AI研修は無料で済ませられるか。社員向け無料講座の一覧と限界、研修後に使う環境

AI研修の無料講座とは、国や自治体、AIを提供する企業などが受講料を取らずに公開している、生成AIの基礎や使い方を学ぶ講座や教材のことです。社員に生成AIの基本と注意点を一通り学んでもらう段階であれば、無料講座の組み合わせで済ませることが出来ます。ただし、質問への回答、自社業務への当てはめ、受講の管理、研修後に安全に使い続けられる環境の4つは無料講座では手当てされないことがあり、会社が別に用意する必要があります。無料で足りる部分と足りない部分を分けて考えると、研修にかける費用を小さく抑えられます。

有料の研修会社の選び方や費用の総額、研修を定着させる手順は、生成AI研修の選び方と費用の総額にまとめています。

AI研修は無料で済ませられるか|入門までなら済む

社員に受けさせるAI研修のうち、生成AIの仕組みと基本操作、注意点を学ぶ入門の部分は、無料講座で十分にまかなうことが出来ます。国の学習サイトや自治体の研修、AIの提供元が公開している講座には、入門向けの内容が揃っています。一方で、研修を受けた社員が自社の業務で使い始める段階になると、無料講座だけでは埋まらない部分が出てきます。

帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年3月17日〜31日実施・有効回答1万312社・回答率44.2%)では、生成AI活用の懸念・課題として専門人材・ノウハウ不足を挙げた企業が41.3%となりました。この数字は3つまでの複数回答の割合で、研修で知識を補いたいと考える会社が少なくない背景の一つと考えられます。

研修の目的無料で済むか会社が補うもの
生成AIとは何かを全社員に知ってもらう済む誰が受けたかの確認
入力してはいけない情報など、社内ルールを徹底する一部だけ自社のルールの説明と確認テスト
部署の業務で使える型を身につける足りない業務に合わせた練習課題と、質問できる相手
社内の推進担当者を育てる一部だけ中級の講座や自治体の研修、有料の研修
研修後に全社員が日常的にAIを使う足りない会社が管理できる利用環境

表の「足りない」に当たる部分は、講座の質の問題ではありません。無料講座は不特定多数に向けて作られているため、個々の会社の業務や社内ルールに合わせることは、もともと講座の役割に入っていないのです。入門は無料講座で済ませ、浮いた予算と時間を足りない部分に回すのが、無理のない組み立て方になります。自社の目的が表のどの行に当たるかを、最初に確かめてみてください。

社員規模別の組み立て例(10名・50名・200名)

同じ無料講座を使う場合でも、会社の規模によって補う部分の重さが変わります。目安となる組み立て方を表にまとめましたので、自社に近い行から考えてみてください。

規模入門の進め方推進役補う部分研修後の環境
社員10名前後全員で同じ無料講座を1本受ける。経営者も一緒に受ける経営者か総務の1名が兼ねる質問は推進役に集め、月1回の共有の場で答える使うAIと入力してはいけない情報を先に決め、全員が同じ環境を使う
社員50名前後無料講座1本と、社内ルールの読み合わせ推進担当者1名と、部署ごとの相談役部署ごとの練習課題を用意する。質問の多い部署は有料の研修を検討する部署で使うAIが分かれやすいため、複数のAIを1か所で使える形を検討する
社員200名前後部署ごとに受講期間をずらして無料講座を受ける推進担当者数名と、部署ごとの確認役受講管理を部署単位で行う。推進担当者は有料の研修や自治体の研修で育てる利用の記録とアカウントの停止を、管理者が一括で行える環境が前提になる

人数が増えるほど、講座を受けさせる手間より、受講の管理と研修後の環境の管理が重くなります。200名規模では、受講管理と利用環境の管理を同じ担当者がまとめて見られるかどうかも、判断の材料に入れておきましょう。

無料・無料で始められるAI研修・講座の一覧(2026年10月3日確認)

社員向けに使いやすい無料の講座・学習サイトを、運営元の公式ページで確認した内容だけで一覧にしました。無料の範囲は講座ごとに違い、受講料は無料でも修了証は有料というものもあります。

