
ChatGPTとCopilotの違いとは、答えを作るモデルの優劣ではなく、どこの情報につながっていて、誰がその利用を管理するのかという違いになります。会社で選ぶときは、いま全員がMicrosoft 365を使っているかどうかと、社員のアカウントを会社が止められるかどうかで、先に入れる側が決まってきます。Copilotには費用も参照できるデータも違う入口が3つあり、そこを分けずに比べると、料金の話がかみ合わなくなってしまいます。両社の公式ページで確認した実額と、併用したときの1人あたりの金額、導入したあとに情報システムの担当者がやることまで、順に並べていきます。
違いは中身のモデルではなく、どこにつながっていて誰が管理するか
2つの差がいちばん大きく出るのは、答えの賢さではなく、社内のファイルやメールに届くかどうかと、社員の使い方を会社が把握できるかどうかの2点になります。どちらのサービスも文章を書き、要約し、表を作ることができるため、その部分を比べても決め手が出てきません。
ChatGPTはOpenAIが提供していて、会社で使うときは会社のワークスペースを作り、そこに社員を招いて使ってもらう形をとります。Copilotの方はMicrosoftが提供していて、すでに契約しているMicrosoft 365のテナントの中で、ユーザーにライセンスを割り当てて配る形になっています。招く側と割り当てる側で、社員一覧を管理する場所そのものが別になってしまいます。
| 比べる軸 | ChatGPT | Microsoft Copilot |
|---|---|---|
| 提供元 | OpenAI | Microsoft |
| 会社で使うときの単位 | ワークスペースを作り、メンバーを招待する | Microsoft 365 テナントのユーザーにライセンスを割り当てる |
| 社内データへの届き方 | アプリ(コネクタ)でつないだ範囲と、貼り付け・アップロードした資料。料金ページには「Google Workspace、Slack、GitHub、Microsoft 365 などとの連携」と記載 | アドオンありなら、Microsoft Graph と Work IQ を通じて、本人の権限の範囲でファイル・メール・会議を参照 |
| 前提になる契約 | 単独で契約できる | 公式の脚注に「対象となる Microsoft 365 プラン のライセンスが別途必要です。最大 300 ユーザーまで。」と記載 |
| 法人プランの表示額 | Business 標準シート ¥3,050/月(年額課金の場合) | アドオン 年払い ¥3,148(税抜) |
| 入力の学習利用 | 法人向けは既定で学習に使わないと公式が明記 | 職場アカウントは基礎モデルのトレーニングに使わないと公式が明記 |
| 管理画面 | ChatGPT のワークスペース設定 | Microsoft 365 管理センター |
上位の比較記事の多くは、汎用の会話AIか、Office特化かというところで説明が終わっています。同じ答えが返ってきても、その答えが社内のどの資料を見て書かれたのかは、契約の中身で変わってきます。会社として判断するなら、ここから先の話が本題になります。
なお、法人向けの生成AIを横並びで見たい方は法人向け生成AIサービスの比較もあわせてご覧ください。ここから先は、この2つに絞って、料金の実額と導入後の管理まで踏み込みます。
ChatGPTとは|提供元と、できることと、会社で使うときの形
ChatGPTは、OpenAIが2022年11月30日に公開した対話型のAIサービスになります。公開時の発表では、2022年初頭に学習を終えたモデルをファインチューニングしたものだと説明されていました。
いまの製品紹介ページには「これからは、チャット、作業、コーディングをすべて1か所で行えます。」と書かれていて、チャット・Work・Codexという3つの入口が並んでいます。チャットの欄には「日常の疑問やアイデアの相談、概念の説明、メッセージの下書き作成、Web 検索、画像生成、選択肢の比較、意思決定の検討などをサポートします。」とあり、Workの欄には「ChatGPT Work は、すでに使用しているツール、関連情報、アプリを活用して、ドキュメント、スライド資料、スプレッドシート、グラフ、PDF、画像、その他の成果物を作成および編集できます。」と記載されています。Codexの欄に添えられているのは「コーディングや技術的な作業向け」という一言だけです。
会社で使うときはワークスペースという単位になります
個人で使う場合は自分のアカウントだけで完結しますが、会社で使う場合はワークスペースという単位を作り、そこに社員を招く形に変わります。ワークスペースは、独自の設定、メンバー、リソースを持つ個別のChatGPT環境だと公式ヘルプが説明していて、ウェブではプロフィールメニュー、モバイルではサイドバーから切り替えます。
法人向けのChatGPT Businessは、料金ページに「従業員数2~200名のチーム向け」「無制限で利用できますが、不正利用防止のための安全対策が適用されます」と書かれています。2026年8月24日以降に作られたワークスペースでは、有料の標準シートとプレミアムシートの合計が200シートまでという上限も加わりました。ユーザー2名から契約できる点は、10名前後の会社にとって入りやすい条件になります。
気をつけておきたいのは、答えの正しさが保証されるわけではない点でしょう。公式ヘルプにも「ChatGPT は時折、事実を作り上げたり、出力を「幻覚」したりすることがあります」「モデルからの回答が正確かどうか確認することをおすすめします」と書かれていますので、社外に出す文章では人の確認を挟む前提で組み立てましょう。
Microsoft Copilotとは|WindowsやEdgeに最初から入っている入口
Copilotは、Microsoftが自社製品の中に組み込んで提供しているAIアシスタントになります。公式ページの定義は「Copilot は会話型の AI アシスタントです。コンテキスト支援の提供、定型タスクの自動化、データ分析を行うことで生産性を高め、ワークフローを効率化するのに役立ちます。」という書き方になっています。
ChatGPTと大きく違うのは、契約をする前から社員の手元にある点でしょう。公式のサポート記事には「Microsoft Copilot は、copilot.cloud.microsoft で無料で利用できます」「サインインは必須ではありませんが、個人用アカウントでサインインすると、チャット履歴、画像の作成、長い会話、音声操作、その他の Copilot 機能にアクセスできます」と書かれていて、Windows、macOS、モバイルデバイス、Microsoft EdgeのCopilotヘッダーから入れると案内されています。会社が何も決めていなくても、社員は今日から使える状態にあります。
名前が変わっている途中なので、画面の表記がそろいません
公式ドキュメントには「Microsoft 365 Copilot の名前が Microsoft Copilot になり、Microsoft 365 Copilot Chat の名前が Microsoft Copilot Chat になりました」という注記が入っています。同じ注記の中で、一部のエクスペリエンス、ライセンス、機能は移行期間中に旧名称を参照する場合があるとも書かれていて、実際に一般法人向けの料金ページには「Microsoft 365 Copilot Business」という旧名が残ったままです。
社内で説明するときは、名前ではなく買い方で呼び分けると混乱が減ります。追加料金なしで付いてくる方と、1人あたりの料金を払って足す方の2つに分けておけば、担当者ごとに違う名前で話が進む事態を避けられます。名前の一致より、社員が開いている画面が会社のアカウントかどうかを先に確かめる方が実務的です。
