています。発表ページでも、Enterprise、Edu、Teacherのワークスペースでは既定でアクセスが無効になっていると説明されました。

有効化の場所は、ヘルプセンターに、ワークスペース設定、権限とロール、ChatGPT for Excel and Google Sheets、の順に進むと記載があります。この設定はExcelとGoogleスプレッドシートの両方に効くため、片方だけを許可することはできません。Excelだけ使わせたい事情があるなら、この段階で設計を変える必要が出てきます。

データが渡る先が2社ある|MicrosoftとOpenAI

社内で説明するときにいちばん誤解されやすいのが、この点になります。ヘルプセンターのプライバシー、セキュリティ、データの取り扱いの節には、ChatGPT for ExcelはMicrosoft Excel内で動作し、これらの製品の利用はそれぞれMicrosoftまたはGoogleとの契約に従う、と書かれています。さらに、MicrosoftのAdd In Marketplace利用規約の一環として、MicrosoftはExcelブック、添付ファイル、プロンプトの内容を読み取れる場合がある、という記載も続きました。

OpenAI側の記載も合わせて読む必要があります。同じ節には、データは製品内にローカル保存され、設定から直接データを削除またはダウンロードできること、安全性と完全性の目的で一部のデータログがOpenAIに30日間保存される場合があることが書かれています。情報取扱規程や委託先管理の一覧に、OpenAIとMicrosoftの2社を並べて書けるかどうかが、実務上の分かれ目になります。

顧問先や取引先から預かったデータを扱う会計事務所や士業の事務所では、ここが守秘義務の説明に直結してきます。再委託の可否を契約でどう定めているかを先に読み返し、預かったファイルをアドイン経由で処理してよいのかを、顧客への説明と合わせて決めてみてください。

※OpenAIのヘルプセンターには、ChatGPTは金融、法律、税務のアドバイザーではなく、出力はいかなる助言ともみなすべきではない、と記載があります。製品ページのFAQにも、ChatGPTは金融や会計に関する助言を行う専門家ではなく、専門的な判断の代替となるものではない、と書かれています(2026年9月20日確認)。

機密情報の扱いと、学習に使われるかどうかのプラン差

学習に使われないという記載には、対象のプランがはっきり書かれています。製品ページのFAQには、デフォルトではChatGPTと共有されたデータはChatGPT Business、ChatGPT Enterprise、ChatGPT Edu、ChatGPT for Teachersのモデル改善には使用されない、という説明が置かれました。ここに無料版、Go、Plus、Proは入っていません。

個人向けプランでも、設定から学習を止めること自体は可能です。OpenAIのデータコントロールに関するヘルプでは、設定、データコントロール、すべての人のためにモデルを改善する、の順に進んでオフにする手順が案内されています。ただしこれは社員一人ひとりの操作に委ねる形になり、会社側でまとめて担保できる種類の設定ではありません。

無料版でも使える、の裏返し|個人アカウントでサインインできる

無料版から使えることには、会社から見ると裏返しの面があります。アドインを追加できる環境であれば、社員が自分の個人アカウントでサインインし、会社のブックを会社の契約の外側で処理する経路が1つ増えてしまいます。個人アカウントは、学習利用の設定も、利用ログも、退職時の停止も会社側からは触れません。

会社が把握しないまま業務で使われている生成AIは、いわゆるシャドーAI(野良AI)と同じ扱いになります。禁止の通達を出すよりも、会社の契約でできる環境を先に用意したほうが、見えない利用は減っていきます。使いたい人がいるという事実そのものは、止めても消えないためです。

個人アカウントへ逃げる前に、会社で使える環境を1つ

会社の契約の外へブックが出ていく経路は、先回りしてふさぐことが出来ます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

会社として先に決めること②|アドインの見分けと棚卸し

もう1つ決めておきたいのが、すでに社内に入っているアドインの扱いになります。これから入れるものを選ぶ目と、すでに入っているものを片づける手順の2つが要ります。

アドインの権限表示の読み方|提供元名・権限表示・請求先の3点

アドインのストアページは、見た目だけでは公式かどうかを判断しにくく作られています。読むべきところは3か所です。

  • 作成者(発行元)の名前。公式のアドインはChatGPTという名前で、作成者がOpenAI, LLCと表示されます。GPT for MS Excelの場合は、作成者がTwistlyと表示されます
  • アプリの機能の欄。ドキュメントの読み取りと変更を行うことができます、インターネット経由でデータを送信できます、という2行が表示されます
  • 料金の請求先。AIの利用分が自分のOpenAIアカウントへ直接請求される形であれば、そのアカウントの契約者に費用が立ちます

判別に使えるのは1つ目の作成者名だけになります。2つ目の権限表示は、公式のアドインにも第三者製のアドインにもまったく同じ2行が出ているため、ここで公式かどうかを見分けることは出来ません。読み方としては、どのアドインを入れてもブックの中身が提供元へ渡り得る、という共通の前提を示す表示になります。アドインを入れる判断は、その提供元を委託先として認めるかどうかの判断と同じです。