講座・サイト運営無料の範囲形式・目安時間修了証
マナビDX(デジタル人材育成プラットフォーム)経済産業省・情報処理推進機構(IPA)「受講料無料の講座」の区分から選べる。講座ごとに条件が異なるオンライン。講座ごとに異なる講座ごとに異なる
GUGA×gacco 生成AIリスキリングシリーズ講座gacco上で公開。講師は生成AI活用普及協会(GUGA)の協議員無料講座。受講にはgaccoの会員登録(無料)が必要オンライン動画未確認
Google AI EssentialsGoogle日本では7日間の無料トライアルの後、月額49米ドル。日本リスキリングコンソーシアム経由で受講料が無料になるアカウントを先着順・数量限定で順次提供(コンソーシアムへの会員登録が必要)自主学習型のオンライン。10時間以内修了後にGoogleの認定証
AI for Everyone(Coursera)DeepLearning.AI講座によっては修了証なしで教材を受けられる選択肢があると案内オンライン。初級・4モジュール・約7時間有料
Microsoft Learn「ジェネレーティブ AI の概要 - 基本の探索」Microsoft料金の明記は未確認オンライン。初級・8ユニット。日本語は機械翻訳サインインで学習の実績を記録
Claude AcademyAnthropic無料のコース・チュートリアル・活用例と案内。英語オンライン未確認
OpenAI AcademyOpenAI未確認。日本語の画面ありオンライン未確認
スタートアップを活用したリスキリングによる中小企業のデジタル化支援東京都受講費用は1社あたり100万円(税込)まで無料。都内中小企業200社程度。定員に達し次第終了全33講座。オンデマンド・オンラインライブ・一部対面未確認
2026年度中小企業デジタル人材育成研修事業愛知県参加費無料。申込先着順一般社員向けの生成AI入門は半日研修(基礎編・活用編)未確認
チャット機能だけじゃない!生成AI活用セミナー(開催例)神奈川県中小企業団体中央会参加費無料。定員50名2026年10月26日14時〜16時の単発セミナー。対面(横浜市中区)。申込期限を過ぎると受講不可なし(単発)

※2026年10月3日時点で各公式ページに表示されている内容です(神奈川県中小企業団体中央会のセミナーはJ-Net21の掲載による)。Microsoft Learn・OpenAI Academyは、料金の記載を確認できなかったため参考として掲載しています。募集の状況や無料の条件は変わることがあるため、申し込む前に公式ページでご確認ください。「未確認」は、公式ページで確かめられなかった項目を指します。

一覧のうち、全社員の入門に使いやすいのは、日本語で受けられて会員登録だけで始められる国内の講座になります。英語の講座や途中から有料に切り替わる講座は、推進担当者など一部の社員に絞って使う形が向いています。

公的機関・団体の無料講座と学習サービス(マナビDX・JMOOC・gacco)

マナビDXは、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が運営するデジタル人材育成プラットフォームです。トップページに「受講料無料の講座」という区分があり、注目ワードには「生成AI」も並んでいます。掲載される講座は、デジタルスキル標準などのスキル標準への対応を経済産業省とIPAが審査し、合格したものに限られると説明されています。民間の講座を探すときに、審査を経たものから選べる点が使いやすいところになります。講座ごとに時間や修了の条件が違うため、社員に指定する前に1本ずつ中身を確かめましょう。

公的な色合いの強い窓口としては、日本オープンオンライン教育推進協議会が運営するJMOOCもあります。生成AIの分野では、オンライン動画学習サービスのgaccoで公開されている「GUGA×gacco 生成AIリスキリングシリーズ講座」が、生成AIのトレンドや業務での活用例をテーマに無料講座として提供されています。講師は生成AI活用普及協会(GUGA)の協議員が務めると案内されており、受講にはgaccoの会員登録が必要となります。会員登録は無料なので、全社員に同じ講座を指定しやすいでしょう。

AIの提供元と海外の学習サイト(Google・Microsoft・Anthropic・OpenAI・Coursera)

Google AI Essentialsは、Googleが提供する自主学習型のオンラインコースで、10時間以内で完了できると案内されています。料金は、日本では最初の7日間の無料トライアルの後、月額49米ドルのサブスクリプション料金がかかる形です。そのうえで、Googleが主幹事を務める日本リスキリングコンソーシアムが、受講料が無料になるアカウントを先着順・数量限定で順次提供しています。利用にはコンソーシアムへの会員登録が必要となります。無料枠の受付状況は時期によって変わるため、社員にすすめる前にコンソーシアムの案内で確かめてみてください。トライアルの7日間で終えるつもりで始めると、終わらなかったときに月額料金が発生してしまいます。

Microsoft Learnには、「ジェネレーティブ AI の概要 - 基本の探索」という初級のモジュールがあり、8つのユニットで構成されています。日本語の画面は機械翻訳で、サインインすると学習の実績が記録されます。公式ページで料金の明記を確かめられなかったため、一覧では未確認としています。Microsoft 365を使っている会社では、同じ提供元の教材から入ると、社員が名前になじみやすくなります。

Claudeを提供するAnthropicは、Claude Academyで教育チームによる無料のコースやチュートリアル、活用例を公開しています。コースの例には「AI Fluency: Framework and foundations」があり、案内は英語です。ChatGPTを提供するOpenAIも、日本語の画面を備えた学習サイトとしてOpenAI Academyを公開しています。どこまで無料で使えるか、修了証が出るかは公式ページで確かめられなかったため、一覧には未確認と記しました。

Courseraの「AI for Everyone」は、DeepLearning.AIが提供する初級の講座で、4つのモジュール・約7時間で修了する内容です。Courseraの案内では、講座によっては修了証を付けずに教材を受講できる選択肢があるとされ、修了証は有料での提供となります。英語の講座を全社員に課すのは負担が大きいため、推進担当者が全体像をつかむ用途に向いています。

自治体の無料研修(東京都・愛知県・神奈川県)

