
ChatGPTのデータ分析とは、アップロードしたExcelやCSVなどのファイルをChatGPTがPythonで計算し、表やグラフと説明で返してくれる機能のことです。無料版でも上限つきで使うことが出来ますが、会社の数字を入れるのであれば、先に使うアカウントと学習の設定を決めておく必要があります。そのうえで表を整えて依頼し、返ってきた数字は生成されたコードとExcelで1〜2か所突き合わせてから使いましょう。ツールを横断した比較や、入れてよいデータの汎用の線引きはAIでデータ分析する方法と注意点にまとめてあります。
ChatGPTのデータ分析で出来ること・出来ないこと
ChatGPTのデータ分析で出来るのは表の集計・傾向の要約・グラフ作成・統計の計算までで、Pythonの計算に外部のデータを直接取り込むことや、画像になった表の値を正確に読むことは苦手な分野になります。公式ヘルプ「ChatGPT によるデータ分析」では、出来ることとして次の5つが挙げられています。
- 行、列、傾向、外れ値の要約
- 行ごとの確認用テーブルの作成
- アップロードしたデータからのグラフ作成
- Python ベースの計算、変換、統計分析の実行
- 前提、結果、考えられる次の手順の説明
一部の作業では、ChatGPTがJupyterノートブックという対話型の実行環境でPythonのコードを書き、そのまま実行して結果を返します。コードが実行された場合は、計算そのものはコードで行われます。反対に、コードが表示されない回答は、計算の裏付けがないものとして扱いましょう。一方で、同じヘルプには次のような制約も書かれています。
- データ分析に使われるPython環境からは、外部のWebへのリクエストやAPIの呼び出しが出来ない
- 最初の回答で、意図と異なる分析方法やグラフの種類を選ぶ場合がある
- 画像ベースの表、スキャン済みファイル、複雑なレイアウトのファイルからは、正確な値を確実に抽出出来ない場合がある
- アップロードに成功しても、大きすぎる・複雑すぎる・画像が多い・構造が不十分といった理由で、完全には分析出来ない場合がある
Code InterpreterやAdvanced Data Analysisとの関係
Code InterpreterやAdvanced Data Analysisは、以前この機能に使われていた名前になります。現在の公式ヘルプ「ChatGPT によるデータ分析」と料金ページでの表記は「データ分析」です。一方で、GPTを作成する画面の機能欄には、今も「Code Interpreter とデータ分析」という項目が残っています。公式ヘルプの手順は、ファイルを添付して知りたいことを伝えるところから始まります。
無料版・Go・Plus・Pro・Businessで使える範囲
ChatGPTのデータ分析は無料版でも使えますが、料金ページの比較表では無料版だけ「上限あり」となっており、仕事で毎日使うなら有料プランか会社契約が前提になります。2026年9月27日に料金ページの比較表で確認した個人向け4プランの表記は、次のとおりです。
- データ分析:無料版「上限あり」、Go・Plus・Proは「はい」
- ファイルアップロード:無料版「上限あり」、Go・Plus・Proは「はい」
- コンテンツをモデルの学習に使用:無料版・Go・Plus・Proのすべてで「無効化可能」
- 無料版の欄の記載:「アップロードを含むメッセージ数に上限あり」
- Plusの欄の記載:「メッセージ送信とアップロードの上限拡大」
料金ページには、上限の具体的な回数は載っていません。2026年9月26日に確認した公式ヘルプ「ファイルアップロード FAQ」には、次の数値が書かれています。
- アップロード出来るファイルは1ファイルあたり最大512MB
- CSVやスプレッドシートは、各行のサイズにもよるが約50MB以下にする必要がある
- アップロード出来るのは3時間ごとに最大80ファイル
- Free(無料版)のユーザーは1日あたり3ファイルまで
混雑時には上限が引き下げられる場合があり、アップロードに失敗しても上限に数えられることがある点にも注意が必要です。無料版は1日3ファイルまでのため、試すときは公開データやダミーの表で機能を確かめる程度に留め、社内の表は入れないようにしましょう。毎日の業務で使うのであれば、会社で契約した環境を用意する流れが現実的でしょう。
個人向けプランと会社向けプランの料金