なお、Copilotという名前の付いた製品は他にもあります。公式の概要ページは「次の Copilot 製品は個別にライセンスされており、Microsoft 365 Copilot (Premium) ライセンスは必要ありません。」として、Security Copilot、GitHub Copilot、Copilot Studioを挙げています。開発部門がGitHub Copilotを使っていても、それは今回の比較とは別の契約になりますので、稟議を分けて考えてみてください。
Copilotには入口が3つある|費用・社内データ・データ保護で分ける
ChatGPTとの比較がかみ合わなくなる原因は、ほとんどの場合、Copilotの入口を1つだと思って話しているところにあります。費用も、参照できる社内データも、データの守られ方も違う入口が3つ並んでいます。
| 個人アカウントの Microsoft Copilot(無料) | 職場アカウントの Copilot Chat | アドオンの Microsoft Copilot | |
|---|---|---|---|
| 費用 | 0円。サインインなしでも使える | 対象の Microsoft 365 ライセンスがあれば追加料金なし。公式の大企業向けページに「追加料金なしで利用できます。 含まれています」と記載 | 年払い ¥3,148(税抜・ユーザー/月相当)、月払い ¥3,778 |
| 参照できる社内データ | 会社のファイルやメールは対象外。個人用アカウントでのサインインが前提 | Web を典拠とするチャット。組織のコンテンツを使うには、貼り付け、ファイルのアップロード、Teams や Outlook で開いている内容を対象にする、従量課金制エージェントを使う、のいずれかが必要。Microsoft Graph にはアクセスできない | ファイル、メール、チャット、連絡先などの仕事データを使って応答。Microsoft Graph と Work IQ を自動で参照 |
| データの扱い | 2026年8月18日以降の新しい版のアプリは、プロンプト・応答・ファイルの内容を基礎モデルのトレーニングに使わないと説明。前の版の記事は説明が異なる | Entra アカウントでサインインするとエンタープライズ データ保護が適用。プロンプトと応答はログに記録され、管理者が検索ツールと監査ツールで確認できる | 同左に加えて、管理者向けの高度な管理コントロールと分析、使用状況レポート |
| Word・Excel・PowerPoint・OneNote の Copilot | 対象外 | Copilot Chat (Basic) は「アクセスできません」と公式が明記 | 標準アクセスから優先アクセスまで、区分によって変わる |
| Officeアプリでの入口 | Edge の Copilot、Windows や Mac のアプリ | m365copilot.com、Edge の Copilot、Outlook と Teams の Copilot Chat | 各アプリの中の Copilot と、職場向けのチャット画面 |
※金額は2026年9月20日に Microsoft の公式料金ページで確認した表示額です。同ページに「価格には消費税は含まれていません」と記載があるため、すべて税抜きの金額になります。
公式のライセンス区分は3段階に分かれています
Microsoftの公式ドキュメントは、この3つをCopilot Chat (Basic)、Microsoft 365 Copilot (Basic)、Microsoft 365 Copilot (Premium)という区分で説明しています。Copilot Chat (Basic)は「Microsoft 365 Copilot アドオン ライセンスがなく、Word、Excel、PowerPoint、OneNote の Copilot にアクセスできません。」とされ、Microsoft 365 Copilot (Basic)は「Microsoft 365 Copilot アドオン ライセンス はありません が、Word、Excel、PowerPoint、OneNote の Copilot への 標準アクセス はできます。」と書かれています。標準アクセスについては「Standard アクセスはサービス容量の影響を受け、1 日を通して異なる場合があります。」という注記も付いています。
ここで押さえておきたいのは、自社がどの区分になるかの条件が、今回確認した概要ページとライセンスのページには見当たらない点でしょう。アドオンを買っていないのにWordのCopilotが使える会社と、使えない会社に分かれる可能性もあります。稟議の前に、自社のWordを開いて実際に押せるかどうかを見ておきましょう。
もう1つ、追加料金なしの範囲でも社内データにまったく触れないわけではありません。Outlookについては「職場または学校アカウントに Microsoft Copilot アドオン ライセンスをお持ちでない場合は、Outlook の Copilot Chat を使用して、受信トレイ、予定表、会議、その他の限定的なデータについて質問することができます。」と書かれています。メールや会議やファイルをまたいで自動で材料を集めるところが、有料のアドオンで初めて開く部分になります。
追加料金なしの範囲と有料の範囲の線引きは、Microsoft 365 Copilotの無料版と有料版の違いでも詳しく整理しています。
CopilotとChatGPTはどちらがベースですか|土台はどちらもOpenAI系のモデル
検索でよく並ぶこの疑問には、公式の記載で答えられます。Microsoftの一般法人向け料金ページの比較表には、モデルの欄に「モデル 最新の OpenAI モデル: GPT-5.X」と書かれていて、Copilotの中身がOpenAI系のモデルであることを提供元自身が示しています。
つまるところ、どちらが賢いかという軸で選ぶ話にはなりません。ChatGPTはOpenAIが自社のモデルをそのまま提供していて、CopilotはそのOpenAI系のモデルをMicrosoftの製品の中に組み込んでいる、という関係になっています。土台が同じ系統である以上、差が出るのは入力に使える材料と、その扱われ方の方です。
使われるモデルは固定ではありません。Copilotの概要ページには「UI のモデル セレクターを使用して、さまざまなモデルを選択できます」「既定では、Copilot はリアルタイム ルーターを使用して、プロンプトに基づいて使用する基になるモデルを調整します」と書かれています。ChatGPT側の公式ヘルプにも、利用できるモデルや利用制限は随時変更されるので、モデル選択メニューで確認するようにという案内があります。
モデル名で比べた記事は、数か月で古くなってしまいます。実際、いまの検索結果の上位には、2025年9月の更新のまま旧世代のモデル名と旧称のプラン名を並べているページも残っています。選定の資料を作るときは、モデル名ではなく、料金・つながる先・管理のしやすさという変わりにくい軸で表を作ってみてください。
どちらも、同じ質問に毎回同じ答えを返すわけではありません。Microsoftの公式ヘルプも「LLM は、いくつかのランダム性を導入するニューラル ネットワーク上に構築されます。」と書いたうえで、応答を評価して信頼できるソースと相互参照するよう求めています。比較検討で1回ずつ試して優劣を決めるやり方は、判断材料としては弱くなってしまいます。
Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsとの連携はどこまで深いか
ここがCopilotのいちばん分かりやすい強みになります。アドオンを入れた場合にアプリごとにできることは、公式ドキュメントに一覧で書かれています。
| アプリ | アドオンの Microsoft Copilot でできること(公式の記載) | ChatGPT でやる場合の形 |
|---|---|---|