自治体の研修は、地域の中小企業であれば無料で受けられるものがあり、オンラインライブや対面の形式が含まれる点が、学習サイトとの違いになります。東京都の「スタートアップを活用したリスキリングによる中小企業のデジタル化支援」は、都内中小企業200社程度を対象に、受講費用を1社あたり100万円(税込)まで無料とする事業です。スタートアップ11社による全33講座が用意され、オンデマンド・オンラインライブ・一部対面の形式で受講出来ます。講座の例には、AIエージェントや業務自動化の設計を扱う中級者向けの「超・実践型 生成AI/DXアドバンスド講座」があります。募集は令和8年6月15日に始まり、定員に達し次第終了すると案内されているため、利用を考える場合は最新の募集状況を東京都の発表で確かめましょう。

愛知県では、2022年度から県内の中小企業等の能力開発リーダーと一般社員を対象に、デジタル人材育成研修が無料で実施されてきました。2026年度の一般社員向けには、生成AIの活用方法を学び、安全かつ効果的な活用体制の構築を目指す半日研修「仕事に活かす はじめての生成AI入門」が、基礎編と活用編の2コースで用意されています。参加費は無料で、申し込みは先着順となります。

単発のセミナーの開催例として、神奈川県中小企業団体中央会が2026年10月26日14時から16時に、横浜市中区の会場で「チャット機能だけじゃない!生成AI活用セミナー」を参加費無料・定員50名で開く予定で、申込期限は10月21日と案内されています。単発の催しのため、申込期限を過ぎると受けられません。こうした地域のセミナーは中小企業向けの支援情報サイトJ-Net21などにも掲載されるため、自社の所在地で探してみてください。

無料講座の選び方|社員に受けさせる前の5つの確認点

無料講座を選ぶときは、内容の良し悪しより先に、自社の目的と社員の状況に合うかを確かめることが大切になります。次の5点を、講座の公式ページと申込画面で確認してみてください。

  • 目的と対象レベルが合っているか全社員の入門なのか、推進担当者の育成なのかで選ぶ講座が変わります。初級・中級の表示と、プログラミングの経験などの前提知識が要るかを確かめます。
  • 講師と運営元が分かるか運営元が国・自治体・AIの提供元・研修会社のどれに当たるかを確かめます。講師が特定の製品の販売担当でないかも見ておきます。
  • 質問やサポートを受けられるか動画を見るだけの講座か、講師に質問できる時間があるかを確かめます。質問できない場合は、社内で答える人を決めておきます。
  • 形式と所要時間が業務に収まるかオンデマンド・オンラインライブ・対面のどれか、何時間かかるかを確かめます。業務時間内に受けさせるなら、所要時間に人数を掛けて全体の工数を見積もります。
  • 無料の範囲と、有料に切り替わる条件が明記されているか修了証、トライアル期間の後の料金、教材を見られる期限など、どこから有料になるかを申込画面まで進んで確かめます。

5点のうち、総務の方が見落としやすいのは無料の範囲になります。トライアル型の講座は期限を過ぎると課金が始まるため、支払いの扱いを先に決めましょう。社員が個人のカードで申し込むと、経費の精算や解約の管理が会社から見えなくなってしまいます。修了証が要るかどうかも、社内で受講を確認する方法と合わせて決めておくと迷いません。

所要時間の見積もりは、会社の出費に直すと判断しやすくなるものです。たとえば社員30名に2時間の講座を業務時間内で受けてもらうと、受講料が0円でも合計60時間分の業務時間を研修に充てることになります。無料講座の費用は受講料ではなく社員の時間だと考え、受講を求める講座の数は入門に必要な分だけに絞るのが良いでしょう。

指定する前には、推進担当者が1本を最後まで受けて下見してみてください。見る点は、専門用語に説明があるか、画面の操作が今のサービスの画面と合っているか、社内ルールと食い違う使い方を勧めていないかの3つになります。生成AIのサービスは画面の変更が多いため、収録の古い動画では操作の説明がずれていることがあります。

無料のAI研修の限界と注意点

無料講座の限界は、講座の中身ではなく、受講の前後で会社が担う部分に表れます。次の判定表で、自社にとって足りない点がどこかを確かめてみましょう。

無料で足りない5点の判定表

項目無料講座の状態足りないと起きること会社で補う方法自社の判定
1. 質問への回答動画や教材が中心で、個別の質問に答える窓口がない講座もあるつまずいた社員が、そのまま使わなくなる社内の相談役を決め、質問を集める場所を作る○ / △ / ×
2. 自社業務への当てはめ不特定多数に向けた一般的な例題が中心学んだことを自分の仕事でどう使うかが分からない部署ごとの練習課題を用意する○ / △ / ×
3. 受講の管理会社として受講状況を一覧にする機能は、講座側に用意されていないことがある誰が終えたか分からず、催促もできない表計算の受講管理表と、修了証の提出○ / △ / ×
4. 中立性(営業目的)製品の紹介や有料コースへの案内を含むセミナーもある特定の製品を前提にした内容を、中立の知識として受け取ってしまう主催者と内容を事前に確認する○ / △ / ×
5. 研修後の環境講座は、受講後に使うAIの環境を用意しない社員が個人のアカウントで業務に使い始める会社が管理できる環境を、研修の前に決める○ / △ / ×