日本から表示した料金ページの円表示では、Goが月1,400円、Plusが月3,000円、Proが月16,800円からとなっています。同じページを米ドルで表示すると、Goが月8ドル、Plusが月20ドル、Proが月100ドルからです。会社向けのBusinessは、標準シートが年額課金の場合で月3,050円、月額課金の場合で月3,850円と表示されており、対象は「従業員数2~200名のチーム向け」と書かれています。料金ページに税込か税抜かの記載はないため、ここでは税を足さずに計算します。社員10人にPlusを1人ずつ持たせると月30,000円、1年で360,000円となります(個人向けのため、管理の画面はありません)。Businessの標準シートを10人分契約した場合は、年額課金で1年366,000円、月額課金で1年462,000円の出費となってしまいます。
※料金は2026年9月16日に日本から表示した料金ページの円表示、比較表の項目は2026年9月27日に同じページで確認したものです。表示通貨は閲覧する環境によって変わります。料金ページのFAQでは、有料プランはユーザー1人あたりの月額料金と説明されています。
Businessで変わるのは管理と学習の既定値
Businessの欄には「デフォルトではビジネスデータを学習に使用しません」「請求と管理の一元化」といった項目が並んでいます。料金ページの比較で大きく違うのは、分析の機能よりも管理の欄です。2026年9月16日に確認した比較表では、個人向けの4プランは「セキュリティと管理」の欄が、管理コンソールやメンバーの一括管理も含めてすべて「いいえ」となっています。会社として分析を任せる環境を選ぶときは、学習の既定値と、会社がアカウントを管理出来るかを基準にしてみてください。
社員個人のアカウントで分析させる場合と会社契約の違い
社員が自分で登録したChatGPTで会社の表を分析している状態は、学習の設定もファイルの行き先も本人任せとなり、会社からは確かめようがありません。データ分析は売上表や名簿など、ふだんのチャットより重い情報を丸ごと渡す使い方になりやすい機能です。総務・情シスの方は、次の4点で自社の状態を見てみてください。
- 学習の設定:無料版・Plus・Proの個人用ワークスペースは、公式ヘルプでデータ共有がデフォルトで有効とされ、オフにするかどうかは本人の操作次第。Businessは料金ページでデフォルトでは学習に使用しないとされている
- 管理の画面:個人向けプランは比較表で管理コンソールやメンバーの一括管理が「いいえ」
- アカウントの発行・停止:Businessは料金ページの比較表で「管理コンソール」「メンバーの一括管理」「管理者権限」が「はい」となっており、会社の側でメンバーを管理する形になる。個人アカウントは本人が登録するため、会社が発行したり止めたりすることは出来ない
- 退職・異動のとき:個人アカウントの会話履歴は本人のアカウントに残り、会社の側から整理することは出来ない
個人アカウントを禁止しても、配られていない社員が自分で使い始める形は残りがちです。使ってよいアカウントを会社が1つ用意し、そこでだけ分析すると決めるほうが、見えない利用を減らしやすくなります。会社が把握していない利用の見つけ方は、シャドーAI(野良AI)の解説で扱っています。
分析を始める前に学習をオフにする画面手順
個人向けプランでデータ分析を使うなら、最初のファイルを添付する前に、データコントロールで学習をオフにしておく必要があります。公式ヘルプ(記事番号8983130)によると、無料版・Plus・Proを個人用ワークスペースで使っている場合、データ共有はデフォルトで有効になっています。公式ヘルプ「データコントロールに関する FAQ」が案内しているウェブ版の手順は、次の4段階です。
- 画面のプロフィールアイコンをクリックする
- 「設定」を選ぶ
- 「データコントロール」に移動する
- 「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする
オフにした後の新しい会話は、履歴には残りますがトレーニングには使われません。この設定はアカウント全体に効くため、使っている端末に関係なく適用されると説明されています。なお、公式ヘルプの記事によっては「データ管理」「すべてのユーザー向けにモデルを改善する」という表記もあり、画面の文言が少し違って見えることがあります。