| Word | ドキュメントの下書き、書き換え、要約 | 本文を貼り付けるか、ファイルをアップロードして依頼し、結果を戻す |
| Excel | データを分析し、分析情報を生成し、数式とビジュアルを作成 | ファイルをアップロードして分析させ、数式や手順を受け取って自分で入れる |
| PowerPoint | プロンプトまたは既存のコンテンツからプレゼンテーションを作成、要約、編集(画像の追加、デッキ全体の書式設定の変更) | ChatGPT Work でスライド資料を作成・編集できると製品ページに記載 |
| Outlook | メールの下書き、スレッドの要約、明確さ・センチメント・トーンを改善するコーチングのヒント | 用件を書いて下書きを作らせ、メール画面に貼り戻す |
| Teams | 会議の要約(最大30日間)と文字起こし、アクション アイテムのキャプチャ | 文字起こしのテキストを渡して要約させる |
| OneNote | 下書きの計画、アイデア、リスト | テキストとして受け渡す |
| Forms | 質問の下書きを作成してアンケート・投票・フォームを作成 | 質問文を作らせて手で入れる |
表の右側を見ると、ChatGPTでも同じ仕事はできることが分かります。違いは、貼って戻すという往復が毎回入るかどうかになります。1日に何度も繰り返す作業であれば、この往復が積み上がって効いてきます。
会議の要約は、公式の説明が分かれています
Teamsの会議要約については、注意が要ります。概要ページはMicrosoft 365 Copilot (Basic)の使用できるアプリ内機能として会議の要約を挙げているのに対し、無料版との違いを説明したサポート記事はアドオンの特典として会議の概要と要約を挙げています。公式の中で説明が分かれていますので、追加料金なしで使えると決めつけず、自社のTeamsを開いて表示を確かめてみてください。
会議を後から要約させるには、文字起こしまたは会議の記録を有効にしておく必要があります。Teams電話では、VoIPの通話は全参加者に文字起こしや録音中の通知が出て、PSTNの通話では録音中のアナウンスが流れると案内されています。取引先との通話を対象にするなら、社内の周知だけでなく相手への説明も先に決めておきましょう。
つまずきやすい前提条件が並んでいます
ライセンスを買えばすぐ全員の画面に出てくる、という進み方にはなりません。公式ドキュメントに挙がっている条件のうち、社内で引っかかりやすいものを並べます。
- Word Online・Excel Online・PowerPoint Onlineで動かすには、サードパーティのCookieを有効にする必要があります
- Microsoft 365 Apps for enterprise のデバイスベースのライセンスを使っている場合、Copilotは使用できません
- 対応するメールボックスはExchange Onlineのプライマリメールボックスで、グループメールボックスでは使用できません
- 更新チャネルは最新チャネルか月次エンタープライズチャネルが必要だと案内されています。半期エンタープライズチャネルでは使えないことがあるという記述がセットアップの手順に残っていますが、2026年7月のバージョン2606から半期と月次のチャネルは統合され、要件を満たすデバイスは更新後にCopilotの対象になると別の公式ドキュメントに書かれています(2026年9月20日確認)
- ライセンスを割り当てても「一部のアプリでは、Copilot が表示されるまで最大 24 時間待機する必要がある場合があります。」と書かれています
- ネットワーク側では *.office.com、*.cloud.microsoft、copilot.cloud.microsoft へのWebSocket接続が必要で、一部のURLだけを許可する構成はサポートされていません
ボタンが出ないという問い合わせが最初の1週間に集中しますので、情報システムの担当者がいない会社ほど、配る前に1人で通して試しておく価値があります。公式は、ファイルから アカウント、ライセンスの更新、アプリの再起動という順で確認するよう案内しています。
情報の鮮度の違い|Web検索の扱いと、学習データの区切り
鮮度は、モデルそのものよりも、Web検索が効いているかどうかで決まります。モデルには学習を終えた時点があり、それより後の出来事は検索で補う作りになっているためです。
ChatGPTについては、公式ヘルプに「ChatGPT はウェブを検索し、最新情報と関連する情報源へのリンクを使って質問に回答できます」「ウェブ検索は、ChatGPT 無料版、Go、Plus、Pro、Business、Enterprise、Edu で利用できます」と書かれています。自動で検索されることもあり、手動で使う場合はすべてのツールを表示から検索を選びます。同じヘルプには「検索結果や引用は、不完全、古い、または誤っている場合があります」「引用元を開いて回答を裏付けているかを確認し、公開日や更新日も確認してください」という注意も添えられています。
Copilot側も、無料版の機能として「Web 検索に基づいてリアルタイムの回答」が挙げられていて、職場向けのCopilot Chatの説明も「Web 上に基盤となり、最新モデルを利用した AI チャット」です。どちらも検索して答えるという点では同じ形になっています。
Copilotの検索だけ、データの扱いが別枠になります
会社として見ておきたいのは、この検索の部分だけデータ保護の枠が変わる点でしょう。公式ドキュメントには「Microsoft 製品およびサービスのデータ保護に関する補遺 (DPA) は、…Bing 検索サービスで生成された Web 検索クエリの使用には適用されません。」と書かれていて、この場面ではMicrosoftが独立したデータコントローラーとして機能すると説明されています。EUデータ境界もWeb検索クエリには適用されないと脚注にあります。
そのかわり、製品条項の追加のコミットメントとして、Bingの改善に使わない、広告プロファイルや行動追跡に使わない、広告主と共有しない、生成AIの基盤モデルのトレーニングに使わない、という4点が挙げられています。検索に送られる内容も限定されており、プロンプト全体(非常に短い場合を除く)、Microsoft 365のファイル全体やアップロードしたファイル、Entra IDの識別情報は送られません。
管理者の側では、Web検索を止める設定も用意されています。[Copilot での Web 検索を許可する]のポリシーは、未構成だと既定で検索が使える状態になります。止めると、Webコンテンツの切り替えがオフになって淡色表示に変わると説明されています。社外秘の資料を扱う部署だけ検索を切る、といった運用も取れます。
料金プランの一覧|無料・個人向け有料・法人向けの3層を表で並べる
実額を並べておくと、社内の議論がいっきに具体的になります。3層に分けて、両社の公式料金ページに表示されている金額をそのまま並べます。
| 層 | ChatGPT | Microsoft Copilot |
|---|---|---|
| 無料 | 無料版 ¥0 | Microsoft Copilot(個人用アカウント。サインインなしでも使える) |
| 個人向け有料 | Go ¥1,400/月、Plus ¥3,000/月、Pro 月額 ¥16,800 から | Microsoft 365 Personal ¥2,130/月、Family ¥2,740/月、Premium ¥3,200/月 |
| 法人向け(追加料金なし) | — | Copilot Chat。対象の Microsoft 365 サブスクリプションに含まれる |
| 法人向け(有料) | Business 標準シート ¥3,050/月(年額課金の場合)・¥3,850/月(月額課金の場合)、プレミアムシート ¥15,250/月(年額課金の場合)、Enterprise は「カスタム価格設定」 | Microsoft 365 Copilot Business(アドオン)年払い ¥3,148・月払い ¥3,778、大企業向け ¥4,497(年払い) |