表の5点のうち、1〜3は社内の工夫で補えますが、4と5は研修の前に会社として判断しておく必要があります。特に5は研修の効果と情報の扱いの両方に関わるため、後の節で詳しく取り上げます。×が2つ以上付いた会社は、無料講座を増やすより先に、社内の受け皿を整えるほうが効果的です。

無料講座だけで進めたときに起きやすいつまずき

無料講座だけで研修を済ませた会社では、講座の外側の準備が抜けて、思ったほど使われないまま終わることがあります。よくある形を、起きる理由と防ぎ方に分けて並べました。

つまずき起きる理由防ぎ方
受講の後、誰も業務で使っていない使う環境と練習の課題がない研修の翌週に、部署の練習課題を出す
社員ごとに受けた講座がばらばらで、話がかみ合わない講座選びを社員に任せた入門の1本を会社が指定する
トライアル期間を過ぎて、個人に請求が来た無料の範囲を確かめずに申し込んだ申込前に、有料に切り替わる条件を確かめる
練習のつもりで、顧客の情報を個人のアカウントに入れた入力してよい情報を決める前に研修をした社内ルールの最小セットを研修と同時に配る
修了証は集まったが、使い方は広がらない受講の完了をゴールにした4週目に、部署ごとに使えた例を共有する

どのつまずきも、講座を有料に変えるだけでは防げず、会社の側で段取りを決めることで避けられるものです。

営業目的の無料セミナーを見分ける確認質問

無料のAIセミナーには、研修会社や製品の販売会社が、自社のサービスを知ってもらう機会として開いているものもあります。営業目的であること自体は悪いことではなく、製品の実演から学べることも少なくありません。困るのは、中立の研修だと思って社員を参加させたのに、内容が特定の製品を前提にしていた場合となります。申し込む前に、次の質問を主催者に確かめてみてください。

  • 主催者と講師はどこの誰か講師が研修会社や製品の販売会社の社員かどうかを確かめます。
  • 当日の時間のうち、製品やサービスの紹介は何分あるか紹介の時間が分かれば、社員に参加の目的を伝えやすくなります。
  • 参加後に個別の連絡(電話や訪問の案内)は来るか連絡を受けたくない場合に、申込時に断れるかも確かめます。
  • 申込時に入力する会社の情報は何に使われるか社員数・予算・導入時期などを聞かれる場合は、使い道を確かめます。
  • 資料は持ち帰れるか、録画を後から見られるか社内で共有できない内容だと、参加した社員だけの学びで終わってしまいます。
  • 有料コースや助成金の申請代行の案内があるか案内がある場合は、費用と条件を書面でもらってから判断します。

回答があいまいでも参加してかまいませんが、その場合は社員に「製品紹介を含むセミナー」と伝えて送り出すと、受け止め方が変わってきます。厚生労働省の人材開発支援助成金のページには、「「訓練経費」は無料になりません」という見出しの注意書きも掲載されています。助成金で無料になると強調するセミナーは、条件を自分で確かめてから判断しましょう。

研修で覚えた使い方を、全員が同じ環境で続けるには

無料の研修で覚えた使い方も、会社で1つにまとめた環境で続けてこそ仕事に活きます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。

研修の後に社員が使う環境を先に決める

研修の効果を左右するのは、研修そのものより、受講した翌日から社員がどの環境でAIを使うかになります。会社が環境を用意しないまま研修だけを行うと、社員は学んだ操作を試すために、自分の無料アカウントで業務の文章を入力し始めることがあります。会社から見えない場所で業務にAIが使われる状態は、シャドーAI(野良AI)と呼ばれています。研修で使い方を広めるほど、受け皿がない会社では見えない利用も増えてしまう、という点に注意が要ります。

確認する点社員の個人の無料アカウントに任せる各AIの法人プランを契約する複数のAIを使える法人向けの共通環境を用意する
入力データの学習利用サービスと本人の設定次第。会社は確かめられないChatGPT・Claudeの法人向けは既定で学習に使わないと案内(ほかのAIは各社の規約で確認)会社側の設定で全員に一律に適用できるものを選ぶ
利用の記録会社からは見えない管理画面で見られる範囲はプランによる誰がいつどのAIを使ったかを会社側で把握できるものを選ぶ
退職・異動のとき本人が消さない限り会話の履歴が残る管理者がアカウントを止められる管理者がアカウントを止められる
費用の増え方会社の負担はない1人あたりの月額×人数×サービスの数契約の形はサービスによる
研修内容との一致研修で使ったAIと同じとは限らない契約したAIに限られる研修で紹介された複数のAIを同じ画面で使える
向いている会社業務の情報を一切入れない練習に限る会社使うAIを1つに決められる会社部署ごとに使うAIが違う、全社員に配りたい会社

※学習利用の既定値は、OpenAIのヘルプ(2026年9月17日確認)とAnthropicの料金ページ(2026年9月16日確認)の表示によります。ChatGPTのFree・Plus・Proを個人用ワークスペースで使う場合はデータ共有が既定で有効で、設定でオフに出来ます。ChatGPT Business・Enterpriseは既定で学習に使わないと案内されています。ClaudeはFree・Pro・Maxがオプトアウト(本人がオフにする方式)、Team・Enterpriseが既定で学習に使わない扱いです。