一時チャットを使う方法
一回きりの分析であれば、一時チャットを使う方法も選べます。公式ヘルプによると、一時チャットはモデルのトレーニングに使われず、履歴に保存されず、メモリも作られません。30日後にシステムから削除される一方で、不正利用の監視のために確認される場合がある点は覚えておきましょう。また、一時チャットを保存すると通常のチャットになり、アカウントの学習の設定が適用されます。
学習をオフにしても例外になるフィードバック
見落としやすいのが、回答に付ける高評価・低評価のボタンです。公式ヘルプ(記事番号5722486)には、トレーニングをオプトアウトしていてもフィードバックは送れ、その場合はフィードバックに関連する会話全体がモデルのトレーニングに使われることがある、と書かれています。会社の表を分析した会話では、高評価・低評価のボタンを押さないと決めておきましょう。公式ヘルプでは、Team、Enterprise、Edu(ヘルプ原文の表記)の各プランに追加のデータコントロール機能があるとも案内されています。
個人情報・機密情報の扱い|入れてよい表・加工する表・入れない表
学習をオフにしてもファイルそのものはOpenAIのサーバーに送られるため、個人情報や取引先の機密は、そのままではなく加工してから渡すのが基本となります。個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、事業者がプロンプトに個人情報を入れる場合は利用目的の達成に必要な範囲かを十分に確かめること、本人の同意なく入れた個人データが回答の生成以外の目的で扱われると法令違反となり得ることを示しています。ChatGPTの分析で出てきやすい表に当てはめると、次のように分けられます。
そのまま入れてよい表
公開済みの数字や、社名・個人名を含まない集計表が当てはまります。たとえば公表済みの決算の数字、商品別の月次販売数、個人を特定出来ない形で集めたアンケートの選択肢の集計などです。
加工してから入れる表
個人名や顧客名が入っているものの、分析に名前そのものは要らない表は、列を置き換えてから渡します。勤怠の表なら氏名の列を社員番号に、顧客別の売上表なら顧客名を「顧客A」「顧客B」のような記号に変えてから添付しましょう。会計事務所が顧問先の試算表を扱う場合は、会社名や所在地の行を消し、勘定科目と金額だけを残す形にすると安心です。置き換えの対応表は手元のExcelにだけ残し、ChatGPTには渡さないことが大切になります。
入れない表
給与明細や人事評価、マイナンバー、健康診断の結果、取引先との契約で第三者への提供を禁じられている資料は、学習の設定にかかわらず入れないと決めておきます。判断に迷う表は、入れない側に寄せて扱うのが無難でしょう。業種を問わない汎用の線引きは、AIでデータ分析する方法と注意点の中で表にまとめています。
分析の目的と仮説を先に1文で決める
ChatGPTに表を渡す前に、その分析で何を決めたいのかを1文にしておくと、返ってくる答えの的外れが減ります。OpenAI Academyの「ChatGPT を使ったデータ分析」(2026年4月10日)は、「私は___に基づいて___を決めようとしています」という型から始めることを勧めています。たとえば「私は直近3年の月次売上に基づいて、来期に販促費を増やす商品を決めようとしています」と書けば、ChatGPTは商品別・月別の比較から手を付けやすくなります。同じページでは、定義・期間・主要な列が何を表しているかといった背景も添えるよう案内されています。売上なら税込か税抜か、返品を引いた後の数字か、といった前提を1行書き足すだけでも、集計の取り違えを防げます。
仮説は答えではなく確かめる順番として渡す
「値上げの影響で客数が減ったのでは」という仮説がある場合は、それを結論として押し付けるのではなく、確かめてほしい順番として伝えるのがおすすめです。Academyは、答えだけでなく進め方も尋ね、探索的データ分析(EDA)の要約と、そのあとに検証する仮説を出してもらう使い方を紹介しています。まずデータの全体像を出してもらい、仮説に合う点と合わない点の両方を挙げてもらうと、思い込みで読み違える場面が減っていきます。
アップロード前の前処理・クリーニング|会計・勤怠・販売管理のCSVで崩れやすい所