| 土台とセットの価格 | — | Microsoft 365 Business Standard と Copilot Business 年払い ¥3,523・月払い ¥4,228、Business Premium と Copilot Business 年払い ¥4,797・月払い ¥5,756 |
※Microsoftの法人向け価格とChatGPTの法人向け価格は2026年9月20日、Microsoftの個人向け価格は2026年9月16日、ChatGPTの個人向け価格は2026年9月19日に、それぞれの公式料金ページに表示されていた金額です。Microsoftの法人向け料金ページには「価格には消費税は含まれていません」と記載があるため、法人向けの金額は税抜きです。Microsoftの個人向け料金ページとChatGPTの料金ページには税についての記載がないため、税を足した金額は出していません。また、ChatGPTの料金ページは閲覧環境によって表示通貨が変わり、この表の円の金額は日本から見たときの表示で、同じ日に米ドル表示で見ると標準シートは $20(年額課金の場合)/$25(月額課金の場合)でした。為替レートを当てて円に換算した金額は、公式価格ではありません。
Microsoft 365 Copilot は単体では買えません
見落とされやすいのが、この前提になります。料金ページの脚注には「Microsoft 365 Copilot を購入するには、 対象となる Microsoft 365 プラン のライセンスが別途必要です」「最大 300 ユーザーまで」と書かれています。アドオンの¥3,148は、あくまで土台のプランに足す金額になります。
前提になるプランとして、公式のライセンスのページはMicrosoft 365 Business Premium、Business Standard、Business Basic、Apps for business、Microsoft Teams Essentialsを挙げています。すでにMicrosoft 365を契約している会社なら追加は¥3,148だけで済みますが、これから両方を揃える会社は、セット価格の¥3,523や¥4,797で見積もる方が実態に合います。
¥2,698 という表示は初年度だけの割引になります
料金ページには¥3,148と並んで¥2,698という割引価格も表示されています。ただし脚注には「この割引キャンペーンは、2026 年 7 月 1 日から 2026 年 12 月 31 日まで利用できます。…年間契約が必要で、プロモーション価格は初年度にのみ適用されます。」と書かれていて、対象は対象のビジネスプランを利用している既存のMicrosoft 365顧客に限られます。2年目からは¥3,148に戻る前提で、社内の予算表を作っておきましょう。
ChatGPT側の料金をもう少し詳しく見たい方はChatGPT法人プランの料金を、Copilotを入れるかどうかの判断材料はCopilotは必要かをご覧ください。
併用すると1人あたり月いくらか|20人・50人の年額まで計算する
使い分けや併用という結論は多くの記事が出していますが、その場合に会社がいくら払うのかまで書いた記事はほとんどありません。単価を並べただけでは判断できませんので、人数と12か月を掛けて年額に直します。
| 組み合わせ(すべて年払い・年額課金) | 1人あたり月額 | 20人の年額 | 50人の年額 |
|---|---|---|---|
| Microsoft 365 Copilot Business のアドオンだけ | 3,148円 | 755,520円 | 1,888,800円 |
| ChatGPT Business の標準シートだけ | 3,050円 | 732,000円 | 1,830,000円 |
| アドオンと ChatGPT の両方(土台のプラン代は別) | 6,198円 | 1,487,520円 | 3,718,800円 |
| Microsoft 365 Business Standard と Copilot Business のセット+ChatGPT | 6,573円 | 1,577,520円 | 3,943,800円 |
| Microsoft 365 Business Premium と Copilot Business のセット+ChatGPT | 7,847円 | 1,883,280円 | 4,708,200円 |
※Microsoftの金額は税抜きで、ChatGPTの料金ページには税の記載がありません。合計はこの2つの表示額をそのまま足したもので、消費税を含めていません。1人あたり月額×人数×12か月で計算しています。
同じ20人でも、土台のプランをStandardにするかPremiumにするかで、年額は1,577,520円と1,883,280円に分かれます。両方を配る判断をするなら、この30万円の差が何に対する支払いなのかを先に言葉にしておきましょう。
支払い方を月ごとにすると、さらに上乗せが出てきます。Copilotのアドオンは月払いだと¥3,778になり、年払いとの差は1席あたり年7,560円です。ChatGPTの標準シートは月額課金だと¥3,850で、年額課金との差は1席あたり年9,600円になります。20人で両方を月払いにすると、年間で343,200円だけ多く払う計算です。
逆に、初年度だけを見ると割引が効きます。Copilotのアドオンを割引価格の¥2,698で契約できる会社なら、1人あたり月450円、20人で年108,000円が下がります。ただし2年目からは¥3,148に戻りますので、2年分をならした金額で稟議を書いておく方が安全になります。
金額を見て全員分は難しいと感じた場合、配る範囲を絞る進め方が現実的でしょう。部署で区切る、役割で区切る、という2つのやり方があります。配る人数に単価を掛けるだけですので、20人のうち8人に絞れば、上の年額の4割ほどに収まります。複数のAIを併用する考え方そのものは複数AIの併用で整理していますので、あわせてご覧ください。
契約が増えるほど、管理する画面も入力のルールも二重になっていきます。UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1つの契約で使える法人向けサービスです(人数無制限)。
管理の単位が違う|ワークスペースに招くか、テナントで割り当てるか
導入したあとに効いてくるのが、この違いになります。片方は招待メールを起点に人が増え、もう片方はライセンスの割り当てを起点に人が増えていきます。棚卸しをするときに開く画面も、確認する台帳も別のものになってしまいます。
| 作業 | ChatGPT Business | Microsoft Copilot |
|---|---|---|
| 人を増やす | ワークスペース設定 > メンバー > メンバーを招待。CSVは「メールアドレス,ロール,シートタイプ」の形式 | Microsoft 365 管理センター > 課金 > ライセンス から Microsoft Copilot を選び、ユーザーに割り当てる |
| 作業できる人 | 所有者・管理者・分析閲覧者・メンバーの4種のロール。請求とIDの管理は所有者のみ | ライセンス管理者またはユーザー管理者以上。SharePointの設定にはSharePoint管理者が必要 |
| 一度にできる数 | CSVでまとめて招待できる | 一度に最大20人のユーザーやグループを追加できる |
| 前提 | 既存のOpenAIアカウントに登録済みのメールアドレスで招待する | 先にMicrosoft 365のライセンスが割り当てられていること。ゲストを含むクロステナントユーザーには割り当てられない |
| 反映 | 招待を送ってもシートは購入も予約もされず、承諾の時点で空きを確認する | アプリによってはCopilotが表示されるまで最大24時間かかる場合がある |