研修の内容と使う環境がそろっていないと、研修で覚えた使い方が職場で再現できず、効果が薄れてしまいます。たとえば研修で複数のAIの使い分けを学んでも、会社が1つのAIしか用意していなければ、残りは個人のアカウントで試すことになりがちです。研修の日程を決める前に、受講後に社員が使う環境を会社として1つ決めておきましょう。どのAIを何に使うかの考え方は、複数の生成AIを1つの環境で使うマルチAIでも整理しています。

研修と環境の準備を同じ日程で進める手順

環境の準備と研修を別々に進めると、どちらかが遅れて間が空いてしまいます。次の順で同じ日程表に載せると、研修の翌日から会社の環境で使い始めることが出来ます。

  1. 社員が今どのAIを業務で使っているかを、匿名のアンケートで把握する
  2. 把握した使い方をもとに、会社として用意する環境と、使ってよいAIを決める
  3. 研修の演習を、受講後に使う会社の環境で行う
  4. 個人のアカウントで業務に使っていた社員には、会社の環境への切り替えを案内する

アンケートは、使っていることを責めるためではなく、必要とされている使い方を知るために行うと伝えると、正直な回答が集まりやすくなります。回答で多かった使い方は、そのまま研修の演習の題材にも使えます。

研修後に入力してよい情報・いけない情報の線引き

環境を決めたら、次は社員がAIに入力してよい情報の範囲を決めます。研修で操作を覚えた直後の社員は、手元の業務文書をそのまま貼り付けて試したくなるものです。個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)で、個人情報を含む内容を入力する場合は利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう求めています。本人の同意なく個人データを入力し、それが応答の作成以外の目的で扱われると法令違反となる可能性があるとして、入力したデータが機械学習に使われないことなどを十分に確認するよう呼びかけました。

情報の種類個人の無料アカウント(練習)会社が用意した環境(学習に使わない設定)判断の理由
公開済みの自社サイトや会社案内の文章可可すでに公開されている
架空の数字や例文で作った練習用の文書可可実在の情報を含まない
社外秘ではない社内の手順書・マニュアル不可可(社内ルールの範囲で)社内向けの情報のため
顧客・取引先の氏名、連絡先、相談の内容不可原則不可。必要なら名前を伏せ、社内ルールで条件を決める個人情報の利用目的の範囲
取引先から預かった資料・契約書不可契約で目的外の利用や第三者への提供が制限されていないかを確かめてから取引先との契約
発表前の決算・価格・人事の情報不可原則不可。扱う部署と担当者を限る漏れたときの影響が大きい
パスワード、アカウント情報、カード番号不可不可AIに入力する理由がない

表の真ん中の列に「可」が増えるのは、会社が学習利用や利用の記録を管理できる環境を用意した場合に限られます。個人の無料アカウントでは、練習に使える情報が公開済みの文章と架空の例文に限られるため、研修で学んだことを業務で試せる範囲もそれだけ狭くなってしまいます。研修の演習で使う題材も、この表の「可」の範囲から選ぶと決めておくのが安全です。

研修と合わせて決める社内ルールの最小セット

社内ルールは、最初から細かな規程を作るより、研修の当日に配れる1枚にまとめるほうが定着しやすくなります。最低限、次の5項目があれば研修の後の利用を始めることが出来ます。

  1. 使ってよいAIと環境(会社が用意した環境だけを業務に使う)
  2. 入力してはいけない情報(個人情報、取引先から預かった資料、発表前の情報、パスワードなど)
  3. 出力の扱い(事実・数字・固有名詞は人が確かめてから使い、社外に出す文書は上長が確認する)
  4. 困ったときの相談先(推進担当者の名前と連絡方法)
  5. 受講と見直し(新しく入った社員は入門講座とルール確認を受け、ルールは半年に1回見直す)

この5項目を研修の最後に読み合わせ、受講の完了と合わせて確認してもらう形にしてみてください。規程として整える段階では、生成AIの社内ガイドラインの作り方と生成AIのセキュリティ対策チェックリストが参考になります。

読み合わせの後に行う確認テスト5問の例

問題答え理由
顧客から届いたメールの文面を、返信の下書きのためにそのままAIに貼り付けてよいかいいえ。会社の環境でも、名前や連絡先を伏せてから使う顧客の個人情報を含むため
自社サイトに公開済みの商品説明を、言い換えのためにAIに入力してよいかはいすでに公開されている情報のため
AIが出した数字や法令の説明を、確かめずに社外向けの資料に使ってよいかいいえ出力には誤りが含まれることがあるため
会社の環境が使えないとき、自分の無料アカウントで業務の文書を要約してよいかいいえ会社が学習利用や利用の記録を管理できないため
使い方で困ったときは誰に聞くか推進担当者(名前を記入)相談先を全員が知っておくため

確認テストは点数をつけるためではなく、ルールの読み違いを見つけるために行うものです。間違いの多い問題があれば、ルールの書き方が分かりにくい可能性があるため、文面を直す材料にしてみてください。