ChatGPTに渡す表は、1行目に列見出しがあり、1行に1件のデータが並ぶ形に整えておくと、読み違いが大きく減ります。公式ヘルプは、使うものとして「1行目のわかりやすい列見出し」「1レコードにつき1行」「平易な言葉の列名」を、避けるものとして「1つのシート内の複数の無関係な表」「データを分断する空の行または列」「ChatGPT が分析する必要のある値を含む画像」を挙げています。会計ソフトや勤怠システム、販売管理から書き出したCSVでは、これに加えて次の点が崩れやすいので、添付の前に確認してみてください。
- 結合セルを解除し、空いたセルに値を埋め直した見出しや部署名の結合セルは、解除すると2行目以降が空欄になります。行ごとに同じ値を入れ直しておきます。
- 小計・合計の行を消した明細の途中に小計行が混ざっていると、合計を出したときに同じ金額が二重に数えられます。
- 日付を西暦の1つの形にそろえた令和8年4月と2026/4/1のような和暦と西暦の混在は、期間の比較がずれる原因になります。
- 全角の数字や単位つきの値を数値にした「120」や「1,000円」のように文字として入っている値は、計算から漏れることがあります。
- 列ごとに単位をそろえ、列名に単位を書いた千円と円、時間と分が混ざらないようにし、「売上(円)」のように列名で示します。
- 空の行・列やメモ書きのセルを消した表の途中の空行は、そこで表が終わったと読まれる原因になります。
- 1つのシートに1つの表だけにした複数の表が並ぶシートは、別のシートか別のファイルに分けます。
- 欠損値と重複の意味を決めた空欄が0なのか未入力なのか、同じ伝票番号の行は1件か複数件かを、依頼文で伝えられるようにしておきます。
- 異常値の心当たりを書き出したテスト入力の行や、桁を打ち間違えた金額など、分かっている異常値は先に消すか、依頼文で伝えます。
- 個人名や顧客名の列を置き換えた社員番号や「顧客A」などの記号に変え、対応表は手元にだけ残します。
欠損値や重複の扱いをChatGPTに任せる場合は、「空欄は0として扱う」「同じ伝票番号の行は1件にまとめる」のように、処理の決まりを依頼文に書いておきましょう。決まりを書かないと、行を除外したり平均で埋めたりと、ChatGPT側で判断した処理が入る場合があります。整形の手順だけをChatGPTに出してもらい、実際の直しは手元のExcelで行う分け方も使えます。
整形の決まりと同じように、社内の表を入れるAIとその設定も社員ごとに任せず、会社で1つの環境にまとめておく方法があります。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
ExcelやCSVをアップロードして分析する手順
手順は、ファイルを添付し、目的を1文で伝え、使う列と出力の形を指定する、という3段階が基本になります。公式ヘルプが対応形式として挙げているのは、.xls・.xlsx・.csvなどのスプレッドシート、PDF、.json・.xml・.yaml・.txt・.mdなどのテキストとデータのファイルです。使えるファイル形式はモデル・プラン・ワークスペース設定などによって異なる場合がある、とも書かれています。
- ChatGPTの入力欄の横にある添付のボタンから、ExcelやCSVのファイルを選ぶ(ボタンの形や位置は画面の版によって変わります)
- 小さな表であれば、Excelからコピーして入力欄に貼り付ける方法でもよい(OpenAI Academyでも案内されている方法です)
- 目的の1文と、使ってほしい列・計算・グループ化・グラフの種類を書いて送る
- 返ってきた表やグラフを見て、足りない点を同じ会話のまま頼み直す
- 会議や社外に出す数字は、後の節で紹介する手順で検算してから使う
会社でGoogle Drive・OneDrive・SharePointのコネクタが使える場合は、そこからファイルを添付することも出来ます。公式ヘルプによると、この場合のChatGPTは接続したアカウントとアプリの権限を使うため、本人が開ける共有フォルダはChatGPTからも届く範囲になると考えておきましょう。コネクタを許可する前に、共有フォルダの権限が広すぎないかを整理しておくことが先になります。ワークスペースの管理者は、利用出来るアプリを管理出来るとも案内されています。
一度に全部ではなく、見る範囲を指定する
シートが多いブックや列の多い表は、「売上明細シートのA〜F列だけ」のように、見てほしい範囲を最初に指定しておくと安定します。公式ヘルプも、意図と違う分析方法やグラフを最初に選ぶ場合があるため、具体的な方法・グラフの種類・グループ化・列を指定するよう勧めています。