ChatGPT側で気をつけたいのは、メンバー自身も人を招ける点になります。公式ヘルプには、メンバーは既定のシートタイプで他のメンバーを招待でき、現時点では制限できないと書かれています。さらに、認証済みの会社メールで登録したユーザーがワークスペースを見つけて参加リクエストを送れるワークスペースの検出という機能も、Businessでは既定でオンの状態です。気づかないうちに席が増える経路がありますので、請求画面のシート数を月に1度は見ておきましょう。
退職者の止め方は、手順も費用も変わります
Copilotの場合、退職者のアカウントを止める作業とライセンスを外す作業が同じ管理センターの中で完結します。ChatGPTの場合は別の作業が1つ増えてしまいます。ワークスペース設定 > メンバー で対象者を削除するとアクセスは直ちに終わりますが、請求対象のシート数はそれだけでは減りません。
シートを減らすには、所有者が ワークスペース設定 > メンバー > ユーザー > シートを管理 から削減を予約します。反映は次回の請求サイクルの開始時で、年間プランの場合は追加したシートが現在の年間契約期間の終了まで契約対象として維持されると説明されています。退職の処理と請求の処理は別物だと覚えておけば、翌月の請求書を見て慌てずに動けます。
いちばん厄介なのは、社員が自分の個人アカウントで使っていた場合でしょう。会社が契約していないアカウントは、どちらの管理画面にも現れません。ChatGPT Businessの管理者は、個人用ワークスペースの統合や削除をユーザーに要求できないと公式ヘルプに書かれています。Microsoft側には、ユーザーが個人用アカウントでMicrosoft 365アプリにサインインできるかどうかを管理する仕組みとして、テナント制限の案内があります。会社が把握できないまま使われている状態についてはシャドーAI(野良AI)で詳しく扱っています。
社内文書を読ませる前にやる、権限の棚卸し
アドオンを入れてCopilotに社内文書を読ませるなら、この作業を先に済ませる必要があります。Copilotの回答はユーザーの権限でスコープされる仕組みで、本人が見られる資料しか出てきません。裏を返すと、見られる状態のまま放置されていた資料は、そのまま要約に出てきてしまいます。
公式ドキュメントは、過剰共有への対策としてSharePoint 高度な管理、制限付きコンテンツ検出、Microsoft Purviewを挙げています。セットアップの手順のページには、有効化の前にやる準備として、もう少し具体的な作業も並びます。
- 利用の多いサイトを洗い出すSharePoint 管理センターで利用上位100サイトをエクスポートし、どこに何が置かれているかを一覧にします
- アクセス許可の状態を出すアクセス許可状態レポートを実行して、誰がどこまで見られるかを可視化します
- 組織全体への共有を外すEEEU(外部ユーザーを除くすべてのユーザー)を無効化し、全社に開いたままのサイトを閉じます
- 機密の高い場所を囲うRestricted Access Control を適用して、参照できる人を限定します
- ログを取れる状態にする統合監査ログをPurviewで有効にし、多要素認証も合わせて確認します
この作業に、情報システムの担当者がいない会社ほど時間がかかります。対象のサイト数だけ作業量が増えますので、ライセンスの購入日より前に着手しておきましょう。
ChatGPT側は、社内文書が自動で入ってくる作りではありませんので、棚卸しの対象が変わります。見るべきなのは、誰が何を貼るかという入力の側と、出てきた答えの共有のされ方になります。共有リンクは同じワークスペースのメンバーだけが見られる仕組みで、ワークスペース外の人が開くとアクセス権がない旨のメッセージが出ると説明されています。ただし、ワークスペース全体で共有リンクを無効にする機能はEnterpriseだけの機能になります。
データのエクスポートについては、公式ヘルプの中で記載が分かれています。ワークスペースのFAQには利用できないと書かれている一方、エンタープライズプライバシーの問答には、Businessの管理者がメンバーの会話履歴を閲覧・エクスポート・削除できるという記載もあります。監査や調査で会話の記録を出す必要がある業種では、契約する前にこの点を確認してみてください。
セキュリティとデータの扱い|学習に使われるか、オプトアウト、商用データ保護
会社として最初に確かめるのは、入力した内容がモデルの学習に使われるかどうかになります。結論から書くと、どちらも法人向けの契約では学習に使われないと公式が明記していて、操作が必要なのは個人向けの無料版や個人プランの方です。
| 使っている形 | 学習の扱い(公式の記載) | 必要な操作 |
|---|---|---|
| ChatGPT の無料版・Go・Plus・Pro | 料金ページの比較表で「コンテンツをモデルの学習に使用」が「無効化可能」。既定では学習に使われ得る | 設定 > データコントロール >「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする |
| ChatGPT Business・Enterprise | 「デフォルトではビジネスデータを学習に使用しません」と料金ページに記載 | 操作は不要 |
| 職場アカウントの Copilot Chat とアドオン | 「Microsoft Graph 経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは…基礎 LLM のトレーニングには使用されません」 | 操作は不要。Entraアカウントでサインインするとエンタープライズ データ保護が適用される |
| 個人アカウントの Microsoft Copilot | 2026年8月18日以降の新しい版は、プロンプト・応答・ファイルの内容をトレーニングに使わないと記載。前の版の記事には別の説明が残っている | 版によって説明が分かれるため、会社としては職場アカウントに寄せる |
学習をオフにする画面の名前と、効いている範囲
個人のChatGPTで学習を止める手順は、公式ヘルプに書かれています。ウェブではプロフィールアイコンから設定を開き、データコントロールの中の「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。モバイルではサイドバーメニューからプロフィールアイコンを開き、同じ項目を切ります。設定はアカウント全体に適用され、いつでも変更できると案内されています。
ヘルプの中で表記が揺れている点も知っておくと迷いません。同じ内容が「データコントロール」と「データ管理」、「すべての人のためにモデルを改善する」と「すべてのユーザー向けにモデルを改善する」という2通りで書かれています。対象になるのはオフにした後の新しい会話で、過去の会話が取り消されるとは書かれていません。
例外も1つあります。学習をオプトアウトしていても、回答に良い評価や良くない評価を付けてフィードバックを送ると、そのフィードバックに関連する会話全体がトレーニングに使われることがあると明記されています。社員に説明するときは、親指のアイコンを押すと別の扱いになる、という一言を添えておきましょう。
職場のCopilotは、守られる範囲が契約で決まります
職場アカウントでサインインしたCopilotには、エンタープライズ データ保護が適用されます。公式ドキュメントは、この保護について、顧客がExchangeのメールとSharePointのファイルに対して広く信頼しているのと同じ契約条件とコミットメントでプロンプトと応答が守られる、という説明をしています。Microsoftはデータ処理者として機能するという記載もあります。