無料から有料研修へ切り替える目安と比較

無料講座で入門を終えた後、有料の研修に切り替えるかどうかは、社員の質問に社内で答えきれなくなったかで判断出来ます。比べる点を表にまとめました。

比べる点無料講座有料の研修(公開講座・研修会社)
費用受講料は0円。修了証やトライアル後の料金がかかるものもある1人あたり、または1回あたりの費用がかかる
質問への対応講座による。動画が中心のものは個別の回答がない場合がある講師に質問できる形式を選べる
自社業務への当てはめ一般的な例題自社の業務に合わせた内容を相談できる研修もある
受講の管理会社が自分で管理する研修会社が出欠や受講状況を報告する場合がある
助成金経費助成の使いどころがないと考えられる要件を満たせば経費助成・賃金助成の対象になりうる
日程いつでも受けられるもの、先着順のものがある日程が決まった公開講座と、日程を相談できる講師派遣がある

切り替えの合図としては、同じ質問が社内で何度も出る、部署ごとに使い方が分かれてきた、推進担当者が答えられない質問が増えた、といった状態が挙げられます。どれか1つでも当てはまったら、有料の研修を検討する時期と考えてよいでしょう。

有料の公開講座の例では、トレノケートの「ChatGPTで学ぶ生成AIビジネス活用」が1日(13時〜17時30分)で33,000円(税込)と公式ページに掲載されています。同じ講座を社員10名に受けさせると、受講料だけで330,000円(税込)となります。入門を無料講座で済ませ、有料の研修は推進担当者や使う頻度の高い部署に絞ると、同じ予算でも中身の濃い研修に回せます。

※トレノケートの講座の価格・時間は、2026年10月3日時点で同社の公式ページに表示されている内容です。

仮に、全社員30名は無料講座で入門を済ませ、推進担当者2名だけが同じ有料講座を受ける形にすると、受講料は66,000円(税込)に収まります。有料の研修に切り替えた後も、新しく入った社員の入門には無料講座を使い続けることが出来ます。研修会社の候補の絞り込み方は、AI研修のおすすめと比べる5つの軸で扱っています。

助成金・自治体の支援と無料講座の関係

研修の費用を抑える方法には、無料講座のほかに、国の助成金と自治体の支援があります。ただし、助成金は実際に支払った研修の費用の一部を後から受け取る仕組みのため、無料講座とは役割が分かれます。

人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コース

厚生労働省の人材開発支援助成金のうち、事業展開等リスキリング支援コースは、事業展開やDX化などに伴う訓練を対象とするコースです。中小企業の場合、経費助成は実費相当額の75%、賃金助成は1人1時間あたり1,000円と案内されています。令和8年8月3日版の詳細では、実訓練時間が10時間以上であることと、計画届を訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に出すことが要件となります。eラーニングや通信制の訓練は経費助成のみで、その経費助成の上限は中小企業で15万円、同じ労働者について1年度1回までとされます。このコースは令和4年度から8年度までの期間限定の助成金で、令和8年度末までの時限措置と記載があります。

研修の内容にも条件があり、生成AIを使うための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は、特定の業務への具体的な当てはめを伴わないとして助成対象外の例に挙げられています。一方で、営業担当者が生成AIで商品提案書の構成案作成や文章の生成・修正の方法を学ぶ訓練は、対象となる例です。助成金を使うなら、研修の中身を自社の業務に結びつけて設計する必要があります。

無料講座との関係では、経費助成は実際に支払った訓練経費に対する割合で決まるため、受講料が0円の講座では経費助成の使いどころがないと考えられます。取り扱いの細部は改正で変わることがあるため、申請を考える場合は最新の支給要領で確かめてください。仮に、要件を満たす有料の訓練を中小企業が社員10名に10時間ずつ、所定労働時間内に実施した場合、賃金助成は10名×10時間×1,000円で100,000円となる計算です。経費助成は、これとは別に、支払った訓練経費の75%(中小企業。訓練時間などに応じた上限あり)となります。

※助成金の内容は、厚生労働省の令和8年度の案内(簡略版は令和8年4月8日時点)と、事業展開等リスキリング支援コースの令和8年8月3日版の資料で2026年9月17日に確認したものです。賃金助成は所定労働時間内の分に限られ、eラーニングや通信制の訓練には付きません。支給されるかどうかは、計画届と支給申請の審査によります。

自治体の支援で受講料を抑える

自治体の支援には、受講料そのものを自治体が負担する形のものがあり、会社の支払いが発生しない点が助成金との違いです。前述の東京都の事業では、受講費用は1社あたり100万円(税込)まで無料とされています。愛知県のように参加費無料の半日研修を用意している県もあるため、本社や事業所のある自治体の産業支援の窓口で、今年度の募集を確かめてみましょう。

社員向けの受講計画ひな形と受講管理のやり方

無料講座を全社で使う場合、受講を社員任せにすると、受けた人と受けていない人が分からなくなってしまいます。4週間で入門を終える計画のひな形を用意しましたので、自社の人数に合わせて書き換えてみてください。