グラフ・表での可視化
グラフは「月別売上を折れ線で」「部署別の残業時間を棒グラフで」のように、種類と軸を言葉で指定すると思いどおりの形になりやすくなります。公式ヘルプによると、ChatGPTは静的なグラフを画像として作ることが出来、棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフ・散布図はインタラクティブなグラフとしても表示出来ます。それ以外の種類は、静的な画像で返される場合があります。社内資料に貼るグラフは、ChatGPTの画像をそのまま使うより、集計した表を出してもらってExcelでグラフにしたほうが、色や目盛りを会社の書式に合わせやすいでしょう。
表で出してもらうと確認が楽になる
グラフの前に、グラフの元になった集計表を一緒に出してもらいましょう。公式ヘルプも、出来ることの1つに行ごとの確認用テーブルの作成を挙げています。表があれば、後の節で扱う検算もそのまま進めることが出来ます。
業務別の依頼文例|プロンプトのテンプレートと活用例
依頼文は、目的・対象の列・期間・計算の決まり・出力の形の5つを入れると、業務が変わってもそのまま使い回せます。まずは次の型を社内で共有してみてください。
私は(使うデータ)に基づいて(決めたいこと)を決めようとしています。 添付ファイル:(ファイル名)の(シート名) 使う列:(列名) 期間:(いつからいつまで) 前提:(税抜か税込か、空欄の扱い、単位など) やってほしいこと:(集計・比較・グラフの種類) 出力:最初に集計表、次にグラフ、最後に読み取れることを3行で 計算に使ったコードと、読み込んだ行数・列名も示してください。 相関を原因と決めつけず、データの限界も書いてください。
活用例1:月次売上の前年同月比と要因の仮説
販売管理から書き出した月次の売上表では、前年同月比と、伸びた商品・落ちた商品の切り分けを頼むのが扱いやすい使い方です。
私は直近2年の月次売上に基づいて、来期に販促を強める商品を決めようとしています。 添付の売上明細(列:年月、商品コード、商品分類、数量、売上金額(税抜・円))を使ってください。 1. 商品分類ごとに、各月の前年同月比を表にしてください。 2. 前年同月比の伸びが大きい順と小さい順に、商品分類を5つずつ挙げてください。 3. 落ちた分類について、数量と単価のどちらが効いているかを分けて示してください。 4. 考えられる要因の仮説を3つまで。データから言えることと推測を分けて書いてください。
要因の仮説はあくまで候補として受け取り、営業部門の実感と照らし合わせて絞り込んでいきます。
活用例2:社内アンケートの自由記述を分類する
数百件の自由記述を人が読んで分けるのは骨が折れますが、ChatGPTに分類の軸を示して振り分けてもらうと、下読みの時間を大きく減らせます。
添付は社内アンケートの自由記述です(列:回答番号、部署、自由記述)。回答者名は含めていません。 1. 内容を「業務量」「設備・ツール」「人間関係」「評価・処遇」「その他」に分類し、分類ごとの件数を表にしてください。 2. 分類ごとに、代表的な回答番号を3つずつ挙げてください。 3. 部署別に、どの分類が多いかを棒グラフで示してください。 4. どの分類にも当てはめにくい回答は「その他」に入れ、その回答番号を一覧にしてください。
分類の結果は、各分類から数件ずつ原文を確認し、振り分けがずれていないかを見てから使いましょう。
活用例3:勤怠CSVから部署別の残業時間を集計する
勤怠の集計は、氏名の列を社員番号に置き換えてから渡すのが前提です。
添付は勤怠システムから書き出した4月〜9月のCSVです(列:社員番号、部署、日付、所定外労働時間(時間))。氏名は含めていません。 1. 部署ごと・月ごとの所定外労働時間の合計と、1人あたりの平均を表にしてください。 2. 月ごとの推移を部署別の折れ線グラフにしてください。 3. 読み込んだ行数、社員番号の数、部署の数を最初に示してください。 4. 日付が空欄の行や、所定外労働時間がマイナスの行があれば、件数と行番号を挙げてください。
上限に近い社員の抽出など、個人を特定して判断する作業は、手元の勤怠システムで行う形に分けておくのが安全でしょう。
活用例4:会計事務所なら試算表の月次推移にコメントを付ける