保存されたデータは暗号化され、管理者はコンテンツ検索またはMicrosoft Purviewで表示・管理でき、Purviewで保持ポリシーを設定できます。ユーザー自身も、マイ アカウント ポータルからCopilotのアクティビティ履歴を消せます。なお、LLMへの呼び出しはリージョン内の最も近いデータセンターにルーティングされますが、使用率が特に高いときは容量のある他のリージョンに呼び出すこともある、という記載もあります。
多要素認証を会社として必須にできるかは、片方で条件が付きます
もう1つ、稟議で聞かれやすい論点を挙げます。ChatGPTの公式ヘルプは、管理者がワークスペースや組織でMFAを必須にできるかという問いに対して、「現時点では対応していません」「MFA は現在、ChatGPT ワークスペースまたは API Platform の組織レベルでは適用できません」と答えています。多要素認証そのものは、認証アプリ、プッシュ通知、テキストメッセージ、パスキーで各自が設定できますが、会社として一律に強制する形は取れません。
社内規程を作るときは、こうした設定の差も含めて書き出しておくと、あとから担当者が変わっても運用が続きます。個人情報保護委員会も2023年6月2日に生成AIサービスの利用について注意喚起を出していて、プロンプトに個人データを含める場合は、その個人データが出力以外の目的で取り扱われないことを十分に確認するよう求めています。生成AIの社内ルールの作り方はAI利用ガイドラインの作り方でも扱っていますので、あわせてご覧ください。
拡張性・カスタマイズの違い|GPTsとアプリ、Copilot Studioとエージェント
自社向けに作り込む方向でも、2つは進み方が違います。ChatGPTは会話の入口に外部サービスをつないでいく形で、Copilotは業務の流れごと動かすエージェントを作る形に寄っています。
ChatGPT側はアプリでつなぐ形に移っています
ChatGPT Businessでは、アプリと呼ばれる連携機能が既定で有効になっていて、管理者はワークスペース全体での利用可否を変更できます。料金ページには、含まれる内容として「Google Workspace、Slack、GitHub、Microsoft 365 などとの連携」が並びます。Googleドライブの統合アクションについては、EnterpriseやEduでは管理者が有効にするまで既定でオフなのに対し、Businessでは既定でオンになっていると説明されています。
ここで注意したいのが、カスタムGPTの扱いになります。公式ヘルプには、カスタムGPTの提供終了を予定しており、対象のEnterpriseワークスペースは2026年12月11日の予定で、その他のプランも同じスケジュールに従う予定だと書かれています。代わりに勧められているのは、プラグインへの移行です。GPTsで社内向けのAIを量産する前提の計画は、いま立てると作り直しになってしまいます。
Copilot側はエージェントを作る道具が別に用意されています
Microsoft側で自社向けの作り込みを担うのはCopilot Studioになります。公式のFAQには「Microsoft 365 Copilot に含まれる Copilot Studio では、Microsoft 365 内で Copilot Chat および Standard ハーネスを使用し、ライセンスを持つユーザーが追加費用なしで内部エージェントを構築および使用できます。」と書かれています。使う側のユーザーにライセンスは必要ないという記載もあります。
社外向けのチャネルに公開する場合は、スタンドアロンのCopilot Studioが必要になります。こちらはテナント全体用のライセンスとして販売され、各パックに25,000 Copilotクレジットを含んで¥29,985/パック/月(税抜)という価格が示されています。ユーザー数ではなくクレジットの消費量で費用が決まる形になります。標準ハーネスの場合で生成の回答が2クレジット、エージェントのアクションが5クレジットというように使うたびに減っていき、未使用分は翌月に繰り越せないと書かれていますので、人数ではなく月にどれだけ呼ばれるかで見積もってみてください。
追加料金なしのCopilot Chatの範囲でも、従量課金制のエージェントは使えます。ただし公式の注記には「エージェントを使用するには Azure サブスクリプションが必要です。」と書かれていますので、追加料金なしという言葉の外側に費用が出る点は押さえておきましょう。前払い方式のCopilot Studioキャパシティパックも用意されています。
共通点|文章生成・要約・翻訳・画像生成・コード生成はどちらでもできます
比べる前に、重なっている部分を確かめておくと判断が早くなります。日常的に使う機能は、ほとんど両方に揃っています。
- 文章の下書きと要約は両方にあります。Copilotの無料版の機能として「文章作成、ブレーンストーミング、要約などのサポート」が挙げられ、ChatGPTのチャットの説明にも「メッセージの下書き作成」が入っています
- 言い換えや外国語への翻訳も、同じ文章生成の延長として、どちらでも頼むことができます
- 画像の作成も両方にあります。職場アカウントのCopilot Chatの機能に「イメージの作成」が挙がっていて、ChatGPTは無料版から画像生成が使えます(回数に上限があると料金ページに記載)
- Web検索と出典の提示も、両方に用意されています
- 誤りが混ざる点も共通です。どちらの公式ページも、回答を評価して信頼できるソースと照らし合わせるよう求めています
コード生成だけは、少し事情が違います。ChatGPTの標準シートには、公式ヘルプの記載で「ChatGPT Chat、Work、Codex(利用上限付き)」が含まれています。Microsoft側でコードを書く用途を担うのはGitHub Copilotで、これは個別にライセンスされる製品で、Microsoft 365 Copilotのライセンスとは別の契約になります。
ここまで重なっているからこそ、選定の軸を出力の質に置くと結論が出ません。会社として比べるべきなのは、つながる先と、管理のしやすさと、1年あたりの支出の3つになります。4つの主要なAIの得意分野を業務ごとに見たい方は4つのAIの使い分けもご覧ください。
業務での活用例|議事録の要約、メールの下書き、Excelの集計、社内問い合わせ
同じ仕事でも、どちらを使うかで手数が変わります。よくある4つの場面を並べます。
| 場面 | アドオンの Copilot での形 | ChatGPT での形 | 先に決めること |
|---|---|---|---|
| 会議の議事録 | Teamsの会議の要約と文字起こし、アクションアイテムのキャプチャ | 文字起こしのテキストやファイルを渡して要約させる | 文字起こしまたは記録を有効にすること、参加者への周知 |
| メールの下書き | Outlookで下書き、スレッドの要約、トーンを改善するヒント | 用件を書いて下書きを作り、メール画面に貼り戻す | 顧客名や金額を入れてよい範囲 |
| Excelの集計 | データの分析、数式とビジュアルの作成、並べ替えやフィルター処理 | ファイルをアップロードして分析させ、数式を受け取る | 元データに個人情報が含まれていないか |
| 社内問い合わせへの回答 | Microsoft GraphとWork IQを通じて、本人の権限の範囲の文書を根拠に回答 | 連携でつないだ範囲、または貼り付けた資料の範囲で回答 | 権限の棚卸しが終わっているか |
4つのうち、Copilotの差がはっきり出るのは会議の議事録と社内問い合わせになります。どちらも、社内にすでにあるデータを材料にする仕事だからです。逆に、外の情報を調べてから文章を組み立てる仕事では、どちらを使っても手数はあまり変わりません。
社内問い合わせの自動化を考えている場合は、期待値の置き方に気をつけましょう。Copilotが答えられるのは、質問した本人が元から見られる資料の範囲に限られます。総務が全社の規程を見られる一方で、一般の社員には見えない資料が多いなら、同じ質問でも返ってくる答えが人によって変わってしまいます。