時期誰が何をする使う教材・場完了の報告
準備(開始の2週間前)経営者・総務研修後に使う環境と社内ルールの最小セットを決め、推進担当者を1名決める社内ルール1枚経営会議で決めた内容を記録する
1週目全社員生成AIの基礎と注意点を学ぶ社内で指定した無料講座1本(マナビDX・gaccoなどから選ぶ)受講管理表に受講日を入力。修了証が出る講座は画像を共有フォルダへ
2週目全社員社内ルールの読み合わせ(30分)と確認テスト社内ルール1枚と、5問の確認テスト確認テストの提出
3週目部署ごと会社が用意した環境で、自部署の練習課題を2つ行う部署の練習課題成果物を共有フォルダへ
4週目全社員・推進担当者部署ごとに使えた例を共有し、質問をまとめる30分の共有会推進担当者が質問の一覧と次の課題をまとめる
以降(月1回)推進担当者新しい使い方の共有と、ルールの見直し社内チャットや月例の会議見直した点を記録する

1週目に使う講座は、全員に同じものを指定するほうが、2週目以降の話がかみ合いやすくなります。推進担当者が先に受講し、所要時間と難しさを確かめてから指定すると、社員からの問い合わせが減ってきます。

社員への受講案内文のひな形

受講の案内は、目的と期限、受講後にやることを1通にまとめて送ると、問い合わせが少なくなります。そのまま書き換えて使える文面を載せておきます。

件名:生成AIの入門講座の受講のお願い(◯月◯日まで)

社員各位

会社として生成AIを業務で使う準備として、全社員に入門講座の受講をお願いします。
・受講する講座:◯◯(URL)
・受講期限:◯月◯日(業務時間内に受講して構いません。目安は◯時間です)
・受講後にやること:受講管理表に受講日を入力し、修了証が出た場合は共有フォルダ「◯◯」に保存してください
・翌週に、社内ルールの読み合わせ(30分)と5問の確認テストを行います

受講中に、業務の文書や顧客の情報をAIに入力しないでください。練習には講座の例題か、公開済みの自社サイトの文章を使ってください。
質問は推進担当の◯◯までお寄せください。

受講管理表の作り方と修了証の集め方

受講の管理は、表計算ソフトで1人1行の表を作れば、有料の管理システムがなくても始めることが出来ます。列は次の6つで足ります。

  • 氏名と部署(閲覧できる人は総務と推進担当者に限る)
  • 指定した講座の名前と、受講を終えた日
  • 修了証の有無と、保存したファイルの名前
  • 社内ルールの確認テストを出した日
  • 部署の練習課題を出した日
  • 質問や困ったこと(自由に記入)

修了証が出る講座では、画像やPDFを共有フォルダに保存してもらい、表にはファイルの名前だけを書く形にすると管理が楽になります。表計算での管理は、人数が増えても仕組みは変わりませんが、まだ受けていない社員への催促の手間は人数に比例して増えていきます。社員が100名を超える会社では、部署ごとに確認役を1人置き、推進担当者は部署単位の進み具合だけを見る形にしてみましょう。受講管理表には社員の氏名が入るため、閲覧できる人を総務と推進担当者に絞っておくことも大切です。

自社業務に当てはめる練習|部署別・ツール別の進め方

入門の講座で学んだ内容を定着させるには、自分の業務で一度使ってみる体験が欠かせません。部署ごとの練習課題の例をまとめましたので、自社の業務に合わせて置き換えてみてください。

部署練習課題の例使う情報確認するポイント
総務健康診断の案内など、社内通知の下書き過去の通知文(社外秘でないもの)日付や場所などの事実が正しいか
営業商品提案書の構成案と説明文の作成・手直し公開済みの商品情報誇張や事実と違う表現がないか
経理社内向けの経費精算ルールの説明を分かりやすく書き直す社内の規程規程の中身が変わっていないか
製造・現場作業手順書の要約と、新人向けの確認リストの作成社外秘でない手順書安全に関わる手順が抜けていないか
経営者会議の論点の整理と、社内向けメッセージの下書き公開済みの方針自分の言葉に直したか

営業の課題は、厚生労働省が助成金の対象の例に挙げた内容と重なるため、有料研修へ進む際の題材にもなります。どの部署でも、AIの出力をそのまま使わず、人が事実を確かめる手順を課題の中に入れておくことが大事です。

練習課題では、AIへの頼み方も型を決めて配ると、社員ごとの出来の差が小さくなります。総務の社内通知を例にした頼み方のひな形は、次のとおりです。

あなたは社内の総務担当です。次の条件で、社員向けの通知文の下書きを作ってください。
・目的:◯◯の案内
・日時と場所:◯月◯日◯時、◯◯(この部分は書き換えずにそのまま使うこと)
・読む人:全社員。AIや専門用語に詳しくない人も含む
・長さ:400字程度。最後に問い合わせ先の欄を入れる
・注意:分からない事実は推測で書かず、「要確認」と書いて残す

出来上がった下書きは、日付・場所・担当者名を人が元の資料と照らし合わせてから使います。「要確認」と書かれた箇所が残っていないかも、送る前に確かめてみてください。

社内で使うツールに合わせて教材を選ぶ

練習に使うAIと、入門で学ぶ教材のAIをそろえると、社員が迷わずに済みます。社内で使うAIと同じ提供元の教材から入ると、社員が名前になじみやすくなります。Microsoft Learn、Google AI Essentials、Claude Academyのように、AIの提供元が公開している教材から選ぶ方法があります。部署によって向いているAIが違う場合は、主要4AIの違いと使い分けを参考に、課題ごとに使うAIを決めておくとよいでしょう。使い分けを研修で教えるのであれば、社員が研修後も同じ複数のAIを使える環境があることが前提になってきます。