ストアページの説明文には、企業水準のプライバシーといった表現が並ぶことがあります。ただし、そこに書かれているのは提供元の自己紹介であり、契約書や第三者の監査報告ではありません。会社として認めるのであれば、提供元の会社名、所在地、データの保管場所、問い合わせ先の4つを自分で控えておきましょう。

APIキー方式のアドインが社内に残っているときの棚卸し

2023年ごろに個人の判断で入れたアドインが、まだ残っている会社も少なくありません。APIキー方式のアドインを放置すると、次の4つが残り続けてしまいます。

  • 誰のキーで動いているのかを、会社が把握していない
  • 退職した社員のキーが生きたまま、ブックの中で動き続ける
  • 費用の請求が会社ではなく、個人のカードに立つ
  • キーが外に漏れると、第三者に使われて費用だけが増える

片づけの手順は、次の順番が進めやすいでしょう。

  1. Microsoft 365管理センターの統合アプリで、組織に配られているアドインの一覧を取り出す
  2. 各部署に、Excelのリボンに出ているアドイン名を報告してもらう(管理者が配ったもの以外も拾う)
  3. AI関数が残っているブックを検索し、そのブックの持ち主と使っている業務を特定する
  4. 使い続けるものは会社の契約に切り替え、使わないものは削除し、APIキーは発行元の画面で失効させる
  5. 削除の前に、関数が入ったセルを値に貼り替えて、ブックが壊れないようにする

退職した社員のキーは、本人に確認できないまま残っていることがあります。棚卸しの一覧には、キーの発行者と請求先の2列を必ず作っておきましょう。

アドインを入れないという選択肢

全社に配る前に、そもそもアドインを増やさない形も検討できます。承認済みの環境にブックをアップロードして読ませる運用であれば、Officeアドインの権限も、個人のAPIキーも増えません。ブックを直接書き換える部分は諦めることになりますが、集計や要約、数式の説明といった用途はこちらでも足ります。まず用途を洗い出し、書き換えまで必要な業務がどれだけあるのかを数えてみてください。

社内に配る3行ルールのひな形

情報システムの専任がいない会社では、長い規程よりも3行で終わるルールのほうが守られます。次の形をそのまま社内チャットに貼って使ってみてください。

Excelの生成AIアドインを使うときの3行ルール
1行目:使ってよいのは、社外に出しても困らない集計表と、自分で作った下書きのブックです。
2行目:顧客名・個人情報・単価や原価が入ったブックでは使いません。
3行目:変更を適用してよいか聞かれたら、押す前に、変更されたセル、書き換わった数式、ほかのタブへの影響の3点を見ます。
困ったときは、情報システム担当(または総務の◯◯)に聞いてください。

1行目と2行目は、会社によって線の引き方が変わります。すでに社内ガイドラインがあるなら、その禁止事項の表現をそのまま持ってくると、2つの文書がぶつかりません。ガイドライン自体をこれから作る場合は、生成AIの社内ガイドラインの作り方に手順をまとめました。

3行目の3点は、覚えやすさを優先して数を絞っています。変更を適用する前に3か所だけ見る、という形にすると現場で回ります。確認した人の名前をブックのどこかに残す運用にすると、あとから追いかけやすくなります。

この3行を配るのと同時に、使ってよい人の範囲を管理者側の設定でもそろえてください。口頭の周知だけでは、アドインを追加できる環境が残ったままになってしまいます。

Copilot in Excelとの違いと使い分け

名前が似ているため混同されやすいのですが、Copilot in Excelは別の製品になります。必要なライセンスも、管理者の操作も違います。

Microsoftのサポートページによると、Excelの Copilot には編集、計画、チャットの3つのモードがあり、既定では編集モードで開きます。ブックを直接編集できる点は公式版のChatGPTアドインと似ていますが、作れるものの範囲が違っています。サポートページのできることの見出しには、グラフ、ピボットテーブル、図形を作成する、という項目が並びました。

ピボットテーブルを作らせたい業務では、いまのところCopilot側に分があります。一方で、Copilotを使うには対象のライセンスが要ります。サポートページには、AIクレジットプラン付きのMicrosoft 365 PersonalまたはFamily、Microsoft 365 Premium、商用のMicrosoft Copilotサブスクリプション、Copilot Chat対象のMicrosoft 365またはOffice 365のビジネスもしくはエンタープライズサブスクリプションのいずれかが必要、と書かれています。

管理面でもう1つ違うのが、止め方になります。MicrosoftのFAQには、ExcelのCopilotはMicrosoft Copilot Chatのツールであり、個別にオフにすることはできない、と記載されています。Excelだけを止める設定は用意されておらず、Copilot Chat側の設定がそのまま効きます。使うモデルの切り替えにも条件があり、モデルスイッチャーの利用には商用のMicrosoft Copilotサブスクリプションまたは Microsoft 365 Premium が必要で、エンタープライズではAnthropicをMicrosoftのサブプロセッサとして有効にする操作が先に要るとされています。