現場に配るときは、使ってよい仕事を3つほど例示すると定着が早くなります。性能の問題ではなく、どの仕事に使ってよいのか分からないという理由で開かれなくなる場面が多いためです。
配ったあとに見る数字|使用状況レポートと、社員の画面の見分け方
導入の成否は、配った人数ではなく、実際に開かれた回数で決まります。Copilot側には、これを見るための画面が管理センターに用意されています。
場所は、[レポート]>[使用状況]>[レポート]と進み、[Microsoft Copilot]>[Copilot]を選んで[使用状況]タブを開く形になります。表示できる期間は、使用状況レポートのページの記載で過去7、28、90、180日間です。数字の意味も公式に定義されていて、有効なユーザーはCopilotライセンスを持つ一意のユーザーの合計数、アクティブ ユーザーはその期間にCopilot機能を試したユーザーの合計数、アクティブ ユーザー率はその割合になります。
数え方の注意も書かれています。WordのリボンでCopilotアイコンを選んでチャットウィンドウを開いただけでは、アクティブな使用にはカウントされません。プロンプトを送信してウィンドウと対話した時点でカウントされます。レポートは通常、その日の終了から48時間以内(UTC)に利用できるようになり、[エクスポート]でExcelのcsvファイルに出せます。
この数字は、アドオンの年払い3,148円(税抜)をアクティブ ユーザー率で割ってみると効いてきます。アクティブ ユーザー率が50%なら、実際に使った人あたりの単価は6,296円になります。率が80%まで上がれば3,935円まで下がります。更新の判断をする前に、この1つの数字だけは見ておきましょう。
ChatGPT Business側も、料金ページに含まれる内容として「利用状況の分析と支出管理」が挙げられています。ただし、これは会話の中身を見る機能とは別で、公式ヘルプには、既定では管理者と所有者もメンバーの非公開チャットをすべて見ることはできないという記載があります。
無料版と職場アカウントのCopilotを1分で見分けます
社員がいまどちらを使っているかは、次の手順で確かめられます。会社として止めるべき使い方かどうかは、ここが分からないと判断できません。
- 社員に、ふだん使っているCopilotの画面をそのまま開いてもらいます
- サインインしているアカウントを見ます。会社のメールアドレス(職場または学校アカウント)なら会社の管理下で、個人用のアカウントなら管理の外になります
- Officeアプリの中では、製品内ラベルの表示を見ます。公式ドキュメントには、製品内ラベルがWord、Excel、PowerPoint、OneNoteなどのアプリとMicrosoft Copilotアプリに表示され、ユーザーがCopilotのエクスペリエンスを識別するのに役立つと書かれています
- 職場向けの入口かどうかも手がかりになります。公式は、Entraアカウントでサインインしたうえで、Microsoft Copilotアプリ、copilot.cloud.microsoft、EdgeのCopilot Chat、生産性アプリからアクセスするよう案内しています
判断の助けになる記載がもう1つあります。管理者向けのページには「Microsoft Copilot アプリは、Microsoft アカウントで認証されている個人ユーザーのみが使用できるようになりました。 Microsoft Copilot アプリは、Microsoft Entra アカウントを使用して認証する商用ユーザーには機能しません。」と書かれていて、仕事で使うユーザーはMicrosoft 365 CopilotアプリのCopilot Chatにアクセスすると案内されています。表示が公式の中でも分かれている部分ですので、最後は自社の画面で確かめてみてください。
ChatGPTの側は、ワークスペースの切り替えで見分けられます。ウェブではプロフィールメニュー、モバイルではサイドバーから切り替える作りで、個人用ワークスペースと会社のワークスペースが並びます。会社のワークスペースに招待したのに個人用のまま使っている社員がいる場合、この画面で気づけます。
目的別・職種別の選び方|どちらが向いている方か
ここまでの内容を、職種と場面に落として並べます。どちらか1つに決める必要はありませんので、先に入れる側を選ぶつもりで読んでみてください。
| 場面・職種 | 先に入れるとよい側 | 理由 |
|---|---|---|
| 経理・総務で、Word・Excel・Outlookの中の作業が1日の大半を占める | Copilot | アプリの中で完結し、貼って戻す往復が消える |
| 営業・企画で、調べ物と文章の作り込みが多い | ChatGPT | Web検索と引用、長い対話での作り込みが中心になる |
| 会議が多く、議事録の作成に時間を取られている | Copilot | Teamsの会議の要約と文字起こしが使える(文字起こしまたは記録の有効化が前提) |
| Microsoft 365を契約していない、または一部の部署だけ | ChatGPT | 単独で契約でき、土台のライセンスが要らない |
| 情報システムの専任がいない | 追加料金なしのCopilot Chatから | 新しい契約と管理画面を増やさずに試せる |
| 開発部門でコードを書く | 用途が別の契約になる | GitHub Copilotは個別ライセンス、ChatGPTは標準シートにCodexが含まれる |
| 社内の文書を横断して答えさせたい | Copilot(アドオン) | Microsoft GraphとWork IQで権限の範囲を参照する。権限の棚卸しが前提になる |
表を見て迷う場合は、ふだんいちばん時間を使っている作業がアプリの中にあるかどうかで決めましょう。Officeの中で終わる仕事が多い会社ほど、Copilotを先に入れた方が効果が見えやすくなります。反対に、資料を集めて読んで書く仕事が多い会社では、ChatGPTの方が先に手応えが出ます。
どちらも試してみたい場合、同時に配るのはおすすめしません。現場が2つの画面を行き来することになり、どちらが良かったのかも分からなくなってしまいます。期間を分けて、同じ部署で順に試す進め方の方が比較になります。
社員10〜200名を3段階に分けた判断表
規模によって、詰まるポイントが変わります。Microsoft 365をすでに全員が使っているかどうかと、情報システムの専任がいるかどうかの2つで、先に入れる側が変わってきます。
| 規模 | Microsoft 365 を全員が使っている | 使っていない、または混在している | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 10〜30名 | まず追加料金なしのCopilot Chatを周知し、Officeの中で足りない部分が見えてからアドオンを数席だけ買う | ChatGPT Businessを2名から始め、使う部署を決めて広げる | 専任がいないことが多いので、設定と周知を誰がやるかを先に決める |
| 31〜100名 | 部署単位でアドオンを配り、使用状況レポートのアクティブ ユーザー率で継続を判断する | ChatGPTを先に入れ、権限の棚卸しが終わった部署からCopilotを足す | この規模から、退職者の停止と席の削減の手順を文書にしておく |
| 101〜200名 | アドオンの対象者を職種で決め、権限の棚卸しを先に完了させる | ChatGPT Businessの席数の上限に注意しながら配る | ChatGPT Businessは2026年8月24日以降の作成で合計200シートまで。Copilot Businessのアドオンは公式の脚注に最大300ユーザーまでと記載 |