会社名を消した試算表を渡し、売上総利益率や販管費の月次推移と、前月から大きく動いた科目を挙げてもらう使い方です。
添付は、ある顧問先の月次試算表(損益計算書部分)を1年分並べた表です。会社名は消してあります。 1. 売上高、売上総利益、売上総利益率、販管費、営業利益の月次推移を表にしてください。 2. 前月から増減が大きい勘定科目を、金額と増減率の両方で上位5つずつ挙げてください。 3. 月次推移について、所長が顧問先に確認すべき点を箇条書きで5つまで挙げてください。 4. 税務上の判断は書かず、数字の動きの説明に留めてください。
税務上の判断や顧問先への説明文は、ChatGPTの下書きを担当者が必ず見直してから使うようにしましょう。
キャンペーンの振り返り・KPIの要約にも使える
OpenAI Academyの同じページには、KPIダッシュボードの要約、マーケティングのキャンペーン成果の振り返り、異常検知、予測、分析結果のスライド化といったプロンプト例が載っています。POSデータやECの注文データも、ここまでの型に当てはめれば同じように依頼することが出来ます。
統計・高度な分析の頼み方(回帰・クラスター分析・時系列予測・A/Bテスト)
ChatGPTのデータ分析には、回帰分析やクラスター分析、時系列の予測、A/Bテストの検定といった依頼も出来ます。公式ヘルプには、Pythonベースの計算・変換・統計分析の実行が出来ると書かれています。ただし統計の手法は選び方を誤ると結論がずれてしまうため、専門の担当者がいない会社ほど、使った手法と前提を必ず説明させることが大切です。
- 回帰分析(広告費と売上の関係など):どの列を説明に使ったか、外れ値を除いたかを確認する
- クラスター分析(購買履歴で顧客をグループ分けするなど):何グループに分けたか、その数にした根拠を確認する
- 時系列の予測(月次売上の来期予測など):季節の変動をどう扱ったか、予測の幅がどれくらいかを確認する
- A/Bテスト(メール件名2案の開封率の比較など):どの検定を使ったか、件数が足りているかを確認する
Academyも、相関関係を原因として扱わないよう指示したり、データの限界や不自然な点を指摘させたりする使い方を勧めています。予測の数字を会議に出すときは、予測値だけでなく、前提と外れた場合の幅を一緒に載せてみてください。
検算のしかた|出力を鵜呑みにせずPythonコードの中身を確かめる
ChatGPTの分析結果は、生成されたコードを開いて前提を確かめ、ExcelのSUMやCOUNTIFSで1〜2か所を突き合わせてから使うのが安全です。公式ヘルプは、Pythonを使った分析では結果を信頼する前に、生成されたコード・出力・前提を確認するよう求めています。Academyも重要な数値をいくつか選んでその場で照合するよう勧めており、どちらも人が最後に確かめる前提で書かれた案内になります。
コードで見る3つの点
回答に付いているコードの表示(画面の版によって開き方は変わります)を開き、次の3点を見ていきます。
- 読み込んだ行数と列名:元のExcelの行数(見出しを除く)と一致しているか、途中で行が落ちていないか
- 絞り込みの条件:期間・部署・商品などの条件が、依頼したとおりになっているか(4月〜9月のつもりが3月から入っていないか、など)
- 合計・件数の値:コードが出した合計や件数を、Excelの関数で出した値と比べる
コードが読めなくても、「読み込んだ行数、列名、使った絞り込み条件、除外した行の数を日本語で一覧にしてください」と頼めば、確認する材料はそろえられます。
ExcelのSUMIFS・COUNTIFSで突き合わせる
B列に部署、C列に年月(2026年4月のように文字でそろえた列)、D列に売上がある表の場合で考えてみます。ChatGPTが営業1部の2026年4月の売上合計を出したら、元のExcelでセルH1に部署名、H2に年月を入れ、=SUMIFS(D:D,B:B,H1,C:C,H2)のように同じ条件で合計を出して比べます。件数なら=COUNTIFS(B:B,H1,C:C,H2)、全体の行数ならA列に空欄がない場合に限り=COUNTA(A:A)-1と比べれば充分です。1〜2か所でも値が合わなければ、その分析結果は使わずに原因を確かめましょう。ずれの原因としては、見出しの行の数え方、空欄の扱い、全角数字の読み落としなどが考えられるので、前処理の節のチェックリストに戻って見直してみてください。
確かめる人を決めておく