研修で教えた使い方を、全社員が同じ安全な環境で

UPGEAR AIは、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けのサービスです。UPGEAR AIでは全モデルで学習非利用を標準適用し、管理画面でUPGEAR AI上の利用状況を利用者・日時・利用モデルの単位まで把握出来ます。UPGEAR AIの会話履歴・利用ログ・アカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理します。料金は月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。

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よくある質問

AI研修は無料の講座だけで足りますか?
生成AIの基礎と注意点を学ぶ入門であれば、無料講座の組み合わせで足ります。ただし、質問への回答、自社業務への当てはめ、受講の管理、研修後に安全に使える環境は無料講座では手当てされないことがあるため、社内の相談役や部署ごとの練習課題、会社が管理できる利用環境を別に用意する必要があります。
AIの知識がない初心者の社員でも、無料講座についていけますか?
入門向けの講座であれば、知識がない方でも受講出来ます。マナビDXの受講料無料の講座や、gaccoの生成AIリスキリングシリーズ講座など、日本語で受けられるものから選ぶと負担が少なくなります。推進担当者が先に受講して所要時間と難しさを確かめてから指定すると、つまずく社員を減らせます。
独学の無料講座と研修会社の研修は、どちらがよいですか?
入門は無料講座、業務への当てはめは有料の研修、と段階で使い分ける方法があります。同じ質問が社内で何度も出る、部署ごとに使い方が分かれてきた、推進担当者が答えられない質問が増えた、といった状態になったら、有料の研修を検討する時期と考えられます。
無料のAIセミナーは怪しくないですか?
無料のセミナーには、研修会社や製品の販売会社がサービスを知ってもらう機会として開くものもあり、それ自体は問題ではありません。申し込む前に、主催者と講師、製品紹介の時間、参加後の連絡の有無、申込情報の使い道を確かめておくと安心です。厚生労働省の人材開発支援助成金のページにも「「訓練経費」は無料になりません」という見出しの注意書きがあるため、助成金で実質無料になると強調する案内は、条件を自分で確かめてください。
無料講座でも人材開発支援助成金は使えますか?
人材開発支援助成金の経費助成は、実際に支払った訓練経費に対する割合で決まるため、受講料が0円の講座では経費助成の使いどころがないと考えられます。取り扱いの細部は改正で変わることがあるため、申請を考える場合は厚生労働省の最新の支給要領で確かめてください。
研修のあと、社員に個人の無料アカウントで練習させてもよいですか?
公開済みの文章や架空の例文だけを使う練習であれば問題になりにくいものの、業務の文書や顧客の情報を入力する使い方は避けてください。ChatGPTのFree・Plus・Proを個人用ワークスペースで使う場合はデータ共有が既定で有効と案内されており、個人アカウントでは学習利用の設定や利用の記録を会社が管理できません。業務で使う段階では、会社が管理できる環境を用意することをおすすめします。
無料講座の修了証は、社内の評価に使えますか?
修了証は講座を終えた記録として受講管理には使えますが、業務でAIを使いこなせるかどうかまでは示しません。評価に使うなら、部署の練習課題の成果物や、研修後に業務で使った例を合わせて見るほうが実態に近くなります。
自治体の無料研修は、どの会社でも受けられますか?
自治体の研修には対象の条件があります。東京都の事業は都内中小企業、愛知県の研修は県内の中小企業等を対象としています。申し込む前に、所在地や規模などの対象条件と、募集期間・定員を公式の案内で確かめてください。東京都の事業は、定員に達し次第募集を終了すると案内されています。
Google AI Essentialsは無料で受けられますか?
日本では、最初の7日間の無料トライアルの後、月額49米ドルのサブスクリプション料金がかかると案内されています。Googleが主幹事を務める日本リスキリングコンソーシアムでは、受講料が無料になるアカウントを先着順・数量限定で順次提供しています。利用にはコンソーシアムへの会員登録が必要です。受付状況は時期によって変わるため、申し込む前に公式ページで確かめてください(2026年10月3日時点の案内に基づく内容です)。

まとめ

AI研修を無料で済ませられるかどうかは、研修の目的によって決まります。生成AIの基礎と注意点を学ぶ入門であれば、マナビDXやgacco、自治体の研修、AIの提供元が無料で公開している講座を組み合わせて、受講料をかけずに進めることが出来ます。一方で、質問への回答、自社業務への当てはめ、受講の管理、研修後に使う環境は、無料講座の外側にある部分です。

中でも研修後の環境は、決めないまま研修を行うと、社員が個人のアカウントで業務の情報を入力するきっかけになってしまいます。研修の日程より先に、受講後に全員が使う環境と、入力してよい情報の線引きを決めてみてください。法人のAI活用に関するほかの記事は、AI活用コラム一覧にまとめています。