100名を超えると、契約の上限そのものが判断の材料になります。ChatGPT Businessは公式ヘルプに、2026年8月24日以降に作られたサブスクリプションで有料の標準シートとプレミアムシートの合計が200シートまでと書かれていて、それより多い場合はEnterpriseの検討を勧められます。200名に近い会社は、増員の予定まで含めて上限に当たらないかを先に確かめましょう。
情報システムの専任がいない会社では、配る前の準備より、配ったあとの聞き取りに人手が要ります。使われない理由を聞く時間を月に1回取るだけでも、翌年の更新の判断材料が残ります。誰がその役を担うかまで決めてから、購入に進んでみてください。
どちらを選んでも要る社内ルールの5行と、やめるときの条件
どちらを選んだ場合でも、社内に配る前に決めておく項目は同じになります。長い規程を作る前に、次の5行をそのまま掲示板に貼るところから始めてみてください。
- 入れてよい情報と入れてはいけない情報を分けます。顧客から預かった資料、個人情報、契約書の原本は、会社が契約したアカウント以外に入れません
- 使うアカウントを会社が配ったものに限ります。個人のアカウントで業務の内容を扱いません
- 承認が要る用途を決めます。社外に出す文書、採用や人事の判断に関わる文章、お金の計算に使う場合は、上長の確認を通します
- 出てきた答えは人が確かめます。数字、固有名詞、法令の条文は、元の資料と照らし合わせてから使います
- 困ったときの報告先を書きます。入れてはいけない情報を入れた場合の連絡先と、報告する期限を明記します
この5行は、CopilotでもChatGPTでも、無料版でも有料版でも同じ形で使えます。禁止する項目を増やすより、報告先と期限を書いておく方が、実際の事故のときに効いてきます。より詳しい作り方はAI利用ガイドラインの作り方をご覧ください。
やめるときの条件は、契約の形で変わります
解約の扱いも、契約する前に見ておきたい項目になります。Microsoftの公式ドキュメントには「キャンセル オプションは、お持ちの課金アカウントの種類とサブスクリプションの購入方法によって異なります」と書かれていて、一律の答えがありません。
MCAという課金アカウントの場合は、サブスクリプションの開始または更新後7日以内に解約したときにのみ、日割り計算されたクレジットか払い戻しを受けられると説明されています。7日以上経過した場合は継続請求を無効にする形になり、期間の終了まで製品とサービスには引き続きアクセスできます。MOSAの場合は、開始または更新の後に解約すると日割り計算されたクレジットまたは払い戻しを受け取ると書かれています。MCAの課金アカウントで、Microsoftの担当者またはリセラーパートナーを通じて購入した場合は、販売店が解約の窓口になるという記載もあります。
自社がどちらの種類になるかは、契約の経緯によって変わりますので、ここは断定できません。料金ページの脚注にも「サブスクリプションによっては、キャンセル料が発生する場合があります」という一文が添えられています。購入前に、販売店か管理センターの画面でご確認ください。
ChatGPT Businessの場合は、ワークスペース設定から請求に進み、プランの管理を開いてサブスクリプションをキャンセルする手順になります。次のサブスクリプション期間の料金が請求されるのを避けるには、次回の請求日の24時間以上前にキャンセルするよう案内されています。未使用のシートは原則として返金されませんので、席を増やすときは実際に使う人が決まってからにしましょう。
結論としての使い分け・併用という考え方
ここまで見てきた違いを踏まえると、併用という結論の意味も変わってきます。両方を全員に配ることではなく、社員が開く入口を1つに決めたうえで、必要な人にだけもう片方を足す形が現実的になります。
入口が増えるほど、管理は破綻していきます。招待の台帳とライセンスの台帳が別になり、退職者の停止の手順が2通りになり、入力してよい情報のルールも2つの画面それぞれで説明することになってしまいます。費用より先に効いてくるのは、この管理の二重化の方です。
会社として決めておきたいのは、次の4つになります。使う入口を1つに寄せること、ルールとログと棚卸しを1か所にまとめること、退職者の停止を1つの手順に収めること、使われた回数を測る担当を決めることです。この4つが決まっていれば、どちらを選んでも運用は回ります。
そのうえで、判断の順番はこうなります。いまMicrosoft 365を全員が使っていて、仕事の大半がOfficeのアプリの中で終わるなら、まず追加料金なしのCopilot Chatを周知して、足りない部分が見えてからアドオンを足してみてください。Microsoft 365を使っていない、または調べ物と文章の作り込みが中心なら、ChatGPT Businessを少人数で始める方が早く手応えが出ます。
どちらも試したうえで両方が要ると分かったときは、人数と12か月を掛けた金額に直してから決めましょう。20人で1,487,520円から1,883,280円、50人で3,718,800円から4,708,200円という年額が、そのまま来年の固定費になります。法人向けの選択肢をもう少し広く見たい方は法人向け生成AIサービスの比較もご覧ください。
どちらか1つに決める前に、4つのAIを1契約で使う形も
UPGEAR AI(アップギアAI)は、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityを1画面で切り替えて使える法人向けサービスです。全モデルで学習非利用を標準適用し、会話履歴とアカウントは国内サーバー(AWSの日本リージョン)で管理しています。月額30,000円(税抜)から。どのプランも利用人数は無制限で、料金は利用量に応じたプラン設計です(人数の目安はライト1〜5名、スタンダード6〜20名、プレミアム21〜50名)。初期費用100,000円(税抜)が別途かかります。
UPGEAR AIの詳細を見るよくある質問
CopilotとChatGPTは、どちらがベースのモデルですか?
Microsoft 365を使っていれば、Copilotは追加料金なしで使えますか?
ChatGPTとCopilotを両方契約すると、1人あたり月いくらになりますか?
入力した内容が学習に使われないようにするには、どこを操作しますか?
退職者が使っていたアカウントは、どうやって止めますか?
社員が無料のCopilotを使っているか、会社のCopilot Chatを使っているかは、どうやって見分けますか?
まとめ
ChatGPTとCopilotの違いは、中身のモデルではなく、どこにつながっていて誰が管理するかという点に集まります。Microsoftの料金ページがCopilotのモデルを「最新の OpenAI モデル: GPT-5.X」と書いている以上、賢さの比べ合いで結論は出てきません。
会社として押さえる順番は、まずCopilotの入口を3つに分けることになります。個人アカウントの無料版、対象のMicrosoft 365ライセンスに追加料金なしで含まれるCopilot Chat、そしてアドオンのMicrosoft Copilotで、費用も参照できる社内データも違います。アドオンは単体では買えず、公式の脚注にも対象のMicrosoft 365プランのライセンスが別途必要だと書かれています。
金額は、人数と12か月を掛けて見てみてください。両方を20人に配ると年1,487,520円から1,883,280円、50人なら年3,718,800円から4,708,200円になり、土台のプランの選び方で差が出ます。初年度だけの割引価格を恒久の金額として計算すると、2年目に予算が足りなくなってしまいます。
そして、契約のあとに残る仕事が、上位の比較記事ではほとんど触れられていない部分でした。ライセンスの割り当て、退職者の停止、権限の棚卸し、使用状況レポートでの確認という4つを誰がやるかまで決めてから、購入に進みましょう。法人のAI活用に関する他の記事はAI活用コラム一覧をご覧ください。