検算は誰かがやるだろう、と曖昧にしておくと、結局誰も確かめないまま数字が会議資料に載ってしまいます。分析を依頼した人とは別に、数字を確かめる担当を1人決めておくと、責任の所在がはっきりします。統計の手法を使った分析は、社内に詳しい方がいなければ、顧問の税理士や外部の専門家に一度見てもらうのも1つの方法になります。
分析結果をレポート・スライドにまとめる
分析が終わったら、同じ会話のまま経営会議向けの報告の形に整えてもらうと、報告の下書きまで一気に作ることが出来ます。Academyのプロンプト例にも、分析結果をスライドにまとめる使い方が含まれています。報告に載せる数字は検算で確かめたものだけに絞り、ChatGPTが書いた考察の文は、そのまま出さずに自分の言葉で言い直すのがおすすめです。
報告の型を指定する
ここまでの分析を、経営会議向けの報告にまとめてください。 構成:結論(2行)→根拠の数字(3つまで)→考えられる要因→次の打ち手→データの限界 それぞれの数字には、元の表のどの列から出したかを添えてください。 推測の部分は、推測だと分かる書き方にしてください。 スライドにする場合は、1枚に1つのメッセージで5枚以内の構成案にしてください。
データの限界を最後に書かせておくと、報告を受けた側が数字の使いどころを誤りにくくなります。
Excel関数・VBAを作らせる使い方
社外に出せないデータを扱う場合は、ファイルを渡さずに、Excelの関数やVBAのマクロだけをChatGPTに作ってもらう方法も選べます。列の並びと、やりたい処理だけを文章で伝えれば、実データは手元から出ていきません。たとえば「A列に日付、B列に部署、C列に金額がある表で、部署ごとの月別合計を別シートに出したい」と伝えると、SUMIFSを使った式やピボットテーブルの手順を答えてもらえます。VBAは動かす前に必ずファイルのコピーで試し、上書き保存や削除の処理が入っていないかを確かめましょう。Excelの中で使えるAIとの違いはExcelで使える生成AIの解説、ExcelからChatGPTを使う方法はChatGPT for Excelの解説で紹介しています。
うまくいかないとき|ファイルの大きさの制限と分割・文字化け・読めない表
分析が途中で止まったり、数字がおかしかったりする場合は、ファイルの大きさ・表の形・文字コード・外部データの4つを順に疑ってみてください。
ファイルが大きすぎる・出力が途中で切れる
2026年9月26日に確認した公式ヘルプ「ファイルアップロード FAQ」によると、アップロード出来るのは1ファイルあたり最大512MBで、CSVやスプレッドシートは各行のサイズにもよるものの約50MB以下にする必要があります。回数は3時間ごとに最大80ファイル、無料版は1日3ファイルまでと書かれています。料金ページのほうには、回数の記載はありません。「ChatGPT によるデータ分析」のヘルプは、アップロードに成功しても、大きすぎる・複雑すぎる・画像が多い・構造が不十分といった理由で完全には分析出来ない場合があるとしています。結果が不完全に見えるときは、特定のシート・行・列を指定して調べてもらうか、ファイルを小さく分割して渡し直すのが公式の案内です。年単位の明細なら月ごと・四半期ごとに分け、それぞれの集計を最後に1つの表にまとめてもらう流れが扱いやすいでしょう。回答の文章が長くて途中で切れた場合は、続きを出すよう頼むか、最初から結果を表と3行の要約に絞ってもらうと読みやすくなります。
スキャンしたPDFや画像の表は数字を取り違える
紙の帳票をスキャンしたPDFや、表を撮影した画像からは、正確な値を確実に読み取れない場合があると公式ヘルプのFAQに書かれています。ファイルアップロード FAQでは、Enterprise以外のプランではPDFなどの文書ファイルからデジタルのテキストを抽出し、画像は破棄するという説明もあります。正確な数字が必要な分析では、先にExcelやCSVに打ち直すか、会計ソフトからデータとして書き出したものを使いましょう。
文字化けするとき
文字化けについては、公式ヘルプに具体的な記載がありません。CSVを読み込んだ結果の日本語が崩れて見えたら、Excelの保存形式で「CSV UTF-8(コンマ区切り)」を選んで保存し直すか、.xlsxのまま渡してみるのが手軽な対処になります。グラフの日本語が四角い記号などで表示された場合は、グラフの文字だけ英語にしてもらうか、集計表を出してもらって手元のExcelでグラフにする方法で回避出来ます。