使い分けの目安としては、ピボットテーブルやPower Queryを含む定型の集計はCopilot側、ゼロからのブック作成や引き継いだブックの読み解きはChatGPT for Excel側、という分け方が現実的でしょう。すでにMicrosoft 365を契約している会社なら、契約を増やす前にCopilot側で足りるかどうかを先に試せます。Copilot in Excelの機能と料金はCopilot Excelの使い方と必要なライセンスで詳しく扱いました。

※Copilot in Excelの仕様は2026年9月18日時点で、Microsoftのサポートページ(https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/copilot/get-started-with-copilot-in-excel と https://support.microsoft.com/ja-jp/excel/copilot/frequently-asked-questions-about-copilot-in-excel )に記載されている内容です。ライセンス要件や提供条件は変更されることがあるため、契約の前に公式ページでご確認ください。

導入の前に決める順番

ChatGPT for Excelという名前で並んでいるものは、提供元も、費用の出どころも、データの渡り先も別になります。最初にやることは、検索結果を3つに振り分けて、いま社内で話題になっているのがどれなのかをはっきりさせることです。APIキーの話が出てきたら第三者製、リボンのChatGPTから始まるなら公式版、右下のアイコンから出てくるならCopilot、という見分け方で足ります。

公式版を使うと決めた場合でも、管理者が先に触る場所は2か所あります。ワークスペース設定の権限とロールでの有効化と、Microsoft 365管理センターからの配布です。この2つを押さえておけば、誰に使わせるかを会社側で決められます。

費用は、席の月額だけでは読み切れません。無料プレビューが2026年6月2日で終わっているため、Business以降はクレジットの消費が乗ります。追加クレジットをどこまで認めるのかを、導入の判断と同時に決めておきましょう。

残る論点は、データが渡る先の説明になります。MicrosoftとOpenAIの2社を、情報取扱規程と委託先の一覧に書けるかどうかが、ここでの分かれ目です。書けないうちは、承認済みの環境にブックを読ませる運用で代えておくほうが安全でしょう。ほかの法人向けサービスとの横並びは法人向け生成AIサービスの比較にまとめています。

よくある質問

ChatGPT for Excelは無料で使えますか?
OpenAIの製品ページには、ChatGPT Business、Enterprise、Edu、Teachers、K-12のユーザーに加え、無料版、Go、Pro、Plusのユーザーにも世界中で提供されていると記載されています。ただしヘルプセンターには、無料版とGoには制限付きの利用アクセスが含まれるとあり、使える量には差があります。業務で毎日使う想定であれば、有料プランを前提に見積もったほうが無理がありません。なお、社員が個人の無料アカウントでサインインすると、会社のブックが会社の契約の外で処理されるため、会社としては別の問題が出てきます。いずれも2026年9月20日時点の記載です。
ChatGPT for Excelでは何ができますか?
開いているブックを、自然な言葉の指示で作成・更新・分析できます。OpenAIの製品ページには、スプレッドシート全体の作成、タブをまたいだ分析、数式の追加や編集、リアルタイム更新が挙げられています。発表ページでは、複数のワークブックをまたいで参照関係を理解し、出力が変わった理由を説明し、エラーを特定して修正できるとも説明されています。ワークブックに変更を加える前に許可を求める作りのため、各ステップを確認しながら進められます。
ChatGPT for Excelは有料ですか?
アドイン単体の料金は設定されておらず、ChatGPTのプランに含まれる形になっています。ヘルプセンターには、PlusとProは各プランのエージェント型使用上限の範囲内で使えること、Business、Enterprise、Edu、K-12は2026年6月2日までの無料プレビューのあと、各プランのクレジットと使用条件に従うことが書かれています。BusinessとEnterpriseの管理者は、使用状況を監視して追加アクセス用のクレジットを購入できるとされています。第三者製アドインの場合は、アドインの利用料とは別に、自分のOpenAI APIキーの利用分が発生する形があります。
ChatGPT for Excelでエクセルのデータ分析はできますか?
分析そのものは可能ですが、使えない機能があります。OpenAIのFAQには、Office Scripts、Power Query、ピボットとデータモデル、データの入力規則、名前付き範囲マネージャー、スライサー、タイムライン、外部接続の管理、高度なグラフ機能、マクロとVBAによる自動化には対応していないと記載されています。非常に大きなワークブックでは、一部のデータが処理可能な範囲に収まらず、結果が不完全になる場合があるとも書かれています。ピボットテーブルを使った定型の集計を続けたい場合は、Copilot in Excel側の検討が現実的です。
社員が個人のChatGPTアカウントで会社のブックに使ってもよいですか?
会社として契約内容と設定を把握できないうちは、業務のブックでの利用はおすすめできません。学習に使わないと明記されている対象はChatGPT Business、Enterprise、Edu、for Teachersで、無料版やPlusなどの個人向けプランはその記載に含まれていません。利用ログの取得や退職時の停止も、会社側では扱えない形になります。使いたい人がいる状態であれば、会社の契約で同じことができる環境を用意するほうが、見えない利用を減らせます。

Excelから外へ出ていく経路を、会社の契約の中に戻す

UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けサービスです。全モデルで学習非利用を標準適用し、会話履歴と利用ログ、アカウントの管理は国内サーバー(AWSの日本リージョン)で行います。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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