相場や統計など外部のデータが要るとき
データ分析で使われるPython環境は、外部のWebへのリクエストやAPIの呼び出しが出来ないと公式ヘルプに明記されています。Pythonでの計算には外部のデータを直接取り込めないため、業界の統計や為替、自社の過去データなど、計算に確実に使いたい数字は、自分で表にして添付しておくのが確実です。
意図と違うグラフや集計が返ってきたとき
最初の回答が意図と違っても、同じ会話で「棒グラフで、部署ごとに色を分けて」「平均ではなく中央値で」のように具体的に言い直すことで、狙った形に近づけることが出来ます。
会社で使わせる前に決める3行の社内ルール
ChatGPTでデータ分析を始める会社は、既存の生成AIの社内ルールに、使うアカウント・入れてよい表・検算する人の3行を足しておくと運用が回りやすくなります。ルール全体のひな形は、AIでデータ分析する方法と注意点と生成AIの社内ガイドラインの作り方で公開しています。足す3行は次のとおりです。
- 使うアカウント社内の表の分析は、会社が契約して設定を管理している環境だけで行う。個人アカウントには社内の表を入れない。
- 入れてよい表個人名・顧客名は記号に置き換えてから入れる。給与・人事評価・マイナンバー・健康情報と、契約で提供を禁じられた資料は入れない。
- 検算する人会議や社外に出す数字は、依頼した人とは別の1人が、Excelで1〜2か所を突き合わせてから使う。
3行を決めたら、学習オフの設定画面の場所と、高評価・低評価のボタンを押さない決まりも一緒に社員へ伝えましょう。部署によっては、長い資料の読み込みや調べものなど、ChatGPT以外のAIが向く作業も出てくるはずなので、複数のAIを同じ管理のもとで使い分けられるかも環境選びの見どころになります。AIごとの得意な作業は主要4AIの違いと使い分けで比べています。分析に使う環境を会社で1つにそろえれば、会社の環境の中での設定と利用状況を、管理する側から確かめられるようになります。
社内の表を扱うAIを、会社の管理のもとに
UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けのAI基盤で、入力データを学習に使わない設定が標準で適用されます。会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理され、管理者ダッシュボードから利用ログ・権限・モデルのON/OFFを確認出来ます。社内文書RAGで自社資料を読み込ませて回答させたり、Officeプレビューでパワポ・Word・Excelを画面で確認したりすることも出来ます。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名・スタンダード6〜20名・プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
ChatGPTのデータ分析は無料で使えますか?
ChatGPTでファイルを分析するにはどうすればいいですか?
ChatGPTのデータ分析のプロンプト例は?
データ分析に適したAIはどれですか?
学習をオフにすれば、会社の売上データを入れても大丈夫ですか?
アップロード出来るファイルの大きさに上限はありますか?
まとめ
ChatGPTのデータ分析は、ExcelやCSVをPythonで計算して表やグラフと説明を返してくれる機能で、無料版でも上限つきで使うことが出来ます。会社の数字を入れるなら、まず使うアカウントを決め、個人向けプランであればデータコントロールで学習をオフにし、高評価・低評価のボタンも押さないようにしておきましょう。
分析そのものは、目的を1文で決め、表を整え、使う列と出力の形を指定して頼むのが基本の流れです。返ってきた数字は、コードで行数と条件を確かめ、ExcelのSUMIFSやCOUNTIFSで1〜2か所を突き合わせてから使ってください。スキャンしたPDFや画像の表、外部のデータが要る分析、大きすぎるファイルは苦手な分野になるため、表に打ち直す・自分で添付する・分割するといった対処を先に選ぶと進めやすくなります。
法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。Googleスプレッドシートで分析する場合はGeminiでデータ分析する方法も参考になるでしょう。
